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富山県平村相倉トチノキ林の森林構造とササラダニ 類

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富山県平村相倉トチノキ林の森林構造とササラダニ

著者 佐藤 卓, 平内 好子, 野口 泉

雑誌名 富山市科学文化センター研究報告

27

ページ 61‑67

発行年 2004‑03‑25

URL http://repo.tsm.toyama.toyama.jp/?action=repos itory̲uri&item̲id=810

(2)

富山県平村相倉トチノキ林の森林構造とササラダニ類

佐 藤 卓 富山県立上市高等学校 930‑0424富山県上市町斉神新444

平 内 好 子

富山県立新川みどり野高等学校 937‑0011富山県魚津市木下新144

野 口 泉 富山県立雄山高等学校 939‑0680富山県立山町前沢1437‑:

ForeStStructureandOI・batidmitefaunainJapaneseHoI・seChestnutい c"I"sr b加 α)stand

inAinokura、Taira‑mura、ToVamaPrefecture、

TakashiSATO KamiichiHighSchool

Sainokamishin444,Kamiichi‑machi,Toyama930‑()424,Japan

YoshikoHIRAUCHI NiikawamidorinoHighSchool

Kinositashinl44,Uozu‑shi,Toyama937−0011,Japan

IzumiNOGUCHI

OyamaHighSchool

Maezawal437‑l,Tateyama‑machi,Toyama939‑0680,Japan

ThefbreststrucmreandoribatidmitefaunainaJapaneseHorseChestnut似esc"/"s r"""αrαBlumestandinAinokura,Tairamura,ToyamaPrefecmre,werelnvestigatedin 2000・Thequadrate(30×30㎡)wasplacedinanA卿76m αstandonasteepslope 廿omMt・Takambo,locatedin460mabovesealevel・Thedominantspeciesinthestand was4畝r6加如α(648㎡/hainBA;basalarea),fbllowedbyKn/Qpα"αxplc〃s(lL4

㎡/hainBA)AinokurastandwassimilartoHirasawastandinUozu‑shi,because Morishita'ssimilarityindexCbetweenthesesatandsshowed0.633Thedensityof 4"6ara100hawaslowerthanthatofFJg"scl"αra1nseveralbeechfbrestsof ToyamaPrefecmre・ThecanopyareaofAr"γ〃"αwas0.78ha/haanditoccupied 64%oftotalcanopyarea(l22ha/ha)ThedistributionofindividualsofA〃"b加ara andotherlowerlayertreeswererandominthel6method,ForestHoorwerecovered withevergreenshrubssuchasCa版e"/αノ〃o"Icavar・火c"脚be"gandA"czイ6αノo"zca varγeα"sTwosamplesofexaminedsoilsrevealed789oribatidmitesthatwereclas sifledinto50specles・TheoribatidmitefaunalnaJapaneseChesmutfbrestof AinokurawerehighlysimilartothatinaJapaneseChestnutfbrestofHirasawa.

(3)

佐 藤 卓 ・ 平 内 好 子 ・ 野 口 泉

Keywords:4 c"/"s/ 6j" α,fbreststrucmre,oribatidmiteねuna,Ainokura キーワード:トチノキ,森林構造,ササラダニ相,相倉

は じ め に

富山県五箇山地方の集落の背後には雪持ち林と呼ば れる雪崩から集落を護る林が残されている。この雪持 ち林の多くは集落の共同所有地となっており,伐採が 禁止されているので,自然林の様相を呈している。代 表的な樹種はブナ,トチノキ,ケヤキ,ミズナラであ る。この中のトチノキが作る大型の種子は,大量のデ ンプンを含むことから栃餅として加工され,昔から食 用に利用されてきた。とくに飢鰹の時には重要な食料

