九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
分子間相互作用力の異なるポリスチレン誘導体の熱 力学的特性に関する研究
氷室, 昭三
https://doi.org/10.11501/3070061
出版情報:Kyushu University, 1993, 博士(工学), 論文博士 バージョン:
権利関係:
、_...
多高 3 ポリ( 4ーアセトキシスチレン)の希薄溶液物性
1 糸者
本章は、 ポリ(4ーアセトキシスチレン)(PAS)の希薄溶液物性 について明らかにするものである。 PA Sは4位にアセトキシル基を有 するポリスチレン(P S )の誘導体であるが、 このPA Sについての高 分子物性に関する研究報告は少なく、 Danussoら1)による数種の溶媒への 溶解性と赤外スペクトルの報告、 およびNakamuraら2)によりPA Sを部 分的に加水分解した4ーヒドロキシスチレンとの共重合体のガラス転移 温度の研究がなされているのみである。
第2章では、 P A Sとポリ(4ーヒドロキシスチレン)(PHS)の 溶媒への溶解性について検討し、 それぞれの溶解度パラメータを決定し た。 本章では、 特に、 三次元溶解度パラメータの解析結果に基づいて、
良溶媒と貧溶媒をいくつか選ぴ、 貧溶媒については相分離実験より0温
度を決定し、 また、 光散乱法によりPA Sの分子量を求め、 良溶媒と貧 溶媒をいくつか用いて極限粘度数と分子量の関係式を明らかにするもの である。
Kuwaharaら3・4)は、 P Sのベンゼン環の4位に置換基を有する誘導体 の高分子鎖のコンフォメーシ ヨンが、 その基の静電的な相互作用よりむ しろその基のモル体積によって影響されると報告している。 本報ではP A Sについて、 。溶媒を決定し、 その極限粘度数と分子量の関係から、
0溶媒中での高分子鎖の広がりを算出することで、 高分子鎖の溶液中で の広がりに対するアセトキシル基の効果について、 p Sあるいはp Sの
、圃--
誘導体と比較検討する。
また、 高分子と溶媒の間の相互作用を表す自由エネルギー ・ パラメー タ(χ1 )は、 その温度依存性からエントロビー ・ パラメータ(ψ1 )と エンタルビー ・ パラメータ(κ 1 )に分離できる。 そこで、 P A S一各種 溶媒系について極限粘度数の温度依存性からψ1とκ 1を決定し、 溶媒の 分子情造がψ1とκ 1の値に与える影響について検討する。
2 �主 馬食
3 . 2 . 1 試 料
4-アセトキシスチレンは、 前章の2 . 2 . 1で述べた方法により蒸留 し、 重合に用いた。 溶媒は一般的精製法にしたがい蒸留し、 測定に用い た。 1 . 1ージフェニルー2ーピクリルヒドラジル、 2 . 2 · 一アゾビス イソブチロニトリル( A 1 B N )、 過酸化ベンゾイル(B P 0 )は2回 以上再結晶したものを用いた。
3. 2. 2 重合と分別
4ーアセトキシスチレンからのラジカル重合条件およびP A Sの収率、
極限粘度数、 分子量を表3.1に示す。 P A S 5でB P 0を用いた以外、
すべての重合にはA 1 B Nを開始剤とした。 P A S 1 0から1 9では懸 濁の安定剤としてゼラチンを使用し、 ガラス製アンプル中で撹梓下に重 Aを行った。 反応容器内は窒素で置換して重合を行った。 一定時間反応 をさせた後、 非溶媒であるメタノールあるいは水の中へ反応物を投入し て反応を停止させ、 沈澱した生成ポリマーを吸引減過し、 非溶媒でよく
- 63 -
Table 3.1 Polymerization of 4-acetoxystyrene under various condi七ions
Solvent Stabilizer Initiator
Sample Monomer Time Temp. Yield
(〔dF1l1・g -1)
code (g) (ml) (g) (g) (h) (OC) (g) M!/I(t
PAS 1 l∞ 12 95 40 0.780 49.1
PAS 3 1 (泊 Benzene 450 AIBN 0.498 39 65 40 0.190 6.3
PAS 4 i∞ Benzene 4∞ AIBN 0.250 44 65 60 0.470 23.7
PAS 5 80 Benzene 350 BPO 0.4∞ 117 65 20 0.2∞ 6.3
PAS 6 l∞ Benzene 135 AIBN 0.2∞ 41 65 85 0.470 20.9
PAS 7 !∞ Benzene 135 AIBN 0.050 119 65 25 0.620 30.4
PAS 8 !∞ Benzene l∞ AIBN 0.1∞ 424 45 91 1.29 105
cn PAS 10 131 Water 9∞ Gelatin 20 AIBN 0.276 326 55 62 し37 90.0
� PAS 11 i∞ Water 2∞ Gelatin 4 AIBN zα)() 325 45 84 3.20
PAS 12 l∞ Water 2∞ Gelatin 4 AIBN 1.5∞ 326 45 72 3.48 462
PAS 13 i∞ Water 2∞ Gelatin 4 AIBN 1.α刀 326 45 80 4.02 487
PAS 14 l∞ Water 2∞ Gelatin 4 AIBN 0.5∞ 326 45 89 5.∞
PAS 16 l∞ Water 2∞ Gelatin 4 AIBN 1.5∞ 72 65 62 1.92 164
PAS 17 l∞ Water 2∞ Gelatin 4 AIBN z∞l 72 65 68 1.68 137
PAS 18 l∞ Water 2∞ Gelatin 4 AIBN 3.∞4 72 65 79 1.54 99.1
PAS 19 l(泊 Water 2∞ Gelatin 4 AIBN 4.∞1 48 65 84 1.40 107
.. Measured in dioxane at 25.0oC by viscometry
� Measured in dioxane at 25.0oC by light scattering
司・-
洗浄し、 約60"Cで減圧乾燥させた。
合して得られたそれぞれのP A Sについて、 前章の2.2.2で述べ た方法により1 Rスペクトルを測定した。 得られた1 Rスペクトルは、
