修士論文説明書
予測の確信度を考慮した
Convolutional neural networkによる自動運転行動学習
Learning Driving Control using Stochastic Convolutional Neural Network
5113E010
出来寛祥指導教員 尾形 哲也 教授
DEKI Hiroyoshi Prof. OGATA Tetsuya
概要: 近年,自動車関連各社による自動運転技術獲得が目指されている.そして現状の運転行動モデルは作り込み中心の実装 が主流である.しかし,作り込み制御を行うためには周囲環境の取得,分析,計画立案の機能を一つずつ実装しなければなら ない問題がある.それを解決できるモデルとして,Neural Networkを用いて車載カメラ画像からステアリングなどの運転行動 に必要な情報を生成するEnd-to-end-learnigという手法による学習モデルが提案されている[1].この手法は手本となる人の運 転履歴から運転行動モデルを自己組織的に獲得するので作り込みを必要としない.しかし,①ラジコンカーによる研究である という問題,②学習によって獲得された運転モデルにとって予測困難な状況を知ることができないという課題がある.そこで 本研究ではそこで本研究では①について,実際の自動車での運転行動学習を行うことで評価し,課題②を分散表現を用いて予 測の確信度を学習モデルに推測させる[2]ことで解決することを試みた.学習実験を行ったところEnd-to-end-learningによって 実車走行における画像からの操作情報の生成を達成した.さらに獲得された分散表現を分析することで,特定の運転状況でモ デルの予測確信度が高くなることが観察された.
キーワード:深層学習,自動運転
Keywords: Deep learning,Automatic driving
⒈はじめに
近年,自動運転技術が注目されている.現状 の研究は作り込み制御による実装が主流である.
しかし作り込み制御には周囲環境の取得,オブ ジェクトの認識,行動計画の立案,自動車制御 と多くの機能を1つずつ実装する必要がある.
一方で,画像識別,自然言語,音声処理など の分野で従来研究の結果を大きく塗り替え,
Deep learningという手法が大変注目を浴びて いる.前述の課題を解決できる手法としてYann LeCunらによるラジコンカーの車載カメラ映像 から直接ハンドルをリアルタイムに生成すると いう研究[1]が挙げられる.
こういった学習は,データに人間の手による 変更を加えずに学習し,さらに車に直接適用で きるデータを生成するため,End-to-end- learningと呼ばれる.End-to-end-learning は環 境や自動車の変化に対して作り込みを必要とし ないフレームワークであり,前述の問題点を解 決することができる.しかし,Yann LeCunnら の研究では,①実車での実験でないという問題 点と,②学習モデルにとって予測しやすい場面 しにくい場面を把握していないという問題点が ある.
2.アプローチ
本論文では,深層学習モデルの一種である Convolutional neural network(CNN)[3]を用い
て,実自動車での運転行動学習を行い,予測に 加えてその確信度を同時に出力し可視化するこ とで獲得された運転行動モデルの予測困難な状 況について考慮した研究を行った.
図1. Stochastic Convolutional Neural Networkモデル
ネットワークの予測確信度に関しては村田ら [2]によるノイズを考慮した学習モデルを参考に した.このモデルは予測データをガウス分布に 従った平均と分散を持つ系として学習するモデ ルである.本研究ではCNNにこの手法を適用し た.それにより Dave project ではできなかっ た予測の確信度という視点での自動運転行動学 習を行う.分散表現を獲得することは,Neural networkが出力するデータの分散を分析するこ とで,その予測が確信を持って生成されたもの なのか,分散を大きくするように学習した結果,
つまり,確信度の低い状態の生成結果なのかを 判断することができると考えられる.
1
3.自動運転行動学習実験
本研究では,一般社団法人人間生活工学研究セ ンター(HQL)の運転行動データベースを用いてい る.
実験には車載カメラ画像と速度情報を入力し,
ハンドルの操舵角度とアクセル踏み込み量,ブ レーキ踏み込み量と各モーダルの分散を予測す る.入力画像データは247枚,34秒分の画像情 報を入力する.
図2.入力画像
縦横の次元はそれぞれ25px,40pxである.走 行路はハンドルを左右40度程度まで回す直線に 近い道路についてのデータとなっている.最終 的には入力画像と入力操作情報から次の時間の 操作情報を出力させた.
また出力結果の精度評価方法について.ハン ドルをX軸,アクセルとブレーキの差をY軸にとっ た平面に正解のデータと生成されたデータをプ ロットし自動運転車の状態とする.ハンドル位 置の左右,アクセルを踏んでいるかブレーキを 踏んでいるか,つまり加速しているか減速して いるかを当てることで評価した.
4.実験結果
分散なしのネットワークにおいては,他者走 行のデータであっても自動車のアクセルブレー キ,ハンドル角操舵角度の生成を達成した.分 散ありのネットワークを用いて獲得された分散 表現に次のような傾向が観察された.
ハンドルがニュートラルの状態のときハンド ルとブレーキの分散が小さくなった,つまり確 信を持って生成していることがわかった.また,
ハンドルが切られた状態で
静止していたとしても,分散は小さくはならな いという傾向があった.
精度評価については表1の様になった.
表1.自動運転車状態評価
5.考察
出力された分散を分析したところ,ステアリ ングがニュートラルの状態で動いていない時に ステアリングとブレーキの分散値が小さくなっ ていることが確認された.一方,ステアリング の値があまり変動しないが切っている状態の場 合,分散値は小さくならなかった.これは、学 習モデルが車が曲がっている状態と直進してい る状態を分散によって把握できるモデルを獲得 したと言える.
5.まとめと展望
本研究では,SCNNモデルを実車での自動運 転行動学習に適用し,End-to-end-learningによっ て,車載カメラ画像とセンサー情報から,直接 運転に必要な情報を生成した.さらに,分散表 現を獲得することで,予測の確信度を考慮し,
特定の運転状況下におけるパターンを可視化し た.今後の展望として,シミュレータを用いた 生成を行い分析することでより実車走行に近い 状態での分析を行うことが可能だと考えられる.
参考文献
[1] Net-Scale Technologies, Inc. Autonomous Off-Road Vehicle Control Using End-to-End Learning FINAL TECHNICAL REPORT Version: 1.2 July 30, 2004
[2] Shingo Murata, Jun Namikawa, Hiroaki Arie, Shigeki Sugano, Jun Tani, Learning to Reproduce Fluctuating Time Series by Inferring Their Time-dependent Stochastic Properties:
Application in Robot Learning via Tutoring, Autonomous Mental Development 2013
[3]Alex Krizhevsky, Ilya Sutskever,Geoffrey E. Hinton ImageNet Classification with Deep Convolutional
Neural Networks, Advances in Neural Information Processing Systems 25 (NIPS 2012)
2
Axis 未学習(%) 既学習(%)
accel,brake 71.9 94.3
CNN handle 97.8 95.0
both 70.1 89.3
accel,brake 99.3
SCNN handle 90.8
both 90.1