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症例

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Academic year: 2021

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厚生労働行政推進調査事業費補助金(難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業))

(総合)分担研究報告書

プリオン病のサーベイランスと感染予防に関する調査研究

RT-QUIC 法偽陽性を呈し、脳生検にてシヌクレイノパチーと考えられた非プリオン病

症例

研究分担者:道勇 学 愛知医科大学医学部 神経内科学 研究協力者:安藤宏明 愛知医科大学医学部 神経内科学 福岡敬晃 愛知医科大学医学部 神経内科学 吉田真理 愛知医科大学 加齢医科学研究所 間所佑太 名古屋市立大学医学部 神経内科学 松川則之 名古屋市立大学医学部 神経内科学

佐藤克也 長崎大学大学院医歯薬総合研究科運動障害リハビリテーショ ン分野

北本哲之 東北大学医学系研究科病態神経学分野

研究要旨(RT-QUIC法偽陽性を呈し、脳生検にてシヌクレイノパチーと考えられた非 プリオン病症例)

Creutzfeldt-Jakob病(CJD)の診断において、脳脊髄液の異常型プリオン蛋白高感度 増幅法であるReal-time quaking-induced conversion(RT-QUIC)法が開発され、CJD 診断に活用されている。非常に特異度が高い検査と考えられているが、他方、近年の検 査実施症例が増えていく過程で、痙攣重積などで偽陽性を示したとされる症例なども報 告されるようになってきている。我々は、RT-QUIC法が陽性だったものの脳生検で異常 プリオン蛋白が検出されず、多数のシヌクレイン陽性細胞を認めシヌクレイノパチーと 考えられた症例を経験した。プリオン病の診断は、RT-QUIC法が陽性であっても臨床情 報を総合して慎重に行う必要があり、可及的に脳生検や剖検を実施して確診を得るべき である。

A.研究目的(プリオン病の診断)

Creutzfeldt-Jakob 病(CJD)の診断にお いて、脳脊髄液の異常型プリオン蛋白高感度 増 幅 法 で あ る Real-time quaking-induced conversion(RT-QUIC)法が開発され、CJD 診断に活用されている。非常に特異度が高い 検査と考えられているが、他方、近年の検査 実施症例が増えていく過程において、痙攣重 積などで偽陽性を示したとされる症例なども 報告されるようになってきている。今回、我々

は RT-QUIC法が陽性だったものの、脳生検 で異常プリオン蛋白が検出されず、多数のシ ヌクレイン陽性細胞を認めシヌクレイノパチ ーと考えられた症例を経験したので報告する。

B.研究方法

症例は39歳女性。某年、職場のストレス でうつ症状となり、同時期に四肢振戦が出現 した。その4か月後に歩行困難、5か月後に 食事摂取困難、7月後に寝たきり、8か月後

(2)

126 には全失語となった。頭部MRI拡散強調画

像で辺縁系、基底核、脳幹などに広範な異常 高信号域と左辺縁系を含む左右非対称性萎縮 を認めた。抗NMDA受容体抗体、抗LGI-1 抗体を含め検索した抗神経抗体は全て陰性で あった。脳脊髄液検査では、総Tau蛋白陽性、

14-3-3蛋白陰性で、RT-QUIC法は陽性であ った。プリオン遺伝子解析ではコドン129は Met/Met、コドン219はGlu/Gluで、変異は 認めなかった。この時点で確定診断に到らな かったため、家族の同意のもとに脳生検を行 った。

(倫理面への配慮)

家族の同意を得て脳生検を行い、報告の際 は、個人の特定につながる住所、生年月日、

名前を削除した。

C.研究結果

脳生検では、プリオン蛋白の免疫染色は陰 性であり、大脳皮質には多数のシヌクレイン 陽性細胞を認め、シヌクレイノパチーと病理 診断された。これらの病理所見、および本例 の父親が類似の経過で、60歳で死亡している ことから、家族性シヌクレイノパチーやその 類縁疾患が疑われた。発症から2年9か月経 過した現在、寝たきり・無動性無言の状態で 療養型病院にて療養中である。

D.考察

本例は、脳脊髄液 RT-QUIC法が陽性だっ たものの、脳生検で異常プリオン蛋白が検出 されず、多数のシヌクレイン陽性細胞を認め、

シヌクレイノパチーと考えられた。プリオン 病の診断において RT-QUIC 法は非常に特異 度が高い検査と考えられているが、これまで も RT-QUIC 法偽陽性を呈する非プリオン病 症例の報告が散見される。その疾患としては

痙攣重積例が多く、また平成 28 年度に当地 区から報告した FTLD-TDP 症例も偽陽性で あったが、我々の渉猟した範囲内ではシヌク レイノパチーでの報告はなかった。RT-QUIC 法が偽陽性となる機序は未だ不明であり、今 後さらに症例を蓄積し、詳細に検討を加える 必要がある。

E.結論

RT-QUIC 法は陽性であったものの、脳生

検の結果でプリオン病が否定的となり、家族 性が疑われるシヌクレイノパチーの症例を報 告した。プリオン病において RT-QUIC 法は 非常に特異度が高い検査ではあるが、その診 断には、RT-QUIC 法が陽性であっても臨床 情報を総合して慎重に行う必要があり、可及 的に脳生検や剖検を実施して確診を得るべき である。

F.健康危険情報 なし

G.研究発表 1.論文発表

1) Hayashi Y, Iwasaki Y, Takekoshi A, Yoshikura N, Asano T, Mimuro M, Kimura A, Satoh K, Kitamoto T, Yoshida M, Inuzuka T. An autopsy-verified case of FTLD-TDP type A with upper motor neuron- predominant motor neuron disease

mimicking MM2-thalamic-type sporadic Creutzfeldt-Jakob disease.

Prion 10: 492-501, 2016

2) Hayashi Y, Yoshikura N, Takekoshi A, Yamada M, Asano T, Kimura A, Satoh K, Kitamoto T, Inuzuka T. Preserved

(3)

127 regional cerebral blood flow in the occipital cortices, brainstem, and cerebellum of patients with V180I-129M genetic Creutzfeldt-Jakob disease in serial SPECT studies. J Neurol Sci 370: 145-151, 2016

2.学会発表

1) 安藤宏明、丹羽淳一、泉 雅之、中尾直 樹、道勇 学. 発症早期のMRI拡散強調 画像(DWI)で異常を認めなかった孤発性 Creutzfeldt-Jakob 病(sCJD)の1例. 日 本神経感染症学会、 2017年10月13日、

北九州

H.知的財産権の出願・登録状況

(予定を含む。)

1.特許取得 なし

2.実用新案登録 なし

3.その他 なし

(4)

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