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9.2 施工条件に配慮を要するコンクリート PP 寒中コンクリート P 寒中コンクリート 暑中コンクリート マスコンクリート 凍結融解による被害例 定義日平均温度が4 以下になることが予想されるような気象条件のもとで施工されるコンク

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1

施工編 9章

各種コンクリートの施工

大阪ガス株式会社

西﨑 丈能

第24回 コンクリート構造の設計・施工・ 維持管理の基本に関する研修会資料 PP305-333 2

コンクリート標準示方書(2007年制定)

[施工編:施工標準]

ごく一般的に

土木工事で用いられる範囲の構造形式,使用材料,

施工機器,施工条件に対して,施工者が実施すべき一般的な事項

を示している.

[施工編:特殊コンクリート]

上記の[施工編:施工標準]の

範囲を超える

材料や施工条件,

施工環境のうち,

ある程度実績のあるもの

について示した.

・コンクリート強度:60N/mm

2

程度まで

・打込み時最小スランプ:16cm以下

・場外運搬:アジテータ車

・場内運搬:水平換算圧送距離が150m程度以下のポンプ圧送

・内部振動機による締め固め

3

コンクリート標準示方書(2007年制定)

[施工編:施工標準]

寒中コンクリート

暑中コンクリート

マスコンクリート

[施工編:特殊コンクリート]

膨張コンクリート

軽量骨材コンクリート

連続繊維補強コンクリート

短繊維補強コンクリート

高強度コンクリート

高流動コンクリート

吹付けコンクリート

プレパックドコンクリート

水中コンクリート

海洋コンクリート

プレストレストコンクリート

鋼コンクリート合成構造

工場製品

4

本テキストでの取り扱い

寒中コンクリート

暑中コンクリート

マスコンクリート

膨張コンクリート

軽量骨材コンクリート

連続繊維補強コンクリート

短繊維補強コンクリート

高強度コンクリート

高流動コンクリート

吹付けコンクリート

プレパックドコンクリート

水中コンクリート

海洋コンクリート

プレストレストコンクリート

鋼コンクリート合成構造

工場製品

9.2 施工条件に配慮を要するコンクリート 9.3 要求性能に配慮を要するコンクリート 9.4 使用材料や施工方法に配慮を要する コンクリート 9.5 製造方法に配慮を要するコンクリート 9.6 その他特別な配慮を要するコンクリート 他の章で説明をするもの

(2)

5

9.2.1 寒中コンクリート

9.2.2 暑中コンクリート

9.2.3 マスコンクリート

凍結融解による被害例

9.2 施工条件に配慮を要するコンクリート

PP305-312 6

9.2.1 寒中コンクリート

日平均温度が4℃以下

になることが予想されるような気象条件

のもとで施工されるコンクリート

①初期凍害

硬化前のコンクリートが氷点下にさらされると,コンクリート中

水分の凍結,氷の膨張

により,

耐久性や水密性が低下

する.

②初期ひび割れ及び残留変形

コンクリートの凝結,硬化が遅延した場合,

早期に荷重を受け

る構造物

では,

ひび割れ,残留変形

等の問題が生じやすくなる.

P305 7

寒中コンクリート温度管理

水および骨材を熱してコンクリートの温度を高める.

必要に応じて適切な保温,給熱処置

-3℃以下

水または水および骨材を加熱する

ある程度の保温

0~-3℃

簡単な注意と保温養生

4~0℃

温度管理

寒中コンクリートの温度管理は,構造物の種類,断面寸法,配合

などによって異なるが,以下の方法を目安とするとよい.

P305 8

寒中コンクリートの施工上の注意(1)

1)初期凍害

・コンクリートの凍結温度:-2.0~-0.5℃ ⇒日平均気温が4℃以下になる場合,時間帯によっては0℃以下となる. ・コンクリートの圧縮強度が4N/mm2以上になれば凍結による被害は少なくなること から,所定の強度に達するまでコンクリートを凍結させない.

2)材料および配合

・ポルトランドセメントおよび混合セメントB種を用いる. (低温下における初期材齢時の強度発現の遅延の程度が小さい) ・所要の養生温度の確保が難しい時は,早強ポルトランドセメント(水和熱)を使用. ・凍結した骨材や氷雪が混入した骨材は使用しない. ・寒中コンクリートはAEコンクリート(空気量4~7%)とする. PP305-306

(3)

9

寒中コンクリートの施工上の注意(2)

