Title
スプリットフィルムプローブによる後方ステップ流れの
研究
Author(s)
照屋, 功; 日下部, 純二; 山里, 栄昭; 伊良部, 邦夫
Citation
琉球大学工学部紀要(42): 1-8
Issue Date
1991-09
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12000/1999
Rights
琉球大学工学部紀要第42号,1991年 1
スプリットフィルムプローブによる後方ステップ流れの研究
照屋功*日下部純二**山里栄昭*伊良部邦夫*AStudyofBackwardFacingStepF1owUsingaSplitFilmProbB
IsaoTnRuYA*JunjiKusAKABE率・EishoYAMAzATo*andKunioIRABu。 Abstract ReaLtachmentofaturbulentshcarlayerisanimportantprocessinwidcvarietyofenginceringsystems・Afewexamplesofsuchsystoms
arodiffusers,all・「oilswithsoparationbubbles,suddenareaexpansionin pipesoI・ducts,buildingsandfenccs、 ComparisonofexporimonLaldntaandevaluationofpreviousworkson thissubjectarccomplicatedbylacko[instrumontsreliableinthesepa‐ rationregions lnthispaper,anexpe「imentwasconducLedcmployingasplitfilm probeinthebackwardfacingstepwhichhaslargeexpansionratioand highReynoldsnumber・Asplitfilmprobccanmeasuretheinstanta‐ neousmagnitudoanddirectiono【thevelocityintheseparationregion Fromthesemeasurementdata,time-meanvelocityprofiles,turbulence intensitiesandforwaTdflowfractionweTeevalu2ted‘ Theexperimentalresultsbroughtoutseveralfeaturesofthecomplex separation-reattachmentprocess・Freeshearlayerwasfullydeveloped upstreamoftime-meanreattachmentpoint,Themaximumroot-mean= squaresoflongitudinalvelocityandoflateralvelocitywereabout q22andO14ataboutエ/エR=06and0.8respectively,whereristhe longitudinaldistanceand9c庇isthetime-meanreattachmentlength Onsteadylwersingflowfractionstillextendedbeyondtime-mean reattachmentpoint. KeyWords:BackwardFacingStep,Sepa「ation,Reattachment,SplitFilmProbe. ターボ機械の羽根車,ディフューザ.流路の急jlR大部 翼列内の流れ等において,はく離の発生は場合によっ ては性能を著しく低下させるばかりでなく,擾動,騒 音の原因となっているそのためⅢはく離・再付若現 1.緒言 流体を取り扱う機械,装歴の中には,はく離・再付 着の生ずることが多いそのような流れ場,例えば, 受付:1991年5月13日 *工学部機械工学科 DepLofMechanicalEngmFac・ofEng. ~大学院工学研究科機械工学専攻 GraduateStudentOMechanicalEng.2スプリットフィルムブローブによる後方ステップ流れの研究:照屋・日下部・山里・伊良部 38
