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ラーニング・コモンズの学習行動

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第一部  研究論文・文献紹介

利用実態からみる

ラーニング・コモンズの学習行動

─学年別の差異に着目して─

同志社大学 学習支援・教育開発センターアカデミック・インストラクター  

鈴木夕佳

同志社大学 学習支援・教育開発センター助教  

岡部晋典

同志社大学 学習支援・教育開発センター准教授  

浜島幸司

〈要約〉

本研究では、同志社大学  良心館ラーニング・コモンズ(以下、LC)の利用に関す る記録を分析することによって、学生の学習行動、中でも学年別の差異について考 察する。分析対象として用いたデータは、(1)入室者、(2)エリア使用状況、(3)

学習相談の3種類である。以上の分析により、利用する学生の学部や学年等の要因に よって、LCの利用のあり方、学習行動にそれぞれの特徴があることが明らかとなった。

1.「ラーニング・コモンズ」に関する先行研究と問題設定

1990年代、北米地域を中心にインフォメーション・コモンズという呼称で大学図書 館に整備され始めた学習空間は、今日、より学習支援やアクティブ・ラーニングの展 開に重きが置かれたラーニング・コモンズとして、日本でも多くの大学にて設置され 始めている。文部科学省が2014年に実施した学術情報基盤実態調査によると、2014 年 5月現在でラーニング・コモンズを設置している大学は338校あり、4年間で設置数 は3倍に増加している。

また、2012年の文部科学省中央教育審議会答申「新たな未来を築くための大学教育 の質的転換に向けて〜生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ〜」におい て、単位の実質化のための学習時間の確保、またその授業外学習を支援する体制の充 実化は重要な課題として挙げられており、ラーニング・コモンズはその役割を担うも のの一つとして有効に機能することが期待されている。

学習支援体制の充実とは、教室以外でも学生同士が集まり学びあえる空間を提供す

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るということを意味しているだけではない。学生の多様な学習行動に応じて環境を工 夫すること、また、学生それぞれの悩みやサポートの必要性に応じた適切な人的支援 を行うことで、学習の質は高まっていくと考えられる。

井下(2013)は、学習の「場」は物理的空間の竣工だけでは完成せず、学生の学習 行動が飛躍的に展開されて初めて成立すると述べている。つまり、学習施設が有効に 機能しているかどうかを測るためには、学習行動に焦点をあてた分析が必要といえる。

学習行動を測定するアプローチとしては、その施設が学生にどのように利用されてい るのかという利用実態を、客観的なデータをもとに分析することが一つの方法として 挙げられる。しかし、そのような利用実態のデータをもとに、ラーニング・コモンズ における学習行動を分析した研究はほとんど見られない。

ただし、ラーニング・コモンズに焦点を当てたものではないが、図書館を含む学習 施設という位置づけで、学生の学習実態や学習成果を検証した研究はいくつか存在す る。東京大学 大学経営・政策研究センターが2007年に行った「全国大学生調査」によ ると、「図書館などの学習施設」に対して満足度の高い学生ほど、「授業には予習・復 習をして出る」という回答が多いという結果が報告されている。しかし、学習施設へ の満足度と、授業以外での学習時間(自律的学習時間)との関係を調べると、統計的 には有意ではあるものの、必ずしも関係が強いものではないことも指摘されている(金 子  2013)。また、古橋(2014)は、図書館内・外を含めた学習環境の空間・設備に対 する学生の選好や利用頻度、学習形態等について実態調査を行っている。その結果、

学生は図書館外でもさまざまな場所で学習を行っていることから、大学図書館は図書 館内のみならず、大学全体の学習場所の管理・運営を視野に入れるべきであることを 提言している。加えて、学習支援としてTA・RA等の学生スタッフとの協働、人的支 援の重要性について指摘している。

図書館内のラーニング・コモンズに焦点を当てた研究では、溝上(2013)が、2010 年7月に日本の4年制大学の大学図書館(755館)を対象に行った調査の結果から、

日本のラーニング・コモンズは、学生にとって居心地のよい物理的空間にとどまって いることを示唆している。また、図書館とは別運営のラーニング・コモンズに関して、

運営者の立場から開室1年目における運営状況を報告したものに、岡部・鈴木(2014)

が挙げられる。岡部・鈴木(2014)は、ラーニング・コモンズ内で展開されている学 習支援の実態について、入退室、学習相談データをもとに報告を行っている。また、

山田(2014)は、ラーニング・コモンズでの学生の協同学習とその効果をみるための 実態調査を行っており、ラーニング・コモンズを活用することで学生の情報収集・利

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第一部  研究論文・文献紹介 用の知識が増加したこと、グループでの話し合いの機会が増加したことを報告してい

る。

ラーニング・コモンズにおける学習行動を論じるためには、学士課程の4年間を通 じて、学生がどのように知識を習得し、学習していくのか、その成長過程を踏まえる ことが重要であると考える。学士課程教育の体系性に関して、2008年に文部科学省中 央教育審議会がまとめた「学士課程教育の構築に向けて」では以下のように述べられ ている。