Danussoら1 )によって報告されているスペクトルと完全に一致した。
得られたP A Sの中からP A S 1、 P A S 3、 P A S 1 0について分 別沈澱法による分別操作を行い、 分子量分布幅の 狭 い 試料を作製した。
方法は以下のとおりである。 30 OCに コントロールした恒温槽にて、 P
A S試料を2ーブタノンに溶解して、 1 .5%溶液をっくり、 この溶液ヘ P A Sの非溶媒であるメタノールを滴下し、 溶液を白濁させた。 恒温槽 の温度を上げて白濁したポリマーを再溶解させ、 次いで徐々に冷却して 3 0 OCに保ち2相に分離させた。 濃厚相を容器から取り出し、 少量の2 ーブタノンを加えてから大量のメタノール中に投入して沈澱させ、 減過 し、 減圧乾燥器にて乾燥させた。
3.2. 3 光散乱測定
測定は、 Fi ca 5 0自動光散乱光度計を用いて行った。 入射光には水銀 の4 3 6 nmの光を用い、 入射光および散乱光ともに垂直偏光で測定した。
まず、 絶対散乱強度のよく知られているベンゼンとガラスブロックの各 散乱強度の関係を求めておき、 以後の実験では随時ガラスブロックを用 いて装置定数を決定した。 溶媒および溶液の光学的精製は、 Marusan社製 の遠心分離機50B-CFS-3型を用い、 3 3 5 0 0 Gで3時間遠心 し、 その上澄みを島津(株)製読み取り顕微鏡A型を改造した微動可能 の装置に取り付けたピペットで直接光散乱測定セルに移した。 そのピペ
ットは、 Thumondの方法5)にしたがい、 特別にピペット洗浄用カラムをつ くり、 噴出するアセトン蒸気で洗浄したものを用いた。 散乱角は3 5度
- 65 -
、--
から145度の範囲で、 4点から5点の濃度での高分子溶液を測定した。
測定温度精度は:tO. lOCで、 濃度範囲は高分子量のもので約0.005 -O. 02g/dl、 低分子量のもので約o . 2 -1 . 0 g/ d 1とし、 できる限り 低濃度で測定を行った。 全ての光散乱のデータは、 散乱角度。のs in 2
( e /2)と濃度の和に対しK c/ R 9 をプロットするいわいるZimmのプ
ロットを用いて解析し、 重量平均分子量Mw、 第2ピリアル係数A2、 z w均の回転半径の二乗平均くS2>Zを決定した。
なお、 示差屈折率を、 島津(株)製示差屈折計DR-3型で測定した。
測定に使用した光は4 3 6 nm単色光で、 セル内の温度は25:tO. lOCに 調節した。 装置定数は塩化カリウム標準水溶液で決定した。 溶媒として
ジオキサンを用い、 屈折率の濃度増分dn/dcを0.1 3 9 (ml/g)と決定 した。
3. 2. 4 粘度測定
粘度測定は、 ウッベローデ型の毛細管希釈型粘度計を用い、 それぞれ の測定温度において:t0 . 0 1 oCに保たれた恒温水槽中で行った。 すべて の溶液と溶媒は測定前にG 3タイプのガラスフィjレターで鴻過した。 初 濃度はP A Sの分子量に応じてo. 1 5から1.Og/dlとし、 4点から5
点の濃度に順次希釈しながら流下時間を測定した。 全ての粘度のデータ は、 HugginsおよびMead-Fuossの式を用いて解析することにより極限粘度 数[η]を決定した。 運動エネルギーの補正項は無視できた。
3.2.5 沈澱温度測定
沈澱温度の測定は、 分別したP A Sの中から分子量の異なるフラクシ ヨンをいくつか選び、 Cowieらの方法れにしたがった。 高分子溶液濃度が
、_...-
0.5から7 . 0 wt%の範囲となるように各分別試料を、 内径3mmの肉厚 のガラス管に注入し溶封した。 これを恒温槽中で振とう携梓しながら3
OC/ hの速度で温度を上昇および下降させて、 ガラス管のうしろに固定 した銅線が鮮明には見えなくなる点を沈澱温度 として測定した。 なお溶 媒としては、 o � 1 0 0 oCの範囲に沈澱温度すなわち相分離が起こり始
める温度が存在するものを選んだ。
3. 2 .6 ゲル浸透クロマトグラフィー( G P C )
G P Cの測定には、 Waters社製の1000 / S /40 1型を使用した。
マイクロスタイラゲルカラムの組み合わせは10 5nm、 1 04nm、 1 0 3
nm、 1 0 6nmとした。 溶離剤のテトラヒドロフラン( T H F )またはトル エンの流速は1ml/minとした。 濃度o . 1からo . 2 g/dlの浴液 2 00
μlを注入した。
3. 2 . 7 部分比容測定
溶媒および溶液の密度測定は、 Anton Paar社製のDMA60-DMA 6 0 2 H T型の密度計を用いて行った。 溶媒または高分子溶液が満たさ れたセルの固有振動の周期を測定することにより、 その密度ρを決定し た。 二重恒温水槽を用いて、 測定温度精度を:t 0 . 0 0 5 oCに調節した。
装置定数は蒸留水を再蒸留した直後の水 と空気を用いて決定した。 空気 の密度の決定に際しては、 測定中の室温、 湿度、 大気圧による変化を補 正した。 溶液中のポリマーの部分比容υ2は、 溶液密度から次式7・8 )にし たがって決定した。
- 67 -
、--
112=1/ρ1 2 {1 一 [(1 - W2)/ρ1 2] (dρ12/dw2) } ( 3 - 1 )
ここで、 ρ1 2は溶液密度で、 W2は高分子の重量分率である。 なお、 本式 は溶媒および高分子比容の加成性を仮定して導かれる。
3 糸 とヨ考委契
3 . 3 . 1 光散乱とGPC
3 . 2に2 5 ocでのジオキサン溶液の光散乱測定より決定されたPA Sの各フラクシ ョ ンについての重量平均分子量Mw, Z平均回転半径の二
乗平均< S 2> z、 第2ビリアル係数A2を示した。 光散乱から得られた Mwを確かめるためと分子量分布幅を知るためにGPC測定を溶媒として
THFを用いて行った。 Benoitらの方法9 )にしたがって、 Pressure
Chemicals社製の単分散PSのT H Fおよびトルエン溶液の溶離体積Ve に対する[η]M wをプロ ットし、 検量曲線を求めた(図3. 1 )。 図中 にPAS-THF系のMw [η]をVeに対しプロ ットし、 黒丸で示す。
これらはPSによるユニバーサル検量曲線上によくのっている。 PA S についてGP Cから分子量分布が正しく得られることを示している。 G
