(1 ) 根を 15cm 以上残して株を掘り上げる ハウスの容器内で湛水,遮光して軟白処理 宮城県で栽培されているイタリア野菜。左手前がフローレンスフェ ンネル(103 ページ),左奥がチーマ・ディ・ラーパ(カブの仲間で ナバナの一種),中央がタルディーボ,右奥がカステルフランコ(18 ページ),右がプンタレッラ(52 ページ)
トレビス
――4〜6月(または9〜10月)が涼しい
地域の栽培で抽台防止
(43ページ) 赤と白の色彩が美しい葉を食用とする。 サラダで食べるとほろ苦いのが特徴 高温長日で抽台するので,生育期の 4 〜 6 月(ま たは 9 〜 10 月)が冷涼な地域が適地 収穫したトレビス。結球部を上から押して,やや心 の固さを感じるころが収穫適期。外葉を 2 〜 3 枚取 り除いて出荷するイ タ リ ア 野 菜
タルディーボ
――ハウスの容器内で湛水,
完全遮光で軟白処理
(31ページ)(3 ) (2 )
フローレンスフェンネル
――播種は夏(6〜7月)が適期
(103ページ) 葉のりん片が肥大した球の部分を利用す る。独特の芳香と甘味がある。生食のほ か,炒め物,煮込み料理などに向く 基本作型は夏まき栽培。 結球期の冬が温暖なほど, 播種適期が長くなる 寒害による腐敗果。冷 涼な気候を好むが,結 球期には低温に弱いアーティチョーク
――主茎先端の摘蕾で増収,倒伏も防ぐ
(7ページ) アーティチョークの蕾。この部分を利用する (撮影:赤松富仁) 冷涼な気候を好むので, 秋まきが育てやすい 蕾を割ったところ。紫 色の花弁が出る前の 若い蕾の花床部分を 食用にする(写真は 適 期をやや過ぎたも の)。 茹でて塩やドレ ッシングをかけて食べ ると,ユリネに似たほ のかな甘さがあるカ ラ ー ピ ー マ ン
(299 ページ)光照射による着色促進
光照射追熟 ②果実をポリ袋に入れる ③ 15 〜 20℃の条件下で,50 〜 100 μmol/m2/s の光を照射する ④ 3 〜 10 日間静置する 光照射追熟棚の作り方は 301 ページ ⑤完全に着色 夏秋栽培では生育終盤の低温による着色の遅延が課題。着色不良果を収穫後, 光を照射すれば着色が促進できることがわかった ① 10%以上着色した果実を収穫 光照射の手順 着色がまだ 5%ほどの果実に蛍光灯を照射したところ,20W2 本の蛍光灯から 40cm 程度離した光強度(100μmol/m2/s)で 5 日間照射することで,可販果 レベルの着色にすることができた 照射強度(μmol/m2/s) 光照射前 光照射 5 日後 200 100 無照射区 花床(4 )
早 出 し ト ウ モ ロ コ シ
(287 ページ)低温障害を防ぐための分げつ発生促進技術
低温障害を受けたトウモロコシ圃場 分げつを 2 本以上着生した株は被害が軽い 遮光なし区,分げつ 2.5 本 遮光率 90%区,分げつ 0 本 遮光率 60%区,分げつ 0.2 本 遮光率 40%区,分げつ 1.8 本 採光条件が良好なほど, 分げつの発生が増加する 換気方法の違いと雌穂重,先端不稔。一重トンネル栽培において,本葉 5 枚まで換気なしで,以降を千 鳥開放した区が,約 2 本の分げつを発生させることができ,低温障害を受けても収穫時の雌穂重を十分 確保でき,先端不稔も最小限に抑えることができた 両すそ開放 すそ千鳥開放 すそ千鳥朝開・夕閉 閉めきり<追録第 42 号・2017 年> 第 11 巻 フローレンスフェンネル
フローレンス
フェンネル
〔栽培技術の基礎〕
1.原産地と来歴
(1)原産地
フ ロ ー レ ン ス フ ェ ン ネ ル(Foeniculumvulgare Mill. var. dulce ALFF.)はセリ科の
