わ た し は 、 高 校 生 の 十 六 歳 の 時 に 歌 手 デ ビ ュ ー を し ま し た 。 そ し て 、 テ レ ビ 番 組 の お 仕 事 と と も に タ レ ン ト や 女 優 、 ナ レ ー シ ョ ン や 楽 曲 提 供 、 衣 装 デ ザ イ ン な ど た く さ ん の ジ ャ ン ル の お 仕 事 に ご 縁 が あ り ま し た 。 そ ん な わ た く し 篠 原 と も え も 、 今 年 で 芸 能 生 活 二 十 年 。 ど の 現 場 で も 大 切 なのは言葉の力だなぁと日々感じています。 た く さ ん の お 仕 事 の 中 で も 歌 を 唄 う こ と が 大 好 き な の で す が 、 ラ イ ヴ の 時 は 、「 唄 え て 嬉 し い ! 」 と い う 気 持 ち と 一 緒 に 、 歌 詞 の 景 色 や 物 語 の 追 体 験 を し て い た だ け る よ う 、 言 葉 を 大 切 に 大 切 に 届 け て い ま す 。 タ レ ン ト と し て 番 組 に お 呼 び い た だ い た 際 に は 、 鮮 や か な 言 葉 選 び を 心 が け 、 楽 し く 親 近 感 の あ る ト ー ン で 話 す よ う に し て い ま す 。 女 優 の お 仕 事 は 、 演じる役によって声の音色や呼吸の仕方を変えるお稽古をし、 ナレーショ ン で は 心 に 響 く よ う に 、 テ ン ポ や ト ー ン を 大 事 に 、 聞 き や す く 話 し ま す 。 言葉を手渡しするような感覚です。 衣 装 デ ザ イ ン の お 仕 事 も 、 実 は 言 葉 の 世 界 。 で き あ が っ た 衣 装 に タ イ ト ル を つ け て 、 キ ー ワ ー ド を ス タ ッ フ の み な さ ん と 共 有 し た り 、 デ ザ イ ン 画 に も 、 ま る で お 手 紙 の よ う に メ ッ セ ー ジ を 描 い た り す る こ と も あ り ます。 わ た し は 曲 作 り も す る の で す が 、 人 に 好 み や タ イ プ が あ る よ う に 、 作 詞 を し て い る と 自 分 の 好 み の 言 葉 が た く さ ん 見 つ か り ま す 。 好 き な 言 葉 は 「 輝 く ・ 繋 つな ぐ ・ 物 語 」 な ど 、 声 に 出 す と 心 が ポ ッ と 温 か く な る よ う な 響 き 。 歌 詞 の 場 合 は 言 葉 を 「 音 」 と し て も 楽 し む こ と も あ る の で 、「 キ ラ キ ラ ・ ド キ ド キ ・ ワ ク ワ ク 」 と い う 効 果 音 の よ う な 、 か わ い ら し い 音 色 の言葉も好きです。 「 芸 能 」 と い う 仕 事 は 、 た く さ ん の 人 に メ ッ セ ー ジ を 伝 え る 職 種 。 わ た し の 好 き な 言 葉 を 伝 え 、 誰 か の 心 に 伝 わ り 、 嬉 し い 気 持 ち や 楽 し い 想 い を プ レ ゼ ン ト で き る 。 な ん て 魅 力 的 な お 仕 事 だ ろ う と 思 い な が ら 続 け て きました。 た く さ ん の 人 前 や ス テ ー ジ に 立 つ 時 は 、 毎 回 緊 張 も し ま す が 、 そ ん な 時 に 自 分 自 身 に 語 り か け る 「 お ま じ な い 」 が あ り ま す 。 そ れ は 、「 自 分 ら し く ・ 自 信 を も っ て ・ 自 由 に 」 と い う 、 三 つ の 自 分 。 舞 台 に 立 つ 前 に 、 鏡 の 前 で こ の 言 葉 の 自 分 に な れ る よ う に 心 に 唱 え る の で す 。 自 分 自 身 、 こ の 言 葉 に 何 度 も 励 ま さ れ て 、 い ろ い ろ な お 仕 事 に 挑 戦 す る こ と が で き ま し た 。 言 葉 の 魔 法 は 心 を ほ ぐ し 、 勇 気 が 湧 い て 、「 大 丈 夫 」 を 与 え て く れるんです。 わ た し は 東 京 育 ち な の で す が 、 母 方 は 東 京 都 、 伊 豆 諸 島 最 南 端 の 青 あお ヶ が 島 しま と い う 島 の 出 身 で 、 子 ど も の 頃 か ら 島 言 葉 が 身 近 に あ り ま し た 。 こ の 青 ヶ 島 に は 大 好 き な 言 葉 が あ り ま す 。「 お も う わ よ う 」 と い う 島 言 葉 …… 。 別 れ 際 の 挨 拶 と し て 使 わ れ 、「 島 か ら 離 れ た み な さ ん の こ と を い つ ま で も 想 っ て い ま す 」 と い う 意 味 な ん だ そ う で す 。 そ の 土 地 の 方 言 や イ ン ト ネ ー シ ョ ン な ど を 話 し 、 愛 す る こ と は 、 豊 か な 伝 統 を な ぞ る よ う な 感 覚 に も 似 て い て 、 ご 先 祖 様 に も 感 謝 す る こ と な の だ と わ た し は 感 じ て い ま す 。 わ た し は 、 こ れ か ら も 自 分 ら し く ・ 自 信 を も っ て ・ 自 由 に 言 葉 を 伝 え て ゆ き た い 。 元 気 で 美 し い 華 や か な 言 葉 を も っ と た く さ ん 勉 強 し て、この芸能の世界から届けることが、これからも目標です ☆ し の は ら と も え 歌 手 、タ レ ン ト 、女 優 、衣 装 デ ザ イ ナ ー 、ナ レ ー タ ー 等 、幅 広 く 活 動 。 一 九 九 五 年 、 十 六 歳 で 歌 手 デ ビ ュ ー 。 一 九 九 〇 年 代 に 自 身 の ア イ デ ア に よ る 「 シ ノ ラ ー フ ァ ッ シ ョ ン 」 で 大 ブ ー ム を 巻 き 起 こ す 。 二 〇 一 三年 の 松 任 谷 由 実 コ ン サ ー ト ツ ア ー の 衣 装 デ ザ イ ナ ー を 務 め る な ど 、 現 在 、 テ レ ビ や 映 画 ・ 舞 台 な ど で 活 躍 中 。
言葉の魔法
篠原ともえ
タレント、アーティスト
巻
随
頭
筆