P Cより得られた分子量分布の指標であるMw/Mnも表2の第3列に示 した。 Mnは数平均分子量である。
司.,....-"
Table 3.2 Light-scattering data for PAS in dioxane at 250C
(S2)zxl012 A2 X 104 Fraction λ1wxl0-4 Mw/Mn* (cm2) (ml mol
g-2)
1-2 67.3 1.65 12.4 2.56
1-3 37.8 1.39 6.21 2.46
1-4 24.4 1.14 2.95 3.12
1-5 15.0 1.46 1.10 3.43
1-6 3.80 1.57
3-2 9.55 1.40 1.04 3.65
3-4 5.98 1.39 0.781 3.29
3-6 4.47 1.19 0.403 4.48
3-7 3.71 1.16 4.69
3-8 2.32 1.24 0.291 6.94
3-9 1.42 1.13 6.85
3-10 0.91 1.13
ICトi 352 1. 71 78.2 1.81
10-2 219 2.23 59.4 1.89
10-3 184 48.7 2,18
10-4 155 1.55 33.6 2.06
10-5-1 166 34.8 2.07
10-5-2 101 1.72 21.4 1.95
10-6 80.5 14.7 2.51
10-7-2 45.8 1.29 7.99 2.83
10-8-1 33.5 1.29 5.41 2.77
10-8-2 18.4 1.48 3.10 3.71
* Dete口Ilined by gp.c.,using THF as the solvent and based on the polystyrene standard
- 69 -
、・・--
7.0
主 5.0 ミ
r
ol 0
3.0
25 30
ve(ml)
Figure 3.1 Calibration curve of [η] M w against e1ution volume Ve, obtained from monodisperse polystyrene of Pressure Chemicals in THF (0) and
35
toluene (口) and the plot observed for PAS in THF (・) •
司...--
3. 3. 2 PASのMwと< S 2> zおよびA2との関係
図3 . 2にMwと2 5 oc、 ジオキサン中での<S2>Zl/2の両対数プロ ッ トを示す。 また、 図3 . 3にMwとA 2の両対数プロ ットを示す。 それぞれ のプロ ットを最小自乗法により解析し次の関係式を得た。
< S 2> z 1/2 = 1. 1 5 x 1 0 -9 M w O. 60
[ cm 2 ]
A 2 = 5 . 6 6 x 1 0 -3 M w -0. 23 [ml' mol/g 2J
」れらの結果から、 ジオキサンはP A Sに対して比較的良溶媒であるこ とがわかった。 また、 両式中のMwの指数値の大きさは、 P Sやその誘導
体について報告されている大きさと同程度である。
3. 3. 3 PASの相分離
第2章のHansenによるP A Sの三次元溶解度パラメータの解析におい て、 相溶領域と非相溶領域の境界線付近にある溶媒の中から予備の相分 離実験を行い、 酢酸イソプロピルと酢酸ブチルをP A Sの相分離実験の 溶媒として選んだ。 分子量範囲は1 .84xI05から 3.52xI06ま での6つのP A Sのフラクシ ョ ンについて、 種々の濃度で沈澱温度Tpを 測定した。 図3.4にPAS-酢酸イソプロピル系の相図を示す。 P A S -酢酸ブチル系についても同様な相図が得られた。 これらはともにP S ーシクロヘキサン系などに見られる上限臨界共溶温度(UCST)を有
する相図である。 しかしながら 、 非極性ビニル系鎖状高分子の相図と比 べると、 曲線の頂点である臨界温度Tcがかなり低濃度側にずれている。
原因として高分子や溶媒が強い極性を有するための溶媒和の効果が考え 71
-5.0
-6.0 刊\FN八刊句Vmo一
、,r
5.0 6.0 4.0
iogM W
くs 2> Z1/2 25"C . at
of dioxane plots ln Double-logarithmic
fractions for PAS
3.2 Mw Figure agaìnst
-3.0
-4.0
Nqmo一
5.0 6.0 4.0
l O g MW Figure
agaínst Mw of A2
plots 25"C . Double-logarithmic
dioxane at ln
3.3
fractions for PAS
られるが、 詳 細は明かでない。 それぞれの相図から各分別試料のTcを 図より読みとり、 次のSchu1tz-F1oryの式10)を用いて0温度を決定し
。た
l / Tc = (1/8) (1+b / M1/2) ( 3 -2 )
ここでbは定数である。 MW 1/2に対して1 / T cを図3.5にプロ ットし た。 これらの切片から酢酸イソプロピルと酢酸ブチルにおけるPH Sの 0温度を、 それぞれ19. 70C、 2 6 . 8 oCと決定した。
3. 3. 4 PASの[η]とM.との関係
良溶媒としてジオキサンとTHF、 。溶媒として酢酸イソプロピルと 酢酸ブチルの4つの溶媒を用いてP A Sの各画分について粘度測定を行
った。 ジオキサンとTHF溶液は25 oCで、 酢酸イソプロピルと酢酸ブ チル溶液はそれぞれ0温度の19 . 7および26.80Cで測定した。 得ら れた極限粘度数[η]を分子量に対して両対数プロ ットし、 それらを図 3.6に示した。 ここで、 酢酸イソプロピルと酢酸ブチル溶液での関係は、
験誤差内であるとみなした。 これら4つの溶媒に対して、 この図から Mar k-Houwink-Saku radaの式、 [η] = K M a、 における定数Kと指数a を決定し、 次式を得た。
[η] = 1 . 6 7 x 1 0 -4 M WO ・ 65
[d1/gJ (ジオキサン、 2 5 oC )
[η] = 1 . 7 5 x 1 0 -4 M WO・ 64 [dl/g] (THF、 2 5 oC )
- 73 -
-・-.,
10 一--0-て>-】『 『九、G
352αχxコ 219αnコ 155αX氾 01α)()コ
。
υ
。
/
--- 45反xxコa.
