飲酒運転・事故の心理学(3)
著者 吉田 信彌
雑誌名 聖教新聞
発行年 2006‑12‑07
URL http://id.nii.ac.jp/1204/00000482/
(9) 5版 2006年(平成18年)12月7白(木曜
今年は飲酒運転の取り 締まりが格段に強化され
た年でした︒その結果︑
捕まった人が増えたのは 当然ですが︑その中に苫
票宮まで含まれていたの
は︑われわれにとって驚 きでした︒
10月の時点で飲酒運転
で捕まった苫察関係者の
数が昨年を上回ったとの
記事︵﹁日経新聞﹂10月
6日付︶がありました︒
それを読んでショックだ
ったのは︑昨年の25人と
いう数値でした︒25人は 多いと思います︒今年は ヽ. ヽ. ヽ. ヽ/ ヽ. \︑ \. ノ〝 \/ \. ヽ. ヽ. ヽ. ・ヽ. ヽ. ヽ・ ヽ・
吉田信涌
何人になるのでしょう か︒フロ意識に欠けるよ
うな阻織の不祥事があい つぐ年でしたが︑警察も
その例外ではなかったわ
けです︒
飲酒運転がいけないこ と︑そして危険なことは
誰もわかっています︒い ちばんわかっているはず
の﹁警察官がなぜ﹂とい
うのが一般の疑問であ り︑不層感をいだく点で
す︒しかし︑実験という
手段で飲酒運転を免許試 験場内で観察した私から
すると︑醤察官が飲酒連 転をしてしまう事情の一 端が理解できるような気 がします︒
初めて飲酒運転をする
警察官を考えましょう︒
おどおどと運転しだした
彼︵または彼女︶はやが て思うはずです︒
﹁あれ︑いけるじゃな
いか︒運転して頭がくら くらするわけでもない
し︑ハンドルがふらふら なんてしていない︒大丈
夫︑運転できる︒飲酒連
いでしょうか︒ あぶ 飲酒運転は危ない︑い けない︑と貫い聞かされ
ているだけに︑実際に運
転したときに﹁大丈夫﹂ という意外な安心感を飲
酒運転の警察官がもって
も不思議ではありませ ん︒飲酒運転の常習者も 転は危険と聞いていた が︑なんだ︑車は動かせ るし︑ちゃんと進むじゃ ないか︒事故なんか起こ さずなんとかいける︒い ひと ままで見聞きした酷い事 故は自分より酔った連中 が起こしたのだろう⁝ ⊥と︑こんな風ではな
﹁大丈夫﹂と思う判断に落とし穴
実験の結論の一つでし
た︒白分で大丈夫と思っ
ても実際は日ごろの運転
とは撃っし︑エラ1も出
ます︒しかし︑酔うとそ
れに気づかないのです︒
通常は自分の行動の結
果を顧みながら行動を調
整するのに︑飲酒すると 同じような変な自信をも っているのではないでし ょうか︒ ところが︑その﹁大丈 夫﹂と患う判断こそが飲 酒運転の落とし穴です︒ 飲酒するとそのように自 分の状態がわからなくな る︑というのが私たちの
くなります︒睡魔と戦い
つつ︑自分の状態がわか
らないまま安全に運転す ゎ才 るのは至難の業です︒事
故だけでなく︑曹察の検
問も避けなければなりま せん︒
昨今大きく報道された
飲酒運転︵2006年8 行動の結果についての情 報が入りにくい状態にな ると私たちは推測してい ます︒そのために自分の 行動を客観視できない無 白覚状態になります︒そ の自覚がないから常習者 にもなりやすいのです︒
さらに︑飲酒運転は眠
たるべきではないでしょ
うか︒それが﹁われ関せ
ず﹂と高いぴきです︒二 人の交友関節はどのよう
なものだったのでしょう か︒
同乗者も重く罰すべき
と法律改正はされるよう ですが︑そうなると飲酒 月の福岡や︑2005年 5月の宮城県多賀城︶に は同乗者がいました︒そ の同乗者は後部座席で眠 っていました︒ もし同乗者が真の友人 ならば︑運転者を助ける ために助手席に乗りこん で一緒に前方の注視にあ 運転者は同乗者に罪が及 ばぬように逃がす算段ま で考えることでしょう︒ そこまでさせる同乗者と は友人なのか︑それとも 職場のパワーハラスメン トがあるのか︑いずれに しろ発覚後の交友に面 倒が起きることは確かで しょう︒このトラブルは 厄介で尾を引きそうで す︒ 白分の行動の情報が戻 ってこない︒睡魔が襲 う︒交友も面倒になりそ うだ︒飲酒運転はリスク が大きすぎます︒しらふ でも無事故・無違反の安 全運転は︑そう易しくは ないことを思い起こして いただきたいものです︒
︵東北学院大学教授︶