研究論文
日本 企 業 のア ジアへの直 接 投 資 と国 際 戦 略 提 携
丹 野 勲
第1節 日本 企業の アジアへの直接 投資の現状 と推移
1989年 か ら2003年 ま で の 日本 企 業(全 業 種)の 対 外 直 接 投 資 額 の 地 域 別(北 米 、 欧 州 、 ア ジ ア 、 中 南 米)の 推 移 をみ た も の が 図 表1で あ る。 こ の 地 域 別 の 推 移 を製 造 業 の み で み た も の が 図 表2で あ る。2003年 度 の ア ジ ア へ の 直 接 投 資 は 、 全 業 種 、 製 造 業 で 主 要4地 域(北 米 、 欧 州 、 中 南 米 、 ア ジ ア)に 中 で 第3位 と な っ て い る 。 日本 企 業 の 対 外 直 接 投 資 に 占 め る ア ジ ア 向 け 投 資 の 割 合 は 、 毎 年 変 動 は あ る も の の 、 全 業 種 で2割 程 度 、 製 造 業 で3割 程 度 と い っ た と こ ろ で あ る。
図 表3は 、 ア ジ ア 向 け 直 接 投 資 の推 移(1999年 か ら2003年 ま で)を 地 域 別 、 国 別 に 見 た も の で あ る。
中 国 向 け 投 資 は 、4年 連 続 で 増 加 して お り、2003年 度 は前 年 度 比65.0%増 の3,553 億 円 で あ っ た 。 図 表4は 、 中 国 向 け 製 造 業 の 対 外 投 資 を 業 種 別 に み た も の で あ る。
2003年 度 の 中 国 向 け製 造 業 の 対 外 投 資 は 前 年 度 比62.0%増 の2,773億 円 と高 水 準 で あっ た 。 業 種 別 にみ る と、 輸 送 機 向 け 投 資 が 前 年 度 比305.5%増 の958億 円 、 機 械 向 け が 同109.3%の399億 円 と大 幅 に伸 び 、 全 体 的 に投 資 件 数 、 投 資 金 額 とも増 加 して い る。
図表1地 域 別 構 成 比 の 推 移(全 業 種)
{36)50.O
If
ao.o
aa.0
20.0
100
o.ooa(年 度)
(出 所)財 務 省f対 外 及 び 対 内 直 接 投 資 状 況 」 より国 際 協 力 銀 行 作 成
図表2地 域 別 構 成 比 の推 移(製 造 業)
(%}7O O
60504030 OO2 001 ao
03(年 度) (出所)財 務 省 「対 外 及 び 対 内 直接 投 資 状 況 」 より国際 協 力銀 行 作 成
国 際 経 営 フォ ー ラムNo.16
図表3ア ジア 向 け 直接 投資 額(件 数 、 金 額)の 推 移 (単 位=件 、 億 円)
年 度
地 域 ・国
1999 2aoa 2001 zoo2 2003
件 数 金 額 件 数 金 額 件 数 金 額 件 数 金 額 件 数 金 額
ア ジ ア 538 8,196 464 6,638 511 8,307 538 6,910 607 7,233
ASEAN4 207 3,302 155 2,264 156 3,201 127 1,857 139 2,188
イ ン ドネ シア
タ イ
マ レ ー シ ア フ ィ リ ピ ン
57 73 44 33
1,070 934 5$8 711
26 s2 23 44
464 1aso
256 514
61 51 18 26
785 1,106 321 989
44 52 11 20
644 614 98 500
47 65 6 23
732 711 523 222
NIEs 2t6 3,660 184 3,017 i47 2,977 134 2,390 116 1,304
韓 国
台 湾
香 港
シ ン ガ ポ ー ノレ 62 26 フ6 52
1,094 320 1....
1,158
53 5t 55 25
9Q2 564 1,045 505
47 31 38 31
7Q4 aa2 43fi 1,435
44 24 32 34
763 457 253 917
39 1$
3fi 23
321 172 447 364
中 国 フ9 85$ 106 1,114 189 i,8i9 263 2,152 332 3,553
イ ン ド 12 232 10 f85 6 181 7 378 7 99
ベ ト ナ ム 17 〉>o 5 24 9 97 6 73 li 79
全 地 域 計11.744175.292i1,717154,1931,78614・,4i32」64144,93・}2,41114・,795
(出所)財 務 省 「対 外 及 び 対 内 直接 投 資状 況」 より国 際協 力 銀 行 作 成
図 表4中 国向 け製 造 業 投 資(業 種 別)図 表5ASEAN4向 け製 造 業 投 資(業 種 別)
1999
2444
2001
2002
2003
050D1,OD01,5002,0002,5003,000
匝 鋪 図雌 ・耕 ・ルブ団化学 梱鉄 ・撒 團鰍 闘 鯛 継 機 ■その他i
1999
2pOO
200y
2002
2003
z,aooz,soo ロ 食 糧Q繊 維 ロ 木材 ・パルプ 囲 化 学 圏 鉄 ・非鉄 図 機 械 ■ 電 樫e輸 送機 暉 その 他
(出所)財 務省 「対外及 び対内直接投資状 況」より国際協力銀行作成 (出所)財 務省f対 外及び対 内直接投資状 況」より国際協力銀行作成
ASEAN4向 け 投 資 は 、2003年 度 は 前 年 度 比17.7%増 の2188億 円 で あ っ た 。2001年 ま で は 、ASEAN4向 け 投 資 は 中 国 向 け 投 資 よ り金 額 で 上 回 っ て い た が 、2002年 度 で は 逆 転 し、 中 国 向 け 投 資 が 金 額 、 件 数 と も に 上 回 っ た。 国 別 に み る と 、2003年 度 は 、 投 資 金 額 で み る とイ ン ドネ シ ア 、 タイ 、 マ レー シ ア 、 フ ィ リ ッ ピ ン の 順 で あ っ た 。 図 表5は 、ASEAN4向 け 製 造 業 の 対 外 投 資 を 業 種 別 に み た も の で あ る 。2003 年 度 の製 造 業 投 資 は 、 木 材 ・パ ル プ 、 食 料 、 化 学 が 大 き く減 少 した が 、機械 、 電 機 、 輸 送 機 が 増 加 した こ とに よ り、 前 年 度 比4.0%減 の1413億 円 で あ っ た 。
NIES向 け 投 資 は 、2003年 度 は 前 年 度 比45.4%減 の1304億 円 で あ っ た 。NIES向 け 投 資 は 、 金 額 件 数 と も に1999年 度 よ り減 少 傾 向 に あ る。 国 別 に み る と 、2003年 度 は 、 投
研 究論 文● 日本企 業のアジアへ の直接投 資と国際 戦略提 携
資 金 額 で み る と香 港 、 シ ン ガ ポ ー ル 、 韓 国 、 台 湾 の 順 で あ っ た 。 図 表6は 、NIES 向 け製 造 業 の 対 外 投 資 を 業 種 別 に み た もの で あ る。2003年 度 の 製 造 業 投 資 は 、 前 年 度 比52.5%減 の552億 円 を 半 減 し、1999年 か ら減 少 傾 向 で 推 移 して い る 。
ベ トナ ム 向 け投 資 は 、1999年 か ら横 ば い 状 態 で 、2003年 度 は79億 円 程 度 で 、 ま だ 金 額 、 件 数 と も に 少 な い 状 況 で あ る。
第2節 日本企業 のア ジア戦 略一 直接投 資を 中心 と して
(1)貿 易
日本 企 業 の ア ジ ア戦 略 に おい て 、 直接 投 資 と ともに重要 な の は輸 出 ・輸 入 とい っ た貿 易活 動 で あ る。
企 業 の輸 出 は、間接輸 出 と直接 輸 出 に分類 され る。 間接輸 出は 、メー カー が商社 ・ 貿 易 業者 を通 した輸 出 の こ とをい う。 間接 輸 出 の メ リッ トは 、輸 出、海 外 市 場 に関 す る経 験 、知 識 が な くて も海 外 での販 売 が可 能 とで あ るこ とで あ る。 さらに、初 期 投 資 が 少 な く、サ ンク コス ト(埋 没 費 用)が 少 な く、結 果 と して リス クが小 さい こ
と もメ リ ッ トで あ る。 間接 輸 出 のデ メ リ ッ トは、 貿易 、現 地販 売 を他 の企 業 に依 存 してい る こ とか ら、価 格 、製 品戦 略 、広告 、 ブ ラ ン ド構 築 、 ア フ ター サー ビス 、流 通 チ ャ ンネル 等 にお い て企 業独 自のマ ー ケ テ ィン グ戦略 が困難 とな る こ とで あ る。
さ らに 、海 外 マー ケ テ ィ ング、海 外 販 売 に関す る経 営資 源 ・ノ ウハ ウの 蓄積 が少 な い こ ともデ メ リッ トで あ る。 以 上 か ら、間接 輸 出 は、海 外 市 場 で の経 験 が 乏 しく、