   教育課程編成・実施の方針は、学位授与の方針、教育研究上の目的等の実現を 図る観点から、それらと整合性・一貫性を持ったものであることが求められる。

また、教育課程は体系性を持ったものであることが、法制上でも要請されている。

各大学は、個性・特色ある方針に基づいて、基礎教育や共通教育、専門基礎教育、

専門教育などの適切な区分を設けて、教育課程を編成・実施することが期待され ている。「学士力」等の「学習成果」は、これら特定の区分の科目のみではなく、

課外活動を含め、あらゆる教育活動の中で、修業年限全体を通じて達成し、培う ものとして考えていく必要がある。(p.18)

文部科学省中央教育審議会は、学士課程教育とは個々に連関しない無秩序な科目の蓄 積ではなく、修業年限全体を通じて体系性と一貫性を持つべきものであること、また、

学習成果は授業だけなく、課外活動を含めたあらゆる教育活動の中で培うものである ことを提言している。つまり、4年間の教育内容は、決して均質で入れ替え可能なも のではなく、基礎的なアカデミックスキルを学ぶ初年次教育から、ゼミ活動、論文作 成等、上級学年になるほど知識やスキルが積み上げられ、高度なものになってゆくこ とが期待されている。以上のことを踏まえると、学生の授業外における学習行動も、

教育内容の高度化とともに変化するものであることが推察される。

以上の点を踏まえ、本研究では、同志社大学良心館ラーニング・コモンズにおいて 学生がどのような学習行動を行っているのか、また、学年によって学習行動にどのよ うな差異があるのかについて、(1)入室者、(2)エリア使用状況、(3)学習相談 の3つのデータおよび、同施設の専属教員である筆者らの参与観察の結果をもとに分 析・考察を行う。

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2.目的

本研究では、学年による差異に着目し、同志社大学良心館ラーニング・コモンズ(以 下、LC)を対象に、ここで取得している各種データから、まずは学生の利用実態を明 らかにする。そして、その分析の結果から、学生がLCでどのような学習行動を行って いるのかについて考察する。

使用するデータは、(1)入室者、(2)エリア使用状況、(3)学習相談の3種類である。

まず、(1)入室者のデータをみることで、活動の内容を問わず、単純に「どのよう な学生がLCに出入りしているのか」の実態をみる。そして、(2)利用者2人以上の 学習が条件であるエリアに焦点をあて、その使用状況のデータと筆者らの参与観察の 結果も踏まえつつ、個別エリアでのより具体的な利用実態を切り取る。最後に、(3)

学習相談のデータから、学生がどのような学習上の悩みを抱え、支援を求めているの かを把握する。これら3種類のデータを通して、学生がどのような学習行動を行って いるのか、また、学年によってどのような差異と特徴があるのかについて考察する。

3.方法

本研究で使用するデータは、以下の方法で取得・分析した。

(1)入室者

入退室の際、利用者はLC入口のゲートに学生証(ICチップ付属)をかざして出入 りする。そこから利用者の属性と入退室時間のカンマ区切りCSVデータが取得される。

その513,004行のデータ(2014年4−12月)をもとに、一日あたりの平均入室者数、ま た学部・学年別入室者数について分析を行った。

(2)エリア使用状況

利用者が2人以上の学習が条件であり、事前に受付カウンターで予約手続が必要で ある「インフォダイナー」(2F)と「グループスタディールーム」(3F)を対象エ リアとし、学部・学年別に集計を行った。なお、この結果はグループの中で利用手続 きを行った代表の学生のデータをまとめたものであるため、グループ構成員すべての データを含めた結果ではないということを付記しておく。

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第一部  研究論文・文献紹介

(3)学習相談

LC 3Fには、学生の多様な学習上の悩みや相談に対応するアカデミックサポート エリアがある。ここにはLC専属の教員(3名が常駐)、図書館員(7名のうち1名が ローテーションで常駐)、大学院生スタッフ(2014年秋学期は11名のうち2名が常駐)

がおり、チームティーチングを行っている。学習相談の際は、相談者の属性や相談内容、

対応者、対応内容の記録を取っている。それらのデータをもとに、学部・学年別受付 件数、相談内容について分析を行った。

4.データ別にみるLCの利用実態

(1)入室者

LCは、基本的に平日(開講期間中の土曜を含む)は9:00から22:00まで、日曜は 10:00から17:00まで開室している。2013年の開室以降、多くの学生が利用している(岡 部・鈴木,2014)。

2236 2281 3296

3085

3407 3376

3946 3949

987 767

513 663 3265

2625 2623 2675 2384

2744

0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000

2013ᐕ4

2014ᐕ4

2013ᐕ5

2014ᐕ5

2013ᐕ6

2014ᐕ6

2013ᐕ7

2014ᐕ7

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䋨ੱᢙ䋩 1ᣣ䈅䈢䉍ᐔဋ᧪ቶ⠪ᢙ䋨2013ᐕ4-12᦬䈫2014ᐕ4-12᦬Ყセ䋩

図1.1日あたり平均入室者数(2013年4−12月と2014年4−12月比較)

一日あたりの平均入室者数(2013年4−12月と2014年4−12月比較)は図1の通り である。図1をみると、平日は大体、延べで2,000人から3,500人の学生が入室している。