3) 練混ぜ,運搬および打込み

・打込み時のコンクリート温度は,5~20℃ 気象条件が厳しい場合や薄い部材の場合:最低打込み温度は10℃程度 マスコンの場合:5℃を下回らない範囲で打込み温度を下げておく ・練混ぜから打込みまでの時間を出来るだけ短縮する. ・打込み後直ちにシートなどで表面を覆う. ・コンクリート打込み前に,鉄筋,型枠,打継面等に付着している氷雪は溶かす. P306 10

寒中コンクリートの施工上の注意(3)

4) 養生および型枠の取り外し

・養生方法としては,保温養生と給熱養生がある. ・厳しい気象作用を受ける場合は,所定の圧縮強度が得られるまでコンクリート温 度を5℃以上に保ち,更に2日間は0℃以上に保つ. 表9.2.1 厳しい気象作用を受けるコンクリートの 養生終了時の所要圧縮強度の標準(N/mm2 5 5 5 (2)普通の露出状態にあり ,(1)に属さない場合 10 12 15 (1)連続して,あるいはしば しば水で飽和される 場合 厚い 場合 普通 の 場合 薄い 場合 断 面 構造物の露出状態 4日 2日 3日 10℃ 5日 3日 4日 5℃ (2)普通の露出状態にあり, (1)に属さない場合 9日 4日 7日 10℃ 12日 5日 9日 5℃ (1))連続して,しばしば水で 飽和される場合 混合 セメント 早強 ポルト ランド セメント 普通 ポルト ランド セメント 普通の場合 断 面 セメントの種類 養生温度 構造物の露出状態 表9.2.2 所要の圧縮強度を得る養生期間の目安 P306 11

寒中コンクリートの施工上の注意(4)

4) 養生および型枠の取り外し

・初期凍害を受けると,その後養生を続けても強度の増進が少ない. ⇒ 所定強度が得られるまで,どの部分も凍結しないように保護する. ・養生終了後は低温にさらされ,その後の強度増進が緩慢となる. ⇒ 養生は初期凍害に対して必要な強度が得られた後も継続する. ・養生終了後,温度の高いコンクリートを寒気にさらすと,表面にひび割れが生じる. ⇒ 適当な方法で表面の急冷を防止する. ・養生終了後に寒気に接して凍結が予想される時 ⇒ 養生終了直前には散水してはならない. ・養生の終了,型枠・支保工の取り外しの判断 ⇒ 現場と同条件で養生した供試体強度か, コンクリート温度(積算温度)から推定した強度 PP306-307 12

9.2.2 暑中コンクリート

日平均気温が25℃を超える

時期に製造および施工するコンク

リートのことである.

①ワーカビリティーへの影響(スランプの低下)

②連行空気量への影響

③強度への影響

④凝結時間の短縮

⑤コールドジョイントの発生

⑥ひび割れの発生(表面水分の急激な蒸発,温度ひび割れ)

等の各項目についての注意が必要である.

P307

(4)

13

暑中コンクリートの施工上の注意(1)

1) 暑中コンクリートの性質

・コンクリートの練上り温度が高い ⇒スランプは減少する ⇒単位水量を増やす ⇒単位セメント量が増える⇒ 水和熱による温度ひび割れ発生可能性が増す ⇒ 強度,施工性,水和熱を考慮して配合を定める. ・コンクリート温度が上昇する ⇒空気量は減少⇒ AE剤の量を多くする. 図9.2.1 温度と単位水量の関係 図9.2.2 コンクリート温度と空気量の関係 PP307-308 14

暑中コンクリートの施工上の注意(2)

1) 暑中コンクリートの性質

・セメントの水和反応が促進され,急速にセメント粒子の周囲にゲル状物質が生成 ⇒水和反応が妨げられるため,長期強度の発現率が低下する. ・コンクリート温度が高いと,セメントの水和速度が増し,凝結時間が短縮される ⇒ 十分な締固めが行えずコールドジョイントができやすくなる. ・運搬中の温度が高いと,コンクリート中の水分蒸発や,乾燥によりスランプが低下 ⇒ 運搬時間が長くなると急激にスランプの低下が生じる 図9.2.3 圧縮強度に対する温度の影響 図9.2.4 コンクリートの凝結時間と温度の関係 図9.2.5 スランプロスとコンクリート 温度の関係 P308 15

暑中コンクリートの施工上の対策(1)

① 練上り温度を下げるための対策

・材料の温度を下げる: 比熱が大きい練混ぜ水と使用量が多い骨材の温度を下げるのが効果的. ・練混ぜ水のミキサ投入までの温度上昇が小さくする: 輸送管や貯水タンクの温度上昇を避ける. 練混ぜ水に冷水,一部に砕氷を使用. 骨材は,直射日光を受けないよう屋根設置,散水による温度上昇防止して貯蔵. ・配 合 面: 単位水量が多くなる傾向があるため,所要の強度とワーカビリティの得られる範 囲で単位水量を極力少なくする.(遅延形減水剤,AE減水剤の使用) 単位セメント量を増やす場合は,低発熱型のセメントを使用する.(水和熱低減) PP308-309 16