となった。

平村の雪持ち林の調査は平村によって行われ,1987 年に「雪持林(なだれ防止林)の概要調査」(平村雪 持林調査委員会,1987)が報告されている。この中で,

相倉雪持ち林を含む12ヶ所の雪持ち林について,どの ような樹木が多く見られるかを紹介している。

相倉集落の背後にあるトチノキ林は,典型的な雪持 ち林で,どのような森林構造を持ち,どのような土壌 動物と共存しているのかを明らかにすることを目的に

この調査を行った。

また,魚津市平沢集落の背後にも防雪林(片貝郷土 史編墓委員会,1997)として保護されてきたトチノキ 林(以後,平沢林分とする)(松村ら,1998)がある。

この相倉トチノキ林と平沢林分の森林構造と土壌動物 相を比較し,相倉トチノキ林の特徴を明らかにしたい。

調査地点および調査方法

平村相倉は富山県の南西部を流れる庄川左岸に位置 し,高坪山から派生する斜面が,地滑り等で台地状に なった所に世界遺産にも登録されている合掌造り集落 と田畑がある。集落の建物を護るため,集落の背後山 側の斜面のブナやトチノキを主とする林は雪持ち林 (禁伐林)とされてきた。この林は昭和27年に保安林 指定,そして昭和40年になだれ防止禁伐林指定がなさ れてきた(平村雪持林調査委員会,1987)。相倉雪持 ち林の内,標高の低い集落に隣接する林はトチノキの 林で,その上部にブナ林が成立している。

そこで,相倉集落に隣接しているトチノキ林分に30 m×30mの方形区を設けた(図l)。調査区の斜面方向 は南向き斜面で,斜度は15.から20..地表面は厚い腐 植土に被われている部分と,直径約1mの篠が露出し ている部分がある。

森林構造の調査は2000年7月22日に実施し,樹高2m

図 1 平 村 相 倉 ト チ ノ キ 林 の 調 査 地 点

(国土地理院発行25万分の1「上梨」を使用)

以上の樹木について種名,位置(方形区内のXY座標),

胸高直径,樹高(目測),樹冠の大きさ(目測による 長径と短径)を記録した。

土壌動物を採集するための土壌資料の採取は,拾取 り法(青木,1978)によった。すなわち,林床に約3 m四方の方形区を設定し,その枠内において土壌とと

もに落葉・落枝・落果・朽木・コケなどを拾い集めて ほぼ2リットルとし,これをl資料とした。資料はそ の日のうちに大型ツルグレン装置に入れ,60W電球を 72時間照射して土壌動物を80%エタノール中に分離 抽出した。抽出後,ササラダニ類についてのみホイヤー 氏液で集合プレパラートを作成し,成虫のみ種のレベ ルで分類・同定し,成体のみ個体数の算定を行った。

結 果 及 び 考 察 1 ト チ ノ キ 林 の 森 林 構 造

平村相倉のトチノキ林の林冠を構成する樹木はトチ ノキ,ケヤキ,ハリギリ,サワグルミの4種であった。

平沢林分の林冠構成種とほぼ同じだが,平沢林分のイ タヤカエデのかわりに,相倉ではハリギリが入ってい る点が異なっていた。

相倉トチノキ林の基礎データを表lに示した。樹高 2m以上の樹木の密度は567本/haで,平沢林分(365本

(4)

1990),コナラ・アカマツ林(35〜7.5;野外教材研究 委員会,1987)に比べても高いことから,トチノキ林 は県内で最も樹木の種類の多い林分の1つであると考

えられた。

森林構造の基礎データを表2に示した。この林分で 最も出現個体数の多い種はトチノキで全体の20%を占 めていた。次に多い種はそれぞれ全体の14%を占める ヤマハハソとユキツバキであった。特に常緑樹のユキ ツバキの密度が大きいことが,この林の特徴の1つで,

平沢林分と異なる点である。

基底面積を比較すると,トチノキが最も多く648m /haで全体の721%を占めた。全基底面積に対する割

合は平沢林分の値(831%)より小さな値であった。

/ha)より多いが,富山県内のブナ林(1300〜4900/ha 佐藤・松村,1997,野外教材研究委員会,1988,1997)

に比べてかなり低い密度であった。また,照葉樹林帯 のウラジロガシ林(867〜3400/ha;佐藤,1990)やス ダジイ林(1288〜1400/ha;佐藤,1990)に比べてもか なり小さいことがわかった。

種多様性指数の1つであるα値は89で,平沢林分 (125)より小さいが,ブナ林(α値=24〜4.8;佐藤。

松村,1997)より高く,ミズナラ林(48〜102;野外 教材研究委員会,1988)の最大値に近いことから,冷 温帯広葉樹林の中では,種類が豊富な林であると判断 さ れ た 。 ま た , 照 葉 樹 林 帯 の ウ ラ ジ ロ ガ シ 林 (1.2〜44;佐藤,1990)やスダジイ林(23〜43;佐藤

