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密教文化 Vol. 1998 No. 199-200 006藤田 和正「密教福祉思想の構成原理――密教福祉思想の研究 (四)―― P106-132」

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(1)

密 教 文 化

-密

(

)

-藤

一 は じ め に 空 海 思 想 が 相 対 し 或 い は 多 元 的 に 共 存 す る 幾 多 の 思 想 を 宇 宙 的 調 和 の 構 成 要 素 と し て そ の 存 在 意 義 を 認 め な が ら 、 そ れ ら を し て 宇 宙 性 ( 仏性)へ の 覚 醒 に よ り 本 質 的 な 昇 華 を も た ら す 包 摂 性 を 有 す る こ と は ﹃ 秘 密 曼 茶 羅 十 住 心 論 ﹂ で 明 ら か に さ れ て い る が 、 こ こ で 近 代 社 会 を 風 靡 し 、 正 に 入 権 の 世 紀 を 形 成 し て き た 近 代 主 義 と の 整 合 性 を あ え て 見 出 さ ん と す る こ と は 、 徒 に 時 流 に 乗 り 時 勢 に 迎 合 し 便 乗 す る こ と の で き る 共 通 性 を 発 見 す る こ と に あ る の で は 決 し て な い 。 優 越 的 人 間 観 に よ る 人 道 主 義 の 急 速 な 展 開 か ら 現 出 し て き た 近 代 文 明 の 生 命 倫 理 に 関 わ る 本 質 的 な 危 機 的 状 況 の 認 識 か ら 生 じ た 時 代 的 要 請 で あ り 、 人 権 的 生 命 倫 理 を 包 摂 し た 宇 宙 的 生 命 倫 理 に よ り 時 流 の 方 向 性 に 革 新 的 な 三 定 の 思 想 的 ・ 哲 学 的 指 針 の 確 立 を 図 ら ん と す る も の で あ る 。 言 わ ば 来 世 紀 へ の 新 た な ﹁ 社 会 哲 学 の 再 構 成 ﹂ を 示 唆 す る も の と し て 受 け 止 め ら れ よ う 。 ま た 、 こ の こ と か ら 自 由 と 平 等 を 標 榜 す る 民 主 主 義 と そ の 原 理 で あ る 人 間 尊 重 と 社 会 連 帯 を 価 値 前 提 と す る 近 代 社

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会 福 祉 に 対 し て 、 確 か に そ の 自 由 と 平 等 に 整 合 性 を 得 な が ら も 政 治 的 イ デ オ ロ ギ ー に と ら わ れ な い こ の 思 想 は 、 人 道 主 義 の ﹁ 人 間 中 心 ﹂ か ら ﹁ 共 利 群 生 ﹂ へ の 単 な る パ ラ ダ イ ム の 転 換 に は 非 ず 、 本 質 的 な 革 新 を も た ら さ ん と す る も の で あ り 、 民 主 主 義 理 念 の 実 現 過 程 に あ る 近 代 社 会 福 祉 に そ の 概 念 の 基 本 的 な 変 革 を 迫 る こ と に な ろ う 。 密 教 福 祉 思 想 の 真 髄 を 端 的 に 表 現 さ れ て い る 極 め て 実 践 的 志 向 を 有 す る ﹁ 共 利 群 生 ﹂ を 思 想 体 系 か ら 考 察 す る と 、 ま ず 、 即 身 成 仏 、 即 ち 普 遍 的 同 一 性 を 有 す る 宇 宙 性 ( 仏性)の 具 象 化 し た 大 日 如 来 の 現 存 性 は 、 宇 宙 本 体 を 構 成 し て い る と す る 六 大 思 想 を 基 本 的 原 理 と し て 具 現 化 さ れ 、 そ れ を 構 成 す る 不 二 一 体 的 な 理 智 の 構 造 、 所 謂 、 如 来 内 証 智 の 根 源 を な す 慈 悲 、 即 ち 自 利 即 利 他 と す る 自 利 利 他 思 想 を も っ て 実 践 的 原 理 と し て い る 。 更 に 自 利 利 他 思 想 の 具 体 的 な 行 動 的 原 理 と な っ た も の は 、 結 論 的 に 言 っ て 、 空 海 の 事 跡 に 鑑 み て 教 王 護 国 思 想 と 言 わ ざ る を 得 な い 。 何 故 な ら ば 、 即 身 成 仏 に 至 る 方 便 的 な 必 須 的 、 且 つ 不 可 欠 な 要 件 は 所 謂 、 事 相 と し て の 儀 礼 に 拠 る の み な ら ず 、 そ の 形 骸 化 を 決 し て 許 さ な い 三 密 喩 伽 と 三 体 化 し た 自 利 利 他 思 想 の 一 貫 し た 実 践 に あ り 、 教 王 護 国 は 即 ち 、 こ の 実 践 を 具 体 化 し た ﹁ 共 利 群 生 ﹂ を 意 味 し て い る に 他 な ら な い か ら で あ る 。 端 的 に 言 っ て 、 密 教 福 祉 思 想 は 宇 宙 本 体 と す る 大 日 如 来 を 基 本 的 原 理 と し 、 そ の 均 衡 あ る 宇 宙 的 調 和 の 摂 理 ( 自 然 の 理智)を 法 爾 と し て の 自 利 利 他 思 想 に 収 敏 し 、 一 貫 し て 普 遍 的 に 展 開 し て き て い る が 、 こ こ で は そ の 構 成 原 理 の 体 系 を 明 ら か に す る と と も に 、 そ の 思 想 が 究 極 的 に 社 会 的 実 践 と し て 顕 現 し 、 空 海 思 想 の 完 成 を 裏 づ け た 史 実 に 残 る 綜 芸 種 智 院 の 創 立 に よ り 生 み だ さ れ 、 具 体 化 し た ﹁ 共 利 群 生 ﹂ が 有 す る 独 得 な 思 想 的 革 新 性 に つ い て 、 若 干 の 考 察 を 試 み る こ と と す る 。 密 教 福 祉 思 想 の 構 成 原 理-密 教 福 祉 思 想 の 研 究 (四

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)-密 教 文 化

空 海 思 想 の 特 性 の 一 つ に は 、 そ の 思 想 の 構 成 に み る 両 義 的 な 超 科 学 的 論 理 性 が あ り 、 宗 教 的 な 絶 対 性 と そ の 価 値 の 前 提 と な る 独 得 な 生 命 観 と そ の 理 智 の 構 造 を 形 成 し て い る 論 理 性 は 、 他 に 類 を 見 な い 独 自 な 宗 教 哲 学 を 形 成 し て い る 。 こ こ で は 宗 教 的 真 理 で あ る 普 遍 的 同 一 性 を 有 す る 宇 宙 性 ( 仏性)は 、 大 日 如 来 と し て 具 象 化 さ れ て お り 、 そ れ が 森 羅 万 象 に 顕 現 さ れ て い る と す る 現 存 性 は 、 宇 宙 性 ( 仏性)と 主 体 性 、 主 体 性 と 客 体 性 を 仏 性 的 に 同 二 化 し 、 近 代 の 実 証 主 義 的 な 認 識 論 と 構 造 主 義 的 な 存 在 論 を 遥 か に 包 摂 し て い る も の で あ っ た 。 人 間 が 自 己 の 生 命 現 象 と し て 体 験 し 、 主 体 的 な 認 識 の 範 疇 に あ る に も 拘 ら ず 、 本 質 的 な 生 命 概 念 の 確 立 は 無 限 の 科 学 的 当 為 性 を も っ て し て も 不 可 能 な る こ と を 本 初 か ら 覚 知 し 、 無 機 ・ 有 機 を 問 わ な い ﹁ い の ち ﹂ の 存 在 を 宇 宙 性 ( 仏性)と し て 前 提 し 、 こ の 現 存 性 が 主 体 的 存 在 に 顕 現 す る と す る 叡 智 は 、 極 め て 現 実 的 な 仏 性 的 価 値 で あ る 理 智 一 体 の 如 来 内 証 智 、 即 ち 自 利 即 利 他 の 徳 性 で あ る と と も に 密 教 福 祉 の 本 質 論 に 関 わ る 他 の 一 つ の 特 性 で あ る 仏 性 的 平 等 性 か ら 生 じ る 宇 宙 性 ( 仏 性 ) 的 生 命 倫 理 を 確 立 し て い る 。 こ れ ら の 思 想 的 特 性 が 社 会 的 実 践 と な っ て 発 現 す る 密 教 福 祉 は 、 大 日 如 来 で あ る 宇 宙 本 体 の 構 成 原 理 を な す 六 大 思 想 ( 地 大 ・ 火 大 ・ 水 大 ・ 風 大 ・ 空 大 ・ 識大)を も っ て そ の 基 本 的 原 理 と し て い る 。 ﹃ 即 身 成 仏 義 ﹄ に お い て 独 創 的 に 体 系 化 さ れ た 真 言 密 教 は 、 既 存 の 密 教 経 典 で あ る 大 日 経 と 金 剛 頂 経 の 教 義 を 前 提 に 総 合 的 に 一 体 化 し て 独 自 な 視 点 か ら 意 義 づ け し た も の で あ り 、 そ の 独 創 性 は 前 稿 ( ﹃ 高 野 山 大 学 論 叢 ﹄ 第 三 十 二 巻 ﹁ 密 教 福 祉 思 想 の 特 性 と 概 念 ﹂ 一 九 九 七 年 二 月)に お い て 既 述 し た よ う に 、 普 遍 性 を 意 味 す る 六 大 に 真 言 密 教 的 徳 性

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を 与 え て い る こ と で あ る 。 六 大 は 互 い に 相 応 渉 入 す る 三 体 的 な 理 智 の 構 造 を 有 し て い る が 、 こ の 中 の 識 大 に は ﹁ 心 は 識 智 な り ﹂ と す る 精 神 的 作 用 と し て の 心 の 様 態 を 加 え 、 真 言 密 教 の 独 得 な 智 の 構 造 を 形 成 し て い る 。 ﹃ 即 身 成 仏 義 ﹄ に お け る 思 想 の 体 系 化 に 先 立 っ て 、 ﹃ 弁 顕 密 二 教 論 ﹄ の 序 説 に お い て 、 心 の 様 相 を と り あ げ て 、 ﹁ 心 量 に 十 あ り 、 云 何 が 十 と な す や 。 三 に は 眼 識 心 、 二 に は 耳 識 心 、 三 に は 鼻 識 心 、 四 に は 舌 識 心 、 五 に は 身 識 心 、 六 に は 意 識 心 、 七 に は 末 那 識 心 、 八 に は 阿 梨 那 識 心 、 九 に は 多 一 識 心 、 十 に は 三 一 識 心 な り 。 か く の ご と き の 十 が 中 に 、 (1) 初 の 九 種 の 心 は 真 理 を 縁 ぜ ず 。 後 の 三 種 の 心 は 真 理 を 縁 じ て し か も 境 界 と な す こ と を 得 ﹂ と し て 、 顕 密 二 教 の 違 い を 明 ら か に す る と と も に 、 そ の 境 界 を な す 識 智 に つ い て は 、 ﹁ 自 性 ・ 受 用 仏 は 、 自 受 法 楽 の 故 に 自 春 属 と と も に 各 々 三 (2) 密 門 を 説 き た も う 。 こ れ を 密 教 と い う 。 こ の 三 密 門 と は い わ ゆ る 如 来 内 証 智 の 境 界 な り ﹂ と し て 、 身 口 意 の 三 平 等 句 の 法 門 で あ る 真 言 密 教 を し て 、 理 法 身 と 智 法 身 の 不 二 一 体 的 な 如 来 内 証 智 で あ る と し て 独 得 な 智 の 構 造 を 明 ら か に し て い る 。 ま た 、 引 証 喩 釈 に は 、 竜 猛 菩 薩 の 釈 大 論 か ら ﹁ 一 切 衆 生 は 無 始 よ り こ の か た み な 本 覚 あ っ て 捨 離 す る と き な し 。⋮ (3) (中 略 )⋮清 浄 本 覚 は 無 始 よ り こ の か た 、 修 行 を 観 た ず 、 他 力 を 得 る に あ ら ず 。 性 徳 円 満 し 、 本 智 具 足 せ り ﹂ と あ り 、 清 浄 本 覚 、 即 ち 理 智 を も っ て 普 遍 的 な 仏 性 的 徳 性 の 前 提 と な し て い る 。 更 に 、 後 の ﹃ 秘 密 曼 茶 羅 十 住 心 論 ﹄ 巻 第 十 に お い て 、 ﹁ 金 剛 は 智 を 表 し 、 清 浄 は 理 を 表 し 自 性 は 二 に 通 ず 。 か の 諸 (4) 尊 お の お の 自 然 の 理 智 を 倶 す ﹂ と し て 理 智 が 自 性 に 内 包 さ れ て い る こ と が 明 確 に 表 現 さ れ て い る 。 こ の 理 智 三 体 の 如 来 内 証 智 、 或 い は 清 浄 本 覚 の 智 の 特 性 に つ い て は 、 巻 第 三 の 序 文 に お い て 、 ﹃ 大 毘 盧 遮 那 経 ﹄ か ら の 引 証 で 、 智 慧 の 因 、 根 、 究 立見 に つ い て の 問 答 で 、 ﹁ 菩 提 心 を 因 と な し 、 大 悲 を 根 と な し 、 方 便 を 究 立見 と な す 。 秘 密 教 福 祉 思 想 の 構 成 原 理-密 教 福 祉 思 想 の 研 究 (