春学期については、4月から7月にかけて徐々に入室者が増加しており、期末試験(7 月下旬〜8月上旬)前には多くの学生が利用する傾向がうかがえる。なお、2014年8 月土曜の入室者が多いのは、開室日が試験期間中の一日しかなく、その日の入出者が

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平均となってしまったためである。

一方、秋学期は、春学期に比べて入室者数が少なくなる傾向にある。要因としては、

LCを必要とするような授業設計が春学期に集中しているほか、年度始めとしてクラス 単位でLC見学に来るケースが多いことなどが考えられる。

全体の入室者数は、開室年度である2013年と比べると、2014年の方が少なくなって いる。これは、開室2年目ということで「LCは授業外学習の場所」という概念が学生 間に定着し、学習以外の目的であれば他施設を使うようになったことが要因の一つと して考えられる。また、各学部にはそれぞれ学習室が存在し、LCのように可動式のホ ワイトボード、机、椅子や専門スタッフを配置していたり、PCや専門図書が充実して いたりする。学部に関係なく勉強会をする時はLC、専門図書を調べながらレポートを 書く時は学部学習室、あるいは図書館など、学生は場合に応じてLCと他施設を使い分 けていると考えられる。

次に、学部・学年別の入室者数(2014年4−12月)は図2の通りである。

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図2.学部・学年別延入室者数(2014年4−12月)

表1:各学部構成学生数(2014年度)

学部 人数

神学部 289

文学部 3,104

社会学部 1,932

(7)

第一部  研究論文・文献紹介

学部 人数

法学部 3,788

経済学部 3,906

商学部 3,725

政策学部 1,777

文化情報学部 1,258

理工学部 3,427

生命医科学部 1,126

スポーツ健康科学部 802

心理学部 690

グローバル・コミュニケーション(GC)学部 588

グローバル地域文化(GR)学部 392

図2をみると、法学部(25.5)、経済学部(22.4)、商学部(18.0)が上位を占めている。

一方、社会学部(8.6)、政策学部(10.8)の入室者数は比較的少ない。これは、それら の学部がLCのある今出川キャンパスから300mほど離れた新町キャンパスにあるため と考えられる。

また、文化情報学部(0.9)、理工学部(0.5)、生命医科学部(0.5)、スポーツ健康科 学部(0.4)、心理学部(1.7)、グローバル・コミュニケーション学部(GC)(1.2)の 入室者数が上述の学部に比べ少ない理由は、これらの学部がLCのある今出川校地より 30㎞離れた京田辺校地にあるためである。

学年について数値をみていくと、全体的に1年生がもっとも多く入室し、すべての 学部において、2年生、3年生の順で利用者は少なくなっている。つまり、2014年4

−12月間については、学年が上がるほどLC利用者は減る傾向にあるといえる。

(2)エリア使用状況

まず、本研究で対象とした各エリアの概要について説明する。インフォダイナー

(写真1)は、ファミリーレストラン風のボックス席である(計16ブース)。壁に画像 を映しながらホワイトボードに書き込みができるデジタル&アナログボードが設置さ れており、データを見ながら議論をしたりアイデアを出したりすることができる。プ ロジェクターの代わりに、プラズマディスプレイを備えたボックス席もある。収容人 数は1ブースにつき6〜8名程度である。このエリアは飲食可能であるため、菓子や 飲み物を広げながら学習をしている学生の姿が多くみられる。

(8)

写真1.インフォダイナー 写真2.グループスタディールーム

グループスタディールーム(写真2)は、自在にスペースを区切れるオープンタイ プのエリアである(計7ルーム)。可動式の机・椅子のほか、電子黒板やホワイトボー ドが備えられている。収容人数は1ブースにつき10〜15名程度であるため、インフォ ダイナーよりも大人数のグループで学習することができる。こちらのエリアは飲食禁 止となっている。

これら2つのエリアに共通する特徴は、2人以上での利用が条件となっていること である。LCには単独学習を行う学生も存在するが、これらのエリアについては、複数 人での学習を目的とした学生が利用することになる。

本研究では、1年の中でも入室者数の多い2014年7月と12月のエリア使用状況の データを抽出した。

インフォダイナーの利用状況は図3(2014年7月)、図4(2014年12月)の通りである。

᡽╷ GR

1ᐕᰴ↢ 2 75 98 215 290 250 80 11

2ᐕᰴ↢ 1 92 59 133 300 141 38 0

3ᐕᰴ↢ 1 18 20 134 215 177 31 0

4ᐕᰴ↢ 4 17 7 43 45 81 11 0

0 50 100 150 200 250 300 350 䋨 ઙ䋩

2F

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2014

7

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図3.インフォダイナー利用状況(2014年7月)

(9)

第一部  研究論文・文献紹介 図3をみると、7月には1年生がもっとも多く利用しているが、2年生の利用も少な

くはなく、特に、文学部、経済学部においては、2年生の利用が1年生より多い。一方、

図4の12月になると、1年生の利用数は一気に少なくなるが、2〜4年生は7月よりも 数は少なくはなるものの、よく利用している。学部・学年によっては12月の方が活発に 利用しているところもあり、例えば4年生のみでみると、7月よりも12月の方が、2倍 以上利用数が増えている。この要因としては、卒業論文研究を複数人で行っているグルー プが、よくインフォダイナーを使用していることが考えられる。その他、インフォダイ ナーでの活動内容としては、ゼミの活動をはじめ、試験対策の勉強会や、ディベート大 会の準備、論文コンテストに関するディスカッション等を行っている様子が観察される。