表 1 平 村 相 倉 の ト チ ノ キ 林 の 概 要

嚇箭謡;縦,…紬…婦紬

LI‑LI/、1I

調 査 林 分

8 9 9 ト チ ノ キ 6 4 . 8 ハ リ ギ リ l L 4 今 回 調 査 平村相倉200046090056? 178.§

イ タ ヤ カエデ ツ ル ア ジ サ ィ

26松村ら(1998)

魚津市平沢 99735020003652412.539.6トチノキ32,9

0.9(DBH≧45cm)小川・斎藤(199排 京都府芦生 98562020001856‐543トチノキ52.3

表2平村相倉トチノキ林の基礎データ

胸 高 直 径 最大値(cⅢ〉

樹 高 最大値(、)

基 底 面 積 樹 冠 面 積 密度

種 名 N/ha ㎡/ha%ha/ha トチノキ

ヤ マ ハ ハ ソ ユ キ ツ バ キ ウ リ ノ キ クサギ ツ リ バ ナ ケ ヤ キ サワグルミ タ ラ ノ キ メ グ ス リ ノ キ エ ノ キ

オ オ バ ク ロ モ ジ クマシデ サ ン シ ョ ウ ハリギリ

ミズキ キ ハ ダ

●川坐RJ民﹄9台貝J・〃宝nム川哉貝﹄COoム反J民﹄9ムnU9白兵J︑ノ臼Don/︺︑ノ臼onク臼

巳■n〃白︑●白QJ

3222

︿唯一眠醒︶︵野ログF坪一︵牢﹀二へ唖﹀|︵エニグα望一一︽誰印﹃ロー師一△﹃00000巳一・ヨ■いいいい■|一睡︶一幅﹀︵辛口ログ﹄|和ロ︒r■■︵津守■串︶︵津垂亙皿﹈|︿牢︶毎︽叩︶一歩︾誰︾︶︵蝿毛誌︶︽器Ⅳ一口|呼一一晶母幸距一P︑■■■■●■■血■■■b■aeQJQJ︲川註9白リムRJハ︑﹀︿ⅢUQJハuU11qムO一J・11.川哉11り白.川設ハⅡUP︑﹀1111

局J1ハⅡ︺ハⅡUハmUn叩UnⅡU○○のノ﹈ハⅢU○︑UハⅡUnⅧU︑Ⅱ︺ハⅡU4刈天八ⅡUハⅡ﹀●■■●■■●■色●︒■■●●■①40000093000000100 11nU11nUnUnU︵uJ仰0nU舟41nUnUnUnUウーnUnU●■■固■●■■①●吾︑●○F①甲9白nUnUnUnUnUnU9JnUnU︵nUnUnUnU○白nUnU11

0.78 0.01 0.02 0.00 0.01 0.01 0.11 0.07 0.01 0.05 0.00 0.00 0.00 0.00 0.14 0.00 0.00

川孟7−貝ぴ⑪0RURu7−nMURUqム吾11QUQJnU兵JqIjq白甲●■●■●●■■①●巳●■●●申星川壮︿ⅡUJILハⅡUハⅡUハⅡU︵xU貝U︵ⅡU4刈五︿ⅡUハⅡvハⅡU︵川U剣11ハⅡU︿川U

勺肌叩肌叩●△0000.●4一息4一・編世n●白一⑫合一曙/﹈噂/﹄︒︑叩!・宅....●1⁝.︲︲︲︲叩一・・●●●●●巳一・︑●●●●●坐急●●●●●一⁝......↑11ワーワー4牡川歌川孟︵リムqムリム︵ソ﹈11111111111111

合 計 56489.831001.2210選

(5)

佐 藤 卓 ・ 平 内 好 子 ・ 野 口 泉

表 3 胸 高 直 径 階 級 別 分 布

胸高直径階級(c、)

4 0 1 3 0 1 2 0 1 1 0 1 0 0 9 0 8 0 7 0 6 0 5 0 4 0 3 0 2 0 1 0 種名一l49−l39−l29−ll9−lO9−99−89−79−69−59−49−39−29−19

