保育園のあり方について
平成20年(2008年)12月
目 次
(ページ)1 策定の趣旨 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
2 策定の経緯 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
3 取組期間 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
4 広島市の保育の現況 ・・・・・・・・・・・・・ 3
(1) 保育施設の設置状況 ・・・・・・・・・・・・・・ 3 (2) 保育園入園待機児童の状況 ・・・・・・・・・・・ 5 (3) 多様な保育サービスの実施状況 ・・・・・・・・・ 8 (4) 障害児保育の実施状況 ・・・・・・・・・・・・・ 11 (5) 子育て家庭への支援の実施状況 ・・・・・・・・・ 12 (6) 保育に係る経費の状況 ・・・・・・・・・・・・・ 14 (7) 公立保育園と私立保育園の比較 ・・・・・・・・・ 185 今後の保育施策の方向 ・・・・・・・・・・・・ 22
(1) 保育需要に対応した児童受入枠の確保 ・・・・・・ 22 (2) 多様な保育サービスの充実 ・・・・・・・・・・・ 22 (3) 障害児・発達障害児への支援 ・・・・・・・・・・ 23 (4) 子育て家庭への支援 ・・・・・・・・・・・・・・ 23 (5) 保育サービスの質の向上 ・・・・・・・・・・・・ 23 (6) 保育環境の改善 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 24 (7) 私立保育園の運営体制の充実・強化 ・・・・・・・ 24 (8) 効率的な保育園運営の推進 ・・・・・・・・・・・ 246 公立保育園のあり方 ・・・・・・・・・・・・・ 25
(1) 今後の公立保育園の役割 ・・・・・・・・・・・・ 25 (2) 公立保育園の民間移管 ・・・・・・・・・・・・・ 26 参考資料1 政令指定都市における認可保育園の設置状況 29 参考資料2 広島市の公立・私立保育園の保育サービスの 30 現況について 参考資料3 将来における保育園のあり方(イメージ図) 31 参考資料4 「保育園のあり方について」の策定経緯 321 策定の趣旨
近年、核家族化や地域社会の関係の希薄化などにより、家庭の養育力や地域 の子育て機能が低下していると言われています。加えて、女性の社会進出が進 むとともに、働き方も多様化しており、子どもや家庭を取り巻く環境が大きく 変化しています。 このような社会・経済情勢を背景に、広島市においては、公立及び私立の認 可保育園(以下「保育園」といいます。)への入園希望者が増加し、入園を希 望しているにもかかわらず入園できない児童(以下「保育園入園待機児童」と いいます。)が発生しています。 また、就労形態の多様化に伴い、延長保育や一時保育、休日保育など多様な 保育サービスの充実が求められているとともに、核家族化の進行、地域におけ る人間関係の希薄化等により子育て家庭が孤立化し、子育ての不安や悩みを抱 える保護者の増加が指摘される中、共働き家庭のみならず、すべての子育て家 庭を対象とした支援の充実が必要となっています。 このように、就学前児童の子育てに関し保育園に期待される役割はますます 大きくなってきており、本年3月に告示された新しい「保育所保育指針」にお いて、保育園が果たすべき役割として、「保育に欠ける子どもの保育を行い、 その健全な心身の発達を図ることを目的とする児童福祉施設であり、入所する 子どもの最善の利益を考慮し、その福祉を積極的に増進すること」及び「入所 する子どもの保護者に対する支援、地域の子育て家庭に対する支援等を行う」 ことが明記されました。 こうした保育園の役割を踏まえ、本市の厳しい財政状況の中で、限られた財 源を最大限有効に活用することを前提にしながら、より良い保育サービスを提 供していくため、保育園のあるべき役割と機能を整理・検討し、中長期的な視 点から「保育園のあり方」について検討を行い、以下のとおりまとめました。2 策定の経緯
本市が「保育園のあり方について」を策定するに当たり、幅広く有識者や 保護者・市民の意見を聴くため、広島市社会福祉審議会児童福祉専門分科会 に学識経験者や保育関係者、保育園保護者などで構成する「保育園のあり方 検討委員会」を設置し、保育園の現状と課題や公立保育園の運営のあり方な どについて、平成19年(2007 年)11月から5回にわたり議論をいただ きました。 その検討委員会でいただいた意見を参考に作成した「保育園のあり方につ いて」の中間とりまとめを平成20年(2008 年)3月15日に公表し、市 民意見募集を行うとともに、6回の「保護者の意見を聴く会」を開催しまし た。これらの市民や保護者の意見は「保育園のあり方検討委員会」に報告し てあらためて議論いただくとともに、それを踏まえて、「保育園のあり方につ いて」を策定しました。3 取組期間
この「保育園のあり方について」において取りまとめた内容の取組期間は、 平成32年度(2020 年度)までとします。4 広島市の保育の現況
(1) 保育施設の設置状況
平成20年(2008 年)4月1日現在、本市の保育園数は、公立保育園 が90園(公設民営1園を含む。)、私立保育園が71園(認定こども園(※) の認定を受けた私立保育園4園を含む。)の計161園となっています。 定 員 数 は 、 公 立 保 育 園 が 11,272 人 、 私 立 保 育 園 が 9,133 人 の 計 20,405 人となっています。 ※ 「認定こども園」とは、平成18年(2006 年)10月に施行された「就学前の子ど もに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律」により、幼稚園や保育園 等のうち、①保育に欠ける子どもも、欠けない子どもも受け入れて、教育・保育を一体 的に実施する機能、②地域における子育て支援を行う機能を備えた施設として、県知事 の認定を受けたものです。 