ト‘
-10
184α)()
。 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0
c (9 dl- 1)
Figure 3..4 Phase diagrams for several PAS fractions in lsopropyl acetate. Numeral indicates molecular weight.
.,...--
4.0
ah\ 3.5
M Cコ
3.0
。 1.0 2.0
103 ル" - 1/2
w
Figure 3.5 Plots of reciprocals of critical
precipitation temperature T c-1 against MW-1/2 for PAS fractionヌ il. UUS 1n 1sopropyl acetate (0) and butyl acetate (・) •
ー75 -
Eご Q') 0
0.0
- 1.0
4.0 5.0 6.0
lo gM W
Figure 3.6 Double-logarithmic plots of [η] against M w for PAS fractions in dioxane (0) at 250C, THF (・) at 25"C, isopropyl acetate (口) at 19.70C and butyl aceta te (・) at 26.8t, and for monodisperse polystyrene of Pressure Chemicals in dioxane (ム) at 250C and THF (À) at 25"C .
[η] =5.20 x 1 0-4Mwo.50 [dl/gJ (酢酸イソプロピル、
1 9 . 7 ocおよび酢酸ブチル、 26.80C)
記粘度式の指数の値は典型的な鎖状高分子について知られている値 の範囲内にある。 このことから、 本研究で使用したP A Sはランダムコ イルであるといえる。 これらP A Sの結果と比較するためにPressure Chemicals社製の標準P Sの分子量の異なる8つの試料について粘度測定 をジオキサンとTHFを溶媒として25 ocで行った。 結果を同じ図3. 7 に示し、 次の極限粘度数と分子量の関係式を得た。
[η] = 7 .5 9 x 1 0 -5M WO・15 [dl/gJ (ジオキサン、 2 5 oc )
[η] = 9. 7 7 x 10 -5Mwo・14 [dl/gJ (THF、 25 oc )
Mwの指数値の大きさを比較すると、 ジオキサン、 THFともにP A Sの その値がp Sのその値より小さいことから、 これらの溶媒がP A Sに対 してP Sより貧ではあるが、 その値の大きさから判断してP A Sに対し てなお良溶媒であることがわかった。 また、 酢酸イソプロピルと酢酸ブ チルについてはMwの指数が0.5となり、 それぞれの温度で0状態にな っていて、 相分離温度調IJ定結果と一致した。
3. 3.5 PASの非摂動状態での広がり
4位のアセトキシル基の高分子鎖の広がりに対する影響を調べるには、
0溶媒の中での高分子鎖の広がりをP Sあるいはその誘導体と比較する ことが適当である。 。状態でのMark-Houwink-Sakurada式は次のように表
- 77 -
、司�F
される。
[η] 9 =K9 MO.5 ( 3 - 3 )
ここでOは0状態、を表している。 このK9 は非摂動状態での鎖の末端問 距離< R 2> 0を用いて、 次式のごとく表すことができる。
K 9 =φ0(< R2>O/M) 3/2 ( 3 - 4 )
ここでφoはFloryの0状態での普遍定数を表している。 P A SのK9 の 値は、 酢酸イソプロピルの1 9 . 7 oc、 酢酸ブチルの2 6 . 8 ocでの極限 粘度数と分子量の関係式より直接求まり、 5 . 2 0 x 1 0 -4dl/gであった。
一方、 このK9 の値は非0溶媒の極限粘度数と分子量を用いた外挿法か ら決定することが試みられてきた。 ここでは、 多くの高分子一溶媒系に 用いられている次のStockmayer-Fixman式11 )を用いた。
[η] / M 1/2 = K 9 + 0 . 5 1φo B M 1/2 ( 3 - 5 )
ここでBは遠距離相互作用のパラメータである。 この式にしたがい、 図 3 . 7にP A Sの[η] / M 1/2をM 1/2に対してプロ ットした。 酢酸イソ プロピルと酢酸ブチルは、 ほぼ傾きOの直線が得られた。 一方、 ジオキ
サンとTHFは直線性を示さず上に凸の曲線が得られ、 ( 3 - 5 )式は 成立しない。 しかしながら、 両線は、 共通切片K9 = 5 . 2 0 x 1 0 -4 dl/gに外挿し得る。
15
10
5
〉〉Fミ\
一P}マO←
町、4
、、、
司『・・�
�
10 15 10-2M 1/2
W
。 5
var10uS PAS 1n
plots for Stockmayer-Fixman
3. 7 Figure
significance as same
have the symbols
3.6.