0

− 9 合 計 トチノキ

ケ ヤ キ サワグルミ ハリギリ メ グ ス リ ノ キ ヤ マ ハ ハ ソ ユ キ ツ バ キ ウ リ ノ キ ツ リ バ ナ クサギ タ ラ ノ キ そ の 他

1 1 4 1

1

順眠りムリムー1︐ムワーワー44144︽j49gRU

合 計 l O l l l l O 4 1 0 0 1 3 7 屍

表 4 樹 高 階 級 分 布

「可 階 級 ( 、 )

2 4 2 2

種 名 − 2 3 − 2 :

2 0 1 8 1 6 1 4 1 2

− 1 9 − 1 7 − 1 5 − 1 3 − 1 1 10

− 9

4

− Q

U

ワ●●ロⅡ 声nU

合計 ト チ ノ キ

ケ ヤ キ サ ワ グ ル ミ ハリギリ メ グ ス リ ノ キ ヤ マ ハ ハ ソ ユ キ ツ バ キ

ウ リ ノ キ ツ リ バ ナ ク サ ギ タ ラ ノ キ そ の 他

Ⅸ22127744426

1 1

合 計 5 6 0 0 0 0 0 1 1 1 5 2 1 5 :

次いで多いのはハリギリ(114㎡/ha,127%),そして ケヤキ(9.8㎡/ha,109%)であった。全基底面積に対 する割合が10%越える樹木は,平沢林分ではトチノキ だけであったが,相倉林分では3種もあり林冠木の多 様性が高いことが明らかになった。相倉林分の全基底 面積は89.9㎡/haで,平沢林分(39.6㎡/ha)の2倍以 上大きな値であった。この値は県内のブナ林(326〜

60.0㎡/haラ佐藤ら,1995,佐藤・松村,1997,野外教 材研究委員会,1988,1997)の値より大きいが,ウラ ジロガシ林(520〜942㎡/ha;野外教材研究委員会、

1988,佐藤,1990)の上限値に近く,スダジイ林(lOa 5〜105.8㎡/haラ佐藤,1990)に比べてやや小さな値で あった。

種ごとの基底面積を基に相倉と平沢の類似度を計算 するとC入=0.633と大きな値を示し,よく似ている こ と が 示 さ れ た 。

トチノキの樹冠面積は0.78ha/haで最も大きく,全 体の644%を占めた。この値は平沢林分(l34ha/ha)

の60%程しかないが,全体に占める割合はほぼ同じ値 であった。次いで多いのはハリギリのOl4ha/haであっ た。全個体の樹冠面積はl22ha/haで,平沢林分 (202ha/ha)より小さく,ブナ林(153〜244ha/haぅ佐 藤ら,1995,佐藤・松村,1997,野外教材研究委員会:

1988,1997)やウラジロガシ林(224〜5.77ha/ha;野 外教材研究委員会,1988),スダジイ林(L96〜220ha/

ha;佐藤,1990)などよりも小さい値であった。

胸高直径9cm以下から149cmまで,10cm刻みに階 級 を 取 っ た 胸 高 直 径 階 級 分 布 を 表 3 に 示 し た 。 調 査 区 内に出現したトチノキの胸高直径の最大値は144cmで.

その次は100〜109cm階級に1本見られ,99cm〜50cm までの間にほぼ連続して分布し,49cm以下には全く 分布していなかった。樹高2m未満の林床植物の中に,

トチノキは分布しているが,胸高直径49cm以下の若 木が分布していないことからトチノキ林の更新がスムー ズに行われていないと考えられる。小さな胸高直径階 級 の 個 体 か ら 大 直 径 の 個 体 ま で , 連 続 し て い る こ と か

(6)

とを示し,大樹の根元周辺が雪崩による被害が少ない ことや,土砂の崩壊も少ないことが正の相関を示した と考えられた(松村ら,1998)。しかし,相倉林分の 小方形区では負の相関(R6<‑05)を示すことから,

幹の近くには他の樹木が少ないことを示した。これは 光条件の良いところに樹木が分布するという一般的な 解釈がなされる。そして,この相倉林分では雪崩が頻 発していないことが推定された。この林分の上部はブ ナ林が広がっており,この林分が雪崩防止の機能を十 分に果たしているためと考えられる。

