Japanese Society for the Science of Design
Japar ユese Society for the Science of Designフ ラ
ッ
ト
デ
ザ
イ
ン
が 炙 り出 す
デ
ザ
イ
ン
の
知 恵
Wisdom
of
Design
Evoked
from
Emergent
of
Flat
−
Ul
−
Design
平 野
友 規
落 合 健 太 郎
株 式 会 社 トラ イ ア ン ドHIRANO
Tbmoki
OCHIAI
Kentaro
TRIANDInc
.
要旨
UI
(ユー
ザー
インター
フェ イス)デザ インの ト レン ドは、
従来
の スキュー
モー
フィ ッ クデザイ ンから フ ラッ トデザイ ンへ と移
行
し、
説 明
過多
な装飾
から脱却
した。 フ ラッ トデザ インとい う共通
の デザイン トー
ンによってUI
ビ ジュ ア ル デザインの 「モ ジュー
ル化
」 が 起 きて いる。
そ の こ とからUl
の ビ ジュ ア ル デ ザ イ ンがコー
ド の みで実 装 可 能と な り、
これ まで 困 難と されて い たUI
ビ ジュ ア ル デ ザ インの ラ イブラ リ化が は じ まると考え られ る。
近い将 来、
UI
の ビ ジ ュ アル デ ザ イン という 仕 事 がエ ンジニア側の ワー
クフ ロー
に組 み 込 ま れ るだ ろう。
「描 画 」 と いう デ ザ イ ナー
の専 門 性 が 揺 らいでいる。
本稿
では、
デザ イ ナー
の仕 事
の本 質
とは デザイニ ング(
行 為)
とそれ を 支 える知 恵 に ある こと を 主 張 する。 そ のた めに、
著者
ら の業 務体験
を参 考
に考 察
する。
Abstract
The
UI
design
trend
has
shiftedfrom
Skeumorphic
design
to
Flat
design
,
removing any stylistic choicesthat
give
the
illusion
of
three
−
dimensions
〔
such asdrop
shadows,
gradients
,
ortextures
).
It
canbe
forecast
that
the
commondesign
tone
that
is
flat
design
willlead
to
the
」
Modularization
of visualdesign
of
U
「’
andthis
combined withthe
fact
that
Visual
design
canbe
implemented
by
code alone willIead
to
Visual
design
field
being
completely coveredby
standard1
[braries
,
afeat
con−
sidered extremely
di
幵icult
at the moment.
In
the nearfuture
,
the
task
ofVisual
design
willbecome
part
ofthe
softwaredeveloper
’
s workflow.
In
this
situation,
wherethe
specialty ofthe
designer
whosejob
is
to
draw
is
swaying,
what exactlyis
’
」
thejOb
OfadeSignerS ?
”
In
this
thesis
,
we wilidefine
the
new specialty ofdesigner
asthe act of
designing
and the wisdom necessary †o undertakethis
act.
These
arebased
onthe
work experiences ofthe
author
.
1
.
は じ め に 近年
、
ソ フ ト ウェ ア のUI
は単
純 な 要素
と タ イ ポ グ ラフ ィー、
色面
、簡 潔
な動
き を使 用
したミニ マ リズ ムの視 覚
表現
の様
式 が トレ ン ドになっ て い る。 そ の視 覚表 現
は 「フ ラ ットデザ イ ン(
面的造
形デザイン)
田 」 と呼
ば れ、
大手
ソフ ト ウェ ア企業
(
Apple
、
、
Microsoft
な ど)
が自社製 品
のUI
にフラ ッ トデ ザ インを採 用し たこ とで
、
そ れ を後 押 し し た。 そ れ以前
は、
擬 似 的に実 物のような 質 感に似せて立体 感 や奥
行き、
光 沢感
を 演 出 し た 写 実 的 な 視 覚 表 現の様 式が トレン ドだ った。
これは 「スキュー
モー
フ ィ ック デ ザ イン (擬 似 造 形 デ ザ イン)匚2 ] 」 と 呼 ば れて い る。
スキュー
モー
フィ ックデザイ ン では、
ソ フ トウェ ア に実 装 する た めのUI
の要 素
を写 実
的 に 造 形 表現
する スキ ル がデザ イ ナー
に は求
め ら れ た。
近 年、
フ ラットデザ インを 採 用 す るこ とでその表
現 は単 純 化
さ れ、
熟 練 したデザ イナー
でな くても容 易に同 様の表 現を描 画で き る よ う になっ た。
し か し、
デ ザ インができ る か ら と言っ て誰 でもデザ イナー
にな れ る わ けで は ない。
本 稿の前 半で は、
なぜ ソ フ トウェ アのUI
にフ ラッ トデ ザ イン が 普 及 して い るのかを 建 築の歴 史と照ら し合 わせなが ら考 察 す る。
そこか らフラッ トデ ザ インが 与 え る デ ザ イ ナー
の専 門 性 の 揺 ら ぎ を 示 唆 す る。
後 半では、
その揺 ら ぎの中 に見いだ すこと の できる デザ イ ナー
の 「仕
事の本 質」 につい て再 考 す る。
そこ か ら デザイ ナー
の行っ て い る作 業と そ れを 支え て い る デザ イ ナー
の知 恵につ いて考 察 する。
2
.
UI
の フラットデ ザ イン化と専
門性
の揺
らぎ2.
1
.