᡽╷ GR

1ᐕᰴ↢ 1 30 16 73 73 70 8 5

2ᐕᰴ↢ 0 11 19 199 148 126 33 4

3ᐕᰴ↢ 1 16 5 219 129 169 31 0

4ᐕᰴ↢ 5 75 9 95 69 163 17 0

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図4.インフォダイナー利用状況(2014年12月)

12月になると1年生の利用が少なくなる要因として、1年生は春学期に初年次科目 でグループワークを必要とするような課題があり、集まる機会が多いのではないかと 考えられる。また、入学して初めての春学期は、学業への意欲も高く勉強中心の生活 を志向するが、夏休みを経て、秋学期ともなると大学にも慣れ、サークルやアルバイ ト等、勉強以外にやることが多くなり、授業外学習に春学期ほど時間を割かなくなる のではないかと予想される。なお、12月になると1年生の利用が7月より減少する傾 向は、2013年のデータにも共通してみられる傾向である。

2年生と3年生は勉強系サークルの集まりやプロジェクト科目の授業外活動、友人

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同士の自主勉強会等、各自のやりたいことを自由に行っている様子である。

4年生になると、卒業論文の執筆のためLCを利用する学生が多く、複数人で研究を 行っているグループが、よくインフォダイナーを使用している。特に商学部4年生の 12月の利用が増加しており、これはグループで卒業論文を書いているゼミがあること が要因と考えられる。この時期に、アカデミックサポートエリアにも複数のグループ が研究の相談のため来訪している。

次に、グループスタディールームの利用状況をみたものが、図5(2014年7月)と 図6(2014年12月)である。

図5の2014年7月のデータをみると、全体的には1年生の利用がもっとも多く、次 に3年生が多い。ただ、学部によっては、1年生がもっとも多いということはなく、

文学部、政策学部においては2、3、4年生の方の利用がより多く、経済学部におい ては3年生の利用が突出して多い。

図6の2014年12月のデータをみると、こちらもインフォダイナー同様、1年生の利 用数が7月に比べて一気に少なくなっている。2年生の利用がもっとも多く、次に3 年生が利用している。特に法学部2年生の利用が顕著であるが、これは学生主催の法 律系サークルが定期的に勉強会を行っているためと考えられる。その他の活動内容と しては、前述のような学生主催の勉強会の他、ゼミやプロジェクト科目の活動を行っ ている様子も観察される。また、収容人数が15名程度まであるため、小人数単位のア カデミックスキルセミナーが開催されることもある。

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1ᐕᰴ↢ 1 8 43 64 44 50 4 1

2ᐕᰴ↢ 0 12 3 49 38 12 16 0

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2014

7

᦬䋩

図5.グループスタディールーム利用状況(2014年7月)

(11)

第一部  研究論文・文献紹介

᡽╷ GR

1ᐕᰴ↢ 0 16 4 30 9 6 4 2

2ᐕᰴ↢ 0 9 6 78 42 26 21 1

3ᐕᰴ↢ 0 1 5 43 23 16 3 0

4ᐕᰴ↢ 0 7 4 11 11 11 2 0

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3F 䉫䊦䊷䊒䉴䉺䊂䉞䊷䊦䊷䊛 ೑↪⁁ᴫ䋨2014ᐕ12᦬䋩

図6.グループスタディールーム利用状況(2014年12月)

以上の結果から、1年生はエリア利用に時期の差が激しく、学習の型を上手く作り きれておらず、学部や大学の学習に慣れていないことが考えられる。その意味で初年 次教育が果たす役割は大きい。一方、学生生活に慣れた2年生、3年生ともなるとLC の利用は安定しており、勉強系サークルの集まりやプロジェクト科目の授業外活動、

友人同士の自主勉強会等、各自のやりたいことを自由に行っている。4年生は卒業論 文等の執筆で、複数人で研究を進めているグループやゼミの仲間同士で、12月によく インフォダイナーを利用していると考えられる。

(3)学習相談

アカデミックサポートエリア(LC 3F)は、平日(月〜金)10:00−19:00の時間帯で、

学習に関する各種相談を受け付けている。先にも述べたが、LC専属の教員3名、図書 館員1名(全7名がローテーション)、大学院生スタッフ2名(2014年度秋学期は全 11名)が常駐しており、相談に対してチームティーチングを行っている。他の学習エ リアとの仕切りはないため、スタッフの姿は常にオープンとなっており、学習する中 で分からないことがあればすぐに相談できるようになっている(写真3)。相談の際、

予約は不要である。

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写真3.学習相談の様子

2013年4月の開室以降、多くの学生が多様な相談を寄せている。では、まずどのよ うな学生が学習相談を利用しているのか、以下に示す。

所属学部別学習相談受付総人数(2014年4−12月)は図7の通りである。

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図7.所属学部別 学習相談受付総人数(2014年4−12月)

