- 53 -
Can-do リスト開発プロセスにおける 学習者の自己評価とその分析
鈴木美加・藤森弘子
【キーワード】・ CEFR、Can-do 記述文、全学日本語 Can-do リスト、自己評価
1. はじめに
1. 1 達成度評価による言語教育
ここ10年ほどの間に、CEFR(The・Common・European・Framework・of・Reference・
for・Languages:・Learning,・Teaching・and・Assessment)のヨーロッパをはじめと した世界各国への広がりは目を見張るものがあり、Can-do 形式(「〜することが できる」)による達成目標記述が、多くの地域での言語教育に取り入れられるよ うになってきた。日本語教育においても同様であり、CEFR の考え方を基礎に開 発された国際交流基金の「JF 日本語教育スタンダード 2010」は世界各国の日本語 教育への普及を意図して各国の日本語プログラム運営や教材開発への活用が積極 的に推進されている。また、学習者の年齢や学習目的、学習言語の特性に合わせ たCan-doリスト作成も多くの国や地域でなされている。例として、学習者の年齢、
国・地域の言語教育事情に合わせた各種の ELP(European・Language・Portfolio)
をはじめ、日本国内の英語教育に合わせた「CEFR-J(投野 2013)」、日本語能力 試験各レベルの「認定の目安」(国際交流基金 2012a)及び「日本語能力試験 Can-do 自己評価リスト」(国際交流基金・Online)などが挙げられる。
記述内容としては、CEFR が複言語主義、複文化主義の立場から、幅広い年齢 層を想定し、かつさまざまな言語の学習に対応できるような抽象的で普遍性のあ る記述がなされているのに対し、ELP や CEFR-J は対象者の特性を踏まえた設定 をしており、より具体的でわかりやすい記述がなされ、効果的な学習・教育が遂 行できるようなリストになっているのが特徴である。
1. 2 Can-do リストの開発
1.・1 で個々の言語教育機関において学習・教育目的に合わせた Can-do リスト が作成されてきていることに触れたが、本学の例として、日本の大学学部に進
東京外国語大学
留学生日本語教育センター論集 40:53~68,2014
学するために必要な日本語能力のうち、「技能」養成の観点から記述した「JLC 日 本語スタンダーズ」が挙げられる(東京外国語大学留学生日本語教育センター 2011)。次いで、本学の非正規留学生1を主な対象とした日本語プログラムに合 わせ、開発中の Can-do リストがある。これは、「全学日本語 Can-do リスト2」(2012)
として、交換留学生の派遣元大学での単位互換にも寄与できるように明示的な能 力評価指標となることを視野に入れたものである。両者とも初級から上級まで技 能別に Can-do をまとめ、日本語レベルが上がるとともに、学習者がどのような ことができるようになるのかを示している。前者はいわゆる狭義の「アカデミッ ク・ジャパニーズ(AJ)」養成を目的とし、大学の勉学で必要な日本語の知識と技 能を身につけることを目標にしているが、後者はそれだけでなく、問題解決型タ スクやアカデミック・インターアクションをより多く組み込み、広義の AJ の養 成を目指している。2012年3月に試行版を作成、機関内で活用しており、現在改訂・
開発の途上にある。
今回、「全学日本語 Can-do リスト」の改訂プロセスの 1 つとして、学習者に対 して Can-do 自己評価の調査を実施した。本稿では、Can-do 記述文と学習者の自 己評価結果のデータとのつき合わせにより、各 Can-do 記述文が、レベルに合っ た段階的な難易度を示す妥当な記述文になっているかどうかを検証することを目 的として、分析、考察を行う。
2. Can-do リストとその記述文の妥当性3に関する調査研究
言語学習・教育において Can-do リストを作成する際に、その Can-do 記述文の 妥当性を検証することは重要である。その検証方法として、投野(2013:・105)は CEFR の原著(Council・of・Europe・2001)をもとに、Can-do リスト作成プロセスに 位置づけ、①直感的(intuitive)手法、②質的調査法、③量的調査法、の 3 つに分 けて解説している。主には上記①に対応する、言語能力記述に詳しい専門家によ
1・「全学日本語プログラム」は、本学の研究留学生(予備教育)、日本語日本文化研修留学生、
教員研修留学生、国費・私費研究生、短期交換留学生などが、自己の日本語能力に応じ て日本語を学べる 2 学期制のプログラムである。
2・「全学日本語 Can-do リスト」の開発は、全学日本語 Can-do プロジェクトのメンバーが行っ ている。メンバーは伊集院郁子、工藤嘉名子、花薗悟、鈴木智美、藤村知子、中村彰お よび本稿著者 2 名である。なお、「全学日本語 Can-do リスト」は現在のリストの呼称で、
リストが正式に完成したのちに名称が変更する可能性がある。
3・「妥当性」には複数の意味が含まれる。本稿では主に「学習言語のレベルあるいはスケー ルを適切に示していること」を意味する用語として用いる。
- 55 -
