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本藤智雄 ・香取郁夫 ・杉本 毅

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6 4

5

1 近畿大学農学部紀要 第39 4

A 200

侵入害虫マメハモグリバエに対する生物的防除資材としての土着寄生蜂 ハモグリミドリヒメコバチの大量増殖法の確立

本藤智雄 ・香取郁夫 ・杉本 毅

近放大学農学部農業生産料学科昆虫生態制御学研究室

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(以後 ハエ と表記)は■2,、わが国では 1 yza

5

℃.

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Ⅰ緒言

世 界的な疏農、花弁類の重要害虫であ るマ メハモ

岡県 と愛知 県で初めて侵入が確認 され、その後急 速 に分布域 を拡大 し、現在、ほぼ全国的に分布 し てい る・1‑。本種 はわが国に侵 入す る以前 にすでに 高 い殺虫剤抵抗性 を獲得 して お り… ,、化学農薬 による防除が困難であ ったので、生物的防除資材

図1、マメハモグリバ工雌成虫 (スケールバーは1mm)

(2)

2

4 木藤 智雄 ・香取 郁夫 ・杉本 毅

と して ヨー ロ ッパ か らハ モ グ リ コ マ エ バ チ る と、過密の弊害が生 じてハエ幼虫の発育不 良や 死亡率上昇を招 き、さ らには寄主植物の枯死 を招 Dac s jj'anuasbnc T leengaとイサエ7ヒメコバ

く。 また、ハチ成虫の過剰放飼は、寄生蜂の寄主 ea(Walker)の2種 の寄生蜂が

チDjg]yphus isa

導入、利用 されて きた6'7L. ・OLH]'。 しか し、今 日、

天敵導入に ともな う固有生態系への リスクが世界 的関心事 とな るに至 り12‑⊥3'、 日本未記録種のハモ グ リコマエバチl」‑や土着系統 との差 について十分 な検討 がなされていない導入系統の イサエアヒ メ コパテに代わる天敵土着寄生蜂の利用技術の確立 が望 まれ、実用化 に向けた研 究 が行 われてい る

体液摂取 による寄主死亡率 を高め、その結果寄生 効率の低下 を招 く17'。 そ こで本研究では、寄主植 物 」̲株あた りのハエ とハチの最適放飼密度を実験 的に検討 した。

本文 に入るに先立 ち、ハエの加害 とハチの寄生 行動 について簡単に説明す る。ハエ雌成虫は、発 達 した産卵管で葉の表皮に穴を開けて、内部組織 L'7Irn。近畿大学農学部昆虫生態制御学研究室 に産卵 した り、その穴 よ り疹み出る河‑液を摂食す

う■1

で も、わが国のハモ グ リバエ頬の優勢 な寄生蜂群 る。また幼虫による葉の内部組織の食害によって、

であ るヒメコパテ科 か ら、温度特性 と生物的防除 葉 に白い線状の食害痕が残る。 これ らの食害痕は

' 6

農作物の外観 を損ね、商品価値の低下 をもた らす。

効率B lC lEff

づいて イサエア ヒメコバチ とハモグ リミドリヒメ さ らに食害 が酷 くな る と、光 合成 が阻害 され20,、 iicency

t onro

il ioogca (BCE)に基

植物体の生育不 良に よる収量の減少や収穫期の遅 コパテNeochrysochansformosaWe wo dst o

の2種 をハエに対 す る有望 な生物的防除資材 とし て選抜L LL''、その実用化 に取 り組 んで きた。

寄生蜂を生物的防除資材 として商品化す るため には、効率の高いそ して低 コス トな寄生蜂の大量 生産が可能な生産工程の確立が必要であ る。 わが 国の高 い人件費 を考慮する と、全作業工程の中で も最 も人件費を要す ると考 え られる寄主 および寄 生蜂の増殖工程 についての省力化 ・効率化が求め られる。 さ らに、剤型、梱 包、保蔵方法 といった 品質管理について も検討 が必要である。そ こで、

本研究ではまずハエの生物的防除資材 として、ハ

延が起 こる21,。一方、ハチ雌成虫は、葉表皮を通 してハエ幼虫に産卵管 を挿入 し、毒液 を注入 して 殺害 し、それに産卵 した り寄主体液摂取 を行 う

若齢期幼虫には寄 主体液摂取 を、老熟期幼虫には 産卵す ることで寄 主を使い分ける事 が知 られてい

22J

Ⅱ実験の準備

大量生産工程設計の概要

図3に本研究で設 計 したハエお よび/\チの 大量 生産工程の概略 を示 した。 ここに提案す る大量増

)

モグ リミドリヒメコバチ産雌単為生殖系統 (図2

図2、ハモゲリミドリヒメコバチ雌成虫 (スケールバーは1mm) (以後 ハチ と表記) を採用することとし、その効 率的な大量増殖工程 を設計 した。 次いで作業の省 力化 ・効率化のための大量増殖装置の試作 とその 性能評価、さらに別型、梱包、保蔵について検討 した。 ところで、/\エおよびハチ ともに、寄主植 物 1株あた り可能な限 り多 くの個 体を生産す るこ

とが求め られ るが、ハエが寄主植物に過剰産卵す

殖工程は、寄主植物栽培、 ハエ生産、ハチ生産 お よび ハチの梱包 ・保蔵の4工程 か らなるo この う ち、′\チの増殖 は、は じめの3工程 を経 る必要 が あ る。生産 コス トを抑 えつつ天敵の安定供給 を行 うため には、第 1に生物的防除資材 として性能 が 高 く、かつ生産効率 が高い寄生蜂種の選抜、第2 に栽培容易な寄主植物 と増殖容 易な寄 主種の選定 2日、第3に寄 主お よび寄生蜂 の生理、生態的特性 を考慮 した各作業工程 におけ る各種装置の作成 と その稼動時間の設定 などが必要である。 本研究で は、候補寄生蜂種 として、温度特性 を加味 した基 準であ る生物的防除効率 (BCF)に よって選抜 した イサエア ヒ メコバチ とハモ グ リミドリヒ メコ パテの うち、増殖 および管理 が容易な寄生蜂ハモ グ リミ ドリヒ メコパ テの共生 微生物 Wo]bachla に感染 された∠日産雌単為生殖系統 一日・を採用 した。

