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東院地域の調査 ―第

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Academic year: 2021

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はじめに

東院庭園復原にともなう調査で、調査地は宇奈多理神 社の東に位置し、第99次・276次・302次調査区に囲まれ た細長い範囲である(図117)。昨年度実施した北接する 第302次調査では、東院園池SG5800に北西方向から水を 注ぐ給水路と判断した石組みの蛇行溝SD18120の存在が 明らかになった。またさらに北側の第110次調査区に始 まる斜め方向の塀の続きが確認され、南側の第276次調 査区で北端を検出している南北塀に接続することがわか るなど、東院庭園地区の西北側の区画施設が現宇奈多理 神社の立地する一段高い地形に沿って設定されていたこ とがいっそう確実になった。今次の調査は、従来設定さ れた諸調査区の境界位置に相当する場所にあたり、これ で東院庭園地区は、ほぼ全域についての発掘調査がおわ ったことになる。

基本層序

現地表面の標高は、調査区の西端で62.2m、東端では 61.9mほどであり、北西から南東方向にわずかに傾斜し

ている。遺構検出面は、西半の大部分では標高61.7m前 後の、ほぼ平坦面であるが、東端近くでは、中世以後の 攪乱による多数の不規則な窪みを連続させながら、急に 低くなる(図118)。

遺構面上の層序は、現耕土層の下に近世の陶磁器片を 含む砂質土層が堆積し、その下面に小砂利面が比較的ま ばらにひろがっていた。第276次、302次調査では遺構面 として上下2層のバラス面を確認しているが、今回の調 査範囲で検出した砂利面では、東西溝SD18326以外の柱 穴などの遺構は確認できなかった。したがって、この砂 利面は東院庭園にともなうものではなく、廃絶後の耕作 地造成などに付随するものとみられる。

主な検出遺構

SD18120 蛇行溝の南への続き。第302次調査区の南 端近くでは、北から続いていた溝底の石敷がとぎれ、底 石の抜取穴が遺存している状態であり、南端部分は野井 戸や土坑で破壊され、全く残らない状況であった。同様 に、さらに南の第276次調査区で蛇行溝の延長部分があ ると思われる場所も、近代の野井戸や水路でひどく破壊 され、検出できていない。今回の調査で、「野井戸」と された遺構を含めて再発掘したところ、深さが40〜

60cmの比較的浅い土坑で、北側から穴の底にかけて、

径20〜40cmの石が急傾斜をなして埋没していた。これ らの石は蛇行溝の底石に使われていたものとみられる。

この土坑SK18327は第99次調査区に続いて、かなり不整 形な形状を呈しており、整った平面形を呈することの多 い野井戸(農業用の井戸=SE17568など)とは様相をやや 異にする。蛇行溝SD18120の園池SG5800への注ぎ口の 状況は検出遺構の上からは明らかにしがたいものの、こ の土坑SK18327については、東院庭園存続の時期につく られていたもので、蛇行溝を南流してきた水を一旦貯め ておく湛水施設であった可能性も考えられる。

斜行塀SA18122・18123・9061,南北塀SA9287

・9288・9289 第110次、第302次調査で確認した斜 行塀は、柱穴の重複関係から、SA18122→18123→9061 の順に、少しずつ方位を東で北に強めながら作り替えら れたことがわかる。一方、第120次調査、276次調査では 斜行塀の西南端にとりつくかと思われる南北塀が3条検 出されており、SA9287→9288→9289という変遷をたど っている。第302次調査の成果を受けての所見では、斜

奈文研紀要2001

112

東院地域の調査

―第323次

第323次  第323次 

図117 第323次調査区位置図 1:1700

第三章̲P089-114  01.11.30 9:46 A M   ページ 112

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行塀のうちSA18122とSA18123は南北塀SA9287に、斜 行塀SA9061は南北塀SA9288に接続するとみられてい た。今次の調査の結果、斜行塀SA18123の柱間寸法およ び接続点に当たる柱位置を考えると、南北塀SA9287と は整合しにくいことがわかった。したがってSA18123は 今回検出した柱位置を西南端として、ここから角度を変 えて南西方向ないしは西方向に続くものと推定される。

また南北塀SA9289については、北に1間のびることが 確認されたが、さらにこのまま北に続くのか、西に折れ るのかについてはわからない。

SA18325 第276次調査で検出した南北塀SA17652に 接続するとみられる東西方向の掘立柱塀。第99次調査区 内にある方形掘形の一部分も一連の遺構とすると、8尺 等間で4間分確認したことになる。 (井上和人)

Ⅲ−1 平城宮の調査

113

第302次調査区 

第323次  調査区  第276次調査区 

現代の水路跡および  既住調査の排水溝 

Y−17,875 −17,870 −17,865

SX18126 SX18121

SD8472 SD8472

SD18120

SK18327 SK18327 SD18326

SD18326

SA18325 SA18325

SA17562

SA17563

SA9289 SA9288 SA9287

SA9289 SA9288 SA9287

SE17568 SE17568

SG5800 SA9601 SA18123 SA18122

SA18124

X−145,670 X−145,670

−145,675

−145,675

−145,680

−145,680

−145,685

−145,685

第99次調査区  第99次調査区  第120次調査区 

第120次調査区 

0 5m

図118 第323次調査遺構平面図 1:150

第三章̲P089-114  01.11.30 9:46 A M   ページ 113

参照

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