暑中コンクリートの施工上の対策(2)

② 施工上の対策

・練混ぜ~養生の迅速な施工計画. ・運搬中の温度上昇や乾燥を防ぐため,運搬車の覆い,コンクリート輸送管の保温. 長時間の輸送を避けた現場待機のない計画. ・打込む前に,型枠等吸水するおそれのある部分は散水して十分湿潤状態にする. 日射によって型枠や鉄筋が加熱されないよう,覆いや散水. ・練混ぜ後は,1時間以内に打込む.対策が講じても,1.5時間以内に打ち込み終了. ・コールドジョイントやひび割れを防ぐため,打込み温度は35℃以下とする. ・打込みの終了後は,水分の蒸発がないよう,速やかに養生を開始. ・打込み後少なくとも24時間は,絶えず湿潤状態に保つ.(初期養生) 養生は少なくとも5日間以上行う. ・露出面積の広い物には,水分蒸発防止のために噴霧器による散水,膜養生. P309

(5)

17

9.2.3 マスコンクリート

マスコンクリートとして取扱うべき構造物の部材寸法の目安は,

・広がりのある

スラブにおいてはその厚さが80~100cm

以上,

・下端が拘束されている壁では厚さ50cm以上

富配合のコンクリートでは,これらより薄い部材でも拘束条件

によってはマスコンクリートとして取扱う必要がある.

新設部 無拘束の場合 温度降下 収縮する 新設部 無拘束の場合 温度降下 収縮する 温度分布 圧縮 引張 引張 応力分布 コンクリート 温度分布 圧縮 引張 引張 応力分布 コンクリート 図9.2.7 内外温度差によるひび割れの発生 新設部 既設部 拘束のある場合 新設部 既設部 温度降下 引張 新設部 既設部 拘束のある場合 新設部 既設部 既設部 温度降下 引張 図9.2.6 外部拘束による温度ひび割れの発生 PP309-310 18

温度,応力解析例

19

温度ひび割れ制御の手段

① 温度上昇の抑制 ② 拘束の緩和 ③ ひび割れの集中 鉄筋量の増加,応力集中部の補強 ひび割れ分散 目地の設置 ひび割れ集中と拘束緩和 設 計 打込み区画大きさ制限,打込み時間間隔の調整 拘束の緩和 パイプクーリング,プレクーリング 打込み区画の大きさ,リフト高さの制限 打込み時間間隔の調整,夜間の打設 温度上昇量の低減 保温養生,温水養生,保温性型枠 温度差,温度降下速度の調整 施 工 マスコンクリート用膨張材 水和熱抑制型混和材 特殊混和材の使用 スランプの低減,粗骨材寸法の大型化 良質な混和剤や骨材の使用 設計基準強度の判定材齢の変更(56日,91日) セメント量の低減 高炉セメント,フライアッシュセメント,中庸熱セメント,低熱セメント 低発熱形セメントの使用 材 料 と 配 合 P310 20

温度ひび割れ制御対策の例

対策の組み合わせ 温度ひび割れ制御結果例

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21

温度ひび割れ制御対策の実例

-LNG地上式タンク-

映画製作 大阪ガス 22

9.3 要求性能に配慮を要するコンクリート

9.3.1 海洋コンクリート

9.3.2 高流動コンクリート

PP312-317 23

海水の物理的および化学的作用,気象作用によって,コンク

リート自体の劣化や鉄筋の腐食等の各種の有害な作用を受け

るため,

・海水に対して耐久的な材料を用いること,

・強度および水密性の大きいコンクリートを入念に施工すること

が重要である.

9.3.1 海洋コンクリート

感潮帯あるいは海面下

にあって直接海水の作用を受ける構造

物に使用されるコンクリート,および陸上あるいは海面上に建設

され,波浪や海水飛沫,潮風の作用を受ける構造物に使用され

るコンクリート.

