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カラーピーマン (299 ページ ) 播種は夏 (6 7 月 ) が適期 (103 ページ ) 基本作型は夏まき栽培 結球期の冬が温暖なほど, 播種適期が長くなる 光照射による着色促進 夏秋栽培では生育終盤の低温による着色の遅延が課題 着色不良果を収穫後, 光を照射すれば着色が促進できることがわかっ

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(1)

(1 ) 根を 15cm 以上残して株を掘り上げる ハウスの容器内で湛水,遮光して軟白処理 宮城県で栽培されているイタリア野菜。左手前がフローレンスフェ ンネル(103 ページ),左奥がチーマ・ディ・ラーパ(カブの仲間で ナバナの一種),中央がタルディーボ,右奥がカステルフランコ(18 ページ),右がプンタレッラ(52 ページ)

トレビス

――

4〜6月(または9〜10月)が涼しい

地域の栽培で抽台防止

(43ページ) 赤と白の色彩が美しい葉を食用とする。 サラダで食べるとほろ苦いのが特徴 高温長日で抽台するので,生育期の 4 〜 6 月(ま たは 9 〜 10 月)が冷涼な地域が適地 収穫したトレビス。結球部を上から押して,やや心 の固さを感じるころが収穫適期。外葉を 2 〜 3 枚取 り除いて出荷する

イ タ リ ア 野 菜

タルディーボ

――

ハウスの容器内で湛水,

完全遮光で軟白処理

(31ページ)

(2)

(3 ) (2 )

フローレンスフェンネル

――

播種は夏(6〜7月)が適期

(103ページ) 葉のりん片が肥大した球の部分を利用す る。独特の芳香と甘味がある。生食のほ か,炒め物,煮込み料理などに向く 基本作型は夏まき栽培。 結球期の冬が温暖なほど, 播種適期が長くなる 寒害による腐敗果。冷 涼な気候を好むが,結 球期には低温に弱い

アーティチョーク

――

主茎先端の摘蕾で増収,倒伏も防ぐ

(7ページ) アーティチョークの蕾。この部分を利用する (撮影:赤松富仁) 冷涼な気候を好むので, 秋まきが育てやすい 蕾を割ったところ。紫 色の花弁が出る前の 若い蕾の花床部分を 食用にする(写真は 適 期をやや過ぎたも の)。 茹でて塩やドレ ッシングをかけて食べ ると,ユリネに似たほ のかな甘さがある

カ ラ ー ピ ー マ ン

(299 ページ)

光照射による着色促進

 光照射追熟 ②果実をポリ袋に入れる ③ 15 〜 20℃の条件下で,50 〜 100 μmol/m2/s の光を照射する ④ 3 〜 10 日間静置する  光照射追熟棚の作り方は 301 ページ ⑤完全に着色 夏秋栽培では生育終盤の低温による着色の遅延が課題。着色不良果を収穫後, 光を照射すれば着色が促進できることがわかった ① 10%以上着色した果実を収穫 光照射の手順 着色がまだ 5%ほどの果実に蛍光灯を照射したところ,20W2 本の蛍光灯から 40cm 程度離した光強度(100μmol/m2/s)で 5 日間照射することで,可販果 レベルの着色にすることができた 照射強度(μmol/m2/s) 光照射前 光照射 5 日後 200 100 無照射区 花床

(3)

(4 )

早 出 し ト ウ モ ロ コ シ 

(287 ページ)

低温障害を防ぐための分げつ発生促進技術

低温障害を受けたトウモロコシ圃場 分げつを 2 本以上着生した株は被害が軽い 遮光なし区,分げつ 2.5 本 遮光率 90%区,分げつ 0 本 遮光率 60%区,分げつ 0.2 本 遮光率 40%区,分げつ 1.8 本 採光条件が良好なほど, 分げつの発生が増加する 換気方法の違いと雌穂重,先端不稔。一重トンネル栽培において,本葉 5 枚まで換気なしで,以降を千 鳥開放した区が,約 2 本の分げつを発生させることができ,低温障害を受けても収穫時の雌穂重を十分 確保でき,先端不稔も最小限に抑えることができた 両すそ開放 すそ千鳥開放 すそ千鳥朝開・夕閉 閉めきり

