• 検索結果がありません。

Dale et al Lindenmayer et al Grime 2002, Connell Nelson et al White and Pickett 1985 Hobbs and Huenneke 1992 Alston a

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "Dale et al Lindenmayer et al Grime 2002, Connell Nelson et al White and Pickett 1985 Hobbs and Huenneke 1992 Alston a"

Copied!
12
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

津波を受けた海岸林における環境不均質性と植物の種多様性

遠座 なつみ

1

・石田 糸絵

1

・富田 瑞樹

2

・原 慶太郎

2

・平吹 喜彦

3

・西廣 淳

1,

*

1東邦大学・2東京情報大学・3東北学院大学

Environmental heterogeneity and plant diversity in a coastal forest affected by a severe tsunami

Natsumi Onza1, Itoe Ishida1, Mizuki Tomita2, Keitarou Hara2, Yoshihiko Hirabuki3 and Jun Nishihiro1,*

1Toho University, 2Tokyo University of Information Sciences, 3Tohoku Gakuin University

要旨:津波による攪乱を受けた海岸林の管理方針の検討に資することを目的として、東北地方太平洋沖地震による 津波から2年が経過した仙台市内の海岸林において、維管束植物の種多様性と環境条件の空間的パターンを分析した。 約 60.5 ha の調査地内は津波以前の環境条件と津波による攪乱の強度の違いに応じて、1)津波前の高木が残存して いる高木林(残存高木林)、2)津波前の高木林のほとんどが倒木した高木林(攪乱高木林)、3)津波前の低木林の ほとんどが倒木した低木林(攪乱低木林)、4)津波以前から存在した後背湿地(後背湿地)の 4 通りのパッチタイ プが認められた。これらのパッチタイプ間では種組成の差異が顕著であり、残存高木林では木本種が多く、攪乱低 木林では海岸生草本種が多い特徴が認められた。津波以前には均質な状態であったと考えられる残存高木林と攪乱 高木林の間でも種組成は大きく異なり、これらのパッチタイプで確認された 92 種のうち 65.2%がどちらか一方のパ ッチタイプに固有であった。全国あるいは県のレッドリストで絶滅危惧種に指定されているイヌセンブリ、タコノ アシ、オミナエシ、カワラナデシコの分布を調査したところ、これらの種のすべての個体が攪乱高木林内でのみ確 認された。1 m × 10 m のコドラートあたりの種数に影響する環境要因を分析した結果、コドラート内の凹凸の程度(地 盤がもっとも高い点と低い点の標高差)による有意な正の効果が認められた。コドラート内の顕著な標高差は、主 に倒木に伴う根返りで生成されていた。津波による攪乱は、植生パッチ間の種組成の違いすなわち β 多様性を高め ると同時に、局所的な種多様性すなわち α 多様性が高い場所の創出に寄与したことが示唆された。   キーワード:攪乱、絶滅危惧植物、東北地方太平洋沖地震、倒木、β 多様性

Abstract: The spatial patterns of plant diversity and environmental heterogeneity were analysed in a coastal forest, 2 years after the severe tsunami caused by the 2011 Great East Japan Earthquake in Japan, to gain basic knowledge for managing coastal forest after a severe disturbance. The ~60.5-ha study site was divided into four patch types: 1) tall forest with mostly remaining trees (TR); 2) tall forest with mostly fallen trees (TF); 3) low forest with mostly fallen trees (LF); and 4) back marsh remaining post-tsunami (BM). First, the species composition differed conspicuously among patches. There were significantly more woody and coastal herbaceous species in TR and LF patches than in other patches. The species composition differed conspicuously between TR and TF patches, although environmental conditions were similar before the tsunami, i.e., 65.2% of the 92 observed species were restricted to either patch. A survey revealed that four endangered or vulnerable species (Swertia

diluta var. tosaensis, Penthorum chinense, Patrinia scabiosaefolia, and Dianthus superbus var. longicalycinus) were restricted to

TF patches. The number of species in 1 × 10 m quadrats was positively related to the difference between the highest and lowest elevations in each quadrat; this gave an index of tall trees. Our results suggest that the tsunami increased both the β-diversity (among-patch diversity) and α-diversity (within-patch diversity) of the coastal forest.

Keywords: β-diversity, disturbance, endangered plants, fallen trees, The Great East Japan Earthquake

*〒 274-8510 千葉県船橋市三山 2-2-1 東邦大学理学部生命圏環境科学科

Department of Environmental Sciences, Faculty of Sciences, Toho University, Miyama 2-2-1, Funabashi, Chiba 274-8510, Japan e-mail: jun.nishihiro@env.sci.toho-u.ac.jp 2014 年 2 月 24 日受付、2014 年 9 月 13 日受理

(2)

