医療現場における無線ネットワーク導入の注意点
アライドテレシス株式会社
システムエンジニアリング部 西日本SEグループ 部長
目次
Ⅰ.無線LANの基礎知識
Ⅱ. 医療機関における無線ネットワーク導入のポイント
(1)医療機関における無線ネットワーク導入のポイント
(2)病棟での無線LANの問題
(3)無線LAN導入にあたっての指針
(4)セキュリティ対策
(5)無線LAN電波が医療機器に与える影響
(6)電源対策
(7)無線LAN使用用途の拡大
(8)利用端末の注意点
(9)IEEE802.11n
(10)物理的安全対策
Ⅲ.無線LANスイッチのご紹介
Ⅳ. 導入事例
無線LANとは
現在ではIEEE 802.11諸規格が整備されており、その技術規格に準拠した機器で構成されるネットワークの
事を一般的に「無線LAN」と呼んでいます。IEEE 802.11は時代に合わせて規格の追加や修正が行なわれ
ており、近年では主に高速化が進められています。
特長
規格
IEEE 802.11nは100Mbps以上の更なる高速化をターゲットとした
規格であり、2009年9月の正式規格の以前からDraftバージョン
2.0にて製品化されています。11n規格は2.4/5GHzの2つの周波
数帯を使用でき、最大600Mbpsの伝送速度を実現。
IEEE 802.11n
2.4GHz帯を使用するIEEE 802.11bとの上位互換性を保ちつつ、
伝送速度の高速化を目的とし、さらに5GHz帯を使用している
IEEE 802.11aとの上位互換性を図ることを目指して規格化。
IEEE 802.11g
5GHz帯を使用し、最大54Mbpsの伝送速度を実現した規格。変調
方式はOFDM方式を採用。
IEEE 802.11a
1997年にIEEE 802.11規格が完成した後、2.4GHz帯を使用した高
速通信の実現を目的として11bが規格化。
IEEE 802.11b
代表的
代表的
代表的
IEEE 802.11で使用される周波数帯
無線LANで使用される周波数帯の多くは無線局免許が不要ですが、
各国の法規制により若干異なります。
最大600Mbps
2.4GHz / 5GHz
802.11n
最大54Mbps
2.4~2.5GHz
802.11g
最大54Mbps
5.15~5.35GHz
5.47~5.725GHz
802.11a
最大11Mbps
2.4~2.5GHz
802.11b
伝送速度
周波数帯
規格
5GHz帯無線LANの周波数帯変更について
2007年1月の省令改正により、IEEE 802.11aの利用可能チャネルが追加になりました。
背景として無線LAN機器の普及、欧米各国と異なっていた中心周波数の互換性への
対応があります。
無線LANのセキュリティ
無線LANではLANケーブルの代わりに電波を利用してデータを送受信するために、電波の届く範囲であれば、
次のようなセキュリティー上の問題が発生する可能性があります。
・不正アクセス (情報の流出) - 盗聴、侵入、なりすまし
無線LANのセキュリティー上の問題点
従来の無線を使用した代表的な企業ネットワークの構成です。この図を使用して従
来の無線ネットワークが抱えるセキュリティー上の問題点をご説明します。
無線LANのセキュリティーを向上させるための対策
無線通信の利便性を保ちつつ、安心・安全なネットワークを構築するためには、現在の最も強力な
セキュリティー方式のひとつであるWPA2とアクセス制御のIEEE 802.1X認証、及び認証・検疫シス
テムを組み合わせる手法等もあります。
無線LANのセキュリティ
無線LAN機器及び無線LANを含むネットワークが持つセキュリティー機能には大きく
「データの暗号化」と「アクセス制御」の二種類があり、それぞれ下記のような方式があります。
無線LANにおけるデータの暗号及びセキュリティー方式
◎
米商務省標準技術局(NIST)によって2001年に米国政府の標準暗号化技
術として認定された方式
AES
AES
AES
AES
