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日大生産工(院) ○橋本 恵理子 日大生産工 山崎 憲 東邦音大 田村 治美

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(1)

A Basic Study on Relaxation Effect by the Fluctuation of the Music Sound Eriko Hashimoto, Ken YAMAZAKI and Harumi TAMURA

音楽のゆらぎが人間に与えるリラックス効果

に関する基礎的検討

日大生産工(院) ○橋本 恵理子 日大生産工 山崎 憲 東邦音大 田村 治美

1.はじめに

ゆらぎは人間の心にやすらぎを与えてくれ る。ゆらぎの中でも1/fゆらぎは適度な変化をも った波形の音であり、この適度な変化が人間の 心地よさと大いに関係があると言われている

[1]

。 しかし、ゆらぎが人間の生理・心理にどのよう な影響を与えるのかという研究は行われてい ない。

そこで本研究では、音楽のゆらぎが人間に与 えるリラックス効果を検討することを目的と し、基礎的実験としてゆらぎの異なるグラスハ ープの音楽CDと弦楽器の音楽CD、またそれぞ れの音楽CDに人工超音波を付加した場合の人 間の生理および心理に及ぼす影響を脳波・脳血 流・心理評価を測定し、検討した。

2

実験方法

2.1 呈示音

音楽CDの楽曲は無作為に選んだJ・

S・Bach

の「

Air」を使用し、楽曲に付加する人工超音波

はピンクノイズの超音波領域の音とした。

Fig.1にピンクノイズを付加した場合のグラ

スハープの周波数特性、

Fig.2にピンクノイズを

付加した場合の弦楽器の周波数特性を示す。破

線が

20[kHz]を示しており、線より左側が音楽

CDのみの周波数領域の音、右側がピンクノイ

ズの超音波領域の音となっている。今回、ピン クノイズには24[kHz]でハイパスフィルタをか け、音圧レベルは小川らの研究

[2]

に基づき可聴 音の音圧レベルの平均値に対して70[%]~

84[%]に設定した。

2.2 ゆらぎ

Fig.1、Fig.2の直線はそれぞれの音楽CDのゆ

らぎ値を示している。これらの図より、弦楽器

の音楽

CDに比べグラスハープの音楽CDの方が

ゆらぎ値の傾きが-1に近く、ゆらぎが大きいこ とがわかる。今回

7000[Hz]でグラフが切れてい

るのは、周波数特性を見たときに音が

7000[Hz]

以上の音が出ていなかったためである。

2.3 生理指標

生理指標として、脳波

(α波)

・脳血流の測定を 行った。

α

波は脳波の中でもリラックス時に増 加するとされ

[3]

、脳血流は安静状態で酸化ヘモ グロビン

(O2Hb)

含有量が減少するとされて いる

[4]

Fig.1 The frequency characteristic of glass harp

70 60 50 40 30 20 10 0

Sound Pressure [dB]

100 1000 10000 100000

Frequency [Hz]

Music CD Pink noise

Fig.2 The frequency characteristic of stringed instrument

70 60 50 40 30 20 10 0

Sound Pressure [dB]

100 1000 10000 100000

Frequency [Hz]

Music CD Pink noise

−日本大学生産工学部第44回学術講演会講演概要(2011-12-3)−

ISSN 2186-5647

― 213 ― 2-1

(2)

2.4 被験者

被験者は、大学生の男性16名とした。また、

実験前夜に十分な睡眠をとり体調を整えるこ と、飲酒・喫煙の禁止、当日のカフェイン等の 興奮作用のある刺激物を含んだ飲食物の摂取 の禁止を指示した。

被験者には実験を行うにあたり音楽を聞き ながら、脳波・脳血流・手掌部発汗の測定を行 うこと、安全であることを事前に説明し、了解 を得た。被験者には呈示音についての情報は一 切与えていない。

2.5 測定方法 2.5.1 脳波測定

Fig.3に脳波の測定方法を示す。脳波の測定に

は、テレメトリシステム (日本光電

WEE-6124)

を使用した。また電極国際脳波学会が推奨して いる国際標準10-20電極配置法に従い、頭皮上の

12か所 (Fp1,Fp2,F7, F8,C3,C4,T5,T6,O1, O2, Fz, Pz)