本系統は、鹿児島県農業試験場の好意 によ り入手 した 。

(3)

侵入害虫マメハモグリバ工に対する生物的防除資材としての土着寄生蜂 43

言 表 音 . ‑ r

生産 工塩 Tl ハエ生産 工捜 l '、チ生産 工程

3、放飼寄生蜂ハモゲリミドリヒメコバチの大量増殖工程 一般的 に天敵生産 における大幅な コス ト低減 と

省力化のために代替寄主 ・人工飼料の利用が求め .1

として飼育すると、卵期間は3

SD)、幼虫期問は4.0±0.2日で、産卵後平均7 1

.±0.2日 (mean±

7) られるが2、ハエ寄生蜂 に関 しては有望な人工飼 日目に蝋化のために寄主植物 を脱 出す る2。 トマ 料は未開発であ ること、 また代替寄主の使用 によ トを寄主植物 とする と若干発育が遅れる といわれ

5)

って寄主選好性 に影響を与 える危険性があ ること ているが27)、 トマ トの場合 には産卵後平均55日 でハチの寄生適齢期であ る3齢期 まで発育 した こ か ら2、寄主 としてハエ幼虫を用 い、寄主植物 と

しては インゲンマ メ (Ph g slL) 6'

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の十分に展開 した初生葉 を採用 した。 インゲンマ ハエ産卵期間を1日間、そ してハエ幼虫の育成期 メは他種寄主植物 と比べて寄主 幼虫の発育 が速 問を産卵後5日間 と設定 した。一方、ハエの寿命、

lu eo

as sv とか ら32)、 これ らを参考 にハ エ増殖工程 において

)

く、繁殖能 力 も高いな ど27 28)食草 として優れてお 生涯産卵数は、飼育環境や採集地域 によって変動 り、 さ らに栽培 が容易で、20C〜2o 5℃下 の温室 するが27 2)8 33)・'、本研究で用いた系統の25℃におけ では初生葉が実験 に必要 な大 きさに成育 するまで る平均寿命は7.9±2.0日 (mean±SD)であ り、

に播種後 10日か ら2週間程度 と短い29

)0 )0

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'30 31

ハチの生物的防除効率 (BCE)は25Coで最 も り産卵数は羽化後8日まで比較的多かった(図4 本藤 (未発表)において、生残寄主成虫の 日当た

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9) 高 (1

これ らの理 由か ら、大量増殖工程 の温度 を25

に設定 した。 7日ご とに補充することとした。

ハ エ幼虫は25oC下 で インゲ ンマ メを寄 主植物 25ccにおけ るハ チの産卵後桶化 までの発育期

B

8‑

、ハエの増殖能力 も25℃が最 も高か った20 そ こで、寄主生産工程 においては、活発な産卵 を 持続するために羽化直後のハエ成虫を母虫 として

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生残J&丸の羽化gta〜(日)

I

⊂= 均基卯故 ー A 産卵故fl

図4、マメハモゲリバエ生抜成虫1匹による日齢ごとの平均産卵数および累積産卵数の推移

(4)

44 木藤 智雄 香取 郁夫 ・杉 本 毅

間は59±0.7日 (mean±SD)、嫡期間は8.1±

1.7日、雌成 虫寿命 は23.4±92日であ った ■9)0 これ らの結果 をもとに、寄生蜂生産工程 において ハチの寄生のための産卵期間を1日間、そ して育 成期問 を寄生後7日間 に設定 した。 そ して、成 虫 剤型 の場合 (図3)の羽化成虫回収期間を発育期 間 の 個 体 差 を考 慮 し10日間 と幅 を持 た せ た。

Hondo,etal.19)において、生残ハチ成 虫の 日当 た りの寄生数 は、羽化後2週間 までは比較的多か ったので (図5)、活発 な寄生 を持続 す るため に 羽化直後のハチ成虫を母虫 として2週間 ご とに補 充す ることとした。ハチによる寄生 と寄主体液摂 取 に よる殺害 を免れたハエ幼虫は、ハチ育成期間 中に インゲンマ メ葉 より脱 出 して多 くは床面で桶 化す る。 これ らのハエ蛸は回収 し、ハチ母虫回収 用の羽化成虫回収装置 (図3)へ放飼す るこ とと

した。次にハエの平均発育全期間は、前述 した卵 期 間 、幼 虫期 問 と嫡 期 間9 7±0.5日を合 わせ 168日27‑なので、ハエ生産工程 において、た とえ ばハエ産卵 (1日間)終 了間際に産卵 されたハ エ の うち幼虫期 に寄生を免れて葉上で嫡化 した個体 は、ハチ羽化成 虫回収装置内に移 して4日後 に羽 化す るこ とにな る。 一方、ハチについてみ る と、

産卵後、羽化 までの発育全期間は140±1.6日で あ った19)。 したがって、上記 において寄生 された ハ エ幼虫についてみ る と、ハチ寄生 (1日)開始 直後 に寄生 したハチは、羽化成虫回収装置に移 し て6日後 に羽化す るこ とにな る。 したが って、 も っ とも遅れて羽化す るハエ ともっとも早 く羽化す

るハ チの羽化予定 日には2日程度のずれが生 じる こととな り、羽化 したハチ成虫にハエ成虫が混在 して回収 され る可能性はほ とん ど無い と考 え られ る. しか し、成虫剤型の場合には、ハエ成虫の混 入を1匹た りとも防 がなければな らないので、羽 化成虫回収装置の回収部底面に1mm目の網 を貼