Advanced Encryption
○
パケット毎に暗号鍵を自動生成する暗号化プロトコル
TKIP
TKIP
TKIP
TKIP
Temporal Key Integrity
Protocol
◎
Wi-Fi Allianceが2004年に制定したセキュリティーシステム。AES暗号に対
応し、WPAより堅牢なセキュリティー方式。
WPAと同様にエンタープライズ及びパーソナルの2種類がある。
WPA2
WPA2
WPA2
WPA2
Wi-Fi Protected Access2
○
Wi-Fi Allianceが2002年に制定したセキュリティーシステムで、暗号化と認
証の組み合わせ。暗号化プロトコルにはTKIPを使用。エンタープライズ
(EAPを利用したID,パスワード認証を使用)、パーソナル(PSK ”Pre
Shared Key, 事前共有鍵”による暗号化方式を使用)の2種類がある。
WPA
WPA
WPA
WPA
Wi-Fi Protected Access
△
RC4と呼ばれる暗号化アルゴリズムを元にした共有鍵暗号方式で、IEEE
802.11で採用された。秘密鍵には40bitまたは128bitのデータを使用する。
WEP
WEP
WEP
WEP
Wired Equivalent Privacy
セキュリティ強度
説明
無線LANのセキュリティ
アクセス制御の方法
◎
ネットワークに設定したセキュリティーポリシーにより、クライ
アントの隔離/治療を行うシステム
認証・検疫システム
◎
RADIUSサーバーによるクライアント認証機能
IEEE 802.1x認証
△
MACアドレスで、アクセスポイントに対するクライアントのア
クセスを制限する機能
MACアドレスフィルタリング機能
△
ビーコン信号にSSIDを含めない機能
SSID隠蔽機能
△
SSIDが空白または”any”が設定されているクライアントから
の接続要求を拒否する機能
ANY接続拒否機能
△
無線LANにおけるアクセスポイントの識別子(32文字)、グ
ループ名。
SSID
Service Set ID
(ESSID (Extended SSID)もほぼ同義)
セキュリティ強度
説明
電波干渉の回避
無線LANで使用する電波は、チャンネル(ch)と呼ぶ周波数帯に分割されています。近年、主に使用され
るIEEE 802.11b/gでは2.4GHz帯を5MHz間隔で13個に分割し、1~13chとして使用されますが、同じチャン
ネルの電波同士がぶつかると、通信速度が低下するなど、問題となる場合があります。そのため、IEEE
802.11b/gの場合は各APが使用するchを1ch、6ch、11chのように周波数が重なり合わないように選んで
無線LANを構築する必要があります。
(1)医療機関における無線ネットワーク導入の注意点
医療現場での無線LAN使用については様々な用途が考えられます。
•
電子カルテ
•
投薬管理など医療業務管理
•
医療機器のデータ送信
•
患者向けインターネットアクセス
通信容量の不足
データ遅延
① 各病室、各患者の近くで作業を行うため、すべて作業エリアをカバーすることが求められる
② 壁やドアによる電波障害が多いため、通信障害が発生しやすい
③ 複雑なチャンネル設計が必要となり、十分なアクセスポイントを配置することが困難
④ 病院向けソフトウェアはセッションが切れると再起動を必要とするものが多く業務に支障をきた
す場合もある
⑤ 移動中のローミングや一時的な電波障害でもデータ遅延により再起動が必要になることがあ
る
① 各病室、各患者の近くで作業を行うため、すべて作業エリアをカバーすることが求められる
② 壁やドアによる電波障害が多いため、通信障害が発生しやすい
③ 複雑なチャンネル設計が必要となり、十分なアクセスポイントを配置することが困難
④ 病院向けソフトウェアはセッションが切れると再起動を必要とするものが多く業務に支障をきた
す場合もある
⑤ 移動中のローミングや一時的な電波障害でもデータ遅延により再起動が必要になることがあ
る
(2)
