超高精細高フレームレートCMOSイメージセンサ用2 段サイクリック型A/D変換回路の低消費電力設計と デジタル補正に関する研究
著者 渡部 俊久
発行年 2014‑06
出版者 静岡大学
URL http://doi.org/10.14945/00008281
(課程博士・様式9) 審 査 要 旨
専攻 ナノビジョン工学 学籍番号 55145011 学生氏名 渡部 俊久 論文題目 超高精細高フレームレートCMOSイメージセンサ用2段サイクリック型A/D変換回 路の低消費電力設計とデジタル補正に関する研究
本論文は、超高精細高フレームレートのイメージセンサに用いるカラム並列 A/D 変換器を低消費電力化かつ小面積化で実現するための低消費電力設計手法とデジタ ル補正技術に関する研究を取りまとめたものであり、全6章からなる。
第 1 章は、本論文の緒言であり、研究の背景、目的及び本研究の位置付けについ て述べている。第2章では超高精細高フレームレートイメージセンサ用A/D変換器 に関する基礎的考察として、各種のカラム並列 A/D 変換器の構成と比較、電力最適 化に必要なイメージセンサのノイズ等について述べている。第 3 章では、超高精細 高フレームレートイメージセンサ用A/D変換器として、2段サイクリックA/D変換 器を低消費電力で実現するための設計最適化について述べている。2段サイクリック A/D 変換回路のノイズと消費電力のモデルを構築し、これを用いて電力を最小化す る前段と後段の巡回数の配分比の最適値を解析し、前段の巡回数を 3 回としたとき に、1段で構成した場合に比べて約0.4倍まで消費電力を低減できることを示してい る。第 4章では、2 段サイクリックA/D変換回路を小面積かつ低消費電力で実現す ることを目的としたデジタル誤差補正について述べている。キャパシタミスマッチ と、アンプの有限ゲイン誤差による誤差をデジタル領域で補正するアルゴリズムを 提案し、シミュレーションによって微分非直線性が最大値で 0.5LSB 以下、積分非 直線性が最大値で 0.27LSB 以下まで低減できることを示している。第5 章では、2 段サイクリック A/D変換のデジタル誤差補正の効果を評価するための、テスト回路 の試作と評価について述べている。0.18µmミックストシグナル CMOSプロセスを 用いて2段サイクリックA/D変換器を試作し、その出力に対してデジタル補正を適 用した結果、微分非直線性が、補正前の最大値0.83LSBに対して、補正後0.27LSB まで低減できることを明らかにしている。第 6 章は、結論であり、本論文で得られ た成果を取りまとめ、その意義について述べている。
以上のように本論文は、スーパーハイビジョン放送に用いられる超高精細かつ高 フレームレートのイメージセンサ用 A/D 変換器を低消費電力かつ小面積で実現する ための2段サイクリックA/D変換器の設計手法に関して、シミュレーションと試作 によって、その有効性を示したものであり、半導体デバイス及び映像機器の発展に 寄与するところが大きい。よって、本論文は博士(工学)の学位を授与するに十分 な内容を有するものと認める。