図7をみると、学部によって利用人数の差はあるが、全体的にみると今出川校地に ある学部はどの学部も一定の利用があるといえる。なお、「大学院生・不明・他」のうち、

大学院生のみの人数は75名である。また、「他」の中には教職員も含まれている。

(13)

第一部  研究論文・文献紹介 中でも社会学部の学生が多く相談を寄せている理由としては、当学部の初年次科目

で、レポートのテーマ設定の相談を授業外の時間で受けてくるよう指示した授業が あったこと、また卒業論文における調査・分析の相談が多かったこと等が挙げられる。

次に、学年別学習相談受付総人数(2014年4−12月)は図8の通りである。

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図8.学年別 学習相談受付総人数(2014年4−12月)

図8をみると、4年生がもっとも多く、次いで1年生が多い。一方、2年生、3年 生は1年生、4年生の数値と比べて半分以下しかなく、他学年に比べて相談が少ない。

学部・学年別延入室者数(図2)と比較すると、他学年に比べ1年生の人数が多いの は同じだが、入室数はもっとも少なかった4年生が、学習相談はよく利用している。

なお、2013年度の学習相談受付総人数は755名であり、2014年は12月時点で739名、

執筆現在(2015年1月31日)で867名と、2013年度から年度の終了を待たず100名以上 増えている。要因としては、開室2年目でアカデミックサポートエリアの認知度が高 まったこと、卒業論文相談のリピーターが増えたことが考えられる。

次に、相談内容について以下に示す。学習相談の内訳(2014年4−12月)について は、図9の通りである。図9をみると、学習相談の総件数は862件で、そのうち「レ ポートの書き方」(285件)、「調査・研究の方法」(176件)、「その他」(150件)が上位 を占めている。「レポートの書き方」の相談内容は、テーマ設定や構成の立て方、引用・

参考文献の書き方、文章の添削等、多岐にわたる。また、「調査・研究の方法」の相 談内容には、アンケート調査やインタビュー調査の進め方、データ分析の相談や、研 究の進め方等があげられる。この相談件数は、卒業論文で実証研究を行う学生が、調 査方法やデータ分析の相談をするため高頻度で来訪したことが要因で増加している。

「その他」としては、勉強会内での資料共有の方法や文献データベースの作り方、ゼ

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ミ選択の相談等、さまざまな相談が含まれている。

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図9.学習相談の内訳(2014年4−12月)10

次に、学年による相談内容の傾向の違いについて、分析結果をもとに述べる。図10は、

学年相談内容の学年別差異(2014年4−12月)をグラフにしたものである。

72.1%

36.6%

20.3%

17.4%

36.6%

27.9%

63.4%

79.7%

82.6%

63.4%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

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2ᐕᰴ↢䋨71䋩

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䊧䊘䊷䊃 䈠䉏એᄖ

図10.学習相談内容 学年別差異(2014年4−12月)

(15)

第一部  研究論文・文献紹介 図10は、相談内容を「レポートの書き方」と、「それ以外」の2つに分類し、「大学

院生・不明・他」を除いた1年生から4年生の学年別の割合の違いをみたものである。

1年生では72.1%を「レポートの書き方」が占めているが、学年が上がるほど「レポー トの書き方」の占める割合は低くなっていき、「それ以外」の相談が多くなる。つまり、

1年生ではレポートの相談が過半数を占めるが、学年が上がるほど学習の悩みも多様 化していくということがわかる。また見方を変えると、常にレポートに関する相談は 一定数寄せられており、その作成スキルは大学生活上、必要性の高いスキルであると いえる。

前述の通り、アカデミックサポートエリアは、相談の際の予約は不要であり、学習 の過程の中で何度でも利用することができる。学生によっては、一回きりの相談で来 なくなる学生もいれば、高頻度で繰り返し訪れる学生もおり、利用の仕方はさまざま である。以下は、所属学部別にユニークユーザ数(2014年4−12月)(図11)と学習 相談回数(2014年4−12月)(表2)について表したものである。

8

24 17

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17

10 2

6

2 5

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1 3

8

7 18

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1 2

7

19

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1

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図11.所属学部別 学習相談ユニークユーザ数(2014年4−12月)11

図11をみると、ユニークユーザ数は296名である。所属学部別学習相談受付総人数(図 7)と比較すると、大きく順位を変えているのは法学部と社会学部である。総人数で

(16)

法学部は上位4番目という結果であったが、ユニークユーザ数ではトップである。そ れに対して、社会学部は、総人数はトップであったが、ユニークユーザ数では上位3 番目という結果となっている。

表2をみると、法学部は学習相談の平均1.5回、標準偏差1.4で、社会学部は平均2.8回、

標準偏差5.1となっている。このことから、法学部の学生は1回きりの相談が多いが、

社会学部の学生はリピーターが多いことがわかる。なお、学部全体の平均相談回数は2.4 回であり、それを上回っているのは神学部の3.1回、社会学部の2.8回、商学部の3.3回、

グローバル地域文化学部の4.1回、大学院生の3.3回である。神学部、社会学部、グロー バル地域文化学部はLCから比較的離れた場所に校舎があり、特に相談意欲の強い学生 が繰り返し相談に来ていると予想される。