新版教科書「てびき」の仕組みと使い方 こ れ か ら の 教 育 は 、 自 ら す す ん で 学 習 計 画 を 立 て 、 主 体 的 に 解 決 し て い く 子 ど も の 育 成 を 目 ざ し て い ま す 。 そ の 具 体 化 の た め に 、 新 し く 編 集 し た 小 学 校 国 語 教 科 書 『 ひ ろ が る 言 葉 小 学 国 語 』 で は 、 さ ま ざ ま な 学 習の手だてを用意しました。 その一つが、 「読むこと」 の単元の 「てびき」 の 工 夫 で す 。 こ の 新 教 科 書 の 「 て び き 」 を 効 果 的 に 活 用 す れ ば 、 子 ど も た ち 自 身 が 単 元 の 組 み 立 て を 意 識 し 、 そ れ ぞ れ の 問 題 意 識 に 即 し た 多 様 な 学 習 活 動 を 展 開 さ せ る こ と が で き 、 さ ら に は 、 そ こ で 身 に つ け た 言 葉 の力を生活の中に生かしていくことができるのです。 な に よ り も 、「 て び き 」 は 、 子 ど も 自 身 の 学 習 に 直 接 役 立 つ こ と が 大 切 で す 。 編 集 に 際 し て は 、「 て び き 」 に そ っ て 学 習 活 動 を 進 め て い け ば 、 自 然に言葉の力が保証されるように作ることを目ざしました。
「導入」
では単元の見通しをもつ
単 元 の 展 開 の 第 一 次 「 導 入 段 階 」 で は 、 学 習 者 に 単 元 全 体 の 学 習 の 見 通 し を も た せ る よ う に し ま し た 。 と い う の も 、 学 習 者 は 、 最 終 的 な 言 語 活 動 ( そ の 多 く は 表 現 活 動 ) を 意 識 す る こ と に よ っ て 、 学 習 へ 向 か う 目 的 意 識 を 明 確 に す る こ と が で き る か ら で す 。 そ の た め 、 そ れ ぞ れ の 単 元 では、簡潔な文章で学習を進める方向=目標を示してあります。「展開」
では指導事項の確実な習得を目ざす
第 二 次 は 、 学 習 の 「 習 得 ・ 展 開 段 階 」 で す 。 ま ず 最 初 に 、 こ こ で 行 う 学 習 活 動 を お お ま か に 設 問 1の 文 章 で 示 し ま し た 。 さ ら に 、 指 導 事 項 の 学 習 内 容 を 確 実 に 「 習 得 」 で き る よ う に 、 ⑴ ・ ⑵ ・ ⑶ と 丁 寧 に 順 序 を 踏 ん で 、 具 体 的 な 学 習 活 動 を 提 示 し て あ り ま す 。 そ の 際 、 学 習 者 に よ っ て 、 教 材 文 に 対 す る 興 味 ・ 関 心 や 着 眼 点 に 違 い が あ る こ と に も 配 慮 し て あ り ま す 。 個 人 の 学 習 を も と に し て 、 実 り あ る 協 同 学 習 を 実 現 さ せ る こ と が 重要だと考えたからです。「発展」
としての言語活動
第三次の 「活用 ・ 発展段階」 に関わる学習活動は、 設問 2で示しました。 「 習 得 ・ 展 開 段 階 」 の 学 習 で 獲 得 し た 学 習 内 容 を ベ ー ス に し て 、 そ れ を 表 現 活 動 と し て 展 開 す る の で す 。 相 手 意 識 を 明 確 に も っ た 言 語 表 現 活 動 を 配 置 し た こ と で 、 そ の 単 元 で 目 ざ す 「 読 む こ と 」 の 指 導 事 項 が 確 実 に 身 に つ き ま す 。 同 時 に 、 実 感 を 伴 っ た 単 元 の 学 習 へ の 充 実 感 が 生 ま れ る は ず で す 。 別 に 、 教 科 書 で の 学 習 を さ ら な る 言 語 生 活 へ 発 展 さ せ る た め に 、 関連した読書資料の紹介も載せています。 次 の ペ ー ジ か ら は 、「 読 む こ と 」 の 学 習 の 「 て び き 」 の 具 体 例 と そ の 解 説 を 掲 載 し て あ り ま す 。 先 生 が た に は 、 こ の 「 て び き 」 の 基 本 的 な 仕 組 み を 理 解 し た う え で 、 実 際 の 学 習 指 導 に あ た っ て い た だ け る と あ り が た く思います。 横 浜 国 立 大 学 附 属 鎌 倉 小 学 校 教 諭 を 経 て 、 横 浜 国 立 大 学 で 長 く 教 鞭 を 執 る 。 著 書 に 『「 国 語 」 教 育 の 可 能 性 』『「 ご ん ぎ つ ね 」 を め ぐ る 謎 ─ ─ 子 ど も ・ 文 学 ・ 教 科 書 ─ ─ 』( と も に 教育出版)など。自ら学ぶ学習を保証する新教科書
横浜国立大学名誉教授 府 ふ 川 か わ 源 げ ん 一 い ち 郎 ろ う ■特
集
■新版教科書
「てびき」の仕組みと使い方
国
語
左に示した「てびき」は、二年生上巻の第一単元 「 お 話 の 中 の で き ご と を 、 日 記 に 書 こ う 」 の も の で す ( 教 材 『「 え い っ 」』 三 木 卓 作 )。 「 て び き 」 の 冒 頭には、この単元の学習活動がひと目でイメージで きるような投げかけの言葉= 目標 があります。単元 の最終で行う表現活動に向かって、学習意欲を高め るためです。 ま た 、「 読 む こ と 」 の 指 導 事 項 で あ る 「 場 面 の 様 子について想像を広げる」ことを身につけさせるた め、ここでは登場人物に同化して読ませることが前 面に出ています。学習者には、それを「くまの子に なったつもりで」 という表現で示してあります。 「て びき」は、どれも子どもに容易に理解で き、学習活動にそのまま移行できるよう な表現になっています。
■設問
1
設問 1には、 「展開段階」 の学習活動が、 文 章 に よ っ て 概 括 的 に 示 さ れ て い ま す 。 学習内容が確実に 「習得」 できるように、 ⑴・⑵・⑶と、丁寧に順序を踏んで、そ れぞれ具体的な学習活動が提示されてい ま す 。「 様 子 に つ い て 想 像 を 広 げ る 」 た めの学習活動が⑴と⑵になり、それを踏 まえて、音読活動を行うのが⑶というこ とです。 ⑴では、話の順序を追いながら、登場 人物の行動と気持ちとを順番に整理して いきます。そのために、ノートに整理す る場合の書式が、P 24の下段に提示され ています。自らすすんで課題をもち、そ れ を 追 究 し て い く 学 習 を 展 開 す る に は 、 個々の学習者がそれぞれの学習の記録を 残しておくことが必要です。そのための ノートの効果的な活用が、各方面から望 まれており、ここではそれに対応したモ デルが示されています。もちろん、これ はあくまでも例であって、学習者はこの とおりのノートを作成する必要はありま せんし、また、ワークシート形式でもか まいません。2上
『
「えいっ」
』
P 12〜 27目標
⇐
設問1
⇐
⇒
読み深めるためのノート整理の例