本市では、昭和56年(1981 年)以降、公立保育園の新設は行っていま せんが、周辺町村との広域合併により、多くの町・村立の保育園を引き継 いだため、市内の保育園に占める公立保育園の割合が、園数、園児数とも に約 6 割となっており、他の政令指定都市に比較し、多いことが特徴です (表1、参考資料1)。 (表1)[保育園の園数及び定員数] (平成 20 年(2008 年)4 月 1 日現在) 区 分 公立保育園 私立保育園 合 計 園 数 90園 71園 161園 (構 成 比) 55.9% 44.1% 100.0% 定 員 数 11,272 人 9,133 人 20,405 人 (構 成 比) 55.2% 44.8% 100.0%また、他に認可外保育施設(※)があり(表2)、市が指導監督基準を定 め、定期的に立入調査を行っています。 ※ 「認可外保育施設」とは、乳幼児を保育することを目的とする施設で、市の認可を 受けていない施設を総称したものです。 (表2)[認可外保育施設の施設数] (平成 20 年(2008 年)4 月 1 日現在) 区 分 施 設 数 備 考 事業所内保育施設 28施設 病院内:17 施設、企業内:11 施設 ベビーホテル 18施設 その他(託児所等) 55施設 合 計 101施設 本市の保育園は、築30年を超える保育園が、公立・私立保育園 161 園 中、約半数の79 園あり、そのうち公立保育園は 64園とその多くを占め ており、老朽化が進んでいます(表3)。 また、建築年次が古いことや待機児童解消のための児童受入れを最優先 としているため、一時保育や地域の子育て支援のためのスペースが確保さ れておらず、施設的に新たなニーズに対応できていません。 公立保育園については、昭和40年代にその多くを整備しているため、 今後、建替時期が一斉に到来することから、建替の必要性について早急に 検討し、順次計画的に改築を行っていく必要があります。 また、私立保育園の老朽化についても、国の交付金を活用し、引き続き 計画的に対応していく必要があります。 (表3)[建築年数別保育園数] (平成 20 年(2008 年)4 月 1 日現在) 築年数 (5年区分) 建築年度 公 立 保育園 私 立 保育園 計 41 年以上 昭和 42 年(1967 年)以前 10園 4園 14園 36 年~40 年 昭和 43 年~47 年(1968~1972 年) 25園 1園 26園 31 年~35 年 昭和 48 年~52 年(1973~1977 年) 29園 10園 39園 26 年~30 年 昭和 53 年~57 年(1978~1982 年) 19園 7園 26園 21 年~25 年 昭和 58 年~62 年(1983~1987 年) 4園 5園 9園 16 年~20 年 昭和 63 年~平成 4 年(1988~1992 年) 1園 4園 5園 11 年~15 年 平成 5 年~9 年(1993~1997 年) 2園 6園 8園 6 年~10 年 平成 10 年~14 年(1998~2002 年) - 18園 18園 5 年以内 平成 15 年(2003 年)以降 - 16園 16園 合 計 90園 71園 161園
(2) 保育園入園待機児童の状況
少子化の進行により、本市においては、就学前児童数は減少傾向にある にもかかわらず、保育園の入園児童数は年々増加するとともに(図1)、多 くの保育園入園待機児童が発生しています(図2)。 (図1)[就学前児童(0~5歳児)数の推移] 33,361 32,510 31,729 31,088 30,604 18,267 18,066 17,954 17,902 17,844 17,653 18,469 18,826 19,005 19,109 0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000 平成15年度 (2003年度) 平成16年度 (2004年度) 平成17年度 (2005年度) 平成18年度 (2006年度) 平成19年度 (2007年度) 保育園 幼稚園 在宅等 ※ 各年度とも4月1日現在。ただし、幼稚園入園児童数は5月1日現在です。 (図2)[保育園入園待機児童数の推移] 109 300 237 200 198 85 143 116 47 37 0 100 200 300 400 500 平成16年度 (2004年度) 平成17年度 (2005年度) 平成18年度 (2006年度) 平成19年度 (2007年度) 平成20年度 (2008年度) 待機児童 待機児童 (自己都合) ※ 各年度とも4月1日現在。 ※ 待機児童(自己都合)とは、他に入園可能な保育園はあるが特定の保育園を希望 67,557 67,995 68,509 69,045 69,281 (人) (人) 235 194 443 353 247このため、本市では、平成17年(2005 年)3月に保育計画(※)を 策定し、平成22年度(2010 年度)当初の保育園入園待機児童の解消を 目指し、保育園の新設や増改築、既設保育園の定員増などにより児童受入 枠の拡大に取り組んでいます(図3、図4)。 ※ 「保育計画」とは、児童福祉法に基づき、前年度の4月1日における保育園入園待 機児童の数が50人以上いる場合に策定が必要になる保育と子育て支援事業の供給体 制の確保に関する計画です。 (図3)[保育園の定員の推移] (各年度4月1日現在) 7,614 7,974 8,213 8,829 9,133 11,144 11,172 11,330 11,310 11,272 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 平成16年度 (2004年度) 平成17年度 (2005年度) 平成18年度 (2006年度) 平成19年度 (2007年度) 平成20年度 (2008年度) 公立保育園 私立保育園 (図4)[在園児童数の推移] (各年度 4月1日現在) 8,272 8,723 10,960 10,850 10,935 10,837 10,863 8,070 7,976 7,509 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 平成16年度 (2004年度) 平成17年度 (2005年度) 平成18年度 (2006年度) 平成19年度 (2007年度) 平成20年度 (2008年度) 公立保育園 私立保育園 20,139 20,405 19,543 19,146 18,758 (人) 19,005 18,826 (人) 18,469 19,109 19,586