UI
の フ ラットデ ザ イン化 ソ フ トウェ アのUI
にス キュー
モー
フィック デ ザ イ ンが採 用さ れていた 理 由の ひ とつ に 「現 実 世 界の物 理 的 な 類 似 性 や 文 化内
で の標 準
的 な 決 ま り」 と 「ソ フ トウェ アのUI
」 を自
然に対応
づ けると、
す ぐ に理 解 がで き る よう に な る という意 図が あっ た。
Ul
を 現 実 世 界 に 存 在 す る 馴 染 み の あ る 形 に す るこ と で、
ソ フ ト ウェ アに 対 す るユー
ザー
の学 習 と 認 知 を 促 し たのだ。
し か し、 パ ソコ ンやスマー
トフォ ン、
タ ブ レッ ト、
電 子 書 籍、
デジタ
ルサイネ
ー
ジ、
WEB
サ イ ト な どのオン スク リー
ンメ ディア が成 熟 化し た こ と によ り馴 染み のな かっ たソ フ トウェ ア のUI
は一
般 的にな り、
UI
よ りコ ン テ ン ツが 重 視 さ れ 実 物 を 模 倣し た質
感は視 覚 的ノ イズ と感 じられるよ う に なっ た。
さら に多
種多様
な画 面サ イズに対 応 するた めの視 覚 表 現 が 必 要 に なっ14
デザイ ン学研究特 集 号speclal issue ofjapanese societyforthe scienceof design
VoL21
−
3 No.
83 2014NII-Electronic Library Service
iOS
標 準
のメー
ル作 成圏面 異
な るOS
のUI
パー
ツを合成
した囹面 (
賦
み)
Android
の メー
ル作成 颪面
図
1
.
UI
要素を 入 れ 替 え て も デ ザ イントー
ン が崩れ ない (試 み)iOS
標 準 の メー
ル 作 成 画 面 (App
[elnc
.
,
2014
)、
Android
の メー
ル 作 成 画 面(
lnc
.
,
2014
) たこと も 要 因 と な り、
大 手ソ フ ト ウェ ア のUI
がスキュー
モー
フィ ックデザイ ンから フ ラッ トデザイ ンへ 移 行し、
説明過多
な 装飾
を 脱 却したと考え られる。
こ の流れ は、
モダニ ズム建築
の成り 立 ち と重な る。
20
世 紀 初 頭 に、
19
世 紀 以前
の装 飾を用い た様
式建
築を否 定 す るモダ
ニ ズ ム建 築が躍 進し た。
鉄 骨 造 や 鉄 筋コ ンク1丿一
ト造、
ガ ラス の普 及 な ど、
使 用 地 域 に 依 存 し ない建 築 材 料 が 大 量 生 産 可 能 に なっ た 技 術 的 な 要 因 も重 な り、
モダニ ズ ム 建 築 は 機 能 性、
合 理 性 と いっ た 基 本 理 念 を もっ た。
装 飾 を 省 くこ とで地 域 性 と 民 族 性 を 超 え た 普 遍 的 な デ ザ イン(
標 準 化)
の成 立 を 目指 したの である。
モダニ ズム建 築 とフ ラ ットデザイ ン は共 通 点 が 多い。
装 飾 を排 した 外 観の変 化はも ちろ ん、
地 域 性と 民族性
を 超えた普
遍 的 なデザイ ン (標 準 化 ) を目指 すと い う こ と も、
iOS
(
Apple
>、
Android
(、
Windows
(
Microsoft
)
とい っ た ソ フ トウェ アが
世 界 中
の国
と 地域
で使 用
さ れ、
等
し い体 験
を も たらす
こと を目指
し ている点
で共
通し て い る。 モダニ ズム建築
の代
表 建築家
の ひ と り で あ る ル・
コ ルビュ ジエ が 提 唱 したモデュ ロー
ル は、
人体
の寸 法 と黄
金 比 か ら建築
や工業
生 産物
に おい て最
適 な 寸 法 を導
き出
し、
共
通の尺 度
とする こと を目
指
し た。
実際
にモ デュ ロー
ルが国際
的 な 寸 法 と して採用
さ れる こ と は な かった が、
後
の 工業 生産
の考
え方に大き く影 響を与え た。
2.
2.
モ ジュー
ル化
フ ラッ トデザ インに よっ て ソ フ ト ウェ ア のUI
が標 準
化に向 か うこ とで、
UI
の ビジュ ア ル デザ インがモ ジュー
ル化 さ れる 可 能 性 が あ る。
ソ フト ウェ アUI
の ビ ジュ アルデザ インがスキュー
モー
フ ィ ック デ ザ インか らフラッ トデザ イン へ 移 り変 わると、
Ul
の外 観 を切 り替
え る最
小単 位
が さ ら に 小 さ くなるか ら だ。 スキ
ュー
モー
フ ィック
デザ
インで は、
あ る質 感
の デザ
イン トー
ン(
Look
&FeeD
が 適 用 さ れ た ボ タンやスクロー
ル バー、
タ ブ、
壁紙
な どがセ ット に なっ た も の〔
ス キ ン セ ッ ト や テー
マ、
ビ ジュ ア ル スタイ ル と言わ れ る も の)
が外 観を切り替え る最 小単
位 だっ た。
切り替え 可能
な ソ フ ト ウェ ア で は、
こ の ス キ ン セ ッ ト を複 数
用意し交 換
す る こ とで外 観を切 り替え た。
し か し、
フ ラットデザ
インで はボ
タンや ス クロー
ルバー、
タブ
と いっ た 個 々 のUI
コ ン トロー
ル が 最 小 単 位 に な る。
極 端 な 例 だが
、
Android
のGmail
の 送 信ボ
タンの デ ザ インを、
iOS
の メー
ル ア プリの送 信 ボ タン のデザ インと 入れ 替 えてもデザイン ト
ー
ンが崩
れ ないとい うこ とで あ る。
図1
はこ の入 れ替
え た例 を表
して い る。
なぜな ら ば、
iOS
とAndroid
のUI
の外 観 が 「フ ラ ッ ト」 という 共 通のデ ザ イン トー
ンで実 装 さ れ るの で、
交 換 して も 外 観の統一
感 が 維 持 さ れ る か ら だ。
つ ま り、
フ ラッ トデザ イ ンとい う 共 通のデ ザ イン トー
ンを もっ ことで各UI
コ ン トロー
ルの外 観 は 異 な るソ フトウェ ア でも、
その トー
ンが 維 持 され 交 換 可 能 な 構 成 部 分 と な る。
本 稿ではこれ をUI
ビ ジュ アルデザ インの 「モジ ュー
ル 化」 と 考 え る。
も ち ろ ん、
この図 に 示 す 試 み は 極 端 な 例であ り、
実 際 に は カ ラー
スキー
ム な どの違いで整 合 性 が 合 わ ない こと も ある。
重 要 なのはフ ラットデザ インとい う視 覚 表 現の様 式 を 通し て、
UI
ビ ジュ ア ル デザイ ン におい て も モ デュ ロー
ル の考
え方 が普
及 し は じ めている点にある。
2
.