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<追録第 42 号・2017 年> 第 11 巻 フローレンスフェンネル

フローレンス

フェンネル

〔栽培技術の基礎〕

1.原産地と来歴

(1)原産地

フ ロ ー レ ン ス フ ェ ン ネ ル(Foeniculum

vulgare Mill. var. dulce ALFF.)はセリ科の

植物で,フェンネルの変種であり,和名をイタ リーウイキョウ,英名をフローレンスフェンネ ルまたはイタリアンフェンネル,伊名をフィノ ッキオとよび,イタリア南部の原産とされてい る。 フェンネルの栽培は,西ローマ帝国のカール 一世(742 〜 814)の時代に栽培の記録がある。 また,スペインの古い農書(961)にも関係の 記載があり,古代からヨーロッパ人によく知ら れていたようである(岩佐,1980)。フローレ ンスフェンネルもフェンネルとともに地中海沿 岸一帯で栽培されていたものと思われる。

(2)来歴と栽培の歴史

フローレンスフェンネルがわが国に導入され たのは明治の中ごろといわれる。大井上静一 (大井上,1957)によれば,大井上研究所でわ ずかに保存され,太平洋戦争前に東京会館のグ リルに少し提供し,当時の在京イタリア人から しごく喜ばれたという。 岡山県では,岡山県立農業試験場場長の小林 甲喜が 1966 年に種子をイタリアから導入した。 その後,試験栽培と種子の保存を行なってき た。1973 年ころからは一般農家でも栽培が始 められ,現在では他府県でも栽培されるように なった。

(3)用途・利用

独特の芳香と甘味があり,肉食料理ともよく 調和する。球部にはタンパク質 1.1%,脂質 0.4 %,糖質 3.2%,食物繊維 1.2%,灰分 0.7%, 還元型ビタミン C22.1mg/100g を含む。また, 健胃,駆風および呼吸疾患に有効とされるアネ トールを 90ppm 含有する機能性の高い野菜とい える。 球部の調理法は,生食がもっとも適するが, 炒め物,煮込みなど,洋風,和風,中華風のい ずれの料理にも向く。生食の場合は球を断ち割 り,繊維の方向に対して直角に千切りするか, スティック状にして,塩やマヨネーズで味付け したり,酢の物(二杯酢,三杯酢)などにした りする。煮食の場合は炒め物,酢豚風,スープ 煮,クリーム煮などがよい。また,てんぷらや 粕漬けにも適する。 また,毛状を呈した小葉は,サラダに用いた り,刻んで和え物に加えたり,スープに加えた りするなどのほかに,ハーブティーにも利用さ れる。なお,フェンネルのハーブティーには利 尿,強壮,消化促進作用,便秘の改善,気管支 炎の改善などに有効といわれている。

 

栽培の基礎

イタリア野菜の生理と栽培 フレンチ・タラゴンの葉は,開花期ころには 0.5 〜 2.8%の最高量の精油成分を含む。精油 のおもな成分はメチルチャビコール(エストラ ゴール)で,精油全体の 40 〜 70%になる。

(3)収量・品質を左右する要因

永年生で 8 〜 10 年くらい生育するが,精油 成分は低下してくるので,経済的栽培では 4 〜 6 年で株を更新してやる。

3.適地の条件

高温には弱くて生育は温暖な気候を好み,日 照の豊富なところが適地となる。温暖な気候で 生育期間が長いほど,生育は旺盛となり収穫量 も精油量も増加する。シベリア原産であり耐寒 性はかなり強く,ほとんど寒害を受けることは ない。 湿潤な土壌を好み,生育には水分をよく要求 する。一方で,根は多湿で生育が抑制されるの で,注意が必要である。

4.品種(系統)とその特性

フレンチ・タラゴンあるいはジャーマン・タ ラゴンと,ロシアン・タラゴンの 2 種類がある。 フレンチ・タラゴンのほうが香りも,食べたと きの匂いも強い。

〔栽培の実際〕

1.圃場の選定と準備

保水力のある土壌を好むため,砂質土壌を避 け有機質を多量に施用する。肥料要求は大きい ので,肥料切れを起こさないよう,生育を見て 追肥が遅れないよう気をつける。新梢が出る時 期に葉面散布をするのも有効である。