り、ハチ成虫だけが移動可能 とした。

現在、導入寄生蜂ハモグ リコマユバチ とイサエ アヒメコバチは、植物検疫上の理 由か ら剤型が成 虫 態 に 限 ら れ て い る が (農 薬 登 録 情 報 , http:www// ai.oj/csg .p)、成虫剤型ではその保 蔵 および輸送過程でハチ成虫の寿命の損耗、 さら に温度環境の変化や栄養不足 による品質低下 を引 き起 こす。特 に、 ヒメコバチ額のほ とん どの種は 逐次成熟性 (synovigenic)であるので、成虫の 生存や卵形成 に必要なたんぱ く質を得 るために寄 主体液摂取 をす るためul)35)、成虫保蔵は寿命や繁 殖能力に大 き く影響を与 える恐れがある36)。一方、

嫡剤型は設置 したハウスにおいて寄生蜂は羽化後 直ちに寄主攻撃が可能 であるので、保蔵 ・輸送過 程 におけ る成虫寿命の損耗、栄養不足な どによる 品質低下の恐れが少ない。本研究では成虫剤型 と 嫡剤型について品質を検討 した。

産卵装置の設計

従来の実験 において一般的に行なわれて きた吸 虫管 による成虫の回収作業は、全生産工程の中で も特 に労 力を要 し37)、 よ り省力的 な回収装置の作 成が求め られ る。森崎 ら18)は連結 した2つの飼育 箱を用い、正走光性 を利用 して産卵 を終 えたハエ

1 2 3 4 5 6 7 $ 9 10ll121314151617181920212223242526272829303132333435363738 生身成 虫の羽化後 日齢(日)

平均産卵赦 + 東棟産卵数

図5、ハモグリミドリヒメコパテ生残成虫1匹による日齢ごとの平均寄生数および累積産卵数の推移

(5)

侵入害虫マメハモグリバ工に対する生物的防除資材としての土着寄生蜂 45

成虫および寄生蜂成虫を効率 よ く回収す る産卵装 置 を考案 した。他方、正走光性 に加 え、負走地性 も利用 した回収装置 も考案 された 1 '】5 6)17‑。本研究 では、 これ らを参考 に、以下 の 2通 りの産卵装置 を試作 した。

まず、正走光性 を利用 して成虫を隣 りの産卵区 画へ移動 させ る横移動式産卵装置 を試作 した。 こ の装置 は木製 フ レーム (横70cm,高 さ 25cm, 奥行 き 46cm)の 内側側面 にア ク リル板 (厚 さ 0.5mm)、底面はベニヤ板、天井面 は通気性 を 考慮 してさらし布 を張 り、上 ・下端 に移動用開 口 部 (縦3cm,横 30cm)を開けた仕切 り板 を装置 中央部 に設置 して装置 を 2区画に分割 した (図6)0 増殖は 2区画で交互 に行 うこととし、寄主生産工 程 ではまず、一方の区画に インゲンマ メ株を設置 した後、ハエ成虫を放飼 して産卵 させた。産卵終 了後、その区画 を暗幕で遮光 して、正走光性 に よ り成虫 が明 るい他方 の区画 に移動 す る ように し た。寄生蜂生産 工程 では、 ハエ3齢幼虫がいる イ ンゲンマ メ株 を一方の区画に設 置 した後、ハチを 放飼 して寄生 させた。寄生終了後、ハエ と同様 に して他方の区画 に移動 させた。次に、寄生終了後 のハチ成虫の回収率の上昇を 目指 して、正走光性 と負重 力走性 を利用 した縦移動式産卵装置 を試作 した。 この装置は木製 フ レーム (幅35cm,高 さ 30cm,奥行 き 35cm)の内側側面 にア ク リル板 (05mm)、天井面は通気性の確保 とハチ脱 出を 防止す るために 0]mm目の網 を張 り、天井面の 中央部に穴 (縦 10cm,横 85cm)を開け、上部 を切断 したペ 、ソトボ トルの開 口部をこの穴に取 り 付けた (図 7)。 ハチの寄生 については、成虫回 収 口にあた るペ 、ソトボ トルの注 ぎ口をキ ャップで 閉めた後、 この装置 内に 3齢ハエ幼虫の いるイン ゲンマ メ株を設置 し、/、チを放飼 して寄生 させた。

寄生終了後、キ ャップを外 し、あ らか じめ用意 し たペ ッ トボ トルのキ ャ ップ 2つを両面粘着 テー プ

で張 り合わせ て、 そ こ穴 (直径 20mm)を開け た ものをペ ッ トボ トルに取 り付けた。次いで、ペ ッ トボ トル部 を除 く産卵装置全体 を暗幕 で遮光 し て、正走光性 を利用 してハチを明 るいペ ッ トボ ト ル部 に移動 させた。 この際、回収部 を産卵装置の 天井面 に設置 した ことによ り負走地性の相乗効果 による回収率の向上が期待で きる。

羽化成虫回収装置の設計

大野 16や 小薄 ら叫 ま、寄生蜂成虫の正 走光性を 利用 した羽化成虫回収装置 を考案 し、効率的回収 に成功 した.特 に、小津 ら J5'は、寄生蜂の種問差 にかかわ り無 く高 い回収効率 を得 たので、本研究 では これに準 じて羽化成虫回収装置 を試作 した。

この装置は木製 フ レーム (幅60.5cm,奥行 き36 cm,高 さ 33cm)の内側面 と底 面に樹脂板 (厚 さ5mm)を貼 った本 体部分 と、木製 フ レーム (幅605cm,奥行 き 36cm,高 さ 25cm)の上 面 に樹 脂板 を貼 りその中央部 に穴 (直径 9cm) をあ け、ガ ラ ス製 ロー ト (外径 ,最 大 : 9cm, 最小1cm,高 さ20cm)を取 り付けた回収部 を 兼ね る上蓋 か らなる。 この装置内にハエ桶 を静置 し、 またはハチ蛸 がいる インゲンマ メ葉 を設置す る。羽化後、成虫は正走光性に よ りロー ト内を移 動 してその先端 に逆 さに差 し込んだペ ッ トボ トル に回収 され る (図8)。 な お、ハ チ回収 の時 に、