3
,
ラ イブ
ラ リ化 で は、UI
ビ ジュ アルデザ インの 「モジュー
ル化
」 が 進む と、
何が起こるのか ? ソ フ トウェ アエ ン ジニア リングの歴 史 か ら考
えてみ たい。
ソ フト ウェ ア の分
野で は、
頻 繁
に使
用 さ れ る処
埋 は 抽象
化 さ れ、
再 利用
しやす
い形
としてまと め られ
た 「ライブ
ラ リ」 とい灘
獣
:
咢
∵
∴
に
鑑
Japanese Society for the Science of Design
Japar ユese Society for the Science of Designう形を と る
。
ラ イブラ リ は内 部に ま と め られ た 処理や 機 能 を 呼び
出
す た め の 「AP1
(
Application
Programming
Interface
)
」 と言 わ れる窓口を設 け てお り
、
ラ イブラ リを 使用するエ ンジニ ア は、
そ のAP
吃呼
び出
すだけ で内部
の処
理 を実 行
できるよう に なっ て い る。 ソ フ トウェ ア の開発現 場
では、
こ の ライ ブラ リが整 備
され 共通 化
と効率 化
が 進め られ
た。UI
ビ ジュ ア ル デ ザ イン の 「モ ジ ュー
ル 化」 は、
こ うい っ た ラ イブ
ラ リ の思 想 との親 和 性 が 高い。
さら に実 装 観 点 からもそ の 有用性
は高
い。
ス キュー
モー
フィ ック デザイ ン のボ タン を実 装 する場 合、
立 体 感 や 質 感 が 描か れた ビッ ト マップ画像 をデザイ ナー
が切 り出し、
エ ンジニ アがそ れ を貼 付け るプログラ ム を書 く こ と でボ タ
ン の デザイ ン を実装
する。 し か し、
フ ラッ トデザ インのボ
タンを実 装
する と、
ソ フ ト ウェ ア の命令
セッ ト を用い て単
一
の色
面 や文 字
を描
画 す るこ とができ る。
ビッ トマ ップ 画 像 を使
用せず
に 実 装 す るの で、
フ ラ ッ トデザ インに 限 れば
UI
のビ
ジュ アル デ ザ インはコー
ドの み で実 装 可 能 と な る。
コー
ド の み で実 装 可 能 ということ は、
U
[のビ ジュ ア ル デザ イン がエ ンジニア側で使 用できる リソー
スに なる可 能 性 を 示 している。
こ れ は、
Web
フォ ン ト や イ ンター
ネッ ト上で配布
さ れ て い る アイコ ンな どで部
分的
に現実 化
されつ つ ある。UI
の ビ ジュ ア ル デザ
インが再 利 用 可能
な ラ イブ
ラ リ と し て使
用 で き る よ う に なっ てきて いるのであ る。
2
.
4
.
デザ
イ ナー
の仕 事
フ ラッ トデザ インを きっ か け に モジュー
ル化
と ラ イブラ1丿化
が進
み、
UI
の ビ ジュ ア ル デザインはエ ン ジニ ア側
の ワー
クフ ロー
に組 み 込 ま れ るだ ろう。
し か し、
「UI
を 視 覚 化 す ること」 に関 する デ ザ イ ナー
のすべ て の仕 事が、
エ ンジニ ア側へ移る の だ ろ うか ?UI
の 開 発フ ロー
を 振 り返 り なが ら考えてみ る。
Ui
の開 発は以 下の5
つ の作 業に分 類される と著 者ら は考えて い る。
要 件 定 義 作 業 : ユ
ー
ザー
ニー
ズ に あっ たコ ミュ ニケー
ショ ン戦 略 を 考 え
、
それ に 適 した機
能 とコ ン テ ン ツを 定 義 す る抽 出 作 業 :要 件 定 義 し た 機 能 とコ ンテン ツに 当ては ま る
U
[ の要 素 を 抽 出 す る構 築 作 業
:抽 出
したUl
の要 素
を分
かりや す く整 理
し組
み立て 設 計
資
料にす る視 覚 化 作 業 :設 計 資 料 を 参 考 に
UI
の ビジ
ュ アル デ ザ インを 描 画 する実 装 作 業 :描 画した ビ ジュ ア ル デザイ ン に機 能
・
音・
動 き な ど を 組み合 わ せる 上 記の分類
を職 種
別に置
き 換え ると 以下 の通 りである。
要 件 定 義 作 業 ;マ
ー
ケッター
やプ ランナー
抽 出作 業
:イ ン フ ォ メー
ション アー
キテク ト構 築 作 業 :インフォメ
ー
ションアー
キ テ ク ト視 覚 化 作 業 :デ ザ イ ナ
ー
実 装作 業
; エ ンジニ ア16
デ ザ イン学 研 究 特 集 号sPec[21 issue ofjapanese seciety ferthe science ofdesign
Vol
.
