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特殊電解還元水を用いた新規洗浄システムに関する 研究

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特殊電解還元水を用いた新規洗浄システムに関する 研究

著者 葛原 亜起夫

雑誌名 東京家政大学教員養成教育推進室年報

巻 4

ページ 217‑226

発行年 2017‑11‑01

出版者 東京家政大学教員養成教育推進室

URL http://id.nii.ac.jp/1653/00010146/

(2)

216 217

教員養成教育推進室年報 第4号

特殊電解還元水を用いた新規洗浄システムに関する研究

Study of New Washing System Using Electrolytic Reduction Ion Water

 

服飾美術学科 葛原 亜起夫 Akio Kuzuhara

1.緒言

 1960年ごろから日本は高度経済成長期に入り、この間エネルギー需要は拡大を続けた。それに比例し、

大気汚染、水質汚濁、自然破壊、騒音・振動などの問題が日本各地で顕在化し、深刻度を増していった。

これをきっかけに、環境汚染への関心が高まり、現在の日本では環境に配慮した様々な取り組みがなされ ている。洗濯における取り組みとしては、洗剤の無リン化や生分解性の改善などが行われている。しかし ながら、利便性や快適性の面などから、使用される洗剤量は必ずしも減少していないのが現状である。そ こで、使用する媒体に着目して研究を行った。

 使用する媒体に関する研究は、過去にも数多く行われている。炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、

セスキ炭酸ナトリウムなどのアルカリ水溶液の洗浄性に関する研究1),2)、アルカリ電解水と他の水溶液と の洗浄力の比較により、アルカリ電解水を使用した洗浄の有効性を調査した研究3)、アルカリ電解水に酵 素やSDSを添加した洗浄系に関する研究4)、超音波やファインバブル水などを利用した洗浄に関する研究

5),6)などが行われている。中でも、炭酸ナトリウムやセスキ炭酸ナトリウム水溶液は、一般の洗剤類と

比較して同等の洗浄性能が得られることが報告されている1)。洗剤を使用した洗浄は有効であるが、環境 に負荷を与えており、pH値が高く危険なものもある。そこで、われわれは、強アルカリ電解水と同等の pH値でありながら、アルカリ度(アルカリ緩衝能)、および表面張力の低い「特殊電解還元水」に着目し、

環境負荷軽減を目的とした新しい洗浄システムに関する研究を行ったので報告する。

 一般のアルカリ電解水の製法は、水道水→軟水→電解質→電解という流れで精製しているが、一方で特 殊電解還元水の製法は水道水→純水→脱気→電解質→「高電圧での電解」→「安定化槽で電子放電」とい う流れで精製している。

 また、一般のアルカリ電解水は、電解質として、塩化ナトリウム、脂肪酸ナトリウム、または塩化カリ ウム、脂肪酸カリウムを使用しているので、アルカリ質には水酸化ナトリウム、または水酸化カリウムが 生成される。しかし、特殊電解還元水は電解質として複数のミネラル塩を使用しているため、水酸化ナト リウムや水酸化カリウムを生成しない。よって他のアルカリ電解水よりも安全に使用できる。

 手始めとして、われわれは、この「特殊電解還元水」の特性について調査し、次いで、各アルカリ洗浄液 の洗浄性、再汚染性、および収縮性について調査した。さらに、洗浄前につけおき工程導入の検討も行った。

2.実験

2-1.試料と試薬

 人工汚染布として、洗濯科学協会製湿式人工汚染布を使用した。汚染布の組成は、綿100%で、大きさ は5.0cm×5.0cmである。衣類の汚れとなる、皮脂、タンパク質、固体粒子などの汚れ物質が配合(オ レイン酸、トリオレイン、コレステロールオレート、流動パラフィン、スクアレン、コレステロール、ゼ ラチン、赤黄色土、カーボンブラック)されている。再汚染評価布として、洗濯科学協会製の綿布、一般 財団法人日本規格協会JIS染色堅牢度試験用のポリエステル布、収縮率評価布として、綿布、一般財団法 人日本規格協会JIS染色堅牢度試験用のウールモスリン、日本毛織物株式会社から提供されたウールサー

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教員養成教育推進室年報 第4号

ジを使用した。

 セスキ炭酸ナトリウム二水和物(Lot 603H1720)は関東化学株式会社から、炭酸ナトリウム(Lot LKP3330)と炭酸水素ナトリウム(Lot LKN5155)は和光純薬工業株式会社から購入した。特殊電解還 元水として、株式会社エー・アイ・システムプロダクトから提供されたものを使用した。