病棟での無線LANの問題
無線LAN は、看護師等が情報端末を利用し患者のベッドサイドで作業する場合
等に利便性が高い反面、通信の遮断等も起こる危惧があるので、情報の可用性
が阻害されないように留意する必要がある。
医療情報システムの安全管理に関するガイドライン (第4版) より
情報の可用性に関するガイドライン
•
ベッドサイドで作業する場合の通信遮断に留意が必要
医療機関
医療機関
医療機関
医療機関における
における
における無線
における
無線
無線
無線ネットワーク
ネットワーク
ネットワーク
ネットワーク導入
導入の
導入
導入
の
のガイドライン
の
ガイドライン
ガイドライン
ガイドライン①
①
①
①
(2)病棟での無線LANの問題
某大学病院様での学会報告例(
他社製品導入ケース
)
病室棟における無線LAN導入時の問題の典型的なパターン
•
無線LAN
無線
無線
無線
LANの
LAN
LAN
の
の
のシステム
システム構築
システム
システム
構築
構築に
構築
に
に
にあたり
あたり
あたり
あたり事前
事前に
事前
事前
に
にサイトサーベイ
に
サイトサーベイ
サイトサーベイ
サイトサーベイの
の
の
の実施
実施や
実施
実施
や
や
や集中管理型
集中管理型
集中管理型
集中管理型ワイヤレスコ
ワイヤレスコ
ワイヤレスコ
ワイヤレスコ
ントローラ
ントローラ
ントローラ
ントローラ等
等
等
等の
の
の
のシステム
システム
システム
システムを
を利用
を
を
利用
利用
利用し
し
し
し、
、
、かなり
、
かなり綿密
かなり
かなり
綿密
綿密
綿密に
に
に
に設計
設計
設計
設計を
を実施
を
を
実施
実施されたにもかかわらず
実施
されたにもかかわらず
されたにもかかわらず、
されたにもかかわらず
、
、
、導入後
導入後
導入後
導入後
以下
以下
以下
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の
の様
の
様
様な
様
な
な問題
な
問題が
問題
問題
が
が
が発生
発生
発生
発生。
。
。
。
稼動後の不具合の問合せに対し、無線LANを構築したエンジニアによる現地調査を再度実施。
アクセスポイントの電波強度の不足、院内外からの干渉電波、無線LAN用機器で受信する
電波強度の不安定などが発見。
早急にアクセスポイントの増設や配置変更、電波強度のチューニングや無線機能の検証を対応。
院内への持込PCやゲーム機等に無線LAN機能がすくなからず装備されておりその機器が発する
電波が当院の無線LANへの影響を及ぼしていることも判明。
無線LANシステム側に問題があるにも一定のパターンがなく、エンジニアに調査を依頼しても
事象の再現が困難であり、その原因が特定できない。
稼動後の不具合の問合せに対し、無線LANを構築したエンジニアによる現地調査を再度実施。
アクセスポイントの電波強度の不足、院内外からの干渉電波、無線LAN用機器で受信する
電波強度の不安定などが発見。
早急にアクセスポイントの増設や配置変更、電波強度のチューニングや無線機能の検証を対応。
院内への持込PCやゲーム機等に無線LAN機能がすくなからず装備されておりその機器が発する
電波が当院の無線LANへの影響を及ぼしていることも判明。
無線LANシステム側に問題があるにも一定のパターンがなく、エンジニアに調査を依頼しても
事象の再現が困難であり、その原因が特定できない。
病室 病室 病室 病室 病室 病室 病室 病室 病室 病室 病室 病室 病室 病室 病室 病室 病室 病室 病室 病室
(2)病棟での無線LANの問題
病棟での一般的な背景
無線アクセスポイントは、病室内でなく、廊下に設置
廊下での見通しが良い為、電波が横に広がる
病室内でのベットサイトでは、電波強度が弱くなる
電波強度を増強するため、アクセスポイントを増設すると電波干渉の懸念
無線AP 無線AP 無線AP
無線AP 無線AP 無線AP
無線AP 無線AP 無線AP