輸 出量 が少 な く、海 外 市場 での リス ク が高 く、 中小 ・中堅 企 業 の場 合 に、 ア ジ ア戦 略 と して有 効 で あ ろ う。
直接 輸 出 は、企 業 独 自に海 外 支店 、販 売 子会 社 等 を設 立 して 、輸 出活 動 を行 うこ
図 表6NES向 け 製造 業 投 資(業 種 別)
(年度) 1999
2000
2001
2002
2003
図 表7対 外 直 接投 資 額 の 推 移(全 業 種 、 製 造 業)
(ftP9)
..。。。1巨 三書讐
・1111 幡,
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(出所)財 務省f対 外及 び対内直接投資状 況」より国際協力銀行作成
0203〔 年度}
(出所)財 務 衙=対 外 及 び 対 内 直 接 投 資 状 況S
「財 政 金 融 統 計 月 報 」 より国 際 協 力 銀 行 作 成
国 際 経 営 フ ォー ラムNo.16
とで あ る。 直接 輸 出の メ リッ トは、価格 、製 品戦 略 、広 告、 ブ ラ ン ド構 築 、ア フター サ ー ビス 、流 通 チ ャ ンネ ル等 にお い て企 業独 自のマ ー ケテ ィ ン グ戦 略 が 可能 とな る こ とで あ る。 間接 輸 出 のデ メ リッ トは 、初 期投 資 が多 く必 要 で あ り、撤 退 障壁 が 高 くな り、結 果 と して リス クが高 くな る可能性 が あ る こ とで あ る。 以 上 か ら、海 外 市 場 で の販 売 の増 大 、海 外 で の経 験 の 蓄積 につれ て 、企 業独 自の販 売 の必 要性 が増 大 す る こ とか ら、 直接 輸 出の形 が有効 とな るで あ ろ う。
(2)直 接投 資 と 間接投 資
多 くの国 に直接 投 資 を行 い 、 モ ノや サ ー ビス の生産 拠 点 を設 置 して 、世 界 的 な視 点 で事 業 展 開 を行 って い る多 国籍 化 した企 業(い わ ゆ る多 国籍 企 業)が 、欧 米や 日 本 のみ な らず ア ジ ア諸 国 で も急 速 に台頭 してい る。 外 国人や 外 国企 業 が、 現 地企 業
に株 式 を所 有 し資本 参 加 す る とい う海 外 投 資 は、 ほ とん どの ア ジア諸 国で認 め られ てい る。 一部 の諸 国で は 、外 国人 の持株 比 率 を制 限 して い るケー スが あ る。 これ は、
現 地 企 業 の保護 の た めや 、国益 ・公 益等 の何 らか の理 由で外 国 企業 の参入 を制 限 し てい るた め で あ る。 特 に、 ア ジ アで は電機 ・通信 、金 融 、流 通 の分 野 に外 資 規 制 を 設 け てい る国が あ る。 た だ し、 中国 、 大 多数 のASEAN加 盟 国 がWTOに 加 盟 した こ
とか ら、 この よ うな外 資規 制 は徐 々 に緩 和 され て きて い る。
海 外 投 資 は、一 般 的 に直 接 投 資 と間接 投資 に分 類 され る。 直 接 投 資 とは 、外 国 で モ ノや サー ビス を生 産 す る こ とを主 目的 とす る投 資 で あ り、外 国 に設 立 した、 また
図表8対 外直接投資実績の推移 (単 位:件 、 億 円)
株 式 ・持 分の取 得 貸 付 支 店 設 置 ・拡 張 合 計
件 数 金 額 件 数 金 額 件 数 金 額 件 数 金 額
1994年 度 t,203 29,694 1,236 12,710 39 404 2,478 42,808
1995年 度 可,498 33,ア49 1,332 ia,ssi 33 938 2,863 49,568
1996年 度 3,228 40,517 1,254 12,430 19 1,149 2,501 54,095
1997年 度 1,032 50,348 t,452 i5,i83 11 745 2,495 66,236
..・ 年 度 523 33.OQ4 1.10$ 19,319 6 457 1,637 52,780
1999年 度 617 f・11 1,121 11,463 fi 229 1,744 75,292
2000年 度 646 46,347 1,068 7,569 3 277 1,717 54,193
2001年 度 s33 30,712 1,347 9,346 6 355 1,786 4Q,413
2002年 度 710 35,919 1,447 8,634 7 377 2,164 44,930
2003年 度 705 31.1$9 1,700 9,326 6 zso 2,411 40,795
(注)1.計 数 は報 告 ・届 出 ベー ス。
2.件 数 は、 「株式 ・持 分 の取 得 」 は現法 の 新設 又 は新 規 資 本参 加 が あ っ た場 合 の み 計上 、「貸 付 」 は 新 規案 件 の み 計 上(社 債 の取 得 を 含 む)、 「支 店 設 置 ・拡 張 」 は新設 案件 のみ 計上0
3.金 額 は単位 未 満 四捨 五 入 。
出所)財 務 省 「対 外及 び 対 内直 接扮 資 状 況」 より国 際協 力銀 行作 成
研 究論 文● 日本企 業 のアジアへの直接投 資 と国際戦略 提携
は 買収 した企 業 に対 して 、経 営 の コン トロー ル を伴 う資 本移 動 で あ る。 す な わ ち、
経 営支 配 や 参 加 を 目的 とす る外 国企 業 の 買収 、海 外 で の 現地 子 会 社 の設 立 、支 店 、 工場 、 店舗 等 の事 業活 動 を行 うた めの 実物 資 産 の 取得 、 等 の長 期 資本 の移 動 に よ る 海 外投 資 で あ る。 直接 投 資 は 、通常 この よ うな資本 の移 動以外 に、経 営 管理 、 技術 、 生 産 ノ ウハ ウ、パ テ ン ト、 マー ケテ ィ ング等 の種 々の 経 営資 源 の国 際移 転 も含 まれ る。 日本 の 「外 国為 替 及 び 外 国貿 易 法」(外 為 法)に よ る と、 対外 直接 投 資 とは 、 居 住者 が海 外 にお け る海 外 法人 の事 業活 動 に参加 す るな ど、 当該 法 人 との 間 に経 済 関係 を結ぶ た め に外 国法 人 の発 行 す る株 式 な どを取得 す る こ と、外 国 法人 に金銭 を 貸 し付 け る こ と、又 は外 国 に支 店 や 工 場等 を設 置 す る こ とに よ り行 わ れ る もので あ る 、 と して い る。 図表7は 、 日本 の対 外 直接 投 資 額 の推 移 を見 た もので あ る。 図表
8は 、 対外 直接 投 資 実績 の数 を形 態 別 にみ た もの で あ る。
これ に対 して、 間接 投 資 とは 、経 営 の コン トロール を 目的 と しな い証 券 ・債 券 投 資 で 、単 な る資 産 運用 や キ ャ ピ タル ゲイ ンの た めの投 資や 、国債 ・社 債 等 の投 資 や 金融 機 関 等 に よる 中期 ・長 期 の貸 付 等 に よ る資 本 移動 で あ る。す な わ ち、企 業 の経 営支 配 を行 わず 、株 の 配 当や 運 用 を基 本 的 な 目的 とす る株 式 、社 債 等 の証 券へ の投 資 、 お よび 、 国債 ・公 社 債 等 の債 券 投 資 、 融 資 、借款 等 の 、国 際 的 な資 本移 動 で あ る。 高金利 を求 め て、 日本 か らオ ー ス トラ リアへ の債 券投 資 を 中心 と した間接 投 資 が 増 えて い る。 ま た、 主 に ア メ リカ か ら 日本 へ の証 券 ・債 券 投 資 、 不動 産 投 資 を 中 心 と した 間接 投 資 も増加 して い る。
(3)ア ジ アへ の所 有 戦 略
企 業 が多 国籍 化 す る際 、 と りわ け重 要 な経 営戦 略 は 、資本 の完 全 所有 に基 づ い て 単 独 で進 出 を行 な うか 、それ とも現 地 企 業 や 政 府 と組 ん で ジ ョイ ン トベ ンチ ャー の 型 で進 出す るか の決 定 で あ る。
完全 所 有 を選好 す る企 業 は 、以 下の経 営 戦略 を よ り志 向重視 して い る企業 で あ る。
第1は 、マ ー ケテ ィン グ志 向企 業 、す な わ ち広 告 に よる製 品 差別 化 戦 略 を よ り重 視 す る企 業 で あ る。 例 え ば、食 品 、飲 料 、洗 剤 、薬 品等 の企 業 が あ る。 これ らの企 業 は、 マ ー ケテ ィ ン グに 関す る人 材 、 ノ ウハ ウ、経 験 等 の 経 営資 源 を豊 富 に保持 し