2上『「えいっ」』 さんとくまの子のそれぞれの様子を思い 浮かべて、役割を決めて声に出して読む 活動です。 まずは、 好きな場面を決め、 それから、 登場人物や語り手の担当を決めます。前 時までの学習を生かして、どのように声 に 出 し た ら い い の か を 考 え て も い い で しょう。グループの中で、相互に、いい ところを見つけて指摘し合うようにした り、相互に役割を交替し合って、同じ場 面を音読したりすることもできます。ま た、自分たちのグループの発表を、他の グループに聞いてもらうのも楽しい学習 活動になるでしょう。 ミニ発表会を開き、 クラスの仲間に聞いてもらうことも可能 です。 こうした学習活動は、声に出すことに よって、登場人物の様子をよりはっきり と想像させることがねらいで、子どもた ちも楽しんで音読活動に取り組むことと 思われます。
ここが大事
こ の 単 元 の 「 こ こ が 大 事 」 で は 、「 と うじょう人物」 が取り上げられています。 教材文『 「えいっ」 』では、くまの親子 が登場人物で、その行動と気持ちの理解 が学習内容となっており、それを目的に して学習活動が組まれています。 その際、 と理由を添えて、 自分の考えたことを述べています。 同様に、下段の男児も、教材文の一部を具体的に取 り上げて、そこから自分が想像したことを話してい ます。こうした対話の例を見ることによって、子ど もたちは、相手を意識した、説得力のある話し合い をどのように進めたらよいのかを学ぶことができる でしょう。 ⑶では、⑴の個別学習と⑵の協同学習の成果を踏 まえて、音読活動に展開していきます。くまのとう ⑵では、個別学習をベースにして、協同学習へと つなげていく活動が示されています。⑴におけるそ れぞれの作業をもとに交流活動が行われます。その 際には、文章の叙述を根拠にしながら、学習者が考 えたことを交流し合うことが重要であることが強調 されています。 具体例として、二組みの話し合いの一部が提示さ れています。p 25の上段の女児は、男児の疑問に答 え て 、教 材 文 の 一 部 を 根 拠 に し な が ら 、「 だ か ら …… 」子どもどうしの意見交流の例
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「とうじょう人物」という概念を言語化しておくと、 話し合い活動も円滑に進行するでしょう。 そのため、 ここでは「とうじょう人物」が取り上げられていま す。 このように「ここが大事」は、教材文の学習活動 を展開するうえで必要なツールとしての事柄が選ば れ て い ま す 。「 こ こ が 大 事 」 に 取 り 上 げ ら れ た 事 柄 や用語を使った文章理解活動を経験することで、そ の用語を学習者自身が使いこなせるようになること を意図しているのです。 また、 教科書の巻末 (『この本で学ぶこと』 ) には、 それらを学習用語として集積・整理してあります。
■設問
2
設問 2の「活用・発展段階」では、設問 1の学習 活動から発展させた表現活動を進めることになりま す。そのため、ここでは「くまの子になったつもり で 」 日 記 を 書 く と い う 表 現 活 動 が 設 定 さ れ て い ま す。前時までに、登場人物に同化して気持ちを想像 する学習を展開してきたことを作文活動 として記述し、表出するのです。 ⑴ で は 、 そ う し た 作 文 を 書 く た め に 、 設問 1の⑴で作成した自分のノートを活 用する指示が出されています。自分自身 の学習の記録をもう一度見返して、新た な表現活動に展開させる意図です。ここ で例として取り上げた女児は、前ページ で、 「くまの子は、かえりの電車の中で、 な に を か ん が え て い た ん だ ろ う 。」 と つ ぶやいていました。この女児は、そのこ とがいちばん気になったのでしょう。そ こで、その場面を中心にして、くまの子 になりきって想像したことを記述してい るのです。 ⑵は、⑴の「くまの子になったつもり で」書いた作文を互いに交流する活動で す。 学習者たちは、設問 1の学習をとおし て、それぞれが興味・関心をひかれたと ころをベースにしながら、登場人物の様 子を想像してきました。また、設問 2の ⑴でも、くまの子に同化して、やはりそ れぞれの学習者が個性のあふれた想像活 動を繰り広げて、それを作文に記述する 活動を行っています。このような学習活 動の中で書かれた作文の記述内容は、お 互 い に か な り 異 な っ て い る と 思 わ れ ま す 。読み深めに必要な事柄を取り立て
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設問2
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言語活動のゴールとなる「日記」の例
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2上『「えいっ」』
ことば
「 こ と ば 」 欄 に は 、 そ の 教 材 で 使 わ れ ている特徴的な表現や言葉の使い方など が取り上げられ、言葉の学習ができるよ うになっています。 この教材では、いわゆる「やりもらい 表現」が取り上げられています。この教 材には、 「〜てくれる」と「〜てあげる」 と い う 言 語 表 現 が た く さ ん 出 て き ま す 。 それは、教材文をもとにして想像活動を 展開する際の、大きな手がかりになりま す。というのも、行為の主体やその対象 物との関係をつかむことによって、場面 の様子をより深く、また、よりいきいき と思い浮かべることができるからです。 「 こ と ば 」 の 学 習 は 、 そ れ ぞ れ の 子 ど も の 実 態 に 即 し て 扱 う こ と が 効 果 的 で す。つまり、教材文の学習がひととおり すんだあとで、整理のために使ってもよ い し 、「 読 む こ と 」 の 学 習 の 途 中 に 組 み 込むことも可能でしょう。本を読もう
ま た 、「 本 を 読 も う 」 で は 、 幼 年 童 話 を二点紹介しています。この本は、同じ 作者の作品と登場人物の様子を想像する のに最適な作品です。並行読書によって 読書活動への興味・関心をもたせる学習 にも使えるでしょう。 れを付箋紙に記入して相手に渡したり、作文の空白 部分に自分の感想をメモ書きしたりするような活動 の手だても考えられるでしょう。 友達の作文のよいところを見つけるためには、多 様な観点から文章を読む力が必要です。そうでなけ ればワンパターンになってしまいます。また、友達 の作文のよいところを的確に見つける力は、自分の 作文を客観的に見る目を育てることにもつながって いるのです。 多様な「くまの子日記」を交流して読み合うこと は 、 教 材 の 文 章 を 豊 か に 読 む と い う 点 か ら 見 て も 、 また、学習者の相互理解という点から考えても、大 きな意味があります。文学教材という非現実の世界 をとおすことによってこそ可能な言語交流を期待し て、こうした活動が提示されています。 ここでは、それぞれの書いた日記の文章をもとに よいところを見つけて感想を話し合う活動が想定さ れています。友達の「よいところ」を見つけて、そ⇐
