《原 著》
入力関数に肺微分曲線を用いた
123I-IMP-Patlak plot 法の検討
――NIMS 法による脳血流量との比較――
伊勢谷 修* 三原 常径* 鈴木 健之** 宮前 達也**
松田 博史***
要旨 123I-IMPを用いた非侵襲的でより簡便な脳血流定量法として Patlak plot 法が臨床応用可能か検
討した.投与された 123I-IMP は,肺にすべて一時的に集積した後,肺動脈血流により洗い出され,中 心循環系に拡散するものと仮定し,脳から肺野全体をカメラ視野内に入れ,ダイナミックデータを収集 した.肺のクリアランス曲線 L(t) を微分した後,CO (心拍出量) で除してプラス成分に変換し,単位時 間当たりに動脈血中に拡散する 123I-IMPトレーサ濃度を求め,これを動脈血時間放射能曲線 A(t) とし た.A(t) と全脳時間放射能曲線 B(t) との間で Patlak plot 解析を行い K1 (全脳血流量 tCBF ml/min) と Vn
(非特異的初期分布容積 ml) を求めた.また,肺に残存するトレーサ量 [Lpeak−L(T)] から,時間 (T) ま
で中心循環系に拡散したトレーサの総量が求まり,これを経時的に行うことで集積曲線が得られる.こ の集積曲線を微分すると,単位時間当たりに中心循環系に拡散するトレーサ量を推定することができ る.これを入力関数指標 I(t) として,Patlak plot 解析を行い一方性流入指標 ki を求め,100 を乗じて脳 血流指標 (IMP-BPI) とした.脳血管障害および神経疾患を有する患者 16 症例を対象とし,同時に施行 した非侵襲的マイクロスフェア法で得られた平均脳血流値 (mCBF) に対して,K1 および IMP-BPI の相 関を求め両者を比較検討した.K1 と mCBF の相関は,r=0.759 (y=0.032x+20.1), ki から求めた IMP- BPI では,r=0.833 (y=2.73x+0.10) となり,両者とも強い相関関係が得られたが IMP-BPI の方が良い 結果となった.以上の結果から,入力側と流入側を同時に測定する 123I-IMP-Patlak plot 法は,簡易的な 入力関数を用いても,非侵襲的な方法として臨床応用が可能であると判断した.
(核医学 40: 163–174, 2003)