2-2.洗浄液の作製

 特殊電解還元水は、イオン交換水を用いて、2~5倍に希釈した。なお、特殊電解還元水は作り置きせ ず、洗浄評価直前に作製し、使用した。

 セスキ炭酸ナトリウム二水和物、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムは、イオン交換水を用いて0.022 mol/Lの水溶液にそれぞれ調整した。

2-3.湿式人工汚染布の調整

 湿式人工汚染布と再汚染率評価布は、測定前に予め、20℃,65% RHに設定をした恒温恒湿器にて、24 時間以上保存した。

2-4.洗浄方法

2-4-1.手撹拌による洗浄方法

 ビーカーに浴比1:30に調整した各洗浄液と、湿式人工汚染布(5.0cm×5.0cm)と収縮率評価布(綿・

ウールモスリン、5.0cm×5.0cm)を準備し、水温24℃で、本洗いを10分間、イオン交換水ですすぎを 3分間行った。その後10分間乾燥させ、各試験の測定を行った。

 3-2-1 手攪拌による洗浄性の評価は、人工汚染布0.35g(1枚)、洗浄液・すすぎ用イオン交換 水 10.5ml を準備した。収縮性の評価は、収縮率測定布 0.67 g、洗浄液・すすぎ用イオン交換水 20ml を 準備した。

2-4-2.ターゴトメーターによる洗浄方法

 各洗浄液1000mlに、湿式人工汚染布(5.0cm×5.0cm)5枚、再汚染評価布(綿・ポリエステル、5.0cm

× 5.0cm)5枚、収縮率評価布(綿・ウールモスリン・ウールサージ、15.0cm × 15.0cm)各1枚、補 助布(綿ポリ混紡)を合わせて、合計33.3(±0.1)gを投入し、水温24℃で、10分間本洗いし、イオン 交換水(1000ml)で3分間すすぎ(1回)を行った。その後、10分間電気乾燥機で乾燥させ、中温に設 定したアイロンをかけて、各試験の測定を行った。

 ターゴトメーターの回転数は、60rpmと120rpmに設定し、60rpm、120rpmの2つの洗浄条件で洗浄 した。

2-5.測定方法 2-5-1.表面張力

 各種水溶液の表面張力は、協和界面科学株式会社製・FACE自動表面張力計CBVP-Z型を用いて測定を 行った。汚れのないきれいなシャーレの中に3分の2まで水溶液を入れる。白金プレートをアルコールラ ンプでよく熱してから、室温で測定した。

2-5-2.中和滴定(アルカリ度の測定)

 5倍希釈した特殊電解還元水と 0.022mol/L 炭酸ナトリウム水溶液をそれぞれ 50ml 用意し、各水溶液 がpH7.0に中和されるまでの0.1N塩酸の滴定量を測定した。

(4)

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教員養成教育推進室年報 第4号

2-5-3.洗浄性の評価

 洗浄後、乾燥機で乾燥させ、中温に設定したアイロンで、各布帛についたしわを伸ばし、表面反射率計 で洗浄後の表面反射率を測定した。得られた測定値を、(1)式のクベルカムンクの式に代入し、k/s 値 を算出し、(2)式を用いて洗浄率を算出した。

  k/s=(1-R)/2R  …(1)

ここで、R:表面反射率(0<R<1)、K:吸光度係数、S:光の散乱係数 である。

  洗浄率D(%)={(k/s)w-(k/s)s}/{(k/s)o-(k/s)s}×100  …(2)

ここで、K/Ss:汚染布のK/S、K/Sw:洗浄布のK/S、K/So:原布のK/S である。

2-5-4.再汚染性の評価

 洗浄後、乾燥機で乾燥させ、中温に設定したアイロンで、各布帛についたしわを伸ばし、表面反射率計 で洗浄後の表面反射率を測定した。その後、恒温恒湿器にて20℃、65%RH下で24時間以上保存し、同様 に表面反射率計で表面反射率を測定した。各値を(3)式に代入し、再汚染率を算出した。

  再汚染率R(%)={(Ro-Rs)/Ro}×100  …(3)

ここで、Ro:洗浄前の反射率、Rs:洗浄後の反射率 である。

2-5-5.収縮性の評価

 予め、洗浄前に各布帛に図1のように黒油性ペンで印をつけた。洗浄後、電気乾燥機で乾燥させ、中温 に設定したアイロンで、各布帛についたしわを伸ばした。その後、定規でたて、よこ方向ともに3本の線 の長さを測定し、それぞれ平均を求めた。求めた値を(4)式に代入し、寸法変化率を算出した。