て お り、 そ の うえ 、一 般 的 に標 準 化 され た マ ー ケ テ ィ ン グ技 術 を もっ てお り、この マ ー ケテ ィ ン グ経 営資 源 が 、企 業 競 争 上 の比 較優 位 を もた ら して い る。 このマ ー ケ テ ィ ン グの優 位 性 か ら、これ らの企 業 は ジ ョイ ン トベ ンチ ャ.̲.̲のパ ー トナ ー に対 し て現 地 のマ ー ケテ ィ ン グに 関す る貢 献 を必要 と考 えな い。 そ の た め 、マ ー ケテ ィン
国 際 経 営 フォー ラムNo.16
グ志 向企 業 は ジ ョイ ン トベ ンチ ャー に消極 的 で あ り、完 全所 有 を選好 す る。
第2は 、 国 際 的視 点 で の ロジ ス テ ィ ック戦 略 、す なわ ち各 国 工 場 間 で の 工程 分 業 、製 品 最適 化 戦 略 を行 な って い る企 業 で あ る。 自動 車 、電 機 等 、 コス ト競 争 が激 烈 な大 規模 な組 立産 業 に多 くみ られ る。 企 業 が国 際 的 な ロジ ステ ィ ック戦 略 を とる
と、海外 子会 社 間 で の製 造 品 目、部 品 、振 替価 格 、市 場 の割 当等 の決 定 と調整 は 、 親会 杜 が集権 的 に行 なわ な けれ ば な らない。 そ のた め、 ジ ョイ ン トベ ンチ ャー のパー トナ ー とのや っか い な利 害調 整 を必 要 と しない 、 よ り親 会 社 が集権 的 に管理 、統 制 で き る完 全 所 有 を選 好 す る。
第3は 、高度 技 術企 業 、研 究 開発 志 向型 企 業 で あ る。 これ らの 企 業 は 、技術 の比 較 優 位 性 の た め海 外 進 出 に 自信 を もってお り、 ま た 、 ジ ョイ ン トベ ンチ ャー のパ ー ト ナ ー か ら高度技 術 、 ノ ウハ ウが外 部流 出 され る危 慎 の た め、 完 全所 有 を選 好 す る。
ジ ョイ ン トベ ンチ ャー 、合 弁 を選 好 す る企 業 は、 以 下 の よ うな特 質 を もつ 。 第1は 、製 品系列 が多角 化 した企 業 で あ る。 多 角化 企 業 は 、製 品の多 様性 のた め、
経 営 資 源 の配分 を製 品設 計 、 生産 、技 術 開発 等 の部 門 に集 中 され る傾 向 に あ る。 そ の た め、マ ー ケ テ ィン グに 関す る経 営資 源 が 不十 分 で あ るケー ス が 多 い。 ま た 、製 品 が多 種 で あ るた め、 マー ケテ ィン グチ ャ ンネ ル 、 ノ ウハ ウ、知 識 、 能力 等 が製 品 ご とに異 な る場 合 が 多 い。 それ で 、多 角化 企 業 は、未 知 で リス ク が高 い海 外 事 業 に 際 して 、マー ケテ ィングの経 営資源 の切 実 な不 足 を感 ず る。現 地 の事情 に精通 した ジ ョ イ ン トベ ンチ ャー のパ ー トナー に 、 このマ ー ケ テ ィン グ能 力 を期 待す る。
第2は 、 中小 ・中堅 企 業 とい っ た、 比較 的 規模 の小 さい企 業 で あ る。 中小 ・中堅 企 業 は 、海 外進 出 に際 して経 営資源 、 内部資 金等 が不十 分 で あ るケー スが あ り、ジ ョ イ ン トベ ンチ ャー の型 で これ らの不 足 を補 う。 ま た 、 これ らの企 業 は、 大企 業 に比 較 して 、 も し海 外 事 業 活 動 に失 敗 した な らば、親 会 社 は経 営 上 重 大 な影 響 を被 る可 能性 が 高 く、 リス ク 回避 戦略 を とろ う とす る。 そ のた め、 ジ ョイ ン トベ ンチ ャー の 型 で 投資 額 を押 え、危 険 分散 を はか るので あ る。
海 外 子 会社 の所 有 戦 略 と して、100%出 資 の完 全 所 有子 会 社 の形 態 にす るか 、現 地 資本 と組 ん で合 弁 会 社 の 形態 にす るか の選択 が あ る。 合 弁 企 業 は 、外 国 人持 株 比 率 に制 限 の あ った ア ジ アの発 展 途 上 国や 中進 国 に 多 く見 られ る。
(4)ア ジア への 直 接投 資の 目的
ア ジ ア海 外 子 会社 にお け る直接 投 資 の 主要 な性 格 と して 、現 地 市 場志 向型 、輸 出 志 向型 、垂 直的 統合 型 、製 品分 業型 、 資源 開発型 、 に分類 す る こ とが で き る。
研 究論 文● 日本 企業 のアジアへの直接 投資 と国際戦 略提携
① 現地 市場 志 向型 の直 接投 資
現 地 市場 志 向型 直接 投 資 は、 ア ジ ア進 出 国 での 市場 で の販 売 、 サー ビス を 目的 と した直 接投 資 で あ る。 この形 の投 資 は、輸 入 代 替型 直 接 投 資 ともい われ る。 現 地 市 場 指 向型 投 資 は、大 規模 な市場 や 急速 な 市場 成長 が見 込 まれ る諸 国、 お よび 、 関税 の付加 あ るい はそ のお そ れ に反 応 して しば しば行 われ る。 さ らに、 現地 市 場 へ の輸 出 の増 大 は 、現 地政 府 との 通 商政 策 上 の軋礫 が 生ず る可 能 性が あ る場合 、現 地 生産 に切 り替 え る とい う現 地 市 場指 向型 の 直接 投 資 が あ る。
メー カー の場合 、輸 入 で は な く現 地 で 生産 した 方 が 、現地 市場 のニ ー ズ に的確 に 対応 した製 品 を開発 ・生 産 で き る とい うメ リッ トが あ る。 国や 地 域 に よっ て、 消費 者 の趣 向や 要 求 には微 妙 な違 い が あ るた め 、現 地 市場 に近 い場 所 で生 産 した方 が よ
り適合 的 とな る。 日本 の 自動車 メー カー の東南 ア ジアで の現地 生産 で は、ア ジアカ ー の 開発 とい うケー ス が あ る。 日本 の違 い タイ を 中心 と した東 南 ア ジ アで は 、気候 は 高温 多 湿 で 、道 路 状況 も悪 い。 東 南 ア ジア の一 般 消費 者 は まだ所 得 水 準 は低 い 。 こ の よ うな環 境 で 、装備 は シ ンプル 、頑 丈 で 、価 格 は安 い とい う東 南 ア ジア 市場 に適
した ア ジア カ ー を開発 し現 地 生 産 した ので あ る。
サー ビス産業 の海 外 直接 投 資 は 、 それ を提 供 す る国 で ビジネ ス を行 うケ ー ス が ほ とん どな ので 、 このカ テ ゴ リー に入 る場 合 が 多 い。 日本 のサ ー ビス産 業 の ア ジ ア投 資 に は、デ パ ー ト、 スー パー 、専 門店 、 フ ァー ス トフー ド、不 動産 、ホテ ル 、観 光 、 運 送 、金 融 関連 等 の企 業 に多 い。
② 輸 出志 向型 の 直 接投 資
この型 で の直接 投 資 の 主要 な動機 は 、 アジ ア進 出 国で の各 種 の コス ト優位 性 を利 用 す る こ とに よっ て輸 出競争 力 を高 め 、企 業 の優 位性 を獲 得 しよ うとす る海 外 生 産 戦 略 で あ る。 この形 の投 資 は 、労働 コス ト削減 型 、原材 料 コス ト削減 型 、部 品 コス ト削減 型 、 タ ックスヘ イ ブ ン型 、 資 金調 達 型 、等 が あ る。 多 国籍 企 業 が 、 よ り労働 コス トの安 い 中進 国や 発 展途 上 国 に輸 出拠 点 を移転 させ るの は 、 この ケー スで あ る。
特 に、資 本 単約 的 で は な く労働 集約 的 な製 品 の場 合 、労働 コス トの安 い ア ジア諸 国 に進 出す るの は有益 で あ る。
③ 垂 直 的統合 戦 路 によ る直 接 投 資
企 業 には 、原 料や 部 品 を調 達 して、加 工 ・組 立 て を行 い 、流 通 経 路 を経 て販 売 す る とい う一連 のプ ロセ スが ある。 この 生産 か ら販 売 にい た る段 階 を、 自社 に取 り込 む こ と、 内部 化 す る こ とが 垂 直 的統 合 戦略 で あ る。 企 業 は垂 直 的 統合 戦 略 を行 うこ
とに よ って 、競 争優 位 を獲 得 、維 持 させ よ うとす るの で あ る。
国 際 経 営 フ ォ・一 ラ ムNo.16
垂 直 的統 合 の プ ロセ スで 、原 材料 生産 の方 向 を川 上 、最 終 消 費 の方 向 を川 下 と一 般 的 には い われ る。 垂 直 的統 合 戦 略 に よる企 業 の海 外進 出 と して 、川 上 方 向 の統 合 戦 略 と して の資源 開発 、川 下方 向の 統合 戦 略 と して の販 売 拠 点 の設 置 、 お よび生 産 の統合 戦 略 と して の 工程 分業 な どが あ る。
