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研修成果報告書 浅口市立六条院小学校教諭蜂谷智史 1 長期研修目標所属校がある浅口市では 小学校第 1 学年から外国語の授業が設定されていたり 独自の年間指導計画や音声教材を作成したりと 外国語教育の取組が積極的に行われている そして 所属校では歌やゲーム リピート練習等の外国語に慣れ親しむ活動をこ

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研 修 成 果 報 告 書

浅口市立六条院小学校 教諭 蜂 谷 智 史 1 長期研修目標 所属校がある浅口市では、小学校第1学年から外国語の授業が設定されていたり、独自の年間指 導計画や音声教材を作成したりと、外国語教育の取組が積極的に行われている。そして、所属校で は歌やゲーム、リピート練習等の外国語に慣れ親しむ活動をこれまで重ねてきた結果、外国語に対 する関心や理解の面で成果が見られる。また、岡山県では、小学校外国語活動・外国語科の授業づ くりについて周知を図るために、小学校教員の指導力向上を目指して研修パッケージの作成・配付 を行ったり、各種研修会や授業公開等を開催したりする等の取組を行っている。また、地域によっ て配置状況に差はあるものの、英語専科教員やALTを配置し、指導体制の充実も図っている。し かし、新学習指導要領の趣旨を踏まえた授業づくり、特に、自分の考えや気持ちを伝え合う活動(言 語活動)については、共通理解がまだ不十分である。 このような現状を踏まえ、新学習指導要領で示されている外国語活動・外国語科の授業の在り方 について、所属校における教育実践を通して理解を深め、岡山県内の教員に授業づくりについての 提案を行う。 2 研修成果 (1) 研修講座 「小学校外国語活動研修講座」を受講し、授業参観や研究協議、講演の聴講等を通して、新学 習指導要領の趣旨を踏まえた外国語教育の授業づくりについて理解を深めた。さらに、「中学校 英語研修講座」「高等学校英語研修講座」を受講し、小・中・高等学校の 10 年間の外国語教育を 通して、「聞くこと」「話すこと」「読むこと」「書くこと」のバランスの取れた資質・能力の 育成を目指すことについて確認することができた。また、小中一貫カリキュラムの作成や授業公 開の実施等、小中連携の取組の具体について学ぶこともできた。その中でも、文科省初等中等教 育局教育課程課情報教育・外国語教育課、山田誠志教科調査官の講演では、英語は教えたり教え られたりするものではなく、内容を伝え合うための手段であり、「考えや気持ちを伝えたい」と いう思いを児童生徒にもたせることが重要であると確認できた。また、その際には目的や場面、 状況等を児童生徒が意識してコミュニケーションを行うことが重要であることも確認でき、自身 の研究を進めていく上で、目的や場面、状況等を設定する重要性を再認識することができた。 (2) 県外先進校視察 視察先である岐阜市では、平成 16 年度から市内の全小学校を「教育課程特例校」として、小学 校低学年・中学年から英語教育を実施している。さらに、視察校である長良西小学校は、昨年度 まで文部科学省の「英語教育強化地域拠点事業」と、岐阜県教育委員会の「英語教育イノベーシ ョン戦略事業」の指定を受けており、外国語教育に熱心に取り組んできている。 授業参観では、第1学年から第4学年までの外国語活動と、第5学年・第6学年の外国語科の 授業を合計 18 時間参観した。全教員で外国語の授業の進め方の共通理解を図っており、どの授業 も学級担任がT1、ALTがT2として授業を展開していた。授業の最初に帯活動として行われ る Small Talk では、コミュニケーション方略(コミュニケーションを継続させたり、広めたり、 深めたりするための表現)を紹介・確認したり、児童が発話することができなかった表現につい て指導した後に、ペアを替えて再度 Small Talk を行うことで、活動により深まりをもたせたりし ていた。また、英語を使って自分の考えや気持ちを伝え合う必然性のある活動が単元に位置付け られた授業を参観することができた。