P312 24

海洋コンクリートの劣化機構

・海洋環境において外部から侵入する塩化物イオ ンにより鉄筋の腐食が生じ,その膨張圧によりコ ンクリートにひび割れやはく離を生じる. 鉄筋の腐食 ・海水中におけるコンクリートの凍結融解に対する 抵抗性は,淡水中に比較して1/10程度に低下す るとの報告もあり,コンクリート中の水分の氷結時 に生じる膨張圧により局部的,全面的破壊が引き 起こされる. 凍結融解 作用 ・気象の変化や潮の干満による温湿度の変化に 起因して,コンクリートに不均一な体積変化が生じ ,ひび割れが発生する 温湿度の 変化 気象 作用 ・漂砂,波浪などの持続的作用によってコンクリー ト表面が磨耗する. 漂砂,波浪 ・高波浪による繰返し荷重,漂流固形物の衝撃な どにより,コンクリートにひび割れが生じる. 高波浪,漂 流固形物 物理的 作用 ・海水中の硫酸塩はセメント中のアルミン酸三カ ルシウムと反応しエトリンガイトを生じ,体積膨張 によりコンクリートにひび割れを発生させる. ・海水中の塩化物イオンが浸透し,水酸化カルシ ウムを溶出させ,コンクリート組織を多孔質にする. 海水中の 有害塩類 化学的 作用 劣 化 機 構 要 因 P312

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25

海洋コンクリートの材料・配合上の留意点(1)

1)コンクリート材料に関する事項

セメント ・海水作用に対して特に耐久的なセメント ⇒高炉セメントとフライアッシュセメント 骨 材 ・砕けやすい,強度が小さい,吸水率が大きい,膨潤性があるものは 耐久性が劣る ので不適当. ・海水はアルカリ骨材反応を促進する場合もあるので,特に注意を払う. 混和材料 ・混和材:JIS A 6201[コンクリート用フライアッシュ],JIS A 6202「コンクリート用膨張材」 JIS A 6206「コンクリート用高炉スラグ微粉末」 JIS A 6207「コンクリート用シリカフューム」 ・混和剤:JIS A 6206「コンクリート用化学混和剤」 PP312-313 26

海洋コンクリートの材料・配合上の留意点(1)

2) コンクリートの配合に関する事項

水セメント比 ・耐久性から定まる水セメント比の最大値は下表に示す値を標準とする. 単位セメント量 ・単位セメント量を増やせば,組織が密実になって,化学的侵食,鋼材の腐食等に 対する抵抗性が増す.単位セメント量の最小値は下表に示す値以上とする. 空 気 量 ・塩分の作用で,耐凍害性が劣る. 空気量は下表に示す値を標準とする. 表9.3.2 AEコンクリートの水セメント比の最大値 (%) 50 45 50 45 45 50 (a)海上大気中 (b)飛沫帯および干満帯 (c)海中 工場製品又は材 料の選定及び施 工 に お い て,工 場製品と同等以 上の品質が保証 される場合 一般の 現場 施工の 場合 施工条件 環境区分 注:実績,研究成果等により確かめられたものについては,耐久 性から定まる最大の水セメンと比を表9.3.2の値に5~10加えた値 としてよい 表9.3.3 コンクリートの単位セメン ト量の最小値 (kg/m3) 280 300 海 中 300 330 海上大気中,飛沫帯 および干満帯 40 (mm) 20又は 25 (mm) 粗骨材の最大 寸法 環境区分 表9.3.4 コンクリートの空気量の標準値 (%) 5.5 6.0 (b)飛沫帯およ び干満帯 4.5 5.0 (a)海上大気中 凍結融解作用 を受けるおそ れのある場合 40 20又 は25 粗骨材の最 大寸法(mm) 環境条件およびその区分 P313 27

海洋コンクリートの施工上の留意点

1) 打 継 目 ・打継目は弱点となりやすいので,できるだけ設けない. 特に,最高潮位+60cm~最低潮位-60cmの感潮部分には,打継目を設置しない. 2) かぶりの確保 ・補修が困難なため,鋼材の腐食対策のための所要のかぶりの確保が重要. ・型枠に接するスペーサは,本体コンクリートと同等以上の品質のコンクリート製, またはモルタル製とする. 3) 養 生 ・十分に硬化して強度および水密性が得られるまで直接海水にあてることを避ける. 4) 環境保全 ・海洋における場所打ちコンクリートの施工では,海水汚濁防止対策を講じる. 施工中や供用期間中も,海域汚染や生態系への影響等の環境保全に注意する. 5) 検 査 ・表面ひび割れは塩分浸入を早め,コンクリート中の鋼材腐食を加速するため, 耐久性を損なうと判断されるひび割れは適切に処置する. PP313-314 28

9.3.1 高流動コンクリート

フレッシュ時の

材料分離抵抗性

を損なうことなく

流動性

を高め

た「

自己充てん性

」を有するコンクリートである

・人的要因による施工不良の排除,耐久性や信頼性の向上.

・打設時の省力化,省人化,合理化および,締固め作業に伴う

振動や騒音の低減など施工環境の改善.