2.栽培管理の実際

ふつうは,枝の挿し木あるいは株分けで増殖 する。春に株分けで増殖するのがもっとも簡単 なやり方である。

3.収穫・出荷

定植 1 年目は 1 回,2 年目以降は年 2 回収穫す る。精油生産の場合には開花始めの 8 月ころと, 秋に晩霜がくるまでに収穫する。 生葉をハーブにする場合には開花までに何度 でも収穫できる。 収穫後は日陰か人工乾燥機で乾燥させる。 執筆 藤目幸擴(元京都府立大学) 参 考 文 献 陽川昌範.2003.ハーブの科学.養賢堂. 北村四郎・横井政人.1988.アルテミシア属.園芸 植物大事典.1,161―163.小学館. 103

(5)

<追録第 42 号・2017 年> 第 11 巻 フローレンスフェンネル 播種後 7 日程度で全発芽数の 90%以上が発芽す る。低温下では発芽に日数を要するが,発芽率 は高い。種子の発芽年限は,通常の貯蔵(乾燥 剤入り密封容器,常温貯蔵)では,3 年が限度 と思われる。

(4)生育経過と球の肥大

播種から収穫できるまでの日数はかなり長 く,7 月まきの露地栽培で約 4 か月,9 月まき ハウス栽培で約 6 か月を要する。9 月上旬まき 露地栽培では播種後 30 日で本葉 4 枚,葉長約 17cm に達し,播種後 60 日ころには本葉 8 枚が 展開し,球の肥大期に入る(第 2 図)。 肥大を開始すると地上部重が急増し,7 月下 旬まき露地栽培での,播種後 105 日ころには収 穫可能な重さ(球重が 400g)に達する(第 3 図)。それ以後,凍霜害を受けなければ,球重 はしだいに増えてくる。しかし,700 〜 800g に肥大すると,球を形成している葉柄基部(以 下,りん片とする)の外位葉から「ス」が入 ったり,裂球したりするようになる。700 〜 800g に達した球は本葉 10 枚以上のりん片によ って形成され,りん片重は本葉 12 〜 16 葉目が 重い(第 4 図)。 第2表 収穫期の無機成分含有率(秋まき,単位:%) (岡山農試,未発表) 養 分 葉身部 (結球部)葉柄基部 窒素(N) 3.84 〜 4.38 3.91 〜 4.11 リン(P) 1.00 〜 1.08 1.09 〜 1.78 カリウム(K) 6.50 〜 8.25 7.75 〜 9.50 カルシウム(Ca) 2.13 〜 2.25 0.73 〜 0.95 マグネシウム(Mg) 0.29 〜 0.33 0.26 〜 0.35 第 3 表 消石灰施用の影響 (岡山農試,1978) 施用量 (kg/a) 総 重 (g/ 株) 球 重 (g/ 株) 葉中 Ca 含有率 (乾物%) 土壌 pH (H2O) 置換性 Ca (mg/乾土100g) 0 220 92 0.60 4.7 46 10 405 184 1.09 5.2 70 20 539 240 1.23 6.0 111 重量 g/株) 300 200 100 60 10 6 40 20 葉長 cm) 球重 葉長 葉数 地上部重 0 30 60 80 播種後日数 展葉数 第 2 図 9 月上旬まき露地栽培の生育 (岡山農試,未発表) 第 3 図 7 月下旬まき露地栽培の球の肥大 (岡山農試,未発表) 重量 g/株) 1,000 600 200 10 80 5 50 球の厚さ cm) 球重 葉長 球の厚さ 地上部重 0 60 80 100 播種後日数 葉長 cm) 第 4 図 結球部の葉位別りん片重 (岡山農試,未発表) 片重 g) 100 60 20 10 12 14 16 18 20 葉位(外位葉→頂葉) イタリア野菜の生理と栽培