  寸法変化率(%)=(L’-L)/L×100  …(4)

ここで、L:処理前の長さ(cm)、L’:処理後の長さ(cm)である。

図1 収縮率測定布の印のつけ方(上図5.0cm×5.0cm、下図15.0cm×15.0cm)

図 1 収縮率測定布の印のつけ方 ( 上図 5.0 cm×5.0 cm 、下図 15.0 cm×15.0 cm)

3. 結果と考察

3-1 特殊電解還元水の性質

手始めとして、 「特殊電解還元水」の特性について調査を行った。表 1 に、各水溶液の pH と表面張力を 示した。

表 1 各水溶液の pH と表面張力

特殊電解還元水は他のアルカリ水溶液よりも pH 値が高く、とくに、原液は、 pH 12.11 と非常に高 い値 pH値 表面張力(mN/m) 12.11 50.8 11.77 57.7 11.55 63.7 11.39 63.5 11.21 66.4 8.41 67.8 10.05 62.0

イオン交換水 ― 71.4

0.022M炭酸水素ナトリウム水溶液 0.022Mセスキ炭酸ナトリウム水溶液

水溶液

0.022M炭酸ナトリウム水溶液 アルカリ電解水 5倍

アルカリ電解水 4倍 アルカリ電解水 2倍 アルカリ電解水 原液

…10.0 cm

…15.0 cm

…1.5 cm

…5.0 cm

(5)

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教員養成教育推進室年報 第4号

3.結果と考察

3-1.特殊電解還元水の性質

 手始めとして、「特殊電解還元水」の特性について調査を行った。表1に、各水溶液の pH と表面張力 を示した。

表1 各水溶液のpHと表面張力

 特殊電解還元水は他のアルカリ水溶液よりもpH値が高く、とくに、原液は、pH12.11と非常に高い値 を示した。特筆すべきは、特殊電解還元水原液の表面張力が、他のアルカリ電解水と比較して、50.8mN/m と極めて低いことである。また、希釈倍率が高くなるにつれて、pH値はあまり変化しないにもかかわら ず、表面張力が高くなることが判明した。

 また、ほぼ同等の pH 値である、5倍希釈した特殊電解還元水と炭酸ナトリウム水溶液を、それぞれ 50ml用意し、中和滴定法によるアルカリ度の比較を行ったところ、炭酸ナトリウム水溶液がpH7.0に中 和されるまで、0.1N塩酸が12.8ml必要だったのに対し、5倍希釈した特殊電解還元水では3.6mlの0.1N 塩酸量で中和できることが判明した。この実験から、特殊電解還元水は、通常のアルカリ水溶液と比較し て、アルカリ緩衝能が低いことが明らかとなった。

3-2.アルカリ洗浄液の洗浄性、再汚染性、および収縮性 3-2-1.手撹拌による評価

 図2に、各水溶液の洗浄率を示した。

 特殊電解還元水を用いた場合、希釈倍率を2~5倍まで、洗浄率が 60% 台と高かった。とくに、原液 の洗浄率は「67.4%」と最も高い値を示した。

 また、特殊電解還元水とイオン交換水の洗浄率を比較した結果、特殊電解還元水は、イオン交換水の約 2倍の洗浄力を有し、洗浄力が極めて高いことが判明した。さらに、他のアルカリ洗浄液との洗浄率を比 較しても、特殊電解還元水の洗浄率が高いことがわかる。炭酸ナトリウムとセスキ炭酸ナトリウム二水和 物水溶液も洗浄率が50 %台と高かったため、ターゴトメーターを用いた洗浄評価の際、特殊電解還元水 との比較洗浄液として使用することとした。

図 1 収縮率測定布の印のつけ方 ( 上図 5.0 cm×5.0 cm 、下図 15.0 cm×15.0 cm)

3. 結果と考察

3-1 特殊電解還元水の性質

手始めとして、 「特殊電解還元水」の特性について調査を行った。表 1 に、各水溶液の pH と表面張力を 示した。

表 1 各水溶液の pH と表面張力

特殊電解還元水は他のアルカリ水溶液よりも pH 値が高く、とくに、原液は、 pH 12.11 と非常に高 い値 pH値 表面張力(mN/m) 12.11 50.8 11.77 57.7 11.55 63.7 11.39 63.5 11.21 66.4 8.41 67.8 10.05 62.0