④ 製 品分 業 のた め の 直接 投 資
水 平 的 統 合 戦 略 と して 、製 品 分 業 を行 うた め の直 接 投 資 が あ る。 製 品 分 業 に は、
技術 レベ ル がそれ ほ ど違 わ ない 製 品 を各 国 で分 担 生 産す る形 と、技 術 レベ ル の異 な る製 品 を分 担 生産 す る形 が あ る。 日本 企 業 の製 品分 業 をみ る と、前 者 の 事例 と して は、 日本 企 業 が 、 ア メ リカ、 欧 州 とい った先 進 諸 国 に進 出 し、技 術 水 準 が それ ほ ど 違 わ な い製 品 を 、 国際 的 な最 適 立地 とい う視 点 か ら製 品分 業 す る形 であ る。 後 者 の
事例 と して は、日本 企 業 が、タイ 、 イ ン ドネ シア 、マ レー シ ア 、ベ トナ ム等 のASEAN 諸 国や 中国 に進 出 し、 主 に標 準化 製 品 を生産 し、 日本 で は高付 加 価 値 の 高度 技 術製 品 を生 産 し、 国際 的 に製 品分 業す る場 合 が そ うで あ る。 ま た 、現 地 市場 のニ ー ズ に あ っ た製 品 の生 産 ・開発 を 目的 と した 現地 市 場密 着型 の海外 進 出 もあ る。 国や 地域 に よって 人 々 の製 品 に対 す る要 求 は微 妙 な違 い が あ るので 、 それ を的確 に捉 えて製 品 に反 映 させ る戦 略 を とるの で あ る。 地域 特 有 の ニー ズに適 合 させ て製 品化 を行 う こ とに よ り製 品 を差 別 化 す るの で あ る。
⑤ 資源 開発 の た めの 直接 投 資
原 油 、天 然 ガ ス 、石 炭 、鉄 鉱 石 、銅 、木 材 等 の天 然 資源 開発 のた めの直 接 投 資 が あ る。 日本企 業 は、資源 を求 めて イ ン ドネ シア を 中心 としたア ジア諸 国、お よび オー ス トラ リア に多 くの 直接 投 資 を行 って い る。 特 に注 目す べ き は、 資源 開発 会社 、石 油 会社 のみ な らず 、総 合 商社 の資源 開発 関連 の直接 投 資が 多 くみ られ る こ とで あ る、
日本 の総 合 商 社 は 、 ア ジ ア ・オー ス トラ リア で の資 源 開発 プ ロジ ェ ク トに参加 し、
日本 の他 の企 業 、海 外 ・現 地企 業 、 現地 政府 と共 同 出資 の形 で資源 開発 を積 極 的 に 行 って い る。
資源 開発 関連投 資 で は、農 業 、畜産 業、漁業 関連 の資 源 開発 が あ る。 ア ジア 、オー ス トラ リア で は、野 菜 、穀 物 、果物 、茶 な どの生 産 の た め の直接 投 資 、牛 肉生 産 の た めの牧 場 へ の 直接 投 資 、魚 の養 殖 へ の直接 投 資 、等 の ケー ス が あ る。
(5)ロ ー カ ル コ ンテ ン トと 関 税 政 策
ロwカ ル コ ン テ ン ト(LocalContent)と は 、 海 外 か ら の 直 接 投 資 に よ る進 出 企 業 に 対 して 、 政 府 が 部 品 ・資 材 の 一 定 比 率 を 現 地 調 達 す る こ と を 義 務 づ け る こ とで
研 究論 文● 日本企 業 のアジアへの直接投 資 と国際戦 略提 携
あ る。 ロー カル コ ンテ ン トの狙 い は 、部 品 ・原材 料 の輸 入 を減 ら し現 地 か らの調 達 率 を上 げ る こ とに よ り、部 品 ・原 材 料 関連 産 業 を育成 させ る こ とで あ る。 日本 の 自 動 車 産 業 の対 米進 出 にお い て 、米 国 政府 が対 日貿 易不 均 衡 の解 消 策 と して在 米 日本
自動 車 メー カー に対 して部 品調 達 の 現 地調 達 率 を一定 比 率以 上 義務 づ け る ロー カル コンテ ン トを実施 した。 ア ジア の発 展途 上 国や 中進 国 にお い て も、 現 地企 業 の保 護 を 目的 と した ロー カル コンテ ン トを実施 す るケ ー ス が あ る。 ロー カル コ ンテ ン トで は ない が 、部 品 の関税 を極 めて 高 くす る こ とで 、 実質 的 に ロー カル コ ンテ ン トと同 様 の効 果 が 生ず る とい う政 策 を実施 して い る ア ジア諸 国 もま だ 多 く存 在 してい る。
た だ し、WTOの ル ール で は、 ロー カ ル コンテ ン ト要求 をガ ッ ト3条 違 反 と して 禁止 され てい る。
第3節M&A戦 略
(1)M&Aと は何 か
企 業 の国 際化 戦 略 と して 、近 年 注 目 され て い るの が企 業 買収 で あ る。
現 地 で活動 して い る企 業 を買収 し、 経 営権 を取得 して、企 業 経 営 を コン トロール し、 子 会 社 経 営 を行 う場 合 は 、 一般 にM&A(Merger&Acquisition)と 呼 ばれ て い る。M&A戦 略 は 、水 平 的 統 合 を 目的 と した もの か 、 垂 直 的統 合 を 目的 と した もの か に よ って 、 水 平型 と垂 直型 に分 類 で き る。 水 平 型M&Aと は 、類 似 した製 品 を生 産 し てい る会 社 を買収 す る戦 略 で あ る。 これ は、 ほ ぼ 同 じ製 品や 事 業 内容 の企 業 を 買収
し、主 に海 外 シ ェア を拡 大 す るた め に行 われ る戦 略 で あ る。 垂 直 型M&Aと は、 原 材 料 や 部 品等 の川 上方 向 の企 業 の買 収 、 生産 工程 の企 業 の 買収 、お よび販 売 や流 通 経 路 の川 下方 向 の企 業 の 買収 とい うよ うな 、垂 直 的統 合 を 目的 と した企 業買 収 戦 略 で あ る。
また 、製 品 と市 場 の 関連 性 か ら、M&A戦 略 は 、製 品 拡 大型(技 術 関連 型)、 市場 拡 大型 、 コ ン グ ロマ リッ ト型 に分類 で き る。 製 品拡 大型(技 術 関連 型)M&Aと は 、製 品や 事 業 に関連 が あ る企 業 を買収 し、製 品 ライ ン を拡 張す る戦 略 で あ る。 製 品 の生 産 や 技術 の 関連 に よっ て技 術 的 シナ ジー の効 果 を狙 う戦 略 で あ る。 市場 拡 大型M&A
とは 、 同一 も しくは類似 の製 品 を異 な った 地域 や 市 場 で販 売 しよ うとす るた め に企 業 買 収 す る戦 略 で あ る。 コ ング ロマ リッ ト型M&Aと は 、異 質 の製 品 と市場 を持 って い る企 業 を買収 す る戦 略 で あ る。 外 国企 業 に よる現 地 企 業 のM&Aは 最 近 世 界 的 に多 く見 られ る が、M&Aに 対 して何 らか の制 限 ・規 制 や認 可 を 実施 して い る諸 国 も存 在
国 際 経 営 フ ォー ラムNo.16
す る 。
(2)中 国で のM&Aの ケ ース
中 国 に お け るM&Aが 最 近 多 くな っ て き て い る。 海 外 企 業 の 中 国企 業 へ のM&Aは 、 2003年 で41億 米 ドル 、前 年 度 比41.0%増 と高い 伸 び をみせ た。 図表9① は 、 外 国 企 業 の 中国企 業へ の主 要 な 買収 案 件 で あ る。 中 国 は国 有企 業 改 革 に外 資 に よ るM&Aを 積 極 的 に活 用 しよ うと してお り、2002年 後 半 以 降 、相 次 い でM&A関 連 法制 度 を整 備
した。2003年4月 には 「外 国投 資者 に よ る国 内企 業 買収 暫 定規 定 」 が施 行 され 、外 国企 業 が 国有 企 業 を買収 す る方 法 が 規 定 され た。 同規 定 で 不 明確 で あっ た国 有企 業 の資産 評 価 の方 法 につ い ては 、2004年2月 に施 行 され た 「企 業 国有 財 産 権 譲渡 管理 暫 定 規則 」 に よ って 規 定 され た。 ま た 、 国有 企 業 のM&Aを 仲 介 す る各 地 の産 権 交 易 所 の活 動 も活発 化 して い る。
中国企 業 に よ る外 国企 業 買収 も活 発 で、2003年 は57件 、 前 年 比83.5%増 の46億 米 ドル と急 増 した。 図表9② は、 中 国企 業 に よ る外 国企 業 の 主 要 なM&A案 件 で あ る。
電 気 ・電 子 、 油 田権 益 獲得 、 不 動 産 、 食 品 な どの 分 野 で のM&Aが 目立っ 。 た だ し、