保育園入園待機児童数は平成18年度(2006年度)から毎年減少して いますが、なお解消されておらず、年度後半には大幅に増加しています(図 5)。また、保育園の児童受入枠に余裕がないために兄弟姉妹が同じ保育園 に入園できない場合があるなどの課題があり、保育園入園待機児童の解消 は、子育て支援の最重点課題の一つとなっています。 (図5)[平成 19 年度(2007 年度)における保育園入園待機児童数の推移] 47 86 258 498 0 100 200 300 400 500 600 4月1日 7月1日 10月1日 1月1日 保育園入園待機児童の解消を図るため、定員超過入園制度(※)を実施 していますが、公立保育園、私立保育園ともに、年度末においては定員を 大幅に超えて児童を受け入れており、入園児童の処遇向上のため、この改 善が求められています(表4)。 ※ 児童数に応じて必要となる保育士数や施設面積等の基準を満たす範囲内で、定 員を超えて児童を受け入れる制度。ただし、4月は定員の 115%、5月から9月ま では定員の 125%を限度としています。10 月以降は基準を満たす範囲内で制限は ありません。 (表4)[定員に対する児童の受入状況] (単位:人) 平成 19 年(2007 年)4 月 1 日 平成 20 年(2008 年)3 月 1 日 区 分 定員数 ① 児童数 ② 差引 ②-① 定員数 ③ 児童数 ④ 差引 ④-③ 公立保育園 11,310 10,837 △ 473 11,310 12,030 720 私立保育園 8,829 8,272 △ 557 8,829 9,626 797 全保育園 20,139 19,109 △ 1,030 20,139 21,656 1,517 (人)
(3) 多様な保育サービスの実施状況
社会経済情勢の変化や働き方の多様化、地域社会の関係の希薄化などに伴 い、延長保育、一時保育、休日保育等多様な保育サービスの充実が求められ ています。 保育園に児童を通わせている世帯を対象に実施した「保育サービスに関す る満足度調査」の結果によると、保護者がさらに費用を負担してでも充実さ せて欲しいと思う保育サービスとして、かぜ・発熱などで登園できない病児 を医師の管理の下で預かる「病児保育」が69.1%と最も多くあげられて おり、次が日曜日・祝日に保育する「休日保育」の35.5%となっていま す(図6)。 (図6)[平成 18 年度(2006 年度)保育サービスに関する満足度調査結果] (%) ※ 平成 19 年(2007 年)2 月実施本市では、保育計画に各保育サービスの平成21年度(2009 年度)にお ける実施か所数の目標を掲げ、多様な保育サービスの充実に取り組んでいま す(表5)。 (表5)[多様な保育サービスの実施状況] 区 分 平成 17 年 (2005 年) 3 月 1 日現在 (保育計画策定時) 平成 20 年 (2008 年) 4 月 1 日現在 平成 21 年度 (2009 年度) 目標値 延長保育 96 園 106 園 103 園 一時保育 31 園 39 園 50 園 休日保育 なし 2 園 8 園 病児・病後児保育 5 施設 8 施設 8 施設 ※ 目標値は、保育計画に掲げる目標値です。既に目標値を超えている延長保育につ いては、新たな目標値を設定します。 ア 延長保育 保育園の開園時間は11時間を基本としていますが、長時間の保育ニー ズに対応するため、開園時間を超えて保育を行う延長保育を実施しており、 現在、実施園の割合は、全体では約66%(161園のうち106園)、う ち公立保育園では40%(90園のうち36園)、うち私立保育園では約 99%(71園のうち70園)となっています。 公立保育園では実施園の全てが1時間延長ですが、私立保育園では1時 間延長のほか、2時間延長、4時間延長を実施しています。4時間延長に ついては、現在、1園のみの実施であり、また、4時間を超える夜10時 以降の保育サービスについては未実施であることから、今後、ニーズを踏 まえ、対応していくことが求められています。 イ 一時保育 一時保育は、保育園に入園していない児童が、保護者の傷病・入院等の 緊急時の対応や保護者の育児に伴う心理的・肉体的負担を軽減するなどの 理由により、一時的に保育が必要となる場合に、保育園で預かるもので、 現在、私立保育園39園で実施しています。なお、私立保育園では約55%
(71園のうち39園)の保育園で実施していますが、公立保育園では施 設の制約などから実施していません。 核家族化の進行や子育て中の親の育児不安・負担感の高まりなどに伴い、 一時的な保育に対するニーズが増加していますが、現在、実施園の割合が 約24%(161園のうち39園)と少ないことから、今後、身近な地域 で利用できるよう、地域バランスを考慮しながら拡充していくことが必要 です。 ウ 休日保育 休日保育は、日曜・祝日の保護者の就労などにより、恒常的に休日の保 育に欠ける児童を、保育園で預かるもので、平成19年(2007年)9 月から私立保育園2園で実施しています。 今後、ニーズと地域的なバランスを踏まえ、拡充していくことが必要で す。 エ 病児・病後児保育 病児・病後児保育は、保育園入園児童等を病気の回復期等で集団保育が 困難な期間、医療施設に付設された保育室において一時的に預かるもので、 現在、医療機関8施設で実施しています。 「保育サービスに関する満足度調査」の結果では、最もニーズの高い保 育サービスが「病児保育」であることから、今後、さらに拡充していくこ とが必要です。
(4) 障害児保育の実施状況
