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第6分科会(分科会報告,大会報告 会務報告)

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Academic year: 2021

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経済教育33号  191 きつける根本的な問題について,重要な研究深化の報 告がなされた。アダム・スミスの「自然」や「道徳」 に対する感性的把握が,合理的個人の利己的な信念を 乗り越えて,市民社会形成の共感的パワーの源泉とな ることを突き止めることによって,これからの経済学 教育がよって立つところの思想的ポジションを明確に 示した報告となった。  第 4 報告は,岩田年浩・佐藤健司・藤原隆信(京都 経済短期大学)による「現代の企業・利益に各分野か ら迫る─オムニバス講義の実践」であった。1 つの 大学に属する教員が一致協力して,1 つの学術的でか つ教育的な成果を発表することは,実際のところ,そ んなに簡単なものではないと思われる。この報告は, そのような困難をもろともせず,大講義の複数人担当 などの新しい教育実践を前提としながら,同じテーマ で多数の教員が,連続的に講義を行うという,教育に おける新しいスタイルと考え方についての報告がなさ れた。  このような教員の集団的な取り組みによって,この オムニバス講義の実践を通じて,学生たちが,体系的 かつ主体的に学業に取り組むきっかけづくりができた ということが,なによりも,この教育方向の正しさと, これからの発展可能性が示されていると考えられる。  (文責:増田和夫) 第 6 分科会  第 6 分科会は「大学の経済教育(2)」をテーマに, 以下の 4 つの報告が行われた。  なお,当日,大会プログラム記載の座長名に変更が あり,新里泰孝(富山大学)と柴田透(新潟大学)が 座長を務めた。  第 1 報告は,金子能呼会員(松本大学松商短期大学 部)による「「出席レポート」 を活用したコンピテン スの育成」である。大学の講義における実践と効果に ついての報告であった。「出席レポート」とは,講義 の内容を受講生にメモさせて次回の講義に出席レポー トとして提出させ,それを次回で返却するという方法 である。この効果は,講義に集中するなど受講態度に 変化をもたらせると同時に,授業理解の程度を教員が 把握することができ,さらに講義の内容をまとめて文 章にするという力の育成の他,さまざまな効果を持つ という。金子氏は,出席レポートによる様々な力量の 育成をコンピテンスの育成と呼んでいる。  フロアからは,教師の負担の大きさについての質問 や,この方法をシラバスに載せたり,学部全体で取り 組むなどの必要性がフロアからは指摘された。  第 2 報告は,井草剛・水野勝之(明治大学)両会員 による「経済教育の中のサービスラーニング─ソー シャルビジネスの体験的学習を通して─」であり,明 治大学の所属ゼミ学生におけるサービスラーニングの 実践について報告であった。サービスラーニングとは, 通常は大学における学習を社会的貢献に結びつけるこ とであるが,ここでの活動は,一方向ではなく双方向 の互恵的関係なところに特徴がある。被災地からの要 請に対して,学生が調査し,企画したものを自ら販売 するなどの実践的な活動も紹介された。調査のデータ の解析には計量経済学的な手法も学生は修得するとい う。  フロアから事前学習や効果についての質問に対して, 現地に派遣する前にコミュニケーションのトレーニン グを行ったり,こうした活動の経験が学生の就職活動 にも大きく貢献していることが報告された。  第 3 報告は,中里弘穂(福井県立大学)会員による 「キャリア教育における金融教育の取入れと効果─ 期離職防止に繋げる福井県立大学経済学部の実践から の考察─」である。福井県立大学におけるキャリアデ ザイン概論の課外授業として行っている金融機関見学 会と金融論の講義とを合わせた教育実践の内容である。 この取り組みの目的のひとつは,金融業界における高 い離職率を防ぐことにあるという。見学後の学生のレ ポートから見学の効果についての考察が行われ,金融 機関に対する誤解や偏見が修正されるだけでなく,日 頃勉強している金融論や経済学が現場でも役に立つこ とを学生自身が納得した,などの成果が報告された。  フロアからは見学の業種やインターンシップなどに ついての具体的な質問が出された。  第 4 報告は,田中淳(東京都立産業技術高等専門学 校)会員による「経営管理論の授業で実施したキャリ ア教育」である。経営管理論の授業を通じたキャリア 教育の実践の報告内容である。経営管理論の講義に加 えて,キャリア教育として一般的な就職状況や労働問 題だけでなく,具体的な高専卒の配属先や求められる 能力などについても把握させるなど,その教育内容と 指導が紹介された。単発的な就職指導よりも,授業を 通した継続的な指導による高い効果をこの授業は目標 としている。  フロアからの効果についての質問に対して,受講者 は相対的にきわめて高い就職率を獲得するという回答 がなされた。 (文責:柴田透,新里泰孝) The Japan Society for Economic Education

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