イオン交換水 ― 71.4

0.022M炭酸水素ナトリウム水溶液 0.022Mセスキ炭酸ナトリウム水溶液

水溶液

0.022M炭酸ナトリウム水溶液 アルカリ電解水 5倍

アルカリ電解水 4倍 アルカリ電解水 2倍 アルカリ電解水 原液

…10.0 cm

…15.0 cm

…1.5 cm

…5.0 cm

(6)

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教員養成教育推進室年報 第4号

図2 各洗浄液の洗浄率(手撹拌、洗浄時間10分、水温24℃)

 図3に、各洗浄液における各布帛の収縮性(洗浄時間5分)を、図4に、各洗浄液における各布帛の収 縮性(洗浄時間15分)を示し、図5に、各洗浄液における各布帛の収縮性(洗浄時間30分)を示した。

 全体的な傾向として、ウールサージよりも、綿の方が収縮していた。洗浄時間は 15 分以上になると、

各布帛とも収縮が起きやすかったことから、15 分以上の洗浄を避けることで、収縮を抑えることができ ると考える。

 次に、特殊電解還元水とイオン交換水の寸法変化率を比較した。イオン交換水は、収縮しなかったが、

特殊電解還元水は、-0.83 ~-3.33%の寸法変化が生じた。

 他のアルカリ洗浄液と比較をしても、特殊電解還元水の寸法変化率は高く、洗浄率が高い分、pH値も 若干高いため、収縮性が大きいと考えられる。

図3 各洗浄液における各布帛(5.0cm×5.0cm)の収縮性(洗浄時間5分)

を示した。特筆すべきは、特殊電解還元水原液の表面張力が、他のアルカリ電解水と比較して、

50.8 mN/m

と極めて低いことである。また、希釈倍率が高くなるにつれて、

pH

値はあまり変化しないにもかか わらず、表面張力が高くなることが判明した。

また、ほぼ同等の

pH

値である、

5

倍希釈した特殊電解還元水と炭酸ナトリウム水溶液を、それぞれ

50 ml

用意し、中和滴定法によるアルカリ度の比較を行ったところ、炭酸ナトリウム水溶液が

pH 7.0

に中和さ れるまで、

0.1 N

塩酸が

12.8 ml

必要だったのに対し、

5

倍希釈した特殊電解還元水では

3.6 ml

0.1 N

塩酸 量で中和できることが判明した。この実験から、特殊電解還元水は、通常のアルカリ水溶液と比較して、

アルカリ緩衝能が低いことが明らかとなった。

3-2. アルカリ洗浄液の洗浄性、再汚染性、および収縮性

3-2-1. 手撹拌による評価

2

に、各水溶液の洗浄率を示した。

特殊電解還元水を用いた場合、希釈倍率を

2~5

倍まで、洗浄率が

60 %

台と高かった。とくに、原液の洗

浄率は「

67.4 %

」と最も高い値を示した。

また、特殊電解還元水とイオン交換水の洗浄率を比較した結果、特殊電解還元水は、イオン交換水の約

2

倍の洗浄力を有し、洗浄力が極めて高いことが判明した。さらに、他のアルカリ洗浄液との洗浄率を比 較しても、特殊電解還元水の洗浄率が高いことがわかる。炭酸ナトリウムとセスキ炭酸ナトリウム二水和 物水溶液も洗浄率が

50

%台と高かったため、ターゴトメーターを用いた洗浄評価の際、特殊電解還元水 との比較洗浄液として使用することとした。

2

各洗浄液の洗浄率

(

手撹拌、洗浄時間

10

分、水温

24

)

3

に、各洗浄液における各布帛の収縮性

(

洗浄時間

5

)

を、図

4

に、各洗浄液における各布帛の収縮性

33.6

67.4 66.4 64.8 63.2

58.4

43.8 50.5

0 10 20 30 40 50 60 70 80

洗浄率(%)

洗浄率

(

洗浄時間

15

)

を示し、 図

5

に、各洗浄液における各布帛の収縮性

(

洗浄時間

30

)

を示した。ま た、表

2

に、各洗浄液における各布帛の収縮性

(

手攪拌

)