るスケール作成と予備調査による改善、②言語教師への記述文とそのレベルに関 するアンケート(質的調査)、③ Can-do 記述文の妥当性検証のための学習者への 大規模自己評価調査の事例を挙げて解説している。③には項目反応理論を用いた 調査も含まれる。国際交流基金の実施した日本語能力試験新試験各レベルの合格 者への調査による「日本語能力試験 Can-do 自己評価リスト(国際交流基金 2012)」
はこの項目反応理論をもとに統計的にどのレベルの学習者が日本語で何ができる かを示すものである。
一機関で実施された日本語学習・教育における Can-do リストの調査研究とし ては、島田(2010)、坂野(2012)、鈴木他(2012)等が挙げられる。鈴木他(2012)
は Can-do リストの各項目に対する自己評価結果と学習者の日本語レベルとの相 関を調べ、多くの項目において高い相関が認められたことを挙げており、Can-do リストの妥当性の分析事例の 1 つであるといえる。島田(2010)では、Can-do の 学習者の自己評価に関して、日本語能力を測る客観テスト(プレイスメントテス ト)と相関が見られる項目とそうではない項目があったとしている。坂野他(2012)
は、一学期間(15 週)の初めと終わりで学習者自身の日本語能力に関する自己評 価が有意に上がったことを明らかにした。これらは、Can-do リストの記述文の 妥当性や Can-do 活用の教育の適切性を検証する研究と捉えることができる。日 本語教育においては、まだ Can-do リストの検証に関する研究は少なく、Can-do リストの開発及び活用の広がりとともに、その妥当性に関する分析及びその手法 に関する研究が求められるようになっていると言えよう。
3. 「全学日本語 Can-do リスト」
1.・2 ですでに触れたが、現在開発中の「全学日本語 Can-do リスト」は、本学全 学日本語プログラム(以下、JLPTUFS)における日本語学習・教育の目標を Can- do の形で、日本語ゼロの入門レベルから日本語能力試験 N1 合格者が受講する上 級、超級レベルまで、全 8 レベルに分けて記述したリストである。2012 年 2 月に 試行版が作られ、2012 年度よりプログラムの各科目にて Can-do リストで示す目 標を取り入れた授業を実施している。
リストは、技能別に分かれ、①全レベル共通目標、② Can-do 目標、③ Can-do 目標細目により構成されている。Can-do 目標は該当レベルで目標とする内容が まとまった形で示され、その構成要素が Can-do 目標細目によって示される。レ ベル、技能により目標項目の数は異なる。表 1 に各技能の目標細目数を示す。目
標細目数は合計 201 項目である。各レベルの項目数については、読解は初級で多 く、聴解は初級・中級ほぼ均等に目標細目が設定されている。文章表現は中級で 項目数が多いのが目立っており、口頭表現は初級段階で多くなっている。
表 1 JLPTUFS 日本語レベル別 Can-do 項目数:各技能目標細目(2013 年 3 月版)
レベル(括弧内 は終了時の目安)
(終了時:初級前半 JLPT・N5、
CEFR・A1)
初級後半(N4、
CEFR・A2)
(N3半ば、中級1 CEFR・B1)
(N3、中級2 CEFR・B1+)
(N2、中上級 CEFR・B2)
(N1半ば、上級1 CEFR・B2+)
(N1、上級2 CEFR・C1)
(CEFR超級 C1+〜C2)
読解 9 7 6 7 6 3 2 4
聴解 5 6 6 8 5 3 4 4
文章表現 5 8 14 13 11 5 9 6
口頭表現 9 8 8 5 5 7 3 -
以下、項目の例を示す。中上級に進むに従い、抽象度、専門性の高いアカデミッ クスキルやインタラクションを意識した項目が増える。各技能 Can-do 設定の方 針及び詳細は、鈴木他(2013)を参照いただきたい。
〈読解〉
初級前半・ ・・ ごく身近な文章(例 日記や旅行記(200 〜 300 字))を読み、いつ、
どこで、だれが、何をしたか(4W)を挙げられる(目標細目)
中級 1・ ・・ 身近なトピックの文章や社会に関するテーマをある程度語彙のコン トロールをして書かれた文章(500 〜 600 字程度)を流れに沿って読 み、その文章のポイントを挙げることができる(目標)
・ ・・ 作り方の順番や、変化の説明の文章をスムーズに読み進めることが できる。読んだ後で簡単に内容を説明できる(目標細目)
上級 1・ ・・ 必要な情報を得るために、書名・目次・見出しなどから読むべき資 料を探すことができる(目標細目)
〈聴解〉
初級前半・ ・・ 相手の発言内容が、叙述(説明)、質問、指示のいずれであるか区 別できる。(目標細目)
中級 1・ ・・ 縮約形(例 〜ちゃった)や、主語が後になる文(例 「行くよ、私。」)、
文が最後まで終わらない言い方(例 「すみません、テスト中なん ですけど・・・」)が入った会話を聞いてだいたいわかる(目標細目)
上級 2・ ・・ 文末表現(例:例えば「〜とは言い難い」とあればマイナスの評価、「〜
- 57 -
という点は重要である」とあればプラスの評価、「〜のではないか」
とあれば主張など)や文副詞(例 :「あいにく」「残念ながら」)などを 手がかりに、話し手の意見、評価を予想できる(目標細目)
〈文章表現〉
初級後半・ ・・ 時間的な順序にそって書ける(例:休みの日の経験)(目標細目)