に配置して脳全体の覚醒時の脳波を記録し た。実験中は瞼の開閉や光刺激による影響を考 慮し、被験者に閉眼を指示した。

2.5.2 脳血流測定

Fig.4に脳血流の測定方法を示す。脳血流測定

は、赤外線酸素モニタ (浜松ホトニクス

NIRO-200)

を使用した。測定プローブは快適性

と前頭部のO

2Hb量の変化の関係に関する報告

[5]

に着目し、前額部の額に設置した。

2.6 実験環境

Fig.5に実験環境を示す。リスニングルーム内

にスピーカとトゥイータを置き、その前に椅子 を置いた。被験者には脳波電極・赤外線酸素モ ニタの測定プローブを装着した後、リスニング ルーム内の椅子に楽な姿勢で座ってもらい安 静にしてもらった。

2.7 心理評価

呈示音が心理に及ぼす影響を検討するため、

5段階のSD法による心理評価アンケートを行っ

た。アンケートは(a)音楽を聴いたときの心身の 自覚について、

(b)音色の印象についての2テー

マで行った。

(a)音楽を聴いたときの心身の自覚について

使用した形容詞対は、松井らの報告

[6]

にある

10項目に2項目を加えた計12項目により評定尺

度を構成した。

(b)

音色の印象について

使用した形容詞対は、

(a)同様、松井らの報告

[6]

にある7項目に3項目を加えた計

10項目により

評定尺度を構成した。

O2 O1

Fp2 Fp1

A2 A1 T3 C3 Cz C4 T4

F7

F3 Fz F4 F8

T5 P3 Pz P4 T6

Fig.3 10-20 Electrode Layout Method

Fig.4 Measurement point of cerebral blood volumes

Fig.5 The schematic of measuring equipment

Tweeter Speaker

Listening Room

Electroencephalograph

Personal Computer Oxygen monitor

O2 O1

Fp2 Fp1

A2 A1T3 C3 Cz C4 T4

F7 F3FzF4

F8

T5 P3PzP4

T6

EEG Electrode

Cerebral blood volumes

― 214 ―

(3)

2.8 実験手順

Fig.6に測定のタイムチャートを示す。測定は 30秒間の無音の後、150秒間音を呈示した。測

定は無音30 秒と音呈示150秒の計

180秒につい

て行った。前の提示音の影響を考慮して、各測 定の間には休憩時間を10分設けた。同様の実験 を4回繰り返した。また、音を流す順番はラン ダムとした。

3

実験結果

3.1 生理実験 3.1.1

脳波測定

Fig.7に全被験者のα波含有量の変化の平均値

を示す。この図は無音状態の30秒間の平均と音 楽呈示から終了までの150秒間の平均との差を 表わしている。

図より、グラスハープと弦楽器どちらの楽曲 も音楽CDのみの音を呈示した場合に比べ、音 楽CDに人工超音波を付加した音を呈示した場

合に

α波含有量の増加が大きいことが認められ

た。また、音楽CDのみの音を呈示した場合、

音楽

CDに人工超音波を付加した音を呈示した

場合のどちらの場合もゆらぎ値の傾きが小さ い弦楽器の楽曲を呈示した場合に比べ、ゆらぎ 値の傾きが-1に近いグラスハープの楽曲を呈示 した場合にα波含有量の増加が大きいことが認 められた。

3.1.2

脳血流測定

Fig.8に全被験者の酸化ヘモグロビン量(O2Hb

量)の変化の平均値を示す。この図は無音状態 の30 秒間の平均と音楽呈示から終了までの150 秒間の平均との差を表わしている。

図より、グラスハープと弦楽器どちらの楽曲 も音楽CDのみの音を呈示した場合に比べ、音 楽CDに人工超音波を付加した音を呈示した場

合に

O2Hb量の減少が大きいことが認められた。

また、音楽CDのみの音を呈示した場合、音楽

CDに人工超音波を付加した音を呈示した場合

のどちらの場合もゆらぎ値の傾きが小さい弦 楽器の楽曲を呈示した場合に比べ、ゆらぎ値の 傾きが-1に近いグラスハープの楽曲を呈示した

場合にO

2Hb量の減少が大きいことが認められ

た。

3.2 心理実験

(a)音楽を聴いたときの心身の自覚について Fig.9に全被験者の「音楽を聴いたときの心身

Quiet Start

Presentation of sound

Rest

End

30 [sec]