を示した。

全体的な傾向として、ウールサージよりも、綿の方が収縮していた。洗浄時間は

15

分以上になると、各 布帛とも収縮が起きやすかったことから、

15

分以上の洗浄を避けることで、収縮を抑えることができると 考える。

次に、特殊電解還元水とイオン交換水の寸法変化率を比較した。イオン交換水は、収縮しなかったが、

特殊電解還元水は、

-0.83~ -3.33

%の寸法変化が生じた。

他のアルカリ洗浄液と比較をしても、特殊電解還元水の寸法変化率は高く、洗浄率が高い分、

pH

値も若 干高いため、収縮性が大きいと考えられる。

3

各洗浄液における各布帛

(5.0 cm

×

5.0 cm)

の収縮性

(

洗浄時間

5

)

4

各洗浄液における各布帛

(5.0 cm

×

5.0 cm)

の収縮性

(

洗浄時間

15

) -4.5

-4 -3.5 -3 -2.5 -2 -1.5 -1 -0.5 0

寸法変化率(%)

寸法変化率 5 分

綿 タテ 綿 ヨコ ウールモスリン タテ ウールモスリン ヨコ

-4.5 -4 -3.5 -3 -2.5 -2 -1.5 -1 -0.5 0

寸法変化率(%)

寸法変化率 15 分

綿 タテ 綿 ヨコ ウールモスリン タテ ウールモスリン ヨコ

(7)

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教員養成教育推進室年報 第4号

5

各洗浄液における各布帛

(5.0 cm

×

5.0 cm)

の収縮性

(

洗浄時間

30

)

3-2-2. ターゴトメーター使用による評価

次に、家庭洗濯を想定し、ターゴトメーターを用いて洗浄実験を行った。

6

に、各洗浄液の洗浄率

(

乾燥機で乾燥

)

を示した。

全体的な傾向として、

60 rpm

の場合、洗浄後乾燥機で乾燥させた方が、洗浄後恒温恒湿器において

24

時間以上保存したものよりも洗浄率が高く、

5

倍特殊電解還元水においては、約

10

%の差がみられた。

120 rpm

の場合、恒温恒湿器で保存した方が、洗浄率は高かった。

5

倍特殊電解還元水においては、

60 rpm

と同様の、約

10

%の差がみられた。この結果から、保存方法によって洗浄率が向上することが考えられ る。しかしながら、洗浄率が高くなる原因については不明なため、今後さらに研究していきたい。

次に、

5

倍特殊電解還元水とイオン交換水の洗浄率を比較した。

5

倍特殊電解還元水で洗浄する方が、圧 倒的に汚れ落ちが良いことがわかる。このことは、

5

倍特殊電解還元水がイオン交換水よりも表面張力が 低く、

pH

値が高いことが関係しているものと考えられる。

他のアルカリ洗浄液と比較をしても、

5

倍特殊電解還元水の洗浄力が高いことがわかる。

120 rpm

での洗 浄では、約

20

%もの差がみられ、機械力が大きくなるほど、特殊電解還元水の洗浄力が、向上するもの と推測される。

60 rpm

120 rpm

の機械力の面で比較すると、回転数が増えたことで全体的に洗浄率が向上したことが

分かる。この結果から、機械力の強さも洗浄において大きな影響を与えていることが改めて確認できた。

また、

60 rpm

の機械力はとても弱いが、

5

倍希釈した特殊電解還元水でも「

42.91

%」の洗浄力があり、

特殊電解還元水の洗浄性は、他のアルカリ洗浄液と比較して、優れていることが判明した。

-4.5 -4 -3.5 -3 -2.5 -2 -1.5 -1 -0.5 0

寸法変化率(%)

寸法変化率 30 分

綿 タテ 綿 ヨコ ウールモスリン タテ ウールモスリン ヨコ

(

洗浄時間

15

)

を示し、 図

5

に、各洗浄液における各布帛の収縮性

(

洗浄時間

30

)

を示した。ま た、表

2

に、各洗浄液における各布帛の収縮性

(

手攪拌

)

を示した。

全体的な傾向として、ウールサージよりも、綿の方が収縮していた。洗浄時間は

15

分以上になると、各 布帛とも収縮が起きやすかったことから、

15

分以上の洗浄を避けることで、収縮を抑えることができると 考える。

次に、特殊電解還元水とイオン交換水の寸法変化率を比較した。イオン交換水は、収縮しなかったが、

特殊電解還元水は、

-0.83~ -3.33

%の寸法変化が生じた。

他のアルカリ洗浄液と比較をしても、特殊電解還元水の寸法変化率は高く、洗浄率が高い分、

pH

値も若 干高いため、収縮性が大きいと考えられる。

3

各洗浄液における各布帛

(5.0 cm

×

5.0 cm)

の収縮性

(

洗浄時間

5

)