中級 2・ ・・ 意見が述べられる(例:事実と意見を分けて提示できる)(目標細目)
上級 1・ ・・ 意見を述べることができる(例:複数の観点から多面的に検討した 上で自分の主張を一部引っ込めて相手の主張を一部受け入れたり、
反論したりしながら意見が提示できる)(目標細目)
〈口頭表現〉
初級前半・ ・・ 人や物の様子、形状などについて簡単な説明ができる(目標細目)
中級 1・ ・・ わかりやすい例を挙げて説明できる(目標細目)
・ ・・「それはそうですが」「確かにそうですが」といった表現を使って、
自分とは異なる意見を一度受け止めた上で、自分の意見や考えを述 べることができる(目標細目)
上級 2・ ・・ 専門性のある情報を整理して、内容をかみくだいて話せる(目標細目)
・ ・・ 相手の誤解をとくための説明ができる(目標細目)
4. 学習者による全学日本語 Can-do 自己評価の調査概要
「全学日本語 Can-do リスト試行版」の妥当性を検証するために、2012 年度春学 期から、学期初めと終わりの時期に学習者自身による Can-do 自己評価を実施し ている。2012 年度は各学習者が各々の日本語レベルの Can-do 記述文のみを対象 とし、Can-do が「できる」かどうかを判定する形式とした。2013 年度は各学習者 がプレイスされた日本語レベルに加え、隣接する前後のレベルの Can-do 項目も 評価対象として自己評価を行うこととした。調査は e ラーニング「JPLANG」4の LMS 機能システムを使用し、各学生がサイトにアクセスし、回答を行った。
本稿では 2013 年度春学期全学日本語プログラム受講学生による Can-do 自己評 価の調査の概要を示す。
4・ 本学の本センターと情報コラボレーションセンターが共同で開発したシステムである。
4. 1 調査目的
「全学日本語 Can-do リスト試行版」の各項目について、①各学習者自身がどの 程度できると判断しているのか、②プログラム開始期と終了期でその評価に変化 があるのか、あるとすればどのような変化か、といった点を明らかにし、学習 者の回答結果から、Can-do 記述文が学習者にわかりやすいものになっているか、
各記述文のレベル設定が妥当であるか、について検討することとした5。
4. 2 調査方法 a) 対象者
調査対象者は JLPTUFS を受講中の全 8 レベルの学生である。授業選択が 可能な中級以上のレベルでは、中級から上級は各レベルの「総合日本語」ク ラス受講者、超級では、開始期と終了期に調査実施クラスを決め、該当クラ ス受講者を対象に実施した6。
b) 調査項目および自己評価の方法
全学日本語 Can-do リストの各技能の目標細目を質問項目とし、各学習者 は自らの日本語レベル及び隣接するレベルの Can-do 目標細目について 4 段 階で評価し、回答する。評価スケールは「十分できる」「だいたいできる」「あ まりできない」「できない」の4肢のいずれか1つを選択する設定とした。なお、
回答欄には「わからない」の欄も設け、その行為ができるかどうか判断でき ない場合にはその欄をチェックすることができるようにした。
c) 実施時期
2013 年度春学期の 5 月前半と 7 月後半に全学日本語 Can-do 自己評価を実 施した。5 月前半の実施をプログラム開始期、7 月後半を終了期とする7。 d) 分析方法
本研究における分析では、主に以下のことを行うこととした。
①各レベルの学習者は、該当レベルの Can-do 項目についてどう自己評価 をしているか、各レベルの回答結果からその傾向をみる。
②学期開始期と終了期に、学習者がどう自己評価しているかを示し、開始
5・ 本調査は全学日本語 Can-do プロジェクトにより実施されたものである。
6・ 開始期は「アカデミック・ライティング」、終了期には「ドラマ・ドキュメンタリー」のク ラスで実施した。
7・ 学生の履修登録が終わるのが 4 月下旬であるため、実施時期は 5 月初旬となった。
- 59 -
期と終了期の結果に違いがみられるかを調べる。
③学習者の日本語レベルの Can-do 項目と隣接するレベルの Can-do 項目に ついての自己評価の結果から、レベルによる結果の異なりの有無を分析 する。
分析の際、自己評価の 4 段階の回答を「十分できる」・4 点、「だいたいできる」・
3 点、「あまりできない」・2 点、「できない」・1 点とし、分析を行うこととした。
「わからない」の回答があった場合には、該当学習者のその Can-do 項目のデー タを開始期、終了期ともに分析の対象から外した。
5. Can-do 自己評価の調査結果 5. 1 分析対象者
回答者総数回答者数 113 名のうち、学期開始期と終了期の 2 回とも自己評価に 参加した学習者 82・名のデータを分析対象データとした。表 2 に開始期と終了期 のレベル別回答者数を示す。対象者の出身国は全 37 ヵ国で、ヨーロッパ 46.3 %、
アジア 41.5 %で、北米、中南米、オセアニア、アフリカを合わせて 12.2 %であった。
表 2 JLPTUFS の日本語レベルと回答者数
レベル名称 100
(初級前半
〜後半)
(初級後半200
〜中級初め)
(中級300 前半)
(中級400 半ば)
(中上級)500 600
(上級前半)