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- 4 - 3 校内研修の企画・実施 対象 浅口市立六条院小学校 教員 20 名 (1) 校内研修の目的及びテーマの設定 所属校の現状として、歌やゲーム、リピート練習等が活動の中心となる授業が多く、新学習指 導要領で求められている言語活動が不十分であることが挙げられる。そのため、言語活動を取り 入れた授業について共通理解を図ることを目的として、校内研修を企画した。テーマは「これか らの外国語活動・外国語科の授業づくり」と設定した。 (2) 校内研修の概要 研修は全教員を対象とした(図)。内容は次のとおりである。 ①中学年では「聞くこと」「話すこと」を中心とした外国語活 動を通じて外国語に慣れ親しみ、高学年から段階的に文字を 「読むこと」「書くこと」を加えて総合的に教科学習を行う ことを確認 ②外国語によるコミュニケーションが生涯にわたる様々な場面 で必要になることや、他教科同様、知識・技能が実際のコミ ュニケーションにおいて活用され、思考・判断・表現するこ とを繰り返すことを通じて、学習内容の理解が深まっていく ことについて共通理解 ③これまで多く行われていた歌やゲーム、単純なリピート等は言語材料(表現)を理解したり 練習したりする活動であり、これからは自分の考えや気持ちを伝え合う言語活動も求められ ていることを伝達 ④目的や場面、状況等を設定した言語活動について、演習を通して共通理解 (3) 実施後の評価 校内研修実施後のアンケートにおいて、「外国語教育がどのように変わるのかを理解すること ができた」「どのような力の育成が求められているのかを理解することができた」「新学習指導 要領の趣旨を踏まえた外国語活動・外国語科の授業の在り方について理解することができた」の 3項目について質問した。その結果、全ての項目において参加教員全員が「理解できた」もしく は「どちらかというと理解できた」という肯定的な回答であったことから、今回の研修は言語活 動を取り入れた授業について共通理解を図ることに有効であったと考える。 また、「児童が『伝えたい』と感じる場面を設定することが重要であることが分かった」「学 年や発達段階に合わせて言語活動を工夫していかないといけない」等の感想が見られた。実際の 授業においても、校内研修を実施する前までは歌やゲーム、リピート練習等が多く見られたが、 実施後は自分の考えや気持ちを伝え合う言語活動が位置付けられた授業が増えてきた。その一方 で、「具体的な授業の流し方をもっと知りたい」「今年度は英語専科の教員がいるが、自分が教 える立場になるかもしれないと思うと、まだまだ勉強が必要」「英語の発音が不安なので、よい サイトやツールがあれば知りたい」といった意見もあり、新学習指導要領の全面実施に向け、今 後も校内研修を継続していくことの必要性を強く感じた。 4 今後の展望 長期研修員として、各研修講座や県外先進校視察等を通して、目的や場面、状況等を設定する重 要性を再認識したり、考えや気持ちを伝え合う必然性のある活動の具体について学んだりすること ができた。また、校内研修を通して、言語活動を取り入れた授業について共通理解を図ることもで きた。今後は、所属校や浅口市の外国語教育の推進役として、研修会や授業公開等を通して授業づ くりの考え方を共有し合い、教員の外国語教育の指導力向上と児童の資質・能力の育成を目指して いきたい。 図 校内研修の様子