施設・設備の整備や専門研修の実施などにより、受入れ環境の整備を図っ ており、保育園における障害児の受入れが増加してきています(図7)。 私立保育園においても受入れが進んでいますが、重度の障害児については、 公立保育園が主に対応しています(表6)。 発達障害など障害が多様化してきていることなどを踏まえ、これまで以上 に障害の早期発見と適切な支援のための体制整備が求められています。 (図7)[保育園における障害児数の推移] ※ 「障害児」の人数は、障害の程度に応じ保育士加配を行っている児童の数です。 ※ 各年度とも、当該年度に保育園に在園した人数です。 (表6)[在園児童数に占める障害児数の割合] (平成 18 年度(2006 年度)実績) 区 分 在園児童数 ① 障害児数 ② 割合 ②/① うち重度障害児 ③ 割合 ③/① 公立保育園 12,978 人 196 人 1.51% 12 人 0.09% 私立保育園 9,666 人 80 人 0.83% 1 人 0.01% 全保育園 22,644 人 276 人 1.22% 13 人 0.06% ※ 「障害児」の人数は、障害の程度に応じ保育士加配を行っている児童の数です。 ※ 「在園児童数①」は、平成 18 年度(2006 年度)に在園した児童の実人数です。(5) 子育て家庭への支援の実施状況
都市化の進展や核家族化の進行(図8)、さらに、地域社会の関係の希薄化 に伴い子育て家庭が孤立化し、子育ての負担が親に多くかかるようになって います。 (図8)[平均世帯人員の推移] (国勢調査結果(各年 10 月 1 日現在)) 保育園では、地域の子育て家庭を対象に、園庭開放、育児講座や子育てに 関する相談などの「保育園地域活動事業」を行っており、公立保育園は毎年 度全園、私立保育園においてもほとんどの園で実施しています。 また、児童相談所や保健センターと連携し、児童虐待の恐れやそのリスク がある家庭等特に支援を必要とする家庭を対象として、育児相談、親子育児 体験、保育園入園児童との交流などの支援を行っています。 さらに、平成19年度(2007 年度)から初妊婦の出産や育児不安の解消 及び男性の育児参加の促進を図るため、0歳児のいる公・私立保育園におい て、「はじめての子育て応援事業」(※)を実施しています。 ※ 保育園において、赤ちゃんのいる生活をイメージしたり、子育ての楽しさを実感し てもらう「わかばママ応援教室」、「わかばパパ応援教室」を開催するとともに、出産 後も継続して育児支援を行うものです。子育てに自信が持てないことがある親の割合は、母親の就労形態別でみる と、常勤よりも、無職・専業主婦の方がわずかに高くなっています(図9)。 こうしたことから、共働き家庭のみならず、すべての子育て家庭を対象と した支援のさらなる充実が求められています。 (図9)[子育てに自信が持てないことがある親の割合] 就学前児童の親 9.2% 58.3% 25.0% 7.4% 0.1% (うち就労(常勤)している母親) (うち無職・専業主婦) ※ 子育て支援に関するニーズ調査結果(平成 15 年(2003 年)10 月実施) 計 100% 計 100%
(6) 保育に係る経費の状況
ア 本市の財政状況 本市では、平成16年(2004 年)4月に策定した第2次財政健全化計画 に基づき、市財政の健全化に努めてきました。現段階においては、議会や市 民の皆様の御理解と御協力により、「財源不足の解消」「市債の実質残高の抑 制」といった計画の目標は概ね達成できる見込みです。 しかしながら、国の三位一体改革(※)や歳出・歳入一体改革の影響によ る地方交付税の減少などにより、一般財源収入の見通しは引き続き厳しい状 況にあります。また、高齢化の進行や格差社会の拡大に伴う生活保護費など の社会保障費の増、団塊の世代の退職による退職手当の増など、義務的経費 の増加も見込まれています。 こうしたことから、総じて見れば、本市の財政は今後も厳しい状況が見込 まれます。 ※ 「三位一体改革」とは、国と地方の行財政システムに関して、①国から地方への 税源移譲、②国からの補助金の廃止・縮減、③地方交付税の改革 を一体的に行うも ので、主に平成16年度(2004 年度)から平成18年度(2006 年度)の3か年で実 施されました。本市の地方交付税は、三位一体改革の影響によりこの3年間で約 200 億円削減されました。 昨年9月に公表した平成20年度(2008 年度)以降の中期財政収支見通 しにおいては、名目経済成長率 0.0%の場合で、4年間の累積赤字が 695 億円となる見込みとなりました(図10)。 (図10)[中期財政収支見通しの計画期間における累積赤字見込額]平成15年(2003 年)に公表した前回の中期財政収支見通しでは、4年 間の累積赤字は最大 1,395 億円となる見込みで、早ければ平成 17 年度 (2005 年度)に、財政再建団体に転落する可能性がありました。 今回の試算における累積赤字の規模は、4年前と比べて大幅に縮小してい ますが、依然として多額の財源不足が見込まれています。 このため、今後、事務事業の厳しい選択や市民ニーズを踏まえた重点施策 への投資の集中、高金利の市債の借換による公債費負担の軽減、自主財源の より一層の充実などに取り組み、この財源不足を解消していく必要がありま す。 こうしたことを踏まえ、本市は、平成20年(2008 年)2月に「今後の財 政運営方針」を策定しました。この方針に基づき、今後の財政運営を進めて いきます。 ① 基本姿勢 市民サービスの維持・向上に努めながら、将来世代へ過度の負担を残さ ない「持続可能な財政運営」の実現を目指します。 ② 計画期間 平成20年度(2008 年度)から平成23年度(2011 年度)までの4年間 ③ 計画期間内の目標 ○ 財源不足の解消と財政調整基金の確保 ○ 市債の実質残高の抑制 ④ 取組方策(※) ○ 歳入確保 ・市税収入等の確保 ・受益者負担の適正化 ・未利用地等の売却促進及び市有資産の有効活用 ・市債の実質残高を増加させない範囲での退職手当債・行政改革等推 進債の発行 ・地方税財政制度の改善等に向けた積極的行動 ○ 歳出削減 ・人件費の削減 ・事務事業の見直し ・投資的経費の縮減 ・公債費負担の軽減 ・特別会計・企業会計の見直し ※ 取組方策の具体的内容は、「今後の財政運営方針」(平成20年(2008 年)2月策 定 広島市財政局)に記載しています。