設置 した葉にハエ桶 が付着 している危険性 があ る ので、ハエ成虫の混合回収 を避け るために蓋 に開 けた回収穴に網 (1mm目)を貼 ってハエ成虫の 通過 を防いだ。回収装置内にハチ蛸 がいるイソゲ

図6、横移動式産卵装置 (詳しくは本文参照) 図7、縦移動式産卵装置 (詳 しくは本文参照)

(6)

46 木藤 智雄 .香取 郁夫 .杉本 毅

ソマ メ葉 を一緒 に入れるため、装置内部 で葉 が腐 敗す るのを防止するため、装置 内に設置す る前 に 葉 を茎 か ら切 り離 して 25℃の恒 温器 で乾燥処理 を施 した。 また、装置 内で葵 が重な り合 ってハチ の羽化、脱 出を妨げ る恐れがあ るので、内箱 とし

8、羽化成虫回収装置 (詳しくは本文参照) て紙箱 (16×13×20cm)を用 い、1箱 あた り 葉2枚 を入れて装置 内に縦方 向に配置 して、効率 的に桶 を収納す ることがで きた。

梱包資材

従来のハチ成虫態 に加えて蛸態 について も梱包 資材 を試作 した。成虫態梱包材 として、マ イネ 、ソ

クス骨、(ア リスタライフサ イエンス祉)を参考 に、

ハチの餌 として底面 に 10%蜂蜜水入 り小皿 を取 り付け、上面 にガーゼ を張 ったプラスチ ック製 円 筒(高 さ JOcm,内径 2cm)を用いた。嫡態梱包材 と して,一方の開 口蓋の半分 を切除 してハチは通過 可能だがハエは不可能 な網 (1mm目)を貼 った 紙箱 (16×13×22cm)を試作 し、葉 2枚 を収 納することとした (図9 )。開 口部 に網を貼 ること

9、蛸梱包用網付き紙箱 (詳しくは本文参照)

によって、害虫であ るハエを箱外へ脱出させない だけでな く、 インゲンマ メ案 内にわずかで も残存 している可能性 があ るハエ蛸を検査 ・除去す る作 業が省ける

Ⅲ実験方法

産卵装置における成虫回収

横移動式産卵装置 は、一方 の区画 に 200ccの プラスチ 、ソク製広 口瓶 の中蓋 に穴 (直径 2 mm) を開け、その穴 に差 した インゲンマ メ 6株 を装置 内に設置 し、そ こにハエ成虫 30対 を放飼 して 24 時間産卵 させ、その後、他方の区画に新 しい イン ゲンマ メ 6株 を設置 し、前者 の区画を暗幕 に よっ て遮光 し、 24時間後 に後者の区画に移動 したハ エ個体数 を計数 した。 ハチについては、2齢後期 か ら 3齢前期の ハエ幼虫が最低 30匹 いるインゲン マ メ株 を‑・方 の区画 に設置 し、ハチ を 50匹放飼 してハ エ と同様の方法で実験 を行った。次に、縦 移動式産卵装置については、成虫回収 ロをペ ッ ト ボ トルのキ ャップで閉め、2齢後期 か ら 3齢前期 の ハエ幼虫が最低 30匹 いる インゲンマ メ株 を装 置 内 に設 置 し、 その 中にハ チ 50匹 を放飼 して、

12時 間寄生 させた。寄生終 了後、回収 口のキ ャ ップを外 し、成虫回収用のペ ッ トボ トルを装着 し た後、回収筒を除 く装置全体を暗幕 によって遮光

し、1 2時 間後 、ペ ッ トボ トル内に移動 した成 虫 数を計数 した。

羽化成虫回収装置における成虫@]収率

まず、当 日羽化 したハエ、ハチ成虫をそれぞれ 羽化成虫回収装置 内に放飼 し、回収簡内に回収 さ れた個体数を 6時間後 と 24時間後 に計数 した。 次 に、帰化後 9日経過 したハエ桶1 00個体 をプ ラス チ ック皿 に載せて、装置 内に設置 した。 ハチにつ いては、寄生後 12日間経過 した インゲンマ メ葉 を、腐敗防止のため 25℃で 24時間乾燥 させて か ら装置内に設置 した。 ハエ、 ハチ ともに 24時間 後に、回収筒に回収 された成虫数を計数 した。

剤型 ・保蔵が寄生蜂におよぼす影響

まず、成虫態梱包保蔵 について検討 するため、

梱 包容 器 に羽 化 直後 のハ チ成 虫 を入れ、1 5Co, 70%RH下 で 3日間 または 5日間保蔵 した。その後、

天井にガーゼ布を貼 ったプラ スチ ック円 (直径 10cm,高さ 20cm)内に 30匹以上の 2齢後期 か ら3齢前期 の ハエ幼 虫が いる インゲンマ メ 1株 を 設置 し、そ こに 1匹の寄生蜂 を放 し、寄生させた。

(7)

侵入害虫マ メハモグ リバ工に対する生物的防除資材 としての土着寄生蜂 47

ハチが死亡す るまで、毎 日新 しいインゲンマ メ株 幼虫数 を計数 した。 なお、内部寄生蜂であるため と交換 し、寿命 と寄生および寄主体液摂取 による に卵の確認が困難だ ったので、僻化幼虫数を寄生 殺害ハエ幼虫数 を計数 した。なお、内部寄生蜂で 数 とみな した。

あ るために卵の確認が困難だ ったので、醇化幼虫

数を産卵数 とみな した。次に、桶態梱包 ・保蔵 に

Ⅵ結果

ついて検討 するために寄生7日後 に茎 か ら葉 を切

り離 し、腐敗防止のため25dCで24時間乾燥 させ 産卵装置における成虫回収

て嫡態梱包容器 に収納 した場合 と、乾燥処理 を施 横移動式産 卵装置 に おけ る回収率 は、ハ エで さずにその まま梱包容器 に収納 した場合の2通 り 7 .530/、ハチでO 6649(とな り、ハ エの回収率がo について検討 した。 まず、5oCで5日間保蔵 した 有意 に高かった ( 00P< 5