・従来の設計,施工のシステムを見直すことによるコンクリート工

事の合理化の一層推進.

P314

(8)

29

高流動コンクリートの要求性能(1)

1) 自己充填性

・自己充填性のランク:形状,寸法,配筋から3ランクに分類.(通常のRCはランク2) ・自己充てん性:流動性と材料分離抵抗性 ・流動性 :一般的には,高性能AE減水剤または高性能減水剤を使用. ・材料分離抵抗性:粉体量の増加や増粘剤の使用など. ・間げき通過性 :粗骨材の最大寸法と単位粗骨材絶対容積を制限. ・高流動コンクリートの配合は,粉体系,増粘剤系,併用系の3種類に分類. 断面寸法が大きく,配筋量の少ない部材 または箇所 200mm 程度以上 3 鉄筋コンクリート構造物または部材 60~200mm 程度 2 複雑な断面形状,断面寸法の小さい部 材または箇所 35~60mm 程度 1 最小鋼材あき ランク 図9.3.2 高流動コンクリートの配合組成の一例 自己充填性のランク W 177 W 190 W 176 P (C+Sg) 550 P (C+Sg) 404 P (C+Sg) 587 S 796 S 878 S 778 G 788 G 823 G 777 V 0.5 V 0.475 SP 9.35 SP 12.12 SP 7.631 併用系 増粘剤系 粉体系 W:水, P :粉体( C:セメント, Sg :高炉スラグ微粉末), S:細骨材, G:粗骨材, V:増粘剤または分離低減剤, SP:高性能 AE 減水剤 P314 30

高流動コンクリートの要求性能(2)

2)強度および発熱特性

・強度および発熱特性 通常のコンクリートと同様に,水結合材比や結合材の種類および単位結合材量 などの影響を受ける. ・設計上強度をあまり必要としない場合や温度ひび割れ防止の観点から発熱量を 抑制したい場合には, 単位結合材量を比較的小さくした増粘剤系とする 粉体系や併用系では高炉スラグ微粉末,フライアッシュ,石灰石微粉末等を使用. PP314-315 31

高流動コンクリートの製造上の留意点(1)

1)材料の貯蔵,計量および練混ぜ

・一般に細骨材の粒度や表面水率の変動の影響を受けやすい ⇒粒度や表面水の変動が少ない骨材の貯蔵,迅速な表面水率の測定・補正 ・降伏値が小さく,塑性粘度が大きい ⇒ミキサの練混ぜ性能,材料投入順序,練混ぜ量,練混ぜ時間等の事前検討 P315 32

高流動コンクリートの製造上の留意点(2)

2)製造時の品質管理

・製造時の品質管理(流動性,材料分離抵抗性および自己充てん性) 流動性 :スランプフロー試験 材料分離抵抗性:500mmフロー到達時間または各種の漏斗試験装置 自己充てん性 :間げき通過性試験 P315

(9)

33

高流動コンクリートの施工上の留意点(1)

1)型枠の設計

・流動性が高く,一般に凝結時間が長い ⇒打込み後も長時間にわたって側圧が減少しにくいため,液圧の作用を想定.

2)ポンプ圧送

・コンクリートポンプによる圧送時には,摩擦抵抗が大きいため圧力損失が増大. ⇒極力配管距離を短く,配管径を大きく設定.(4または5インチ管で300m以下) ・圧送前後における流動性の変化についても事前に確認. P315 34

高流動コンクリートの施工上の留意点(2)

3)打込み

・打込み速度:空気の巻き込み,充てん不良を防止. ・落下高さ( 5m程度以下),流動距離(8m以下):材料分離を防止.

4)仕上げおよび養生

・ブリーディングがほとんどないため,暑中時期や強風時にプラスチックひび割れ発生.

5)自己充てん性の検査

・設定された自己充てん性を有していることを打込み前に検査 600 m m 300 300 70 40 1166 mm Parallel Re-bars (D13) 100 500 920 mm 自己充てん性の全量検査試験装置 P316 35

高流動コンクリート施工の実例

-LNG地上式タンク-

映画製作 大阪ガス 36

9.4 使用材料や施工方法に配慮を要するコンクリート

9.4.1 膨張コンクリート

9.4.2 水中コンクリート

現存する日本最古の水中コンクリート? (神戸市垂水区沖の平磯灯標1893年明治26年) 写真 第5管区海上保安本部灯台部工務課提供 PP317-325

(10)

37

9.4.1 膨張コンクリート

コンクリートは,引張強度と変形能力が小さく,

硬化や乾燥収

縮し,この収縮が拘束され限界を超えるとひび割れ

が発生する.

この欠点の解決するため開発されたものが

膨張材

である.