The Figure solvents.
those 1n
可司圃...f
高分子試料の非摂動鎖の広がりは、 高分子試料に存在する分子量分布 に強く依存する。 そこで、 PASの分子量分布が非摂動鎖の広がりに与 える影響を、 シュルツ分布関数を用いたKurata-Stockmayerの方法12 )に したがって検討した。 (3 - 3 ) 式における比例定数K 9 の実測値を
K 9Wとすると次の関係式が成立する。
K 9 = K 9W / q w
q w = r (h + 1 . 5) / (h + 1 ) 1/2 r (h + 1 )
h = Mw/Mn- 1
( 3 - 6 )
( 3 - 7 )
( 3 - 8 )
ごこでFはガンマ関数である。 PAS画分のMw/Mnは表3.2ですでに 示したが、 その平均値1 . 4 2を用いて、 実測値のK 9Wを補正してK 9 を 5 . 4 0 x 1 0 -4dl/gと決定した。 このK 9 を用いてPASの非摂動鎖の 広がりを(3 - 4 ) 式を用いて次のように決定した。
(くR2> 0/ M ) 1/2 = 5 . 7 3 x 1 0 -9
ここで、 φoは2.8 7 x 1021 (C.g.S.単位 ) とした。
非摂動状態、における高分子鎖の広がりに対する置換基の立体障害の効 果は、 次式で表される立体因子oで表される。
。 = (<R2>0/<R2>Of ) 1/2 ( 3 - 9 )
ここで、 <R2>Ofは自由回転を仮定して得られる両端間距離の二乗平均 で次式で表される。
くR2>Of= nQ2(1ーcosθ) / ( 1 + cos e ) (3-10)
lは結合長 ( c - c結合に対してはo . 1 5 4 nm)、 nは骨格をなす結合 の総数、 。は結合角である。 これらの式とP A Sの非摂動鎖の広がりか らo値を2. 3 7と決定した。 また、 各種ランダムコイル鎖の平均的広が りの比較の基準として用いられている特性比C nは次式で定義される。
C n = < R 2> 0/ n Q 2 ( 3 - 1 1 )
長い鎖の極限では、 次式で表される。
C∞= [ (K a /φ0) 2/3 (Mo/2 Q 2) ] n切 (3-12)
Moは高分子鎖の単位の分子量で、 この式を用いてC∞値を11 . 2と決 定した。 溶液中のP A Sの分子形態におよぼす4位のアセトキシル基の
影響を調べるためo値とC∞値を決定したが、 以下o値について考察す る。
Izumiら13 )により、 P S誘導体のo値と主鎖に結合している置換基の モル体積( V x)の聞には図3.8の白丸で示されるような相関があると 報告されている。 これは置換基から生ずる立体障害の影響を表したもの である。 P A Sについて、 Vx ( 12 7 cm3/mol)に対してo値をプロ ッ
トすると(黒丸)、 すでに報告されているP Sおよびその誘導体の間で 81
2.5
b
2.0
ヨコ 100
Vx{cm3mol-1)
150
Figure 3.8 Plots of the steric factor a against the molar volume V X of each side grou p for para-
substituted polystyrenes and their closely related compounds: (1)polystyrene14-17); (2)polY(3-fluoro- styrene)18); (3)polY(4-fl uorostyrene)18); (4)polY(4- chlorrostyrene)13); (5)PO lY(4-bromostyrene) 19);
(6)poly(4-methylstyrene)3・20); (7)polY(4-methoxy- styrene)21); (8)PAS; (9)POly(2-vinylnaphthalene)22);
(10)polY(4-cyclohexylstyrene)4) .
引かれている図中の直線上にあることがわかる。 これらから判断してP
A Sのo値は、 p Sよりやや大きい程度であってポリ( 4ーメトキシス チレン)と同程度である。 P A Sのo値が相関直線上にあることは、 フ エニル基についたアセトキシル基の高分子鎖形態におよぼす効果は4位 にあるアセトキシル基の体積だけに基づいて解釈でき、 極性の効果は無 視できることを示している。 分子形態の大筋はフェニル基によって決定 されていると結論するごとができる。
3. 3.6 統計熱力学的考察
P A S一溶媒系の熱力学的相互作用のパラメータを極限粘度数の温度
依存性から求めた。 分子量6 . 73x105の分別P A Sを、 溶媒として ジオキサン、 ジメチルフォルムアミド(D M F )、 4ーメチルー2-ペ ンタノン、 ベンゼンに溶かして2 5から6 5 ocの温度範囲で極限粘度数 を測定した。 図3 . 9にその結果を示す。 測定に用いたすべての溶媒で極 限粘度数の温度係数は正の値を示した。
これら極限粘度数の温度依存性の結果を用い、 流体力学的相互作用に
ついて検討する。 高分子鎖の流体力学的な膨張係数αマ は次式で定義さ れている。
αマ 3 = [η] / [η]。 (3-13)
このα? はKurataら23)により排除体積のパラメータzと次のごとく関係 づけられている。
- 83 -
g
a ♀ ワ-1.0
{J"I てコ
ε0.5
20 30 40 50 60
Temperature (OC)
Figure 3.9 Temperature dependence of [η] for PASl-2 in dioxane (0) . DMF (・) • 4-methyl-2-pentanone (口)
and benzene (・) •
α7 3=1+C1Z -C2Z2+C3Z 3ー…+ (ー1) k+1Ckk+ ・・
(3-14)
ここでzは次式で定義されているが、 1つのセグメントが存在するため には、 いま1つのセグメントが入り込めない体積、 すなわちセグメント に関する排除体積を与えるパラメータである。
Z = (2V22/NAVt) (M/4π< S 2> 0) 3/2ψ1
x (1- 8/T) Ml/2 (3-15)