序 文

 攪乱の規模や頻度は、植物の種多様性やその空間パタ ー ン に 大 き な 影 響 を お よ ぼ す(Dale et al. 1999; Lindenmayer et al. 2010;中静・山本 1987)。攪乱が強い あるいは頻繁な場所では、そのような条件でも生育可能 な特殊な種のみから構成される多様性が低い植生が成立 し、逆に攪乱がまれにしか生じない場所では競争の効果 が強くなり、競争に有利な少数の種のみが優占するよう になる(Grime 2002)。これらのため、攪乱の強さや頻 度が中程度の場所で種多様性が高くなる可能性が指摘さ れている(中規模攪乱説 , Connell 1978)。また攪乱は空 間的に限定された範囲で生じるため、それまで均質だっ た環境に不均質性をもたらす(中静・山本 1987;Nelson et al. 2009)。たとえば森林では、倒木や崩壊がパッチ的 に生じるため、広域的にみた場合には遷移段階の異なる 多様なパッチがモザイク状に存在することになり、それ らは動的に維持されているものとするパッチダイナミク スモデルが提唱されている(White and Pickett 1985)。中 規模攪乱説はα多様性、パッチダイナミクスモデルはβ 多様性に関する説と理論であるといえる。  攪乱は植物の種多様性にとって正の効果をもたらすと は限らない。たとえば、攪乱によってさまざまな植物の 侵入機会が増加し、侵入力の高い侵略的外来種が卓越し、 多 様 性 の 低 い 植 生 と な る 可 能 性 も あ る(Hobbs and Huenneke 1992;Alston and Richardson 2006;del Rio 2006)。攪乱が植物の多様性に及ぼす効果は、強さや空 間スケールだけでなく、生物移入に影響する周辺環境の 状態によって異なる。  東北地方太平洋沖地震とそれによって生じた津波は、 東北地方太平洋沿岸の広域にわたって攪乱をもたらし た。仙台湾岸では、海岸の砂丘の背後に成立していたク ロマツ Pinus thunbergii Parlatore を主体とする海岸林も、 他の海岸植生とともに津波による攪乱を受けた(平吹ほ か 2011;原・樋口 2013)。しかし海岸林における攪乱の 影響は空間的に均質ではなく、高木が根こそぎ倒木した 場所もあれば、倒木がほとんど生じなかった場所もある 状態となった(富田ほか 2013)。このような不均質な攪 乱は、α 多様性の高いパッチや種組成が他と異なるパッ チを生成し、同時に樹林内の β 多様性を高めた可能性 がある。  仙台湾岸の海岸林は、防潮、飛砂防備を目的とする保 安林として指定され、少なくとも 400 年以上にわたって 管理されてきた(大柳ほか 2002)。海岸林、海浜、干潟 などの特徴的な条件を含む仙台湾岸の一帯は、学術的な 価値の高さから、1973 年には宮城県自然環境保全地域 にも指定されており、そこで 2002 年に行われた植生調 査では、20 種の絶滅危惧種を含む多様な植物種が確認 され、生物多様性保全上の重要性も指摘されていた(大 柳ほか 2002)。津波による攪乱を受けた現在、仙台湾岸 の海岸林では津波からの復旧工事が進められている。そ の指針にあたる「今後における海岸防災林の再生につい て」では、「被災箇所ごとに、被災状況や地域の実情さ らには地域の生態系保全の必要性等を踏まえ、海岸防災 林の再生方法を決定していくことが必要である」旨が指 摘されている(東日本大震災に係る海岸防災林の再生に 関する検討会 2012: http://www.rinya.maff.go.jp/j/tisan/ tisan/pdf/kaiganbousairinsaisyuuhoukoku.pdf 最終確認日 2014年 2 月 27 日)。攪乱を受けた海岸林における管理 では、生物多様性についての考慮が必要であろう。  本研究では、仙台湾岸における海岸林の修復方針や、 今後他地域で同様な攪乱が生じた場合の管理方針の検討 に資することを目的として、津波の影響を受けた海岸林 における植物の種多様性の空間パターンと、それに影響 する環境要因を検討した。2013 年の時点でまだ植林事 業が行われていない場所を対象に、津波による攪乱の強 度や津波が生じる以前の状態が異なるパッチにおける、 植物の種組成と種多様性を比較した。また、攪乱後に生 じたパッチ間で特に異質性が高い環境要因である微地 形と光利用性に着目して、種多様性に対する影響を分 析した。

方 法

調査地と調査区の設定  調査は仙台市宮城野区に位置する南蒲生砂浜海岸エコ トーンモニタリングサイト(38º14’N,140º59’)で行っ た。この場所では 1100 m × 550 m(汀線と垂直方向×平 行 方 向 ) の 範 囲 に 調 査 地 が 設 定 さ れ て い る( 平 吹 2013)。この付近の海岸林は、2011 年の津波以前には、 海岸側から順に、汀線と並行した次のような帯状構造が 存在した(平吹ほか 2011)。1)緩やかな起伏を持つ砂 丘に広がる密な低木状クロマツ林(概ね樹高 8 m 以下)、 2)砂丘と高木林の境界付近に海岸線に沿って掘削され た幅約 25 m の運河(貞山堀)、3)高木状のクロマツと 広葉樹の混交林(概ね樹高 18 m)。また 3)の高木林と 隣接する場所にはヨシ Phragmites australis (Cav.) Trin. ex Steud.が優占する後背湿地が存在した。

(3)

 津波を受け、1)の低木林はほぼすべての個体が内陸 側に向かって倒木し、跡地は流砂に覆われ砂質裸地が広 がった。また 3)の高木林では高木の倒木は生じたもの の、倒木がほとんど生じず樹冠が残存した場所が汀線と 垂直な列状に生じた。この結果、幅約 20 ∼ 40 m の倒木 地と残存林が交互に存在する状態となった(図 1)。倒 木地では高木の根返りにより様々なサイズの窪地が生じ た(富田ほか 2013)。津波前から存在していた後背湿地 は、そのまま残存していた。  本研究では、砂浜海岸エコトーンモニタリングサイト 内を以下の 4 つのパッチタイプに分けた。すなわち、津 波以前は高木林で高木が残存している場所(以下「残存 高木林」とする、図 2a)、津波以前は高木林で高木が倒 木した場所(「攪乱高木林」、図 2b)、津波以前は低木林 で津波によりほぼすべてが倒木した場所(「攪乱低木林」、 図 2c)、津波以前から存在した後背湿地(「後背湿地」、 図 2d)である。  4 つのパッチタイプのそれぞれの中で、典型的な植生 と考えられた場所に 1 × 10 m のコドラートを 5 個ずつ 計 20 個設置した。コドラートのサイズは予備調査にお いて種数 - 面積曲線がほぼ飽和したことを根拠に設定し た。各コドラートを 1 × 1 m のサブコドラートに 10 分 割し、以下に述べる植物調査と環境条件調査を行った。 植物調査  調査は 2013 年 7 月 12 日から 14 日の間に行った。各 コドラート内で確認された維管束植物を記録した。調査 時期は、2012 年に行った予備調査の結果を踏まえ、多 くの種を確認しやすい時期として設定とした。ただし早 春や秋に開花する種などを見落としている可能性はあ る。この見落としを少なくするため、2013 年 5 月に各 コドラートの位置を決定するとともにそれぞれの付近の 植物相を記録し、本調査の際に参考とした。  確認された種は、外来種リスト(日本生態学会 2002) に基づき、在来種と外来種に分類した。また各パッチタ イプの植物相の特徴を検討するため、在来種を「木本種」 「海岸生草本種」「その他の草本種」に分類した。佐竹ほ か(1989a, b)に掲載されている種は「木本種」とした。 図 1.2012 年における林冠と倒木の状況。富田ほか(2013)で作成された図を改変した。

(4)

また佐竹ほか(1981, 1982a, b)における各種の解説にお いて、「海岸」「海浜」「砂丘」という海岸を主な生育地 に含むことを示す語が含まれている草本種を「海岸生草 本種」とした。 環境条件の評価  草本層における光利用性を評価するため、各サブコド ラートの中央部において、魚眼レンズ(Madoka 180, Yasuhara Co., Ltd)を用いて地上高 0.5 m の高さでの全天 写真を撮影した。撮影した写真は CanopOn 2.03c(http:// takenaka-akio.org/etc/canopon2/ 最終確認日 2014 年 1 月 15日)を用いて開空率を求め、草本層の光利用性の指 標とした。  各コドラートの地盤の標高を、2012 年 7 月 10 日に航 空レーザー測量によって得られた空間解像度 1 m の数値 標 高 モ デ ル を 用 い て、 現 地 で GPS(GPSmap 60CSx, Garmin Co., Ltd)で測定した各コドラートの緯度・経度 と照合することで求めた。またコドラート内の地盤の凹 凸の程度を評価するため、各サブコドラート内の最高点 と最低点の地盤高をオートレベル(AT-B2, TOPCON Co.,