植物で,フェンネルの変種であり,和名をイタ リーウイキョウ,英名をフローレンスフェンネ ルまたはイタリアンフェンネル,伊名をフィノ ッキオとよび,イタリア南部の原産とされてい る。 フェンネルの栽培は,西ローマ帝国のカール 一世(742 〜 814)の時代に栽培の記録がある。 また,スペインの古い農書(961)にも関係の 記載があり,古代からヨーロッパ人によく知ら れていたようである(岩佐,1980)。フローレ ンスフェンネルもフェンネルとともに地中海沿 岸一帯で栽培されていたものと思われる。
(2)来歴と栽培の歴史
フローレンスフェンネルがわが国に導入され たのは明治の中ごろといわれる。大井上静一 (大井上,1957)によれば,大井上研究所でわ ずかに保存され,太平洋戦争前に東京会館のグ リルに少し提供し,当時の在京イタリア人から しごく喜ばれたという。 岡山県では,岡山県立農業試験場場長の小林 甲喜が 1966 年に種子をイタリアから導入した。 その後,試験栽培と種子の保存を行なってき た。1973 年ころからは一般農家でも栽培が始 められ,現在では他府県でも栽培されるように なった。(3)用途・利用
独特の芳香と甘味があり,肉食料理ともよく 調和する。球部にはタンパク質 1.1%,脂質 0.4 %,糖質 3.2%,食物繊維 1.2%,灰分 0.7%, 還元型ビタミン C22.1mg/100g を含む。また, 健胃,駆風および呼吸疾患に有効とされるアネ トールを 90ppm 含有する機能性の高い野菜とい える。 球部の調理法は,生食がもっとも適するが, 炒め物,煮込みなど,洋風,和風,中華風のい ずれの料理にも向く。生食の場合は球を断ち割 り,繊維の方向に対して直角に千切りするか, スティック状にして,塩やマヨネーズで味付け したり,酢の物(二杯酢,三杯酢)などにした りする。煮食の場合は炒め物,酢豚風,スープ 煮,クリーム煮などがよい。また,てんぷらや 粕漬けにも適する。 また,毛状を呈した小葉は,サラダに用いた り,刻んで和え物に加えたり,スープに加えた りするなどのほかに,ハーブティーにも利用さ れる。なお,フェンネルのハーブティーには利 尿,強壮,消化促進作用,便秘の改善,気管支 炎の改善などに有効といわれている。栽培の基礎
イタリア野菜の生理と栽培 フレンチ・タラゴンの葉は,開花期ころには 0.5 〜 2.8%の最高量の精油成分を含む。精油 のおもな成分はメチルチャビコール(エストラ ゴール)で,精油全体の 40 〜 70%になる。(3)収量・品質を左右する要因
永年生で 8 〜 10 年くらい生育するが,精油 成分は低下してくるので,経済的栽培では 4 〜 6 年で株を更新してやる。3.適地の条件
高温には弱くて生育は温暖な気候を好み,日 照の豊富なところが適地となる。温暖な気候で 生育期間が長いほど,生育は旺盛となり収穫量 も精油量も増加する。シベリア原産であり耐寒 性はかなり強く,ほとんど寒害を受けることは ない。 湿潤な土壌を好み,生育には水分をよく要求 する。一方で,根は多湿で生育が抑制されるの で,注意が必要である。4.品種(系統)とその特性
フレンチ・タラゴンあるいはジャーマン・タ ラゴンと,ロシアン・タラゴンの 2 種類がある。 フレンチ・タラゴンのほうが香りも,食べたと きの匂いも強い。〔栽培の実際〕
1.圃場の選定と準備
保水力のある土壌を好むため,砂質土壌を避 け有機質を多量に施用する。肥料要求は大きい ので,肥料切れを起こさないよう,生育を見て 追肥が遅れないよう気をつける。新梢が出る時 期に葉面散布をするのも有効である。2.栽培管理の実際
ふつうは,枝の挿し木あるいは株分けで増殖 する。春に株分けで増殖するのがもっとも簡単 なやり方である。3.収穫・出荷
定植 1 年目は 1 回,2 年目以降は年 2 回収穫す る。精油生産の場合には開花始めの 8 月ころと, 秋に晩霜がくるまでに収穫する。 生葉をハーブにする場合には開花までに何度 でも収穫できる。 収穫後は日陰か人工乾燥機で乾燥させる。 執筆 藤目幸擴(元京都府立大学) 参 考 文 献 陽川昌範.2003.ハーブの科学.養賢堂. 北村四郎・横井政人.1988.アルテミシア属.園芸 植物大事典.1,161―163.小学館. 103<追録第 42 号・2017 年> 第 11 巻 フローレンスフェンネル 播種後 7 日程度で全発芽数の 90%以上が発芽す る。低温下では発芽に日数を要するが,発芽率 は高い。種子の発芽年限は,通常の貯蔵(乾燥 剤入り密封容器,常温貯蔵)では,3 年が限度 と思われる。