4

各洗浄液における各布帛

(5.0 cm

×

5.0 cm)

の収縮性

(

洗浄時間

15

) -4.5

-4 -3.5 -3 -2.5 -2 -1.5 -1 -0.5 0

寸法変化率(%)

寸法変化率 5 分

綿 タテ 綿 ヨコ ウールモスリン タテ ウールモスリン ヨコ

-4.5 -4 -3.5 -3 -2.5 -2 -1.5 -1 -0.5 0

寸法変化率(%)

寸法変化率 15 分

綿 タテ 綿 ヨコ ウールモスリン タテ ウールモスリン ヨコ 図4 各洗浄液における各布帛(5.0cm×5.0cm)の収縮性(洗浄時間15分)

図5 各洗浄液における各布帛(5.0cm×5.0cm)の収縮性(洗浄時間30分)

3-2-2.ターゴトメーター使用による評価

 次に、家庭洗濯を想定し、ターゴトメーターを用いて洗浄実験を行った。

 図6に、各洗浄液の洗浄率(乾燥機で乾燥)を示した。

 全体的な傾向として、60rpmの場合、洗浄後乾燥機で乾燥させた方が、洗浄後恒温恒湿器において24 時間以上保存したものよりも洗浄率が高く、5倍特殊電解還元水においては、約 10%の差がみられた。

120rpm の場合、恒温恒湿器で保存した方が、洗浄率は高かった。5倍特殊電解還元水においては、

60rpmと同様の、約10%の差がみられた。この結果から、保存方法によって洗浄率が向上することが考 えられる。しかしながら、洗浄率が高くなる原因については不明なため、今後さらに研究していきたい。

次に、5倍特殊電解還元水とイオン交換水の洗浄率を比較した。5倍特殊電解還元水で洗浄する方が、圧 倒的に汚れ落ちが良いことがわかる。このことは、5倍特殊電解還元水がイオン交換水よりも表面張力が 低く、pH値が高いことが関係しているものと考えられる。

 他のアルカリ洗浄液と比較をしても、5倍特殊電解還元水の洗浄力が高いことがわかる。120rpmでの

(8)

222 223

教員養成教育推進室年報 第4号

洗浄では、約 20%もの差がみられ、機械力が大きくなるほど、特殊電解還元水の洗浄力が、向上するも のと推測される。

 60rpmと120rpmの機械力の面で比較すると、回転数が増えたことで全体的に洗浄率が向上したことが 分かる。この結果から、機械力の強さも洗浄において大きな影響を与えていることが改めて確認できた。

また、60rpm の機械力はとても弱いが、5倍希釈した特殊電解還元水でも「42.91%」の洗浄力があり、

特殊電解還元水の洗浄性は、他のアルカリ洗浄液と比較して、優れていることが判明した。

図6 各洗浄液の洗浄率(乾燥機で乾燥)

 図7に、各洗浄液の再汚染性(乾燥機で乾燥)を示した。

 全体的な傾向として、120rpmの機械力で洗浄後、恒温恒湿器を用いて24時間以上保存した綿とポリエ ステル以外は、ポリエステルの方が再汚染率は高い傾向にある。

 次に、5倍特殊電解還元水とイオン交換水の再汚染率を比較した。再汚染の傾向はとても類似していた が、5倍特殊電解還元水の再汚染率は、イオン交換水と比較して、若干低い傾向が確認された。このこと は、5倍特殊電解還元水が再汚染を防ぐ働きがあるものと考えられる。

 他のアルカリ洗浄液と比較しても、5倍特殊電解還元水の再汚染率は若干低かった。しかし、炭酸ナト リウムの再汚染率が、5倍特殊電解還元水と比較して低いため、炭酸ナトリウムも、再汚染を防ぐという 面では、優れていることが確認された。

 120rpmの機械力の場合、60rpmと比較して全体的に再汚染率が高く、強い機械力により十分に脱落し た汚れが布に再吸着したことが示唆された。機械力が強くなることで、汚れ落ちが良くなるため、大きな 機械力においても再汚染率を抑制する洗浄工程を、今後検討していきたい。

6

各洗浄液の洗浄率

(

乾燥機で乾燥

)

8

に、各洗浄液の再汚染性

(

乾燥機で乾燥

)