3221︲1

樹高

−1

0 1 0 2 0 3 0 4 0 5 0 6 0 11

図2平村相倉トチノキ林の樹高分布

2.林床植物

以下に調査区内出現した高さ2m未満の林床植物の 優占度・群度と名前を示す。

3.3:ユキツバキ;

22:ハナイカダ;

Ll:ヒメアオキ,フタリシズカ;

+:イラクサ,ウマノミツバ,ウリノキ,オオバク ロモジ,キンミズヒキ,クサアジサイ,オオバノヤエ ムグラ,クワ,ケナシヤブデマリ,ケヤキ,コマユミ,

サンショウ,ジュウモンジシダ,タチドコロ,チシマ ザサ,チジミザサ,ツリバナ,ツルアリドウシ,トチ ノキ,トリアシショウマ,ニシノホンモンジスゲ,ニ ワトコ,ヌスビトハギ,ノブキ,ハイイヌガヤ,ヒカ ゲノイノコヅチ,ブナ,フユツタ,ミツバアケビ,ミ ヤマカンスゲ,ヤチダモ,ヤブコウジ,ヤマハハソ,

ヤマブキ,ユキザサ

合計40種が認められ,全体の植被率は80%であった。

種類数は平沢林分(37種)とほとんど変わらなかった。

平沢林分と異なる点は,草本よりも木本の植被率が高 く,特にユキツバキやヒメアオキなどの常緑低木の優 占度が高いことである。平沢林分と共通する種はユキ ツバキなど11種で,その割合は275%であった。相倉 と平沢の林床植物の類似性について計算すると,

Jaccardの共通係数は018,C入=0066で,共に小さ な値を示したことから,類似性が低いことが分かった。

一 壬 ト チ ノ キ

一 鋒 高 木÷ 低 木

Iと

l / 2 5 6 1 / 1 2 8 1 / 6 4 1 / 3 2 1 / 1 6 1 / 8 1 / 4 1 / 2 方 形 区 の 大 き さ

図3平村相倉トチノキ林のトチノキ、高木、低木の 6 の分布

ら更新が行われていると判断された平沢林分とは異なっ ていた。トチノキ以外の林冠構成種の階級別分布は不 連続であった。

樹高階級分布を表4に示した。林冠を構成するトチ ノキの樹高の最大値は24mで,19〜24mの樹雲高階級 にすべての個体が含まれており,低木層には分布して いなかった。他の林冠を構成するケヤキやサワグルミ,

ハリギリの樹高階級分布も不連続であった。トチノキ と他の植物について,樹高順に並べた樹高分布を図2 に示した。この林分が3層構造をしていることが推定 された。第1層は林冠層で,トチノキ,サワグルミ,

ケヤキ,ハリギリの4種から構成され,樹高20〜24m であった。第2層は樹高35〜8mで,この層の最大値

と第1層の下限値の間には12mも差があり,大きな空 間があいていた。第3層と第2層の区別は明瞭ではな

く,連続した低木層と考えることもできる。

調査区内のトチノキ,林冠木,低木(樹高く9m)

の分布様式を16法で解析した結果を図3に示した。

トチノキ,林冠木,低木は共にほぼランダム分布を示 した。平沢林分ではトチノキはランダム分布であった が,その他の樹木は集中分布を示した。また,トチノ キとその他の樹木の分布相関を調べた結果,平沢林分 の小方形区では正の相関(R6>0.7)を示すことから.

トチノキの根元近くには高い頻度で低木が分布するこ

3 . サ サ ラ ダ ニ 類 に つ い て

2000年7月22日,相倉トチノキ林の2資料から得ら れたササラダニ類は50種,789個体であった(表5)。

l資料(約2リットル)当たり平均375種という値は,

県内山地ブナ林の平均種数51(平内,1997)と比べる と低い値であるが,魚津市平沢のトチノキ林の平均種 数34種(松村ほか,1998)とは非常に良く似た値であ る。相倉トチノキ林は平沢に比べて幾分土壌層は厚い が,斜面の岩れき地に立地しているという点では一致

(7)