こ こで の 中国企 業 とは 、最 終 的 な親 会社 の 国籍 が 中国 で あ る企 業 で あ る。 買収企 業 自身 の 国籍(法 人 設 立 地)を み る と、 全57件 中29件(31億 米 ドル)が 香 港 で 、財 香 港 子 会社 を活 用 した外 国企 業 買収 が多 い。
図表9中 国をめ ぐるM&A主 要 案件(2002)
① 【外 国 企 業 に よ る 中 国企 業買 収 】
完了年月 買 収 企 業 被 買 収 企 業 金額
国 籍 業 種 国 籍 業 種 lloo万剛
2003年6月 NissanMotorCo.Ltd. 日 本 輸送機器 伯 動車〉DongfengMotorCorp. 中 国 自 動 車 1,032
2003年12月 Citigroup 米 国 銀 行 Bank。fChina一 不 良 債 権 中 国 銀 行 600
2003年3月 InvestorGroup
fMorganStanleyな ど} 米 国 金 融
(その 他投 資 業}
ChinaHt3arongAssetMgmt
一不 良 債 権 中 国金 融(ロ ー ン仲 介) 278
2003年11月 LGCorp. 韓 国 化 学(農 薬) LGEI〔珈ni(冷Na㎞e(晦 【㍑hou) 中 国電子・電気機器 倍 楽C跨} 226 2003年4月 Anheuser‑BaschCoslnc. 米 国 飲 料(ビ ー ル) TsingtaoBreweryCo.Ltd. 中 国飲 料(ビ ー ル) 182
2003年7月 eBaylnc. 米 国 そ の 他 小 売 業
(通 信 販 売 業) EachNet.com 中 国そ の 他 小 売 業 (通 信 販 売 業) 150 2003年7月 InvestorGrouptTokioMarine
&FirelnsuranceCo.Ltd.な ど}
日 本 金 融
(そ の他 投資 業 SinoLi#elnsw‑anceCa.Ltd. 中 国 生 命 保 険 128 2003年12月 InvesEorGroup(GEGFR
AssetManagementlnc.な ど) 米 国 金 融
(そ の他 投資 業)
ChinaHuarongAsset
Mgmt一 不 良 資 産 中 国 金 融(投 資顧 問 業) 125
2003年10月 CitibankNA 米 国 銀 行 Shanghai1'udongDvlpBk 中 国 銀 行 ?2
2003年5月 IndustrieslnternationalLtd.米 国 電 子 ・電 気機 器 LiSunPowerinternationali,td,中 国 化 学 69
研 究論 文● 日本 企業 のアジアへの 直接 投 資と国際 戦略提携
② 【中国 企 業 に よ る外 国企 業 買収 】
買 収 企 業 被 買 収 企 業 金額
年 月 国 籍 業 種 国 籍 業 種 1100万陶
2003年12月 Ch血aUnicomLtd. 中 国 電 気 通 信 UnicornNewWorld(BVI)Ltd. 香 港 電 気 通 信 1,368 2003年3月 AsiaNetcomCorp.Ltd. 中 国 電 気 通 信 AsiaGlobalCrossingLtd. バ ミューダ
諸 島 僕} 電 気 通 信 x,020
2003年1月 BOE 中 国 電気 ・電 子機 器 Hydis 韓 国 電 気 ・電 子 機 器 謝
2003年2月 CNOOCLtd. 中 国 石 油 ・天 然 ガ ス TangguhLNGProject,lndonesiaインドネシア 石 油 ・ 天 然 ガ ス 275 2003年9月 CNPC 中 国 石 油 ・天 然 ガ ス NBuzachiOilfield,Kazakhstan カザフスタン 石 油 ・ 天 然 ガ ス zoa 2003年8月 COFCO(HongKong)Ltd. 中 国 金融(その他投資業) TopGlory]ntlHldgsLtd. 香 港 不 動 産 業 191
2003年2月 GDHLtd. 中 国 金融(その他投資業)GuangdongBreweryHldgLtd.香 港飲 料(ビ ー ル) 186
2003年4月 InvestorGroug(Petronas CarigaliJabungLtd.な ど)
中 国 金融(その他投資業)AmeradaHesslndonesiaHldg インドネシア 石 油 ・天 然 ガ ス 164
2003年ll月 BO£ 申 国 電 気 ・電子 機 器 TPVTechnologyLtd. 香 港 コンピュー タ・事 務 用 機 器 135
2003年1月 C4FCO(HongKong)Ltd. 中 国 金融(その他投資業)ChinaFoodsHoldingsLtd. 香 港食 料 品 108
(3)オ ー ス トラ リア で のM&Aの ケ ー ス
海 外 の 大 手 企 業 に よ る オ ー ス トラ リア 企 業 の 合 併 ・買 収(M&A)が 相 次 い で い る 。 特 に 、 オ ー ス トラ リア の エ ネ ル ギ ー ・資 源 業 界 のM&Aが 盛 ん で 、 こ の 業 界 の 再 編 の 動 き が 進 ん で い る 。
資 源 産 業 で は 、1999年 に ス イ ス の 非 鉄 商 社 大 手 グ レ ン コ ア が ア ナ コ ン ダ ニ ッケ ル を 、 南 ア フ リカ 共 和 国 の ア ン グ ロ ・ゴ ー ル ドが 金 鉱 山 ア カ シ ア ・リ ソー シ ー ズ を そ れ ぞ れ 買 収 した 。2000年8月 に は 、 世 界 最 大 の鉱 業 グ ル ー一プ 英 リオ ・テ ィ ン トが 鉄 鉱 石 生 産 で 世 界 第4位 の 資 源 企 業 ノ ー ス の株 式54%を 取 得 し(後 に85%に 引 き 上 げ)経 営 権 を握 っ た。
1990年 代 に 始 ま っ た 豪 州 の 電 力 民 営 化 へ の 参 入 は 、 当 初 、 欧 米 企 業 が 中心 で あ っ た が 、 最 近 は ア ジ ア 企 業 が 主 な 担 い 手 と な りつ つ あ る。2000年S,月 、 香 港 の 大 手 財 閥 ・長 江 実 業 グル ー プ傘 下 の長 江 基 建 と香 港 電 灯 が 、英 国第2位 の 電 力 会 社 ス コテ ィ ッ シ ュ ・パ ワー か ら ビ ク ト リア州 最 大 の 電 力 販 売 会 社 パ ワー コ ー を 、23億 豪 ドル で 買 収 した 。 長 江 基 建 と香 港 電 灯 は 、1999年12,月 、 南 オ ー ス トラ リア 州 の 州 営 企 業ET
SAパ ワー とETSAユ ー テ ィ リテ ィー ズ の2社 を35億 豪 ドル で 買 収 した 。 ユ ー テ ィ リテ ィ ー ズ は 、 送 電 線7万6,000キ ロ を所 有 す る 配 電 会 社 で 、 長 紅 実 業 グ ル ー プ は 州 政 府 と リー ス 契 約 を結 び 、 同 社 の 経 営 に乗 り出 した 。 一 方 、 シ ン ガ ポ ー ル の セ ン グ コ.̲̲̲プは 、2000年8月 、 同 発 電 所 を所 有 す る米 エ デ ィ ソン ・ミ ッシ ョン ・エ ナ ジ ー か ら西 オ ー ス トラ リア 州 パ ー ス 近 郊 に あ る ク ウ ィナ ナ 熱 供 給 発 電 所(116メ ガ ワ ッ ト) の 株 式 の3割 を2,500万 豪 ドル で 取 得 した 。 こ の ほ か 、2000年8月,英 鉱LU・ 非 鉄 金 属 大 手 ビ リ トン が30%出 資 して い た 豪 州 ア ル ミ合 弁 会 社 ウォ ー ス レイ の 株 式 を,合 弁 パ ー トナ ー の 米 ア ル ミ大 手 アル コ ア か ら取 得 し、 出 資 比 率 を86%に 引 き 上 げ た 。
国 際 経 営 フォ ー ラムNo.16
日本 の 対 象 投 資 は 資 源 部 門 で 活 発 化 して き て い る。2000年3月 に は 、 日本 企 業3社 が参 加 して 西 オ ー ス トラ リア州 ウエ ス ト ・ア ン ジ ェ ラ ス で 開 始 され る鉄 鉱 石 プ ロ ジ ェ ク トに 対 し,同 州 政 府 か ら最 終 認 可 が お り、 日本 企 業 と して ほ ぼ30年 ぶ り とな る 鉄 鉱 石 鉱 山 の 開 発 が 行 わ れ る こ と に な っ た 「ロー ブ 開発 計 画 」 と も 呼 ば れ る 同 プ ロ ジ ェ ク トに は 豪 資 源 大 手 ノ ー ス 、 三 井 物 産 、 新 日本 製 鉄 、 住 友 金 属 工 業 が 参 加 し、