入中の172は高分子の部分比容、 Vtは溶媒のモル体積、 NAはアボガドロ 数、 < s 2> 0は屈曲性直鎖高分子の非摂動状態での回転半径の2乗平均、
ψ1はエントロビーのパラメータである。 (3-14)式におけるC1の 値については、 多くの研究者によりいろいろな関係式23-28)が報告され ている。 ここではTanaka24)により提唱されているより閉じた次式を用い
た。
αヮ 5=1 + 1 . 9 0 Z (3-16)
(3-15)式を(3-16)式に代入して次式を得ることができる。
(α7 5-1) /Ml/2=1. 90 (2V22/NAV1)
X (M /4π< s 2> 0) 3/2ψ1 (1-8/T) (3-17)
したがって、 (α7 5-1) /Ml/2を1/Tに対してプロ ットするとそ
85
の傾きと切片からψ1と0を算出することができる。 [η] 9 の温度変化 は、 無視できるものとする。 図3. 1 0に実験データから算出した(3-
1 7 )式の左辺をl/Tに対してプロ ットした。 測定に用いたすべての
溶媒系でよい直線性を示し、 その傾きと切片から算出したψ1を表3. 3 に示す。 さらに、 エンタルビー ・ パラメータκ 1と過剰の自由エネルギー
. パラメータχ1を次式から算出した。
κ 1=ψ1 e / T (3-18)
χ1 = 0.5 + κ 1一ψ1 (3-19)
κ 1およびψ1は、 次式のごとく過剰希釈熱6 H 1と過剰希釈エントロピ
ð s 1に関係づけられたパラメータである。
6 H 1 = R T κ 1υ22
6 S 1 = Rψ1 V 22
( 3 -2 0 )
( 3 - 2 1 )
ここで、 ν2は高分子の体積分率である。 それぞれの溶媒中でのχ1と
κ1の値も表3.3に示した。 κ 1の値から、 用いた溶媒とP A Sとは吸熱、
系であることがわかる。 4ーメチル-2一ぺンタノンがP A Sに対しエ ンタルビー的には非常に溶媒性が悪いことを示している。 また、 エント ロビー的にはDMFを除いて他の溶媒がすべて大きな値を示しているが、
これはこれら純溶媒の分子配向がP A Sとの接触によって乱され、 より 大きなエ.ントロビーの増加をもたらすためであると思われる。
4.0
れJ
、
←\
ミ
"
のr::- 2.0
。
r0
。
。
2.8 3.0 3.2 3.4
103 (1/ア)(K-1)
Figure 3.10 Plots of (α't 5 - 1 ) / M 1/2 against 1 / T
for PASl-2 in various solvents. The sysmbols have the same significance as those in Figure 3.9.
Table 3.3 Thermodynamic interaction parameters for dilution of PAS in various solvents
Solvent 102砂1 102K1 χ1
Dioxane 9.7 3.5 0.44
DMF 4.1 0.3 0.46
4・Methyl-2-pentanone 11 11 0.50
Benzene 10 6.7 0.47
- 87 -
Hildebrandの正則溶液の考え方29)によると、 エンタルビー ・ パラメー タκ 1は高分子と溶媒の溶解度パラメータである8 2とδ1の差に次式のご とく関係づけられる。
κ 1 = V 1 (δ2-(1) 2/RT (3-22)
ここで、 V1は溶媒のモル体積である。 通常の高分子と溶媒の間では定性 的にこの式が成立している。 表3. 3に示したκ 1の値を用いて(3一 2 2 )式よりP A Sの8 2値をそれぞれの溶媒に対し算出し、 平均すると 1 0 . 4 (cal/cm3) 1/2となった。 この値は、 第2章で述べたHansenの方
法を用いて決定した10 . 6 (cal/cm3) 1/2と比較的よい一致を示した。
3. 4- 糸念、 宇舌
Sの4位にアセトキシル基を有するP A Sを取扱い、 溶液における 高分子鎖の分子形態および熱力学的性質に対するアセトキシル基の影響 を調べた。
P A Sの0溶媒として酢酸イソプロピルと酢酸ブチルを見いだした。
これらの溶媒について、 相分離実験からShultz-Flory�去によりθ温度を それぞれ19. 70Cおよび26 . 8 oCと決定した。 P A Sの分別した試料 について光散乱測定を行い分子量を決定し、 さらにジオキサン、 THF、
酢酸イソプロピル、 酢酸ブチルを用いて粘度測定を行い、 極限粘度数と 分子量の関係式を決定した。 ごの粘度式の指数aの値は典型的な鎖状高 分子について知られている値の範囲内( 0 . 5亘a <O.8)にあり、 こ
のことから、 P A Sはp S等と同じく、 典型的なランダムコイルである といえる。 。溶媒中ではともに指数の値が0.5となり、 相分離実験の結 果と一致した。
。温度における極限粘度数から、 主鎖の自由回転に対する束縛の尺度 を表すo 値を決定した。 この値から判断してP A Sでは主鎖の自由回転 に対する置換基効果は、 P Sよりやや大きい程度であって、 溶液物性に 対するフェニル基についたアセトキシル基の効果は置換基体積に基づい て解釈され、 極性による効果は小さいと結論した。
種々の無極性および極性の溶媒中で1 0 OCから55 ocにわたり、 極限 粘度数の温度依存性を調べることにより、 P A Sと溶媒の問の熱力学的 相互作用を表すパラメータを求めた。 その結果、 用いた溶媒すべてにお いてP A Sが吸熱的に溶解していることがわかった。 エンタルビー ・ パ ラメータを用いて算出したP A Sの溶解度パラメータの値は、 第2章で 示したHansenの方法で決定した溶解度パラメータとよい一致を示した。
季主主ヨ号コミこ 南犬
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- 91 -
多高 4
4. 1 系者
ポリ(4 -ヒドロキシスチレン)の希薄溶液物性
ポリ (4ーヒドロキシスチレン)(P H S )は、 第1章でも述べたよ うに分子内にフェノール性の水酸基を有するため、 機能性高分子材料と して 最近注目を集め、 その応用が展開されている。 また、 その高分子物 性についても最近急速に報告が増えてきている。 Nakamuraら は、 水を含