21“
3 No.
83 2014 こ のがエンジニ ア の ワ
ー
クフ ロー
と して組み込 ま れる可 能 性 を 指 摘した 部 分である。
しかし、
上 流工程であるイン フォメー
ショ ン アー
キテク トが 仕 上 げてき た の資 料 を鵜 呑みに し、
下絵
と し て絵
を描
いてい るわ けで はない。
デザ イ ナー
はマー
ケッ ター
や プラ ンナー、
イン フォメー
ショ ン アー
キテク ト、
エ ン ジ ニ アと相 談
しな がら〜
の
作 業
を横
断 的 に、
ま た 統 合 的 に 捉 えての
作業
を行
っ て い る の である。例
え ば、
デ ザ イ ナー
とエ ンジニア が行 う、
「 こ のデザ
インは実装
で きるか?」 と い う対
話 が あ る。
デ ザ イ ナー
の知 識 不 足で実 装 可 能か分か らない と い う 状 況 も 考 え ら れるが、
熟 練 した デザ イナー
の場 合、
「実 装上 難 しいのは 想 像でき る が、
こういう 理 由 が あ るので、
どうに か 実 装 して欲 しい」 と通 常 よ り手 間が か かる 方 法をエ ン ジニ ア に要
求 す ること も多
い。
デ ザ イ ナー
が そのよ う な 要 求 を す る 理 由 は、
ユー
ザー
ニー
ズ を 重 視 した クライア ン トの 「想い 」 やコ ミュ ニ ケー
ション戦 略
と して の 「メッ セー
ジ」な ど をUl
の外 観 や 動 作の表 現と して、
よ り良
くユー
ザー
に伝
達で き る こ とを 求めて いるか らであ る。
こ の行 為 は、
小 説 家 が 読 者 に 対 して、
ど うい っ た 単 語 を 選 び、
章
立てを す れ ば、
よ り魅 力 的 に 意 図 や 雰 囲 気 が 伝 わ るかを 考え る仕 事
と似
ている。 例 え ば、
「今 日 は38
度の猛暑
日で し た」 と記
述 する の と、
「庭では蝉
がミ ン ミ ンと 鳴 き 続 けて いた」 と 記述 す
る の で は、
暑
かっ た とい う事 実
は同
じでも 意味
が微 妙
に 違 う。
後者
は蝉
という モ チー
フから、
よ り夏
を 想 像 させるか も し れ ない。
この微 妙な意
味の違い こ そ が表
現 活動 を仕事
に す る専 門家の肝要 で あ り戦場 だと 言 え る。
デザイ ナー
もユー
ザー
に対 し て、
よ り魅 力 的にユー
ザー
ニー
ズ を 重視
するクラ イ ア ン トの 「想 い」 や コミュ ニ ケー
ショ ン戦 略と し て の 「メ ッセー
ジ」 が 伝 わ る よ う に、
UI
の外 観 や 動作
の表
現と し て デザイ ン語
の言 葉 選 び を して い るので あ る。
前 述 し た、
モジュー
ル 化 とラ イブ
ラ リ 化 が 進 みエ ンジニ ア 側の ワー
クフ ロー
にUI
のビ ジュ アル デ ザ インが 組 み 込 ま れ るこ と は、
エ ン ジニアがデザ イン語 を 扱 えるよ う に な ることを意 味
し て いるわ けでは ない。
それ は あ く までも、
エ ンジニ アが、
デザ イン語か ら具 象 化された ひ とつの例 文集
を扱え る よ う に なっ た とい うこ となのだ。
つま り、
「視 覚 化 作 業 」 の一
部で あ る 「描 画」 のみ が ラ イブ
ラ リ化 さ れた というこ と な のであ り、
「描
画ユ だ けではデザ イ ナー
のすべ て の仕 事 を 語 れ ないので あ る。
こ こ に デ ザ イン の本 質 を 見いだ すことができ る。
本来
、
デザイ ンとい う言葉
には 企 画、
意 図、
目 的、
図 案、
意 匠 な どの意味
が含
ま れ、
モ ノゴ トを 生み出 す プロセス全 般 に 関 わ る こと を 指 す。
しか し、
ビ ジ ネスに お け る 生 産 効 率 向 上 の た め の分業
化 を 優 先した 結 果、
前 述 し た 役 割 分 担とな り 「描 画」 だ け がデザイナー
の専 門になっ た よ う に 見て と れ る が、
実 際
は〜
の
作 業
を横
断 的に、
ま た 統 合 的に捉 えて視 覚 化 作 業 を 行っ て い る。
フ ラッ ト デザイ ンが 引 き起こすモジュー
ル化 とラ イブ
ラリ化によっ て、
デ ザ イ ナー
の仕 事
の本質
が 炙 り だ さ れて いるのだ
。 デ ザ インコ ンサ ル タン ト会社
のIDEO
の設 立者
の ひと りである、
副
NII-Electronic Library Service
繭 麟
繍 齢
…・
図2.
イ ンタラ ク ショ ン デザイ ン のプロ セ ス (Moggridge,
2006 ) ビ ル・
モグ リッジ [31は、
『Designing
Interactions
』[4 ]の中で 図2
と ともに、
インタラクショ ンデザ イン のプロセス につ い て以 下 のよ うに述べ て いる。
Elements
ofthe
Design
Process
We
cangeneraIize
the
interaction
design
process
withthese
ten
elements ;constraints,
synthesis,
framing,
ideation
,
envisioning,
uncertainty,
selection,
visualization,
prototyping
,
and evaluation.