(上級700 半ば)
(超級 ;800 上級後半)
開始期 8 3 9 16 19 22 9 10
終了期 8 3 9 14 18 24 10 13
両期回答者数 7 3 9 14 18 21 7 3
回答者総数 9 3 9 16 19 24 12 21
5. 2 各レベルの Can-do 自己評価データの信頼性
各レベルの開始期、終了期の Can-do 自己評価データの信頼性を α 係数の算出 により調べた。表 3 に示す通り、Can-do 自己評価データの α 係数は、すべての レベルで 0.88 〜 0.99 であり、本データの信頼性は高いといえる。
表 3 Can-do 自己評価の信頼性(α係数)
レベル 100
(初級前半
〜後半)
(初級後半200
〜中級初め)
(中級300 前半)
(中級400 半ば)
(中上級)500 600
(上級前半)
(上級700 半ば)
(超級 ;800 上級後半)
開始期 0.96 0.94 0.96 0.99 0.96 0.98 0.97 0.94 終了期 0.95 0.94 0.97 0.99 0.98 0.98 0.97 0.88 5. 3 学期開始期と終了期における各レベルの自己評価とその変化
学期開始期と終了期に、学習者自身が日本語で何がどの程度できると考えてい るかを、各々の日本語レベルの学習者の技能別評価点を合計し、基本データとし て平均、標準偏差を算出した。なお、各技能得点は同じ重みで合計している。
表 4 に 100 から 800 レベルの全学日本語 Can-do の自己評価の評価結果を、レ ベル別、技能別に示す。各表の左上には Can-do のレベルが、三段目にはそのレ ベルの該当技能の Can-do 項目の総点(項目数 ×4 点)が示されている。例えば、
100 レベルの初級前半の読解 Can-do 項目は 9 項目あり、1 項目 4 点合計 36 点で、
「total」と書かれた行に「/36」と記されている。また各レベルの学習者は複数のレ ベルの Can-do について自己評価しており、Can-do レベル別に評価結果を示した。
表 4 の結果から、どのレベルにおいても全体として、終了期のほうが開始期よ り自己評価値が高くなっていることがわかる。「全体」の評価値はどのレベルも開 始期 70 %台で終了期は 80 %を超えるか、80 %近くまで伸びている。これを 4 段 階評価に換算すると、開始期は「だいたいできる」のあたりの評価値であったが、
終了期には「十分できる」と「だいたいできる」との間の評価値に上がった。
開始期と終了期の変化の詳細について、初級 100 レベルの学習者の回答結果を 例に見てみる(図 1)。どの技能についても自己評価値が上がっているが、技能、
レベルにより、変化の程度が異なる。文章表現初級前半の項目は開始期にすでに
「十分できる」と評価し、それほどの上昇は見られないが、口頭表現の初級前半(100 レベル前半)、初級後半(200 レベル前半)の Can-do 項目はどちらも伸びており、
特に初級後半(「口頭 200」)の評価が終了期に非常に上昇している。
5. 4 各技能の Can-do 自己評価の結果:開始期と終了期
ここでは技能別に、各レベルの Can-do 記述文への回答データに基づく平均値、
標準偏差を表 5 から表 8 に示し、結果をみていく。表の左の欄には、学習者の JLPTUFS の日本語レベル、分析対象者数(N)を示し、自己評価の対象となった
- 61 -
表 4 各レベルの Can-do 自己評価の結果
Can-do 項目の欄に平均値(Mean)と標準偏差(SD)が示してある。以下、技能ご とに得られた結果を考察する。
a) 読解
読解 Can-do(表 5)の結果を見ると、概ねレベルが上がるにつれ、評価も高く なっていることがわかる。しかしながら、開始期あるいは終了期において必ずし も上のレベルでの平均が高くなっていないレベル、技能もある。例えば、初級 前半の項目は開始期、終了期ともに 100 レベルの値(29.0 → 32.7)が 200 レベル値
(27.0 → 29.7)より高く、初級後半の項目も 100、200、300 レベルの中で開始期、
表 5 読解 Can-do 項目の自己評価
図 1 100 レベルの学習者の開始期と終了期の自己評価の変化
- 63 -
終了期ともに最も高い結果となった。中級以降の項目への評価では、中級 2(終 了期)上級 1(開始期・終了期)を除き、学習者の日本語レベルが上がるにつれて 値が高くなっている。上級 1 においては、開始期は 600、700 の平均値が 9.3 と同 じ値、終了期に600の平均が10.1、700の平均の9.9よりわずかに高い結果となった。
b) 聴解
聴解 Can-do の結果(表 6)については、自己評価の値がレベル順にならない例 が読解 Can-do より若干多い結果となっている。初級前半の Can-do 項目では読解 と同様、プログラム開始、終了両時期とも 100 レベルの学生の平均値が 200 レベ ルより高い結果となった。初級後半の項目では開始期は 200 の値は 100 より低い が、終了期には平均が大きく上がり、100、300 の学生よりさらに高い結果となっ た。また、中級 1、上級 1 の終了期の項目については該当レベルの自己評価がほ かのレベルより高くなっている。これらの異なりについては更なる分析を行い、