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- 5 - 0G12-02 小学校外国語活動・外国語科

目的や場面、状況等を設定した外国語活動・外国語科の授業づくり

浅口市立六条院小学校 教諭 蜂 谷 智 史 研究の概要 小学校外国語活動・外国語科において、コミュニケーションの目的や場面、状況等を設定した言 語活動の充実が求められている。本研究では、目的や場面、状況等を設定する際の留意点を整理し、 言語活動を充実させることに有効であるかを検証した。その結果、「興味・関心」「必然性」「相 手意識」の三つの留意点を踏まえた授業において、有効性が見られた。 キーワード 小学校外国語活動・外国語科、言語活動、目的、場面、状況 Ⅰ 主題設定の理由 浅口市では、小学校第1学年から外国語の授業時間が設定されていたり、独自の年間指導計画や 音声教材を作成したりと、外国語教育に積極的に取り組んでいる。しかし、所属校や浅口市内の他 の小学校の授業の実態として、自分の考えや気持ちを伝え合う活動が十分ではなく、歌やゲーム、 リピート練習等が活動の中心であった。また、『小学校英語教育に関する調査研究報告書』(2017、 国立教育政策研究所)では、「外国語活動が歌やゲームだけで終わってしまい、児童が自分の立場 で自分の考えや気持ちを指導者や友達と伝え合うコミュニケーションにまで至っていない可能性が ある」1)と指摘し、自分の考えや気持ちを伝え合う活動が全国的にも不十分であるとしている。 『小学校学習指導要領解説 外国語活動・外国語編』(2018、文部科学省、以下『新学習指導要 領』という。)では、「言語活動を通して、コミュニケーションを図る素地(外国語科は「基礎」) となる資質・能力を次のとおり育成することを目指す」2)という目標が示され、言語活動の重視が 挙げられている。その言語活動については、新学習指導要領において、「『実際に英語を用いて互 いの考えや気持ちを伝え合う』活動」3)と定義の捉え直しがなされた。 また、新学習指導要領では、「学んだことの意味付けを行ったり、既得の知識や経験と、新たに 得られた知識を言語活動で活用したりすることで、『思考力、判断力、表現力等』を高めていくこ とが大切」4)としている。そして、そのための具体的な学習過程として、「①設定されたコミュニ ケーションの目的や場面、状況等を理解する、②目的に応じて情報や意見などを発信するまでの方 向性を決定し、コミュニケーションの見通しを立てる、③目的達成のため、具体的なコミュニケー ションを行う、④言語面・内容面で自ら学習のまとめと振り返りを行う」4)という流れが示されて いる。このことから、この学習過程に沿って学習を進め、言語活動の充実を図るためには、目的や 場面、状況等を適切に設定することが重要であると言える。 そこで、小学校外国語活動・外国語科において、目的や場面、状況等を適切に設定した言語活動 を単元の中心に据えた授業を行うことで、言語活動の充実が図られると考え、本主題を設定した。 Ⅱ 研究の目的 小学校外国語活動・外国語科において、目的や場面、状況等を設定する際の留意点を整理する。 その留意点を踏まえて目的や場面、状況等を設定した言語活動を単元の中心に据えた授業を実践す ることで、資質・能力の育成へとつながる言語活動を充実させることに有効であるかを検証し、具 体的な授業づくりの方策を提案する。

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- 6 - Ⅲ 本研究の立場 他の教科等と同様に、小学校外国語活動・外国語科においても、「知識及び技能」「思考力、判 断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」といった三つの資質・能力の育成を目指しており、 そのことについて「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善 及び必要な方策等について(答申)」(2016、中央教育審議会)では、「見方・考え方」を働かせ ながら、一連の学習過程を経て思考を深め、自分の思いや考えを表現すること等を通じて、児童の 発達段階に応じた「見方・考え方」を成長・発展させることが重要であり、その結果、資質・能力 が育成されることが示されている。 本研究では、資質・能力を育成するための学習過程の中心となる言語活動の設定に焦点を当てる こととした。 Ⅳ 研究の内容 1 文献研究 言語活動や、目的や場面、状況等の設定について、新学習指導要領では次のように示されている。 また、『小学校外国語活動・外国語 研修ガイドブック』(2017、文部科学省)では、題材の選 定について、次のように示されている。 さらに、泉(2017)は、新学習指導要領の概要や指導者が押さえておくべき事柄を述べている。 その中には、次のような記述がある。 これらの文献の下線部から、「興味・関心」「必然性」「相手意識」が重要な視点であることが 分かった。このことを踏まえ、目的や場面、状況等を設定する際の留意点として、本研究では、次 の3点に整理した。 (ア) 【興味・関心】児童の生活場面や学習場面と関連し、興味・関心に沿っているか (イ) 【必然性】 児童にとって自分の考えや気持ちを英語で伝え合う必然性があるか (ウ) 【相手意識】 児童が伝え合う相手を意識できているか 小学校では、英語でコミュニケーションを行う目的や、英語が使われる場面を設定し、状況に応じて、 児童が相手のことを考えながら、自分の意見や考えを表現し伝え合うことが大切だと考えられます。8) また、意味のある文脈の中で、英語を用いる必然性がある場面や状況を与えて、指導者も英語で児童 とやり取りを行います。8) 児童の発達・認知段階や興味・関心に合致し、児童に関連した身近なテーマや内容を題材として取り 上げ、コミュニケーションをする意味や目的がある楽しい活動や発問を工夫しながら、児童に深く考え させるような、豊かな体験的活動を取り入れたいものです。8) 言語活動を設定するに当たっては、児童が興味・関心をもつ題材を扱い、聞いたり話したりする必然 性のある体験的な活動を設定することが大切である。5) 言語活動は相手意識と中身のある活動が基本であり、そのためには、ペア・ワークやグループ・ワー クなどの学習形態を工夫し、児童が本当に伝えたい内容を話したり、友達の話す内容を聞いたりするこ とができる場面を設定することが大切である。6) 題材は、児童の生活場面や学習場面に関わりのあること、つまり、児童がこれまでに意識的にも無意 識的にも、普段見たり聞いたりしてきた「もの」・「こと」・「人」などから、児童の興味・関心に沿 ったものを選ぶことが大切である。7)