2.性状,生育の特徴

(1)形態的特性

葉はウイキョウに酷似して互生し,羽状に分 裂した複葉であり,小葉は毛状を呈する。展開 葉 10 枚目ころから葉柄基部が肥厚を開始し(り ん片形成),抽台しなければ 400 〜 800g の球を 形成する。 花芽を形成すると抽台し,花茎は 1 〜 1.4m に伸び,大型のさん形花序を頂生する。繖梗 (さんこう)を 6 〜 8 本抽出して多数の黄色小 花をつける。雄ずいは 5 本,子房は 2 心皮から なり,花弁は 5 枚ある。果実は長さ 5 〜 6mm に 肥大し,成熟すると 2 つに分離し,2 粒の種子 となる。

(2)栄養的特性

窒素は生育全期間を通じて重要な栄養素で, とくに結球中期までの茎葉充実期に重要であ る。正常生育個体の葉中窒素は生育初期から 4.0%程度とかなり含有し,これが 3.5%以下に なると葉色が淡くなり,初期生育と球の肥大 が劣る。生育後期になると,含有率は低下する (第 1 表)。 リンは生育初期の含有率が低いが初期生育に 重要な栄養素であり,生育初期にリンが少ない と草丈が低く,株の生育が劣る(第 1 図)。 カリウムは生育初期よりも結球期に重要と考 えられる。結球初期の葉身部と葉柄基部の球部 とのカリウム含有率はほぼ同程度であるが,収 穫期のカリウム含有率は球部が葉身部よりも高 い(第 2 表)。 カルシウムは球部において少なく,カルシウ ムが不足すると,生育や球の肥大が遅れる(第 3 表)。

(3)発芽特性

フローレンスフェンネルの種子の休眠はほと んどみられず,採種時に完熟していれば採種 直後でも発芽する。発芽が可能な温度はおよ そ 10 〜 30℃である。発芽適温は 15 〜 25℃で, 第 1 表 窒素施用量と生育量および植物体中窒素含有率     (岡山農試,1979) 作 型 施肥量 (kg/a) 総 重 (g/ 株) 球 重 (g/ 株) 土壌中無機態窒素 (NH3-N + NO3-N) (mg/ 乾土 100g) 植物体中窒素(乾物%) 生育中期 生育後期 葉身部 結球部 葉身部 結球部 夏まき露地栽培 0 38 15 3.8 3.0 2.3 1.8 1.3 1 315 137 4.2 3.8 3.2 2.6 2.3 2 650 318 12.0 4.5 4.2 2.4 2.6 4 833 434 15.8 4.4 4.3 3.5 3.7 6 874 481 19.7 4.2 4.3 3.6 3.8 秋まきハウス栽培 0 780 418 7.7 2 879 476 11.8 4 1,033 578 20.1 6 997 523 24.5 生体重 g/株) 100 60 20 0.4 0.2 葉中 ン含有率( 0 1 2 4 リン酸施用量(kg/a) 生体重 リン含有率 第 1 図 リン酸施用量と初期生育 (岡山農試,1978) 104 105