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F1.》0,5 l;Typc Fig.1.Splitfilmprobe. 象の解明はその抑止,抑制といった観点からも工学上 きわめて重要である. 本研究では流路拡大比が大きく、高レイノルズ数の 後方ステップ流れを対象にする.この種の流れは,逆 流と順流が間欠的に現れ,かつ流れ方向,流速の溌動 が大きいために一般に用いられている熱線プロープ (1,X形)では正確な測定はできないそこで本研究で は逆流領域においても信頼性の高い測定が可龍なスプ リットフィルムプローブを用いて測定を行い,時間平 均速度.乱れ強さ,空間順流率分布等を求めた 4)壁面近くの測定が可能 5)取扱が簡単 などが挙げられる. SFPに対し流速U)vの流れ,がスプリット面から8 の角度で当たっているとき次式の関係が成り立つ(1).El2+k2Ep2=a+bUlvm(1)
El2-k2E22=cUv〃sinO(2)
ここでE,ⅢEhは各センサからの出九k.a,b1 Qm,nは定数である.定数kは2つのフィルムの 感度蓬を補正するものである 2.2鮫正 SFPシステムの較正はゲッチンゲン形大型風洞 (I、角吹出口)を使用して行った.SFPの較正に は各流速に対してスプリット面の角度を変化させて行 わなければならないため,図2に示すような較正治具 を製作した.サポートの先端部はSFPのセンサー部 がサポート回転軸上に位圏するように曲げてありⅡス プリット面の角度を変えてもセンサの位腫は変わらな いようになっている.流速はSFPから約20m離れた 位畷にピトー管を設圃し,精密微差圧計に示される動 圧より求めた. 較正の際には,式(1),式(2)に含まれる定数k, およびaを,熱線流速計のゲイン,オフセット電圧等 を調整することにより,k=1,.a=0とした.残り 2.スプリットフィルムプローブ 2.1基本特性 速度,乱れ強さ,順流率はスプリットフィルムプロー プ(以下SFP)および定温度形熱線流速計を使って 測定した.図lにSFPの概略を示す.SFPは石英 製の細線裏面に白金膜を蒸着させたもので白金膜は2 本の分割線(スプリット面)によって2分されている. SFPの利点として 1)逆流を検出できる 2)瞬時の速度が測定でき,時系列データを得るこ とが容易である 3)空間分解能が高い琉球大学工学部紀要第42号,1991年 3 0 0 0 2 山ミン鷹、。、、昌叩へ(爾I』回 /
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6 (bmirectionoftheflow Fig、3.CalibrationofasplitfilmprobeGtypel Fig.2.Calibramonsupportschomatic,2kHz程度の応答性を確認した.佐灸木ら(2)は,格
子乱流を用いて,SFPと約10kHzの周波数まで平 坦な応答性を持つI形熱線プロープの出力波形の周波 数成分を比較することによりノミ1.5kHzの周波数範 囲で良好な応答性を得ているが,その結果と本実験結 果とを比較しても大差はない. 2.3逆流領域での測定 図4(a)はAタイプのSFPの測定の際の設腫方法 である.そのときのr,ソ方向の各速度成分は u=UvcosO(3) u=UWsinO(4) で示される,しかし,スプリット面から6の角度で 流れが当たっている場合に,sin6の値は正確に求め られるが,cos8に対してはSFPの測定原理上,そ の絶対値のみしかわからないすなわち,ステップ下 流のようにcoBOの符号が間欠的に変化するような流 れ場においては正しい値はわからない.式(3)では cosOの項が入っているので間欠的な逆流領域では0J を求めることができず,この場合は式(4)によって Uの測定の承ができる. 図4(b)はBタイプの設腫方法である.そのときの 9F,y方向の各速度成分は u=UivsinO(5) u=UlvcosO(6) であり,cosOの符号が定められないのはAタイプと 同機である.この鰯合1はcosOを含まないので,どの 様な場合でも式(5)より正確に求められる. の定数は、較正結果より最小2乗法を使って求めた,その一例として,Bタイプの較正結果の!E12+
Eb2および(EI2-Ei2)/sin6をそれぞれ図3
(日),(b)に示す. 周波数応答の確認は熱線流速計に内蔵されている矩 形波発信器を用いて行い流速が30m/Sにおいてノー 叩 4 m『UへシEの、 断1時 0 (a)Magunitudeofthevelocity Fi9.3.Calibrationolasplitfilmprobe旧type).4スプリットプィルムプローブによる後方ステップ流れの研究:照屋・日下部・山里・伊良部 Suppc「I Support P lり 特b ●● J $ .『。0 ● 内T d l.r一 一一 一一 I! UJ4ハ y