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- 7 - 2 研究の仮説 小学校外国語活動・外国語科の授業において、 (ア) 【興味・関心】児童の生活場面や学習場面と関連し、興味・関心に沿っているか (イ) 【必然性】 児童にとって自分の考えや気持ちを英語で伝え合う必然性があるか (ウ) 【相手意識】 児童が伝え合う相手を意識できているか の三つの留意点を踏まえて目的や場面、状況等を設定した言語活動を単元の中心に据えた授業を行 えば、資質・能力の育成へとつながる言語活動の充実が図られるであろう。 3 研究の進め方 中学年の外国語活動においては、新学習指導要領では、「自分の考えや気持ち等を伝え合う力の 素地を養う」という目標が示されている。その一方で、高学年の外国語科においては、「自分の考 えや気持ち等を伝え合うことができる基礎的な力を養う」と示されており、外国語活動で音声や基 本的な表現に慣れ親しんだことを踏まえ、定着をねらっている。そのため、本研究では、三つの留 意点を踏まえて目的や場面、状況等を設定した言語活動を単元の中心に据えた授業を、外国語活動 と外国語科の両方において計画・実施する。そして、共通する留意点を考察し、授業づくりの方策 を提案する。 4 検証の方法 第3学年の外国語活動(実践1)と第5学年の外国語科(実践2)において、授業中の児童の様 子や振り返りの際のワークシート、実践の前後に行った質問紙による意識調査から、相手を意識し ながら自分の考えや気持ちを伝えることができているかの視点で検証を行った。 5 実践1(外国語活動) 対象 浅口市立六条院小学校 第3学年児童(2学級 合計63名) (1) 授業実践の計画 ア 単元の概要 本単元では、家族への学芸会の招待カードを作成し、渡すために、欲しい色・形のパーツにつ いて教員に伝え、受け取るというやり取りができるようになることをねらう。形の言い方や欲し いパーツの尋ね方や答え方、気に入っている点を伝える表現に慣れ親しみながら、学習を進め、 第4時と第5時では、学習した表現を使ったやり取りを通して招待カードを作成する活動を行う。 イ 単元計画 各時間のねらいと主な活動を表1に示す。 下線は単元の中心に据えた言語活動 時 1 2 3 4 5 ねらい 世界には様々な文化や習 慣があることを知る。 日本語と英語には音の相 違点があることを知る。 形の言い方に慣れ親しむ。 色や形の言い方や、欲しい パーツを尋ねたり答えた りする表現に慣れ親しむ。 欲しいパーツを尋ねたり 答えたりして伝え合おう とする。 形の言い方や気に入って いるところを伝える表現 に慣れ親しむ。 主な 活動

○Let's Watch and Think ○デモンストレーション ○単元の見通しをもつ ○語の導入(形) ○語の練習(形) ○ゲーム「You are ○○!」 ○Let's Play 2 ○ゲーム「Matching Game」 ○表現の導入(やり取り) ○Let's Listen ○カード作成 1 ○カード作成 2 ○表現の復習 ○発表会(グループごと) 表1 実践1における各時間のねらいと主な活動

単 元 名 This is for you. しょうたいカードを作ろう(Let's Try!1 Unit7)