(4)生育経過と球の肥大
播種から収穫できるまでの日数はかなり長 く,7 月まきの露地栽培で約 4 か月,9 月まき ハウス栽培で約 6 か月を要する。9 月上旬まき 露地栽培では播種後 30 日で本葉 4 枚,葉長約 17cm に達し,播種後 60 日ころには本葉 8 枚が 展開し,球の肥大期に入る(第 2 図)。 肥大を開始すると地上部重が急増し,7 月下 旬まき露地栽培での,播種後 105 日ころには収 穫可能な重さ(球重が 400g)に達する(第 3 図)。それ以後,凍霜害を受けなければ,球重 はしだいに増えてくる。しかし,700 〜 800g に肥大すると,球を形成している葉柄基部(以 下,りん片とする)の外位葉から「ス」が入 ったり,裂球したりするようになる。700 〜 800g に達した球は本葉 10 枚以上のりん片によ って形成され,りん片重は本葉 12 〜 16 葉目が 重い(第 4 図)。 第2表 収穫期の無機成分含有率(秋まき,単位:%) (岡山農試,未発表) 養 分 葉身部 (結球部)葉柄基部 窒素(N) 3.84 〜 4.38 3.91 〜 4.11 リン(P) 1.00 〜 1.08 1.09 〜 1.78 カリウム(K) 6.50 〜 8.25 7.75 〜 9.50 カルシウム(Ca) 2.13 〜 2.25 0.73 〜 0.95 マグネシウム(Mg) 0.29 〜 0.33 0.26 〜 0.35 第 3 表 消石灰施用の影響 (岡山農試,1978) 施用量 (kg/a) 総 重 (g/ 株) 球 重 (g/ 株) 葉中 Ca 含有率 (乾物%) 土壌 pH (H2O) 置換性 Ca (mg/乾土100g) 0 220 92 0.60 4.7 46 10 405 184 1.09 5.2 70 20 539 240 1.23 6.0 111 重量 ( g/株) 300 200 100 60 10 6 40 20 葉長 ( cm) 球重 葉長 葉数 地上部重 0 30 60 80 播種後日数 展葉数 第 2 図 9 月上旬まき露地栽培の生育 (岡山農試,未発表) 第 3 図 7 月下旬まき露地栽培の球の肥大 (岡山農試,未発表) 重量 ( g/株) 1,000 600 200 10 80 5 50 球の厚さ ( cm) 球重 葉長 球の厚さ 地上部重 0 60 80 100 播種後日数 葉長 ( cm) 第 4 図 結球部の葉位別りん片重 (岡山農試,未発表) り ん 片重 ( g) 100 60 20 10 12 14 16 18 20 葉位(外位葉→頂葉) イタリア野菜の生理と栽培2.性状,生育の特徴
(1)形態的特性
葉はウイキョウに酷似して互生し,羽状に分 裂した複葉であり,小葉は毛状を呈する。展開 葉 10 枚目ころから葉柄基部が肥厚を開始し(り ん片形成),抽台しなければ 400 〜 800g の球を 形成する。 花芽を形成すると抽台し,花茎は 1 〜 1.4m に伸び,大型のさん形花序を頂生する。繖梗 (さんこう)を 6 〜 8 本抽出して多数の黄色小 花をつける。雄ずいは 5 本,子房は 2 心皮から なり,花弁は 5 枚ある。果実は長さ 5 〜 6mm に 肥大し,成熟すると 2 つに分離し,2 粒の種子 となる。(2)栄養的特性