They
w“I
oftenbe
usedin
the
same sequence,
andrepeated
iteratively
,
but
the
mostproductive
process
is
usually out of order ;it
can sometimes seem almost random.
Remember
thatpinball
machine analogy.
インタラクショ ンデザ インのプロセス は10の要 素で
一
般 化する こと ができる
。
それらは、
多
くの場 合、
Gonstraints
→Synthesis
→Framing
→Ideation
→Envisioning
→Uncertainty
→
Selection
.
・
Visualization
→Prototyplng
→
Evolution
の順序
で用いら れ、
反復 的
に繰
り返さ れるが、
最
も生 産 的 な ブ ロセ ス は常に そ の よ う に は い か な い。
そ れ は 時 々、
ほ と んどでた ら め な よ う に見え
、
ま る でピンボー
ル マ シ ン を想 起さ せ る
。
(
Moggridge
,
2006
)
デ ザイナー
が視 覚 化 作 業 (Visualization
)
を す る場合
に、
そ こ だけ 単 体で作 業 して い る ので は な く、
プロ セ ス 全体
を横
断 的 に、
ま た 統 合 的 捉 えて作 業 を 行っ て い ること がよ く分かる。 で は、
な ぜ デ ザ イ ナー
は 第 三 者 と関 わ りな が ら そのよ う に 作 業が 行 え るの であ ろ う か。
次章
では、
著 者 らの業 務 体 験か ら見いだ した 描 画 する こと 以 外の 「デザ イ ナー
の作 業 」 とそ れ を支
えて い る 「デザイ ン の知 恵 」 を 例 に 挙 げ 考 察 する。
また、
本稿
では 描 画しアウ トプッ トされた成 果 物を 「デザ イン (成 果 物 )」。
描 画 を 含 む よ り広い 「デ ザ イナー
の作 業 」 の全 体 を 「デザ イ= ン グ (行 為 )」 とす る。
3
.
デ ザ イ ン の知恵
3.
1.
媒
介 す る こ との デ ザ イニ ングWEB
サ イ トやサー
ビス、
アプリ ケー
ションな どの案件
で、
デザ イ ナー
へ仕 事
が 発注
されるタイ ミ ングは、
クラ イ ア ン ト(
発注
者)
による市 場
調 査や競
合 分析
、
既存
サ イ ト、
既存サー
ビス の評価
な どが終
わ り、
今 後の コ ミュ ニ ケー
ショ ン戦 略 が 立 案 さ れ た時 だ。 そ の際
に ク ラ イ ア ン ト と デザイ ナー
と の打ち合わ せが 設け ら れ る。
そ こ で要件
定義
を伝
え ら れ デザイン(
成 果物 )
を 発 注 さ れ る。
し か し、
実 際は 具体
的に コ ミュ ニ ケー
ショ ン戦 略 が 立案
さ れ、
そ れ に適し た機
能と コ ン テ ン ツ を定 義さ れ た書 類 がその場にあ るこ と は稀であ る。経 験
上、
曖 昧
な ま ま打
ち合
わ せが 設 けられ るこ とが多
い。 そ の理由
と し て 「ま だ完成
イ メー
ジ が 湧かず
、
そ の戦 略
が妥 当
な の かクラ イ ア ン ト側
も分
からな い こと」 ま た は、
「紙
メ デ ィ ア と違いオン スク リー
ンメ デ ィアで は、
デザ
イン(
成
果物 )
に実 装
が加
わ り、
機 能
や動
きの インタ ラ クショ ンが発 生 す るの で、
完 成イ メー
ジ が掴み づ らい こ と」 など が考え られる。
そ の た め、
目に見え ない機 能や仕 組み、
具 体 的なコ ンテンツ を可 視 化し た設 計 資 料を作
成す る必要があ る。
こういった設 計 資 料の 作 成は、一
般 的に は イン フ ォメー
ショ ン アー
キテ ク トが担 当 する が著 者ら は デ ザ イ ナー
が担っ て い る。
一
般 的 な 設 計 資 料の内 容 は、
単 純 な 図 形と文 字 に よ る サ イ トス トラ ク チャやフ ロー
チャー
ト、
ワイ ヤー
フ レー
ムに よ る 画 面 設 計 書 な どであ る。
社 内で のコミュ ニケー
ショ ンの手 段 や 検 証 用 の モックアップ とし て それ を 利 用 することの 有 効 性は高い。
し か し、
情 報 構 造の組 織 化に注 力 するあ ま りその表 現に不 慣 れ な クラ イ ア ン トに設 計 資 料と して提 出 した場 合、
経 験上、
読 解静鰕
驚
∵ :
∴
:
」
臨
Japanese Society for the Science of Design
Japar ユese Society for the Science of Design、
一尋
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図3
.
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L.
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.
.
叮
.
rt
.
」
デザイン (成果物)を含ま せ た設計 資 料 (TRIAND
lnc
.