発展的な読書活動や並行読書にも
活用できる図書を紹介
「言葉」についての意識を広げる設問
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次の「てびき」は、三年生上巻の第九単元「物語 を紹介しよう」です(教材『わすれられないおくり もの』 スーザン=バーレイ文 ・ 絵、 小川 仁央 訳) 。 「 て び き 」 の 冒 頭 に は 、 こ の 単 元 の 最 終 の 学 習 活 動 を強く意識させるための投げかけの言葉= 目標 があ ります。 また、教材文の内容に即して、それぞれの学習者 が「読むこと」の学習へ意欲的に向かうことができ るような導入の言葉= リード文 が、 三年生以上の 「て び き 」 に 添 え て あ り ま す 。「 登 場 人 物 の 心 の 動 き 」 に焦点を当てて教材文を読み進めていき、最終的に はそれを紹介することを確認するためです。この作 品を実際に読んでみたくなる紹介活動に つなげることを大事にしています。
■設問
1
設 問 1に は 、「 展 開 段 階 」 の 学 習 活 動 を文章で概括的に示してあります。学習 内容を確実に 「習得」 できるように、 ⑴ ・ ⑵・⑶と丁寧に順序を踏んで、それぞれ 具体的な学習活動を提示しています。こ こでは、 「登場人物の心情の変化を読む」 ための学習活動が、⑴と⑵にあり、その 学習を踏まえて、児童が相互に発表活動 を行うのが⑶です。 ⑴では、 「黙読」を取り上げています。 これは自分の読み方それ自体に目を向け させることがねらいで、学習者に黙読を 強制するものではありません。学習活動 そのものを意識する機会を数多く設ける ことによって、自分にとって最適な学習 方 法 を 身 に つ け る こ と が 重 要 な の で す 。 「 学 び 方 を 学 ぶ 」 と い う 教 育 理 念 を 具 体 化 し た も の だ と 考 え れ ば よ い で し ょ う 。 国語科教育では、さまざまな言語活動や 学習活動が展開されます。その中で、自 分が納得できる学習の手法を身につける ことは、きわめて大切なことです。 ま た 、「 心 に の こ っ た と こ ろ 」 を 発 表 する例も示しています。この例では「と くにぼくの心にのこったのは、……」と3上
『わすれられないおくりもの』
P 114〜 129目標
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設問1
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リード文
3上『わすれられないおくりもの』 もぐらに代表される登場人物たちにより そ っ て 教 材 文 を 読 ん で い く と 思 わ れ ま す。そのような学習者の発達段階に即し た活動指示を設定することによって、想 像 力 豊 か に 読 む こ と も 可 能 に な る の で す。 ③ で は 、「 他 の 動 物 な ら 、 あ な ぐ ま に どのようなお礼の言葉を言ったと思いま すか。 」と、 これまでの学習をもとにして、 各自が想像したことを書く学習活動が組 まれています。いうまでもなく、どの登 場人物を選ぶのか、また、どのような内 容をどのような文体で書くのかという点 に、それぞれの学習者の個性が端的に表 出されます。それぞれの発表のよいとこ ろを評価し合い、次の「物語の紹介」に つなげていく意図があります。 また、 その例として、 P 127の下段には、 登場人物の一人になったつもりで書いた 作文例の冒頭部が紹介されています。こ の作文例は、最初に登場人物のうちの誰 の立場に立つのかをはっきりと宣言して います。そのことによって、このあとの 記述がスムーズに進みます。 このように、 文章表現の工夫に目を向けさせ、それを 取り入れたり、また自分なりに別の書き 方を試みたりすることによって、文章の 書き方を学ぶことができるのです。 れています。①の学習活動では、教材文から事実を 抜き出し、 それを順番にまとめていきます。 ②では、 その教材文の記述から、わかったことや考えたこと を記していくことになります。P 127の上段 では、そ れらを対照させた表形式でノートに書くとよいとい うことを示しています。 ⑶は、教材文中のもぐらに代表させて、その気持 ちの移り変わりやあなぐまへのお礼の言葉を考えさ せ よ う と 意 図 し た 活 動 で す 。 お そ ら く 、 学 習 者 は 、 いう発言から、 発表活動が始まっています。 心に残っ た こ と を い く つ か メ モ に 書 き 、 そ れ を 整 理 し た り 、 優先順位をつけたりして、その理由をノートに記入 してから活動につなげています。学習者にいきなり 発表を促すよりも、その前に、発言する内容を文字 化させると、 発表内容に自信がもてる子どもが多く、 そうした指導の手順を紹介しています。 ⑵では、教材文の中心的な話題である「あなぐま のおくりもの」について、考えを深める設問が示さ
「かえる」の立場でのお礼の言葉の例
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ノート例
■設問
2
設問 2では、相手意識を明確にして、この物語の 好きなところを紹介する言語活動が提示されていま す。 伝えようとする対象として、 「家の人や身近な人、 一、 二 年 生 」 が 具 体 的 に 例 示 さ れ て い ま す 。 対 象 と する相手によって、表現の仕方はさまざまに異なり ます。そのため、何を伝えるかと同時に、どのよう に伝えるのかを考えながら言語表現をする必要が出 てきます。 そのために、⑴では、主として何を伝えるのかを 考え合います。この物語で取り上げられている中心 的な話題である「おくりもの」に焦点化して、それ をめぐって交流活動を行います。なぜなら、あらす じだけを長々と話しても、相手はなかなか聞いては く れ な い か ら で す 。 友 達 と の 交 流 の 中 か ら 、「 お く りもの」に関わるさまざまな観点を獲得することを 目ざします。 ⑵では、対象とする相手を決めて、物語を紹介す る文章を書くことになっています。P 128 の下段には、二つの文章例が示されてい ます。一つは、男児による低学年に向け た文章で、この物語を読んだことのない 相手を想定した「書き出し」になってい ます。まず、物語の題名の一部分を相手 に提示して、そこから読み手を引き込も うという「方略」を採用しています。 二つめは、家の人や身近な人を相手と し て 想 定 し た 女 児 の 文 例 で す 。 こ れ も 、 一般的な物語によく出てくる「死=悲し い」というパターンを逆手にとって、相 手に興味・関心をもってもらおうという 「方略」を使っています。 こうした文章表現の工夫に目を向けて もらうために、具体的な文例が提示され ています。もちろん、こうした作文の工 夫は、設問 1の学習が充実したものでな ければ、皮相的なテクニックになってし ま い ま す 。 何 よ り も 重 要 な の は 、「 読 む こと」の学習の充実となります。ここが大事