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<追録第 42 号・2017 年> 第 11 巻 フローレンスフェンネル 重減少があまりみられない。し かし,秋まきハウス栽培のよう に生育期間中が弱光線では密植 すると球重が著しく劣る(第 6 図)。 したがって,大球を生産する には疎植がよいが,日照量の多 い時期にあまり疎植にすると球葉の間から側芽 を生じ,かえって品質が劣る。 ②温度条件 フローレンスフェンネルはわが国では秋期と 春期に順調な生育をし,冷涼な気候を好む。こ のため,出芽後 2 〜 3 葉期までに高温に直面す ると苗立枯病が発生しやすい。また,結球期に 高温に直面すると側芽が発達して良球が得られ ず,軟腐病も発生しやすい。 一方,低温には比較的強く,結球前の生育初 期には− 4℃程度の低温には耐えて越冬する。 しかし結球期には低温に弱く,− 1℃以下にな ると球部が寒害を受けて腐敗する(第 5 表)。 ハウス栽培では昼夜の温度管理のあり方が収 量・品質に大きな影響を及ぼす。球の肥大に及 ぼす昼間気温の影響をみると,昼間 21℃程度 の場合にりん片がもっとも厚く,球重が重く, 球の肥大・形成がよい(第 6 表)。 また生育,球の肥大は光合成量に大きく影響 される。昼間の照度が 10klx の場合,10 〜 30 ℃の範囲では気温が高いほど,みかけの光合成 速度が低下し,呼吸速度が高まっており,光合 成からみても昼間の適温はかなり低いようであ る(第 7 図)。 球の肥大に及ぼす夜温の影響をみると,昼 温を 18 〜 30℃に保持した場合,日最低気温が 7.6℃までは低いほど球の肥大が優れた(第 7 表)。したがって,夜温は凍霜害が発生しない 程度の気温であれば低いほうが球の肥大は優れ るものと考えられる。 ③土壌条件と施肥 埴壌土でも砂壌土でもよく生育する。しか 第 5 表 球部の耐寒性      (岡山農試,1980) 夜間気温 (℃) 地表下 10cm 夜間地温 (℃) 夜温処理日数 (日) 球部内温度 (℃) 凍害程度 表皮剥離 球部の 水浸症状 球部の 縦割れ − 1.0 〜− 1.2 3.5 8 0.5 〜− 1.1 − 1.0 〜− 3.0 − 0.3 8 − 0.7 〜− 1.2 − 1.5 〜− 2.0 2.0 8 − 0.9 〜− 1.2 − 1.5 〜− 2.0 2.0 16 − 0.9 〜− 1.2 − 3.0 〜− 3.5 − 0.2 8 − 1.2 〜− 1.7 注 昼間気温 8 〜 24℃   球部の水浸症状の中は球葉 1 枚の 3 分の 1 程度が回復せず,多は全体が回復せず 第 6 表 昼温と球肥大との関係 (岡山農試,1983) 昼間気温 処理 生育期間中気温(℃) 総 重 (g/ 株) 球 重 (g/ 株) 1 片当たり 平均りん片重 (g/ 枚) りん片厚 (mm/ 枚) 昼 間 日平均 低 温 17.2 ± 3.7 11.9 ± 2.5 628 304 22 7.1 中 温 21.2 ± 4.0 14.0 ± 2.4 939 466 35 7.6 高 温 22.3 ± 4.4 15.0 ± 2.7 895 449 29 7.0 第 7 図 温度と光合成,呼吸速度の関係 (岡山農試,1982) 照度 10klx 光合成呼吸速度 mg CO/ 2 g生体/時) 0.8 0.1 10 20 30 温度(℃) 真の光合成速度 呼吸 みかけの 光合成速度 イタリア野菜の生理と栽培

(5)花芽分化と抽台

結球するには一定の葉数分化,すなわち 17 〜 18 枚以上の分化が必要である。したがって 球形成に必要な葉数が分化しないうちに花芽が 分化すると結球しないで抽台する。 日長が長いほど花芽の分化・発達が促進さ れる。とくに 12 時間以上の日長で花芽分化が 早く,花茎もよく伸長する(第 4 表)。しかし, 短日処理による 8 時間日長でもやがて花芽分化 することから,日長に対して量的な感応をする ものと考えられる。 日長感応は生育ステージによって異なる。す なわち,本葉 3 枚までの苗は長日下でも花芽分 化が起こらず,本葉 4 枚以上の植物体で感応し, しかも生育の進んだ植物体ほど感応しやすいよ うである。 このように花芽分化に対しては日長が大きく 影響し,温度はほとんど影響していない。しか し,花芽分化後の花芽の発達は温度に影響さ れ,高温であるほど花芽の発達が進み,花茎が 長くなり,抽台しやすくなる。 そこで播種期別に花芽が分化するまでの葉数 および抽台時期をみると,3 月から 5 月にかけ て播種し,高温長日下で生育する作型では葉数 が少なくて花芽が分化し,抽台が早い。7 〜 8 月に播種し,短日で気温下降条件のもとで生育 する作型では,花芽の分化がおそく,葉が 20 枚分化しても花芽は分化せず,抽台が認められ ない(第 5 図)。  