,
2014
) 欲 (読 み 解こう とす る 意 欲 )の低 下 を 招 き 理 解され ない こと が 起 き ること が あ る。
そこ でデ ザ イ ナー
が 担 当 し、
デ ザ イン (成 果 物 ) を 含 ませ た 設 計 資 料 に す る という 方 法 が 採 用 さ れ る (図3
)。
著 者 ら が 作 成 する設 計 資 料の 目 的 は、
目 に 見 え ない機 能 や 仕 組み、
具体 的 なコ ン テ ン ツを可視 化し、
読 解 欲 を 向 上 さ せ、
デザ イン (成 果 物 )のイメー
ジ (仮 案 ) を 見て対 話できる 場 を 創 造 することである。
それ 故に、
そ の時 点で デザ イン (成 果 物 ) を 決 定 することに重 点 を 置いて はい ない。
重 要 なの は デ ザ イ ナー
が 用 意 し たデザ イン(
成 果物 )
やそれ を含
ん だ設計 資
料 が、
クライアン トの要 件 定 義 や 完 成 イメー
ジ に 対 して 「妥当
だっ た /妥 当では な かっ た」 の判 断 基 準 と なる こと だ。
仮
に 妥 当では な かっ たの であ れ ば、
そ の場で一
緒に赤ペ ン で修 正 する こと が 可 能であ る。
そこに 「創 造 的 な 対 話の場 」が 生 ま れる。
こ う した 対 話の場 を 創 出 する ことで、
クラ イ アン ト と一
緒
に デ ザイ ン (成果物)
を見な が ら考
え、
考え な が ら デ ザ イン (成果物 )
の創
成が始
ま る。
つ ま り ク ラ イ アン ト は、
デ ザ イ ナー
を媒 介 す る こ とでデ ザ イン(
成果 物〉
の制 作に関 与す ること ができ る の で あ る。
こ れ が、
媒介 す る こ と の デ ザ イニ ング (行 為 )で ある。
図4
は こ の関わ り合
い の状
況を表
し て い る。
3
.
2
.
媒 介 す るこ と のデ ザ イニ ング を 支 え る 知 恵 媒 介 するこ とのデザ イニ ング(
行為)
を 支 えている の は、
「対
話」 を 通 して解 を 創 成 するというデザ イン の知 恵である。 これ は デ ザ イン (成 果 物)
が 「答 え(
ある目
的 を 達成
するため の成
果 物 ) と 問 題 (成 果 物 を 見て新
しい問 題 を顕 在 化
させ る こと)
を同時に提示 す る と い う特 性に よっ て成立 してい る。
こ こに ク ラ イ ア ント とデザイ ナー
の建設的な相互作
用 を創 出す る こ と が できる の である。
著 者ら が 担当
し たG
社のWEB
サ イ ト リニ ュー
ア ル プロジェ ク ト(
図5
)
の事
例を参考
に取り 上 げ る。
この事 例で は、
トップペー
18
デ ザ イン字研 究特 集号 sPec」al IssueoflaPanesesocletyforthescienceofdesign Vol.
21.
3 No.
S3 2014Client
Designer
図4
.
クライア ント と一
緒にデザ イン (成果物 )を見な が ら考え、
考 えな がら デザイ ン (成 果物)を構想し 可視化する ジの メ イ ンビ ジュ ア ル とグロー
バ ル ナ ビ ゲー
ション の項 目 を決
定 す るにあたって、
こ の知 恵
が有効
に は た ら い た の でそ れ を考
察 す る。
リニ ュー
ア ル 前のG
社のWEB
のサ イ トでは、
メ インビ ジュ ア ル は 「会 社 全 体 を 空 撮 した 写 真 」、
グロー
バル ナ ビゲ
ー
ショ ン は 「会 社案
内1
伸 銅 製 品1
マグ ネシウム製 品1
研 究 開 発1
マグ ネシウム量 産 開 発1
設 備 紹 介1
採 用 情 報1
お 問 合せ」 となっ て いた。
そ れによ りG
社のWEB
サ イ トを 瞬 間 的 に 見 た 時 に、
何 が 強みなの か不 明 確 だという 問 題 が あっ た。
そこ で、
トッ プ ペー
ジの最 初の デ ザ イン提 案で は 「金 属 を 取 り扱 っ て いる 企 業」 とひと 目で分 か ら せ る た め に メ インビ ジュ アル に 「加 熱 炉 の写 真」 を 使 用 し、
グロー
バ ル メニ ュー
に は バラバラだっ た製 品 を ま と めて 「製 品 案 内 」 とい う項 目 を 用 意 し た。
その デザ イ ンを 提 案した 打 ち 合 わせ の中で、
G
社で は 「今 後の主 力 事 業 とし て マグ ネシウムを 推したい と い う こ と」がク ラ イ ア ン ト に よっ て言 語 化 され た。
デザイ ナー
が 提示 し た情 報の構
造を分か りや す く まと めた 「製 品 案 内 」 と い う 項 目 に は、
マグネ シ ウ ム を 推 し たい とい う企業
の想いを 表 す 項 目 が抜
け落
ちて い た の だ。
そ れ に 付 帯 して、
「加 熱 炉の写真
」 よ り「加
熱 炉
から丸棒
を 取 り出 し た写真
」 の方 が 良い の では ないか とい う意 見
も クラ イア ントか ら提示さ れ た。
こ こ で重
要な の は、
マグネシ ウ ムを 推 したいという意 見 がデザ イ ナー
か らの提案
を見て クライアン トから 発 言 さ れ たこと と、
併せて ク ラ イ アン トか ら メイン ビ ジュ ア ルに 使 用 す る 写 真の ア イ デ ァ が 生 ま れ たこと だ。
ク ラ イ アン トが本 当 に伝 え たい こ と は彼ら の 心 の奥に あ り表に現 れて いない。
それ を クライアン ト が 自ら気づ ぎ、
他 者に伝えるこ と は難 しい。
だ か らこそ デザ イ ナー
は、
暫 定 的 な 答 え を 提 示 しな が ら クライア ントの中
にある 本 当 に 伝 え たい こと を 視 覚 的 な 問 題提
起 から引
き出
そ う とす
る一
NII-Electronic Library Service
リ
= ユー
ア ル
前
の
G
社
WEB
サ イ ト
図5
.