膨張材を混和したコンクリートで,膨張量を鉄筋などで拘束す

ることにより,コンクリートに圧縮応力のケミカルプレストレスが,

また鉄筋等には膨張ひずみのケミカルプレストレインが導入さ

れる.

P317 38

膨張コンクリートの目的と実績

・コンクリート二次製品に多い ・ひび割れ発生荷重を増大することにより設 計上有利となる構造物(ヒューム管,推進管, 矢板,ボックスカルバート,鋼管複合管等) ・充填コンクリートや鋼材の定着 ・ケミカルプレストレスの一部が乾燥収縮などによっ て 生じる引張応力によって打ち消されても,なおケ ミカルプレストレスが残存する. ・乾燥収縮以外の応力に対してもひび割れを抑制す る効果を持つ. ケミカルプレ ストレス用 ・建築物(スラブ,ルーフ,外壁,パラペット) ・土木構造物(床版,橋脚,橋梁,水理施設, トンネル覆工)等に多くの使用実績があり ・ひび割れが性能上問題となるコンクリート構造物の ひび割れ抑止を目的とする. ・乾燥収縮等によって発生する引張応力を相殺もしく は低減させる程度のケミカルプレストレスを付与する. 収縮補償用 実 績 目 的 分 類 表9.4.2 膨張率の標準値 *JIS A 6202の附属書2(参考)に規定するA法による 200×10-6~ 1000×10-6 二 次 製 品 用 200×10-6~ 700×10-6 ケミカルプレストレス用 150×10-6~ 250×10-6 収 縮 補 償 用 一軸拘束膨張率*の標準値(材齢7日) 利 用 目 的 P318 39

膨張コンクリートの製造・施工上の留意点

1)膨張材の貯蔵

・風化しやすいため,取扱いおよび貯蔵には注意が必要. ⇒ 風化したものを使用すると膨張率が低下.

2)練混ぜと打込み

・一般には膨張材はセメントと同時に投入する. ・予め試験によって,十分均一に練り混ぜられることを確認. ⇒ 練り混ぜが不均一だと,局部的に膨張材が過剰になり強度低下や異常膨張. ・練混ぜてから打ち込むまでのできるだけ速やかに打ち込む.

3)養

・寒中および暑中コンクリートの施工には注意が必要. ⇒ 養生温度,養生中の温度変化は膨張速度および膨張率に著しい影響. P320 40

9.4.2 水中コンクリート

水中や海洋等の水面下の比較的広い面積を施工するために使用される.

水中あるいは安定溶液中の場所打ち杭や地下連続壁にも用いられている.

・一般の水中コンクリート

トレミー工法やコンクリートポンプ工法により,水に触れないように打設箇所までコ ンクリートを誘導する工法.

・水中不分離性コンクリート

(混和剤により粘性を高めて材料分離抵抗性を増大) 水中で自由落下でき,流動性に優れることから,狭所への充てんや,構造部材の 施工などで実績がある.

・プレパックドコンクリート

P321

(11)

41

水中コンクリートの製造・施工上の留意点

1)工法の選定

①構造上の種類とコンクリートの品質 ②施工断面形状 ③施工場所の環境条件 ④施工装置⑤施工数量,工程,費用等の条件と各工法の特徴から工法を選定する

2)配

水中不分離性混和剤の種類によって配合設計や工法が異なることから,施工条件, 環境条件,部材断面などによって適切な配合を,実験または既往のデータから決定.

3)練混ぜ

生コン工場での練混ぜを基本とする. 混和剤を現場添加する場合は試験および実績を踏まえて品質管理を立案.

4)型枠,養生

流動性および凝結遅延性のため,側圧は大きくなる. 単位セメント量が多いことから,養生方法も検討が必要 PP323-325 42 信越化学工業HPより 新技術情報提供システムHPより

水中不分離混和剤

43

9.5 製造方法に配慮を要するコンクリート

9.5.1 工場製品

台湾新幹線:プレキャストPC桁(専用自走式移動運搬車により移動架設) PP325-329 44

9.5.1 工場製品

管理された工場で継続的に製造されるプレキャストコンクリート

製品であり,無筋およびRC工場製品のほかPC製品も含まれる.

一般にコンクリート製品,セメント製品,セメント二次製品,プレ

キャスト製品,プレハブ製品,プレキャストコンクリート製品等の名

称で呼ばれる.