‥ x

2Ls)let (表1o遮) 後 、 野 外 の 小型 ハ ウス (平 均 温 度 :24.9cc最 光区画に残 った両種成虫の多 くは葉の上か装置の 高 :349.℃ ,最 低 :1 .o96C,平 均 相対 湿 度 : 天井画 に止 まっていた。次に、縦移動式産卵装置 971%,最高 :99.0%,最低 :80.0%)におい におけ るハチの回収 率は、回収時問が 12時 間 と て、 プ ラ スチ ック円筒 (直径20cm,高 さ30 横移動式 の半分であ ったが、68.4%とほぼ同 じ cm)内に両方の剤 を入れ、羽化率 を調べた。 次 であ った (表 1)0

に、上記 と同様 に して乾燥処理 を施 した後、梱包 羽化成虫回収装置の回収率

容 器 に収 納 した 桶 を5℃ で 5日間保 威 した後 、 成 虫放飼 の場合、24時間後の回収率は、ハエ 25℃下 で上記 と同様の プラスチ ック円筒 内にそ で雌 :8690/、雄O :824%、ハチで9 .440/となo れぞれ収納 して、羽化率 を調べた。対照区 として、 り、ハチの方 が有意 に高 く (P<0.05:x2-test 5℃処理 を施 さないで終始2 o5C下において同様 の wih B nert o f o icrn orrcineto )(表2)、多 くの 実験 も行 った。 ハエ とハチ は、実験開始後6時間以内に回収 され 最適放飼密度の決定 た。嫡放飼 の場合 の 回収 率 は、ハ エ で81.7%、

まず、 インゲンマ メ1株 を、天井面 にさ らし布 ハ チで92.5%とな り、両種 ともに高 く、 また、

を貼 った プ ラスチ ック円筒 (直径 20cm,高 さ ハ チ は ハ エ よ り も 回 収 率 は 有 意 に 高 か っ た 30cm)内に設置 し、その中に羽化当 日のハエ成 (P<0.05:

x

2-test)(表2)。嫡放飼の場合にお 虫を3対、5対、10対放飼 し、24時間産卵 させた ける未回収ハエの多 くは、羽化失敗に よるものだ 後産卵数 を計数 した。次に、ハエ3齢幼虫50匹が った。

寄生 した インゲンマ メ1株 (余剰 なハ エ幼虫は事 剤型 ・保蔵が寄生蜂におよぼす影響

前に柄付 き針 で除去 した)を上記 と同様 のプラス 羽化後3日間 または5日間 15℃下で蜂蜜水 を与 チ ック円筒内に設置 し、3対、5対、7対、10対の えて飼育 した後、25℃下で飼育 した時、ハチ雌 ハチ成 虫 をそれ ぞれ放飼 して24時 間寄生 させ 、 成虫の寿命、寄生 および寄主体液摂取 による寄主 寄生 お よび寄主体液摂取 に よって殺害 された寄主 殺害数 は、 羽化直後か ら25℃下で飼育 した雌成

表 1.産卵装置 における成 虫回収率 (meanSD)

nl) 放飼 虫数 回収 虫数 回収 率 (%)2)

横移動式

L.trlfoliL' 5 60(30

対)

45.2 4.2 75.3a3)

N.formosa 5 50 33.2i=4.5 66・4b

5 50 3 .42 土 45. 68.4

I)繰 り返し数を示す

2)全繰 り返し数 の総回収数 /全繰 り返 し数の総放飼数

3)同じアルファベットの数値 間で有意差なし(< .5P 00 :x-et2ts)

(8)

木藤 智雄 ・香取 郁夫 ・杉本 毅 8

4

に減少 した

虫のそれ19)と比べて、保蔵 日数 に関係な く、大幅

P mert )est (

次に、ハ ウス内実験 において、葉を乾燥処理 しな 5:T ku ey‑Kra

00.

<

P<00.5:

x

2t tes)(表4。乾燥 (

かった場合、葉 を乾燥処理 した方が羽化率は有意 ) (表3)。

2

に高 くなった .成 虫回収装置における回収 率 (mean D)S

2, 供試 虫敷 詰 篭 22漂翌夏 未回収 虫数 回収率 (%)

∩.,

10 成 虫放飼

L t uirLj i 457. 58. 31.8 土75. 397.

0 . .2 土 38 52. 60.

8 28 土 2.

) 3 69.a 8 39.

10 466. 51. 30.8土 57 84 土 2 土 20. 3 47.

52. 82.4 a 4.

94 b

Nf

蛸放飼

ormosa 10 50.0 土 00. 30.5 土 58.

L trLjblLL 3 100.0 08. 13 5

00.

8 , 9.

18

i rronc

.3 土

t 8

2t t‑es 5‥x

00.

<

8 土 4

f wihBone orr

68. 68, 8. 4)

92.

17 a 5 b

40.4

1.7 土 Nf

1)繰 り返 し数 を示 す

ormosa 120,4 土 367,

全繰 り返 し数の総 回収数 /全繰 り返 し数の総放飼数 2)

3佃 じアル ファベ ット記 号を持 つ数値 間では有意差なし( 4同じアルファ

P )

) ion t ec 0

.

ット記 号を持 っ数値 間では有意差なし(P<0 5:x2t t‑es)

表 ノ、

3

モグリミドリヒメコバチ成 虫の

15

℃保蔵が寿命 ,寄生数および寄主体液摂取数 にお

寿 寄生による 寄主体液摂取に

よぼす影響

(mean±SD)

保蔵期間

3日

n

4.

11 士

l)

10

3 )

81. 7.

4.

87. 2

. 2

‑エ殺害数 よるハエ殺害数

3 7 a

3 1a

01 5 21

202′070ノ

02.

6 385. 22.2 a 5日 8 10 士5. 563. 353.