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四)-密 教 文 化 (5) 密 主 、 云 何 が 菩 提 と な ら ば 、 い わ く 実 の 如 く 自 心 を 知 る な り ﹂ と あ り 、 智 慧 は 自 心 を 知 る こ と に 発 趣 し 、 仏 性 に よ る 自 利 利 他 の 実 践 か ら 生 じ る も の と し て お り 、 法 身 の 理 智 に つ い て は 、 巻 第 十 に お い て 、 ﹁ 四 種 法 身 と は 一 に は 自 性 身 、 二 に は 受 用 身 、 三 に は 変 化 身 、 四 に は 等 流 身 な り 。 四 種 身 に 竪 横 の 二 義 を 具 す 。 横 は す な わ ち 自 利 、 竪 は す な わ ち 利 (6) 他 な り 深 義 さ ら に 問 え ﹂ と あ り 、 竪 横 二 軸 の 構 図 に よ り 、 利 他 の 宇 宙 的 ( 無 限的)な 展 開 に よ り 生 じ る 三 切 智 々 の 如 来 内 証 智 と 自 利 即 利 他 と す る 慈 悲 思 想 と の 不 二 三 体 的 な 相 関 関 係 を 明 ら か に し て い る 。 つ ま り 宇 宙 の 摂 理 ( 法 身 ) を 自 利 利 他 に 収 敏 し て い る 。 こ れ が た め 六 大 に 遍 満 し 相 応 渉 入 し て い る 清 浄 本 覚 、 或 い は 如 来 内 証 智 は 、 自 利 利 他 思 想 を も っ て 普 遍 的 な 徳 性 と な し 、 ま た 、 こ の 宗 教 的 真 理 を 前 提 と す る 宇 宙 的 調 和 の 構 想 は 、 こ の 摂 理 を も っ て 人 類 の 生 存 的 規 範 と し て の 宇 宙 性 ( 仏性)的 生 命 倫 理 を 形 成 し て い る 。 こ の こ と か ら 宇 宙 本 体 、 即 ち 大 日 如 来 を 構 成 し て い る 六 大 思 想 は ま さ に 密 教 福 祉 思 想 に お け る 基 本 的 原 理 を な し て い る と 云 え よ う 。 こ の 基 本 的 原 理 か ら 、 主 体 的 存 在 が 宇 宙 的 ( 仏 性的)存 在 で あ る と す る 自 性 覚 知 は 、 同 時 に 仏 性 的 理 智 ( 法 身 が 有 す る 如 来 内 証 智 ) に 根 源 的 に 内 在 す る 慈 悲 、 即 ち 自 利 利 他 思 想 へ の 覚 醒 を 意 味 し て お り 、 こ の 思 想 に 衆 生 救 済 の 実 践 的 視 点 が お か れ て い る 。 六 大 思 想 に 内 包 さ れ 、 そ の 中 枢 を な す 自 利 利 他 の 実 践 は 三 密 喩 伽 に よ る 即 身 成 仏 に は 必 須 的 、 且 つ 不 可 欠 な 要 件 と な っ て い る こ と を 看 過 し て は な ら な い 。 近 代 社 会 に お い て 、 人 道 主 義 を 標 榜 す る 社 会 福 祉 が 福 祉 的 二 ー ズ へ の 対 応 と し て い る オ ー ソ ド ッ ク ス で 今 な お 底 流 と な っ て い る 環 境 利 用 に よ り 人 格 の 発 達 を 図 り 、 社 会 改 良 を 目 指 さ ん と す る 主 体 的 ・ 相 対 的 な 人 間 関 係 を 重 視 し た ソ ー シ ャ ル ワ ー ク や 生 態 学 的 ア プ ロ ー チ を 試 み よ う と す る 一 般 シ ス テ ム 論 等 の 環 境 適 応 論 に 対 し て 、 真 言 密 教 福 祉 の そ れ

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は 六 大 思 想 に 見 る 基 本 的 原 理 か ら し て 、 こ れ ら の 主 体 性 重 視 の 近 代 主 義 や 全 体 性 か ら の 存 在 論 を 説 く 構 造 主 義 等 の 人 道 主 義 的 視 点 を 宇 宙 的 調 和 の も と に 包 摂 し た 、 所 謂 、 理 智 三 体 の 如 来 内 証 智 の 根 源 で あ る 自 利 利 他 の 実 践 を 伴 っ た 独 得 な 精 神 的 ア プ ロ ー チ で あ る と 言 え よ う 。 言 う な れ ば 、 主 体 そ の も の を 本 然 的 に 宇 宙 性 (仏性)的 存 在 と し 、 主 客 に お け る 仏 性 の 相 応 渉 入 に よ る 救 済 理 念 か ら し て 、 あ え て ﹁ 実 存 的 自 性 本 覚 論 ﹂ と 呼 称 す る こ と と す る 。 な お 、 密 教 福 祉 援 助 関 係 に お け る 精 神 的 ア プ ロ ー チ の 具 体 的 な 実 践 的 原 則 論 に つ い て は 、 そ の 本 質 的 な 存 在 論 と し て の 六 大 思 想 か ら 六 大 に そ の 構 成 原 理 の 特 性 で あ る 相 応 渉 入 の 一 つ を 加 え た 七 つ の 原 則 を 想 定 し 、 後 年 の 主 著 、 ﹃ 秘 密 曼 茶 羅 十 住 心 論 ﹄ 等 を 参 照 し な が ら 別 途 に 論 考 を 試 み る こ と と す る 。

真 言 密 教 の 真 理 で あ る 宇 宙 性 ( 仏性)が 具 象 化 さ れ た 大 日 如 来 は 、 宇 宙 本 体 そ の も の で あ り 、 そ れ は 六 大 で も っ て 構 成 さ れ 、 六 大 に は 、 即 ち 四 種 法 身 が 有 す る 理 智 三 体 の 如 来 内 証 智 が 相 応 渉 入 し て お り 、 こ の 智 慧 は 自 利 即 利 他 を 根 源 と す る 宇 宙 的 調 和 の 摂 理 を 形 成 し て い る 。 大 日 如 来 の 現 存 性 は 、 如 来 内 証 智 が 主 体 の 自 性 と し て 、 自 利 即 利 他 の 実 践 に よ り 現 象 世 界 に 具 現 化 さ れ る も の と し て 認 識 さ れ る 。 そ れ 故 に こ の 自 利 利 他 思 想 は 、 密 教 福 祉 思 想 の 中 枢 的 な 実 践 的 原 理 と な っ て い る 。 こ こ で は 真 言 密 教 に お け る 自 利 利 他 思 想 に つ い て 、 大 乗 仏 教 の 伝 統 的 な 菩 薩 道 と 如 来 内 証 智 と の 関 連 を 考 察 し 、 密 教 福 祉 に お け る 実 践 的 原 理 と し て の 特 性 と そ の 現 代 的 意 義 に つ い て の 推 論 を 行 う こ と と す る 。 密 教 福 祉 思 想 の 構 成 原 理-密 教 福 祉 思 想 の 研 究 ( 四

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)-密 教 文 化 (1) 真 言 の 密 意 と 自 利 利 他 思 想 従 来 か ら 大 乗 仏 教 に お け る 衆 生 救 済 思 想 は 、 典 型 的 な 自 利 即 利 他 を 特 殊 教 義 と す る 菩 薩 道 に あ る と さ れ 、 そ の 特 殊 相 で あ る 行 願 に つ い て 、 ﹁ 上 求 菩 提 即 下 化 衆 生 と も 言 い う る し 、 こ れ を 、 衆 生 無 辺 誓 願 度 、 煩 悩 無 尽 ( 量 ) 誓 願 断 、 (7) 法 門 無 量 誓 願 学 (知)、 仏 道 無 上 誓 願 成 (証)の 誓 願 行 と し て 把 握 す る こ と も 出 来 る ﹂ と さ れ て い る が 、 そ の 起 源 に つ い て は 遠 く 部 派 仏 教 時 代 に 湖 る と も 言 わ れ 、 そ の 研 究 資 料 に は 仏 教 渡 来 の イ ン ド 、 中 国 に お け る 大 乗 の 諸 経 律 論 に 及 び 、 我 が 国 に お い て は 、 奈 良 仏 教 の 大 乗 教 、 平 安 初 期 に は 真 言 宗 の 弘 法 大 師 空 海 、 天 台 宗 の 傳 教 大 師 最 澄 、 鎌 倉 時 代 に は そ れ ぞ れ の 流 れ を 形 成 し た 法 然 、 親 鷺 、 栄 西 、 道 元 等 の 祖 師 に よ る 論 著 が あ げ ら れ て い る 。 こ こ で は 弘 法 大 師 空 海 が 即 身 成 仏 思 想 の 体 系 を 構 築 す る に あ た っ て 、 そ の 中 枢 的 な 理 智 の 構 造 の 核 と し て 、 ど の よ う な 視 点 か ら 自 利 利 他 思 想 を 構 想 し 、 位 置 づ け て き た の か 、 弘 法 大 師 空 海 の 晩 年 の 主 著 で あ る ﹃ 秘 密 曼 茶 羅 十 住 心 論 ﹄ 、 ﹃ 秘 蔵 宝 鍮 ﹄ 等 を 中 心 に し て 、 ま ず こ の 命 題 を 考 察 す る こ と と す る 。 こ の 論 の 巻 第 六 、 ﹁ 他 縁 大 乗 住 心 第 六 ﹂-第 一 章 大 綱-で、 ﹁ 二 空・ 二 性 、 自 執 の 塵 を 洗 い 、 四 量 ・ 四 摂 、 他 利 の 行 (8) を 済 う ﹂ と し て 、 初 め て 菩 薩 行 が 登 場 し 、 大 日 尊 、 秘 密 主 に 告 げ て い わ く を 解 釈 し て 、 ﹁ い わ ゆ る 他 縁 乗 と は 、 い わ (9) く 平 等 の 大 誓 を 発 し て 法 界 の 衆 生 の た め に 菩 薩 の 道 を 行 ず ﹂ と し 、 ﹁ 法 相 大 乗 は こ れ を も っ て 宗 と な す 。 こ れ す な わ (10) ち い わ ゆ る 菩 薩 乗 な り 。 菩 薩 と は 、 梵 に は 菩 提 薩 垣 と い う 、 二 字 を 略 去 す る が 故 に 菩 薩 と い う ﹂ と し 、 更 に 菩 薩 の 行 願 に つ い て は 、 華 厳 経 巻 二 三-)三、 十 廻 行 品 か ら 取 意 し て 、 ﹁ 十 廻 向 ﹂ と し て 著 し て お り 、 そ の 意 味 に つ い て は 、 ﹁ 十 廻 向 と は 、 不 可 壊 性 の 十 金 剛 な り 。 己 が 所 修 を 廻 し て 趣 向 す る こ と あ る が 故 に 、 衆 生 と 菩 提 と 浬 葉 と に 廻 施 す る (11) 不 可 壊 性 な り ﹂ と し て い る 。 こ こ で は 空 海 の 菩 薩 道 観 を 知 る こ と が 重 要 で あ る た め 、 必 要 な 箇 所 を 引 用 す る こ と と す