有意な異なりがあるのか、誤差の範囲内なのかを明らかにする必要がある。
c) 文章表現
文章表現の項目については、全体としてレベルが上がるごとに自己評価結果 も上がっている。しかし、逆に開始期・終了期における初級前半の項目に対す る 100 レベルの学習者の評価が高いこと、400 の学習者の中級 1,・2 の終了期の評 価が低いこと、600 レベルの学習者の終了期の評価が高いことの 3 点が挙げられ る。中級 2 の項目の終了期には、「できる」回答の評価値が 300(中級 1)レベルの 学習者の値が 52 点満点中 39.2(75 %)、400 の学習者は 38.2(73 %)、500 の者が 41.4(80 %)であった。上級 2 の項目についての終了期の評価では、600 の評価は
表 6 聴解 Can-do 項目の自己評価
30.0(83 %)、700 が 26.6(74 %)、800 で 28.7(80 %)となり、600 の学習者の評価 が 700、800 より高くなる逆転現象が起こった結果となった。
d) 口頭表現
口頭表現 Can-do の評価についても、上のレベルの学習者の評価得点の平均が 高くなる傾向が見られるが、必ずしもレベルの順に平均得点が上がっていない場 合がある。例えば、200 レベルの学生の終了期の初級後半および中級 1 の自己評 価が回答した 3 レベル中、一番高いこと、400 レベルの中級 2 の評価値が隣接レ ベルより低く 16.7(70 %)であること、600 レベルの上級 1,・2 の評価が回答した 3 レベル中、一番高いことが挙げられる。400、600 の学習者の評価の傾向は、文 章表現と共通しており、学習者の回答傾向や日本語レベルの伸びの自覚との関連 の可能性が推測される。
表 8 口頭表現 Can-do 項目の自己評価
㻛㼠㼛㼠㼍㼘
ᮇ ึ ⤊ ึ ⤊ ึ ⤊ ึ ⤊ ึ ⤊ ึ ⤊ ึ ⤊ ึ ⤊
ึ⣭Ꮫ⩦⪅䠄㻝㻜㻜䠅 㻹㼑㼍㼚 㻝㻥㻚㻜 㻝㻥㻚㻟 㻞㻝㻚㻣 㻞㻟㻚㻟
㻺㻩㻣 㻿㻰 㻝㻚㻤 㻝㻚㻜 㻡㻚㻜 㻠㻚㻢
ึ୰⣭Ꮫ⩦⪅䠄㻞㻜㻜䠅 㻹㼑㼍㼚 㻝㻣㻚㻜 㻝㻤㻚㻟 㻞㻞㻚㻣 㻞㻠㻚㻜 㻟㻥㻚㻟 㻠㻠㻚㻣
㻺㻩㻟 㻿㻰 㻞㻚㻜 㻞㻚㻝 㻟㻚㻢 㻞㻚㻜 㻟㻚㻡 㻠㻚㻢
୰⣭㻝Ꮫ⩦⪅䠄㻟㻜㻜䠅 㻹㼑㼍㼚 㻞㻠㻚㻟 㻞㻢㻚㻞 㻠㻞㻚㻟 㻠㻡㻚㻢 㻟㻠㻚㻥 㻟㻥㻚㻞
㻺㻩㻥 㻿㻰 㻟㻚㻟 㻞㻚㻣 㻠㻚㻝 㻟㻚㻢 㻡㻚㻣 㻠㻚㻢
୰⣭㻞Ꮫ⩦⪅䠄㻠㻜㻜䠅 㻹㼑㼍㼚 㻠㻟㻚㻜 㻠㻠㻚㻟 㻟㻡㻚㻜 㻟㻤㻚㻞 㻞㻤㻚㻥 㻟㻝㻚㻤
㻺㻩㻝㻠 㻿㻰 㻤㻚㻞 㻣㻚㻝 㻤㻚㻢 㻤㻚㻢 㻣㻚㻟 㻣㻚㻟
୰ୖ⣭Ꮫ⩦⪅䠄㻡㻜㻜䠅 㻹㼑㼍㼚 㻟㻤㻚㻤 㻠㻝㻚㻠 㻟㻟㻚㻟 㻟㻠㻚㻣 㻝㻠㻚㻤 㻝㻡㻚㻢
㻺㻩㻝㻤 㻿㻰 㻟㻚㻠 㻡㻚㻞 㻠㻚㻝 㻡㻚㻟 㻝㻚㻢 㻞㻚㻣
ୖ⣭㻝Ꮫ⩦⪅䠄㻢㻜㻜䠅 㻹㼑㼍㼚 㻟㻟㻚㻢 㻟㻢㻚㻥 㻝㻠㻚㻤 㻝㻢㻚㻣 㻞㻢㻚㻢 㻟㻜㻚㻜
㻺㻩㻞㻝 㻿㻰 㻡㻚㻝 㻠㻚㻝 㻞㻚㻠 㻞㻚㻝 㻠㻚㻠 㻠㻚㻝
ୖ⣭㻞Ꮫ⩦⪅䠄㻣㻜㻜䠅 㻹㼑㼍㼚 㻝㻡㻚㻜 㻝㻠㻚㻥 㻞㻡㻚㻢 㻞㻢㻚㻢 㻝㻢㻚㻥 㻝㻤㻚㻜
㻺㻩㻣 㻿㻰 㻝㻚㻣 㻞㻚㻡 㻠㻚㻜 㻟㻚㻞 㻠㻚㻟 㻞㻚㻢
㉸⣭Ꮫ⩦⪅䠄㻤㻜㻜䠅 㻹㼑㼍㼚 㻞㻤㻚㻜 㻞㻤㻚㻣 㻝㻥㻚㻜 㻝㻥㻚㻣
㻺㻩㻟 㻿㻰 㻞㻚㻢 㻠㻚㻞 㻞㻚㻢 㻟㻚㻝
㻹㼑㼍㼚 㻝㻤㻚㻠 㻝㻥㻚㻜 㻞㻟㻚㻝 㻞㻠㻚㻤 㻠㻞㻚㻟 㻠㻠㻚㻤 㻟㻢㻚㻢 㻟㻥㻚㻤 㻟㻞㻚㻞 㻟㻠㻚㻤 㻝㻠㻚㻤 㻝㻢㻚㻜 㻞㻢㻚㻡 㻞㻥㻚㻝 㻝㻣㻚㻡 㻝㻤㻚㻡 㻿㻰 㻞㻚㻜㻥 㻝㻚㻠㻢 㻠㻚㻞㻞 㻟㻚㻣㻟 㻢㻚㻣㻞 㻡㻚㻤㻢 㻢㻚㻠㻟 㻢㻚㻢㻟 㻡㻚㻤㻟 㻡㻚㻤㻤 㻞㻚㻜㻜 㻞㻚㻡㻠 㻠㻚㻞㻜 㻠㻚㻝㻡 㻠㻚㻜㻟 㻞㻚㻤㻤 ᅇ⟅⪅య
ึ⣭๓༙ ึ⣭ᚋ༙ ୰⣭䠍 ୰⣭䠎 ୰ୖ⣭ ୖ⣭䠍 ୖ⣭䠎 ㉸⣭
㻛㻞㻜 㻛㻟㻞 㻛㻡㻢 㻛㻡㻞 㻛㻠㻠 㻛㻞㻜 㻛㻟㻢 㻛㻞㻠
㻛㼠㼛㼠㼍㼘
ᮇ ึ ⤊ ึ ⤊ ึ ⤊ ึ ⤊ ึ ⤊ ึ ⤊ ึ ⤊
ึ⣭Ꮫ⩦⪅䠄㻝㻜㻜䠅 㻹㼑㼍㼚 㻞㻤㻚㻠 㻟㻝㻚㻟 㻞㻜㻚㻟 㻞㻡㻚㻢
㻺㻩㻣 㻿㻰 㻞㻚㻤 㻞㻚㻡 㻡㻚㻣 㻟㻚㻢
ึ୰⣭Ꮫ⩦⪅䠄㻞㻜㻜䠅 㻹㼑㼍㼚 㻞㻤㻚㻟 㻟㻝㻚㻜 㻞㻝㻚㻜 㻞㻢㻚㻜 㻞㻞㻚㻣 㻞㻡㻚㻟
㻺㻩㻟 㻿㻰 㻝㻚㻞 㻞㻚㻢 㻠㻚㻠 㻠㻚㻢 㻞㻚㻟 㻞㻚㻟
୰⣭㻝Ꮫ⩦⪅䠄㻟㻜㻜䠅 㻹㼑㼍㼚 㻞㻟㻚㻤 㻞㻡㻚㻠 㻞㻞㻚㻠 㻞㻠㻚㻜 㻝㻡㻚㻥 㻝㻣㻚㻠
㻺㻩㻥 㻿㻰 㻞㻚㻡 㻟㻚㻠 㻞㻚㻡 㻞㻚㻡 㻞㻚㻟 㻞㻚㻢
୰⣭㻞Ꮫ⩦⪅䠄㻠㻜㻜䠅 㻹㼑㼍㼚 㻞㻠㻚㻞 㻞㻠㻚㻜 㻝㻢㻚㻝 㻝㻢㻚㻣 㻝㻞㻚㻡 㻝㻡㻚㻜
㻺㻩㻝㻠 㻿㻰 㻠㻚㻟 㻡㻚㻟 㻟㻚㻢 㻠㻚㻞 㻟㻚㻢 㻟㻚㻡
୰ୖ⣭Ꮫ⩦⪅䠄㻡㻜㻜䠅 㻹㼑㼍㼚 㻝㻤㻚㻢 㻝㻥㻚㻤 㻝㻠㻚㻣 㻝㻡㻚㻠 㻞㻜㻚㻝 㻞㻞㻚㻜
㻺㻩㻝㻤 㻿㻰 㻞㻚㻜 㻞㻚㻡 㻞㻚㻟 㻞㻚㻟 㻡㻚㻢 㻢㻚㻞
ୖ⣭㻝Ꮫ⩦⪅䠄㻢㻜㻜䠅 㻹㼑㼍㼚 㻝㻡㻚㻞 㻝㻢㻚㻡 㻞㻝㻚㻢 㻞㻟㻚㻝 㻥㻚㻜 㻥㻚㻤
㻺㻩㻞㻝 㻿㻰 㻞㻚㻤 㻞㻚㻠 㻟㻚㻤 㻟㻚㻝 㻝㻚㻤 㻝㻚㻢
ୖ⣭㻞Ꮫ⩦⪅䠄㻣㻜㻜䠅 㻹㼑㼍㼚 㻞㻝㻚㻢 㻞㻝㻚㻟 㻤㻚㻜 㻤㻚㻢
㻺㻩㻣 㻿㻰 㻟㻚㻥 㻡㻚㻝 㻝㻚㻟 㻞㻚㻝
ᅇ⟅⪅య 㻹㼑㼍㼚 㻞㻤㻚㻠 㻟㻝㻚㻞 㻞㻞㻚㻝 㻞㻡㻚㻢 㻞㻟㻚㻠 㻞㻠㻚㻞 㻝㻣㻚㻝 㻝㻤㻚㻞 㻝㻠㻚㻟 㻝㻡㻚㻣 㻞㻝㻚㻜 㻞㻞㻚㻠 㻤㻚㻤 㻥㻚㻡 㻿㻰 㻞㻚㻠㻠 㻞㻚㻡㻡 㻠㻚㻡㻢 㻟㻚㻢㻥 㻟㻚㻢㻣 㻠㻚㻞㻡 㻟㻚㻜㻝 㻟㻚㻡㻜 㻟㻚㻝㻜 㻞㻚㻣㻥 㻠㻚㻢㻢 㻠㻚㻥㻝 㻝㻚㻣㻟 㻝㻚㻤㻡