3 b

2

. 4 土

t nro

℃で飼育

2 Ho oe

2) , nd

co

I)

繰 り返し数を示す

5

12)

0 0 2 l(

ta. 6) 3)

同じアルファベット記号を持つ平均値 間では有意差なし

(P<00.5:T ku ey 3

日間および

5

日間保蔵 における寿命 は保蔵期間を含む

ra K

‑ merest t) 5

4.蛸の 1 ハウス内実験

メコバチの羽化 に与える影響 (mean 土 SD) 表 ℃保蔵 がハモグリミドリヒ

2) 保蔵 目数(目) n 供試 蛸数 羽化成 虫数 羽化 率 (%)

16. 2 60.

= 0.

20 3 46.

.4 士 0 j

65. 94.4 57. 8 29.

5 5

葉 ・乾燥処理あり a4)

= b 5.

30 j 5

葉 ・乾燥処理なし 5

室 内実験

= 1. 3 8

3 8 j7.4 30.3j=68. 95.3 a 5)

22. 3 5

5 士 72. 322.±72. 1000.b 0 13 242. 士 46. 23.4 ±48. 96.5a 3)

1 t conro

)

I)繰 り返し数を示す

全繰 り返し数の総 回収数 /全繰 り返し数の総放飼数

2

5 2 , 5

)

3)

4

℃ 下で保蔵せず ℃ 下の恒温重 に設置した

同じアルファベット記号を持つ数値 間では有意差なし(P

f i onerronc )

t tes t tesw l

2

‑ 5x 00.

<

ithB orr P

)同じアルファベット記 号を持 つ数値 間では有意差なし(<00.5x‥2 ection)

5

(9)

侵入害虫マメハモグリバ工に対する生物的防除資材としての土着寄生蜂

処理 を しなか った葉の 多 くでは、 カビが発生 し、 P <0 5.0 :

9 4

h t. twi tes 2 x‑

伴 って有意 に増加 し ( 腐 敗 が激 しい場 合 も見 られた。室 内実験 で は、

℃で保蔵 して も、羽化率は全て9 %5 以上 と高 く、

5

err orr

供試 したハエのほ とん どが殺害 された。

i on c

B fon ection)、10匹放飼区において、

で5日間保 蔵 した ときの羽化率が他 と比べて 有意 に高 くなるな ど (P<00.5:x2testwiht 5Co

∨考察

、桶 での低温保蔵に よ )

ion t ec err orr

る羽化率の低下はほ とん どみ られなか った。 本研究において試作 した産卵装置は、ハエ、ハ 最適放飼密度の決定 チ ともに回収率が低 かったが (表 1)、羽化成虫回 ハエについては、放飼虫数の増加につれて産卵 収装置については高 かった (表2)。食植生昆虫は

c i on B fon

(P <00.5:T ku ey

数、嫡数が有意に増加 したが ‑ 食草探索の際、食草が発す る匂 い物質を利用す る mert

べて有意 に低 か った (P<00.5:x2testwiht )

t es

Kra 、嫡化率は10対放飼で他の区に比 38'39)。 また、 チ リカ プ リダニPhyt s lu uo e'l s eTlS' 1mll1S 上0' 1や ヒメハナカメムシOr'slu 41)では、

‑ p

err orr

おけ る嫡化率の低下は、過密なハエ幼虫 よる過剰 匂い物質 食害のため葉が枯死 した ことに起困 した。

c i on

B fon ectlOn)(表5)0 10対放飼区に 寄主探索の際 に寄主の摂食によって植物が発す る

P

(HIV)を利用 した り、ハモグ リバ エ s' ・ ar v l

類寄生蜂のDap ]JaTthr un'entr'Sでは、寄主 ハチについては、放飼個体数の増加 に ともな っ の食草の匂 いや421寄主幼虫の摂食音 を43‑寄主探索 て、寄生、寄主体液摂取によるハエ死亡数は とも に利用す ることが実験的に実証 されている。本研 に増加 した (表6).一方、 ハチ1匹あた りの殺害 究で用 いたハエは産卵装置内に設置 した インゲン ハエ幼虫数は、放飼密度の上昇 とともに低下 した マ メ株 か ら発する匂 い物質に よって、ハチは上記

0

P< 5: Krme

。寄主殺害率 と寄生率は、放飼数の増加 に

、5、7 1

が 、 お よび 匹放飼 区の間では有意差 は T ku ey‑ a r 00.

( )

L tes

に加 えて寄生や寄主体液摂取 による殺害を免れて 装置内に生残 しているハエ幼虫が発す る摂食音に よって正走光性や負走地性 によるハエやハチの移 見 られな か った

表 5.インゲンマメ1株 に1日間産卵 が許された時のマメハモグリバェ成 虫の放飼密度 と産

D

an

卵数 ,蛸化数 および蛸化 率の関係 (me ±

S )

蛸化率(

% )

対 3

放飼成 虫数 nl) 産卵数3)

5.

16. 踊数4)

± 1 I b 士 1

) 5

) 2

83. 2 0

1 ± 88.a 275. 79.a 972.a 5

0

】 対

5.

5 0

1 1 士 1 7 b6. 530. 962.a 4

4

2

.

C C

26. 2 1 0

1 755. 61.6 b

1)繰 り返 し数を示す

全繰 り返 し数 の総 蛸化数/全繰 り返 し数 の総産卵数 P

) 4 2 3・

)

) 同じアルファベット記 号を持つ平均値 間では有意差なし(<00.5:Tkuey‑Krameretts) i rronc f one t i ttesw

‑ 2

5

‥ x

hB orrection) P

)

5同じアルファベット記 号を持つ数値 間では有意差なし( 00'.

a 0

表6寄主5

敬 .殺害率および寄生 率の関係 (me

匹をl日間攻撃することを許されたハモグリミドリヒメコハチ雌成 虫の放飼密度と寄生と寄主体液摂 取によるマメハモグリバエ幼 虫の殺害 n士SD)

殺害されたハエ幼 虫総数 殺害された/、エ幼 虫 寄生されたハエ幼 虫 数/ハチ成 虫 ()) 数/‑チ成 虫(匹)7) 寄生 (匹)I) 寄 主体液摂取 (匹)5)

3 0

0 ] 5

) 1

1 1 2

09 土 65 27± 98 土 33 44 土 109 C

1 l 1 1

9 士 43 a 75 士 52 a 6427a

76 土 23 3.