150 [sec]

10 [min]

Measurement

Fig.6 Time chart of measurement

Fig.7 α wave content

120 100 80 60 40 20 0 α wave content V2]

Glass harp Stringed

instrument

Music CD Music CD

+Ultrasound

0 5 10 15 20 25 30

Fig.8 O2Hb content

-0.04 0

-0.08

-0.12

-0.16 O2Hb content mol/ℓ]

Glass harp Stringed

instrument

Music CD Music CD

+Ultrasound

-0.16 -0.12 -0.08 -0.04 0

― 215 ―

(4)

の自覚について」の心理評価の平均プロフィー ルを示す。図より、音楽CDに人工超音波を付 加した音を呈示した場合に心身がより「安心」

すると感じる傾向が得られた。

(b)音色の印象について

Fig.10に全被験者の「音色の印象について」

の心理評価の平均プロフィールを示す。図より、

音楽

CDに人工超音波を付加した音を呈示した

場合に音がより「鈍く」「穏やか」に感じる傾 向が得られた。

4

おわりに

本研究では、音楽のゆらぎが人間に与えるリ ラックス効果を検討することを目的とし、人間 の生理および心理に及ぼす影響を脳波・脳血 流・心理評価の測定を行った。

その結果、脳波は音楽CDに人工超音波を付 加した音を呈示した場合、またゆらぎ値の傾き が-1に近い楽曲( グラスハープの音楽CD)を呈示 した場合にα波含有量の増加が大きいことが認 められた。脳血流は音楽CDに人工超音波を付 加した音を呈示した場合、またゆらぎ値の傾き が-1に近い楽曲( グラスハープの音楽CD)を呈示 した場合にO

2Hb量の減少が大きいことが認め

られた。

また心理評価アンケートの結果から、音楽

CDに人工超音波を付加した音を呈示した場合

に、音がより「鈍く」「穏やか」に感じられ、

心身はより「安心」すると感じる傾向が認めら れた。

以上の結果から、音楽CDに人工超音波を付 加した音を呈示した場合、またゆらぎ値の傾き が-1に近い楽曲( グラスハープの音楽CD)を呈示 した場合にリラックス効果が得られるのでは ないかということが示唆された。

・参考文献

[1]木下栄蔵 他,「癒しの音楽」,kumi,pp2-30,2000.

[2]小川他,「超音波領域の音が脳波に及ぼす影響に関す

る基礎的検討」,日本音響学会講演論文集,pp985-986,

2003.

[3]大熊輝雄,「臨床脳波学」,医学書院,pp36,p94,1999.

[4]日本脳代謝モニタリング研究会,「臨床医のための近赤 外分光法」,(株)新興医学出版社,pp11-14,2002.

[5]山口他,「聴覚刺激が脳血液動態に及ぼす影響-NIRS

計測を指標として-」,日本生理人類学会誌 Vol.5,pp29-27,

2000.

[6]松井他,「音楽聴取による生体反応の生理心理学的研

-不安との関連を中心として-」,臨床教育心理学研究,

Vol.31,No.1,pp57-67,2005.

-2 -1 0 1 2

心地のよい 眠くなる 落ち着く リラックスする 安心 心が和む 気持ちがいい 安らかである 心が晴れる 前向きになる 心地悪い

目がさえる イライラする 緊張する 疲れる 不安 不快 心がかき乱される 気持ちが悪い 怖い 心が暗くなる 憂鬱になる

Glass harp Glass harp + Ultrasound

Stringed

instrument+ Ultrasound Stringed

instrument

-2 -1 0 1 2

Fig.9 Psychological evaluation (Consciousness of Mind and body)

Glass harp Glass harp + Ultrasound

Stringed

instrument+ Ultrasound Stringed

instrument

-2 -1 0 1 2

鮮やかな 弱々しい

派手な 汚い

重々しい 貧弱な

騒々しい 現実的な

堅い 鋭い

ぼけた 力強い

地味な きれいな

さわやかな 豊かな

穏やかな 夢心地な

柔らかい 鈍い

-2 -1 0 1 2

Fig.10 Psychological evaluation (Impression tone)

― 216 ―

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