目 標 ○欲しいパーツを尋ねたり答えたりして伝え合おうとする。 (関心・意欲・態度) ○形の言い方や、欲しいパーツを尋ねたり答えたりする表現、気に入っているところを伝

える表現に慣れ親しむ。 (慣れ親しみ) ○世界には様々な文化や習慣があることや、日本語と英語には音の相違点があることを

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- 8 - ウ 三つの留意点を踏まえた目的や場面、状況等の設定 「教員とのやり取りによってパーツを受け取り、貼り合わせ、学芸会の招待カードを作成する こと」と設定した。また、その設定をするに当たり、三つの留意点を踏まえ、次のような指導の 工夫を行った。 (ア) 児童の生活場面や学習場面と関連し、興味・関心に沿っているか 〇 国語科のローマ字学習や学芸会と関連付け、学芸会の招待カードを作成する。 (イ) 児童にとって自分の考えや気持ちを英語で伝え合う必然性があるか 〇 児童に「伝えたい」という意識をもたせるために、お店屋さんごっこ形式にし、店員役の 教員やALTとのやり取りによって、欲しい色・形のパーツが得られるようにする。 (ウ) 児童が伝え合う相手を意識できているか 〇 「何のために伝えるのか」「伝わるようにするためにはどうしたらよいか」と児童に発問 する。そうすることにより、欲しいパーツを得るために伝えることや、話す声の大きさや速 さ、表情に気を付けたり、場合によってはジェスチャーを付け加えたりすることが有効であ ることを児童と一緒に確認する。 〇 第4時と第5時のカード作りの際には、声や表情、ジェスチャー等を意識することができ ている児童を称揚する。 エ 本単元で目指す、言語活動が充実した姿 「相手に伝わるように工夫しながら、積極的に自分の欲しいパーツを英語で伝える」とした。 (2) 授業実践の結果 ア 児童の様子 第4時と第5時のカード作りの際には、全児童が教員との やり取りを通して欲しいパーツを伝え、パーツを得ることが できた。そして、それぞれがカードを完成させることができ た。また、「僕はおじいちゃんにあげる」「ハートを4枚並 べて、お母さんが好きなクローバーを作る」といった声も聞 かれた。さらに、欲しいパーツを児童が教員に伝える際、教 員が間違ったパーツを意図的に渡したり、困った表情で悩ん でいたりすると、全児童が繰り返し伝えたりジェスチャーで 形や数を表したりして伝えたりすることができた(表2)。 イ 振り返りワークシートの内容 「積極的に活動することができましたか」という問いについて、「積極的にできた」もしくは 「まあまあできた」と回答した児童は、第4時は61人中59人、第5時は61人中60人だった。また、 「渡す人の気持ちを考えながら作った」等の記述が見られた。 ウ 意識調査の比較 「自分の考えや気持ちを伝えることができていますか」という問いについて、「できている」 もしくは「どちらかといえばできている」と肯定的な回答をした児童は、実践前は63人中40人だ ったが、実践後は62人中57人だった。 (3) 考察 国語科のローマ字学習や学芸会と関連付け、招待カードを作成するという内容にしたことによ り、欲しいパーツを伝えるという言語活動に全児童が積極的に取り組むことができるようになっ た。また、やり取りによってパーツを得られるという設定にしたり、招待カードを渡す相手を意 識させたりしたことにより、考えや気持ちを伝え合うことができた児童の人数が増加することに つながった。さらに、伝え合う際に気を付けることを児童と確認したことにより、伝わるように 繰り返したりジェスチャーを付けたりすることにつながった。このことから、「相手に伝わるよ うに工夫しながら、積極的に自分の欲しいパーツを英語で伝える」という姿が見られ、言語活動 表2 カード作りの場面でのやり取り

T「What do you want?」

S「A yellow star and a green square, please.」 T「OK. A yellow star and a green rectangle...