企 業G
社 のWEB
サ イ トの リニ ュー
ア ル 前 と リニ ュー
ア ル 後 の トッフペー
ジの違いリ
ニ ュー
アル
後
のG
社
WEB
サ イ
ト
のだ。 デザ イン(
成果物 )
の イ メー
ジ が 目の前
にある ことで、
お互い の頭の中
にあっ た曖 昧
な構 想
が 目の前
に顕在化
、
具体 化
し留
ま る。 そ れ故
に話 者 達
は、
同じ対 象
を 見て指
差し ながら の議論
が 可能
となる。 今 回の例では、
G
社のWEB
サ イ トを 最 初 に 見 た 時の、
何 が 強 みなのか 不 明 確であるとい う 気づ き に 対 して、
まず
デザ イ ナー
側 が 問 題 提 起 を し たの である。
それ は 製 品 案 内 というグロー
バ ルナ ビ ゲー
ション の項 目 とメインビ ジュ ア ルと して 「加 熱 炉の 写真
」 を使
っ て 「金属
を取
り扱
っている企業
」 という答
えを提
示しな がら、
本 当
に 「金属
を 取 り扱
っ て い る企業
」 と い う答
え に賛
同 できます か? と い う問い である。
それに対し て、
クラ イ アント側 が 「マグ ネシウ ム を推
したいllという彼 らの心の奥 に あった本 当
に伝
え たい こと に 気 づ き、
加 えてメ インビ ジュ アル の 写真
の ア イ デ ア ま で創
出し た の で あ る。
マグ ネシ ウ ム製 品 が 新し く開 拓し た い 分 野であ る こ と を知ら さ れ て い な かっ た デザ イ ナー
が、
短 い打ち合わ せ時 間の中
で、
そ の答え を導
き出
す こ と ができ た の は、
「対話」 を 通 し て解を創
成す る と い う デザイ ンの知恵
を デザイ ナー
が使
っ た か らだと言え る。 哲 学の分 野でも、
な ぜ デ ザ イン (成 果 物 ) を 見 なが ら考 え ると建
設 的 な 対 話 がで き るのか? とい う 問いに挑 戦
した人物
が い る。17
世 紀 後 半 か ら18
世 紀 初 頭の哲 学 者であ り、
数 学 者で も あっ た ゴッ トフ リー
ト・
ヴ
ィルヘルム・
ラ イ プニ ッツ[5]の 思 考理論 がそれである。
この思 考 理 論 を 解 説 した、
ホ ルス ト・
ブ
レー
デ カンブ 著 『モナ ドの窓』[ 6] では、
以 下の よ う に 述べ て いる。
見 る こ と の重要性は200
年 前 からも 指 摘 さ れている。
紙
上 に、
あ る い は他
の メ ディア上に形 作られる こ う した 記 号の世
界がなけれ ば、
諸 客体
の間 をつない で い く シ ス テ ム マ ティ ック な 思考
は想定
でき ない、
と彼
は言う のだ。 (Bredekamp,
2010
)3.
3.
デザ イ ナー
の仕 事
の本質
こ のよ うな 業 務 体 験 か ら、
「デ ザ イニ ング (行 為 )」 は 「デ ザ イ ンの知 恵」 に よっ て支 え ら れていること が 分 か る。
デ ザ イ ナー
は デ ザ イン (成 果 物 ) にユー
ザー
ニー
ズ を 重 視 し た ク ラ イア ン トの 「想い 」 やコ ミュ ニ ケー
ション戦 略 と して の 「メ ッセー
ジ」 を 込 めるた めに、
クライア ントとの コ ミュ ニケー
ションを 円滑に しな がら視 覚 化 作 業 を する。
「対 話」 を 通 し て解
を創 成す る と い う デ ザ インの 知恵に支え ら れ て、
マー
ケッター
や プ ランナー、
インフォメー
ショ ンアー
キ テ ク ト、
エ ン ジニ ア など の専 門 家と の関 係 性 を 強 化 し、
そ れ ぞ れの才 能
を紡
ぎ合
わせ て い る。 そ こ に は、
デザイ ナー
がWEB
サ イトやサー
ビス、
アプリ ケー
ショ ンな どの開
発 プロジェ ク ト に一
貫
して携 わ
ることの意 義
を 見いだ す ことがで きる。例
え ば、
打
ち合
わ せ の時
に下 記のよう な スロー
ガンを も ら うこ とが あ る。
「今 回の コ ンセ プ ト は/
t
ユー
ザー
と社 会をっ ない だ、
グ ロー
バ ル コミュ ニ ケー
ショ ン の実 践に よ る未 来へ の可 能 性と、
連 続 的な 進イビ です。
」 こういっ た戦 略上 の ス ロー
ガン は、
デ ザ イン(
成果 物)
よ り も前の 上 流 工程で立案
さ れ ること が多
い が、
最 終 的 な デ ザ イン(
成 果物 )
を 描 き 合致
し て こそ 強 く な る。 どんなに崇 高
な戦略
も具体 的
な戦術 (
視 覚 的成
果物 )
に落
とすこ と がで き な け れば
、
机 上の空 論
で終
わって し ま う。 マー
ケッター
が 調 査 し たユー
ザー
ニー
ズ
や プ ランナー
が 考 え た ユー
ザー
ニー
ズに合 致 し た 企 画。
それ らの機 能 仕 様 とコ ンテン ツ要 求にあっ た 情 報 構 造 な ど、
い くつ もの前 提 条 件 が 積み上 げ られ たコミュ ニ ケー
シ ョ ン戦 略 を 顕 在 化 すること が デザ イ ナー
の仕 事の本 質 なのだ。
そのた め に デ ザ イ ナー
はプロ ジェ ク トの 舵 取 り を す る よ う な 役 割 を 担う必 要があ る。
各 職 種の専 門 家で ないデ ザ イナー
が、
そ れらを 紡 ぎ合 わせ るた め に 「対 話 」 を通 して解 を 創 成 す る という デ ザ イン の知 恵 を 役 立てること がで き る。
デザ イン の専 門 性 と は、
複 数の異 な る 専 門 家 た ちの媒 介 者 と な りデザ イン (成 果 物 ) を 通 し た 対 話 を 組 み 立てること に あ藷
驚
:
∵:
∴
L
に
鑑
Japanese Society for the Science of Design
Japar ユese Society for the Science of Designる と言え る
。
これ らの役 割 は 開 発 プロジェ ク トの進 行 管 理に関 わる職 種 が 担っ て い る場 合 も あるが、
解 を視 覚 化し開 発 プロジェ クト メ ン バー
の目 前 に顕
在化
する こと に よる創
造 的対話
の創 成
は、
デザ イ ナー
も ま た そ れ を 可 能 に する専 門 家 だ と 言 える。
今 後、
デザ イ ナー
は 創 造 的 な プロジェ ク トの創 造 的 な 対話
の場
を促
進 する キー
パー
ソ ンと なっ て いく に 違いない。
4,
お わ りに4
)Bill
Moggridge
:Designing
Interactions
,
The
MIT
Press
,
pp
,
729
、
2006
5
)
ゴッ トフ リー
ト・
ラ イ プニ ッ ツ、
Wikipedia
,
http
:〃ia
.