投 資 総 額 は約10億 豪 ドル で あ る。2000年7月 に は 大 阪 ガ ス が 英 蘭 系 石 油 メ ジ ャ ー 、 ロイ ヤ ル ・ダ ッチ シ ェ ル の 豪 子 会 社 と独 立 系 石 油 大 手 ウ ッ ドサ イ ド ・ペ トロ リア ム が 保 有 す る テ ィモ ー ル 海 の ガ ス 田 の 権 益10%を 取 得 す る こ とで 合 意 した 。 こ の ほ か, 三 菱 商 事 は2000年10月,豪 州 の 鉄 鋼 ・資 源 開 発 会 社BHPと 共 同 で 同 国 の 大 手 石 炭 会 社QCTを 株 式 公 開 買 い 付 け(TOB)に よ り、 総 額8億9,400万 豪 ドル で 買 収 した 。 ま た 、 2001年 に 、 三 井 物 産 は 、 独 立 系 石 油 大 手Novas社 に 、15%出 資 し資 本 参 加 し、 豪 州 で の 石 油 開 発 事 業 を 強 化 して い る。
2003年 、 関 西 電 力 と中 部 電 力 は 、LNG開 発 の コ ン ソー シ ア ム で あ る西 オ ー ス ト ラ リア州 北 部 大 陸 棚LNG開 発 と15年 間 のLNG供 給 契 約 を締 結 した 。2004年4 .月、
新 日本 製 鉄 は 、 豪 州 鉱 山 大 手 リオ ・テ ィ ン ト社 と鉄 鉱 石 ・石 炭 の 権 益 取 得 ・共 同 開 発 に 関 す る提i携 に基 本 合 意 した 。
以 上 の よ うに 、 オ ー ス トラ リア で は 、 日本 の 商 社 、 電 力 ・ガ ス 会 社 、 製 鉄 会 社 、 資 源 開 発 会 社 を 中 心 とす る 日本 企 業 の 資 源 ・エ ネ ル ギ ー 分 野 へ のM&Aや 直 接 投 資 が 活 発 に な っ て い る。
(4)双 日ホール デ ィング社 の 豪 州 資源 開 発会 社 のM&Aに 関 す るケ ー ス
日系 の大 手 商社 、 日商岩 井(現 双 日ホール デ ィン グ)は 、1990年 に豪州 資 源 開発 会 社 ミネ ラル サ ン ド社 の株 式 の100%を 約300億 円で 買収 した。 所 在 地 は 、西 オ ー ス トラ リア 州 パ ー ス で 、 現在 の従 業員 数 は 、約230名 で あ る。 現 在 の生 産 は 、 トル メ ナ イ トを年 間40‑50万 トン程 度 、 ジル コンを年 間3万 トン程度 で あ る。 現 在 まで ほ
ぼ順 調 に経 営 が推 移 して い る。
双 日ホー ル デ ィン グは 、豪 州 で の各 種 の 資源 開発 を重 視 した戦 略 を とっ てい る。
ア フターM&Aの 成 功 要 因 と して以 下 が あ るで あ ろ う。
買収 当初 、現 地 人 取締 役 を残 留 させ た が 、 これ が 買収 後 に トップマネ ジ メ ン ト問 題 とな った。2‑3年 後 に残 留 取締 役 を退任 させ 、 日本 側 が 主導 した形 で の取締 役 会 とな った。 日本側 が 、資 本 の割 合 に従 って取 締役 を 出 し、責 任 の あ るポ ジ シ ョンに 目本 の親 会 社 の 日本 人 を置 い た。 具 体 的 に は、会 長 、財 務 ・経 理担 当役員 等 の ポ ジ
研究論文● 日本企業のアジアへの直接投資と国際戦略提携
シ ョ ン に 常 勤 の 日本 人3名 を 派 遣 した 。 ミネ ラル サ ン ド社 が ア フ タ ーM&Aで 成 功 した 要 因 と して 重 要 な の は 、 基 本 経 営 戦 略 ・財 務 に 関 して は 、 日本 側 が コ ン トロー ル した こ とで あ る 。
ア フ タ ーM&Aで 最 も苦 労 した の は 、 ミネ ラル サ ン ド社 の 人 的 資 源 管 理 の 問 題 で あ る。 か つ て 、 ア ウ トソー シ ン グ 労 働 者 の ス トラ イ キ が あ り、 操 業 に 大 き な 影 響 を 与 え た こ とが あ っ た 。 こ の 解 決 策 と して 、 新 聞 広 告 を 出 し、 ス トラ イ キ 中止 を訴 え た 。 そ の 結 果 ス トラ イ キ が 中 止 され た 。 こ の よ うに 、 労 使 関係 に は 、 注 意 を 払 うべ
き で あ ろ う。
ミネ ラル サ ン ド社 の 人 的 資 源 管 理 の 現 状 に つ い て は 以 下 で あ る。
賃 金 制 度 に つ い て は 、 従 業 員 を 、12の レベ ル に 分 け て い る 。1‑8レ ベ ル の 従 業 員 (ブ ル ー カ ラ ー 従 業 員 が 中 心)は 、 ア ワ ー ドを 基 準 と して 、 他 社 の 動 向 を考 慮 し レ ベ ル 別 に 報 酬 額 を決 定 して い る 。 週 給 べ 一 ス の 賃 金 制 度 で あ る 。9‑12レ ベ ル の 従 業員(ホ ワイ トカ ラー 従 業員 が 中心)は 、個 別 交渉 に基づ く年 俸給(TotalRemuneration)、
プ ラ ス 付 加 給 付 とい う賃 金 制 度 で あ る。 ボ ー ナ ス は 基 本 的 に は な い(会 社 の 業 績 が 良 い 場 合 の み)。 業 績 評 価 ・査 定 に つ い て は 、 ブ ル ー ワー カ ー に つ い て も 、 実 施 し て い る。 定 期 昇 給 制 度 は 存 在 しな い。
配 置 転 換 と職 務 に つ い て は 、 他 職 種 へ の 配 置 転 換 が あ ま り行 わ れ て い な い 。 現 場 の 従 業 員 は 、 一 般 工 、 見 習 工 、 保 全 工 、 運 搬 工 、 組 立 工 、 電 気 工 と い っ た 職 務 区 分 が 明 確 に 存 在 して い る。
内 部 昇 進 に つ い て は 、 内 部 昇 進 が 一 般 化 して い る わ け で は な い 。 上 位 の ポ ジ シ ョ ン は 、 外 部 か ら採 用 す る ケ ー ス も あ る。
労 働 時 間 に つ い て は 、 週40時 間 労 働 制 、 工 場 は24時 間3シ フ トで あ る。 レイ オ フ に つ い て は 、 ブ ル ー カ ラ ー の 従 業 員 を対 象 と した レイ オ フ を 実 施 した 。 退 職 に つ い て は 、 定 年 退 職 制 度 は原 則 と して な い 。
労 使 関係 に つ い て は 、 労 働 組 合 は な い 。(WAの 資 源 関連 会 社 、NoUnionが 多 い)。
西 オ ー ス トラ リア 州 政 府 が 労働 党 政 権 に 変 わ り、 労 働 組 合 設 立 の 動 き が あ り、 今 後 注 意 す べ き で あ ろ う。
生 産 、 研 究 開 発 に つ い て は 、 オ ペ レー シ ョ ン は 、 現 地 に 任 せ て い る。 ま た 、 生 産 に 関す る特 に 大 き な 問題 点 は な い 。 現 場 従 業 員 は 、 単 一 の 職 種 とい う範 囲 で 、 多 能 工 化(Multi‑Skill)を 行 っ て い る。 生 産 機 械 の トラ ブ ル に備 え て 、 メ イ ンテ ナ ン ス 、 修 理 、保 全 ・保 守 の 専 門 要 員 を集 め て メ イ ンテ ナ ン ス 部 門 が 独 立 して 存 在 して い る。
技 術 、 研 究 開 発 の 部 門 を 持 っ て い る。
国 際 経 営 フォ ー ラムNo.16
経 営 戦 略 につ い ては 、現 在 、 経 営戦 略 の最 大 の課題 は 、輸 出の増 大 で あ る。 そ の ほ か の点 につ い て は、 ほぼ順 調 に い って お り、特 に問題 は ない。
意 思 決 定 の現 地 化 の程 度 にっ い て は、 一 定以 上 の金 額 の設備 投 資 の決 定 につ い て は 、 日本 の本 社 の承認 が必 要 で あ るが、 そ の ほ かの意 思 決 定 にっ い ては 、原則 的 に 現 地 に委譲 され て い る。
買収 後 の ミネ ラル サ ン ド社 の成 功 要 因 と して、 日本 側 か ら財 務 コン トロー ル を厳 格 に した こ とが上 げ られ るで あろ う。
第4節 戦 略的提 携
国 際経 営 戦 略 と して最 近 注 目 され て い るの は 、 戦 略 的提 携 で あ る。 戦 略 的 提 携 (strategicalliances)と は 、パ ー トナー 企 業 が 、相 互 の ニー ズや 共通 の 目的 を達 成 す るた め に、パ ー トナ ー個 別 企 業 が 単独 で行 うよ り効 果 的 にか つ リス クが小 さい と認 識 され る場合 に 、2社 や 多数 の独 立 したパ ー トナ ー企 業 間 で、共 同事 業 、 同盟 、 グル ー プ、 協 定 、協 力 関係 、契約 等 の各 種 の提 携 関係 を構 築 す る こ とで あ る。 戦 略 的提 携 の基本 的形 態 と して は、合 弁 企 業 、契 約 、長 期 取 引 関係 等 が あ る。