イ 保育園の運営費 本市 の一般会計 決算額は、平成10年度(1998 年度 )から平成17度 (2005 年度)まで7年連続で前年度を下回る規模となり、平成18年度 (2006 年度)には前年度より微増に転じたものの、ピーク時の平成10年 度(1998 年度)の約 6,214 億円に比較し、約 933 億円減の 5,281 億円 となっており、8年間で約15%の減少となっています(図11)。 一方、保育園の運営費は、保育園入園児童数の増加に伴い増えつづけてお り、平成18年度(2006 年度)は若干減少したものの、平成9年度(1997 年度)に比較すると約 41 億円増の 206 億円となっており、9年間で約 25% の伸びを示しています(図12)。 (図11)[一般会計決算額の推移] 6,155 6,214 6,158 5,625 5,552 5,439 5,453 5,257 5,176 5,281 5000 5500 6000 6500 H9 (1997) H10 (1998) H11 (1999) H12 (2000) H13 (2001) H14 (2002) H15 (2003) H16 (2004) H17 (2005) H18 (2006) (図12)[保育運営費の推移] 165 175 193 197 171 184 203 205 208 206 160 170 180 190 200 210 H9 (1997) H10 (1998) H11 (1999) H12 (2000) H13 (2001) H14 (2002) H15 (2003) H16 (2004) H17 (2005) H18 (2006) (単位:億円) (各年度決算額) (単位:億円) (各年度決算額)
保育園の運営費は、保護者が負担する保育料と国及び市の負担により賄わ れる仕組みとなっています。 市の負担額は、①私立保育園の保育料について保護者の負担をできるだけ 軽減するため、国が定めた基準よりも低い額に設定するために市が独自に負 担する額が約14億円、②公立保育園の運営に要する経費や保育内容の充実 のために市が負担する経費が約112億円、③私立保育園の運営に要する経 費 な ど と し て 市 が 義 務 負 担 す る 額 が 約 2 1 億 円 と な っ て お り 、 合 計 で 約 147億円となり、保育園運営費の約7割を占めています(図13)。 (図13)[保育園運営費の財源別内訳] 国庫負担 保育料(保護者負担) 保育料軽減による市負担 市単独負担 市義務負担 なお、保育園運営費のうち、私立保育園分については国がその一部を負担 していますが、国の基準運営費が低いため本市が独自に追加負担を行ってい ます(図14)。また、公立保育園分の国庫負担金については、平成16年 度(2004 年度)から国の三位一体の改革により一般財源化され、国庫負担 金相当額が住民税により税源移譲されましたが、市民のニーズに応じた十分 な保育サービスを実施するためには、国によるさらなる財源措置が必要です (図15)。 (図14)[私立保育園運営費の内訳] (平成 20 年度(2008 年度)予算額) 私立保育園運営費 78 億円 国基準運営費 73 億 3,000 万円(94%) 市独自負担 4 億 7,000 万円(6%) ※ 延長保 育や一 時保育な どを除き 、通常 の保育時間 内の保育 に要す る経費につ いて算出 した 21 億円 9.7% 合計 216 億円 市負担の合計:147 億円 68.1% (平成 20 年度(2008 年度)予算額) 21 億円 9.7% 112 億円 51.9% 14 億円 6.5% 48 億円 22.2%
(図15)[保育園運営費に係る国庫負担額の推移] 36 38 20 20 20 0 10 20 30 40 H14 (2002) H15 (2003) H16 (2004) H17 (2005) H18 (2006) (億円)
(7) 公立保育園と私立保育園の比較
ア 公立保育園、私立保育園の共通点 保育園は、公立も私立も児童福祉法に基づいて設置される(私立保育園の 設置は市の認可が必要。)もので、その果たすべき目的・役割に違いはあり ません。 保育園の運営に当たっては、保育室の面積や児童の年齢に応じて配置する 保育士数などについて、国が定めた「児童福祉施設最低基準」を満たすとと もに、保育の内容についても、国の定めた「保育所保育指針」に沿って行わ れており、公立・私立の別なく一定水準の保育サービスを提供しています(参 考資料2)。 私立保育園についても、市の指導・監督を受けながら運営されており、そ の運営費は基本的にすべて市が負担しています。また、園児の入園の決定、 保育料の設定とその収納についても、公立・私立の別なく同じ基準で市が責 任を持って行っています。(認定こども園の認定を受けた私立保育園におい ては、園児の入園の決定、保育料の設定とその収納を当該認定こども園が行 います。) 国の三位一体改革による公 立保育園運営費の一般財源 化により減少。減少分は住 民税により税源移譲。イ 公立保育園の特性 公立保育園は、市の直営施設として、いずれの保育園においても同一のマ ニュアル等に基づいて、一定水準の均一な保育サービスを提供していますが、 一方、個別のニーズへの対応が困難であるという側面があります。 また、保育士の平均勤続年数が、私立保育園と比べて長くなっています(図 16)。これは公立保育園保育士の勤続年数の長期化や採用抑制などの要因 によるものです。保育士の経験年数が必ずしも保育の質に直結するものでは ありませんが、経験年数の長い保育士が多いことが、公立保育園の特性です。 (図16)[保育士平均勤続年数の公立・私立別比較] ※ 公立保育園は常勤の保育士(臨時保育士を除く。)を対象に算出しています。また、私立保育 園は1日6時間以上、月20日以上勤務の保育士を常勤保育士として把握したものです。 (参考) (図17)[私立保育園保育士平均経験年数園別構成比] 公立 私立 (平成 19 年(2007 年)4 月 1 日現在) 私立平均 4 年 10 月 公立平均 20 年 2 月 (平成 19 年(2007 年)4 月 1 日現在) 全園の平均経験年数:5 年 8 月