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olSplit 皿=(ノノvcosO Ij=〃lvsimO ←一一・・一`・母仁〆 一一X (01)Atypc 化)Btype Fig4.Locationlorasplitljlmprobe(nottoscalc). このように間欠的に逆流を含む流れ燭でも瞬時の速 度成分が測定可能である.木研究では,瞬時速度成分 の計測から,時間平均速度,乱れ強さ,順流率等を求 めた. 実験装置及び方法 図5に実験装極の概略を示す.作動流体として空気 を用い、風洞は吸い込み型である.ダクト長さはステッ プ上流側600,,1下流側3020mである轡
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Ocentrifug・IF。、
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琉球大学工学部紀要第42号,1991年 5
入口主流速度u)からなるレイノルズ数をRe=Ub・
fj/リーlx1O5に設定した.このときの基準断面で
の境界屑は排除厚さ1.4,1運動量厚さ1.0,,1形状係 数1.4であり発達した乱流境界層である.基準断面で の流れの状態を表1に示す. 】I=60mm W,=e0mm W2=l20ZIXJII B=240KRI、 TableLInletflowconditionatreferencB section(x′H=-3). Filf、6.Coordinatc5systemo「tostsection. 座標系およびステップ概略を図6に示す.ステップ 下段スパン中央の位鰹に座標原点をとり,管軸方向に x、ステップ側壁から高さ方向にy、スパン方向にZ をとる.ステップ高さ〃=60mm,ダクト高さは,ステッ プ上流側W】=60m,下流mIWh=120mm,スパン 幅Bは240mmであり流路拡大比W9/剛は2である. 図7に本実験の測定系ブロック線図を示す.SFP の2つのセンサはそれぞれ定温度形熱線流速計により 加熱され,出力電圧は2乗器およびローパスフィルタ に通した後A/Dボードを介してサンプリングデータ 数N=65536個,サンプリング周波数FD=4.2kHzでパ ソコンに取り込まれる.データは一時フロッピーディ スクに記録した後,600メガバイトの記憶容量をもつ 光磁気ディスクに保存した.解析は数値演算プロセッ サを内蔵した32ビットパソコン(PC-9801RA51) で行った. SFPはz=0の位圏でサポート軸をy方向と平行 に設極し,005mの糖度をもつトラバース装腰を使っ てBタイプでuを1Aタイプでひを測定した.実験の 条件は基準断面苑/H--3においてステップ高さ丘 D・ロ 4.実験結果及び考察時間平均再付霜距離g[nはz=0,ステップ倒墜面から
0.5画の高さに感熱部が来るように設遜したサーマルタブトプロープ(3)を用いて壁面近傍の流れの順流率を
測定し,順流率γ=0.5となる位圏から罪R/H=7.9
を得た. 4.1時間平均速度図8に戈方向時間平均速度u/Ubの分布を示す.
はく離せん断層および壁面境界層厚さの成長により,
主流部がjc/唖=0.7付近で消滅している.再循環領域での逆流の大きさは苑/韮R-0.6付近でUbの約
22%である.この殿大逆流速度はKimら(4)(Wh/
W)=1.33,1.5)と比較して小さいまた,再付着後Fig.7.B1ockdiagramofinstrumentsforsplitfilmprobemeasurement.
ReynoIdsnumbe「 JBe=、0.Hル lxlO5 DispI3cementthickne5s6ウ 1.4mm Momentumthickness O LOmnz Shapefhcto「 6゜/0 1.4 Momentumthickness Reynold5numbe「 neO=Uぴ0〃 1600 Free5treamturbulence 0.5%6スプリットフィルムプロープによる後方ステップ流れの研究:照屋・日下部,山里・伊良部 2
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Fig.8.Distribuliono(Iimc-meanlonglludinalvclocilby. 0 QU/尤尺=1.2)ではステップ壁側の境界周が発達して くるのに対し,管路中央部での速度分布の変化は少な い. 図9は,はく離せん断厨の厚さBとその代表速度 DBの流jz方向の変化を示したものである.ここで! BおよびUbはそれぞれ,各断面内で皿が鍍大速度差 の3/4および1/4を示すy座標の幅およびその速度差 で定義した.はく離せん断層厚さBは,罪/発狂く0.3 では下に凸,。c/"R>0.3では上に凸となる増加傾向 を示し,約尭/jrR>0.7ではほとんど増加しなくなる ことがわかる.Uhは,約工/jcJr-0.45で極大値をと り,その後,一定の傾きで減少する. 図10に排除厚さ6.1運動量厚さ6伽,エネルギ厚 さ6億の虻方向変化を示す.ここで6.,6,,6‘は 0 ●1ざ一昔