二年生の『 「えいっ」 』の例でも確認し た よ う に 、「 こ こ が 大 事 」 に は 、 教 材 文 の 理 解 活 動 に 必 要 な ツ ー ル と し て の 事 柄 ・ 用語が選ばれています。 「ここが大事」 に取り上げられた観点(この場合は「題 名 」) に 着 目 し た 文 章 理 解 活 動 を 経 験 す交流活動を促す投げかけ
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子どもの立場での相手を
意識した紹介文の例
設問
2
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3上『わすれられないおくりもの』
本を読もう
「本を読もう」には、 『アナグマのもち よりパーティ』が紹介されています。こ の本には、もぐらとあなぐまとの心のつ な が り が 描 か れ て い ま す 。 ま た 、『 だ い じょうぶだよ、ゾウさん』も、心の交流 に 関 し て 深 く 考 え る こ と の で き る 図 書 で、あわせて読むことが望まれます。 * * * 以上、ここまで、文学教材を中心とし た 二 つ の 単 元 に 関 し て 、 そ の 「 て び き 」 の仕組みをみてきました。どの単元の最 後にも、表現活動が組まれています。こ れからは、表現活動がきわめて重要な課 題であるからです。 しかし、 充実した 「読 むこと」の学習がなされるからこそ、そ れを表現活動につなげて交流しようとい う学習者の意欲が生まれてくるというこ とを忘れてはならないでしょう。ひとま とまりの言語活動の連続としての単元の 中に文学教材を組み込んだのも、学習者 に読むことの深い体験を保証しようと考 えたからにほかなりません。 れ て い ま す 。 そ の 作 業 か ら 、 ほ と ん ど の 例 が 、「 あ なぐまが誰かのためにしてあげた」ということに気 づきます。 つまり、この物語の「おくりもの」の象徴性を根 底 か ら 支 え て い た 言 語 表 現 の 一 つ が 、「 や り も ら い 表現」だということがわかります。このように、言 語表現そのものが文章内容と深く関わっていること に気づかせることこそが、きわめて重要な国語科の 指導だといえるでしょう。 ることで、これ以降は、そうした視点から自力で読 む学習を進めることができます。そうした積み重ね によって、読む力が増していくのです。言葉
また、 「言葉」欄には、 「やりもらい表現」が取り 上 げ ら れ て い ま す 。 同 じ 言 語 表 現 は 、『 「 え い っ 」』 でも取り上げました。それを前提としたうえで、こ こ で は 、「 …… て あ げ る 」「 …… て く れ る 」「 …… て も らう」を抜き出して整理するという学習活動が組ま⇐
教材文の読みを深める言葉の学習
六年生上巻第三単元の「伝えたいことをすいせん 文にまとめよう」 (教材『森林のはたらきと健康』谷 田 貝 光 克 文 ) で 、 説 明 文 教 材 の 「 て び き 」 を 説 明します。 まず、 学習者に示した目標とリード文に目を向け、 この単元の学習を捉えていきましょう。 こ の 単 元 で は 、『 森 林 の は た ら き と 健 康』 の推薦文を書きます。 そのためには、 この文章の優れた点を発見することが必 要 で す 。 リ ー ド 文 に は 、「 さ ま ざ ま な 観 点から文章を読み」とありますが、これ が、まさに、この文章の優れた点を発見 する活動になります。筆者は、わかりや す く 説 明 す る た め に 、「 文 や 段 落 の 書 き 方、文章の構成などにどんな工夫をして いるか(説明の仕方) 」、また、研究に取 り 組 む と き に 、「 ど ん な 筋 道 で 考 え を 進 め て い る か ( 論 理 的 思 考 )」 と い っ た 観 点から、文章の優れた点を発見し、推薦 文にまとめます。 目的をもって読み、そこで考えたこと を表現する、こうした一連の活動が、単 元を貫いて設定した言語活動です。 なお、低学年教材には、リード文がな いので、教師が補完することが必要にな ります。 例 え ば 、 教 材 の 写 真 を 用 い る こ と は 、 手軽にできる方法です。このとき、教材 文中の写真を複数見せることがポイント です。写真を比べて話し合ううちに、比 較 の 観 点 が 明 ら か に な っ て く る か ら で す。 1下の 『はたらくじどう車』 では、 「や く わ り 」 と 「 つ く り 」、 2 下 の 『 さ け が 大 き く な る ま で 』 で は 、「 時 間 と と も に
6上
『森林のはたらきと健康』
P 46〜 59 山梨大学教授 岩 い わ 永 な が 正 ま さ 史 ふ み 東 京 学 芸 大 学 附 属 小 金 井 小 学 校 な ど を 経 て 、 山 梨 大 学 教 授 。 著 書 に 『 国 語 教 育 の 再 生 と 創 造 』( 教 育 出 版 ) な どがある。目標
⇐
設問1
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リード文
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⑴の活動における子どもの発言例や考え方の
観点を,児童の立場から具体的に提示
6上『森林のはたらきと健康』 筆者が、わかりやすく伝えるためにどん な 工 夫 を し て い た か ( 説 明 の 仕 方 )、 伝 える知識の正しさを保証するために、ど んな筋道で考えを進めていたか(論理的 思考) を知り、 自身が説明する立場になっ たときに、それを生かすことです。 そこで、⑴では、自身の知識や経験と 結びつけて印象を語り合い、⑵では、そ の根拠へとほり下げる展開になっていま す。
ここが大事