ウ 私立保育園の特性 均一な保育サービスが求められる公立保育園と違い、私立保育園は園独自 の保育理念や保育方針を持っており、保護者のニーズに対応し、多くの園に おいて完全給食(3歳以上児への主食の提供)やアレルギー代替食の実施な どきめ細かなサービスを実施するとともに、絵や運動などのクラブ活動や異 年齢児保育など個性ある取組を行っています。 私立保育園は職員の勤務体制など柔軟な施設運営が可能であることから、 延長保育や一時保育、休日保育といった多様な保育ニーズに、柔軟かつ迅速 に対応することができるという特性があります。 こうした特性を活かし、本市においては、私立保育園が主体となって多様 な保育サービスを提供しています(表7)。 (表7)[公立・私立保育園別多様な保育サービスの実施状況] (平成 20 年(2008 年)4 月 1 日現在) 区 分 公立保育園 (90園) 私立保育園 (71園) 全 保 育 園 (161園) 延長保育 36園 70園 106園 1 時間まで 36園 50園 86園 2 時間まで ― 19園 19園 4 時間まで ― 1園 1園 一時保育 ― 39園 39園 休日保育 ― 2園 2園
エ 公立・私立保育園の運営コストの比較 保育園の運営に係る公立保育園と私立保育園のコストを、公立保育園と私 立保育園の児童の年齢構成の違い(私立保育園の方がコストのかかる3歳未 満児の割合が高い。)も考慮したうえで、通常保育における入園児童1人当 たりの運営コストとして比較すると、平成18年度(2006年度)決算では、 公立は私立の約1.4倍となっています(表8)。保育園の平均的な定員で ある130人規模の園について、この方法により1園当たりの年間運営コス トを試算すると、公立では約1億 3,300 万円、私立では約 9,300 万円で、 公立が私立を約 4 千万円上回っています。 このような運営コスト差の主な要因は、公立の方が職員の勤続年数が長く 平均年齢が高いことに伴う人件費の差によるものです。 (表8)[公立・私立保育園の運営コストの比較(平成 18 年度(2006 年度))] (平成 17 年度(2005 年度)に実施された包括外部監査の際に用いられた方法により算定) 区 分 公 立 私 立 人件費 58 億 3,225 万 6 千円 55 億 9,642 万 2 千円 国基準運営費 (相 当 額) 物件費 15 億 6,388 万 8 千円 13 億 8,204 万 1 千円 その他費用 ※1 45 億7,143 万3 千円 4 億 446 万円 運 営 費 合 計 ① 119 億6,757 万7 千円 73 億 8,292 万 3 千円 各月初日在籍児童数年間合計 140,145 人 105,344 人 0歳児換算児童数(年間合計)※2 37,117 人 32,591 人 児 童 数 0歳児換算児童数(月平均) ② 3,093 人 2,716 人 0 歳児換算児童1 人当たり年間コスト①÷② (A) 386 万 9 千円 (B) 271 万 8 千円 (A)÷(B)=1.42 ※1 その他費用の内容は、公立保育園については、実際の運営コストと国基準運営費相当額との 差額を表し、私立保育園については、国基準運営費以外に市が負担しているもので、いずれも その大部分は人件費です。 ※2 0歳児換算児童数は、平成17年度(2005 年度)包括外部監査において導入された考え方で す。コストの比較をする場合に、例えば同じ児童数であっても0歳児1人に必要とされる保育 士は、4~5歳児1人に必要とされる保育士の10倍であることから、低年齢児の多い園はそ うでない園に比べて児童数1人当たり人件費が高くなります。単純な児童数1人当たりのコス トは児童の年齢構成を考慮しないことから比較の指標としては適切でないため、すべての年齢 の児童を次の計算式により0歳児に換算したうえで比較しています。 0歳児換算児童数(c)=年齢別実児童数(a)×換算係数(b) 保育士配置基準 平成 18 年度延べ児童数(単位:人) 公 立 私 立 児童年齢 児童数 保 育士数 換算係数 (b) 実数(a) 換算数(c) 実数(a) 換算数(c) 0歳児 3人 1人 1 6,698 6,698 7,689 7,689 1~2歳児 6人 1人 1/2 39,009 19,505 35,188 17,594 3歳児 20人 1人 3/20 29,413 4,412 21,220 3,183 4~5歳児 30人 1人 1/10 65,025 6,503 41,247 4,125 合 計 140,145 37,117 105,344 32,591
5 今後の保育施策の方向
保育園は、市内の各地域にあり、就学前児童の約3割が通う市民にとって最 も身近な子育て支援施設の一つであり、地域の子育て支援の拠点として、より 一層その充実を図る必要があります。 しかしながら、これまで述べてきたとおり保育園入園待機児童の解消や多様 な保育サービスの充実、すべての子育て家庭への支援、老朽化した施設の改築 など数多くの課題があり、その解消に向け取り組んでいく必要があります。 そのためには、多額の財源が必要となりますが、本市の財政は今後も引き続 き厳しい状況が見込まれています。 こうした状況を踏まえ、最小限の経費で最大の効果をあげるという観点から、 今後の保育施策の方向について、次のような考え方に基づき推進していきます。(1) 保育需要に対応した児童受入枠の確保
保育園入園待機児童の 解消 と定 員超過入園や兄弟姉妹が同じ保育園に入 園できない状況の改善を図るため、地域の保育需要に応じ、保育園整備や定 員増を行い、児童受入枠の拡充を図ります。 厳しい財政状況の中で、こうした児童受入枠の拡充に当たっては、限られ た財源を有効に活用する必要があることから、公立保育園と比較し効率的な 運営が可能である私立保育園を主体として進めていきます。なお、地域的な 状況等により私立保育園による対応が困難な場合には、公立保育園において 対応します。(2) 多様な保育サービスの充実