佐 藤 卓 ・ 平 内 好 子 ・ 野 口 泉

表5平村相倉トチノキ林のササラダニ類

している。出現した種数だけでなく,個々の種の現れ 方にも共通点がみられる。相倉トチノキ林に出現した 50種のうち,30種は平沢トチノキ林との共通種であり,

かなり高い類似性を示す値である。また,個体数は少 ないが,県内では平沢トチノキ林にのみ出現していた イレコダニの一種PhthiracarusspHとアマギッノバ ネダニが今回,相倉トチノキ林からも出現したことは

興味深い。また,ズキンイレコダニ,ジャワイレコダ ニ,ミナミリキシダニなど暖地性の種を含むことも両 トチノキ林のササラダニ相に共通した特徴である。し か し , 平 沢 ト チ ノ キ 林 の 優 占 種 で あ っ た ニ セ イ レ コ ダ ニとフクロフリソデダニは相倉トチノキ林には全く出 現せず,相倉トチノキ林の優占種カコイクワガタダニ とイチモンジダニのうち,イチモンジダニは平沢トチ

Poec"oc/7"7on/ussp/c/ger(BERLESE,1910)イナヅマダルマヒワダニ EC/7yPoch"70"ノリsmagnusAOK' 1977オオナガヒワダニ HyPocht/7on/usrum畑SC・LKOCH,1836ヒワダニ

Pht/7/砲carusc/emensAOKl,1963ツルギイレコダニ P h t " 伯 c a r u s s p H イ レ コ ダ ニ s p ・ H A"pacarUs仏加pacarusノsr"Cu/us(C・LKOCH,1836)アラメイレコダニ Ca/yptop/7thノノacarusm"旧fusAOKl,1980ズキンイレコダニ Euph的"acarusわveo/amsAOK''1980オキイレコダニ P/onaphacaノuskugoh/(AOK' 1959)クゴウイレコダニ Rhysot""aardua(C、L、KOCH,1841)ヒメヘソイレコダニ ノ、do前"aノavens/s(SELLNlCK,1923)ジヤワイレコダ二 Ma/aconofhruspygmaeusAOKl,1969チビコナダニモドキ Nanhermann/ae/eganfu/aBERLESE,1913ツキノワダニ Be/baba的aiaFUJlTAetFUJlKAWA,1986エゾヒメジュズダニ EP/ぴamaeus妬g"/sENAMletFUJlKAWA,1989ワタゲジュズダニ 7 ectodamaeusarmafusAOKl、1984ヨロイジュズダニ Ce eLノsce e"b"刀/s(NlCOLET,1855)マンジユウダニ

D a m a e o ノ ノ d a e s p . ホ ソ ク モ ス ケ ダ ニ 科 s p E伯mobe/ba/apo、ノcaAOKl,1959ヤマトクモスケダニ 日 ℃ m u / " s a v e 、 / た r B E R L E S E 1 9 1 3 イ チ モ ン ジ ダ ニ Cu/"" /at"denfataAOKl,1965ミツバマルタマゴダニ GLノsfav/am/cノ℃cep/7a/a(NlCOLET,1855)イトノコダニ

Aus"ceratopp/aノapo、/caAOKl,1984ミナミリキシダニ Ce砲fopp/ab巾j/ノs(HERMANN,1804)リキシダニ Ceノatopp/a ad"der順fa(HALl‑ER,1882)ヒメリキシダニ Xe、ノルsfegeoc佃nus(HERMANN,1804)ザラタマゴダニ Caノabodespen/Cu/amsAOKl,1970コガタイブシダニ DC//che尼maeuse/ongarusAOK''1967ヒョウタンイカダニ Mega/ofoce eus/apo、/cusAOKl,1965ヤマトオオイカダニ 7bcfocepheuse/egansOHKUBO,1981カコイクワガタダニ 7 ecrocephe"sve/ams(MlCHAEL,1880)

Cyc/opp/aノGsfafa(AOK'1963)

Med/oxyoppノanagoyaeOHKUBO,1991

クワガタダニ ヒロズツブダニ ナゴヤコブツブダニ Mリノ伽pp/a〃u〃anceopp/a)b尼WPec伽a的SUZUKl,1975タモウツブダニ F/agmsuciobe/banag"7afa(AOK''1961)ナギナタマドダニ S【ノcfobe/be//a/afaCHlNONE,2003マドアキマドダニ Sucfobe/beノノa伯"Cu/ataCHlNONE,2003アミメタワシマドダニ Sucfobe/be"aso/"aCHlNONE,2003ナミマドダニ