図 2.各パッチタイプの状態:残存高木林(a)、攪乱高木林(b)、攪乱低木林(c)、後背湿地(d)。イヌセン ブリやタコノアシが生育する窪地(e)、以上は 2013 年 7 月撮影。調査地と隣接する場所で進められている 植林事業地(f)、2013 年 4 月撮影。

(5)

Ltd)を用いて測量した。各コドラート内の最高点と最 低点の標高差を求め、地面の凹凸の指標とした。  現地における環境条件の調査、すなわち全天写真の撮 影および地盤の凹凸の評価は、2013 年 7 月 12 日から 14 日の間に行った。 注目種の分布  湿性・乾性草原を主な生育場所とする保全上重要な種 と し て、 イ ヌ セ ン ブ リ Swertia diluta var. tosaensis (Makino) Hara(環境省レッドリスト 絶滅危惧 II 類、宮 城県レッドデータブック絶滅危惧 II 類)、タコノアシ

Penthorum chinense Pursh(環境省レッドリスト 準絶滅危

惧)。オミナエシ Patrinia scabiosaefolia Fisch.(隣接する 岩手県では準絶滅危惧種)、カワラナデシコ Dianthus

superbus var. longicalycinus (Maxim.) Williams(岩手県で

は準絶滅危惧種)を対象とした、調査地内での分布調査 を行った。2013 年 10 月 15 日に、GPS で軌跡を記録し ながら、残存高木林と攪乱高木林の両方を万遍なく通る ように踏査を行った。地上茎が 1 m 以上の間隔をおかず に生育している範囲をパッチとみなし、パッチの位置を GPSで記録するとともに、個体数を記録した。走出枝・ 地下茎を持つタコノアシ、オミナエシについては、一ヵ 所から出ている地上茎のまとまり(株)の数を個体数と みなした。 統計解析  各パッチタイプの種組成の特徴を明らかにするため、 コドラートあたりの在来種数、外来種数、在来木本種数、 在来海岸生草本種数、在来種の多様度指数(Simpson の 多様度指数 : D, Peet 1974)のそれぞれを目的変数、パッ チタイプを説明変数とする一般化線形モデルによる解析 を行った。各コドラートの多様度指数は以下の式で評価 した。  ここで S はコドラート内の合計在来種数、piは種 i が 確認されたサブコドラート数が全サブコドラート数(= 10)に占める割合である。一般化線形モデルにおけるリ ンク関数には多様度指数を目的変数とする解析ではガン マ分布、それ以外の解析ではポアソン分布を用いた。説 明変数の有意な効果が尤度比検定により認められた場 合、Tukey’s HDS 法による多重比較を行い、パッチタイ プ間の比較を行った。  パッチタイプ間の環境条件の相違を明らかにするた め、開空率の平均値、開空率の変動係数、平均標高、コ ドラート内の標高差(最高サブコドラートの最高地点と 最低サブコドラートの最低地点の差)のそれぞれを目的 変数、パッチタイプを説明変数とし、ガウス分布をリン ク関数とする一般化線形モデルによる解析を行った。説 明変数の有意な効果が尤度比検定により認められた場 合、Tukey’s HDS 法による多重比較を行い、パッチタイ プ間の比較を行った。  局所的な種多様性に対する環境要因の効果を明らかに するため、コドラートあたりの種多様性の指標である在 来種の種数および多様度指数のそれぞれを目的変数と し、開空率の平均値、開空率の変動係数、平均標高、コ ドラート内の標高差、コドラートあたりの外来種量(コ ドラートで確認された全外来種についての確認サブコド ラート数の合計値)を説明変数とし、パッチタイプをラ ンダム効果とする一般化線形混合モデルを用いた解析を 行った。解析では AIC を基準にしたモデル選択と、全 説明変数を含めた場合の尤度比検定を行った。リンク関 数は、在来種の種数を目的変数とする解析ではポアソン 分布、在来種の多様度指数を目的変数とする解析ではガ ンマ分布とした。  以上の統計解析は、R ver. 2.15.2 を用いて行った。

結 果

種組成の植生パッチ間の相違  残存高木林と攪乱高木林における確認種数は、他のパ ッチタイプよりも多く、互いにほぼ同等だった(表 1a)。4 通りのパッチタイプの中で、一つのタイプでの み確認された種をパッチタイプ固有種と定義し、その割 合を算出したところ、後背湿地で最も高く、次いで残存 高木林で高かった(表 1a)。津波前は同様な植生の状態 だったと推測される残存高木林と攪乱高木林の間でも種 組成は異なっており、これらのパッチタイプで確認され た 92 種のうち 65.2%はどちらか一方のタイプでのみ確 認された(表 1b)。なお、確認種と確認地点を付表 1 に まとめた。  コドラートあたりの合計種数、在来種数、在来種の多 様度指数、木本種数、海岸生草本種数にはパッチタイプ による有意な違いが認められた(表 2)。多重比較の結 果(表 2)、木本種数は残存高木林、攪乱高木林、その 他のパッチタイプの順で多いことが示された。また、海 岸生草本種数は攪乱低木林において、残存高木林及び後

(6)