第1の 形態 と しての合 弁 企 業 は 、2つ 以 上 の独 立企 業 が資本 を出資 して 、新 た に 会 社 を設 立す る こ とで あ る。海 外 で の合 弁企 業 の 多 くが 、 自国 資本 と海 外 資 本 との 合 弁 で あ る。 合 弁 会社 の設 立 の 目的 と して は 、新 しい地 域 や顧 客 の 開拓 、輸 入 制 限 の克 服 、 自社 のみ で は 開発 ・製 品化 が難 しい新 技術 ・新 製 品 開発 市 場 へ の参 入 、 費 用 お よび リス クの 分散 ・共 有化 な ど さま ざま な もの が あ る。 ア ジ ア諸 国 で は、 現地 政 府 に よ る外 資 の 出資規 制 は緩 和 され て きて い る もの の、 国 内産 業 の保 護 や 公益 的 分 野 等 の 理 由に よ り、特 定 の 業種 につ い て外 資 の 出資 比 率 を規 制 して い るケ ー ス が
あ る。
第2の 形 態 で あ る契 約 に よ る戦 略 的提 携 に は、技 術 ・生産 関連 の 契約 と して ライ セ ン シ ン グ 、契 約 生 産 、技術 支 援 協 定 、OEM契 約 、 委 託加 工 、 共 同 技術 ・製 品 開発 等 が あ り、そ の他 、マ ネ ジメ ン ト契約 、 フ ラ ンチ ャイ ジ ング 、販 売 ・マ ー ケ テ ィン
グ契約 、 コン ソー シア ム等 の形 が存在 す る。 ライセ ン シン グ とは、特許(patents)、
設 計 書 、詳 細 な計 画 書 等 の技 術 知 識 の販 売 で あ る。 契約 生 産 とは、 ある企 業 が他 企 業 の 特定 の製 品 を製 造 す る協 定 で あ る。 技術 支 援 契約 は 、技術 を供 与 す る企 業 が、
受入 れ企 業 に対 して 、 一 定期 間 、 自社 の技 術 者 を派 遣 して 、そ の技 術 に利 用 方 法 を 教 え る協 定 で あ る。OEM契 約 とは 、 委 託先 企 業 に製 品や 部 品 を生 産 して も らい 、 そ
研 究論 文 ■ 日本企 業 のアジアへの直接投 資と国際戦略提i携
れ を 自社 ブ ラ ン ドで販 売 す る こ とで あ る。 この場 合 、 委 託先 企 業 が 、設 計 ・製 造 の す べ て を行 うケ ー ス か ら、設 計 のみ 自社 で行 うケ ー ス等 、多 様 で あ る。 委 託加 工 と は、 必 要 な原材 料 ・部 品や設備 を海 外 か ら持 ち込 み、 委 託先 企 業 が加 工 して製 品 と し、海 外 発 注 企業 が 引 き取 る方 法 で あ る。 主 に 、人 件 費 の安 い 、発 展 途 上 国 で多 く 用 い られ て い る。 共 同技術 ・製 品 開発 とは、2つ 以 上 の独 立 企 業 が 共 同 で、 あ る特 定の 技術 開発 や製 品 開発 を行 う提携 で あ る。 マネ ジ メ ン ト契 約 とは、契約 者 に よる ク ライ ア ン トへ の トー タル ・マ ネ ジ メ ン ト ・パ ッケー ジの販 売 で あ る。 マ ネ ジメ ン ト契約 は 、他 の形 態 の契約 協 定 よ りも包 括 的 で あ る。 フ ラ ンチ ャイ ジ ング とは 、商 標 、看 板 、商業 的 ノ ウハ ウ等 のパ ッケー ジ販 売 で ある。 フラ ンチ ャイ ズ化 され たパ ッ ケー ジ を個別 企 業 が利 用す る際、通 常、 ス タ ッフの訓 練 、顧 客 サー ビス、 品質 管理 、 お よび他 の諸 要件 に 関す る規 貝1」の遵 守 を条 件 とす る。 販 売 ・マー ケテ ィ ング契約 と は 、販 売経 路 、販 売 ノ ウハ ウ、販 売 要 員等 の活 用 、相 互 品揃 え、共 同販 売 等 を含 む 協定 で あ る。 コン ソー シ ア ム とは 、特 定 の大 規模 な プ ロジ ェ ク ト実 行 の た め 、独 立 企 業 がプ ロジ ェ ク トの分 担 を行 い 、多 数 の企 業 と共 同 して行 うこ とで あ る。
第3の 戦 略 的提携 関係 は、長 期 取 引 関係 で あ る。長 期 取 引関係 とは、 パ ー トナ ー 企 業 相 互 の信 頼 を基礎 とす る継 続 的 な顧 客 関係 に よ る提 携 で あ る。 この長 期 取 引 関 係 は 、 中間 品 、部 品 ・原 材 料 調 達 に しば しばみ られ る もの で あ る。 ア ジア の現 地 生 産 にお い て 、 良質 で 安価 な部 品 ・原 材 料 の調 達 が必 要 で あ る こ とか ら、 ア ジ ア の部 品 ・原 材 料 企 業 との長 期 的取 引関係 の構 築 は ひ とつ の重要 な生 産 戦略 とな ろ う。
(1)契 約 生産
日本 企 業 の海 外 での 生産 拠 点 と して 、 アジ ア諸 国 の重要 性 が 増 して きて い る。 そ の 際 、直 接 投 資 に よる生 産拠 点 の設 置 は もち ろん重 要 で あ るが、 近年 注 目 され て い
るの は 、 ア ジア で の委 託 生産 、OEM生 産 とい っ た契約 生産 に よ る形 態 で あ る。
契 約 生 産(contractmaufacturing)と は、 あ る企 業(契 約 生 産 委 託 元 企 業)が 海 外 の企 業(現 地契 約 生 産企 業)に 対 して生 産 に必 要 な技 術 を提供 して 、特 定 の製 品 を生産 す る契約 で あ る。
国 際 的 にみ る と契 約 生 産 には 、2つ の種 類 が代 表 的 な もの で あ る。 第1は 、現 地 契 約 生産 企 業 は 、委 託 元 企 業 か ら生 産 ・技 術 の指 導 を受 け現 地 で 生産 し、委託 元 企 業 のブ ラ ン ドで 特 定 の製 品 を現 地 で販 売す る形態 で あ る。
第2は 、委 託 元企 業 が、 生産 ・技 術 の指 導 を して 、部 品 の生 産 や ア ッセ ンブ リー を海 外 の現 地 契約 企 業 が行 う原 則 的 に委託 元 企 業 が全 量 引 き取 る形 態 で あ る。
国 際 経 営 フォ ー ラムNo.16
契 約 生 産 に は 、 メ リッ トとデ メ リッ トが あ る。 契約 生 産 の委 託 元 企業 の メ リッ ト と して以 下 が あ る。 第1は 、海 外 企 業 に契約 に よ って生 産 させ るので あ るか ら、新 た な海 外 直接 投 資 や 資金 投 下 をせ ず に、現 地 で の生産 が可 能 で あ る。
第2は 、 ライ セ ンス供 与 の メ リッ トと同 じく、輸 入 や 直接 投 資 の制 限 を行 って い る国 な ど、他 の方 法 で は参入 が難 しい 市場 に有 効 で あ る。
デ メ リ ッ トと して 以 下が あ る。 第1は 、 ライ セ ンシ ン グ と同様 、 競争 相 手 を作 り 出す 可 能性 が あ る こ とで あ る。
第2は 、現 地 契約 生産 企業 が技 術 ・生産 面 で 不 充分 で あ る と判 明 した場 合 、委 託 元 企 業 は 、技 術 ・生産 指 導等 の支援 サ ー ビス を提供 しな けれ ば な らず 、予想 以 上 の 経 営 資源 の投 入 が必 要 にな る可能性 が あ る。
契 約 生産 の 中で も、現 地契 約 企 業 が生 産 した製 品 を、委 託 元 企 業 の ブ ラ ン ドで海 外 で 販 売 す るの が 、OEM(OriginalEquipmentManufacturer)契 約 で あ る。OEM生 産 に は、発 注 企 業 が設 計 図 を渡 して 単 に生 産 の み を委 託す る形 態 か ら、 製 品 の設 計 を含 めて生 産 委託 す る形 態 ま で、 多様 で あ る。
契約 生 産 に よ る現 地 で の販 売 の ケ ー ス と してベ トナ ム の家 電 産 業 につ い てみ てみ よ う。 日本 の家電 企 業 の ベ トナ ム進 出 は 当初 、ベ トナ ム側 と事 業 協力 契約 を交 わ し た 委託 契 約 生産 形 態 が 多 か った 。 ソニー は、ベ トナ ムの三 大 家 電 メー カ ー のひ とつ 国 営 ピエ トロニ ク ス社 の タ ン ビン工場 でカ ラー テ レ ビ、音 響機 器 等 の組 立 ・生 産 を 行 っ て いた が 、1995年 に、 ピエ トロニ ク ス ・タ ン ビン との合 弁会 社 、 ソニ ー一・ベ ト ナ ム を設 立 した。 日立製 作所 は、1994年 にベ トナ ムの 国営 家 電 メー カー で あ る ピエ