表2.所属学部別 学習相談回数(2014年4−12月)

学部 相談人数

総数

ユニーク

ユーザ数 平均 標準偏差 中央値 最大値

神学部   22     7 3.1   4.2    5 13

文学部   62   29 2.1   1.9    2   8

社会学部 144   52 2.8   5.1    2 24

法学部   98   66 1.5   1.4    1   7

経済学部 123   53 2.3   3.9    2 19

商学部 110   33 3.3 13.6    3 46

政策学部   37   20 1.9   1.6    1   7

文化情報学部     2     1 2.0   0.5 1.5   2

心理学部     1     1 1.0      0    1   1

グローバル地域文化学部   45   11 4.1   2.4    3   9

大学院   75   23 3.3   2.9    2 13

総計 719 296 2.4   6.9    1 46

※所属不明者を除いて分析した

また、もっとも利用回数にばらつきがあるのは、商学部(標準偏差:13.6)である。

最大値をみると、一人の学生が学習相談を最大46回利用している。この学生は4年生 であり、3年生(2013年度)のときにレポートの相談に来たことがきっかけで、それ 以降もリピーターとして学習相談をたびたび利用している。2014年度には卒業論文執 筆の相談で繰り返しアカデミックサポートエリアに来訪しており、テーマ設定の段階 から文献収集、アウトライン作成、本文執筆、口頭試問の練習まで、長期的に相談員 のアドバイスを受けた。

(17)

第一部  研究論文・文献紹介 また、大学院生も学習相談をよく利用している。相談内容としては、修士論文の調査・

分析の方法や文章表現、また研究計画書の書き方等があげられる。リピーターとして 高頻度で利用しているのは、主に修士論文執筆中の博士前期課程2年の学生たちであ る。留学生が論文の文章表現の相談に来ることも多い。

総計(表2)をみると、学習相談の平均回数2.4、標準偏差6.9、中央値1、最大値46 となっている。この結果から、一度相談に来たきりで来なくなる学生も多いが、リピー ターとして高頻度で相談に来る学生も4割程度おり、利用にばらつきがあることがわ かる。また、上級学年になるほど、卒業論文や研究の相談等でリピーターになること が多く、指導教員と学生という一対一の関係とは別に、気軽に相談できる場所として アカデミックサポートエリアが機能していると予想される。

これまでの議論をまとめる。1年生は、初年次ということで、基礎的な学習スキル の不足、特にレポートの執筆に不安を感じている学生が多く(図10)、学習支援の必 要性を強く認識しているものと予想される。一方、利用がもっとも少ない2年生につ いては、大学生活にも慣れ、3年生、4年生と違ってゼミがない学部も多く意欲的に 学習する動機が低くなりがちであり、学習支援の必要性も特段感じにくくなっている 可能性がある。また、もっとも利用の多い4年生は、卒業論文の相談でリピーターと なる学生が多いことが増加の要因となっている。

5.学年別にみるLCでの学習行動

これまで、(1)入室者、(2)エリア使用状況、(3)学習相談の3種類のデータから、

LCの利用実態を複数の視点から把握した。以下では、その結果を学年別に整理し、学 生のLCでの学習行動について考察する。

・1年生

入室者数は他学年に比べてもっとも多い。要因としては、1年生は履修授業も多く、

授業の空き時間にレポート執筆や課題等でよく入室していることが考えられる。また、

学部で行われている初年次科目の中で、授業外学習の場所としてLCを紹介し、案内を するケースが多いことも要因であろう。

また、エリア利用状況については、7月は利用が多いが、12月に一気に少なくなっ ている。要因としては、1年生は春学期に初年次科目でグループワークを必要とする ような課題があり、集まる機会が多いのではないかと考えられる。また、入学して初

(18)

めての春学期は、学業への意欲も高く勉強中心の生活を志向するが、夏休みを経て、

秋学期ともなると大学にも慣れ、サークルやアルバイト等、勉強以外にやることが多 くなり、授業外学習に春学期ほど時間を割かなくなるのではないかと予想される。

学習相談については、他学年(2、3年生)に比べてよく利用している。1年生は 初年次ということで基礎的な学習スキルの不足を自覚している学生が多く、学習支援 の必要性を強く認識しているものと予想される。相談内容としては、「レポートの書 き方」の相談割合が過半数を占めており、実際に授業でレポート課題を与えられ、執 筆を進める中で、あるいは執筆前の段階で行き詰まり、相談を受けにくる学生が多い ことがわかった。レポート作成スキルについては、初年次科目で学んでいる学生も多 いが、実際に書いてみるとわからないことが表面化し、アカデミックサポートエリア に支援を求めにくると考えられる。

・2年生

入室者数は、2年生は1年生の次によく利用しているという結果であった。なお、

全学部の総入室者数は、開室年度である2013年の方が2014年よりも多く、2014年度の 1年生、3年生、4年生の入室者数は、2013年度のそれより減る見込みとなっている。

しかし、2年生においては、2014年4−12月間に延べ1,122,682名であることを踏まえ ると、2013年度(延べ1,124,862名)と比べ、2014年度の2年生の方が上回る見込みが 高い。これは、1年生(2013年度)の時にLCをよく利用していた学生が、次年度も引 き続き利用していることが要因として考えられる。このことから、1年生からLCを利 用する習慣がついていると、2年生になり、初年次科目等でのグループワークが減っ たとしても、LCで学習をする癖がつくのではないかと考えられる。