背湿地より有意に多いことが示された。外来種数につい てはタイプ間の有意な違いが認められなかった(表 2)。 環境条件の植生パッチ間の相違  コドラートあたりの平均開空率、平均標高、標高差に はパッチタイプ間に有意な差異が認められた(表 3)。 平均開空率は攪乱低木林、攪乱高木林、残存高木林の順 に高かった。コドラート内の標高差は、攪乱高木林がそ の他のパッチタイプよりも有意に高かった(表 3)。 種多様性に影響する環境要因  コドラート内の在来種数に影響する要因として、平均 開空率による有意な負の効果と、標高差による有意な正 の効果が認められた(表 4a、図 3)。そのほかの要因の 効果は、外来種量の指標値の効果を含め、有意ではなか った。なお AIC 最小モデルでは平均開空率、開空率の 変動係数、標高差が選択された(表 4a)。在来種の多様 度指数を目的変数とする解析では、ここで考慮した要因 においては有意な効果が認められなかった(表 4b)。モ デル選択においても説明変数を含めないモデルが AIC 最小となった(表 4b)。 注目種の分布  イヌセンブリの分布調査のための踏査範囲は、残存高 表 1.調査地で確認された種数。a)各パッチタイプンにおける確認種数(カッコ内は在来種数)、パッチタイプ固有種数す なわち 4 通りのパッチタイプのうちそのパッチタイプでのみ確認された種の数(カッコ内は在来種数)、パッチタイプ固 有種の割合(カッコ内は在来種での割合)、確認種数における外来種の割合を示す。b)津波による攪乱を受ける前はほ ぼ均質な環境だったと考えられる残存高木林と攪乱高木林について、種の重複を示した。 a) 確認種数 固有種数 固有種率 % 外来種率% 残存高木林 64(58) 26(25) 40.6(43.1) 9.4 攪乱高木林 60(51) 17(15) 28.3(29.4) 15.0 攪乱低木林 33(25) 7 (5) 21.2(20.0) 24.2 後背湿地 22(19) 12(11) 54.5(57.8) 13.6 全体 112(97) b) 在来種数 外来種数 合計種数 残存高木林のみ 30 2 32 残存・攪乱高木林共通 28 4 32 攪乱高木林のみ 23 5 28 表 2.コドラートあたりの種数および多様度。確認植物種数、在来種数、在来種の多様度指数、在来木本種数、在来海岸生 草本種数、外来種数をパッチタイプごとに示した(平均±標準偏差)。パッチタイプを説明変数とした一般化線形モデル の尤度比検定の P 値もあわせて示す。値に添えたアルファベットは多重比較の結果であり、同じアルファベットの間で は有意差がなかったことを示す。 残存高木林 攪乱高木林 攪乱低木林 後背湿地 P 確認種数 27.0 ± 7.77 a 21.0 ± 5.10 a 13.6 ± 4.22 b 9.8 ± 4.02 b <0.001 在来種数 24.8 ± 8.23 a 17.40 ± 4.45 a 10.0 ± 3.41 b 7.6 ± 3.01 b <0.001 多様度指数 0.92 ± 0.02 a 0.90 ± 0.04 a 0.84 ± 0.08 ab 0.73 ± 0.12 b 0.004 木本種数 13.6 ± 4.92 a 6.8 ± 3.43 b 1.4 ± 1.02 c 0.4 ± 0.8 c <0.001 海岸生草本種数 0.8 ± 1.17 b 2.2 ± 1.72 ab 5.4 ± 1.36 a 1.2 ± 0.40 b <0.001 外来種数 2.2 ± 1.47 3.6 ± 1.02 2.2 ± 1.17 3.6 ± 1.02 0.332 表 3.コドラートごとの環境条件。平均開空率、開空率の変動係数、平均標高、標高差をパッチタイプごとに示した(平均± 標準偏差)。パッチタイプを説明変数とした一般化線形モデルの尤度比検定の P 値もあわせて示す。値に添えたアルファ ベットは多重比較の結果であり、同じアルファベットの間では有意差がなかったことを示す。 残存高木林 攪乱高木林 攪乱低木林 後背湿地 P 平均開空率(%) 20.64 ± 7.49 c 56.58 ± 18.81 b 80.41 ± 7.14 a 38.74 ± 9.88 ab <0.001 開空率の CV 0.20 ± 0.05 0.21 ± 0.14 0.14 ± 0.08 0.22 ± 0.09 0.588 平均標高 (m) 0.57 ± 0.25 b 0.55 ± 0.16 b 1.39 ± 0.32 a 0.28 ± 0.27 b <0.001 標高差 (m) 0.20 ± 0.09 b 0.48 ± 0.24 a 0.22 ± 0.04 b 0.08 ± 0.03 b <0.001

(7)

木林は 1125 m、攪乱高木林は 922 m となった。調査対 象としたイヌセンブリ、タコノアシ、オミナエシ、カワ ラナデシコはすべて攪乱高木林で確認された(表 5)。 これらのうち、イヌセンブリとタコノアシは、ほとんど の 場 合、 根 返 り で 生 じ た 窪 地 内 で ド ロ イ Juncus

gracillimus (Buchen.) V.Krecz. et Gontsch、ハリコウガイゼ

キショウ J. wallichianus Laharpe と混生していた(図 2e)。オミナエシはやや乾燥した場所でススキと同所的 に生育していた。カワラナデシコは後背湿地の縁部に近 い裸地的な場所で確認された。

考 察

攪乱強度に伴うパッチ間異質性  一般に攪乱は、競争の緩和に加え、光・地形・水分な どの環境条件の空間的異質性の増加を通して、生物種の 多様性を増加させる(Elliott et al. 2002;Nelson et al. 2009;Morimoto et al. 2011)。本研究で調査対象としたク ロマツを主体とする海岸高木林は、津波以前には、倒木 によるギャップは存在したと考えられるが、草原生の植 物を主体とする立地はごく限られた範囲にしか存在しな かったものと推測される。本研究では、攪乱高木林と残 存高木林の間に明瞭な種組成の相違が認められ、津波に よる攪乱の強さの空間的な不均質性が、樹林の β 多様 性を増加させたことが示された。攪乱が生じたパッチで 草本種数が増加することは、樹林においては一般的な現

象である(Swindel et al. 1984;Peltzer et al. 2000)。本研 究においても、攪乱高木林がイヌセンブリ、タコノアシ、 カワラナデシコ、オミナエシといった明るい場を好む保 全上重要な草本種の生育場所となっていることが確認さ れた。これらの種が津波による攪乱以前から存在してい た可能性は否定できない。一方、永続的埋土種子集団を 形成するタコノアシ(Yamada et al. 2013)のような種は、 津波による攪乱で新たに出現した可能性も考えられる。  攪乱が強かったパッチでは海岸生の草本種が多かっ た。津波による攪乱が強かった場所で海岸生植物が多く 出現する傾向は、津波が生じた当年から、東北地方沿岸 の各地で確認されている(Hayasaka et al. 2012)。一方、 コウボウシバ Carex pumila Thunb. やハマアオスゲ C.

fibrillose Franch. et Savat.のような海岸生植物の一部は、

表 4.コドラートあたりの a)在来種数、b)在来種の多様度指 数に対する環境条件の影響。一般化線形混合モデルで推定 された係数と尤度比検定の P 値を示す。またモデル選択の 結果、AIC 最小となるモデルで選択された変数の結果は太 字で示した。 a)在来種数への効果 係数 標準誤差 P 平均開空率 -0.018 0.005 <0.001 開空率の CV -1.084 1.105 0.311 平均標高 0.279 0.192 0.178 標高差 0.948 0.351 0.028 外来種量 -0.010 0.015 0.532 b)在来種の多様度指数への効果 係数 標準誤差 P 平均開空率 0.004 0.002 0.173 開空率の CV 0.218 0.448 0.648 平均標高 0.050 0.088 0.647 標高差 -0.140 0.172 0.412 外来種量 0.006 0.006 0.379 図 3.コドラートあたりの在来種数と標高差(a)および平均開 空率(b)の関係。パッチタイプごとに以下の通りシンボ ルを変えた。○:残存高木林、△:攪乱高木林、+:攪乱 低木林、×:後背湿地。