(6)生育に及ぼす環境要因

 ①光条件(栽植密度) 単位面積当たりの栽植密度が 高いほど多収であるが,球の肥 大は逆に劣り,球重が軽くなる。 これは主として密植による光線 不足と養分の競合によるもので ある。 夏まき露地栽培のように日照 量が比較的多いと密植による球 第 4 表 日長と花芽の分化・発達との関係 (川合・市川,1979a) 日 長 (時間) 生体重 (g) 分化葉数 (枚) 茎 長 (cm) 節間長 (cm) 花芽の発達状態1) (個体数) 0 1 2 3 4 5 8 205 24 6.6 0.3 9 1 10 158 22 7.6 0.3 6 3 1 12 124 22 15.7 0.7 2 5 1 2 14 90 15 75.7 5.0 2 2 注 1)0:未分化,1:分化初期,2:花梗形成,3:萼片形成,4:出蕾,5: 開花 花芽までの分化葉数 20 10 200 100 播種から抽台までの日数 分化葉数 抽台までの日数 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 播種期(月) 第 5 図 播種期と花芽分化,抽台との関係 (川合・市川,1978) 第 6 図 株間と収量との関係 (川合・市川,1979b) 球重 g) 700 600 500 400 300 500 400 300 200 100 収量 kg/ a) 夏まき露地栽培収量 秋まきハウス栽培収量 秋まきハウス栽培球重 夏まき露地栽培球重 15cm 20cm 25cm 30cm (889 株 /a)(667 株 /a)(533 株 /a)(444 株 /a)

(7)

<追録第 42 号・2017 年> 第 11 巻 フローレンスフェンネル を防ぐために新聞紙などで日覆いをする。播種 後,4 〜 5 日で出芽するので早めに被覆物を除 く。密生部は早めに間引き,通風や採光をよく する。本葉が 1 〜 2 枚展開したら,7.5 〜 9cm ポットに鉢上げする。 ②基肥施用とうね立て 播種または定植の 1 か月前に堆肥や石灰を 施してよく耕起しておき,数日前に緩効性肥 料を主体とした基肥を施して耕うん,砕土す る。10a 当たり基肥施用量は窒素 25kg,リン酸 25kg,カリ 20kg くらいである。ただし,火山 灰土などリン酸が不足しやすい土壌ではリン酸 を 50%くらい増施する。 うねは排水良好な圃場では平うねでよい。排 水のやや不良な圃場では,うね幅 1.5 〜 1.6m と し,高く盛り上げる。 ③直まき栽培の要点 直まき栽培は移植栽培よりも生育が速く,根 群もよく発達して良球の生産率が高い。10a 当 たり播種量は約 1.5lである。うね幅は単条で75 〜 80cm,2 条抱きうねで 1.5 〜 1.6m,株間は 25cm 程度とし,1 か所 6 粒ずつ点播する。間引 第 11 表 夏まき露地栽培のポイント 項 目 栽培の要点 育 苗 ・10a 当たり 250mlの種子を準備 ・苗立枯病予防のための種子消毒,土壌 消毒 ・播種床は風通しのよい涼しい場所へ設 ・本葉 1 〜 2 枚時に 9cm ポットに鉢上げ ・本葉 5 〜 6 枚までに定植 直まき ・10a 当たり 1.5lの種子を準備 ・1 か所 6 粒くらい点播 ・ネキリムシの食害に注意 本 圃 定 植 ・基肥は 10a 当たり窒素 25kg,リン酸 25kg,カリ 20kg 施す ・うね幅 150cm の 2 条植えの場合 20 〜 25cm 株間に定植 管 理 ・追肥は生育状況をみて施すが,結球初 期までに 10a 当たり窒素 10 〜 14kg を 2 回に分けて施す ・生育中 1 〜 2 回除草を兼ねて中耕土寄 ・キアゲハ幼虫と菌核病の防除に努める きは本葉 5 〜 6 枚までに 2 〜 3 回行ない,1 か 所 1 株にする。 ④定 植 本葉 5 〜 6 枚の苗を定植する。葉は 2 分の 1 開度なので,うね方向に対して直角に出葉する ように植える。うね幅 150cm,2 条植えの場合, 株間は 20 〜 25cm とする。 ⑤定植後の管理 結球中期までにできるだけ茎葉を大きく育 て,株の充実をはかる。そのための作業は次の とおりである。 追肥 中耕,土寄せ前に 10a 当たり窒素 10 〜 14kg,カリ 10 〜 14kg を定植後 20 日,40 日 にそれぞれ半量ずつ施す。 土寄せ 生育するにつれて倒伏しやすくな り,倒伏したままでは変形球になる。また結球 部は降霜期に凍害を受けやすい。そこで追肥 後,中耕して中心葉近くまで土寄せする。 灌水 生育中に乾燥が続くと,根張りが劣 り,球部も筋っぽくなるので灌水する。しかし 結球中期以後に多量の灌水をすると裂球するの で注意を要する(第 13 図)。 寒害防止 結球開始後,氷点下になると,凍 霜害を受けるので,不織布,寒冷紗などを葉の 上からべたがけし,寒害から保護する。 病害虫防除 病害では,本圃で 10 〜 11 月に 菌核病,灰色かび病が発生しやすい(第 14 図)。 このため,連作を避けるとともにバチルス・ズ ブチルス剤のボトキラー水和剤,ボトピカ水和 剤を散布する。害虫ではキアゲハの幼虫やアブ 第 13 図 裂球株 イタリア野菜の生理と栽培