ึ⣭๓༙ ึ⣭ᚋ༙ ୰⣭䠍 ୰⣭䠎 ୰ୖ⣭ ୖ⣭䠍 ୖ⣭䠎
㻛㻝㻞
㻛㻟㻢 㻛㻟㻞 㻛㻟㻞 㻛㻞㻠 㻛㻞㻜 㻛㻞㻤
表 7 文章表現 Can-do 項目の自己評価
㻛㼠㼛㼠㼍㼘
ᮇ ึ ⤊ ึ ⤊ ึ ⤊ ึ ⤊ ึ ⤊ ึ ⤊ ึ ⤊ ึ ⤊
ึ⣭Ꮫ⩦⪅䠄㻝㻜㻜䠅 㻹㼑㼍㼚 㻝㻥㻚㻜 㻝㻥㻚㻟 㻞㻝㻚㻣 㻞㻟㻚㻟
㻺㻩㻣 㻿㻰 㻝㻚㻤 㻝㻚㻜 㻡㻚㻜 㻠㻚㻢
ึ୰⣭Ꮫ⩦⪅䠄㻞㻜㻜䠅 㻹㼑㼍㼚 㻝㻣㻚㻜 㻝㻤㻚㻟 㻞㻞㻚㻣 㻞㻠㻚㻜 㻟㻥㻚㻟 㻠㻠㻚㻣
㻺㻩㻟 㻿㻰 㻞㻚㻜 㻞㻚㻝 㻟㻚㻢 㻞㻚㻜 㻟㻚㻡 㻠㻚㻢
୰⣭㻝Ꮫ⩦⪅䠄㻟㻜㻜䠅 㻹㼑㼍㼚 㻞㻠㻚㻟 㻞㻢㻚㻞 㻠㻞㻚㻟 㻠㻡㻚㻢 㻟㻠㻚㻥 㻟㻥㻚㻞
㻺㻩㻥 㻿㻰 㻟㻚㻟 㻞㻚㻣 㻠㻚㻝 㻟㻚㻢 㻡㻚㻣 㻠㻚㻢
୰⣭㻞Ꮫ⩦⪅䠄㻠㻜㻜䠅 㻹㼑㼍㼚 㻠㻟㻚㻜 㻠㻠㻚㻟 㻟㻡㻚㻜 㻟㻤㻚㻞 㻞㻤㻚㻥 㻟㻝㻚㻤
㻺㻩㻝㻠 㻿㻰 㻤㻚㻞 㻣㻚㻝 㻤㻚㻢 㻤㻚㻢 㻣㻚㻟 㻣㻚㻟
୰ୖ⣭Ꮫ⩦⪅䠄㻡㻜㻜䠅 㻹㼑㼍㼚 㻟㻤㻚㻤 㻠㻝㻚㻠 㻟㻟㻚㻟 㻟㻠㻚㻣 㻝㻠㻚㻤 㻝㻡㻚㻢
㻺㻩㻝㻤 㻿㻰 㻟㻚㻠 㻡㻚㻞 㻠㻚㻝 㻡㻚㻟 㻝㻚㻢 㻞㻚㻣
ୖ⣭㻝Ꮫ⩦⪅䠄㻢㻜㻜䠅 㻹㼑㼍㼚 㻟㻟㻚㻢 㻟㻢㻚㻥 㻝㻠㻚㻤 㻝㻢㻚㻣 㻞㻢㻚㻢 㻟㻜㻚㻜
㻺㻩㻞㻝 㻿㻰 㻡㻚㻝 㻠㻚㻝 㻞㻚㻠 㻞㻚㻝 㻠㻚㻠 㻠㻚㻝
ୖ⣭㻞Ꮫ⩦⪅䠄㻣㻜㻜䠅 㻹㼑㼍㼚 㻝㻡㻚㻜 㻝㻠㻚㻥 㻞㻡㻚㻢 㻞㻢㻚㻢 㻝㻢㻚㻥 㻝㻤㻚㻜
㻺㻩㻣 㻿㻰 㻝㻚㻣 㻞㻚㻡 㻠㻚㻜 㻟㻚㻞 㻠㻚㻟 㻞㻚㻢
㉸⣭Ꮫ⩦⪅䠄㻤㻜㻜䠅 㻹㼑㼍㼚 㻞㻤㻚㻜 㻞㻤㻚㻣 㻝㻥㻚㻜 㻝㻥㻚㻣
㻺㻩㻟 㻿㻰 㻞㻚㻢 㻠㻚㻞 㻞㻚㻢 㻟㻚㻝
㻹㼑㼍㼚 㻝㻤㻚㻠 㻝㻥㻚㻜 㻞㻟㻚㻝 㻞㻠㻚㻤 㻠㻞㻚㻟 㻠㻠㻚㻤 㻟㻢㻚㻢 㻟㻥㻚㻤 㻟㻞㻚㻞 㻟㻠㻚㻤 㻝㻠㻚㻤 㻝㻢㻚㻜 㻞㻢㻚㻡 㻞㻥㻚㻝 㻝㻣㻚㻡 㻝㻤㻚㻡 㻿㻰 㻞㻚㻜㻥 㻝㻚㻠㻢 㻠㻚㻞㻞 㻟㻚㻣㻟 㻢㻚㻣㻞 㻡㻚㻤㻢 㻢㻚㻠㻟 㻢㻚㻢㻟 㻡㻚㻤㻟 㻡㻚㻤㻤 㻞㻚㻜㻜 㻞㻚㻡㻠 㻠㻚㻞㻜 㻠㻚㻝㻡 㻠㻚㻜㻟 㻞㻚㻤㻤 ᅇ⟅⪅య
ึ⣭๓༙ ึ⣭ᚋ༙ ୰⣭䠍 ୰⣭䠎 ୰ୖ⣭ ୖ⣭䠍 ୖ⣭䠎 ㉸⣭
㻛㻞㻜 㻛㻟㻞 㻛㻡㻢 㻛㻡㻞 㻛㻠㻠 㻛㻞㻜 㻛㻟㻢 㻛㻞㻠
㻛㼠㼛㼠㼍㼘
ᮇ ึ ⤊ ึ ⤊ ึ ⤊ ึ ⤊ ึ ⤊ ึ ⤊ ึ ⤊
ึ⣭Ꮫ⩦⪅䠄㻝㻜㻜䠅 㻹㼑㼍㼚 㻞㻤㻚㻠 㻟㻝㻚㻟 㻞㻜㻚㻟 㻞㻡㻚㻢
㻺㻩㻣 㻿㻰 㻞㻚㻤 㻞㻚㻡 㻡㻚㻣 㻟㻚㻢
ึ୰⣭Ꮫ⩦⪅䠄㻞㻜㻜䠅 㻹㼑㼍㼚 㻞㻤㻚㻟 㻟㻝㻚㻜 㻞㻝㻚㻜 㻞㻢㻚㻜 㻞㻞㻚㻣 㻞㻡㻚㻟
㻺㻩㻟 㻿㻰 㻝㻚㻞 㻞㻚㻢 㻠㻚㻠 㻠㻚㻢 㻞㻚㻟 㻞㻚㻟
୰⣭㻝Ꮫ⩦⪅䠄㻟㻜㻜䠅 㻹㼑㼍㼚 㻞㻟㻚㻤 㻞㻡㻚㻠 㻞㻞㻚㻠 㻞㻠㻚㻜 㻝㻡㻚㻥 㻝㻣㻚㻠
㻺㻩㻥 㻿㻰 㻞㻚㻡 㻟㻚㻠 㻞㻚㻡 㻞㻚㻡 㻞㻚㻟 㻞㻚㻢
୰⣭㻞Ꮫ⩦⪅䠄㻠㻜㻜䠅 㻹㼑㼍㼚 㻞㻠㻚㻞 㻞㻠㻚㻜 㻝㻢㻚㻝 㻝㻢㻚㻣 㻝㻞㻚㻡 㻝㻡㻚㻜
㻺㻩㻝㻠 㻿㻰 㻠㻚㻟 㻡㻚㻟 㻟㻚㻢 㻠㻚㻞 㻟㻚㻢 㻟㻚㻡
୰ୖ⣭Ꮫ⩦⪅䠄㻡㻜㻜䠅 㻹㼑㼍㼚 㻝㻤㻚㻢 㻝㻥㻚㻤 㻝㻠㻚㻣 㻝㻡㻚㻠 㻞㻜㻚㻝 㻞㻞㻚㻜
㻺㻩㻝㻤 㻿㻰 㻞㻚㻜 㻞㻚㻡 㻞㻚㻟 㻞㻚㻟 㻡㻚㻢 㻢㻚㻞
ୖ⣭㻝Ꮫ⩦⪅䠄㻢㻜㻜䠅 㻹㼑㼍㼚 㻝㻡㻚㻞 㻝㻢㻚㻡 㻞㻝㻚㻢 㻞㻟㻚㻝 㻥㻚㻜 㻥㻚㻤
㻺㻩㻞㻝 㻿㻰 㻞㻚㻤 㻞㻚㻠 㻟㻚㻤 㻟㻚㻝 㻝㻚㻤 㻝㻚㻢
ୖ⣭㻞Ꮫ⩦⪅䠄㻣㻜㻜䠅 㻹㼑㼍㼚 㻞㻝㻚㻢 㻞㻝㻚㻟 㻤㻚㻜 㻤㻚㻢
㻺㻩㻣 㻿㻰 㻟㻚㻥 㻡㻚㻝 㻝㻚㻟 㻞㻚㻝
ᅇ⟅⪅య 㻹㼑㼍㼚 㻞㻤㻚㻠 㻟㻝㻚㻞 㻞㻞㻚㻝 㻞㻡㻚㻢 㻞㻟㻚㻠 㻞㻠㻚㻞 㻝㻣㻚㻝 㻝㻤㻚㻞 㻝㻠㻚㻟 㻝㻡㻚㻣 㻞㻝㻚㻜 㻞㻞㻚㻠 㻤㻚㻤 㻥㻚㻡 㻿㻰 㻞㻚㻠㻠 㻞㻚㻡㻡 㻠㻚㻡㻢 㻟㻚㻢㻥 㻟㻚㻢㻣 㻠㻚㻞㻡 㻟㻚㻜㻝 㻟㻚㻡㻜 㻟㻚㻝㻜 㻞㻚㻣㻥 㻠㻚㻢㻢 㻠㻚㻥㻝 㻝㻚㻣㻟 㻝㻚㻤㻡
ึ⣭๓༙ ึ⣭ᚋ༙ ୰⣭䠍 ୰⣭䠎 ୰ୖ⣭ ୖ⣭䠍 ୖ⣭䠎
㻛㻝㻞
㻛㻟㻢 㻛㻟㻞 㻛㻟㻞 㻛㻞㻠 㻛㻞㻜 㻛㻞㻤
- 65 - 6. Can-do 自己評価結果のまとめと分析
「全学日本語 Can-do」の自己評価に関し、先に述べた結果をまとめ、以下に述べ、
検討する。
①回答対象の Can-do 項目について、全体のデータから「だいたいできる」ある いは「十分できる」と自己評価する学習者が多い。プログラム開始期にも「で きない」「あまりできない」の回答はそれほど多くない。各レベルの学習者の Can-do 自己評価から、概ねどのレベルでも終了期のほうが「(十分)できる」
と回答する割合が高い。終了期の「できる」回答の増加の度合いは、レベル や科目によって異なる。例として、100 レベルでは全項目について終了期に 自己評価の平均値が開始期より高くなったが、その中でも口頭表現の「でき る」割合が上昇したことや、中級の 300、400 レベルでは終了期に、文章表現 の項目についての平均値が上がっていることが挙げられる。
②技能別の自己評価結果から、全般にレベルが上がるごとに「できる」割合が 増えることがわかった。ただ項目によってはレベルの順に「できる」割合が 増えない場合もあり、終了期の該当レベルの Can-do の評価については、そ の上のレベルの学習者による評価より高くなることがあった(全技能(初級 前半)100、読解・聴解・口頭表現 200、聴解・文章表現 300、全技能 600)。