(8)

残存高木林内でも認められた。この原因としては、津波 により残存林内にも海岸生の植物の種子が輸送されてき た可能性があること、および残存高木林の林帯幅が狭く 林内でも光利用性が高いことが考えられる。  空間的に不均質な攪乱で生じた β 多様性は、土壌や 地形などの改変が小さければ、時間の経過とともに失わ れていく可能性がある(Haeussler et al. 1999;Hino and Hiura 2009;Newmaster and Bell 2002)。しかし、本研究 で対象とした海岸林では、攪乱の強度に対応して微地形 の変化や土砂の堆積状況に顕著な差異が生じている(富 田ほか 2013)。また今後の植生動態に影響する枯死木や 散布体などの生物学的遺産(biological legacy, Foster et al. 1998)の残存状況も、攪乱高木林と残存高木林の間では 大きく異なると考えられる(富田ほか 2013)。そのため、 大規模な人為的な改変等が行われない限り、今後植生遷 移が進行した後にも、海岸林内の種組成の異質性が維持 される可能性がある。 微環境と植物の多様性  本研究では、コドラート内の標高差、すなわち地形の 凹凸の程度による、局所的な種多様性に対する正の効果 が確認された。一般化線形混合モデルにより、パッチタ イプの差異を考慮しても標高差による正の効果が認めら れ、地面の凹凸と種多様性の正の関係は攪乱の強度に関 わらず成立する関係であることがわかった。これは主に 比高が土壌中の水分利用性に影響することを反映したも のだろう。特に攪乱高木林に生じた深い窪地は、湿地性 のカヤツリグサ科やイネ科植物の生育立地となっており (菅野ほか 投稿中)、そのような場所が、比高が高く乾 燥しやすい場所の中に生じたことにより、局所的に高い 種多様性もたらしたものと理解できる。  本研究において個別に分布を調査した保全上重要な植 物のうち、イヌセンブリとタコノアシは高木の根返りで 生じた窪地内で確認され、オミナエシはやや乾燥しやす い平坦地で確認された。これらの種の分布からも、攪乱 で形成された微地形が、種の分布に重要な効果をもたら していたことが示唆される。  森林における強い攪乱は、パイオニア的な外来植物を 増加させ(Alston and Richardson 2006;del Rio 2006)、 在来種の出現を抑制する可能性があることが指摘されて いる(Hobbs and Huenneke 1992;Corbin and D’Antonio 2004;Roberts 2004)。本研究では、攪乱の強度と外来種 の種数との間には特別な関係が見出されなかった。また 外来種の出現頻度による、在来種多様性への負の効果も 見出されなかった。しかしこの結果は、必ずしも攪乱地 においても外来種の問題が存在しないことを意味しな い。本研究では種組成とサブコドラート単位での出現頻 度に基づき分析したが、被度を評価した場合には結果が 異なる可能性がある。実際、同じ場所で行われた植生学 的調査では、倒木が多く生じた場所においてハリエンジ ュ Robinia pseudoacacia L. や イ タ チ ハ ギ Amorapha

fruticosa L.が優占しつつある場所が存在することが指摘 されている(菅野ほか 投稿中)。生物多様性保全のため には、今後のモニタリングと必要に応じた外来種抑制管 理が重要であると考えられる。 保全への示唆  生物多様性の保全においては、多様性のパターンにお ける階層性を認識し、それぞれの階層に影響するプロセ スを動的に維持することが重要である(山浦 2004)。本 研究では、津波による攪乱が、津波以前から存在した環 境の不均質性と相まって海岸林とその周辺域の植物種の β 多様性を高めるとともに、強い攪乱によって α 多様性 が高い場所の創出に寄与したことが示された。本研究で は植物のみを対象としたが、一般に、草本と木本の組み 合わせのような植物がつくりだす構造的な複雑性は、動 物の多様性の維持にとっても重要である(Tews et al. 2004;Donald et al. 1998)。津波による攪乱を受けた海岸 林は、生物多様性保全上重要な場所となる可能性がある。  調査地を含む仙台湾岸で現在進められている植林事業 では、多様な立地条件を含む高木林とその跡地が、一様 に 2 m 以上の盛土により埋められ、その上部に植林が行 われている(図 2f)。この植林手法は、本研究でパッチ タイプ内・パッチタイプ間の両階層に認められたような 植物の多様性を損ない、均質化するものである。この事 業の主要な主体は林野庁であり、同庁は「森林・林業基 本計画」において、生物多様性保全を重視した森林管理 の方針を示している(平成 24 年度版森林・林業白書 http://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/23hakusyo/ zenbun.html 最終確認日 2014 年 2 月 17 日)。盛土を行う 表 5.分布調査対象種の出現頻度。すべて攪乱高木林で確認さ れた。 種名 パッチ数 合計個体数 イヌセンブリ 8 233 タコノアシ 1 10 オミナエシ 8 77 カワラナデシコ 2 77

(9)

根拠としては、地盤を高くし地下水位を下げたほうが根 の緊縛力が向上し、根返りが生じにくくなることが挙げ られているが(同白書 p.26)、これは樹林が持つ生物多 様性保全を含めた多面的な機能(同白書 p.194 ∼ 199) のうち、一部の機能のみを追求し、他の複数の機能を犠 牲にする選択と言えるだろう。採用する方策により発揮 される生態系機能や生態系サービスの間でトレードオフ がある場合、その実態や予測を科学的に明示し、合意形 成の場に供することが重要である(Daily et al. 2009;de Groot et al. 2010)。海岸林の管理においても、生態系サ ービスやその基盤となる生物多様性の実態を明らかに し、複数の側面からの検討が行われることが望まれる。

謝 辞

 本研究の野外調査では、永幡嘉之さん、小澤佳奈さん、 中西 諒さん、峯岸竜也さんにお世話になりました。ま たデータ解析や研究のとりまとめでは鏡味麻衣子博士、 高木 俊博士にお世話になりました。記してお礼申し上 げます。本研究の一部は、東北学院大学学長研究助成金 (平成 25 年度)の助成を得て実施しました。

引用文献

Alston KP, Richardson DM (2006) The roles of habitat features, disturbance, and distance from putative source populations in structuring alien plant invasions at the urban/ wildland interface on the Cape Peninsula, South Africa. Biological Conservation 132:183-198.

Connell JH (1978) Diversity in tropical rain forests and coral reefs. Science 199:1302-1310.

Corbin JD, D’Antonio CM (2004) Competition between native perennial and exotic annual grasses: Implications for an historical invasion. Ecology 85:1273-1283.