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る 。 一 に 救 護 一 切 衆 生 離 衆 生 相 廻 向 と は 、 こ の 菩 薩 の 修 す る 所 の 六 度 四 無 量 心 は 、 三 切 衆 生 の た め に 燈 と な り 、 炬 と な っ て 無 明 の 闇 を 破 す 。 こ の 文 に 三 あ り 、 三 に は 衆 生 に 廻 施 し、二 に は 菩 提 に 廻 施 し 、 三 に は 一 切 法 の 真 実 性 に 廻 向 す る な り 。 二 に 不 壊 廻 向 と は 、 こ の 菩 薩 は⋮念 々 に 仏 を 見 て 阿 僧 祇 の 供 具 を も っ て 、 諸 仏 を 供 養 す る な り 。⋮こ の 善 根 を も っ て 一 切 衆 生 を 度 脱 し 、 清 浄 の 智 を 得 て 寂 滅 の 性 を 証 せ ん と 欲 う が た め に 等 な り 。 三 に 一 切 仏 廻 向 と は 、 こ の 菩 薩 は⋮一 切 色 乃 至 触 法 の 、 も し く は 美 、 も し く は 悪 を 見 て 愛 憎 を 生 ぜ ざ る な り 。⋮ こ の 善 根 を も っ て 衆 生 に 授 け 、 金 剛 の 菩 提 心 に 安 住 し 実 際 に 住 せ し む 。 四 に 至 一 切 処 廻 向 と は 、 こ の 菩 薩 は⋮去 来 現 劫 の 仏 の 正 覚 を 成 ず る に 、 不 可 説 の 香 雲 摩 尼 の 供 養 を も っ て せ ん こ と を 願 う 等 な り 。⋮こ の 善 根 を も っ て 普 ね く 衆 生 を 摂 し 、 如 来 智 に 入 り 法 界 に 充 遍 せ ん 。 五 に 無 尽 功 徳 蔵 廻 向 と は 、 こ の 菩 薩 は⋮善 巧 方 便 を も っ て 、 よ く 仏 事 を な し 、 仏 の 光 明 を 放 ち て 普 ね く 世 界 を 照 ら す 。⋮己 が 善 根 を も っ て 衆 生 界 に 及 ぼ し 、 薩 婆 若 に 趣 き 遍 ね く 法 界 に 入 る の み 。 六 に 随 順 堅 固 三 切 善 根 廻 向 と は 、 こ の 菩 薩 は⋮四 摂 法 を も っ て も ろ も ろ の 衆 生 を 摂 し て 、 七 宝 妻 子 手 足 支 分 を 歓 喜 し て こ と ご と く 施 す 。⋮か の 善 根 を も っ て も ろ も ろ の 衆 生 を 智 慧 海 に 入 ら し あ 、 実 際 に 安 住 せ し め ん と 願 う 等 な り 。 七 に 三 切 衆 生 廻 向 と は 、 こ の 菩 薩 は⋮智 慧 を も っ て 三 切 衆 生 の 心 行 の 差 別 を 観 察 し て こ と ご と く 清 浄 な ら し む 。⋮ こ の 善 根 を も っ て 三 切 衆 生 を し て 無 上 智 に 住 し 平 等 に 清 浄 な ら し め ん と 願 う 。 密 教 福 祉 思 想 の 構 成 原 理-密 教 福 祉 思 想 の 研 究 (四

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)-密 教 文 化 八 に 真 実 相 廻 向 と は 、 こ の 菩 薩 は⋮如 来 の 慧 日 明 か に そ の 心 を 照 し て 永 く 擬 冥 を 滅 す 。⋮こ の 善 根 を も っ て 衆 生 界 を 尽 し 、 等 正 覚 を 成 じ 法 界 に 周 遍 せ し む 。 九 に 無 著 無 縛 解 脱 廻 向 と は 、 こ の 菩 薩 は 普 賢 菩 薩 の 行 願 を 修 習 し 、 仏 の 潅 頂 を 得 て 一 念 の 中 に お い て 方 便 地 に 入 る 。⋮こ の 善 根 を も っ て 衆 生 を 開 悟 し 、 大 智 慧 を 得 て 仏 境 界 に 住 せ し む 。 十 に 等 法 界 無 量 廻 向 と は 、 こ の 菩 薩 は⋮も ろ も ろ の 衆 生 の た め に 調 御 師 と な り 、 三 切 智 道 を 示 す 。⋮か く の ご と き の 行 を 修 し て 、 普 ね く 衆 生 の た め に 一 切 智 を 成 じ 法 界 に 充 満 せ し む 。 こ こ に 示 さ れ た 菩 薩 の 行 願 を 見 れ ば 、 本 来 的 な 大 乗 に お け る 菩 薩 行 の あ り 方 を 示 さ れ て い る と と も に 、 そ の す べ て の 行 願 は ひ た す ら 如 来 内 証 智 へ の 覚 醒 を も た ら さ ん と す る も の で あ り 、 真 言 の 密 門 に 至 る ま で の 菩 薩 道 の 存 り 方 を 本 質 的 に 顕 密 表 裏 一 体 の 関 係 で 捉 え て い る こ と が 一 目 瞭 然 と し て 理 解 す る こ と が で き よ う 。 こ の こ と は 巻 第 六 の ﹁ 真 言 の 密 意 ﹂ に お い て 、 ﹁ 無 縁 乗 の 法 は 、 す な わ ち い わ ゆ る 大 慈 三 昧 な り 。 ま た こ れ 大 日 如 来 の 四 行 の 三 な り ﹂ と し 、 巻 (12) 第 十 に お い て 、 ﹁ 甚 深 秘 密 心 地 普 賢 自 性 常 住 の 法 身 を も っ て も ろ も ろ の 菩 薩 を 摂 す ﹂ と し て い る こ と か ら も 明 ら か で あ る 。 ま た 、 真 言 密 教 に お け る 自 利 利 他 の 深 義 に つ い て は 、 前 稿 の 秘 密 荘 厳 心 に み る 倫 理 性 に お い て 既 述 し た と こ ろ で あ る が 、 三 密 喩 伽 に よ り 真 言 の 密 意 を 得 た 菩 薩 は 成 仏 し 、 自 利 利 他 思 想 は 理 智 三 体 の 宇 宙 的 調 和 の 摂 理 そ の も の と し て (13) 機 能 す る こ と と な る 。 ﹁ か の 諸 尊 お の お の 自 然 の 理 智 を 倶 す ﹂ と 言 わ れ る よ う に 、 そ の 実 践 は 法 爾 と し て 、 自 然 の 理 智 に 基 づ く 顕 現 と し て 理 解 さ れ 、 本 質 的 に は 表 裏 三 体 で あ る と は 言 え 、 顕 教 の 菩 薩 道 に お け る 実 践 原 理 と は 自 ず か ら 相 違 す る も の で あ る こ と を 意 味 し て い る 。

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﹃ 即 身 成 仏 義 ﹄ に お い て 、 ﹁ 自 他 平 等 に し て 三 切 如 来 の 法 身 と 共 に 同 じ く 、 常 に 無 縁 の 大 悲 を も っ て 無 辺 の 有 情 を (14) 利 楽 し 大 仏 事 を 作 す ﹂ と あ る よ う に 、 自 利 利 他 思 想 は 、 す べ て の 存 在 を 宇 宙 性 ( 仏性) 的 存 在 、 即 ち 四 海 同 胞 (仏 性 的 世 界 を 母 体 と し て 生 ま れ た 同 胞 ) と す る 、 宇 宙 的 調 和 を 図 る 真 言 密 教 的 理 念 の 中 核 思 想 を 形 成 し て お り 、 そ の 方 法 論 と し て 成 立 し て い る ﹁ 相 応 渉 入 ﹂ 、 或 い は 、 ﹁ 入 我 我 入 ﹂ に よ る 仏 性 間 の 相 互 作 用 は 、 そ の 本 質 的 な 覚 醒 に よ る 精 神 的 革 新 性 に よ り 宇 宙 と 主 体 、 主 体 と 客 体 の 仏 性 的 合 一 化 を も た ら し 、 仏 性 的 平 等 性 を 確 立 し て い る 。 更 に 、 ﹃ 秘 密 曼 茶 羅 十 住 心 論 ﹄ 巻 第 十 に お い て 、 ﹁ 暫 く も 息 む こ と あ る こ と な し と は 、 か く の ご と く の 諸 尊 の 業 用 無 (15) 間 な り 。 こ の 仏 業 を も っ て 自 他 を 利 楽 す ﹂ と あ り 、 大 仏 事 を 作 す る 諸 尊 の 業 用 は 、 宇 宙 的 調 和 の 摂 理 で あ る 自 利 利 他 思 想 の 実 践 的 原 理 に 基 づ く も の で あ り 、 所 謂 、 仏 業 と し て 顕 教 に お け る 宿 命 論 的 な そ れ と は 異 な る 真 言 密 教 に お け る 現 実 重 視 の 即 身 成 仏 思 想 に よ る 業 論 の 特 性 を も 明 ら か に し て い る 。 か く し て 大 乗 仏 教 に お け る 伝 統 的 な 自 利 利 他 の 思 想 は 、 顕 教 に お け る 菩 薩 の 行 願 の 実 践 的 原 理 と な り 、 そ れ が 三 転 し て 真 言 密 教 に お い て は 宇 宙 的 摂 理 と し て 仏 業 に お け る 実 践 的 原 理 と な っ て い る 。 つ ま り 顕 密 二 教 の 表 裏 一 体 的 な 関 係 を 顕 す 自 利 利 他 思 想 の ) 面 性 か ら 、 密 教 に お い て は 無 明 よ り 明 に 転 ず る 、 所 謂 、 実 存 的 自 性 本 覚 へ の 覚 醒 に 見 る 本 質 的 な 思 想 的 革 新 を 意 味 す る 実 践 的 原 理 と し て 把 握 す る こ と が で き る の で あ る 。 こ の こ と は 、 ﹃ 秘 密 宝 鍮 ﹄ の 第 二-(16) 第 九 住 心 の 綱 要 で 、 ﹁ 無 縁 に 悲 を 起 し 、 唯 識 境 を 遣 れ ば 、 す な わ ち 二 障 伏 断 し 、 四 智 転 得 す ﹂ と 記 さ れ て い る よ う に 、 華 厳 宗 に み る 唯 識 思 想 に つ い て す べ て の 人 々 へ の 自 利 利 他 の 実 践 、 即 ち 菩 薩 の 願 行 に よ り 煩 悩 障 と 所 知 障 を 絶 っ て 、 阿 頼 耶 識 を 転 じ て 大 円 鏡 智 、 末 那 識 を 転 じ て 平 等 性 智 、 意 識 を 転 じ て 妙 観 察 智 、 前 五 識 を 転 じ て 成 所 作 智 と な る 転 識 得 智 を も っ て そ の 内 容 を 示 さ れ 、 更 に 秘 密 荘 厳 心 に お い て 、 ﹁ 歴 ・ 吃 の 慧 眼 は 、 無 明 の 昏 夜 を 破 し 、 日 ・ 月 の 定 光 は 、 密 教 福 祉 思 想 の 構 成 原 理-密 教 福 祉 思 想 の 研 究 ( 四