を示した。

全体的な傾向として、

120 rpm

の機械力で洗浄後、恒温恒湿器を用いて

24

時間以上保存した綿とポリエ ステル以外は、ポリエステルの方が再汚染率は高い傾向にある。

次に、

5

倍特殊電解還元水とイオン交換水の再汚染率を比較した。再汚染の傾向はとても類似していた が、

5

倍特殊電解還元水の再汚染率は、イオン交換水と比較して、若干低い傾向が確認された。このこと は、

5

倍特殊電解還元水が再汚染を防ぐ働きがあるものと考えられる。

他のアルカリ洗浄液と比較しても、

5

倍特殊電解還元水の再汚染率は若干低かった。しかし、炭酸ナト リウムの再汚染率が、

5

倍特殊電解還元水と比較して低いため、炭酸ナトリウムも、再汚染を防ぐという 面では、優れていることが確認された。

120 rpm

の機械力の場合、

60 rpm

と比較して全体的に再汚染率が高く、強い機械力により十分に脱落し

た汚れが布に再吸着したことが示唆された。機械力が強くなることで、汚れ落ちが良くなるため、大きな 機械力においても再汚染率を抑制する洗浄工程を、今後検討していきたい。

15.03

42.91

37 35.58

15.79

62.49

44.27 43.67

0 10 20 30 40 50 60 70 80

イオン交換水 5倍 特殊電解還元水 セスキ炭酸ナトリウム 炭酸ナトリウム

洗浄率(%)

60rpm 120rpm

(9)

224

教員養成教育推進室年報 第4号

図7 各洗浄液の再汚染性(乾燥機で乾燥)

 図8に、各洗浄液における各布帛の収縮性(60rpm)を、図9に、各洗浄液における各布帛の収縮性

(120rpm)を示した。

 全体的な傾向として、手攪拌での洗浄と同様に、綿布帛の収縮性が大きくなった。また、タテとヨコに 分けて寸法変化率を測定した結果、両者に大きな差は確認できなかった。回転数において、120rpmで洗 浄を行うと寸法変化率が高くなることが分かった。

 次に、5倍特殊電解還元水とイオン交換水の寸法変化率を比較する。手攪拌での洗浄において、イオン 交換水は収縮しなかったが、ターゴトメーターを使用すると、5倍特殊電解還元水と同程度の収縮が生じ た。この結果から、寸法変化率に対して、洗浄液の違いよりも、機械力の影響の方が大きいことが判明し た。

 セスキ炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウムと比較をすると、5倍特殊電解還元水と同様の収縮傾向が見ら れ、この結果からも、寸法変化率は機械力の影響を受けやすいことが判明した。

 これらの実験結果から、寸法の変化を小さく抑えるためには、機械力の強さについても検討する必要が あることが判明した。

8

各洗浄液の再汚染性

(

乾燥機で乾燥

)

10

に、各洗浄液における各布帛の収縮性

(60 rpm)

を、図

11

に、各洗浄液における各布帛の収縮性

(120 rpm)

を示した。

全体的な傾向として、手攪拌での洗浄と同様に、綿布帛の収縮性が大きくなった。また、タテとヨコに 分けて寸法変化率を測定した結果、両者に大きな差は確認できなかった。回転数において、

120 rpm

で洗 浄を行うと寸法変化率が高くなることが分かった。

次に、

5

倍特殊電解還元水とイオン交換水の寸法変化率を比較する。手攪拌での洗浄において、イオン 交換水は収縮しなかったが、ターゴトメーターを使用すると、

5

倍特殊電解還元水と同程度の収縮が生じ た。この結果から、寸法変化率に対して、洗浄液の違いよりも、機械力の影響の方が大きいことが判明し た。

セスキ炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウムと比較をすると、

5

倍特殊電解還元水と同様の収縮傾向が見ら れ、この結果からも、寸法変化率は機械力の影響を受けやすいことが判明した。

これらの実験結果から、寸法の変化を小さく抑えるためには、機械力の強さについても検討する必要が

あることが判明した。

(10)

224 225

教員養成教育推進室年報 第4号

図8 各洗浄液における各布帛(15.0cm×15.0cm)の収縮性(60rpm)

図9 各洗浄液における各布帛(15.0cm×15.0cm)の収縮性(120rpm)

4.結論

 特殊電解還元水の特性として、他のアルカリ水溶液と比較して、表面張力が極めて低いことが判明した。

また、特殊電解還元水は、高い pH 値を保持しつつも、少量の 0.1N 塩酸で中和できることから、安全に 使用できることが判明した。また、製造工程での工夫や、複数のミネラル塩を使用することで、品質劣化 が起きることなく保存が可能である。特殊電解還元水を使用した洗浄では、洗浄率60%以上の高い洗浄 力があることがわかった。この値は、界面活性剤が配合された洗剤と同等の洗浄力であり、このことから も特殊電解還元水は、非常に高い洗浄性能を保持していることが示唆された。