Daily GC, Polasky S, Goldstein J, Kareiva PM, Mooney HA, Pejchar L, Ricketts TH, Salzman J, Shallenberger R (2009) Ecosystem services in decision making time to deliver. Frontier in Ecology and the Environment 7:21-28.

Dale VH, Lugo A, MacMahon J, Pickett STA (1999) Ecosystem management in the context of large, infrequent disturbances. Ecosystems 1:546-557.

de Groot RS, Alkemade R, Braat L, Hein L, Willemen L (2010) Challenges in integrating the concept of ecosystem services and values in landscape planning, management and decision making. Ecological Complexity 7:260-272. del Rio CMR (2006) Changes in understory composition

following catastrophic windthrow and salvage logging in a subalpine forest ecosystem. Canadian Journal of Forest

Research 36:2943-2954.

Donald PF, Fuller RJ, Evans AD, Gough SJ (1998) Effects of forest management and grazing on breeding bird communities in plantations of broadleaved and coniferous trees in western England. Biological Conservation 85:183-197.

Elliott KJ, Hitchcock SL, Krueger L (2002) Vegetation response to large scale disturbance in a southern Appalachian forest: Hurricane opal and salvage logging. Journal of the Torrey Botanical Society 129:48-59.

Foster DR, Knight DH, Franklin JF (1998) Landscape patterns and legacies resulting from large, infrequent forest disturbances. Ecosystems 1:497-510.

Grime JP (2002) Plant Strategies, Vegetation Processes, and Ecosystem Properties. 2nd ed. John Wiley & Sons, West Sussex.

原 慶太郎・樋口広芳 (2013) 東日本大震災が生態系に 及ぼした影響. 地球環境 18:23-33.

Hauessler S, Bedford L, Boateng JO, MacKinnon A (1999) Plant community responses to mechanical site preparation in northern interior British Columbia. Canadian Journal of Forest Research 29:1084-1100.

Hayasaka D, Shimada N, Konno H, Sudayama H, Kawanishi M, Uchida T, Goka K (2012) Floristic variation of beach vegetation caused by the 2011 Tohoku-oki tsunami in northern Tohoku, Japan. Ecological Engineering 44:227-232.

Hino T, Hiura T (2009) Effects of disturbance history and environmental factors on the diversity and productivity of understory vegetation in a cool-temperate forest in Japan. Forest Ecology and Management 257:843-857.

平吹喜彦 (2013) 特集にあたって:自然環境復元の基盤 情報を提供する海岸エコトーンモニタリング. 自然環 境復元研究 6:39-41. 平吹喜彦・富田瑞樹・菅野 洋・原 慶太郎 (2011) 東 日本大震災・大津波で被災した仙台湾砂浜海岸エコト ーンとその植生状況. 薬用植物研究 33:45-57.

Hobbs RJ, Huenneke LF (1992) Disturbance, diversity, and invasion implications for conservation. Conservation Biology 6:324-337.

Lindenmayer DB, Likens GE, Franklin JF (2010) Rapid responses to facilitate ecological discoveries from major disturbances. Frontier of Ecology and Evolution 8:527-532. Morimoto J, Morimoto M, Nakamura F (2011) Initial

vegetation recovery following a blowdown of a conifer plantation in monsoonal East Asia: Impacts of legacy retention, salvaging, site preparation, and weeding. Forest Ecology and Management 261:1353-1361.

中静 透・山本進一 (1987) 自然攪乱と森林群集の安定 性. 日本生態学会誌 37:19-30.

Nelson JL, Groninger JW, Ruffner CM, Battaglia LL (2009) Past land use, disturbance regime change, and vegetation response in a southern Illinois bottomland conservation

(10)

area. Journal of the Torrey Botanical Society 136:242-256. Newmaster SG, Bell FW (2002) The effects of silvicultural

disturbances on cryptogam diversity in the boreal-mixedwood forest. Canadian Journal of Forest Research 32:38-51. 日本生態学会 (編) (2002) 外来種ハンドブック. 地人書 館, 東京. 大柳雄彦・平吹喜彦・庄子邦光 (2002) 仙台湾海浜県自 然環境保全地域の植物相. 仙台湾海浜県自然環境保全 地域学術調査報告書. pp.3-42. 宮城県環境生活部自然 保護課, 仙台市.

Peet RK (1974) The measurement of species diversity. Annual Review of Ecology and Systematics 5:285-307.

Peltzer DA, Bast ML, Wilson SD, Gerry AK (2000) Plant diversity and tree responses following contrasting disturbances in boreal forest. Forest Ecology and Management 127:191-203.

Roberts MR (2004) Response of the herbaceous layer to natural disturbance in North American forests. Canadian Journal of Botany 82:1273-1283. 佐竹義輔・原 寛・亘理俊次・冨成忠夫 (1989a) 日本の 野生植物 木本Ⅰ. 平凡社, 東京. 佐竹義輔・原 寛・亘理俊次・冨成忠夫 (1989b) 日本の 野生植物 木本Ⅱ. 平凡社, 東京. 佐竹義輔・大井次三郎・北山四郎・亘理俊次・冨成忠夫 (1981) 日本の野生植物 草本Ⅲ合弁花類. 平凡社, 東京. 佐竹義輔・大井次三郎・北山四郎・亘理俊次・冨成忠夫 (1982a) 日本の野生植物 草本Ⅰ単子葉類. 平凡社, 東京. 佐竹義輔・大井次三郎・北山四郎・亘理俊次・冨成忠夫 (1982b) 日本の野生植物 草本Ⅱ離弁花類. 平凡社, 東京. Swindel BF, Conde LF, Smith JE (1984) Species diversity:

Concept, measurement, and response to clearcutting and site-preparation. Forest Ecology and Management 8:11-22. Tews J, Brose U, Grimm V, Tielberger K, Wichmann MC,

Schwager M, Jeltsch F (2004) Animal species diversity driven by habitat heterogeneity/diversity: The importance of keystone structures. Journal of Biogeography 31:79-92. 富田瑞樹・平吹喜彦・菅野 洋・原 慶太郎 (2013) 海

岸林の津波撹乱跡地における生物的遺産の分布と堆砂 状況. 自然環境復元研究 6:51-60.

White PS, Pickett STA (1985) Natural disturbance and patch dynamics: An introduction. In Pickett STA, White PS (eds) The Ecology of Natural Disturbance and Patch Dynamics. pp. 3-16. Academic Press, San Diego.

Yamada S, Kitagawa Y, Okubo S (2013) A comparative study of the seed banks of abandoned paddy fields along a chronosequence in Japan. Agriculture, Ecosystems and Environment 176:70-78.