「ここが大事」 は、 主に、 設問 1の 「目 的をもって読む」過程に関わる重要な事 柄を解説しています。 この単元では、推薦文という、子ども があまり体験したことがない文種を書く た め に 、「 推 薦 文 と は ど ん な 文 章 か 」 と いうことを、簡単に解説しています。 しかし、①〜③で示した要点は、説明 文を読む際、説明の仕方や論理的思考に 目を向ける観点にもなっています。例え ば 、「 読 ん で 納 得 し た 」 と い う 印 象 を 導 いたところには、筆者の論理的思考がは た ら い て い ま す し 、 文 章 冒 頭 で 、「 み な さんは、 」と語りかけたり、 「なぜでしょ う か 。」 と 問 い か け た り し て い る 部 分 に は 、 筆 者 の 「 説 明 の 仕 方 ・ 表 現 の 工 夫 」 が凝らされているのです。 やなっとくしたこと」 は何か、 と問いかけています。 これは、説明文を読むときに、自身の知識や経験と 結びつけて読むことが重要だからです。 「初めて知っ た!」と感じながら読むことは、読み手を主体的に します。それに、そもそも、説明文とは、学習や生 活の中で、なんらかの知識を得るために読む文章だ からです。 しかし、知識を得ただけで、国語科の説明文の学 習 を 終 え る こ と は で き ま せ ん 。 む し ろ 重 要 な の は 、 変 化 し て い く さ け の 様 子 」 に 目 が 向 い て く る で し ょ う 。 こ こ で 、「 て び き 」 冒 頭 の 「 目 標 」 を 示 し 、 言 語 活 動 の 具 体 的 な イ メ ー ジ を 描 い て い く よ う に し ま す 。■設問
1
設問 1は、目的をもって読み、自身の考えを形づ くる過程、設問 2は、考えたことを表現する過程に 関わっています。 こう書くと、すぐに「この文章の優れた点」を扱 い た く な る と こ ろ で す が 、 ⑴ で は 、「 感 心 し た こ と⇐
1の学習に関わる重要なポイント(読み
のスキルなど)を系統的に提示
⑵の活動における発言例(ヒント)
⇐
こ の よ う に 、 読 ん で 、 文 章 の 特 色 を 学 ぶ こ と が 、 次の表現活動に生きてきます。
■設問
2
設 問 1で は 、「 初 め て 知 っ た ! 」( 内 容 の 理 解 ) を 出発点に、筆者が、わかりやすく伝えるためにどん な 工 夫 を し て い た か ( 説 明 の 仕 方 )、 伝 え る 知 識 の 正しさを保証するために、どんな筋道で考えを進め ていたか (論理的思考) と、 読み深めていきました。 この「内容の理解」 「説明の仕方」 「論理的思考」の三 つは、従来の説明文教材の指導でも、重要な指導項 目でした。 し か し 、 と も す る と 、 内 容 が 理 解 で き た こ と を も っ て 、 それ を 支 え て い る 説 明 の 仕 方や 論 理 的 思 考 も 身 に つ い た ( は ず だ ) と 考 え て は い な か っ た で し ょ う か 。 そ こ で 、 設 問 2で は 、 こ れ ら 三 つ の 指 導 内 容 を 、 表現することをとおして、はっきりと意識し、確か な力として定着することを目ざします。この単元で は、推薦文を書くことをとおして、それを行うこと になりますが、 説明文教材の各単元では、 学年の指導事項や子どもの発達、教材の 特性などに応じて、さまざまな表現活動 を取り入れています。 平成二十七年度版教科書では、鉛筆や 子どものキャラクターが登場して、学習 の観点を示すようになっています。 この単元では、三人の子どもが登場し て、説明文を読むときや推薦文を書くと きの着眼点を語り合っています。P 58の 上段で、三人が語り合っているのは、推 薦文に取り上げる内容です。 * 右側の女児は、森林のはたらきと健 康に関する内容面の理解を中心に。 * 真ん中の男児は、以前から知られて いたことから新たにわかったことへ と展開する、筆者の説明の仕方を中 心に。 * 左側の女児は、実験から結論を導い ていく、 筆者の論理的思考を中心に。 新しい教科書では、伝えたいことをど のように表現すればよいのか、その事例 を示しているのも特色です(P 58下段推 薦文例「科学的な考えの進め方」 )。 ここでは、推薦文の事例を示していま す。科学的に研究する方法、つまり、論設問2
⇐
⇐
2で設定されている言語活動「すいせん文を
書く」の例。⑴の活動を踏まえている
「伝えたいことを明確にする」と
いう活動のための着眼点の例
⇐
6上『森林のはたらきと健康』 的な文法、語彙などを取り上げて、その 定着を目ざします。ここでは、論理関係 を表す語彙「さらに」 「また」の二つの意 味と使い分けを取り上げています。
本を読もう
また、説明文教材の学習を、より広が りのあるものにするために、 「並行読書」 も推奨されています。そのため、この新 し い 教 科 書 で は 、「 本 を 読 も う 」 で 本 の 紹介をしています。同じ筆者の本、他の 筆者が書いた関連するテーマの本などで す。ただし、高学年では、紹介されてい る本を丸ごと取り上げるのは困難な場合 があります。そのようなときには、司書 教諭と連携したり、出版社の本の紹介サ イトなどをヒントにしたりしながら、授 業で取り上げる部分を考えていきましょ う。 * * * ここまで、説明文の「てびき」につい て、解説を加えてきました。新しくなっ た 「 て び き 」 の 展 開 や ね ら い を 生 か し 、 子どもが活発な学習活動を行えるような 授 業 を 計 画 し て い た だ き た い と 思 い ま す。 読み手を意識した表現。 このように、表現活動をとおして、説明の仕方を工 夫し、論理的思考をはたらかせる言語活動を目ざし てください。言葉
説明文の学習では、内容の理解とともに、説明の 仕方や論理的思考を学ぶことが重要だと述べました が、これらの事柄は、必ず、言葉によって表現され て い ま す 。 そ こ で 、「 言 葉 」 で は こ の 教 材 文 で 特 徴 理的に考えていくことを取り上げています。 しかし、それだけではありません。推薦文を書く こ と も 、 自 分 の 考 え を 伝 え る 一 種 の 説 明 で す か ら 、 この文章例にも、 「説明の仕方」 がよく現れています。 * 文 章 冒 頭 で 伝 え た い こ と の 要 旨 を 示 し 、「 例 え ば 〜 」 と 詳 し く 解 説 し て い く 文 章 の 展 開 。( こ の説明の仕方は、 1下 『はたらくじどう車』 に、 すでに登場しています。 ) * 「みなさんも〜みてください。 」と語りかける、⇐
読書意欲を高め,読みの力を育成
「並行読書」にも活用可能
特徴的な言葉の使い方やきまり,
語彙拡充のための設問
⇐
⇒
子どもどうしの
交流を促す設問