P325

(12)

45

工場製品の特徴

・十分な管理下で,熟練した作業員によって製造されるので,製品の品質が安定している. ・実物で抜き取りの載荷試験ができ,的確な品質管理が可能で,品質が保証されている. ・工事現場での建設作業が機械化しやすく,急速施工が容易となる. ・型枠や支保工等の仮設工事の一部を省略でき,現場の省力化,工期短縮ができる. ・現場打ちを除くと,コンクリートの養生が不要で,工期の短縮が可能である. ・気象の影響を最小限にできるので,安定した工程管理で,工期の変動が少ない. ・現場作業時の騒音,振動が少なくてすむため,工事による環境への障害を減少できる. ・JISによって標準化されているものが多く,入手しやすく使いやすい.

・設置のための継手が構造上等の弱点になることがある. ・部材を組み合わせるため,構造上の自由が制限や大型構造物には適さない場合がある. PP325-326 46

工場製品の施工上の留意点

・継手が弱点となりやすい. ・接着剤の配合,接着剤の可使時間,接着面の状況,接着後の養生などの使用法 ・2社以上の製品を使用する場合には,形状・寸法が一致するか. ・特殊な施工方法では,組立精度を確認するための仮組検査を行う. ・養生期間が品質確保の目安になるので,製造年月日を確認. ・製品の運搬,取り扱い,架設などを注意(吊上げ作業,積高さ,まくら材の使用等) ・施工においては,設計で検討した状況に一致した施工順序とする必要. ・工場製品に特殊な表面仕上があり,コンクリートを打ち継ぐ場合は,新旧コンクリート が十分に密着する仕上げ方法を選定する. PP328-329 47

9.6 その他 特別の配慮を要するコンクリート

流動化コンクリート

軽量骨材コンクリート

繊維補強コンクリート

水密コンクリート

高強度コンクリート

プレパックドコンクリート

吹付けコンクリート

ポーラスコンクリート

レジンコンクリート

PP329-332 48

流動化コンクリート

あらかじめ練混ぜられたコンクリート(ベースコンクリート)にスランプロス低減作用を 伴う流動化剤を添加し,これをかくはんして流動性を増大させたコンクリートをいう. 流動化の方法には,現場添加方式,工場流動化方式,工場添加方式がある.

特徴及び施工上の留意点

・スランプロスは,通常の軟練りコンクリートよりも大きい. ・ブリーディング量は,通常のコンクリートに比べてかなり少ない. ・乾燥収縮は,軟練りコンクリートに比べると10~15%程度小さい. ・流動化コンクリートの再流動化は,流動化剤の過剰添加による材料分離あるいは凝 結遅延の要因となり,耐久性,長期強度に悪影響を及ぼすことが考えられるため,原 則としてしてはならない. P329

(13)

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軽量骨材コンクリート

骨材に人工軽量骨材,天然軽量骨材,副産軽量骨材などを用い,普通コンクリート より重量を軽くしたコンクリートである.

特徴及び施工上の留意点

・隅角の部分は欠けやすいため,なるべく大きい面取りを行い,用心鉄筋を配置. ・軽量骨材は吸水しやすいので,コンクリートの練混ぜ,運搬,打込み中に品質が変 動しやすいため,プレウェッティングさせた状態で用いる. ・ミキサへの材料の投入,練混ぜ順序,練混ぜ効率,ミキサ内での骨材の吸水の程 度および乾いた骨材を用いる場合は品質がばらつくので注意が必要. ・打込みは,軽量骨材の浮きに注意し,シュートや振動締固めなどを用い,できるだけ 材料分離が生じないような方法で行う. P330 50

繊維補強コンクリート

鋼繊維や炭素繊維などを単独もしくは他の材料とコンクリートと組み合わせて力学的 特性を改善したのが繊維補強コンクリートである. 棒状に固めて鉄筋やPC鋼材の代わりに用いるものと,シート状に成形したものがある.

特徴及び施工上の留意点

・連続繊維は,腐食しにくく,非磁性,軽量,高強度,低弾性係数である. ・連続繊維補強材の表面に刃物等が接触して傷つかないよう注意が必要. ・連続繊維補強材は,鉄筋より軽量,低剛性であるため,打設中の浮力に留意. ・短繊維補強コンクリートでは,短繊維が均一に分散されることが必要. P330 51

水密コンクリート

水密を要するコンクリート構造物とは,透水,透湿によって構造物の安全性,耐久性, 機能性,維持管理,外観などに影響を受ける構造物で,各種貯蔵施設,地下構造物, 水理構造物,貯水槽,プール,上下水道施設,トンネル等がある.