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)-密 教 文 化 (17) 有 智 の 薩 唾 を 現 ず ﹂ と し て 、 真 言 行 者 の さ と り の 眼 は 実 相 を 照 し 、 仏 性 、 即 ち 、 如 来 内 証 智 の 顕 現 し た 薩 唾 と な る こ と を 明 ら か に さ れ て い る 。 ま た 、 こ の 転 識 得 智 は 、 同 じ く ﹃ 秘 密 宝 鎗 ﹂ に お い て 、 ﹁ 法 は 人 に よ っ て 弘 ま り 、 人 は 法 を 待 っ て 昇 る 。 人 法 一 体 (18) に し て 別 異 な る こ と を 得 ず ﹂ と 記 さ れ て い る よ う に 本 質 的 存 在 へ の 覚 醒 に よ る 心 の 昇 華 を 意 味 し て お り 、 通 説 の 如 き 弁 証 法 的 発 展 を 決 し て 意 味 す る も の で は な い 。 こ の 思 想 は 、 個 人 尊 重 の 相 対 的 人 間 観 を 基 底 と し た 民 主 主 義 理 念 に 基 づ く 近 代 社 会 福 祉 の 生 存 権 (基 本 的 人権)保 障 を 基 本 と し た 制 度 ・ 施 策 や そ の 政 策 的 展 開 と は 異 な り 、 社 会 福 祉 の 対 象 概 念 に 変 容 を も た ら す こ と に な ろ う 。 即 ち 、 人 権 を 疎 外 す る 素 因 の 排 除 を 目 的 と す る 社 会 福 祉 は 、 そ の 法 体 系 に お い て 、 障 害 者 福 祉 ・ 児 童 福 祉 ・ 老 人 福 祉 等 そ れ ぞ れ 社 会 的 弱 者 と し て の 対 象 概 念 の 設 定 を 行 い 施 策 的 に メ ニ ュ ー 化 さ れ て い る が 、 密 教 福 祉 の 自 利 利 他 思 想 を 実 践 的 に 具 現 化 す れ ば 、 宇 宙 性 (仏性)的 平 等 性 を も っ て こ の よ う な 対 象 概 念 は 消 滅 す る こ と と な り 、 仏 性 間 の 必 要 と す る 相 互 扶 助 は 自 然 の 理 智 の 作 用 と し て 受 け 止 め ら れ る こ と に な る 。 こ の こ と は 、 近 代 社 会 福 祉 に お け る 単 な る パ ラ ダ イ ム の 転 換 を 意 味 す る も の で は な く 、 法 体 系 の 根 本 的 な 改 編 を 伴 っ て そ の 方 法 論 に 基 本 的 な 変 革 を も た ら す こ と に な ろ う 。 (2) 実 践 的 原 理 と し て の 徳 性 宇 宙 性 ( 仏性)的 摂 理 を 顕 す 理 智 一 体 の 自 利 利 他 思 想 は 、 宗 教 的 、 且 つ 生 命 的 調 和 の 価 値 前 提 と し て 存 在 し 、 如 来 内 証 智 の 根 源 と な っ て い る が 、 そ れ が 有 す る 徳 性 に つ い て は 、 ﹃ 秘 密 曼 茶 羅 十 住 心 論 ﹄ 巻 第 十 に お い て 、 ﹁ 金 剛 自 性 ( 阿 閾 仏 の印)光 明 遍 照 ( 宝 光 仏 の 印 ) 清 浄 不 染 ( 清 浄 法 界 身 の印)種 々 の 業 用 ( 掲 磨 智 身 の 印)方 便 加 持 ( 方 便 受

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(19) 用 身 の 印 ) を も っ て 有 情 を 救 度 し て ( 大 慈 悲 の徳)金 剛 乗 ( 説 法 の 智徳)を 演 べ た も う ﹂ と 言 わ れ て い る よ う に 、 如 来 内 証 智 そ の も の に 大 慈 悲 の 徳 が 内 包 さ れ て お り 、 自 利 利 他 思 想 、 即 如 来 内 証 智 の 関 係 が 明 ら か に さ れ て い る 。 更 に 、 如 来 内 証 智 は 、 即 ち 宇 宙 本 体 の 六 大 に 遍 満 し 、 六 大 は 、 即 ち 大 日 如 来 と な っ て 具 象 化 し て そ の 現 存 性 が 森 羅 万 象 に 顕 現 さ れ て い る と す る 図 式 が 成 立 す る こ と と な る 。 し か も そ れ ら が 全 て 一 体 的 に 同 質 同 等 な る 関 係 に あ る と す る 特 異 な 哲 学 的 視 点 を 有 し て い る こ と が 注 目 さ れ よ う 。 根 源 的 に 自 利 利 他 思 想 が 有 す る 宇 宙 性 と し て の 摂 理 が 、 実 践 的 原 理 と し て 機 能 し 、 そ の 徳 性 が 如 何 な る 様 相 の も と に 主 体 的 存 在 に 顕 現 す る も の か 、 宇 宙 性 と 主 体 性 と の 合 一 性 を 如 来 内 証 智 を 構 成 し て い る 基 本 的 な 五 智 か ら 考 察 す る こ と と す る 。 ﹁ い わ く 五 智 と は 、 一 に は 大 円 鏡 智 、 二 に は 平 等 性 智 、 三 に は 妙 観 察 智 、 四 に は 成 所 作 智 、 五 に は 法 界 体 性 智 な り 。 (加) す な わ ち こ れ 五 方 の 仏 な り ﹂ と 言 い 、 ま ず 五 智 の 構 成 と そ の 宇 宙 性 ( 仏性)的 性 格 を 前 提 と し 、 五 の 法 界 体 性 智 か ら 説 明 が 付 さ れ て い る 。 こ れ は 本 有 の 金 剛 界 に あ る 性 徳 の 法 界 体 性 智 と さ れ 、 宇 宙 本 体 の 大 毘 盧 遮 那 仏 ( 大 日 如来)を 表 わ し 、 宇 宙 的 摂 理 、 即 ち 自 利 利 他 の 竪 横 の 二 義 そ の も の を 示 し て い る 。 科 学 的 視 点 か ら の 現 象 的 意 識 に 相 当 す る と み な さ れ る 妙 観 察 智 は 、 自 在 三 昧 耶 と さ れ 、 差 異 あ る も の に 利 益 す る 阿 弥 陀 仏 を 表 わ し 、 宇 宙 性 ( 仏性)的 観 点 か ら 異 な っ た 個 々 の 主 体 的 存 在 を 観 察 し 、 そ れ ぞ れ が 本 質 的 に 仏 性 的 存 在 で あ る こ と を 示 し て い る 。 次 に 潜 在 意 識 と み な さ れ る 平 等 性 智 は 自 覚 本 初 と さ れ 、 光 明 遍 照 し て 平 等 に 利 益 す る 宝 光 仏 を 表 わ し 、 あ ら ゆ る 主 体 的 存 在 が 元 来 、 仏 性 的 存 在 で あ る こ と を 覚 知 し 、 仏 性 的 平 等 性 の 実 現 が 図 ら れ て い る 様 相 を 示 し て い る 。 ま た 、 無 意 識 と み な さ れ る 大 円 鏡 智 は 大 菩 提 心 満 月 と さ れ 、 金 剛 自 在 の あ り の ま ま の 姿 を う つ す 阿 閾 仏 を 表 わ し 、 宇 宙 と 主 体 が 相 互 に 反 映 し 、 三 体 密 教 福 祉 思 想 の 構 成 原 理-密 教 福 祉 思 想 の 研 究 (四

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)-密 教 文 化 化 し て い る 宇 宙 的 調 和 ( 摂理)の 様 相 を 示 し て い る 。 更 に 成 所 作 智 は 法 身 自 証 の 境 界 と さ れ 、 衆 生 に 利 益 を も た ら す 不 空 成 就 仏 を 表 わ し 、 摂 理 と し て の 自 利 利 他 の 徳 性 (大 日 如来)が 普 遍 的 に 現 象 世 界 に 顕 現 し 機 能 し て い る こ と と し て 解 さ れ よ う 。 こ れ ら の 五 智 は す べ て 真 言 密 教 が 慈 悲 の 深 義 と す る 自 然 の 理 智 、 即 ち 法 爾 と し て の 自 利 利 他 思 想 が 有 す る 徳 性 の 意 味 を 明 ら か に し て い る も の で あ る 。 こ れ ら の こ と か ら 近 代 主 義 の 主 体 的 ・ 相 対 的 な 科 学 的 考 察 に 対 し て 、 密 教 の 独 得 な 意 識 構 造 は 、 仏 性 を も っ て 全 体 性 、 即 主 体 性 と す る 包 摂 性 を 有 す る こ と を 示 し て い る と 言 え よ う 。 こ こ で こ の 五 智 に つ い て 、 社 会 福 祉 方 法 論 の 視 点 か ら そ の 整 合 性 と 革 新 性 を 見 出 し 、 そ の 徳 性 の 検 証 を 試 み た い 。 五 智 の 中 の 大 円 鏡 智 と 平 等 性 智 は 、 民 主 主 義 理 念 の 自 由 と 平 等 思 想 に 整 合 す る と と も に 人 権 思 想 を 包 摂 し 、 妙 観 察 智 は 近 代 主 義 、 或 い は 構 造 主 義 科 学 論 を と も に 包 摂 し て い る こ と が 容 易 に 理 解 で き る 。 ま た 、 五 智 に は 、 自 由 と 平 等 の ア メ リ カ 民 主 主 義 を 前 提 と し て 発 展 し 、 今 な お 風 靡 し て い る 社 会 福 祉 援 助 技 術 ( ソ ー シ ャ ル ワ ー ク)の 伝 統 的 な 方 法 論 で あ る 社 会 診 断 モ デ ル の 構 成 要 素 が 既 に 包 摂 さ れ て い る こ と に 気 づ か さ れ る 。 即 ち そ の 展 開 過 程 で あ る ﹁ 社 会 調 査 ( ア セ ス メ ン ト ) ー 社 会 診 断-社 会 的 処 遇 ﹂ の そ れ ぞ れ の 項 目 に 整 合 す る 要 素 を 内 包 し 、 そ の 基 本 的 な 相 対 的 人 間 観 を 遥 か に 包 容 し て い る こ と は そ の 徳 性 の 顕 れ と も 言 え よ う 。 既 に 周 知 の 如 く ま ず 社 会 調 査 は 、 個 人 、 或 い は 家 族 の 生 活 歴 ( パ ー ソ ナ ル ・ ヒ ス ト リー)や 社 会 ・ 生 活 環 境 調 査 を 行 う こ と に 始 ま る が 、 ソ ー シ ャ ル ワ ー カ ー は 、 全 展 開 過 程 を 通 じ て 利 用 者 ( ク ラ イ エ ン ト ) の 主 体 性 と 個 別 性 、 人 間 の 尊 厳 性 を 基 本 に し た 相 対 的 な 人 間 関 係 を 維 持 す る こ と と な る 。 こ の よ う な 人 道 主 義 に 基 づ い た 近 代 的 理 論 に 対 し て 法 界 体 性 智 は 、 宇 宙 性 ( 仏 性)、即 ち 基 本 的 原 理 と し て の 大 日 如 来 で あ り 、 自 利 利 他 の 摂 理 が 主 体 性 と の 同 一 化 に よ り 認 識 論 に お け る 独 得 な 価 値 前 提 と な っ て い る 。 大 円 鏡 智 は 宇 宙 的 調 和 ( 自 利 利 他 の 摂理)の も と に あ る 仏 性 的 ・ 主 体 的 存 在 を あ り の ま ま に 映 し だ す 基 底 的 な 機 能 を 有 し 、