 また、特殊電解還元水は、15分以上の洗浄・120rpmの回転数で布の収縮が起きやすくなる傾向が判明 図10 各洗浄液における各布帛(15.0 cm×15.0 cm)の収縮性(60 rpm)

図11 各洗浄液における各布帛(15.0 cm×15.0 cm)の収縮性(120 rpm)

-4.3 -4 -4.3

-5.3

-3.3 -3.7 -3.7 -3.7

-2 -2 -2 -2

-3.7 -3.7 -4 -4

-2 -2 -2.3 -2

-4 -4 -4

-3.3

-8 -7 -6 -5 -4 -3 -2 -1 0

イオン交換水 5倍 特殊電解還元水 セスキ炭酸ナトリウム 炭酸ナトリウム

寸法変化率(%)

寸法変化率 60rpm

綿 タテ 綿 ヨコ ウールモスリン タテ

ウールモスリン ヨコ ウールサージ タテ ウールサージ ヨコ

-6

-4

-7

-5.7 -4

-7

-4.3

-3.3

-2 -1.7

-4.3

-1.3

-4.7 -4.7

-1.7

-3.7

-2.3 -2.3 -2

-4 -4

-3 -3.3

-2.3

-8 -7 -6 -5 -4 -3 -2 -1 0

イオン交換水 5倍 特殊電解還元水 セスキ炭酸ナトリウム 炭酸ナトリウム

寸法変化率(%)

寸法変化率 120rpm

綿 タテ 綿 ヨコ ウールモスリン タテ

ウールモスリン ヨコ ウールサージ タテ ウールサージ ヨコ

図10 各洗浄液における各布帛(15.0 cm×15.0 cm)の収縮性(60 rpm)

図11 各洗浄液における各布帛(15.0 cm×15.0 cm)の収縮性(120 rpm)

-4.3 -4 -4.3

-5.3

-3.3 -3.7 -3.7 -3.7

-2 -2 -2 -2

-3.7 -3.7 -4 -4

-2 -2 -2.3 -2

-4 -4 -4

-3.3

-8 -7 -6 -5 -4 -3 -2 -1 0

イオン交換水 5倍 特殊電解還元水 セスキ炭酸ナトリウム 炭酸ナトリウム

寸法変化率(%)

寸法変化率 60rpm

綿 タテ 綿 ヨコ ウールモスリン タテ

ウールモスリン ヨコ ウールサージ タテ ウールサージ ヨコ

-6

-4

-7

-5.7 -4

-7

-4.3

-3.3

-2 -1.7

-4.3

-1.3

-4.7 -4.7

-1.7

-3.7

-2.3 -2.3 -2

-4 -4

-3 -3.3

-2.3

-8 -7 -6 -5 -4 -3 -2 -1 0

イオン交換水 5倍 特殊電解還元水 セスキ炭酸ナトリウム 炭酸ナトリウム

寸法変化率(%)

寸法変化率 120rpm

綿 タテ 綿 ヨコ ウールモスリン タテ

ウールモスリン ヨコ ウールサージ タテ ウールサージ ヨコ

(11)

226

教員養成教育推進室年報 第4号

した。これらの結果を踏まえて、今後は、より適切な機械力の強さ、つけおき時間、特殊電解還元水の希 釈倍率などを検討したいと考えている。

参考文献

1.大矢勝,石川祐輔;洗剤の洗浄力の優劣判断における注意点,繊維製品消費科学,48(9),613-618

(2007)

2.大矢勝,甲斐義明;炭酸水素ナトリウム(重曹)の洗浄力と環境影響の評価,繊維製品消費科学,52

(8),510-517(2011)

3.高橋哲也,麻生祐司,山本達之;洗濯における電解質の洗浄効果,繊維学会誌,63(5),109- 116(2007)

4. 尾畑納子;環境負荷軽減のための洗浄に関する基礎研究(第6報),富山国際大学現代社会学部紀要第 2巻,59-66(2010)

5.後藤景子,中谷博美;人工汚染布を用いた節水型洗浄の洗浄性評価,日本家政学会誌,62(3),173- 178(2011)

6.後藤景子,中谷博美,徳安恵里菜;超音波を利用した繊維集合体の高性能洗浄法の検討,70(11),

273-279(2014)

参照

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