エリア利用状況については、1年生が12月に一気に少なくなるのに比べて、2年生 は多少の数値の変動はあるものの、7月、12月ともに安定的に利用している。学部に よっては、12月の方がより活発に利用している傾向がある。活動内容としては、勉強 系サークルの集まりやプロジェクト科目の授業外活動、友人同士の自主勉強会等、各 自でやりたいことを自由に行っている様子である。

一方、学習相談においては、他学年に比べて2年生はもっとも利用が少ない。2年 生になると、大学生活にも慣れ、3年生、4年生と違ってゼミがない学部も多く意欲 的に学習する動機が低くなりがちであり、学習支援の必要性も特段感じにくくなって いる可能性がある。

(19)

第一部  研究論文・文献紹介

・3年生

入室者数は、上級学年になるほど少なくなっており、3年生は1年生、2年生より は入室していないという結果であった。なお、2013年度は3年生の方が2年生より入 室者数が多く、開室年度の時に2年生(2013年度)で、特にゼミもなくサークル活動 等も忙しいと思われる時期にLCを利用していなかった学生は、3年生(2014年度)に なってもLCを使う習慣がない可能性がある。

エリア利用状況については、1年生が12月に一気に少なくなるのに比べて、前述の 2年生と同様、多少の数値の変動はあるものの、3年生も安定的に利用している。また、

学部によっては12月の方が活発に利用している傾向がある。活動内容としては、前述 のような勉強系サークルや友人同士の集まりのほか、3年生でゼミが始まる学部も多 く、ゼミのメンバーで集まってディスカッションや勉強会を行っている様子が観察さ れる。

学習相談においては、3年生は2年生より40名ほど利用人数は多いものの、1年生、

4年生に比べると半分以下の人数しかなく、学習相談総人数からみると、3年生の利 用は少ないといえる。寄せられる相談内容の割合としては、20.3%が「レポートの書 き方」の相談で、79.7%が「それ以外」の相談である。3年生の「それ以外」の相談 の例をいくつか挙げると、「論文コンテストに出すテーマをみてほしい」、「ゼミ紹介 フリーペーパーを作りたい」、「プロジェクト科目のポスターの内容について」等、多 様な相談が寄せられており、各学生がそれぞれの興味に従って学習を進めていること がわかる。

・4年生

入室者数は、他学年に比べてもっとも入室が少なかった。4年生になると履修授業 も少なくなり、大学に来る回数自体が減っていることが要因であろう。

一方、エリアの利用状況については、他学年に比べて全体的な利用数は少ないが、

12月に利用が多くなる傾向がある。例えば、商学部4年生の12月のインフォダイナー の利用者数は7月の2倍以上であった。また、学部によっては、他学年に比べ4年生 の利用が突出している。要因としては、グループで卒業論文を書いているゼミがあり、

高頻度でインフォダイナーを利用しているためと考えられる。また、アカデミックサ ポートエリアにも、この時期に複数のグループが卒業論文の相談によく来訪している。

学習相談においては、4年生がもっとも多く利用している。入室者数こそ4年生は もっとも少なかったものの、学習相談は他学年に比べてよく利用していることがわか

(20)

る。その要因としては、卒業論文の相談でリピーターとなった学生が複数人おり、高 頻度で学習相談を利用したためと考えられる。中には、2014年4−12月の9か月間で 最大46回利用した学生も1名ながらいた。この学生は、卒業論文のテーマ設定の段階 から文献収集、アウトライン作成、本文執筆、口頭試問の練習まで、長期的に相談員 のアドバイスを受けた。

6.まとめ

以上の通り、LCにおける学習行動に学年による差異と特徴があることがみえてきた。

1年生は、入室者数自体は非常に多く、全学年の中でもっとも多く利用している。し かし、エリア利用は時期によって差が激しく、学部や大学の学習にまだ慣れておらず、

学習の型を上手く作りきれていないことが考えられる。レポート作成等の学習スキル についても不足を自覚しており、アカデミックサポートエリアをはじめとする学習資 源を積極的に利用している。

2年生は、アカデミックサポートエリアの利用度は低く、学習相談のような学習資 源はほとんど利用しない一方で、インフォダイナーやグループスタディールームのよ うな複数人で使用するエリアはよく利用している。それらのエリアで、勉強系サーク ルの集まりやプロジェクト科目の授業外活動、友人同士の自主勉強会等、各自それぞ れの興味に従って学習を行っている様子である。

また、3年生は、学年全体の所属人数を勘案すると、LC、またアカデミックサポー トエリアを利用する学生は決して多くはない。しかし、インフォダイナー、グループ スタディールーム等のエリアについては安定的に利用しており、ゼミ活動を行ってい る学生も多い。学習相談においても、高年次ならではの相談を寄せており、それぞれ の興味に沿ったレベルの高い学習をしていると考えられる。