窒素は生育全期間を通じて重要な栄養素で, とくに結球中期までの茎葉充実期に重要であ る。正常生育個体の葉中窒素は生育初期から 4.0%程度とかなり含有し,これが 3.5%以下に なると葉色が淡くなり,初期生育と球の肥大 が劣る。生育後期になると,含有率は低下する (第 1 表)。 リンは生育初期の含有率が低いが初期生育に 重要な栄養素であり,生育初期にリンが少ない と草丈が低く,株の生育が劣る(第 1 図)。 カリウムは生育初期よりも結球期に重要と考 えられる。結球初期の葉身部と葉柄基部の球部 とのカリウム含有率はほぼ同程度であるが,収 穫期のカリウム含有率は球部が葉身部よりも高 い(第 2 表)。 カルシウムは球部において少なく,カルシウ ムが不足すると,生育や球の肥大が遅れる(第 3 表)。(3)発芽特性
フローレンスフェンネルの種子の休眠はほと んどみられず,採種時に完熟していれば採種 直後でも発芽する。発芽が可能な温度はおよ そ 10 〜 30℃である。発芽適温は 15 〜 25℃で, 第 1 表 窒素施用量と生育量および植物体中窒素含有率 (岡山農試,1979) 作 型 施肥量 (kg/a) 総 重 (g/ 株) 球 重 (g/ 株) 土壌中無機態窒素 (NH3-N + NO3-N) (mg/ 乾土 100g) 植物体中窒素(乾物%) 生育中期 生育後期 葉身部 結球部 葉身部 結球部 夏まき露地栽培 0 38 15 3.8 3.0 2.3 1.8 1.3 1 315 137 4.2 3.8 3.2 2.6 2.3 2 650 318 12.0 4.5 4.2 2.4 2.6 4 833 434 15.8 4.4 4.3 3.5 3.7 6 874 481 19.7 4.2 4.3 3.6 3.8 秋まきハウス栽培 0 780 418 7.7 — — — — 2 879 476 11.8 — — — — 4 1,033 578 20.1 — — — — 6 997 523 24.5 — — — — 生体重 ( g/株) 100 60 20 0.4 0.2 葉中 リ ン含有率( % ) 0 1 2 4 リン酸施用量(kg/a) 生体重 リン含有率 第 1 図 リン酸施用量と初期生育 (岡山農試,1978) 104 105<追録第 42 号・2017 年> 第 11 巻 フローレンスフェンネル 重減少があまりみられない。し かし,秋まきハウス栽培のよう に生育期間中が弱光線では密植 すると球重が著しく劣る(第 6 図)。 したがって,大球を生産する には疎植がよいが,日照量の多 い時期にあまり疎植にすると球葉の間から側芽 を生じ,かえって品質が劣る。 ②温度条件 フローレンスフェンネルはわが国では秋期と 春期に順調な生育をし,冷涼な気候を好む。こ のため,出芽後 2 〜 3 葉期までに高温に直面す ると苗立枯病が発生しやすい。また,結球期に 高温に直面すると側芽が発達して良球が得られ ず,軟腐病も発生しやすい。 一方,低温には比較的強く,結球前の生育初 期には− 4℃程度の低温には耐えて越冬する。 しかし結球期には低温に弱く,− 1℃以下にな ると球部が寒害を受けて腐敗する(第 5 表)。 ハウス栽培では昼夜の温度管理のあり方が収 量・品質に大きな影響を及ぼす。球の肥大に及 ぼす昼間気温の影響をみると,昼間 21℃程度 の場合にりん片がもっとも厚く,球重が重く, 球の肥大・形成がよい(第 6 表)。 また生育,球の肥大は光合成量に大きく影響 される。昼間の照度が 10klx の場合,10 〜 30 ℃の範囲では気温が高いほど,みかけの光合成 速度が低下し,呼吸速度が高まっており,光合 成からみても昼間の適温はかなり低いようであ る(第 7 図)。 球の肥大に及ぼす夜温の影響をみると,昼 温を 18 〜 30℃に保持した場合,日最低気温が 7.6℃までは低いほど球の肥大が優れた(第 7 表)。したがって,夜温は凍霜害が発生しない 程度の気温であれば低いほうが球の肥大は優れ るものと考えられる。 ③土壌条件と施肥 埴壌土でも砂壌土でもよく生育する。