子どもの福祉を尊重しながら、保護者のニーズや地域バランスを踏まえ、 延長保育、一時保育、休日保育のより一層の充実を図ります。 これらの保育サービスの拡充に当たっては、職員の勤務体制など柔軟な施 設運営が可能である私立保育園の特性を活かし、私立保育園を基本として進 めていきますが、私立保育園がない地域や地域的な状況等により公立保育園 において実施した方が事業効果がより高い場合には、公立保育園において対応します。 また、病児・病後児保育については、インフルエンザ等感染性の疾患の流 行時における利用状況等を踏まえながら、実施施設の拡充を図ります。
(3) 障害児・発達障害児への支援
障害の早期発見と重度障害児や発達障害児など個々の児童の状況に応じ た適切な支援を行うため、研修の充実等により専門性を高めるとともに、こ ども療育センター等関係機関との連携を強化し、支援体制の整備を図ります。(4) 子育て家庭への支援
保育園が有する子育て支援機能を活用し、地域の身近な子育て支援施設と して、次の三つを柱にすべての子育て家庭への支援に取り組みます。 ア 親の養育力の向上支援 育児相談や子育てに関する情報提供など、親の養育力向上のための積極 的な支援を行います。 イ 地域の在宅子育て家庭への支援 家庭で子育てを行っている親とその子どもが自由に集える場所として保 育園施設を積極的に開放します。 ウ 養育支援を必要とする家庭への支援 保健センター、児童相談所等関係行政機関との連携を図り、虐待の恐れ やそのリスクのある家庭など特に支援が必要な家庭に対して、積極的に育児 指導・相談等の支援に取り組みます。(5) 保育サービスの質の向上
親の養育力の向上や子どもの生活習慣の確立のため、より質の高い保育サ ービスの提供が求められています。このため、研修内容や研修体制の充実・強化を図り、職員の資質能力の向 上を図ります。また、保育サービスの質を高めるため、自己評価制度を推進 するとともに、第三者評価制度の導入に取り組みます。さらに、保育所保育 指針の改定を踏まえ、基本的生活習慣の定着等幼児期の発達課題が解決でき るよう新たな保育カリキュラムの策定に取り組みます。
(6) 保育環境の改善
老朽化した施設の改築を進めるとともに、定員超過入園の改善を図り、児 童に対してより良い保育環境を提供します。また、施設の改築に併せて、一 時保育・子育て支援等新たなニーズに対応した保育施設の整備を進めていき ます。(7) 私立保育園の運営体制の充実・強化
私立保育園は、児童受入枠の整備や多様な保育サービスの提供など保育サ ービス拡充の中心的役割を担っており、また、子育て家庭への支援や障害児 への支援など私立保育園に期待される役割も高まっています。 しかしながら、私立保育園では、保育士の平均勤続年数が短いという実態 があることから、人材を安定的に確保していくことが必要となっています。 こうしたことを踏まえ、私立保育園の運営体制の充実・強化が必要である ことから、私立保育園の運営基盤を強化するとともに、私立保育園に対する 市の運営サポート体制の充実を図ります。(8) 効率的な保育園運営の推進
本市の厳しい財政状況の中で、より一層の保育サービスの充実を図るため、 効率的な保育園運営を進めるとともに、その推進に当たっては、限られた財 源を最大限有効に活用するため、民間活力の積極的な活用を図ります。 また、少子化の進行に伴う保育需要の減少により、地域の公立・私立保育 園の児童受入枠が過剰になる地域については、当該地域の保育園定員を削減 しますが、その場合は公立保育園の定員削減を基本として対応します。6 公立保育園のあり方
より一層の保育サービスの充実に向け、「5 今後の保育施策の方向」に基づ き施策を推進していきますが、本市の厳しい財政状況の中で着実に実施していく ためには、公立・私立保育園のそれぞれの特性を活かしながら、それぞれが適切 な役割分担のもとに、公立・私立保育園が協働・連携しながら取り組んでいく必 要があります。(1) 今後の公立保育園の役割
公立保育園はこれまで、障害児や特別な配慮を必要とする児童の受入れ、 子育て支援などに積極的に取り組み、本市の保育水準の向上に寄与してきま した。また、市の直営施設として、保護者のニーズや地域における子育て支 援の課題を的確に把握し、保育施策に反映させるとともに、採算性等の問題 により、私立保育園では対応することが困難な地域における保育サービスの 提供を担ってきました。 一方、公立保育園は職員の勤務体制の問題や施設面の制約から延長保育や 一時保育等多様な保育サービスへの対応が遅れています。 また、保育園入園待機児童解消のための児童受入枠の拡充についても職員 数の制約から困難な状況にあります。 こうした公立保育園の特性やこれまで果たしてきた役割を踏まえ、今後の 保育施策の充実を図るため、民間で十分対応可能なものは民間に委ね、公立 保育園は、児童の保育及び保護者等への支援という保育園本来の役割に加え、 次に掲げる役割を積極的に担います。 また、公立保育園の中でも、各区ごとに拠点となる保育園(以下「拠点園」 といいます。)を定めてその機能を強化し、保育士の配置を含め、地域全体の 保育サービスや子育て支援の充実を図るための体制を整備します。(参考資料 3) ア 保育内容に関する調査研究 時代に適応した新たな保育カリキュラムの作成、食育の推進など新たな課 題に積極的に取り組み、その成果を研修等の実施により、私立保育園にも広 げ全市の保育水準の向上を図ります。イ 障害児保育等の推進 各区の拠点保育園に、障害児保育等に豊かな経験を有する保育士を配置し、 各保育園に指導・助言を行います。 ウ 認可外保育施設の支援 認可外保育施設の質の向上及び児童の処遇向上を図るため、公立保育園が 有するノウハウや経験を活かし、認可外保育施設に対し、保育内容等に関す る指導・助言を行うとともに、施設の開放などの支援を行います。 エ 人材の育成 私立保育園を含 めた市全 体の 保育サービ スの 質の向上及び子育て支援施 策の一層の充実を図るため、公立保育園の運営を通じて現場の実情や課題を 把握しながら、豊富な経験やノウハウを有する人材を育成し、引き続き確保 します。 オ 保育サービス供給のセーフティ・ネット 地域性、採算性等の問題により民間では対応が困難な保育サービスについ て引き続き公立保育園において実施するとともに、大規模な自然災害、火災 など不測の事態により、私立保育園において保育の実施が困難になった場合 には公立保育園が対応します。また、子育て支援に積極的な私立保育園とと もに、地域の子育て支援の拠点としての役割を担っていきます。