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そ の 不 動 性 と 客 観 性 を 示 し て い る 。 ま た 、 社 会 診 断 で は こ の 社 会 調 査 に 基 づ き 、 心 理 学 的 ・ 精 神 分 析 学 的 ・ 医 学 的 . 社 会 学 的 ・ 精 神 衛 生 学 的 な 行 動 観 察 を 伴 っ た 科 学 的 判 定 が 行 わ れ て い る が 、 平 等 性 智 は 主 体 性 、 即 仏 性 と す る 仏 性 的 人 間 観 を 本 質 と す る 主 客 合 三 の 仏 性 的 平 等 性 を 確 立 し て い る も の で あ り 、 人 道 主 義 的 な 主 体 性 中 心 の 認 識 論 と は 異 な る 様 相 を 呈 し て い る 。 更 に 、 妙 観 察 智 は 近 代 主 義 、 或 い は 構 造 主 義 に よ る 科 学 的 分 析 知 も 宇 宙 性 に 包 摂 し 、 両 者 と も に 社 会 診 断 に 相 当 す る 整 合 性 を 有 し て い る と と も に 自 然 の 理 智 と し て の 自 利 利 他 思 想 を も っ て 総 合 的 に 機 能 し て い る と こ ろ に そ の 革 新 的 な 特 異 性 が あ る と 言 え よ う 。 次 に 社 会 的 処 遇 は 社 会 診 断 を 基 礎 と し 、 ソ ー シ ャ ル ワ ー カ ー と ク ラ イ エ ン ト の 相 対 的 人 間 関 係 に よ る 問 題 解 決 の た め の 所 謂 、 環 境 適 応 論 の 実 践 過 程 を 意 味 す る も の で あ る が 、 成 所 作 智 は 法 爾 と し て の 自 利 利 他 思 想 の 実 践 に よ る 衆 生 救 済 の 慈 悲 の 徳 性 を 顕 現 す る も の で あ り 、 こ れ は 現 象 世 界 に お け る そ れ ぞ れ の 主 体 的 存 在 が 、 本 然 的 な 仏 性 的 理 智 の 存 在 と し て 、 そ の 自 性 本 覚 に 覚 醒 す る 所 謂 、 実 存 的 自 性 本 覚 論 の 実 践 を 意 味 す る も の で あ る 。 密 教 福 祉 の 方 法 論 に お け る 客 体 ( ク ラ イ エ ント)に 対 す る 主 体 ( ソ ー シ ャ ル ワ ー カー)の 基 本 的 ・ 本 質 的 な 視 点 を 如 実 に 示 す も の と し て 、 ﹃ 秘 蔵 宝 鍮 ﹄ 第 二 愚 童 持 斎 心 (転 向 の 契機)を あ げ る こ と が で き る 。 引 用 す れ ば 即 ち 、 ﹁ そ れ 禿 な る 樹 、 定 ん で 禿 な る に あ ら ず 。 春 に 遇 う と き は す な わ ち 栄 え 華 さ く 。 増 れ る 氷 、 な ん ぞ 必 ず し も 氷 な ら ん 。 夏 に 入 る と き す な わ ち 洋 け 注 ぐ 。 穀 牙 湿 を 待 ち 、 卉 菓 時 に 結 ぶ 。⋮物 に 定 れ る 性 な し 。 人 な ん ぞ 常 に 悪 な ら ん 。 縁 に 遇 う と き は す な わ ち 庸 愚 も 大 道 を 庶 幾 い 、 教 に 順 ず る と き は 、 す な わ ち 凡 夫 も 賢 聖 に 斉 し か ら ん と 思 う 。 抵 羊 自 性 な し 、 (21) 愚 童 も ま た 愚 に あ ら ず ﹂ と し て お り 、 現 象 世 界 に 存 在 す る も の す べ て を 本 質 的 に 仏 性 的 存 在 で あ る と す る 価 値 前 提 を 明 ら か に す る と と も に 第 四 唯 緬 無 我 心 に お い て 、 ﹁ 麟 鳳 を 見 ざ れ ど も 、 羽 毛 の 族 を 絶 つ べ か ら ず 。 如 意 を 得 ざ れ ど も 、 密 教 福 祉 思 想 の 構 成 原 理-密 教 福 祉 思 想 の 研 究 (四

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)-密 教 文 化 (22) 金 玉 の 類 を 拠 つ べ か ら ず ﹂ と し て 、 そ の 仏 性 的 な 主 体 と 客 体 の 相 応 渉 入 に よ る 絶 え る こ と な き 人 間 関 係 の 可 能 性 を 示 唆 す る も の で あ り 、 対 人 サ ー ビ ス 論 に お け る 主 体 性 や 個 別 性 の 重 視 、 或 い は 生 態 学 的 視 点 の 近 代 科 学 的 考 察 を も 包 摂 し て い る と 言 え よ う 。 科 学 的 方 法 論 と し て 、 近 時 、 ソ ー シ ャ ル ワ ー ク の 展 開 に 重 要 な 要 素 と な っ て い る も の に 、 ア メ リ カ の ヘ レ ン ・ バ リ (23) ス ・ パ ー ル マ ン

(Helen Harris Perlman)が

称 え る ワ ー カ ビ リ テ ィ (Workability)が あ る が 、 こ れ は 問 題 解 決 に 取 り 組 む ク ラ イ エ ン ト が 有 す る 能 力 を 表 現 し た も の で 、 三 つ の 構 成 要 素 を 有 し 、 (1)動 機 づ け ( 問 題 解 決 へ の 意 欲 ) 、 (2) 能 力 ( 知 的 ・ 身 体 的 ・ 情 緒 的 能力)、 (3)機 会 ( 環 境 ・ サ ー ビ ス 条件)を あ げ 、 こ れ ら の 関 連 性 を 勘 案 し な が ら 、 そ れ に 適 応 し た 援 助 の 展 開 が 必 要 と さ れ て い る 。 こ の 科 学 的 方 法 論 は 、 主 体 的 側 面 か ら 客 体 的 側 面 を 客 観 的 に 観 察 す る こ と を 試 み る も の で あ る が 、 密 教 福 祉 の そ れ は 、 ﹃ 秘 蔵 宝 鎗 ﹄ 第 三 嬰 童 無 畏 心 に お い て 、 ﹁ そ れ 狂 毒 自 ら 解 け ず 、 医 王 よ く 治 す 。 摩 尼 自 ら 宝 に あ ら ず 、 工 人 よ く 螢 く 。 'い わ ゆ る 医 王 と 工 人 と あ に 異 人 な ら ん や 。 わ が 大 師 簿 伽 梵 そ の 人 な り 。 如 来 の 徳 は 万 種 を 具 せ り 。 三 一 の 徳 は す な わ ち 三 法 門 の 主 な り 。 か の 三 三 の 身 よ り 機 根 に 従 っ て 種 種 の 法 を 説 い (24) て 衆 生 を 度 脱 し た も う ﹂ と 如 実 に 表 現 さ れ て い る よ う に 、 大 日 如 来 の 普 遍 的 な 摂 理 の 作 用 が 存 在 の 本 質 を 顕 わ す こ と が で き 、 そ の 徳 性 は 万 種 あ り 、 そ れ ぞ れ が 諸 尊 と し て 示 現 し 、 機 根 に 応 じ て 法 を 説 き 万 人 を 救 済 す る と し て い る 。 こ の 機 根 を も っ て 動 機 づ け ・ 能 力 ・ 機 会 に 相 当 す る も の と し て 解 す る こ と が で き よ う 。 こ の こ と は 妙 観 察 智 か ら も 洞 察 で き る よ う に 主 体 が 有 す る 客 体 へ の 視 点 が 常 に 主 客 合 三 の 宇 宙 性 的 ( 仏 性的)人 間 観 に 立 っ て い る こ と を 示 し て お り 、 科 学 的 分 析 知 を も 包 容 し な が ら 、 摂 理 と し て の 自 利 利 他 思 想 が 柔 軟 な 相 応 渉 入 の 心 の 可 変 性 を も っ て 総 合 的 ・ 実 践 的 に 機 能 し 、 慈 悲 の 徳 性 を 発 現 す る も の と し て そ の 独 自 性 を 捉 え る こ と が で き る 。

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仏 性 的 摂 理 と し て の 自 利 利 他 思 想 が 、 密 教 福 祉 の 実 践 的 原 理 と し て 三 貫 し て 基 底 的 に 機 能 し て い る こ と は 、 即 身 成 仏 思 想 の 形 成 と 展 開 過 程 を 見 れ ば 既 に 自 明 の こ と で は あ る が 、 そ れ が 行 動 的 原 理 と し て 具 現 化 さ れ 、 社 会 的 実 践 に 反 映 さ れ た も の は 、 弘 法 大 師 空 海 の 独 得 な 教 王 護 国 思 想 で あ り 、 そ の 生 涯 を か け た 思 想 の 完 成 に 実 証 的 役 割 を 担 っ た も の は 、 数 あ る 歴 史 的 事 績 の 中 で も あ え て 綜 芸 種 智 院 の 創 立 に あ り と し 、 こ こ で は そ こ に 現 れ た 空 海 思 想 の 真 髄 と し て 、 教 王 護 国 思 想 が 収 敏 さ れ 端 的 に 表 現 さ れ て い る ﹁ 共 利 群 生 ﹂ の 意 義 に つ い て 若 干 の 考 察 を 行 い た い 。 な お 、 前 稿 で は 、 ﹁ 宇 宙 的 ・ 密 教 的 倫 理 性 ﹂ の 項 で-思 想 的 特 性 と し て の 教 王 護 国 思 想 に み る 民 衆 救 済-と し て 触 れ て お り 、 こ こ で は 鎮 護 国 家 思 想 と の 対 照 か ら 命 題 へ の 考 察 を 試 み る 。 (1) 教 王 護 国 思 想 の 特 性 弘 法 大 師 空 海 が 少 年 時 代 に 国 学 、 論 語 、 孝 経 及 び 史 伝 を 学 び 仏 経 を 好 ん だ と さ れ 、 三 八 歳 で 都 の 大 学 の 明 経 科 で 儒 教 を 学 び 、 漢 文 漢 籍 の 教 養 を 積 ん だ 明 晰 な 頭 脳 の 持 ち 主 で あ っ た こ と は 言 う ま で も な い が 、 何 故 に 学 業 半 ば で 大 学 を 出 て 私 度 僧 と な り 、 四 国 ・ 近 畿 の 諸 国 山 中 に 入 り 苦 行 さ れ た の か 、 或 い は 青 年 時 代 の 大 師 、 二 四 歳 の 著 作 、 ﹃ 三 教 指 帰 ﹄ で は 自 ら を 登 場 さ せ て い る と 思 わ れ る 私 小 説 的 な 物 語 の 中 で 儒 教 、 道 教 、 仏 教 を 比 較 し て 、 そ の 相 対 的 価 値 を 認 め な が ら も 、 何 故 に 仏 教 の 優 位 性 を 説 か れ て い る の か 、 当 然 の こ と な が ら 人 生 へ の 苦 悩 と そ の 時 代 的 背 景 、 或 い は 当 時 の 社 会 状 勢 が 決 し て 無 縁 な も の で は な か っ た も の と 推 量 さ れ る 。 密 教 福 祉 思 想 の 構 成 原 理-密 教 福 祉 思 想 の 研 究 ( 四