4.品種と品種選抜,採種

(1)品種と品種選抜

現在,わが国には登録品種はみられない。栽 培するには,種苗業者が輸入した種子を直接利 用するか,輸入種子を栽培して母本選抜と採種 を行なって利用する。 ただし,スティッキオと称した,種苗会社に よって商標登録された品種がある。この品種は リン茎部があまり肥大しないが,軟らかく生長 も早いので短期栽培で収穫できる。 輸入種子には,生育・結球の早い系統,おそ い系統,抽台のおそい系統,側芽の発生が少な く大球になる系統などがあるので,母本選抜の 目標にする。

(2)採種方法

採種は夏・秋まき,または春まきによる。 夏・秋まきは初夏に開花し,盛夏期に登熟す る。春まきは盛夏期に開花し,秋に登熟する。 夏・秋まきは結球後,抽台するので球の肥大状 態,球形,抽台の遅速をみて優良母本を選抜で きる。 採種栽培は食用栽培に準じるが,秋まきや早 春まきは食用栽培よりも疎植とする。開花期か ら結実期にかけて灰色かび病,カメムシ類,キ アゲハの幼虫が発生するので防除に努める。採 種は果実が成熟し,黄化した果梗部分を摘み取 る。頂果梗またはこれに近い側枝果梗に結実し た種子が大きい。収穫した果梗は自然乾燥また は通風乾燥後,脱粒する。 食用栽培で収穫後の株をそのまま残すか別の 圃場へ植え付けると,翌春に株元から萌芽して 採種できるので,母本選抜に便利である。

〔栽培の実際〕

1.夏まき栽培

(1)圃場の準備

圃場は耕土が深く,保水,排水ともによく, 腐植に富む場所がよい。土壌酸度 pH6.0 以下の 場合は石灰を施して矯正しておく。また圃場に 腐植含量が少ない場合は熟成堆肥を 3t/10a 程 度施す。

(2)栽培管理の実際

栽培技術のポイントは第 11 表のとおりであ る。 ①育 苗 種子は 10a 当たり 250ml用意する。苗立枯病 予防のために種子を種子重量の 0.4 〜 0.5%の ベンレート T 水和剤,または 0.2 〜 0.4%のオ ーソサイド水和剤 80 で粉衣して播種する。 播種床は,トロ箱を用いるか,圃場の片隅に 幅 1.2m の平床をつくる。夏まきは高温過ぎる ので,苗床は通風のよい涼しい場所に設置し, 白色寒冷紗などを利用してできるだけ涼しくし ておく。 高温時の播種になるので出芽しにくく,出芽 しても徒長苗になりやすいので,播種床土は通 気性,排水性に優れ,肥料成分が多くなく,苗 立枯病菌のいないものを用いる。育苗床土も播 種床土とほぼ同様な床土でよいが,腐植や肥料 成分がやや多めの床土を用いる。川砂や山土な どの肥料成分の少ない土を用いる場合は,熟成 堆肥のほか,土「1m3」または「1 立米」当た り窒素 100g,リン酸 200g,カリ 80g,石灰 1kg 程度施す。 最近は,種々の種まき培土や育苗培土が市販 されているので,肥料成分の少なめの培土を利 用するのもよい。 播種は,条間 6cm,種子間隔 5mm 程度の条ま きとする。5 〜 7mm 覆土したのち,高温と乾燥 112 113

参照

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