Title
超音波流速計が捉えた沖縄沿岸の流れ特性
Author(s)
仲座, 栄三; 津嘉山, 正光; 伊良波, 繁雄; 藤井, 智史; 鹿熊,
信一郎; 川満, 康智; 北村, 康司
Citation
琉球大学工学部紀要(60): 21-26
Issue Date
2000-09
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12000/17648
Rights
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Shinichiro KAKUMA*** • Yasutomo KAWAMITSU**** • Yasushi KITAMlJRA*****
Abstract
A project, to explore the sea environments of subtropical Okinawa, Japan, has
been running with financial aid from the Education Agency of Japan. Surveys may
reveal the characteristics of the currents around coral reefs and deep-sea water
up-welling, induced by ocean currents like Kuroshio, which is well known around
the world. This East Asian warm sea current originates in the mid-pacific along
the equator. Based on the survey results, we ultimately hope to be able to propose
an artificial deep-sea upwelling generation method.
In the first survey of this project, the characteristics of the sea current
around Zanpa cape are being explored.
Key words: Up-welling, Wind-induced Current, Ocean current, Kuroshio, Coral reef
Ocean farm
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仲座・津嘉111.伊良波・藤井・鹿熊・川満・北村:超音波流速計が捉えた沖純沿岸の流れ特性 22 ていることは周知の事実である.しかし,その開発のためには, 当然ながらその海域の特性が明らかでなければならないこれら の事実を基に,新たな技術開発が進められよう. 本論文では,上述のプロジェクト②及び③に関連して行われて いる沿岸海域の調査で得られたデータの解析結果の一部について 述べる.
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2.観測位置及び方法 本論文で説明する海洋調査が行われている海域は,図-1 に示すように,沖縄本島中部残波海岸沖合いである.図示に示す トライアングル状の海域が船を利用した移動計測海域であり,図 中に▲印で示す位置が水深約100mの定点観測位置である.図-2 に,定点観測に用いた,超音波流速計(ADP)の繋留方法を示す. 水温及び塩分濃度に関しては,STD計測装置を用い,船上より 行った(図-1中○印).固定用のADPの場合,データは全て内臓 メモリに保存される.一方,移動計測用のADPは計測船の左舷に 固定されており,データは全て船室内のコンピュータに取り込ま れる(写真-1).写真-2に本観測で用いた観測船及び測定器の取 り付け状況を示す.写真-3に,測定器の設置・回収作業の一例を 示す. zh 写真-1測定器コントロール室 2G5。 --航跡 oSTDObs. ▲ADPObs. .Ⅲ(驚く
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26.45 の己三一石]鐡蕊篝篝篝讓11蕊
26.40 ●腕谷漁港  ̄●■■ 、。.P、5 28-型5 、9 写真-2観測船及び測定器の取り付け作業 -●I■。●● ̄ ̄●「z~忍覇両丙5F1
127.歯127.68127.70127.72127.74127.761Z7.7B Longitude 図-1観測イ立憧 '1 V OOIT M] DII 図-2ADP繋留方法 写真-3測定器の設置・回収作業の一例琉球大学工学部紀要第60号,2000年 23 3.観測結果及び考察 図-3に,超音波流速計より得られた流速変動の水深分布 を示す.縦軸は,水深約100mの海底から鉛直方向上向きを示す. 観測時間帯は,4月26日0時~12時までの12時間である.流速 ベクトルは,北向きの流れを縦軸方向にとり,東向きが横軸方向 をさすようにとってある.ベクトルの大きさは流速の大きさに対 応する まず,図-3より,流速分布が2層に分かれていることが 明らかである.表層付近に見られる早い流れは,吹送流であ ろうことは一目瞭然であるがⅢ流速分布が水深方向にあま り拡散してないので,温度躍層の存在が示唆される水表面 より約15m以上の所では,流速の大きさが水深方向にほぼ一 様となっているが,時より流れが回転しており,大規模な渦 の存在を示唆している. 