トロニ ク ス社 に委 託 契約 生産 と して カ ラー テ レビの組 立 を開 始 し、 日立 ブ ラ ン ドで 現 地販 売 した。 シ ャー プ は、伊 藤 忠商 事 と組 み 、ベ トナ ムの 三大 家 電 メー カー のひ とつ でハ ノイ 市 人 民 委 員 会 の管 轄 下 の ジ ャ ン ・ボ ・エ レク トリッ ク社 の 工 場 で 、 1994年 か らカ ラー テ レビの委 託 契約 生 産 を開始 し、 シャー プ ブ ラ ン ドで現 地 販 売 し た。 東 芝 は、1994年 にベ トナ ム の 国営 ピエ トロニ クス社 トゥー ドック工場 と契 約 生 産契 約 して カ ラー テ レビの現 地組 立 生 産 を開始 し、東 芝 ブ ラ ン ドで現地 販 売 した。
以上 、 日本 の家 電 企 業 のベ トナ ム進 出は 、 当初 ベ トナ ムの 国 内市 場 へ の販 売 を 目的 とす るベ トナ ム側 と契約 生 産 契約 を交 わ した委 託 生産 形 態 が 多 い。 た だ し、 ソニ ー な どは、 契約 生 産 を経 て現 地 で合 弁 会社 を設 立 して 、現 地 生産 に移 行 してい る。
(2)ラ イ セ シ ン グ
ラ イ セ ン シ ン グ(licensing)と は 、 あ る企 業(供 与 企 業1ラ イ セ ン サ ー)が 他
研 究 論文 ● 日本企 業のアジアへの直接投 資と国際 戦略提携 の企 業(受 け入 れ 企 業;ラ イ セ ン シー)に 対 して 、 特 許(patent)、 ノ ウハ ウ (know‑how)、 商標(trade‑mark)、 著 作権(copyrights)等 の 固有 の権 利 、知識 、技 術 を提 供 す る契約 で あ る。 ライ セ シ ング契約 は 、通 常 ライセ ンサ ー に対 して金 銭 的 支 払 い(royalty)と 、 そ の使 用 期 間 が 明記 され て い る。 ライ セ ン シ ン グ は、 国 内企 業 間 、お よび 国 内企 業 と海 外 企 業 間 で 、多様 な業 種 の企 業 で行 わ れ て い る。
ライセ ンシ ン グの供 与企 業 の メ リ ッ トと して以 下 が あ る。
第1は 、輸入 や 直接 投 資 の制 限 を行 っ てい る国 な ど、他 の方 法 で は参 入 が難 しい 市 場 に有 効 で あ る。
第2は 、 ライ セ ンス料 の収 入 確保 で あ る。 商標 、 ブ ラ ン ド、研 究 開発 の成 果 の提 供 に よ り、追加 的収 入 を得 る こ とがで き る。
第3は 、海 外 マ ・一ケ ッ ト進 出 にお け る コス トや リス クの少 な さで あ る。 ライ セ シ ング は、 直接 投 資 等 に よ り現 地生 産 をす る よ り、 コス トや リス クが極 めて少 ない。
政 治 的 ・経 済 的 ・経 営 的 に リス クの高 い 国へ の進 出す る場 合 、 まず 考 慮す べ き戦 略 で あ る。
第4は 、 近年 ます ます 重 要 に な っ て きて い る、 グ ローバ ル な 業界 標 準 ・規 格標 準 化(デ フ ァ ク トス タ ン ダー ド)の 手段 と して有 効 で あ る。 国際 的 な規 格標 準 の競 争 を制す るた め に、多 数 の企 業 に ライセ ン ス を与 え る こ とに よ り、 市場 での 規格 標 準 の シ ェア を高 め、規 格標 準 の優位 性 を確 保す るの で あ る。
ライ セ ンシ ン グの供 与企 業 のデ メ リッ トと して以 下 が あ る。
第1は 、 ライ セ シ ン グ供 与企 業 は 、受 け入 れ企 業 の生産 戦 略 、マ ー ケテ ィ ン グ戦 略 、経 営戦 略 に対 して 、 ほ とん ど統制 で き ない こ とで あ る。 そ れ ゆ え、 ライ セ ンス 供 与 企 業 は 、受 け入 れ 企 業 の生 産 を グ ロー バ ル な視 点 で の最 適 立地 戦 略 に組 み込 む こ とは難 しく、 ま た 、 グ ローバ ル な視 点 で の生産 量 の拡 大 に よる規模 の経 済 も達 成 で き に くい。
第2は 、 ライ セ ンス受 け入れ 企 業 が 、将 来 、 ライセ ンス供 与企 業 の 競争 相 手,ラ イバ ル とな る可 能性 が あ る こ とで あ る。 受 け入 れ企 業 がそ の技 術 を獲 得 し、改 良 し て 、新 たな製 品 を開発 ・製 造 し、市 場 に参 入 す るか も しれ な い。 これ は 、 ライ セ ン ス供 与 の最 も重 大 な 問題 で あ る。
第3は 、 ライセ ンス 受 け入れ 企 業 が輸 出 したい 場合 、 ライ セ ンス提 供企 業 と市 場 割 り当て を巡 り利 害 対 立す るケ ー ス が あ る。 す なわ ち、提 供企 業や そ の契 約 企 業 に よ り製 品供 給 され て い る国 ・地域 に 、受 け入 れ 企 業 が輸 出 を行 い た い と思 っ てい る 場合 に利 害 対 立 が生 じる。 ライ セ ンス契 約 に おい て、受 け入 れ 企 業 が輸 出す る こ と
国 際 経 営 フ ォー ラムNo.16
を規制 す る条 項 は加 え る こ とは 可能 で あ る。
共 同研 究 開発 や 製 品 開発 の た め に、企 業 間で の ライ セ ンス の相 互 交換 とい うク ロ ス ライセ ン ス契約 が あ る。 ア ジ ア企 業 と 日本企 業 の ケー ス で は、 ソニー と韓 国 三星 電 子 との液 晶 パネ ル に関 す る ク ロス ライ セ ンス契 約 が あ る。
(3)OEM生 産
OEM(OriginalEquipmentManufacturer)は 、 あ る企 業 が(契 約 生 産委 託 元企 業) が他 の企 業(契 約 生 産企 業)に 対 して特 定 の製 品 を生産 し、 委 託元 企 業 の ブ ラ ン ド で販 売 す る契 約 で あ る。 委 託 元企 業 は、 自社 で製 造 す るよ り安 い コス トで製 品 を調 達 で き 、ま た 自社 で 生産 してい な い種 類 の製 品 も調 達す る こ とが可 能 とな り製 品 ラ イ ンア ップ が増 え る とい うメ リッ トが あ る。 契約 生産 企 業 は大 量生 産 に よ るコ ス 下 ダ ウ ンが見 込 め る。OEMに は 、委 託 元 企 業 が設 計 図 を=渡して 単 に生 産 の み を委 託 す
る形 態 か ら、製 品 の設 計 を含 め て 生産 委 託 す る形 態 ま で 、 多 様 で あ る。 国際 的 な OEMは 、 国際 戦略 提 携 と して近年 注 目され て い る。
OEMの 委託 元 企 業 の 目的 と して 以 下 が あ る。 第1は 、 自社 製 品 ライ ンの 品揃 えを 豊 富 にす るた め に、 自社 に欠 けて い る製 品 をOEM調 達 す る。 第2は 、 自 らは得 意 分 野 に製 品 ・事 業 を特化 し、 そ れ 以 外 の分 野 の製 品 につ い て はOEM調 達 に よ り事 業 展 開す る。 第3は 、OEMの 製 品 が 自社 で 開発 ・製 造 す る よ り安 い コス トで調 達 で き る 場合 、 コス ト削減 効 果 を期 待 で き る。
OEMの 契約 生 産 企 業 の 目的 と して以 下 が あ る。 第1は 、OEM供 給 す るこ とに よ り、
製 品 の生 産 量 が増 大 し市場 シ ェア を高 め、 さ らに規模 の経 済 性 に よ りコス トが 引 き 下 げ られ る。 第2は 、 工 場 に 生産 余 力 が あ る場 合 、OEM生 産 に よ り有 効 活 用 が 可 能 とな る。 第3は 、 グ ローバ ル な業界 標 準 ・規 格 標 準 化(デ フ ァ ク トス タ ンダー ド) の 手 段 と してOEMが 有 効 で あ る。 す な わ ち、 国 際 的 な規 格 標 準 の競 争 を制 す るた め に、 多数 の企 業 にOEM供 給 す る こ とに よ り、 市場 で の規 格 標 準 の シ ェア を高 め 、 規 格 標 準の優 位 性 を確 保 す るので あ る。
OEMの 委 託 元企 業 は 、製 品供 給 を契 約 生 産 企 業 に依 存 す る こ とに な る こ とか ら、
各 種 の問題 点が 生 ず る可能性 が あ る。 将 来 の競 争 上 の重 要 な 要素 とな る製 造 とい う 付 加価 値 を コン トロー ル で きな い とい う問題 で あ る。 さ らに、 自 らの技 術 開発 力 の
可能性 を喪 失 し、将 来 の事 業活 動 の発展 性 に支 障 が生 じる こ とに もな りかね な い。
また 、OEM製 品 の 品質 に 問題 が あ る場 合 、 ブ ラ ン ドの衰退 を招 きか ね ない 。 この 問 題 を回 避 す るた め に は 、 以 下 の方 法 が あ る。 第1は 、OEM委 託 元 企 業 側 が 、設 計 お