(2) 公立保育園の民間移管
「4 広島市の保育の現況」、「5 今後の保育施策の方向」を踏まえ、厳 しい財政状況の中で、保育サービスのより一層の充実を図るためには、より 一層効率的な保育園運営を行う必要があります。 既に述べたように、保育園の果たすべき目的・役割は、設置主体・運営主 体が公立である場合と民間である場合とで違いはありません。 私立保育園は、公立保育園に比べると、①運営コストが小さい、②職員の 勤務体制など柔軟な施設運営が可能であり、延長保育や一時保育など多様な 保育サービスに迅速に対応できるという二つの大きな特性を有しています。以上のことを踏まえ、保育園運営の効率化を図るため、公立保育園として の役割を果たすために必要な公立保育園を残して充実させるとともに、それ 以外の公立保育園については順次民間に移管します。 民間移管後の保育園は、運営主体が市から民間事業者に変わりますが、職 員配置や施設基準など認可保育園としての位置付けや保育料、入園申込み手 続き等は公立保育園と変わりません。 ア 民間移管の基本的な考え方 ① 目的 民間移管により生じた財源と民間活力の活用により、保育園入園待機児 童解消のための保育園整備、延長保育、一時保育など多様な保育サービス の提供、保育の質の向上、さらには民間移管園の改築による保育環境の改 善など保育サービスのより一層の充実を図ります。 ② 民間に移管する保育園の範囲 公立保育園として残す保育園は、前述の「今後の公立保育園の役割」で 掲げた5つの役割を担うことを基本とします。そのうえで、その役割を果 たせるエリアごとに引き続き配置し、それ以外の保育園は順次段階的に民 間に移管します。 ③ 保育の質の確保 民間移管により、運営主体は市から民間事業者に変わりますが、市は引 き続き、指導監督権者として運営指導を行い、保育の質を確保します。 イ 実施方法 ① 試行実施 民間移管を本格的に実施する前に、まず1か所で試行的に実施し、その進 め方について評価・検証を行います。試行実施により課題が生じた場合は対 応策を検討し、その後の民間移管の実施に反映させます。 ② ガイドラインの作成 民間移管の実施に当たっては、保護者へ十分な説明を行うとともに、以下 の項目を主な内容とした移管を行う場合の一定の基準、ルールを定めた「ガ イドライン」を事前に作成し、公表します。 ○ 民間に移管する保育園選定の考え方 民間に移管する保育園は、施設管理(老朽度を含む。)の状況、地域の
○ 移管先の運営主体の選定の考え方 ・ 移管先の運営主体は、認可保育園の運営実績のある社会福祉法人とし、 公募します。 ・ 有識者や保育関係者などで構成する選定委員会を設置し、保育園の運 営方針や、障害児保育や多様な保育サービスの提供を含む保育内容、給 食の考え方など総合的な観点から質の高い事業者を選定します。 ○ 移管園数 他都市における民間移管の 実施状況 や本市において保育園を運営する 社会福祉法人数(38法人)等を踏まえ、質の高い事業者を選定するとい う観点から、移管園数は 1 年に 2 園程度とします。 ○ 在園児への影響を最小限にとどめるための対応 ・ 運営主体の変更に伴う在園児への影響に配慮し、保育内容、行事等保 育環境の急激な変更は行いません。 ・ 移管する運営主体の決定から移管実施まで十分な引継期間を確保し、 共同保育(※)を行います。 ・ 移管条件の中で、一定の経験を持った施設長と年齢や経験年数のバラ ンスに配慮した保育士の確保を義務づけます。 ※ 「共同保育」とは、移管前の一定期間において、公立保育園の保育士と移管 先法人の保育士が一緒になって行う保育のことです。 ○ 周知期間の確保 移管園の公表から民間移管実施まで十分な期間を確保し、保護者や市民 への周知を図ります。 ○ 民間移管後の市の役割・責任 ・ 民間移管後の一定期間、保護者・事業者・市の三者による話し合いの 場を設け、情報を共有し、より良い保育環境を確保します。 ・ 保護者と新たな運営主体との間で問題が生じた場合には、市が間に入 り解決を図ります。 ・ 市の保育士等が移管した保育園を訪問し、移管条件が守られているか どうかを確認するとともに、必要に応じて指導します。
計 公 立 保育園 私 立 保育園 順位 札幌市 187園 28園 159園 15.0% ⑮ 仙台市 115園 49園 66園 42.6% ⑧ さいたま市 115園 62園 53園 53.9% ④ 千葉市 92園 60園 32園 65.2% ② 川崎市 123園 89園 34園 72.4% ① 横浜市 383園 110園 273園 28.7% ⑪ 新潟市 197園 95園 102園 48.2% ⑤ 静岡市 101園 47園 54園 46.5% ⑥ 浜松市 84園 24園 60園 28.6% ⑫ 名古屋市 281園 123園 158園 43.8% ⑦ 京都市 256園 35園 221園 13.7% ⑯ 大阪市 350園 132園 218園 37.7% ⑩ 堺市 97園 25園 72園 25.8% ⑬ 神戸市 184園 77園 107園 41.8% ⑨ 広島市 159園 90園 69園 56.6% ③ 北九州市 156園 32園 124園 20.5% ⑭ 福岡市 168園 17園 151園 10.1% ⑰ 政令市平均 (広島市除く。) 34.8% 区 分 公立保育園の 占める割合 設 置 園 数
政令指定都市における認可保育園の設置状況
○ 17政令指定都市のうち、保育園全体に占める公立保育園
の割合が5割を超える都市は4市
○ ほとんどの都市は、私立保育園が保育サービス供給の主体
平成19年(2007年)4月1日現在 ※ 公立保育園には、公設民営(公が設置し民が運営)保育園を含む。 ※ 順位欄の丸付数字は、公立保育園の占める割合を高い順に示したものである。 出典:平成19年度(2007年度) 18大都市児童福祉主管課長会議資料 参考資料1参考資料2