最後に、4年生は、他学年に比べて入室者はもっとも少ないが、12月になるとイン フォダイナーを活発に利用している学生がいる。ゼミの仲間や友人同士で集まり、卒 業論文の執筆作業を一緒に行っているグループが多いようである。また、論文執筆の 過程で学習相談も非常によく利用しており、高頻度で繰り返しアカデミックサポート エリアに来訪するリピーターが複数人いた。

以上の通り、学年によってLCの利用実態に差異があり、学習行動にもそれぞれ特徴 があることがわかった。1年生は、基礎的な学習スキルを身に着けるために学習資源 を積極的に活用する傾向があるが、2年生、3年生は、エリアは使用するものの、ア

(21)

第一部  研究論文・文献紹介 カデミックサポートエリアは知らない、または興味を示さない学生が多く、自分たち

の世界だけで完結している傾向がある。また、4年生は自身の研究の相談をするため にLCにやってくる。このように、利用者によっては限定的なLC利用にとどまってい ることもみえてきた。特に、2年生、3年生は大学生活の中心の時期であり、LCでも それぞれ多様な学習行動を行っている。アカデミックサポートエリア等の学習資源を 利用することで自分たちの学習がますます深まると分かれば、より質の高い学習がで き、学習成果も高まるのではないかと考える。

本研究で、(1)入室者、(2)エリア使用状況、(3)学習相談の3つの利用実態 からLCでの学習行動を分析・考察したことは、学生の自主性・主体性が鍵となる授業 外学習に、今後、大学側がどう関わり、ハード・ソフトの両面からどのような支援を 行えるのかを考えるにあたって、貴重なデータとなったと考える。しかし、本研究は

「学年」という時点で区切り、平面的・定点観測的な利用実態の把握にとどまっている。

今後は、学生それぞれの経年による学習行動の変化や成果について実態を追った継続 的な研究(パネル調査など)が必要である。

今後も全国に設置の流れが進むと思われるラーニング・コモンズをはじめとする学 習支援施設、そしてそれを活性化させる学習支援体制に関して、教育成果の検証や価 値を問う研究が蓄積されていくことが望まれる。

 2014年9月の土日はすべて閉室していたため、0人となっている。

  「ILA」は「国際教育インスティテュート」、「日文」は「日本語・日本文化教育センター」の 略称である。

 括弧内の数値は、表1をもとに学部毎の指数(入室者数/所属人数)を示したものである。

  詳細は、良心館ラーニング・コモンズホームページ「エリアなび」(http://ryoshinkan-lc.

doshisha.ac.jp/navi̲area.html)を参照されたい。

  予約制となっているのは7ルーム中5ルームである。そのため、図5、6は5ルーム分の 利用状況を示す。

  図3〜6において、グローバル地域文化(GR)学部の3年生、4年生の数値が0となって いるのは、当学部が2013年度に発足したためである。

  プロジェクト科目とは、プロジェクト・ベースド・ラーニング(PBL)を基本とする本学の 正課科目である。地域社会や企業の人間を講師とし、学生同士で主体的にプロジェクト を進める実践型・参加型の授業となっている。詳細は、同志社大学PBL推進支援センター

「プロジェクト科目とは」(http://pbs.doshisha.ac.jp/outline/outline.html)を参照された

(22)

い。

  アカデミックスキルセミナーとは、基礎的な学習スキルの補完を目的とする課外のセ ミナーであり、LC専属の教員が講師を担当している。2014年は18コース、全43回のセミ ナーを用意した。その他、学部教員の依頼で授業に出張してセミナーを行うこともある。

  「図7.所属学部別 学習相談受付総人数(2014年4−12月)」と「大学院生・不明」の人数 が異なるのは、学部の情報はあるが学年が不明であった相談者が2名、4年生以上で あった相談者が1名含まれているためである。

10  2013年に公表したデータに不具合が見つかったため、再集計を行った。なお、図7、8の 学習相談受付総人数と、図9の学習相談の内訳で数値が異なるのは、一回の相談で複数 の内容の相談がある場合があるためである。

11 相談人数の多い1年生と4年生は、判別しやくするため数値の背景を白くした。

《参考文献》

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『IDE現代の高等教育』556、17-22.

岡部晋典・鈴木夕佳(2014)「同志社良心館ラーニング・コモンズ揺籃期の一年──アカデ ミック・インストラクターの視座を通して──」、『同志社大学 図書館学年報』39、69- 77.

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http://www.mext.go.jp/component/b̲menu/shingi/toushin/̲̲icsFiles/afi eldfi le/201 3/05/13/1212958̲001.pdf(2015年5月1日閲覧)

(23)

第一部  研究論文・文献紹介 文部科学省  中央教育審議会(2012)「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて

〜生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ〜(答申)」

http://www.mext.go.jp/b̲menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/1325047.htm(2015 年1月17日閲覧)

文部科学省(2014)「学術情報基盤実態調査(旧大学図書館実態調査)」

  http://www.mext.go.jp/b̲menu/toukei/chousa01/jouhoukiban/1266792.htm(2015年 5月1日閲覧)

山田礼子(2014)「アクティブ・ラーニングを通じての学生の学びとそれを支える環境(開催 校企画シンポジウム「大学教育の質的転換の方向性を問う」)」、『大学教育学会誌』36

(1)、32-40.

参照

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