Here you are.」

(間違ったパーツを意図的に渡そうとする) S「No. A yellow star and a green square.」

(欲しいパーツを繰り返し言ったり、ジェス チャーで正方形を表したりして、長方形で はないことを教師に伝えようとする) T「Oh, sorry. A green square... Here you are.」

(正しいパーツを渡す) S「Thank you.」

T「You are welcome. Bye.」 S「Bye.」

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- 9 - が充実したと考える。しかし、友達の支援を必要とする児童や、やり取りに自信がもてない児童 もいたことから、慣れ親しみながら既習の表現を復習し、それらを十分活用しながらやり取りを 行うことができるような単元構成にする必要があったことが課題として挙げられる。 6 実践2(外国語科) 対象 浅口市立六条院小学校 第5学年児童(2学級 合計63名) (1) 授業実践の計画 ア 単元の概要 本単元では、児童にとって身近な内容である学校生活を扱い、自分たちの夢の時間割を考え、 その時間割をALTや友達に伝えることができるようになることをねらう。そして、教科や職業 の言い方や時間割を伝える表現について理解を深めながら、学習を進めていく。そして、第4時 では、既習の表現を用いて夢の時間割とその理由、つまり職業を併せて伝え合う活動を行う。 イ 単元計画 各時間のねらいと主な活動を表3に示す。 下線は単元の中心に据えた言語活動 時 1 2 3 4 ねらい 世界の子供たちの学校生活につい ての相違点を知る。 教科の言い方に慣れ親しむ。 職業を表す語の成り立ちの面白さ を知る。 他者に配慮しながら、時間割やそ の理由等を伝え合おうとする。 主な 活動

○Let's Watch and Think 1 ○デモンストレーション ○単元の見通しをもつ ○語の導入(教科) ○Let's Listen ○語の練習(教科) ○ゲーム「Keyword Game」 「Matching Game」 ○語の導入(職業) ○語の練習(職業) ○Let's Watch and Think 3

○時間割の作成 ○時間割の伝え合い ○STORY TIME ウ 三つの留意点を踏まえた目的や場面、状況等の設定 本単元の中心に据えた言語活動の目的や場面、状況等は、「夢の時間割を作成し、それをペア やグループでALTや友達と伝え合うこと」と設定した。また、その設定をするに当たり、三つ の留意点を踏まえ、次のような指導の工夫を行った。 (ア) 児童の生活場面や学習場面と関連し、興味・関心に沿っているか 〇 将来就きたい職業と関連付け、その職業に就くための時間割をALTや友達と伝え合う。 〇 第3時の「Let’s Watch and Think 3」では、「なぜこの職業とこの時間割がつながるのか」 と児童に発問し、理由があって職業と時間割が結び付いていることに気付かせ、「就きたい 職業に就くための時間割を自分も作りたい」と感じることができるようにする。 (イ) 児童にとって自分の考えや気持ちを英語で伝え合う必然性があるか ○ 「互いのことを知るために、自分ことを伝えよう」と児童に伝え、一人一人が単元の見通 しをもち、「自分もALTに話したい」「知ってほしい」という意識が生まれるようにする。 ○ 伝え合いにより新たな気付きがもたらされ、伝え合うことのよさを感じられるようにする。 (ウ) 児童が伝え合う相手を意識できているか 〇 話す側は声の大きさや速さ、表情に気を付けたり、必要に応じてジェスチャーを付けたり することが有効であることや、正しく伝わっているかを意識する必要があることを確認する。 〇 聞く側はうなずいたり言葉を返したり、場合によっては聞き返したりする等、反応を返し ながら聞くことや、感想をもちながら聞くことが大切であることを確認する。 エ 本単元で目指す、言語活動が充実した姿 「相手に伝わるように工夫しながら、既習の表現を用いて積極的に夢の時間割をALTや友達 に伝えたり、友達の時間割を聞いて感想をもったりする」とした。 表3 実践2における各時間のねらいと主な活動

単 元 名 What do you have on Monday? 夢の時間割を紹介しよう(We Can!1 Unit3)

目 標 ○他者に配慮しながら、時間割やその理由等を伝え合おうとする。(関心・意欲・態度) ○教科の言い方や、なぜその時間割が夢なのかを伝える表現に慣れ親しむ。(慣れ親しみ) ○世界の子供たちの学校生活についての相違点や、職業を表す語の成り立ちの面白さを