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)-密 教 文 化 大 師 の 父 、 佐 伯 直 田 公 は 大 和 朝 廷 に 仕 え た 支 配 階 級 で あ っ た た め 、 そ の 恵 ま れ た 環 境 の も と に 大 師 は 、 延 暦 七 年 ( 七 八八)に 一 五 歳 で 上 京 し 、 阿 刀 大 足 に つ い て 儒 教 な ど を 学 び 、 延 暦 一 〇 年 に 大 学 に 入 っ て い る が 、 時 あ た か も 血 生 臭 い 激 し い 政 争 の 最 中 に あ っ た 桓 武 天 皇 の 御 代 で 、 長 岡 京 遷 都 を め ぐ っ て 、 造 営 大 夫 で あ っ た 藤 原 種 継 の 暗 殺 が あ り 、 皇 太 子 早 良 親 王 の 乙 訓 寺 へ の 幽 閉 と 流 刑 地 淡 路 へ の 途 中 で の 自 殺 、 大 伴 ・ 佐 伯 の 一 族 の 連 座 に よ り 極 め て 不 穏 の 空 気 を 漂 わ せ て い た 時 代 で あ っ た 。 三 方 、 奈 良 時 代 に 渡 来 し た 仏 教 は 、 そ の 鎮 護 国 家 思 想 を も っ て 土 着 の 神 道 を 包 摂 し な が ら 、 天 皇 統 治 の 律 令 制 社 会 の 中 で 国 家 仏 教 と し て 定 着 し て い た が 、 政 争 ど 貴 賎 貧 富 の 格 差 の 増 大 す る 中 で 、 鎮 護 国 家 思 想 の 理 念 と 現 実 の 相 克 を 目 の 当 り に し て 、 大 師 が 受 け た 心 の 苦 渋 は 察 す る に 余 り あ ろ う 。 ま た 、 大 師 の 知 識 は 恐 (25) ら く 、 我 が 国 の 風 土 に 根 づ い て い た 儒 教 の 礼 教 性 と 忠 孝 論 に よ る 国 家 倫 理 、 或 い は 生 命 倫 理 、 聖 賢 に よ る 済 世 の 思 想 や 道 教 の 自 然 主 義 思 想 に 精 通 し 、 奈 良 仏 教 の 護 国 経 典 も 熟 知 し て い た も の と 思 量 さ れ る 。 護 国 経 典 に 現 れ た 仏 教 の 体 系 的 な 国 家 護 持 と 連 動 し た 個 々 の 民 衆 救 済 思 想 に 心 を 動 か さ れ 、 そ の あ る べ き 真 の 姿 を 求 め ら れ た こ と は 、 そ の 後 の 人 生 の 展 開 を 見 れ ば 明 ら か で あ る 。 さ て 、 空 海 思 想 は そ の 人 生 の 全 展 開 過 程 で 醸 成 さ れ 完 成 さ れ て お り 、 そ の 代 表 的 、 且 つ 独 創 的 な 即 身 成 仏 思 想 は 、 ま さ し く 我 が 国 の 思 想 史 を 革 す る 画 期 的 な も の で あ る こ と は 言 を ま た な い 。 自 利 利 他 思 想 は 一 貫 し て そ の 中 核 思 想 と な り 、 そ れ が 具 象 化 し た 教 王 護 国 思 想 は 、 社 会 的 実 践 に よ り 具 体 化 さ れ 、 実 証 的 に 思 想 形 成 の 推 進 機 能 を 果 た す こ と に な る 。 奈 良 仏 教 の 伝 統 的 な 鎮 護 国 家 思 想 は 、 そ の 護 国 経 典 で あ る ﹃ 仁 王 経 ﹄ ﹃ 金 光 明 経 ﹄ に ﹃ 法 華 経 ﹂ を 加 え た 三 部 経 に (26) 説 か れ て お り 、 そ れ が あ く ま で 仏 教 に よ る 正 法 治 国 で あ る と し て 、 俗 権 ( 政 治 的 権力) に 対 す る 仏 教 の 優 位 性 が 指 摘

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さ れ 、 こ れ ら の 経 典 が 大 師 に 継 承 さ れ て い る と し て い る 。 事 実 、 密 教 に よ る 正 法 治 国 に つ い て は 、 晩 年 の 主 著 、 ﹃ 秘 密 曼 茶 羅 十 住 心 論 ﹄ 巻 第二、 第 二 章 、 果 報 の 住 心-次 に 異 生 の 不 正 治 の 国 王 を 明 さん-の 項 に お い て 、 ﹁ 好 ん で 非 法 (27) を 行 じ て 正 治 な け れ ば 王 位 久 し か ら ず 諸 天 葱 る ﹂ と し て 、 天 皇 統 治 に よ る 絶 対 的 な 専 制 政 治 の も と で 、 確 信 に 満 ち た 密 教 の 優 位 性 と そ の 本 質 的 な 自 由 と 独 立 性 を 明 ら か に さ れ て い る こ と は 既 述 し た と お り で あ る 。 ま た 、 大 師 が 入 唐 求 法 し 請 来 し た ﹃ 守 護 陀 羅 尼 経 ﹄ は 、 国 王 中 心 の 呪 術 的 要 素 を 持 っ た 密 教 的 護 国 経 典 と さ れ て お り 、 と も に 機 能 し て い く こ と と な る 。 こ の こ と は 、 帰 国 後 、 薬 子 の 乱 に 見 る 乱 れ た 社 会 的 背 景 を 憂 い 、 最 初 に 鎮 護 国 家 の 修 法 を 行 っ た 弘 仁 元 年 ( 八 三〇)の ﹁ 国 家 の 奉 為 に 修 法 せ ん と 請 う 表 ﹂ に ﹁ 仁 王 経 ・ 守 護 国 界 主 経 ・ 仏 母 明 王 経 等 の 念 諦 の 法 門 あ り 。 仏 国 王 の た あ に 特 に こ の 経 を 説 き た も う 。 七 難 を 擢 滅 し 、 四 時 を 調 和 し 、 国 を 護 り 、 家 を 護 り 、 己 を 安 ん じ 、 他 を 安 (28) ん ず 、 こ の 道 の 秘 妙 の 典 な り ﹂ と し て 、 国 王 に 護 国 思 想 を 説 い て い る こ と か ら も 明 ら か で あ る 。 ま た 、 ﹃ 秘 密 曼 茶 羅 十 住 心 論 ﹄ 巻 第 二 で は 、 ﹁ も ろ も ろ の 国 王 正 法 を 任 持 し て も ろ も ろ の 内 宮 の 王 子 大 臣 と 共 に 恵 施 を 修 し 、 好 ん で 善 事 持 斎 受 戒 慈 三 摩 地 門 と 上 妙 の 梵 行 と を 行 じ 、 頻 り に 護 摩 の 息 災 増 益 を 作 り 、 曼 茶 羅 を 建 て て つ ぶ (29) さ に 潅 頂 を 受 く 。 こ れ を 功 徳 円 満 と な す ﹂ と 言 い 、 呪 術 的 要 素 を 加 味 し て 体 系 化 さ れ た 密 教 の 護 国 経 典 は 、 当 時 の 現 世 利 益 を ひ た す ら に 求 め る 貴 族 階 級 に 、 そ の 期 待 に 応 え 得 る 斬 新 性 を も っ て 迎 え 入 れ ら れ た も の と 推 量 さ れ る 。 密 教 福 祉 思 想 の 原 点 と な っ た か つ て 授 法 に 際 し て の 師 、 恵 果 阿 闊 梨 の 言 葉 に あ る ﹁ 早 く 郷 国 に 帰 っ て も っ て 国 家 に 奉 り 、 天 下 に 流 布 し て 蒼 生 の 福 を 増 せ 。 し か れ ば す な わ ち 四 海 泰 く 、 万 人 楽 し ま ん 。 こ れ す な わ ち 仏 恩 を 報 じ 、 師 恩 (30) を 報 ず 。 国 の た め に は 忠 な り 、 家 に お い て は 孝 な り ﹂ と す る 真 言 密 教 の 民 衆 救 済 思 想 は 、 儒 教 的 国 家 倫 理 、 或 い は 生 命 倫 理 を 包 摂 し な が ら 、 真 言 密 教 を 即 ち 、 福 祉 的 実 践 と す る 理 論 と 実 践 の 論 理 的 一 体 性 を 意 味 す る 特 性 を 示 し つ つ 、 密 教 福 祉 思 想 の 構 成 原 理-密 教 福 祉 思 想 の 研 究 (四