特徴及び施工上の留意点

・水密コンクリートの水セメント比は,55%以下にすることを標準. ・設計には温度変化,乾燥収縮,構造物基礎の不等沈下等を考慮. ・鉄筋を十分に配置したり,鉄筋の応力度の制限,適当な間隔および位置に伸縮目 地および打継目を設置で有害なひび割れの発生の可能性を低くする. ・打継目や伸縮目地には止水板などを設置して,水密的にする. P330 52

高強度コンクリート

PC構造やタンク,地下連続壁,PHC杭などに圧縮強度の高いコンクリートが使用さ れている.最近では,高性能AE減水剤等の使用により,ワーカビリティを確保しつつ 設計基準強度60N/mm2程度のコンクリートを製造できるようになった.

特徴及び施工上の留意点

・組織が緻密であるため,塩化物の浸入や中性化に対する抵抗性に優れる. ・水和熱,自己収縮によりひび割れにより,耐久性や水密性が低下する可能性. ・組織が緻密であるため水結合材比が小さいほど火災時に爆裂する可能性が高い. ・粘性が高いため,締固め性能が低下し,充填不良が生じる危険性がある.そのため, 高性能AE減水剤等の使用,締固め時間や振動機の挿入間隔の検討が必要. ・ブリーディングがほとんど生じず,許容打重ね時間間隔が短くなる場合やプラスチッ ク収縮ひび割れを生じる場合があるため,散水養生や膜養生を行う必要. P331

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53

プレパックドコンクリート

プレパックドコンクリートは,主に水中コンクリートの施工法の一つである.あらかじめ 水中に設置された型枠内に,粗骨材を詰め,その空げきに特殊なモルタルを注入して つくるコンクリートのことである.

特徴及び施工上の留意点

・粗骨材の投入およびモルタルの注入圧等で大きな側圧が作用するため,型枠設計 では,注入圧の考慮が必要. ・注入モルタルは凝結時間が遅く,流動性に富むため小さな空げきからも容易に流出 するため,モルタルの漏えい防止に注意. ・1ヶ所の注入パイプで連続して長時間注入すると,分離を起しやすくなり,レイタンス の発生原因にもなるため,できるだけ水平に打上がるようする. ・注入モルタルの打上げ速度は,品質に大きな影響を与える. P331 54

吹付けコンクリート

圧縮空気によってモルタルやコンクリートを比較的厚さが薄く,広い施工面に吹付け る工法であり,トンネルや空洞構造物の覆工,掘削のり面やルーズな崖錐地の安定 保護に用いられるばかりでなく,トンネル,ダム,橋梁等,各種構造物の補修や補強 にも使用されている.

特徴及び施工上の留意点

・急結剤の使用により早期強度大,型枠が不要で急速施工可能,比較的小規模な可 搬の設備で施工可能,任意方向に吹付け可能,プラントから離れた狭小な場所また は急斜面など悪い条件下で施工可能などの長所を有する. ・はね返りによる材料の損失が多く,平滑な仕上げ面が得難く,水密性に欠ける. ・山岳トンネルの吹付けコンクリートでは,ノズル操作はロボットの使用が原則となって いるが,施工条件やノズルマンの能力により,品質にばらつきが生じやすい. P331 55

ポーラスコンクリート

ポーラスコンクリートは多孔質材料の一種であり,水や空気を自由に透す性質を有 している.近年,この機能を利用して環境対応型コンクリートとして種々の新材料が開 発され始めた.

特徴及び施工上の留意点

・普通ボルトランドセメント,高炉セメント,フライアッシユセメント等が使用できる. ・骨材に付着するペーストのレオロジー特性と強度特性を改善するために,高性能減 水剤または高性能AE減水剤の使用は必須. ・硬化体内に連続空隙をもち,表面積比が大きいため,乾燥収縮は早期に完了. ・水中での遊離石灰溶出が著しく,初期には動植物に悪影響を与える場合がある. P332 56

レジンコンクリート

レジンコンクリート(ポリマーコンクリート)は,粗・細骨材を液状レジンだけを結合材と して固めたものであり,セメントを結合材とするセメントコンクリートと類似しているが, 高強度,早強性,水密性,耐摩耗性,耐食・耐久性,電気絶縁性などに優れる建設材 料として,主として地中の構造体としての利用が広がっている.

特徴及び施工上の留意点

・物質透過の抵抗性が高いため,塩化物浸入の抵抗性や鋼材腐食は小さい. 液状レジン(結合材)はほぼ中性であるため,鋼材の防食効果を持たない. ・液状レジン,骨材,充填材に含まれる水分が少なく,水分透過の抵抗性も高いため, 通常の含水率は低く,凍結融解作用に対する抵抗性は高い. ・長期間の屋外暴露により,表面の結合材の損耗による変色,退色などが生じる場合 がある.対候性改善策は,紫外線吸収剤や酸化防止剤の添加,対候性塗料の塗布 P332

参照

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