ける軟筆使用の目的を、次のように設定した。 【第一学年】 ・ 書 字 活 動 を 行 う 際 の 、 手 指 の 基 本 的 な 動 き を 身につける。 ・ 鉛 筆 の 持 ち 方 ・ 姿 勢 、 筆 圧 の か け 方 に つ い て のくせを直す。 【第二学年】 ・ 書 字 活 動 を 行 う 前 の 、 手 指 の ウ ォ ー ミ ン グ アップとして使用する。 ・ 鉛 筆 の 持 ち 方 ・ 姿 勢 、 筆 圧 の か け 方 に つ い て のくせを直す。 ・ 第 三 学 年 か ら 扱 う 毛 筆 へ 円 滑 に 接 続 で き る よ うにする。 こ の よ う な 、 そ れ ぞ れ の 学 年 に お け る 目 的 の も と に 、 実 際 の 授 業 に お い て も 、 軟 筆 の 活 用 方 法に変化をつけた。 め、 本研究会では、 以下に紹介する 「水書用紙」 と 「 水 書 ペ ン 」 を 使 用 す る こ と に よ り 、 よ り 簡 易 に 軟 筆 に よ る 指 導 が 行 え る よ う に し た 。 軟 筆 を活用した実験授業の概要を以下に述べる。
各学年の発達段階に
合わせた軟筆使用の目的
二
第 一 学 年 で は 、 主 に 平 仮 名 ・ 片 仮 名 ・ 漢 字 の 基 本 的 な 書 き 方 を 身 に つ け る こ と が 目 的 で あ る 。 さ ら に 第 二 学 年 で は 、 片 仮 名 の 書 き 方 に つ い て 習 熟 を 図 る と と も に 、 漢 字 の 字 形 を 整 え て 書 く 力 を 身 に つ け る こ と を 目 的 と し て い る 。 そ こ で 、 本 研 究 会 で は 、 第 一 学 年 と 第 二 学 年 に お書写学習の目的と
軟筆の活用
一
小 学 校 に お け る 書 写 の 授 業 は 、 第 三 学 年 か ら 毛 筆 を 使 用 し て い る 。 毛 筆 を 使 用 す る 主 な 目 的 は 、 毛 筆 で 大 き く 文 字 を 書 く こ と で 、 点 画 ど う し の 接 し 方 な ど の 字 形 の 整 え 方 を 身 に つ け 、 文 字 感 覚 を 養 い 、 児 童 が 生 涯 に わ た っ て 使 用 す る 硬 筆 の 文 字 に 生 か す た め で あ る 。 そ こ で 、 私 が 所 属 す る 研 究 会 で は 、 文 字 学 習 の 基 礎 ・ 基 本 を 身 に つ け る 低 学 年 の 段 階 に お い て 軟 筆 を 使 用 す る こ と で 、 よ り 効 果 的 に 児 童 の 文 字 を 整 え て い くことができるのではないかと考えた。 し か し 、 低 学 年 の 場 合 、 毛 筆 や 墨 を そ の ま ま 使 用 す る こ と は 困 難 で あ る こ と が 予 想 さ れ る たこれからの書写指導
〜小学校低学年における軟筆の活用〜
東京都江戸川区立大杉第二小学校圡
つ ち上
が み智
の り子
ここれからの書写指導
④
練習
─ ────────────────────────── 【第一学年】 水 書 の み で 行 う 。 児 童 に は 、 水 書 用 紙 を 一 人 三枚程度配り、乾かしながら使用させる。 【第二学年】 水 書 で ウ ォ ー ミ ン グ ア ッ プ 、 お よ び 持 ち 方 の く せ を 直 し た あ と 、 鉛 筆 で 練 習 す る 。 児 童 は 、 適宜水書を行いながら練習を行う。⑤
まとめ書き
─ ──────────────────── 鉛筆(4B程度)で、まとめ書きを行う。⑥
日常化
─ ──────────────────────── 硬 筆 ( 鉛 筆 ・ フ ェ ル ト ペ ン 等 ) で 類 型 文 字 を 書 く こ と に よ っ て 、 本 時 で 身 に つ け た 基 礎 ・ 基 本の書き方を、ほかの文字にも応用する。 【水書ペン】 市 販 さ れ て い る 水 彩 画 用 の 水 書 ペ ン を 使 用 し た。 柄の部分は鉛筆の二倍程度の太さであるが、 持 ち 方 の く せ を 直 す に は 太 め の 用 具 が 適 し て い ると考える。②
試
ためし
書
がき
─ ────────────────────── 鉛筆(4B程度)で、試し書きを行う。③
課題把握
─ ────────────────────── 学 級 全 体 で 、 そ の 時 間 の ね ら い に つ い て 話 し 合 い 、 試 し 書 き と 基 準 を 比 較 し て 、 各 自 の 課 題 を把握できるようにする。授業の実際
三
※ 番 号 は 、 次 ペ ー ジ 「 指 導 の 流 れ ( 例 )」 の 中 の番号に該当する。①
用具の準備
─ ──────────────────── 【水書用紙】 市 販 さ れ て い る 半 紙 大 の 水 書 用 紙 を 半 分 に 切って使用した。〈筆圧〉 水 書 ペ ン の み を 使 用 し た 場 合 と 鉛 筆 の み の 場 合 と を 比 較 す る と 、 試 し 書 き に お い て は 、 筆 圧 が 強 す ぎ る 児 童 の 割 合 に 大 き な 差 は 認 め ら れ な か っ た 。 し か し 、 練 習 の 際 に 水 書 ペ ン を 使 用 し た 場 合 、 そ の 後 の ま と め 書 き に お い て 筆 圧 が 改 善 し た 児 童 が 二 割 程 度 い た が 、 鉛 筆 の み で 練 習 し た 場 合 は 、 そ の 後 の ま と め 書 き で 筆 圧 の 改 善 は見られなかった。 ま た 、 二 か 月 半 後 の 児 童 の 筆 圧 の 変 化 を 比 較 し た と こ ろ 、 筆 圧 が 強 す ぎ る 児 童 は 、 鉛 筆 の み で練習した場合の方が二倍程度多かった。 〈字形の変化〉 二 か 月 半 後 、 児 童 の 文 字 ( 平 仮 名 ) の 変 化 を 比 較 し た と こ ろ 、 字 形 を 整 え て 書 く こ と が で き る よ う に な っ た 児 童 は 、 水 書 ペ ン で 練 習 し た 児 童 よ り 、 鉛 筆 の み で 練 習 し た 児 童 の 方 が 一 割 程 度多かった。 【第二学年】 毎 時 間 の 練 習 時 に 「 水 書 ペ ン と 鉛 筆 の 両 方 を 使 用 し て 書 写 の 学 習 を 行 っ た 学 級 」 と 、「 鉛 筆 の み で 書 写 の 学 習 を 行 っ た 学 級 」 に つ い て 、 一 単 位 時 間 の 学 習 に お け る 試 し 書 き と ま と め 書 き と を 比 較 し た と こ ろ 、 次 の よ う な 結 果 が 得 ら れ た。
軟筆使用の効果の検証
四