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)-密 教 文 化 思 想 の 醸 成 過 程 を 経 な が ら 、 密 数 的 加 持 祈 祷 の 独 得 な 手 法 を 加 味 し た 社 会 的 実 践 を も っ て 展 開 さ れ て い く こ と と な る 。 具 体 的 に は 祈 雨 法 、 病 気 平 癒 の 護 摩 法 等 を 修 し て 、 国 家 鎮 護 の 要 請 に 応 え て い る ほ か 、 か の 有 名 な 弘 仁 三 二 年 ( 八 二 一)の 勅 命 に よ る 讃 岐 萬 濃 池 の 修 築 に 見 ら れ る よ う な 史 実 に 残 る 多 く の 業 績 か ら も 窺 い 知 る こ と が で き る 。 確 か に 国 王 が 仏 教 に 帰 依 し て 行 う 正 法 治 国 は 、 ま さ し く 仏 教 優 位 の 観 点 か ら の 護 国 思 想 に 基 づ く も の に 相 違 は な い が 、 伝 統 的 な 大 乗 仏 教 の 護 国 思 想 は 、 律 令 制 下 に 定 着 し 、 そ の 僧 尼 令 に 見 ら れ る よ う に 明 ら か に 国 家 を 主 軸 と し て 展 開 さ れ て お り 、 鎮 護 国 家 に 連 動 す る 民 衆 救 済 は 国 家 政 策 の 範 疇 を 決 し て 出 る も の と は 考 え ら れ な い 。 し か し な が ら 、 弘 法 大 師 空 海 は 、 ﹃ 仁 王 経 開 題 ﹄-仏 説 仁 王 護 国 般 若 波 羅 蜜 経 序 品 第 三-に お い て 、 ﹁ 有 情 世 間 お よ び 器 世 間 を 合 し て (31) 名 づ け て 国 と す 。 般 若 は よ く こ の 二 世 間 を 護 り 、 実 を 穰 い 、 福 を 招 く ゆ え に 護 国 と 名 つ く ﹂ と し て 、 国 の 概 念 を 社 会 と 自 然 の ) 世 間 と し 、 仏 法 に よ る 福 祉 の 実 現 を 護 国 と し て 、 密 教 的 護 国 思 想 の 観 点 を 明 ら か に さ れ て い る こ と が 最 も 注 目 さ れ る と こ ろ で あ る 。 こ の 経 典 の 思 想 を と り 、 思 想 成 熟 期 の 大 師 、 五 十 歳 の 弘 仁 十 四 年 ( 八 二三)、東 寺 が 給 預 さ れ る に 及 び 教 王 護 国 寺 と 称 さ れ て 密 教 の 専 門 道 場 と さ れ た 。 教 王 護 国 の 教 王 は 金 剛 頂 経 の 意 で あ り 、 ま さ に 密 教 の 独 得 な 護 国 思 想 の 現 れ と し て 受 け 取 ら れ 、 あ え て 教 王 護 国 思 想 と 呼 称 す る こ と と し た 。 こ の 思 想 の 本 領 が 発 揮 さ れ る の は 、 大 師 、 五 五 歳 の 天 長 五 年 ( 八 二八)の 綜 芸 種 智 院 の 創 立 に ま た ね ば な ら な い 。 既 述 の と お り 我 が 国 に お け る 最 初 の 庶 民 の 学 校 と し て 、 そ の 貴 賎 貧 富 を 問 わ ず 学 芸 を 教 授 し 、 万 人 に 利 せ ん と す る 高 適 な 密 教 的 理 念 の 社 会 的 実 践 は 、 ま さ し く 教 王 護 国 思 想 の 具 体 化 に 他 な ら ず 、 当 時 の 専 制 政 治 に よ る 貴 賎 の 身 分 制 度 が 既 に 形 成 さ れ て い る 中 で 実 に 革 新 的 な 想 像 を 絶 す る 偉 業 で あ る と 言 わ ざ る を 得 な い 。 こ の 衆 生 救 済 を 三 念 と す る 典 型 的 な 社 会 的 実 践 か ら 普 遍 的 、 且 つ 恒 常 的 な 思 想 性 を 感 ぜ

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ず に は い ら れ な い 。 現 実 を 直 視 し た 大 師 の 強 い 宗 教 的 信 念 の 現 れ で あ り 、 ま た 、 こ の こ と が ﹃ 秘 密 曼 茶 羅 十 住 心 論 ﹄ ﹃ 秘 蔵 宝 鍮 ﹄ に 至 る 思 想 完 成 の 実 証 的 な 裏 づ け と も な っ た と 言 え よ う 。 こ こ で 平 安 仏 教 を 二 分 し た 比 叡 山 、 天 台 宗 の 祖 、 傳 教 大 師 最 澄 ( 七 六 七-八 二二)の 鎮 護 国 家 思 想 と 弘 法 大 師 空 海 (七 七 四-八 三五)の 教 王 護 国 思 想 を 福 祉 の 視 点 か ら 対 照 す る こ と に よ り 、 そ の 思 想 的 特 性 を 明 ら か に し た い 。 最 澄 、 空 海 の 両 上 人 は 、 同 時 期 に 共 に 入 唐 求 法 し 、 帰 国 後 は 最 澄 は 桓 武 天 皇 を 外 護 者 と し 、 空 海 は 桓 武 帝 な き 後 、 嵯 峨 天 皇 と の 結 び つ き に よ り そ れ ぞ れ の 教 線 を 弘 め た 。 最 澄 は 都 の 鬼 門 を 鎮 す る 比 叡 山 に 二 乗 止 観 院 を 建 立 し 、 鎮 護 国 家 の 道 場 と す る と と も に 年 分 度 者 二 名 を 得 、 更 に 東 大 寺 で 受 け た 具 足 戒 を 破 棄 し 、 ﹃ 顕 戒 論 ﹄ を 著 し て 、 大 乗 戒 壇 の 建 立 を 嵯 峨 天 皇 に 願 い 出 た が 、 南 都 六 宗 の 反 対 に 合 い 、 遂 に 生 前 に は 叶 え る こ と が で き な か っ た 。 一 方 、 空 海 は 嵯 峨 天 皇 や 貴 族 と の 文 化 的 な 交 流 を 深 め な が ら 、 南 都 六 宗 と も 争 う こ と も な く 、 密 教 に よ る 国 家 の 安 寧 や 現 世 利 益 の 求 め に 応 じ て 護 国 思 想 の 実 践 的 な 展 開 を 図 っ た 。 そ の 間 の 両 者 の 交 流 と 確 執 の 人 生 や 思 想 的 特 性 は 残 さ れ た 書 簡 類 等 に よ り 既 に 周 知 の こ と で あ る が 、 空 海 は 最 澄 と 決 別 し た 後 、 高 野 山 下 賜 の 勅 許 を 得 て 、 真 言 密 教 の 根 本 道 場 で あ る 金 剛 峯 寺 の 造 営 に 着 手 し 、 最 澄 が 死 去 し た 弘 仁 十 四 年 ( 八 二三)に 東 寺 が 給 預 さ れ 、 教 王 護 国 寺 と 称 し 、 真 言 密 教 の 専 門 道 場 と し て い る 。 こ の よ う に 両 者 が 展 開 し た 事 跡 に 鑑 み 、 仏 教 本 来 の 民 衆 救 済 の 実 践 的 な 主 軸 と な っ た 護 国 思 想 を そ の 直 接 的 に 関 わ る 論 著 か ら 窺 う な ら ば 、 最 澄 に は 菩 薩 僧 修 行 の 規 範 で あ る ﹃ 天 台 法 華 宗 年 分 縁 起 ﹄-﹁ 山 家 学 生 式 ﹂ 、 ﹁ 天 台 法 華 宗 年 分 度 者 回 小 向 大 式 ﹂ が あ り 、 空 海 に は ﹃ 遍 照 発 揮 性 霊 集 ﹄ 巻 第 十 ﹁ 綜 芸 種 智 院 の 式 井 に 序 ﹂ 、 ﹃ 秘 密 曼 茶 羅 十 住 心 論 ﹄ 、 ﹃ 秘 蔵 寳 鍮 ﹄ 等 を あ げ る こ と が で き る 。 密 教 福 祉 思 想 の 構 成 原 理-密 教 福 祉 思 想 の 研 究 (四

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)-密 教 文 化 最 澄 は 仏 教 と 国 家 と の 関 係 を 国 宝 の 概 念 か ら 説 明 し て 、 ﹁ 国 宝 と は 何 物 ぞ 、 宝 と は 道 心 な り 。 道 心 あ る の 人 を 名 づ け て 国 宝 と な す 。 故 に 古 人 の 言 く 、 径 寸 十 枚 、 こ れ 国 宝 に あ ら ず 。 三 隅 を 照 ら す こ れ す な わ ち 国 宝 な り と 。 古 哲 ま た 云 く 、 よ く 言 い て 行 う こ と 能 わ ざ る は 国 の 師 な り 。 よ く 行 い て 言 う こ と 能 わ ざ る は 国 の 用 な り 。 よ く 行 い よ く 言 う は 国 の 宝 な り 。 三 品 の う ち 、 た だ 言 う こ と 能 わ ず 行 う こ と 能 わ ざ る を 国 の 賊 と な す と 。 す な わ ち 、 道 心 あ る の 仏 子 、 西 (32) に は 菩 薩 と 称 し 、 東 に は 君 子 と 号 す 。 悪 事 を 己 に 向 え 好 事 を 他 に 与 え 、 己 を 忘 れ て 他 を 利 す る は 慈 悲 の 極 み な り ﹂ と し て 、 所 謂 、 利 他 の 菩 薩 行 に よ り 一 隅 を 照 ら す も の が 国 宝 で あ る と し 、 ま た 、 ﹁ 国 宝 国 利 、 菩 薩 に あ ら ず し て 誰 そ や 。 (33) 仏 道 に は 菩 薩 と 称 し 、 俗 道 に は 君 子 と 号 す そ の 戒 広 大 に し て 眞 俗 一 貫 す ﹂ と し て 、 国 宝 、 即 ち 菩 薩 と す る 国 家 と 菩 薩 の 一 体 化 し た 結 び つ き を 強 調 し 、 大 乗 仏 教 に よ る 鎮 護 国 家 思 想 の 展 開 を 図 っ て い る 。 更 に 、 ﹁ 生 を 軽 ん じ 法 を 重 ん じ 、 (34) 法 を し て 久 住 せ し め 国 家 を 守 護 せ ん ﹂ と し 、 或 い は ﹁ お よ そ こ の 天 台 宗 の 院 に は 、 俗 別 当 両 人 を 差 し 、 番 を 結 し て 検 校 を 加 え し め 、 兼 ね て 盗 賊 酒 女 等 を 禁 せ し め 、 仏 法 を 住 持 し 、 国 家 を 守 護 せ ん ﹂ と し て 、 国 家 護 持 の 強 い 思 想 的 性 格 を よ り 鮮 明 に し て い る 。 こ れ に 対 し て 空 海 は 、 そ の 思 想 の 真 髄 を 社 会 的 実 践 に 顕 現 し た 綜 芸 種 智 院 の 創 立 の 趣 意 に お い て 、 ﹁ 貧 賎 の 子 弟 、 (35) 津 を 問 う に と こ ろ な く 、⋮今 こ の 一 院 を 建 て て 、 普 ね く 瞳 朦 を 済 わ ん 。 ま た 善 か ら ざ ら ん や と ﹂ と し 、 ﹁ も し よ く 果 (36) た し て か く の ご と く な ら ば 、 美 を 尽 し 、 善 を 尽 せ り 。⋮国 を 益 す る の 勝 計 、 人 を 利 す る の 宝 洲 な り ﹂ と し て 、 貧 賎 の 子 弟 の た め の 学 校 を 建 て て 子 ど も 達 を 救 お う と す る こ と は 、 国 の た め に な り 、 人 の た め に な る 智 慧 で あ る と 言 い 、 ま た 、 師 に つ い て は 真 俗 離 れ ず と し て 、 法 師 に は 、 四 量 ( 慈 ・ 悲 ・ 喜 ・捨)、 四 摂 ( 布 施 ・ 愛 語 ・ 利 行 ・ 同事)の 利 他 の 行 を も っ て 貴 賎 を 看 る こ と な し と し 、 俗 の 博 士 に は 、 ﹁ 心 慈 悲 に 住 し 、 思 忠 孝 に 存 し て 、 貴 賎 を 論 ぜ ず 、 貧 富 を 看