むP H S 1)、 4ーヒドロキシスチレンと4ーアセトキシスチレンの共重
合体2)、 4ーヒドロキシスチレンとスチレンの共重合体3)のTg挙動を示 差走査熱 量計から調べることにより、 P H Sの水酸基の水素結合 形成能 力の検討を行っている。 Colemanら4 )は、 P H Sとポリ酢酸ビニルの相溶
性をフーリエ赤外分光j去を用いて検討し、 ブレンド成分間の主な相互作 用が両者の聞の水素結合に基づくもので あるごと を確認している。 また、
第2章でのP H Sの溶解度パラメータ のHansenの方法5)による解析にお いても、 水素結合力が他の高分子に比べて極めて大きい値を示した。 こ れらのことからP H Sの性質に は、 分子内の水酸基の水素結合が大きく 寄与しているもの と考えられる。 本章では、 水素結合能 を有するP H S が溶液中でどのような溶液物性論的な挙動を示す のか、 とく に高分子鎖
の分子形態および熱力学的性質に着目し、 検討するものである。
まず、 第2章で検討したP H Sと溶媒の相溶性のデータから、 P H S に対する良溶媒と貧溶媒をいくつか選び、 光散乱法や粘度j去を用いて極
限粘度数と分子量の関係を導く。 さら に、 ポリスチレン(P S )の4位 に這入された水酸基が、 高分子鎖のコンフォメーシ ョ ンにどのよう に影
響するか、 P H Sの非摂動状態での高分子鎖の広がりを算出し、 第3章 で得られたPA Sやすでに報告されているPSおよびその誘導体のそれ と比較検討する。
P H Sと溶媒との相互作用に関する知見を得るため、 種類の異なるい
くつかの溶媒を用いて、 P H Sの極限粘度数の温度依存性からPH Sと 溶媒の相互作用を表す熱力学的パラメータを決定し、 他の高分子と比較
検討する。 また、 P H Sのように水素結合能を有する高分子と溶媒の聞 に形成される相図についても検討する。
4. 2 竺妻至 ,号食
4 . 2 . 1試 料
P H Sは、 分別したポリ( 4ーアセトキシスチレン)(PAS)を、
完全に加水分解することにより合成した。 PA Sの重合と分別について、
およびその加水分解については、 すでに第1、 2章で述べた方法で行っ た。 溶媒は一般的精製法にしたがって蒸留したものを測定に用いた。 得 られたP H Sについて目立(株)製赤外分光光度計EDI-2型を用い て1 Rスペクトルを測定した。 測定は、 塩化ナトリウムプレート上にP H Sのメタノール溶液を滴下し、 少し加熱して溶媒を除去して作製した 油い試料膜について行った。 得られた1 Rスペクトルは、 第1章で述べ たSovishれにより報告されているスペクトルと完全に一致した。
- 93 -
4. 2. 2 光散乱測定
測定は、 ジオキサン溶液について温度を25 :!: 0 . 1 oCに コントロール したれca 5 0自動光散乱光度計を用いて行った。 入射光には水銀の 4 3 6 nmの光を用い、 入射光および散乱光ともに垂直偏光で測定した。
験の詳細については第3章で述べたとおりである。 溶媒および溶液の 光学的精製には、 Marusan社製の遠心分離機5 0B-CFS-3型を用い、
溶液および溶媒を33 5 0 0 Gで3時間遠心し、 その上澄みを直接光散 乱測定セルに移し測定した。 3 5度から14 5度の散乱角範囲で、 異な る4点から5点の濃度の高分子溶液を測定した。 溶液濃度範囲は分子量 に応じてo . 0 2から0 . 8 7 g/dlとし、 できる限り低濃度で測定した。
すべての光散乱データは、 散乱角度。のs i n2 (8/2)と濃度の和に 対しK c/ R をプロ ットするいわゆるZimmのプロ ットを用いて解析し、
平均分子量Mw、 第2ビリアル係数A 2、 回転半径の二乗のZ平均
< S 2> zを決定した。
なお、 示差屈折率を島津(株)製示差屈折計DR-3型で測定した。
測定に使用した光は43 6 nm単色光で、 セル内の温度は25:!:O . lOCに 調節した。 装置定数は塩化カリウム標準水溶液で決定した。 溶媒として
ジオキサンを用い、 P H Sの屈折率の濃度増分dn/dcをo . 1 9 7 ml/gと 決定した。
4. 2. 3 粘度測定
粘度調IJ定は、 ウツベローデ型の毛細管希釈型粘度計を用い、 測定温度 において:!:O.O lOCに保たれた恒温水槽中で行った。 溶液と溶媒は測定
前にG 3タイプのガラスフィjレターで鴻過した。 初濃度はP H Sの分子 に応じてo . 1 5から1 . 0g/dlとし、 濃度の異なる4点から5点の高
分子溶液の粘度を測定した。 粘度データは HugginsおよびMead-Fuossの
式を用いて解析することにより極限粘度数[η]を決定した。 運動エネ ルギーの補正項は無視できた。
4. 2. 4 沈澱温度決定
沈澱温度の決定は、 分子量の異なるP H S試料の中からいくつか選ぴ、
Cowieらわの方法にしたがった。 高分子溶液濃度0.5から7. 0 wt %の範 囲の試料を、 内径3mmの肉厚のガラス管に注入し封管した。 これを恒温 槽中で仮とう撹梓しながら3oC / hの速度で温度を上昇および下降させ て、 ガラス管のうしろに固定した銅線が鮮明に見えなくなる温度を沈澱 温度として測定した。 なお溶媒としては、 第2章においてPH Sの溶解 度パラメータの三次元図の非相溶領域の境界線付近に存在する溶媒をい くつか選んだ。
4. 2.5 部分比容測定
密度測定は、 Anton Paar社製のDMA60-DMA602HT型の密 度計を用いて行った。 溶媒または高分子溶液が満たされたセルの固有振 動の周期を測定することにより、 その密度ρを決定した。 二重恒温水槽 を用いて、 測定温度精度を::t 0 . 0 0 5 oCに調節し、 6. 4から60 oCの 温度範囲で測定した。 詳細については第3章で述べたとおりである。
- 95 -
4. :3 糸吉 とヨ考努空E
4 . 3 . 1 光散乱測定結果
、(j4 . 1にPHS16-1' ージオキサン系について25 ocでの光散乱 測定で得られたZimmのプロ ットを、 一例として示す。 会合性高分子であ るにもかかわらず、 良好なプロ ットが得られた。 P H Sの各画分につい てZimmのプロ ットから決定した重量平均分子量Mw、 Z平均回転半径の二 乗平均<s 2> z、 第2ビリアル係数A2を表4.1示す。