25. b

a

6 士 22 a

a a

6016

53ab a

0

7 bc 28 j 05= a

49 土06 b 24 ± LA a 52 土 05 b

250 土 96 b

1繰 り返し教を示す

2'(全繰 り返 し数の総 寄生数←全繰 り返し数の総寄主体液摂 取数)/全繰 り返し数の総供就 寄主幼 虫数 i)全繰 り返 し数 の総寄生数/全繰り返 し数 の総供託 寄主幼 虫数

0 1 l0

'7同じアルファベット記号を持つ 平均値間では有意 差なし( 005TP< uek),Krnea ret ts) l Ie,

I

<

9 P '

4'

'同じアル77ベ ット記 号を持つ数値 間では有音差なし( 005x2 wHhB

b )

on ' e i onc ''

one orrcll )

5 8

(10)

0

5 本藤 智雄 .香取 郁夫 ・杉本 毅

動が阻害 され、回収率 が低下 した可能性 があ る。

一方、 ハ エ成虫は、黄色 に誘引 され る特性があ ることが知 られている'11)。正走光性や負走地性 に 加 えて、 こうした誘引刺激 を利用す ることに よっ て回収率の向上 を試 みる必要がある。ハエ羽化成 虫回収では嫡だけを、ハチ羽化成虫回収では桶の いる葉 を乾燥 させてそれぞれ装置内に設置す るた め、ハエやハチの回収 を阻害す る と思われる匂い 物質はほ とん ど発生 しないため、正走光性や負走 地性 を用いた回収装置は期待通 りの性能を発揮 し た と思われ る。

ハチ と比べて回収率 が有意 に低 かったハエ桶の 放飼では (表2)、未回収のハエの多 くは羽化失敗 によるものであ った。 これはハエ老熟幼虫が葉 か ら脱 出 し嫡化す る際、嫡殻 を床面に接着す るため、

回収の際 に、それ らをはがす ことによって嫡殻が 傷 ついた ことが原因 と考え られ る。産卵後の イン ゲンマ メ株 を保管 している床面 を取 り外 し可能 な 層式 に して、桶の付着 した板 ご と羽化成虫回収 2

の低温耐性は高いことが分か った。羽化後のハチ の寿命や繁殖能力の検討は行 っていないが、本種 の野外 における主な分布地域であ る西 日本の気温 は、年間を通 じ温度差が大 き く、冬はたびたび氷 点下 を下回 るこ ともあるので、本研究で設定 した 嫡保蔵温度であ る5oCは、その生態的特性 に大 き く影響 を与 える温度ではない と思われる。さらに、

ハチの嫡態放館は、羽化 当 日の成虫を放飼す るこ とにな るため、成虫剤の ような保蔵 ・輸送期間お ける成虫寿命の損耗や寄主体液摂取がで きないこ とによる成虫寿命の短縮 もな く、高い効果が期待 で きる。しか し、ハチは植物体 内で嫡化するので、

ハチ嫡だけの回収は困難である。 オンシツツヤ コ バチの ように嫡数を一定 にそろえることが困難で あるため、製品化 にあた っては、製剤 内の嫡数を 一定基準 に保ち、商品品質を安定化 するための検 討が必要であ る。

近年、タマゴコバチ頬 に寄生 されたバ クガ卵 を、

休眠 を利用 して長期保蔵 す る技 術 が開発 された 装置内に設置 した り、床面 に微粒珪砂を散布 し18)

ハエ桶が床面 に付着す るのを防 ぎ、嫡 回収の際 に 嫡殻の損傷 を防 ぐな ど、ハエ羽化率の向上のため の嫡回収法ついて検討する必要がある。

羽化直後のハチ成 虫を15℃で蜂蜜水を与 えて3 日間または5日間保威 した後、25Co下で十分なハ エ幼 虫のい るインゲンマ メを与 えて飼 育 した時、

ハ チ雌成 虫の寿命や繁殖 能 力は、羽化 直後 か ら 25℃下 で同様 にハ エ幼虫を与 えて飼育 した雌成 虫19‑と比べて、大幅 に減少 した (表3)。前述 した

) 5

4。ハチの低温長期保蔵が可能 となれば、過剰生 産分の廃棄 による損失が削減で き、さらに低需要 期 に生産 した天敵 を嫡態で低温保蔵 し、高需要期 に集中出荷す ることによって総合的な生産 コス ト の削減が可能 とな る0本研究では、5oCでの保蔵 期間は最長 で5日しか試みなかったが、羽化率は 非常 に高い ことか ら更なる長期保存の可能性 があ り、ハチ婦の長期低温保蔵技術 について検討する 必要があ る。

本研究では、ハ エ幼虫密度が インゲンマ メ1株 ように本種は逐次成熟性 (synovgi lenC)であ る

ことか ら、成虫の生存や卵形成 に必要なたんぱ く 質を得 るために寄主体液摂取 をす る34)135)136)。本研 究 よ り、ハチは繁殖のためだけでな く、成虫の栄 養補給のためにも寄主体液摂取が必要であ ること が明 らか となった。 したが って、ハチ成虫を梱包 し、保蔵 ・輸送 した後 に放飼する と、羽化 当 日に ハチをそのまま放飼 した場合 と比べ、保蔵 ・輸送 その ものによる寿命の損耗 と、その間、寄主体液 摂取がで きなかった ことによる寿命短縮の影響の ために、生物的防除資材 として利用可能な期間は 大幅に減少す ることにな る。 したが って、ハチ成

0 0

あた り1 匹 を超 える と、嫡化率の低下や過密な ハ エ幼 虫 よる過剰食害 のため葉 が枯 死 した (表 5)。 ヒメコバ チ科寄生蜂 は、成熟 した大型 な寄 主 を産卵 に、若齢寄主な どの小型な寄主を体液摂 取 に使 い分け ることが知 られて お り22㌧ 過剰産卵 に よって小型化 したハエ幼虫の多 くが寄主体液摂 取 され る恐れがあ る。寄主体液摂取 によって殺害 され るハエ幼虫が増加する と、その分供試 したハ エ幼虫におけ るハチの寄生率が減少す るので、次 世代ハ チ成 虫の生産効率 の低下 を招 くこ ととな る。本研究では、ハエ幼虫は インゲンマ メ1株 あ

0 0

た り5匹程度 の密度 で寄主 が正常 に発 育 したの で、1株 あた りハエ幼虫密度は5匹が実用的であ 虫態 に よる製剤化は適 さない と思われ る。一方、

) 7 )2.