【第一学年】 毎 時 間 の 練 習 時 に 「 水 書 ペ ン の み を 使 用 し て 書 写 の 学 習 を 行 っ た 学 級 」 と 、「 鉛 筆 の み で 書 写 の 学 習 を 行 っ た 学 級 」 と を 比 較 し た と こ ろ 、 次のような結果が得られた。 〈終筆と送筆の変化〉 一 単 位 時 間 の 学 習 に お け る 試 し 書 き と ま と め 書 き を 比 較 し た と こ ろ 、 平 仮 名 の 「 と め 」「 は ら い 」 に つ い て は 、 水 書 ペ ン の み を 使 用 し た 場 合 と 鉛 筆 の み の 場 合 と の 間 に 、 上 達 し た 児 童 の 割 合に大きな差は認められなかった。 し か し 、「 む す び 」 に つ い て は 、 水 書 ペ ン の み を 使 用 し た 児 童 の 上 達 の 割 合 が 、 鉛 筆 の み の 場合の約二倍であった。 水書を行った児童の例 1単位時間扱い(45分) 時間 第1学年 第2学年 ─ ①用具の準備 ・水書用紙(半紙1/2大の大きさ。一人あたり3枚程度。) ・水書ペン 5分 ② 試し書き ・鉛筆(4B程度) 10分 ③ 課題把握 10分 ④ 練習 ・水書ペンのみ ・水書ペン(ウオーミングアップ,持 ち方のくせを直す) ・鉛筆 5分 ⑤ まとめ書き ・鉛筆(4B程度) 5分 自己評価・相互評価 10分 ⑥ 日常化 ・硬筆(鉛筆・フェルトペン等)指導の流れ(例)
まとめ書き 試し書きこれからの書写指導 〈終筆の変化〉 「 は ら い 」 に つ い て は 、 片 仮 名 、 漢 字 と も に 、 水 書 ペ ン と 鉛 筆 の 両 方 を 使 用 し た 児 童 の 上 達 の 割合が、鉛筆のみの場合の二倍以上であった。 〈字形の変化〉 字 形 に つ い て は 、 水 書 ペ ン と 鉛 筆 の 両 方 を 使 用 し た 場 合 と 、 鉛 筆 の み の 場 合 と の 間 に 、 上 達 し た 児 童 の 割 合 に 大 き な 差 は 認 め ら れ な か っ た。 し か し 、 試 し 書 き よ り ま と め 書 き の 方 が 雑 に な っ て し ま っ た 児 童 の 割 合 は 、 鉛 筆 の み の 場 合 が 、 水 書 ペ ン と 鉛 筆 の 両 方 を 使 用 し た 場 合 の 二 倍程度であった。
成果と今後の課題
五
水 書 ペ ン を 取 り 入 れ た 書 写 の 学 習 を 続 け る こ とにより、 第一学年における 「むすび」 の上達や、 第 二 学 年 に お け る 片 仮 名 ・ 漢 字 の 「 は ら い 」 の 改 善 な ど 、 書 字 活 動 を 行 う 際 の 、 手 指 の 基 本 的 な 動 き を 身 に つ け さ せ る こ と が で き た と 考 え ら れる。 筆 圧 の 強 さ は 、 鉛 筆 で 練 習 を 続 け て い た 場 合 は 改 善 を 図 る こ と が で き な い ば か り か 、 丁 寧 に 書 こ う と す る あ ま り 、 さ ら に 筆 圧 が 強 ま る 傾 向 も 見 ら れ た 。 し か し 、 水 書 ペ ン で 練 習 さ せ た 場 合 、 試 し 書 き で 筆 圧 が 強 す ぎ た と し て も 、 児 童 に 力 を 抜 い て 書 く 感 覚 を 実 感 さ せ る こ と が で き 、 筆 圧 の 改 善 に つ な が っ て い っ た と 考 え ら れ る 。 そ の 結 果 、 二 か 月 半 後 、 水 書 ペ ン を 使 用 し た 学 級 と 使 用 し て い な い 学 級 で は 、 筆 圧 に 大 き な違いが生じたと思われる。 第 一 学 年 の 字 形 に つ い て 、 鉛 筆 の み で 練 習 し た 学 級 の ほ う が 整 え る こ と が で き た の は 、 水 書 ペンを使用する際、 水書用紙に自由な大きさで、 普 段 よ り 大 き め に 練 習 し て い た た め 、 決 ま っ た サ イ ズ の 小 さ い ま す 目 に 書 く こ と に 不 慣 れ で あったのが原因であると思われる。 このことは、 第 二 学 年 の 字 形 に つ い て 、 水 書 ペ ン と 鉛 筆 の 両 方 を 使 用 し て 練 習 し た 学 級 と 、 鉛 筆 の み で 練 習 し た 学 級 で 、 上 達 の 割 合 に 大 き な 差 異 が 見 ら れ な か っ た こ と か ら も 明 白 で あ る 。 今 後 は 、 水 書 用 紙 に 適 切 な 大 き さ の ま す 目 を 印 刷 す る な ど 、 児 童 が 字 形 に つ い て も 意 識 で き る よ う な 工 夫 を していく必要がある。 今 回 の 実 験 授 業 の 副 産 物 と し て 、 水 書 ペ ン を 使 用 し た 学 級 の 担 任 は 、 水 書 ペ ン を 使 用 す る こ と で 、 四 十 五 分 間 の 授 業 に 変 化 が 生 ま れ 、 児 童 が 最 後 ま で 授 業 に 集 中 す る こ と が で き る よ う に な っ た と 実 感 し て い る こ と が あ る 。 特 に 第 二 学 年 で は 、 鉛 筆 の み で 練 習 し た 場 合 、 授 業 が 単 調 に な り 、 文 字 を 書 く こ と へ の 集 中 が 続 か な く な っ た 結 果 、 ま と め 書 き の 方 が 雑 に な っ た 児 童 の割合が多くなったと考えられる。 ま た 、 鉛 筆 で は く せ の あ る 持 ち 方 を し て い る 児 童 も 、 水 書 ペ ン を 持 つ と き に は 自 ず と 正 し い 持 ち 方 に な っ た こ と も 成 果 の 一 つ で あ る 。 し か し 、 鉛 筆 に 持 ち 替 え た と き 、 ま た も と の く せ の あ る 持 ち 方 に 戻 っ て し ま う 児 童 も 多 い た め 、 繰 り 返 し 使 用 す る こ と に よ っ て 、 定 着 を 図 る 必 要 がある。 今 後 さ ら に 、 低 学 年 に お け る 軟 筆 の 活 用 を す すめていきたい。 ▲水書ペンで練習する様子 まとめ書き 試し書き北海道支社 函館営業所 東 北 支 社 中 部 支 社 関 西 支 社 中 国 支 社 同和損保広島大手町ビル 5F 四 国 支 社 九 州 支 社 沖縄営業所 小学国語通信 ことばだより〔2015 年 春号〕 2015年3月31日 発行 編 集:教育出版株式会社編集局 発 行:教育出版株式会社 代表者:小林一光 印 刷:大日本印刷株式会社 発行所: 〒 101-0051 東京都千代田区神田神保町 2-10 電話 03-3238-6864(お問い合わせ) URL http://www.kyoiku-shuppan.co.jp/ 〒 812-0007 福岡市博多区東比恵 2-11-30 クレセント東福岡 E 室 TEL:092 433 5100 FAX:092 433 5140