叶4.2に25 oc、 ジオキサン中での<S2>Zl/2とMwの両対数プロ ッ トを、 また図4.3にA2とMwの両対数プロ ットを示した。 比較のため第 3童で得られたP A Sの結果もそれぞれプロ ットした。 P H Sに対する これらのプロ ットを愚小自乗法により解析し次の関係式を得た。
< S 2> Z 1/2 = 3. 2 6 x 1 0 -9 M w 0 . 55
[ cm ]
A 2 = 9 . 7 4 x 1 0 -2 M w -0. 38 [ml.mol/g2J
これらの図から、 ジオキサンはP H Sに対する方がP A Sに対してより も良溶媒であることがわかる。 P H Sの第2ビリアル係数はP A Sのそ れに比べて全分子量範囲でかなり大きい。 A2∞Mーア式におけるMの指数
γの絶対値について、 P A Sージオキサン系のo .2 3は、 そのほかの直 鎖状の高分子についての報告値o . 1 5からo .2に比してもかなり大き い。 さらに、 2つの高分子が互いに貫入し合う程度を表す侵入関数Vに 関係づけられる値A2 M w/ [η]を P H Sの各画分について算出すると、
> 2 0 0であり、 従来報告されている値が100から150に比して非
1.0
0.5 1.0 1.5 2.0 2.5
sin2(8/2) + 2 C
o c: 2.0
・4 ω ( o ト4 ト4
\門。」[
。 0.0
Figure 4.1 Zimm plots of PHS16-1' in dioxane at 25'C.
Table 4.1 Light-scattering data for PHS in dioxane at 25'C
106くS2>�12 104 A2
Fraction 10-4)\イw (cm) (ml mol g-2)
4-4 3.81 1.37 35.6
19-5 9.74 2.04 30.9
4-2 15.3 2.34 10.3
19-4 24.2 2.85 7.16
19-3 57.1 4.44 6.94
16-2 97.1 6.59 4.93
19-2 133 7.36 4.47
16・2' 216 9.71 3.50
13-3 266 10.1 3.01
16-1 ' 340 12.3 2.75
13-2 583 15.6 2.66
- 97 -
-5.0
-6.0
、\ω\一/
ω勺VOO一
7.0 5.0 6.0
log Mw
<S2>Zl/2 plots of
logarithmic Double
4.2 Figure
fractions PAS
and (0 ) fractions 250C .
PHS at for dioxane aga1nst Mw
1n (・)
-2.0
。 。
れJ
� -3.0
口、。
-4.0
7.0 6.0
5.0
log Mw
against A2
plots of logarithmic
Double 4.3
Figure
1n fractions (・)
PAS and (0 ) fractions for PHS
Mw
25't •
at dioxane
常に大きい。
4. 3. 2 PHSの[η]とMwとの関係
ジオキサン、 テトラヒドロフラン(T H F )、 酢酸イソプチル、 プロ ピオン酸エチルの4つの溶媒を用いてP H Sの各画分について、 2 5 oc で粘度測定を行った。 それぞれ得られた極限粘度数[η]を表4. 2に示 す。 それらを分子量に対して両対数プロ ッ卜したのが図4. 4であり、 次 の極限粘度数と分子量の関係式を最小自乗法により決定した。
[η] = 2 . 0 3 x 1 0 -4 M W 0・66
[dl/gJ (ジオキサン)
[η] = 3 . 7 2 x 1 0 -4 M W 0・60
[dl/gJ (THF)
[η] =5. 94x 1 0-4Mwo.53 [dl/gJ (酢酸イソブチル)
[η] = 6 . 3 7 x 1 0 -4 M w 0・52
[dl/gJ (プロピオン酸エチル)
これらの式のMwの指数から判断して、 酢酸イソブチルとプロピオン酸 エチルは0溶媒に近いことがわかる。 しかしながら、 これらの溶媒を用 いて実験的に0温度を決定することはできなかった。 25 oc、 ジオキサ ンを用いた結果を前章のP A SおよびP Sと比較すると、 ジオキサンは、
P A Sに対するよりP H Sに対する方が良溶媒であり、 P Sに対しては さらに良溶媒である。 このPH Sの[η] -M wの関係において、 P H S の水酸基による特異性はみられなかった。 溶液物性の分子量依存性は、
フェニル基の4位についた水酸基の効果、 すなわちエネルギー的な効果
99
Table 4.2 Limiting viscosity numbers [η] for PHS ln various solvents at 250C
['1]
(dl g-l)Isobutyl Ethyl
Fraction Dioxane THF acetate proplonate
4-4 0.221 0.209 0.166 0.165
19-5 0.385 0.249 0.245
4-2 0.548 0.478 0.335 0.344
19-4 0.708 0.588 0.415 0.408
19-3 1.32 1.09 0.667 0.685
16-2 1.78 1.44 0.860 0.862
19-2 2.19 1.76 1.07 1.07
16-2' 2.92 2.32 1.35 1.31
13-3 3.51 2.78 1.45 1.37
16-1 ' 4.04 3.28 1.76 1.75
13-2 6.30 5.38 2.60 2.92
1.0
。
{C]∞0.[
-1.0
6.0 7.0 5.0
logMw
agaínst
可E.,dnrzaL
of p10ts Doub1e-1ogarithmic
Figure 4.4
(0 ) THF dioxane 250C 1n
fractions at for PHS
Mw
propìonate ethyl
(口) and acetate isobutyl
(・) (・)
101