山浦悠一 (2004) 生物多様性の保全に配慮した森林管理 に向けて―ランドスケープエコロジーと階層性理論. 日本林学会誌 86:287-297.

(11)

付表 1.コドラート調査で確認された維管束植物種。「属性」の列は本研究の解析で採用した、外来種、在来木本種、在来海岸生草本種、 その他の在来草本種の区別を示す。「TR, TF, LF, BM」は確認されたパッチタイプを示し、それぞれ「残存高木林,攪乱高木林, 攪乱低木林,後背湿地」を示し、◎は一つのパッチタイプのみでの出現(パッチタイプ固有種)を、○は複数のパッチタイプ で確認されたことを示す。学名は Y-list(米倉浩司・梶田忠 2003- BG Plants 和名 - 学名インデックス,http://bean.bio.chiba-u.jp/ bgplants/ylist_main.html, 最終確認日 2013 年 12 月 1 日)にしたがった。

科名 和名 学名 属性 TR TF LF BM

トクサ科 スギナ Equisetum arvense L. その他     ◎  

マツ科 アカマツ Pinus densiflora Siebold et Zucc. 木本種 ○ ○    

  クロマツ Pinus thunbergii Parl. 木本種 ○ ○ ○  

ブナ科 コナラ Quercus serrata Murray 木本種 ◎      

クワ科 ヤマグワ Morus australis Poir. 木本種 ◎      

タデ科 オオイヌタデ Persicaria lapathifolia (L.) Delarbre その他       ◎

  シロバナサクラタデ Persicaria japonica (Meisn.) Nakai ex Ohki その他       ◎

  ヒメスイバ Rumex acetosella L. subsp. pyrenaicus (Pourret et Lapeyr.) Akeroyd 外来種     ◎  

ヤマゴボウ科 ヨウシュヤマゴボウ Phytolacca americana L. 外来種   ○ ○  

ナデシコ科 ウシハコベ Stellaria aquatica (L.) Scop. その他   ◎    

アカザ科 シロザ Chenopodium album L. その他 ○ ○    

アケビ科 アケビ Akebia quinata (Houtt.) Decne. 木本種 ◎      

  ミツバアケビ Akebia trifoliata (Thunb.) Koidz. 木本種 ○ ○    

ドクダミ科 ドクダミ Houttuynia cordata Thunb. その他 ○ ○    

アブラナ科 イヌガラシ Rorippa indica (L.) Hiern その他     ○ ○

  タネツケバナ Cardamine scutata Thunb. その他   ◎    

バラ科 ウワミズザクラ Padus grayana (Maxim.) C.K.Schneid. 木本種 ◎      

  カスミザクラ Cerasus leveilleana (Koehne) H.Ohba 木本種 ◎      

  ズミ Malus toringo (Siebold) Siebold ex de Vriese 木本種   ◎    

  テリハノイバラ Rosa luciae Rochebr. et Franch. ex Crép 木本種   ○   ○

  ノイバラ Rosa multiflora Thunb. 木本種 ○ ○ ○ ○

  モミジイチゴ Rubus palmatus Thunb. var. coptophyllus (A.Gray) Kuntze ex Koidz. 木本種 ◎      

  ヤマザクラ Cerasus jamasakura (Siebold ex Koidz.) H.Ohba 木本種 ○ ○ ○  

  キジムシロ Potentilla sprengeliana Lehm. その他 ◎      

マメ科 ネムノキ Albizia julibrissin Durazz. 木本種 ◎      

  クズ Pueraria lobata (Willd.) Ohwi その他 ◎      

  ヌスビトハギ Desmodium podocarpum DC. subsp. oxyphyllum (DC.) H.Ohashi その他 ◎      

  メドハギ Lespedeza cuneata (Dum.Cours.) G.Don その他 ○   ○  

  コマツナギ Indigofera pseudotinctoria Matsum. 海岸生   ◎    

  ハマエンドウ Lathyrus japonicus Willd. 海岸生     ◎  

  ハリエンジュ Robinia pseudoacacia L. 外来種 ○ ○ ○  

ドクウツギ科 ドクウツギ Coriaria japonica A.Gray 木本種 ○   ○  

ウルシ科 ツタウルシ Toxicodendron orientale Greene 木本種 ○ ○    

  ヤマウルシ Toxicodendron trichocarpum (Miq.) Kuntze 木本種 ◎      

モチノキ科 ハイイヌツゲ Ilex crenata Thunb. var. radicans (Nakai ex H.Hara) Murai 木本種 ○ ○    

ニシキギ科 コマユミ Euonymus alatus (Thunb.) Siebold f. striatus (Thunb.) Makino 木本種 ◎      

  ツリバナ Euonymus oxyphyllus Miq. 木本種 ◎      

  ツルウメモドキ Celastrus orbiculatus Thunb. 木本種 ○   ○  

クロウメモドキ科 クマヤナギ Berchemia racemosa Siebold et Zucc. 木本種 ○ ○    

ブドウ科 ツタ Parthenocissus tricuspidata (Siebold et Zucc.) Planch. 木本種 ○ ○    

  ノブドウ Ampelopsis glandulosa (Wall.) Momiy. var. heterophylla (Thunb.) Momiy. その他 ◎      

グミ科 アキグミ Elaeagnus umbellata Thunb. 木本種 ◎      

アカバナ科 アカバナ Epilobium pyrricholophum Franch. et Sav. その他   ◎    

  チョウジタデ Ludwigia epilobioides Maxim. その他       ◎

  コマツヨイグサ Oenothera laciniata Hill 外来種   ○ ○  

  メマツヨイグサ Oenothera biennis L. 外来種 ○   ○  

アリノトウグサ科 アリノトウグサ Haloragis micrantha (Thunb.) R.Br. その他   ◎    

ウコギ科 ウド Aralia cordata Thunb. その他 ◎      

セリ科 ドクゼリ Cicuta virosa L. その他   ◎    

  ヤブジラミ Torilis japonica (Houtt.) DC. その他       ◎

ツツジ科 ナツハゼ Vaccinium oldhamii Miq. 木本種 ○ ○    

  ホツツジ Elliottia paniculata (Siebold et Zucc.) Hook. 木本種 ○ ○    

  レンゲツツジ Rhododendron molle (Blume) G.Don subsp. japonicum (A.Gray) K.Kron 木本種 ○ ○    

ヤブコウジ科 ヤブコウジ Ardisia japonica (Thunb.) Blume 木本種 ◎      

モクセイ科 オオバイボタ Ligustrum ovalifolium Hassk. 木本種 ◎      

リンドウ科 ツルリンドウ Tripterospermum trinervium (Thunb.) H.Ohashi et H.Nakai その他 ◎      

アカネ科 ヘクソカズラ Paederia scandens (Lour.) Merr. その他 ○ ○ ○  

(12)