1.2 086 100 画へ(・垣《頂や《、{) 5 ●函一国0
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Fig.9.ChangeofthicknessBandvelocityUbof theseparatedshearlayermthelongi‐ tudinaldirection. Fig.10.ChangeofintegralparamBterinlongi‐ tudinaldirection.琉球大学工学部紀要第42号,1991年 7 4.2乱れ強さの分布 図11,12にそれぞれr,y方向の乱れ強さの分布を 示す.r方向の乱れ強さは,せん断層および平面壁 側で流れ方向に増加しておりⅢせん断厨の中では 館/r几=0.6付近で最大値をとっている.y方向の乱 れ強さはr方向の乱れ強さよりも全体的に小さく,フ ラット側壁面に向かっては,ほぼ直線的に広がってお
り,せん断層の同方向への成長に対応している.y方
向の乱れ強さの堰大値は約r/発況=0.8にあり,元方
向の乱れ強さの鐙大値位圃よりも約0.2jFR下流にあ
ることがわかる.また,ステップ側壁面に向かっては 苑方向の乱れ強さの成長と同じ傾向を示す. 4.3空間順流率分布 図13に順流率γの空間分布を示し,比較のため時 間平均速度uから求めた分離流線も含めてある.γは 流れが順流となっている時間割合である.通常の熱線 プロープではo<γ<1の範囲では正確な測定はで きないが,SFPでは順流率の分布に関係せず,正確6`一式エル(・祠`"‐鰹)dj,(7)
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であり,Uhz唾は各断面における最大流速’ 兆・ェはUi7mrをあたえるy方向高さである. 排除厚さ6㎡は約x/gUH=0.82から急減している.再付着点r/尤庇=1.0における形状係数Hl2=6㎡/
6,,J132=6個/6mはそれぞれ3.211.6である.これらの値は後向きステップでの実験値(H12-3.1,H32=
1.4)(5)だけでなくⅢ前縁はく離泡の実験値(Hl2=
3.4,N32=1.5)(6)にも近いこれは,佐奇木ら(6)
も指摘しているようにⅢ再付着点の速度分布は,はく 離の形態に関係せず共通の分布を有するためと考えら れる.’
D-OdZ- ̄0.0t 【】 王/a2jiFig.1LDistributionofturbulenceintensity(寂)'/2/DC.
0 0.2 0.4 0.60.8 1.0 12 1.4 露/工,IFig.12.DistributionofIurbulenceintensity(戸)'/2/DC.
8スブリットフィルムプロープによる後方ステップ流れの研究:照屋・日下部・山里・伊良部 0. 020.40.60.81.01.2 コ;/印ィ, Fig.13.Distributionoflorward[lowfraction7. 1.4 な測定ができる.γの分布は17=0.5を中心に, フラット側壁面に向かって連続的に大きくなり1ス テップ側壁面へ向かっては逆に小さくなっている.約 苑/r几<0.1のステップ側壁面に近い領域ではγ=0.5 の等値線があり.上流へ向かう流れが再はく離を おこしていることがわかる.γ=0.99の等値線は約 苑/兀況=1.4まで伸びており,再付着領域が広い範囲 にわたっていることがわかる. (3)時間平均再付着点より下流側にも広い範囲で非 定常な逆流領域が存在する. 今後は、条件付き抽出法を用いることによって,は く離せん断闇の非定常構造を明らかにして行きたいと 考えている. 終わりに,実験装極の作製にあたり助力を受けた佐 久川恵博技官,実験に協力して下さった当時卒研生の 照屋泰彦Ⅲ桑江英樹の両氏に謝意を表する.なお本研 究の一部は平成2年度教育研究学内特別経費による援 助を受けて行われたことを付記する. 5.鯖鏑 本論文では,逆流領域,すなわち逆流と順流が間欠 的に現れ,,かつ流れ方向の変動が大きい流れ場でも信 頼性の高い測定が可能なスプリットフィルムプロープ の特性,較正法及び測定法を示した.また,その測定 法を流路拡大比2の後方ステップに形成されるはく離. 再付着の流れ場に用いることによって,その流れ場を 明らかにした.その結果Ⅲ次のような知見を得た.