wikipedia.
orgfwikV ゴッ ト フ リー
ト・
ラ イ プニ ッツ、
2014
−
07
−
20
,
6
)
Horst
Bredekamp
:モ ナ ド の窓
ライ プニ ッ ツ の 「自 然
と 人 工 の 劇場 」
(
原題 :DIE
FENSTER
DER
MONADE
:Gottfried
Wilhem
Leibniz
’
Theater
der
Natur
undKunst
)
、
産業
図書
、
pp
.
95
、
2010
本稿
で は、
UI
デザインが スキュー
モー
フィッ ク デ ザインか ら フ ラッ ト デザイ ン に変
化す る こ とで、
モ ジュー
ル化・
ラ イブ
ラ 1丿化す る こ と に つ い て考 察し た。
それによ り 「描 画 」 というデ ザイ ナー
の専
門性
が揺
ら ぐ こ とで、
デ ザ イ ナー
の仕 事の本 質が炙
りだ さ れた。 つ ま り、
デ ザ イニ ング (行 為 ) とそ れ を 支 え る知恵
の存 在
であ る。
ま た、
第
三者
と 「創 造 的 な 対 話」 を 通 して解
を 創 成 す る とい う デ ザ イン の知 恵 を 使 うことで、
デ ザ イ ナー
が プロジェ ク トの上 流工程 から一
貫し て仕 事に携 わる こ と の有 効 性 を 提示 し た。
今 後は、
要件
定義 作 業
ま で も デ ザ インとい う 仕 事の射 程に 入っ て く るだろ う。
だか ら こ そ、
フ ラット デザイ ン に よ り 「描
画」 と い う デザイ ナー
の専
門 性が揺らい だこの タ イ ミ ングで デザイ ナー
の仕 事
の本質
を捉
え直
し、
デザ イニ ング を適
用す
る領 域
を広 げ
るこ と が重
要にな る。 デ ザ イ ナー
という 職 種 に 就 く 人 は文 字 よ り も 絵で コミュ ニ ケー
ショ ンを す る 能 力 が 高い。
これ は デ ザ イ ナー
の利 点でも あ り欠点
で も あ る。 デ ザ イ ナー
が 実 践の中で無 意 識 的 に 培っ てき た 行為
の中
には、
い くつ もの財産
が 眠っている が、
言 語 化 しな け れ ば 第三者 に その妥 当 性 や 意 義 を 理 解 しても ら え ない。
上 述 した デ ザ イ ナー
が プロ ジェ ク トの上 流工程 か ら 携 わっ てい くことの 有 効 性 も 言 葉で説 明 す ることに よって、
は じ めて デザ イ ナー
の 重 要 な 役 割として他 者 に その意 義 を 伝 え るこ とが 可 能 と な る。
デ ザ イ ナー
の専 門 性 が 揺 らい る今こ そ、
仕 事の本質
を 捉 え直 す た め に も、
デ ザ イ ナー
自 身 が 自 らの力 を再 認識
し、
それ を言 葉
に しな け れ ば な らない。
容
易 にデザイン(
成果 物 )
を描
けるからと言
っ て、
誰
でもデザ イ ナー
に な れ る わ け で は な い。
デザイ ン〔
成
果物 )
で は な く、
デザイニ ング (行 為)
と そ れ を支え る知 恵こ そ、
デザイ ナー
で 在 り続
け るため の学 びであ り、
そ し て磨
い て ゆ くべ き も の な の である。
注 お よび
参 考 文 献 ※本 稿の言 葉で単 に 「デザ イ ナー
」 と 記 載 している場 合 はWEB
デ ザ イ ナー
やUl
デ ザ イ ナー
を 示 す。
1
) 臼atUI
Design,
Wikipedia
,
http
:〃en.
wikipedia.
org/wiki/Fla
しULDesign,2014−07−20 .
2
)
Skeuomorph
,
Wikipedia
,
http
:〃 en.
wikipedia.
org /wiki /Skeuomorph
,
2014
−
07
−
20
.
3
)Bi1LMoggridge
,
Wikipedia
,
http
:〃en.
wikipedia,
org /wiki /Bill
−
Moggridge
,
2014−07−20.
20
デ ザ イン学 研究特集 号special
Fssueofjapaneseseciety
ferthe
science
ofdesign
Vol