科名 和名 学名 属性 TR TF LF BM ヒルガオ科 ハマヒルガオ Calystegia soldanella (L.) R.Br. 海岸生   ○ ○  

クマツヅラ科 ムラサキシキブ Callicarpa japonica Thunb. 木本種   ◎    

シソ科 イヌトウバナ Clinopodium micranthum (Regel) H.Hara その他   ◎    

  ヒメジソ Mosla dianthera (Buch.-Ham. ex Roxb.) Maxim. その他       ◎

  ヒメナミキ Scutellaria dependens Maxim. その他       ◎

  ヤマハッカ Isodon inflexus (Thunb.) Kudô その他       ◎

ゴマノハグサ科 ウンラン Linaria japonica Miq. 海岸生   ○ ○  

スイカズラ科 ウグイスカグラ Lonicera gracilipes Miq var. glabra Miq. 木本種 ○ ○    

  ガマズミ Viburnum dilatatum Thunb. 木本種 ○ ○    

  スイカズラ Lonicera japonica Thunb. 木本種 ○ ○    

キク科 アキノキリンソウ Solidago virgaurea L. subsp. asiatica (Nakai ex H.Hara) Kitam. ex H.Hara その他 ○ ○   ○

  イワニガナ Ixeris stolonifera A.Gray その他   ◎    

  キッコウハグマ Ainsliaea apiculata Sch.Bip. その他 ◎      

  コウゾリナ Picris hieracioides L. subsp. japonica (Thunb.) Krylov その他 ◎      

  シラヤマギク Aster scaber Thunb. その他 ◎      

  シロヨメナ Aster ageratoides Turcz. var. ageratoides その他 ○ ○    

  ニガナ Ixeridium dentatum (Thunb.) Tzvelev その他   ◎    

  ノゲシ Sonchus oleraceus L. その他 ○   ○  

  ノコンギク Aster microcephalus (Miq.) Franch. et Sav. var. ovatus (Franch. et Sav.)

Soejima et Mot.Ito その他   ◎       ヤマシロギク Aster semiamplexicaulis (Makino) Makino ex Koidz. その他 ◎      

  ヨモギ Artemisia indica Willd. var. maximowiczii (Nakai) H.Hara その他 ○ ○ ○ ○

  ハマニガナ Ixeris repens (L.) A.Gray 海岸生     ◎  

  アメリカセンダングサ Bidens frondosa L. 外来種 ○ ○    

  オオアレチノギク Conyza sumatrensis (Retz.) E.Walker 外来種   ◎    

  オニノゲシ Sonchus asper (L.) Hill 外来種     ◎  

  セイタカアワダチソウ Solidago altissima L. 外来種   ○ ○ ○

  ヒメジョオン Erigeron annuus (L.) Pers. 外来種 ○ ○    

  ヒメムカシヨモギ Conyza canadensis (L.) Cronquist 外来種 ○ ○ ○ ○

  ホウキギク Symphyotrichum subulatum (Michx.) G.L. Nesom var. subulatum 外来種       ◎

  タンポポ属 sp. Taraxacum sp. その他 ○ ○    

ユリ科 サルトリイバラ Smilax china L. その他 ○ ○    

  ヒメヤブラン Liriope minor (Maxim.) Makino その他 ○ ○ ○  

ヤマノイモ科 ヤマノイモ Dioscorea japonica Thunb. その他   ◎    

イグサ科 スズメノヤリ Luzula capitata (Miq.) Miq. ex Kom. その他 ○ ○    

  ハナビゼキショウ Juncus alatus Franch. et Sav. その他       ◎

  イヌイ Juncus fauriei H.Lév. et Vaniot 海岸生 ○ ○   ○

イネ科 チガヤ(広義) Imperata cylindrica (L.) Raeusch. その他   ○   ○

  シンウシノケグサ Festuca ovina L. subsp. ovina その他     ◎  

  ススキ Miscanthus sinensis Andersson その他 ○ ○ ○ ○

  チガヤ Imperata cylindrica (L.) Raeusch. var. koenigii (Retz.) Pilg. その他   ◎    

  チヂミザサ Oplismenus undulatifolius (Ard.) Roem. et Schult. その他 ◎      

  ネズミノオ Sporobolus fertilis (Steud.) Clayton その他   ◎    

  メヒシバ Digitaria ciliaris (Retz.) Koeler その他   ○ ○  

  ヨシ Phragmites australis (Cav.) Trin. ex Steud. その他       ◎

  オニシバ Zoysia macrostachya Franch. et Sav. 海岸生     ◎  

  ケカモノハシ Ischaemum anthephoroides (Steud.) Miq. 海岸生   ○ ○  

  テンキグサ Leymus mollis (Trin. ex Spreng.) Pilg. 海岸生   ○ ○  

  オニウシノケグサ Festuca arundinacea Schreb. 外来種 ◎      

  メリケンカルカヤ Andropogon virginicus L. 外来種   ◎    

カヤツリグサ科 アオスゲ Carex leucochlora Bunge その他 ◎      

  コウボウシバ Carex pumila Thunb. 海岸生 ○ ○ ○  

  コウボウムギ Carex kobomugi Ohwi 海岸生   ○ ○  

  シオクグ Carex scabrifolia Steud. 海岸生       ◎

  ハマアオスゲ Carex fibrillosa Franch. et Sav. 海岸生 ○   ○  

参照

関連したドキュメント

gambiae and Anopheles arabiensis Patton bite humans sleeping outdoors (Faye et al. 1997), and such human habits may inßuence the biting behavior of the mosquitoes... Here, we

Cichon.M,et al.1997, Social Protection and Pension Systems in Central and Eastern Europe, ILO-CEETCentral and Eastern European TeamReport No.21.. Deacon.B.et al.1997, Global

et al.: Sporadic autism exomes reveal a highly interconnected protein network of de novo mutations. et al.: Patterns and rates of exonic de novo mutations in autism

et al., Determination of Dynamic Constitutive Equation with Temperature and Strain-rate Dependence for a Carbon Steel, Transactions of the Japan Society of Mechanical Engineers,

13) Romanoski, A.J., Folstein, M.F., Nestadt, D., et al.: The epidemiology of psychiatrist- ascertained depression and DSM-III depressive disorders: results from the Eastern

Standard domino tableaux have already been considered by many authors [33], [6], [34], [8], [1], but, to the best of our knowledge, the expression of the

The generalized Stirling and Bell numbers were also shown to be very closely connected to the Touchard polynomials of higher order introduced recently by Dattoli et al.. This allowed

K T ¼ 0.9 is left unchanged from the de Pillis et al. [12] model, as we found no data supporting a different value. de Pillis et al. [12] took it originally from Ref. Table 4 of