図-4の(A)・(B)に,大潮を挟んで8日間(4/30~5/7)の流 速ベクトル及び風速ベクトルを水位変動と共に示す.流速 については,表層付近の吹送流とその下を流れる海流や潮 汐流とを分離するため,表層12mまでの深さでの流速の平均 値と,それよりも下方の約87m厚の層の平均値とを求めてプロッ トしてある.まず,図中において,-番上のベクトルの経時変化 は,風速ベクトルに対応する.二番目のベクトルは吹送流に対応 しており,その下(c)が下層の流速ベクトルに対応するただし, 吹送流については,上層の平均流速から潮汐流が殆どと考えられ る下層の平均流速を差し引いてある.さらに,四番目のベクトル は,グラフ(c)で示す下層の平均流速に,4日間にまたがる移動平 均操作をほどこした後の流速に対応している.この流速は,海流 的な流れに対応するものと考えられる潮汐流については,この 海流的な流れがすでに差し引かれている.-番下,(f)のグラフ は,水位変動を示す.表層の平均流速ベクトルは,ほぼ風速ベク トルと対応しており,これが吹送流に対応することを示している. 図-5に,表層流と風との相関を示す.多少のばらつきはあるも のの,風速と表層流の大きさとはほぼ直線的な相関にあり,吹送 流が風速の9%程度までにも達することが分かる.通常,吹送流は 風速の3%程度といわれるため,ここで得られた吹送流は驚くべき 大きさと言える.実際に,風速が8.0m/sの時,吹送流は0.7m/s にも達し,下層の最大大iW1時の潮汐流が0.1m/s程度であること を考えると極めて強い流れである二とが理解される. 図-6に,水温の水深方向分布を示す.図示のとおり,温度躍層 が水表面から約10mの位置に形成されており,この躍層の存在が 下層への吹送流の運動量の拡散を制限し,結果としてかなり強い 吹送流を形成させたものと考えられる. ところで,図-3に示す,流速ベクトル図には,岸向きの (東向きの)吹送流の形成後約4時間を経て,下層の流れが沖 向きに転じているのが見られ,下層に吹送流の反流が存在す ることを示している. また,この図には,4時間程度の周期を持つ大規模な渦流 が存在しており,その流速の大きさは潮汐流を超えることも分か る. ここで,示された通常の概念を超える吹送流の存在や大規模渦 流の存在は,沿岸域の海水交換作用として潮汐の規模を通かに超
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琉球大学工学部紀要第60号,2000年 25 1.0 1.0 (の{E)]この」」二○つの○二℃E1つE二二 (⑩へE)]この」』。○つ①○コロEIロニンニ 0.5 0.5 00 00 0.5 0.5 1.0 10 10 ‐5o5 WindSpeed(m/s) (a)N-Scomponent 10 10 ‐5O5 WindSpeed(m/s) (b)E-Wcomponent 10 図-5表層平均流と風との相関 0 20 40 000 680 .・1 (E}二一二④□ -120 -140 21.022.021.022.021.022.021022.021022.021.0 水温(℃) 図-6水温の水深方向分布 22.021.022021.022.021.0220 4.おわりに 本論文では,南西諸島の海洋調査プロジェクトで得られた海流 に関するデータを用い,沖縄近海の流れ特性について述べた.超 音波流速計のデータは,通常の観念を突き破るような流れが沖縄 近海に存在していることを示した特に,吹送流に関しては,風 速の大きさの9%にも達することが示され,強い日差しでできた南 西特有の温度躍層の存在により風の運動量が表層に蓄えられると いうメカニズムでそれが形成されていることが分かった.また, 下層の流れについては,潮汐流を超える渦流が存在することや, 吹送流の反流が存在することなどが示された.この力蜥は始まっ たばかりであり,今後より詳細な解析を通じて深層水の挙動やサ ンゴ礁と流れとの干渉問題について検討する予定である. 写真-4島の周りに潮汐が作るせん断渦流 謝辞 本研究の一部は,文部省科学研究費(61,000千円,研究代表 者:仲座栄三)の援助を受けて実施されており,ここに記し感謝 の意を表しますまた,琉球大学環境建設工学科水工学研究室の 学生,牧野敏明1仲宗根敦,宮當大志には観測に際して多大な協 力を得た,ニニに記し,感謝の意を表します. +I ○・
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仲座・津嘉山・伊良波・藤井・鹿熊・111滴・北村:超音波流速計が捉えたfIlI繩沿岸の流れ特性 26 4)川崎浩司・識垂星・中辻啓二(1999):風外力が及ぼす密度成層 水域の内部流動シミュレーション,土木学会,海岸工学論文集 ,pp436-pp、440. 5)八木宏・日向博文・内山雄介・灘岡和夫(1999):熱変動特性か らみた夏季鹿島灘沿岸域における海水流動特性の解明,土木学 会,海岸工学論文集,第46巻,pp396-400. 参壱文献 l)阿保勝之・杜多哲・高柳和史・藤原建紀(1999):ADCPを用いた 五ケ所湾の内部潮汐観測,土木学会,海岸工学論文集,第46巻 ,pp401-405. 2)宇野木早苗・久保田雅久(1996):海洋の波と流れの科学,東海 大学出版会,p、356. 3)木村竜治(1983):地球流体力学入門,東京堂出版,p247.