論文内容要旨
論文題名
Circulating oxidized LDL increased in patients with acute myocardial infarction is accompanied by heavily modified HDL.
(急性心筋梗塞患者で増加する血中酸化
LDL
は高度に変性したHDL
を 伴う)
専攻科目名 生物化学 氏名 澤田直子
血中酸化低密度リポタンパク質(
in vivo
酸化LDL)はアテローム性動
脈硬化症の発症・進展に関与することが知られている。酸化LDL
は特異的 抗体を用いて検出されるが、通常血中に僅かしか存在せず単離が困難で、その性状はほとんど明らかにされてこなかった。一方、抗動脈硬化作用、
抗
LDL
酸化能を有する高密度リポタンパク質(HDL)が、近年、酸化変性 を受けた酸化HDL
としてLDL
同様に動脈硬化症リスク因子となる可能性 が指摘されている。本研究は、ヒト血中から酸化LDL
を分離し、動脈硬化 症患者で増加する酸化LDL
の特徴を明らかにすることを目的とした。健常者血漿と急性心筋梗塞(AMI)患者カテーテル治療残余血液由来の
LDL
画分を陰イオン交換カラムにかけ、陰性荷電LDL(LDL(-))とカラム
非結合(L1)画分を得た。ELISA
法にて抗酸化PC
モノクローナル抗体(DLH3)に抗原性を示す
in vivo
酸化LDL
がLDL(-)画分に濃縮されていることを
確認し、その濃度は健常者よりAMI
患者の方が約3
倍高かった。一方、L1
画分にも
in vivo
酸化LDL
のピークを認め、血中に少なくとも2
種類の性質の異なる酸化
LDL
が共存することが示唆された。ウェスタンブロット法 を用いて、健常者、AMI患者ともにLDL(-)のみ apoB
タンパク質の酸化PC
修飾を検出した。しかしapoB
のアガロースゲル電気泳動易動度は、L1とLDL(-)で差が小さく、健常者由来では 2
つの画分間で有意差がなかった。一方、
LDL(-)画分には、 apoB
に加えて易動度の大きいもう一つのバンドが含まれていた。
LDL(-)画分中に、すべてのリシン残基がアクロレイン修飾
を受けた酸化apoA1
が同定され、また透過型電子顕微鏡で多数のHDL
様サ イズの粒子の共存を確認した。LDL(-)画分中のin vivo
酸化LDL
はDLH3
を用いてアフィニティー抽出し、そのPC
分子種とapoB
酸化修飾アミノ酸 残基をLC-MS/MS
で解析した。その結果、in vivo
酸化LDL
のPC
分子種の 大部分が未酸化PC
であり、遊離型酸化PC
やlysoPC
は僅かであった。ま た、in vivo
酸化LDL
のapoB
リシン残基は酸化apoA1
と異なりアクロレイン修飾の頻度は低かった。
以上の結果から、血中を循環する