Sucfobe/b/daesp、1 マドダニ科sp、了

Sucfobe/bノdaesp、2 マドダニ科sp、2

0叩od/daesp, マブカダニ科sp

Sche/o"bafes/a伽es(C、L・KOCH,1841)コンボウオトヒメダニ X y / o b a " d a e s p 、 2 シ ダ レ コ ソ デ ダ 二 s p ・ f X ) / / o b a " d a e s p , 3 シ ダ レ コ ソ デ ダ 二 s p ・ 〔

ChamobafesgemノnusFUJlKAWA,1997カサネマキバネダニ Eupe/opsacmmノCs(HERMANN,1804)エンマダニ ノzuachはe"a〃刀pe泥cta(SUZUKI,1972)アマギツノバネダニ Peノgaノリmnamfermed/aAOKI,1963アラゲフリソデダニ Peノpa/umnamagnノpoノacap"/a"sAOK' 1961ムチフリソデダニ mchoqa〃mnanノppon/Ca(AOK''1966)チビゲフリソデダニ

種数 個体数計

個体数 資料

No.1

5116132

1

4

資料 No.2

f盲

、胃

28

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78

蒋耕鉦 トチ

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青木(199〔

による出瑞 環境区

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(8)

ノキ林には全く出現しないなど,林のササラダニ相を 数量的に特徴づける種は林によってかなり違いがある ようである。

青木(1995)は環境選択の範囲が比較的はっきりし ていて環境診断に使えそうなササラダニ類100種を環 境区分毎にリストアップし,それらを5段階(A:自然 林や神社林B:自然林から二次林C:二次林D:様々 な環境に幅広くE:人工的環境を主体に生息する種)

に分けて点数化(A5点,B4点,C3点,D2点,E1点)

し,環境の「自然性」を評価する方法を考えた。相倉 トチノキ林から出現したササラダニ類を用いてこの方 法で「自然性」の評価を試みた。A群〜E群の出現状 況は表5のとおりである。したがって,以下の計算に より評価点は3.1となった。

5×5+6×4+6×3+8×2+2×l

評 価 点 = = 3 1 5+6+6+8+2

評価点が5に近づくほどその場所の自然性は高く,i に近づくほど自然性が低いことを表すとしているので.

ほぼ中間の値であり,普通の二次林ということになる。

また,この評価点においても平沢トチノキ林のササラ ダニ類で求めた評価点3.1と全く同じであり,両トチ ノキ林のササラダニ相の高い類似性を示唆するもので あった。

引 用 文 献

青木淳一,1978.打込み法と拾取り法による富士山麓 青木ケ原のササラダニ群集調査.横浜国大環境研 紀要,4(1):l49‑l54

青木淳一,1995.土壌動物を用いた環境診断.自然環 境への影響予測一結果と調査法マニュアル沼田 員編,千葉県環境部環境調整課,l97‑27L 平内好子,1997.5.ブナ林の土壌動物.「富山のブナ

林と生き物たち」ブナ林研究グループ,37‑54 片貝郷土史編纂委員会,1997.片貝郷土史.ppl−748

魚津市立片貝公民館魚津市.

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富山市科学文化センター研究報告,21:15‑21 小川享・斎藤秀樹,1993トチノキ林の種子生産への

投資.京都府大演習林報37:1‑9.

佐藤卓,19 氷見市朝日神社スダジイ林の森林構造 富山県生物学会30:41‑47.

佐藤卓・平内好子・松村勉,1995.瀬戸蔵山ブナ林の 森林構造と土壌動物.富山市科学文化センター研 究報告18:19‑29.

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の概要調査.ppl‑56・平村役場.平村

野外教材研究委員会,1987.富山県の二次林について 生物部会報10:23‑4L

野外教材研究委員会,1988.大辻山周辺の森林群落に ついて.生物部会報11:20‑39.

野外教材研究委員会,1997.有峰のブナ林について.

生物部会報20:24‑28

参照

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