ハ チは嫡態 で梱包 し、5℃で5日間保 蔵 した場合 る と思われ る。 この ときの放飼密度 は5対であ っ で も高い羽化率 を示 した (表4)。ハチは野外では たが、ハエは地域 によって増殖能 力が異なる と報 告 されてい るこ とか ら8 )32、増殖 に用 いるハエ 桶越冬する と考 え られ るが、本研究結果 か らも嫡

(11)

侵入害虫マメハモグ リバ工に対する生物的防除資材 としての土着寄生蜂 51

の採集地によって、ハエ放飼密度は変動する と思 われる。

ハチ生産工程では、ハチによる寄生 と寄主体液 摂取による殺害を免れ、ハチ育成期間中にインゲ ンマメ葉 よ り脱 出し、床面で桶化 したハエ桶を回 収することとしているが、省力化のためには、ハ エ幼虫の殺害率を高め、可能な限 りハエ嫡回収を 行わないほうが望ましい。反面、蔵卵 に寄主体液 摂取を必要 とする逐次成熟性 (y o le i)sn vgnc の 寄生蜂では34)35'、放飼密度が高 くなる と、供試ハ エ幼虫に対する寄主体液摂取による殺害ハエ幼虫 の割合が増加す るので、寄生数が低下すると指摘 された17)。本研究では、ハエ幼虫50匹に対 しハチ 雌10匹 を放飼 した場合、はば全てのハ エ幼虫が 利用 され、殺害 された (表6)。 また、ハチ1匹あ た りの寄生数は全ての放飼密度で有意差がな く、

その結果、ハチの放飼密度の上昇に伴 い寄生率は 高 くなった。本研究結果が大野 ら17)と異なったの は、本研究の実験規模が小規模だった こともあ り、

放飼密度が低 か ったため と思われるが、ハチ 10 匹放飼で供試 したハエ幼虫のはば全てを殺害 した ので、本研究の規模 においては、ハチの実用的な 放飼密度はハエ幼虫50匹あた り10匹が適 してい る と思われ るo また、生物 的防除効率 (BCE)

では、寄主体液摂取はハチ生産段階 とハチ放飼段 階では有利、不利が相反するため、相殺 され問題 とはな らないが9)、大量生産 におけるコス ト削減 のためには寄主体液摂取によるハエ幼虫の殺害数 が少ないほ うが望ましい。反面、ハチの潜在的な 繁殖能力を完全 に引 き出すためには、産卵に際 し て十分な栄養 を与 える必要がある46)。ハチの蔵卵 のために必要な栄養分を備 えた人工飼料 を、寄主 体液摂取 によって消費されるハエ幼虫の生産 コス トよりも安価に生産で きれば、寄主体液摂取以外 の方法での栄養分の給餌は47)コス ト削減 に有効で あ り、検討する必要があると思われる。

Vl 要約

花井 ・疏菜頬の重要害虫であるマ メハモグ リバ 工に対する生物的防除資材 として土着寄生蜂ハモ グ リミ ドリヒメコバチを採用 し、マ メハモグ リバ 工を寄主、インゲンマ メを寄主植物 とする大量生 産工程を設計 した。

次 に、 この大量生産工程 において作業 の省 力

化 ・効率化のために産卵装置および羽化成虫回収 装置を試作 し、その性能評価、ハチの剤型梱包 ・ 保蔵方法について検討 した。横移動式産卵装置に お け る産 卵 を終 えた両 種 成 虫の 回収 率 (ハ エ 75.3%,ハチ66.4%)、縦移動式産卵装置におけ るハチの回収率 (68.4%)はあま り高 くなかっ た。羽化成虫回収装置の回収率は、装置内に成虫 を放飼 した場合 (ハエ雌86.9%,雄82.4%,ハ チ雌 94 4%)または桶 を放 飼 した場 合 (ハ エ 81.7%,ハチ92.5%)ともに高かった。ハチの 寿命や繁殖能力は、羽化直後に15℃で3日および 5日間の保蔵期間をもうけると、大幅に低下 した。

ハチ桶の羽化率は、桶を含んだ インゲンマ メ葉を 乾燥 させて、5℃で5日間保蔵する と (94.4%)、 葉 を乾燥 させずに保蔵 した場合 (85.7%)と比 べて高か った。 また、ハチ桶 を5℃で3日保蔵 し た後の羽化率 (95.3%)および5日間保蔵 した後 の羽化率 (loo‰)は、5℃で保蔵 しなかった場 令 (96.5%)と同様に高かった。

なお、大量生産のための最適放飼密度は、ハエ 幼虫の場合 インゲンマメ1株あた り50匹で、その ためのハエ成虫の放飼密度は5対 と推定 で きた。

一方、ハチ成虫の最適放飼密度はハエ幼虫50匹 あた り10匹 と推定できた。

V l l 謝辞

本研究を遂行するにあた りマ メハモグ リバ工を 提供 いただいた静岡県農業試験場、小津朗人博士、

ハモグ リミドリヒメコバチを提供いただいた鹿児 島県農業試験場、赦崎研氏に厚 く御礼申し上げる。

また本研究に際 し、ご協 力 とご助力を賜 った昆虫 生態制御学研究室の皆様に厚 く御礼 申し上げる。

参照

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