上記 2 点については、Can-do リストの記述、学習・教育プログラムの内容、
学習者の要因が関わってきていると思われる。Can-do リストでは、対象学習者 の特性を考え、学習・教育の目標即ち学習者の「できる」ようになる行動を設定 するようにしている。学習者のニーズに合った Can-do を達成するために適切な プログラムが運営されることにより、学習者が目標とする Can-do を遂行できる ようになると考える。レベル別学習者の傾向として、学期初めには日本語を実際 に口頭で表現する機会がこれまで少なかった初級学習者にとって、JLPTUFS の 学習活動で口頭表現が「できる」ようになったとより強く感じたために、口頭表 現の自己評価値が隣接レベルより高くなったのではないだろうか。中級レベルの 学生の傾向としては、300 や 400 レベルの文章表現の「できる」度の伸びについて も自国ではあまり書く活動を段階的に勉強してこなかったため、書いて表現する 日本語での活動で「できる」ことが増えたと感じたかもしれない。学生のニーズ、
状況を把握し、学習者にとって励みになるような Can-do の記述8および設定が 期待されると言えよう。
もう 1 点、Can-do 記述で示される行動を学習者が経験したことがあるかどう かで、判定が異なる可能性を指摘しておきたい。今回の調査では、Can-do に示 された行動の経験がなければ予測して回答をするよう指示したが、その際「わか らない」を選んだり、低めの評価をする場合もある。該当レベルの授業の履習者 は Can-do 記述で示す行動を経験する一方で、そのレベルの授業を受けていない 学習者は、一つ上のレベルの者であっても、その行動が「できる」かどうかの判 定が難しいこともあり得る。Can-do 記述に含まれる行動の経験の有無は自己評 価を左右する要因とされ、経験がないことにより、自己評価が低くなるケースが あるという(伊東 2008 など)。投野(2013)は英語教育における Can-do 調査にお いて、その行動を課題として学習者にさせた上で、Can-do 自己評価を行う方法 を指摘している。該当レベルより上のレベルの学習者については、そのレベルの Can-do はすでに「できる」ことを前提にして学習・教育活動を行うことが多いが、
プロラム運営の際には前提とする「できる」はずの行動をする機会を学習者に与 えてみることも教師・学習者双方に意義があると考える。
7. 終わりに
本稿では、JLPTUFS の教育を踏まえ、アカデミックな日本語能力を伸ばすこ とを意図した Can-do リストの開発プロセスにおける学習者による Can-do 自己評 価の調査とその結果について述べてきた。今回、コース開始期と終了期の評価の 伸びやレベルによる結果の異なりについて、統計的検定による分析について触れ ることができなかったが、これについては稿を改めて示すこととしたい。また、
レベルによっては回答者数が少なく、今回の結果が該当レベルを十分に反映して いるとはいえない場合も考えられるため、今後も調査を重ね、Can-do リストの 調査を継続し、Can-do の妥当性を上げるよう努めたい。
8・ 2013 年 8 月の全学日本語 Can-do プロジェクト夏季集中研修会にて、学習者が Can-do 記 述を見て学びたくなるような Can-do リストを作るべきだ、というアドバイスを研修会 講師の熊本大学鈴木克明氏(教育システム工学)にいただいた。
- 67 - 参考文献・資料:
坂野永理、大久保理恵(2012)「CEFR チェックリストを使った日本語能力の自己評価 の変化」『大学教育研究紀要 8』、岡山大学国際センター、pp.179-190
Council・of・Europe、吉島茂・大橋理枝訳・編(2008)『外国語教育 II ―外国語の学 習、教授、評価のためのヨーロッパ共通参照枠―』初版第 2 版、朝日出版社(原 著 Common・European・Framework・for・Reference・of・Languages:・Learning,・
teaching,・ assessment.・ 3rd,・ John・ Trim,・ Brian・ North,・ Daniel・ Coste,・ 2002,・
Cambridge・University・Press.)
伊東田恵、川口恵子、太田理津子(2008)「外国語能力の自己評定における言語タスク 経験の影響」『日本言語テスト学会研究紀要』11、pp.156-172
キース・モロウ編、和田稔他訳(2013)『ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)から学 ぶ英語教育』研究社(原著 Insights・from・the・Common・European・Framework,・
Keith・Morrow・ed.,・2004,・Oxford・University・Press.)
国際交流基金(2012)『日本語能力試験・Can-do・自己評価調査レポート≪最終報告≫』
国際交流基金
国際交流基金(2010)『JF 日本語教育スタンダード 2010』国際交流基金
・ <http://jfstandard.jp/pdf/jfs2010_all.pdf>
国際交流基金『日本語能力試験・Can-do・自己評価リスト』