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(37) ず ﹂ と し て 、 自 利 利 他 思 想 に よ る 独 得 な 密 教 的 平 等 思 想 に 基 づ く 護 国 思 想 の 実 践 を 説 い て い る 。 後 の ﹃ 秘 蔵 宝 鍮 ﹄ に あ る ﹁ そ れ 国 を 建 て 職 を 設 け 、 君 を 樹 て 民 を 御 む る ゆ え ん は 、 本 、 天 下 を 宰 し て 君 主 に 供 し 、 海 内 を 屠 つ て 臣 佐 に 給 (38) せ ん が た め に は あ ら ず 、 ま さ に も っ て 天 下 の 父 母 と 与 じ て 、 万 人 の 塗 炭 を 漉 わ ん が た め な り ﹂ の 三 文 は 、 ま さ し く 教 王 護 国 思 想 を も っ て 、 天 下 の 父 母 と と も に 貴 賎 貧 富 を 問 わ な い 全 て の 人 の 苦 し み か ら の 救 済 を 意 図 す る も の と し て 、 自 由 と 平 等 の 近 代 民 主 主 義 理 念 に 整 合 し 、 そ れ を 包 摂 し た そ の 思 想 的 特 性 を 明 確 に 示 し て い る 。 (2) ﹁ 共 利 群 生 ﹂ の 思 想 性 天 長 五 年 ( 八 二 六)十 二 月 十 五 日 、 大 僧 都 空 海 記 す 、 と 記 さ れ て い る こ の ﹁ 綜 芸 種 智 院 の 式 井 に 序 ﹂ の 文 末 は 、 ﹁ も し 国 を 益 し 、 人 を 利 す る 意 あ り 、 迷 を 出 で て 覚 を 証 す る こ と を 志 求 せ ん も の は 、 同 じ く 泪 塵 を 捨 て て 、 こ の 願 を 相 済 (39) ふ べ し 。 生 生 世 世 に 同 じ く 仏 乗 に 駕 し て 、 共 に 群 生 を 利 せ ん ﹂ の 言 葉 で 結 ば れ て い る 。 貴 賎 貧 富 を 問 わ な い 庶 民 の 学 校 の 設 立 の 趣 意 を 述 べ 、 即 身 成 仏 を 求 め る も の は 、 こ の 願 い に 互 い に 協 力 し 合 っ て 、 い つ の 世 に も 仏 法 に よ り 共 に 生 命 あ る も の に 尽 そ う で は な い か 、 と 広 く 世 間 に 協 力 を 喚 起 し た も の で あ り 、 平 安 初 期 の 貴 賎 の 身 分 制 度 が 確 立 さ れ て い る 中 で 密 教 的 平 等 主 義 を も っ て 、 堂 々 と ﹁ 共 利 群 生 ﹂ を 呼 び か け て い る 。 ま さ に 法 爾 と し て の 自 利 利 他 思 想 の 具 現 化 し た 教 王 護 国 思 想 が 、 行 動 的 原 理 と し て 機 能 し 、 益 国 利 人 の 社 会 的 実 践 を 通 じ て 具 体 化 し た も の と 言 え よ う 。 こ の よ う な 社 会 的 実 践 が 行 わ れ た 社 会 的 背 景 と そ の 識 見 を 大 師 の 著 作 の 中 か ら 窺 い 、 思 想 の 宗 教 的 自 立 性 と 普 遍 性 、 世 界 的 基 準 と し て の 思 想 性 と 現 代 的 意 義 に つ い て 論 及 す る こ と と す る 。 ま ず 、 当 時 の 社 会 的 背 景 で あ る 身 分 制 社 会 に 対 す る 識 見 に つ い て 瞥 見 す る な ら ば 、 ﹃ 秘 蔵 宝 鍮 ﹂-第 三 異 生 抵 羊 心-の 項 で 、 ﹁ あ る が い わ く 、 人 は 常 に 人 た り 、 畜 は 常 に 畜 た り 、 貴 賎 常 に 定 ま り 、 貧 富 恒 忙 分 れ た り と 。 か く の ご と き 密 教 福 祉 思 想 の 構 成 原 理-密 教 福 祉 思 想 の 研 究 ( 四

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)-密 教 文 化 の 類 を ば 常 見 と 名 つ く 。 ⋮ 邪 見 外 道 そ の 数 無 量 な り 。 出 要 を 知 ら ず 、 妄 見 を 祖 と し 習 え り 。 か く の ご と き 等 の 類 は み (40) な こ と ご と く 抵 羊 の 心 な り ﹂ と し て お り 、 常 見 と し て の 身 分 制 社 会 の 認 識 が 普 遍 化 さ れ て お り 、 邪 見 外 道 の 迷 信 が 横 行 し て い た 様 子 を 想 像 す る こ と が 可 能 で あ る が 、 そ れ ら へ の 視 点 は 、 真 理 (自 性 本覚)に 覚 醒 し て い な い 妄 見 と す る 密 教 的 視 点 を も っ て 明 ら か に し て い る 。 こ の 常 見 は そ の 時 代 の 社 会 的 条 理 を 形 成 し て お り 、 近 代 社 会 の 社 会 的 条 理 の 規 範 で あ る 人 権 思 想 の 視 点 か ら 見 れ ば 明 ら か に 社 会 的 不 条 理 で あ る が 、 こ の 常 見 を 既 に 心 の 迷 妄 と す る 世 間 道 に 位 置 さ せ て い る 宗 教 的 な 観 点 を 知 る こ と が で き る 。 ま た 、 常 見 で あ っ た 当 時 の 律 令 制 社 会 の 認 識 に つ い て は 、 ﹁ そ の 数 無 量 に し て 貴 賎 無 辺 な り 。 し か れ ど も な お 仁 義 を 行 う も の 幾 何 ぞ 。 忠 孝 を 修 む る も の 幾 許 り ぞ 。 礼 信 を 慎 み 守 る も の 幾 か あ る 。 律 令 を 犯 さ ざ る も の 幾 人 ぞ 。 な ら び (41) に 上 下 文 を 読 ん で 、 そ の 行 を 慎 ま ず 、 貴 賎 口 に は 是 な れ ど も 心 行 は こ と ご と く 非 な り ﹂ と し 、 律 令 体 制 の 崩 壊 の 兆 し と も と れ る 道 義 的 な 頽 廃 に つ い て の 社 会 状 勢 を 読 み 取 る こ と が で き る 。 な お 、 僧 尼 の 頽 廃 に つ い て は 、 ﹁ 仏 教 と 国 家 と の 関 係 ﹂ の 問 答 の 中 で 、 ﹁ 今 世 間 を 見 る に 、 逃 役 の も の 衆 く 、 粁 盗 の も の 多 し 。 代 を 御 む る 聖 皇 、 時 を 佐 く る 賢 臣 、 (42) こ の 禰 猴 を 見 て 黙 し 忍 ぶ こ と 能 わ ず 。 仏 教 と 王 法 と 相 和 す る と い か ん ﹂ と あ り 、 こ の 僧 綱 の 乱 れ に 対 し て 、 ﹁ 師 の い わ く 、 こ れ に ) 種 あ り 、 三 に は 悲門、二 に は 智 門 な り 。 大 悲 の 門 に は 開 し て 遮 す る こ と な く 、 大 智 の 門 に は 制 し て 開 (43) す る こ と な し ﹂ と し て 、 理 智 一 体 の 如 来 内 証 智 は 、 ま ず 法 爾 と し て の 自 利 利 他 の 実 践 に 拠 る も の と し て い る 。 ま た 、 王 法 に 対 し て は 、 ﹁ 王 法 を 細 し く せ ず 、 仏 法 を 訪 わ ず 、 愛 僧 に し た が っ て 浮 沈 し 、 貴 賎 に 任 せ て 軽 重 す 。 こ れ を も つ (44) て 代 を 駅 む 、 後 報 何 ぞ 免 れ ん 。 慎 ま ず ん ば あ る べ か ら ず 。 慎 ま ず ん ば あ る べ か ら ず ﹂ と し て お り 、 わ け て 人 を 用 い る に 貴 賎 の 身 分 に よ る 軽 重 を 強 く 戒 あ て い る 。 綜 芸 種 智 院 の 社 会 的 実 践 に 裏 づ け ら れ て 、 晩 年 に 纒 め ら れ た 思 想 の 著 は 、

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ま さ に 理 論 と 実 践 の 三 体 的 な 関 係 が 著 わ さ れ て い る こ と に 括 目 し な け れ ば な ら な い 。 密 教 に お け る 摂 理 と し て の 自 利 利 他 思 想 の 実 践 か ら 生 じ る 徳 性 と 倫 理 性 へ の 確 信 は 、 単 な る 既 存 密 教 経 典 の 論 理 的 な 体 系 づ け に よ る も の で は な い こ と を 意 味 し て い る と 言 え よ う 。 綜 芸 種 智 院 の 創 立 の 趣 意 に 見 る 貴 賎 貧 富 を 問 わ な い 教 育 を し て 、 ﹁ 国 の 勝 計 に し て 、 人 を 利 す る の 宝 洲 な り ﹂ と す る 思 想 史 を 革 し た 社 会 的 実 践 は 、 ま さ し く 密 教 的 自 利 利 他 思 想 の 実 践 に 他 な ら ず 、 時 代 的 背 景 か ら す れ ば 、 確 か に 社 会 体 制 に 対 す る 革 新 的 な 思 想 性 を 見 出 せ よ う が 、 一 方 、 こ の 思 想 性 は 決 し て 政 治 的 イ デ オ ロ ギ ー に と ら わ れ な い 密 教 的 特 性 を 示 し て い る 。 即 ち 、 前 文 に 続 い て 、 ﹁ 余 不 敏 な り と い え ど も 、 三 篭 を 九 偲 に 投 げ 、 泪 塵 を 八 挺 に 添 え て 、 四 (45) 恩 の 広 徳 を 報 じ 、 三 貼 の 良 因 と な さ ん ﹂ と し 、 自 分 は 敏 く な い が 、 微 力 を 重 ね て 、 父 母 ・ 国 王 ・ 衆 生 ・ 三 宝 の 広 徳 に 報 い 、 法 身 ・ 般 若 ・ 浬 葉 の 仏 果 を 得 る 良 き 原 因 と な し た い と す る こ の 意 は 、 四 恩 な る 大 乗 仏 教 の 有 す る 国 家 倫 理 性 の 存 在 も 宝 洲 、 即 ち 、 法 爾 と し て の 自 利 利 他 の 摂 理 、 即 ち 、 如 来 内 証 智 の 中 に 包 摂 す る 広 大 に し て 独 得 な 思 想 性 を 顕 し た も の と 言 え よ う 。 ﹁ 共 利 群 生 ﹂ は ま さ に そ の 思 想 性 を 収 敏 し た も の で あ り 、 世 に 言 う 単 な る 共 存 共 栄 を 意 味 す る も の で は 決 し て な く 、 あ く ま で 自 利 利 他 思 想 を 根 源 と す る 如 来 内 証 智 の 顕 現 に あ り 、 真 言 密 教 が 目 指 す 実 存 的 自 性 本 覚 へ の 覚 醒 を 意 味 す る も の に 他 な ら な い 。 こ れ は 大 師 が 言 う 、 ﹁ 高 野 山 万 燈 会 の 願 文 ﹂ で の 、 ﹁ 虚 空 尽 き 、 衆 生 尽 き 、 浬 葉 尽 き な ば 、 我 が 願 (46) い も 尽 き ん ﹂ と す る 確 信 に 満 ち た 絶 え ざ る 生 命 へ の 叡 智 を 指 す も の と 解 さ れ る 。 高 野 山 で の 入 定 に よ り 思 想 を 完 結 し 、 後 世 に 遺 さ れ た こ の 強 い 意 思 は 、 決 し て 思 想 の 凝 縮 に 非 ず 新 た な 展 開 に あ り 、 そ れ が 本 有 す る ﹁ 共 利 群 生 ﹂ の 革 新 的 な 思 想 性 は 、 そ の 普 遍 性 と 恒 常 性 を も っ て 、 人 権 を 標 傍 し て 止 ま な い 対 立 と 環 境 破 壊 の 世 界 、 即 ち 、 宗 教 ・ 民 族 の 対 密 教 福 祉 思 想 の 構 成 原 理-密 教 福 祉 思 想 の 研 究 (四

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