しか 第 5 表 球部の耐寒性 (岡山農試,1980) 夜間気温 (℃) 地表下 10cm 夜間地温 (℃) 夜温処理日数 (日) 球部内温度 (℃) 凍害程度 表皮剥離 球部の 水浸症状 球部の 縦割れ − 1.0 〜− 1.2 3.5 8 0.5 〜− 1.1 微 無 無 − 1.0 〜− 3.0 − 0.3 8 − 0.7 〜− 1.2 少 中 無 − 1.5 〜− 2.0 2.0 8 − 0.9 〜− 1.2 少 中 無 − 1.5 〜− 2.0 2.0 16 − 0.9 〜− 1.2 少 多 無 − 3.0 〜− 3.5 − 0.2 8 − 1.2 〜− 1.7 中 多 有 注 昼間気温 8 〜 24℃ 球部の水浸症状の中は球葉 1 枚の 3 分の 1 程度が回復せず,多は全体が回復せず 第 6 表 昼温と球肥大との関係 (岡山農試,1983) 昼間気温 処理 生育期間中気温(℃) 総 重 (g/ 株) 球 重 (g/ 株) 1 片当たり 平均りん片重 (g/ 枚) りん片厚 (mm/ 枚) 昼 間 日平均 低 温 17.2 ± 3.7 11.9 ± 2.5 628 304 22 7.1 中 温 21.2 ± 4.0 14.0 ± 2.4 939 466 35 7.6 高 温 22.3 ± 4.4 15.0 ± 2.7 895 449 29 7.0 第 7 図 温度と光合成,呼吸速度の関係 (岡山農試,1982) 照度 10klx 光合成呼吸速度 ( mg CO/ 2 g生体/時) 0.8 0.1 10 20 30 温度(℃) 真の光合成速度 呼吸 みかけの 光合成速度 イタリア野菜の生理と栽培
(5)花芽分化と抽台
結球するには一定の葉数分化,すなわち 17 〜 18 枚以上の分化が必要である。したがって 球形成に必要な葉数が分化しないうちに花芽が 分化すると結球しないで抽台する。 日長が長いほど花芽の分化・発達が促進さ れる。とくに 12 時間以上の日長で花芽分化が 早く,花茎もよく伸長する(第 4 表)。しかし, 短日処理による 8 時間日長でもやがて花芽分化 することから,日長に対して量的な感応をする ものと考えられる。 日長感応は生育ステージによって異なる。す なわち,本葉 3 枚までの苗は長日下でも花芽分 化が起こらず,本葉 4 枚以上の植物体で感応し, しかも生育の進んだ植物体ほど感応しやすいよ うである。 このように花芽分化に対しては日長が大きく 影響し,温度はほとんど影響していない。しか し,花芽分化後の花芽の発達は温度に影響さ れ,高温であるほど花芽の発達が進み,花茎が 長くなり,抽台しやすくなる。 そこで播種期別に花芽が分化するまでの葉数 および抽台時期をみると,3 月から 5 月にかけ て播種し,高温長日下で生育する作型では葉数 が少なくて花芽が分化し,抽台が早い。7 〜 8 月に播種し,短日で気温下降条件のもとで生育 する作型では,花芽の分化がおそく,葉が 20 枚分化しても花芽は分化せず,抽台が認められ ない(第 5 図)。(6)生育に及ぼす環境要因
①光条件(栽植密度) 単位面積当たりの栽植密度が 高いほど多収であるが,球の肥 大は逆に劣り,球重が軽くなる。 これは主として密植による光線 不足と養分の競合によるもので ある。 夏まき露地栽培のように日照 量が比較的多いと密植による球 第 4 表 日長と花芽の分化・発達との関係 (川合・市川,1979a) 日 長 (時間) 生体重 (g) 分化葉数 (枚) 茎 長 (cm) 節間長 (cm) 花芽の発達状態1) (個体数) 0 1 2 3 4 5 8 205 24 6.6 0.3 9 1 10 158 22 7.6 0.3 6 3 1 12 124 22 15.7 0.7 2 5 1 2 14 90 15 75.7 5.0 2 2 注 1)0:未分化,1:分化初期,2:花梗形成,3:萼片形成,4:出蕾,5: 開花 花芽までの分化葉数 20 10 200 100 播種から抽台までの日数 分化葉数 抽台までの日数 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 播種期(月) 第 5 図 播種期と花芽分化,抽台との関係 (川合・市川,1978) 第 6 図 株間と収量との関係 (川合・市川,1979b) 球重 ( g) 700 600 500 400 300 500 400 300 200 100 収量 ( kg/ a) 夏まき露地栽培収量 秋まきハウス栽培収量 秋まきハウス栽培球重 夏まき露地栽培球重 15cm 20cm 25cm 30cm (889 株 /a)(667 株 /a)(533 株 /a)(444 株 /a)<追録第 42 号・2017 年> 第 11 巻 フローレンスフェンネル を防ぐために新聞紙などで日覆いをする。