・ <http://www.jlpt.jp/about/candolist.html/>(2014 年 2 月 12 日)
島田めぐみ(2010)「自己評価 Can-do・statements に関する一考察・:・客観テストとの比 較を通して」『東京学芸大学紀要』61(2)、pp.267-277
鈴木美加、藤森弘子、藤村知子、鈴木智美、中村彰、花薗悟、伊集院郁子(2013)「大 学教育における日本語コースの Can-do 設定―日本語の技能を言語知識や態度と 結びつけた記述の試み―」『東京外国語大学留学生日本語教育センター論集』39、
pp.65-82
鈴木美加、藤森弘子、藤村知子、鈴木智美、中村彰、坂本惠、花薗悟、伊集院郁子(2012)「日 本語学習における目標記述をめぐって―全学日本語プログラムの Can-do リスト作 成に向けて―」『東京外国語大学留学生日本語教育センター論集』38、pp.155-166.
東京外国語大学留学生日本語教育センター(2009)「JLC 日本語スタンダーズ 2009 改訂版」
東京外国語大学留学生日本語教育センター(2011)「JLC 日本語スタンダーズ 2011 改訂版」
東京外国語大学留学生日本語教育センター(2012)「全学日本語 Can-do リスト試行版」
(内部資料)
投野由紀夫編(2013)『CAN-DO リスト作成・活用 英語到達度指標・CEFR-J・ ガイド ブック』大修館
Analysis of the Japanese Language Learning for Academic Purposes Can-do List Based upon Learner Self-Assessment Data
SUZUKI Mika, FUJIMORI Hiroko
This paper describes research on learners assessing their own Japanese language skills using the “JLPTUFS Can-do List,” which gauges language level and can-do behavior in Japanese. The “JLPTUFS Can-do List” was developed for the Japanese Language Program at Tokyo University of Foreign Studies (JLPTUFS) where various courses designed to acquire Japanese language knowledge and skills for academic purposes are offered. All the descriptors were categorized into four skills by language level from the basic course through the highly advanced stage. The first version of the list was completed in 2012, and the list is currently in the process of revision.
For this research, 82 learner data items were analyzed focusing on 1) whether or not there is a difference in terms of “can-do” assessments between the beginning and ending point of the course and 2) the characteristics of learner “can-do” assessments at each level as seen in each skill.
Based on the results, 1) “can do” assessments were higher in almost all levels and skills at the ending period than at the beginning and 2) overall, as the levels went up, the percentage of “can-do” responses increased. In final evaluations, the results of learner can-do self-assessments in a given course were sometimes higher than those of the learners in courses one level up.
From the results of this research it can be concluded that the “JLPTUFS Can-do List” accurately reflects can-do behavior at each of the levels. There are clearly some aspects, however, that warrant further investigation.