High Performance Computing
と説明森田邦久(Kunihisa Morita)
早稲田大学高等研究所
High Performance Computer(HPC)は,より現実に近いモデルをつくり,シミュ レーションを行うことを可能にした.それゆえ,その予測はより正確になり,また,
実験室では実現できない状況をつくりだすことも可能になった.しかし,HPCによる 大規模シミュレーションは,現象の説明を提供するのに役立つだろうか?というのも,
科学的説明において,「より現実に近いモデルをつくる」ということよりも,「説明し たい現象の本質を再現できる最小モデルをつくる」ことのほうが重要だからだ(たと えば,[森田 2010, 168-169頁;2011]など).
そうすると,もし「科学が発展する」ということは「より多くの現象を説明できる ようになる」ということであるならば(この命題は検討の余地があるかもしれないが),
「HPCははたして科学の発展に役立つのか?」という疑問が生じるだろう.本発表で はこの問題について議論したい.
参考文献
森田邦久(2010). 『理系人に役立つ科学哲学』,化学同人.
森田邦久(2011). 「科学的説明と疑似科学的説明」,『科学基礎論研究』,39-1,25-30頁.