神奈川大学大学院経営学研究科 F研究年報』 第
9
号2 0 0 5
年3
月 113■ 修士論文要旨
リース取引の会計処理と開示に関する一考察
AccountingTreatlllentOfLeaseDealingsandConsiderationconcerninglndication
神奈川大学大学院 経営学研究科 国際経営専攻 博士前期課程
王 海 英
HaiYingWang q キーワー ド
日本の産業界 において、新たな設備調達の方法 と して、 リース方式 が急速 に採 りいれ られ、その 取 引高 も多額 ににぼ って きてい る。 また同時にそ の リース取引の契約 内容 も変化 し、すべての リー ス取 引 をその取引実態 に即 して、会計上適切 に処 理 され、開示 され るよ う、 その会計基準 の設定 が 各方面 か ら求 め られ るに至 った。 この よ うな背景 の もとに、1993年6月に企業会計審議会 によって、
「リース取 引に係 る会 計基準 に関す る意 見書」 が 公表 された。
意見書公表前は、 リース取 引に関 して、証券取 引法の企業 内容等の開示 内容 に関す る取扱通達 お よび商法計算書類規則 にその開示規定 があるだけ で、会計ル ール は整備 されていなかった。 そのた めに、実質 的には、税法上の リース取引通達にお いて規定 されている賃貸借処理が実務慣 行 として 機 能 し、 それが 日本 リース産業 の発展の牽引力 と なって きた。 この よ うな状況 において、会計基準 の国際的調和の もとに、 リースの会計処理 を、賃 貸借処理か ら資本化処理への転換 を図 る リース会
計基準の設定 は、大 きな制度変革 で あった ことは 間違 いない。
リースは、ファイナ ンス・リース とオペ レーテ ィ ング ・リースに分頬 され る。 ファイナ ンス ・リー スは所有権移転 ファイナ ンス ・リース と所有権移 転外 ファイナ ンス ・リースに区分 され る。 日本 の リース取 引実態 においては、所有権移転 ファイナ ンス ・リースはほ とん ど存在せず、大半 が所有権 移転外 ファイナ ンス ・リ‑スに該 当す るものであ るとい うことを特徴 と している。
本論文 は、 リース取 引の会計処理 とそのため の公正妥 当な会計基準 を考察す ることを主 な 目的
と してい る。
まず、第一章では、 リース取 引基準の設定経緯 を明 らかに し、 リース取引が持つ社会 ・経済上の 重要性 が非常 に増大 してい るとい うことを明 らか に した。 ここでは、1993年6月に企業会計審議会 によって公表 され、1994年4月1日か ら実施 され た 「リース取 引 に係 る会 計基準 に関す る意 見書」
に即 して、その内容 を検討 した。
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次に、第二章では、 リース会計の諸概念 を考察 す ると共 に、ファイナ ンス・リース会計 とオペ レー テ ィング ・リース会計に分類 し、それぞれの会計 処理について述べた.リースにおいては、レッシー への物件引渡 し時が、 リース期間中その リース物 件 を使用収益す る権利の確定時 とみな され る理由 で,通常 は認識 の会 計 時点 とされ るC また、 リー ス会計基準によ り、 レッシーは実質上売買や割賦 購入 と識別 され る リースをファイナ ンス ・リース と して、 レ ッシー側 は リース料総額 か ら含 まれ て い る利息相 当額 の合 理 的な見積額 を控 除 して リ‑ス資産 および リース負債 として計上す る。一 方、オペ レーテ ィング ・リースに識別 され る場合 は、資産 および負債 はまったくオ フバ ランス され ず、 リース料が リース期間にわた り、 リース費用
として処理 され る。
また、第三章 では、 日本 リース会計の現行基準 を述べた上で、 リース会計の発展 したアメ リカの リース会計基準、国際的動向及び国際会計基準の 動向の比較検討 した。 日本では、 リースに係 る法 人税法の規定が会計実務に大 きな影響 を与 えて き た. しか し、 これ ら基準の設定により、 リースの うち,設備機械 な どの固定資産 な どの所有 に係 る すべての リス クお よび経済価値 を実質 的 に レッ シーに移転す るもの をファイナ ンス ・リースとし て識別 され,原則 と して通常の売買取 引 に準 じる 会計処理 (売買処理)を行 うことになった。反対 に、
それ らを移転 しない リースは,オペ レーテ ィング ・ リース として識別 され、賃貸借処理 を行 うことの である。
アメ リカの基準 と日本の基準は制度的に大 きな 差異 はないが、 日本ではファイナ ンス ・リースと オペ レーテ ィング ・リースに区分 した上で会計処 理 を定めているのに対 し、アメ リカでは賃借人の 立場 と賃貸人の立場 に分けて リースを分拝 して会 計処理 を定めている。賃貸人の場合 は さらに販売 型 リースと直接金融 リースに分類す る等、 日米の リースの区分方法 その ものに差異が認め られ る。
そ して、第四章では、 リース会計基準が 日本 に 本格的に導入 され たことに伴 い、その有効性 を探
る手がか りとして リース情報の開示実態 について 検討 を加 えた。 リース業界や賃借人である リース 利用企業にとっては、 リース取引に関す る新基準 に基づ く会計処理 (オ ンバ ランス化)の変更 と リー ス取引情報の開示 は、会計実務 に重要 な変更 をも た らす ものであった。だが、一方 で、当該業界や リース業者 においては、 リース会計基準の円滑 な 運用に腐心す ることは、 より重大な関心事であっ たO
最後 に、本論文 での考察内容 を総括 し、 リース 会計 をめ ぐる諸課題 を明 らかにす るとともに、今 後の展開の方向 を提示 した。 リース会計 について は、引 き続 き研究 を重ね、 リース会計の理論的展 開 と制度的発展 に貢献で きるように努力 したい と 思 う。