播種 後,4 〜 5 日で出芽するので早めに被覆物を除 く。密生部は早めに間引き,通風や採光をよく する。本葉が 1 〜 2 枚展開したら,7.5 〜 9cm ポットに鉢上げする。 ②基肥施用とうね立て 播種または定植の 1 か月前に堆肥や石灰を 施してよく耕起しておき,数日前に緩効性肥 料を主体とした基肥を施して耕うん,砕土す る。10a 当たり基肥施用量は窒素 25kg,リン酸 25kg,カリ 20kg くらいである。ただし,火山 灰土などリン酸が不足しやすい土壌ではリン酸 を 50%くらい増施する。 うねは排水良好な圃場では平うねでよい。排 水のやや不良な圃場では,うね幅 1.5 〜 1.6m と し,高く盛り上げる。 ③直まき栽培の要点 直まき栽培は移植栽培よりも生育が速く,根 群もよく発達して良球の生産率が高い。10a 当 たり播種量は約 1.5lである。うね幅は単条で75 〜 80cm,2 条抱きうねで 1.5 〜 1.6m,株間は 25cm 程度とし,1 か所 6 粒ずつ点播する。間引 第 11 表 夏まき露地栽培のポイント 項 目 栽培の要点 育 苗 ・10a 当たり 250mlの種子を準備 ・苗立枯病予防のための種子消毒,土壌 消毒 ・播種床は風通しのよい涼しい場所へ設 置 ・本葉 1 〜 2 枚時に 9cm ポットに鉢上げ ・本葉 5 〜 6 枚までに定植 直まき ・10a 当たり 1.5lの種子を準備 ・1 か所 6 粒くらい点播 ・ネキリムシの食害に注意 本 圃 定 植 ・基肥は 10a 当たり窒素 25kg,リン酸 25kg,カリ 20kg 施す ・うね幅 150cm の 2 条植えの場合 20 〜 25cm 株間に定植 管 理 ・追肥は生育状況をみて施すが,結球初 期までに 10a 当たり窒素 10 〜 14kg を 2 回に分けて施す ・生育中 1 〜 2 回除草を兼ねて中耕土寄 せ ・キアゲハ幼虫と菌核病の防除に努める きは本葉 5 〜 6 枚までに 2 〜 3 回行ない,1 か 所 1 株にする。 ④定 植 本葉 5 〜 6 枚の苗を定植する。葉は 2 分の 1 開度なので,うね方向に対して直角に出葉する ように植える。うね幅 150cm,2 条植えの場合, 株間は 20 〜 25cm とする。 ⑤定植後の管理 結球中期までにできるだけ茎葉を大きく育 て,株の充実をはかる。そのための作業は次の とおりである。 追肥 中耕,土寄せ前に 10a 当たり窒素 10 〜 14kg,カリ 10 〜 14kg を定植後 20 日,40 日 にそれぞれ半量ずつ施す。 土寄せ 生育するにつれて倒伏しやすくな り,倒伏したままでは変形球になる。また結球 部は降霜期に凍害を受けやすい。そこで追肥 後,中耕して中心葉近くまで土寄せする。 灌水 生育中に乾燥が続くと,根張りが劣 り,球部も筋っぽくなるので灌水する。しかし 結球中期以後に多量の灌水をすると裂球するの で注意を要する(第 13 図)。 寒害防止 結球開始後,氷点下になると,凍 霜害を受けるので,不織布,寒冷紗などを葉の 上からべたがけし,寒害から保護する。 病害虫防除 病害では,本圃で 10 〜 11 月に 菌核病,灰色かび病が発生しやすい(第 14 図)。 このため,連作を避けるとともにバチルス・ズ ブチルス剤のボトキラー水和剤,ボトピカ水和 剤を散布する。害虫ではキアゲハの幼虫やアブ 第 13 図 裂球株 イタリア野菜の生理と栽培