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- 10 - (2) 授業実践の結果 ア 児童の様子 第4時の時間割の伝え合いの際には、実践1と同様に、多くの児童が積極的に時間割を作成し たり伝え合ったりする様子が見られた。また、第3時で学習した「baseball player」という表現か ら、「スポーツ名+player」がスポーツ選手を意味することに気付き、既習のスポーツを表す表現 を用いて、「table tennis player」や「basketball player」とワークシートに記入し、伝える児童もい た。児童からは、言語活動前には「教科と職業の言い方を覚えたい」「早く時間割を作って伝え たい」、言語活動中には「分かってもらえてうれしい(話す側児童)」「その時間割、いいね(聞 く側児童)」等の発言が聞かれた。さらに、指で1、2と表しながら順に伝えたり、連続する教 科を伝える際には「two P.E.」と話しながら指で2を表したりする児童もいた。 イ 振り返りワークシートの内容 「積極的に活動することができましたか」という問いについて、肯定的な回答をした児童は58 人中54人だった。また、「『こんな夢があったんだ』と思えたので楽しかった」「私と同じ職業 だけど違う時間割の人がいて、『この時間割もいいな』と思った」等の記述が見られた。 ウ 意識調査の比較 「自分の考えや気持ちを伝えることができていますか」という問いについて、肯定的な回答を した児童は、実践前は59人中26人だったが、実践後は60人中56人だった。 (3) 考察 将来就きたい職業と関連付けたことにより、第4時の伝え合い活動等に積極的に取り組むこと ができるようになった。また、伝え合う目的を示したり、伝え合うことのよさを実感させたりし たことにより、考えや気持ちを伝え合うことができた児童の人数が大きく増加したり、既習の表 現を用いて伝え合う姿が見られたりした。さらに、伝え合う際に気を付けることを児童と確認し たことにより、相手に分かりやすいようジェスチャーを交えながら伝える児童が見られた。この ことから、「相手に伝わるように工夫しながら、既習の表現を用いて積極的に夢の時間割をAL Tや友達に伝えたり、友達の時間割を聞いて感想をもったりする」という姿が見られ、言語活動 が充実したと考える。しかし、伝え合う活動の際、スムーズに伝えられない児童もいたことから、 時間割を伝える表現の定着を図るための活動が不十分であったことが課題として挙げられる。 Ⅴ 研究のまとめ 本研究では、目的や場面、状況等を設定する際の留意点として、「興味・関心」「必然性」「相 手意識」の3点に整理した。それらの留意点を踏まえて目的や場面、状況等を設定した言語活動を 単元の中心に据えることで、相手に伝わるように工夫しながら積極的に伝える姿が見られ、言語活 動を充実させることに有効であることが分かった。このことから、言語活動を行う際には、児童や 学校の実態や扱う内容に応じて、三つの留意点を踏まえた目的や場面、状況等を設定することが重 要であると考える。しかし、実践1・2の考察の中で述べた課題から、単元の中心となる言語活動 につなげるための「表現を理解したり練習したりするための活動」も十分行う必要があることも併 せて提案する。 今後は本研究の成果を生かし、所属校の教員とともに、他学年・他単元においても三つの留意点 を踏まえた言語活動を中心に据えた授業実践を重ね、留意点の汎用性を高めていきたい。 ○引用文献 1) 国立教育政策研究所(2017)『小学校英語教育に関する調査研究報告書概要』p.3 2) 文部科学省(2018)『小学校学習指導要領解説 外国語活動・外国語編』p.11, p.67 3) 文部科学省(2017)『小学校外国語活動・外国語 研修ガイドブック』p.23 4) 文部科学省(2018)『小学校学習指導要領解説 外国語活動・外国語編』p.53, p.98 5) 文部科学省(2018)『小学校学習指導要領解説 外国語活動・外国語編』p.29 6) 文部科学省(2018)『小学校学習指導要領解説 外国語活動・外国語編』p.52 7) 文部科学省(2017)『小学校外国語活動・外国語 研修ガイドブック』p.45 8) 金森強・本多敏幸・泉惠美子(2017)「小学校外国語教育はどう変わるか」、『主体的な学びをめざす小学校英語教育 ─教科化からの新しい展開─』p.16-19 ○参考文献 ・ 中央教育審議会(2016)「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)」 ・ 文部科学省(2018)『初等教育資料 平成30年7月号』東洋館出版社

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