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PowerPoint プレゼンテーション - はじめに

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Academic year: 2021

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(1)

本邦における重症熱性血小板減少症候群

(SFTS)の初発例

○亀井敏昭1), 石堂 亜希2), 重岡 徹2), 富永 貴元2),

高橋 徹2),前田 健3), 水谷 哲也4), 森川 茂5),

長谷川 秀樹5),西條 政幸5)

1)山口県立総合医療センター病理診断科、2)血液内科

3)山口大学共同獣医学部,4)東京農工大学農学部,

5)国立感染症研究所

(2)

緒 言

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)はブニヤウイルス科に分類

される SFTS ウイルスによるダニ媒介性感染症である。2011年に

中国より初めて報告され、中国東北〜中央部において感染がみら

れているが、他国からの報告例はこれまでにない。

SFTSの臨床像は、発熱、血小板減少、消化管症状、白血球減少

などで特徴づけられ、

死亡率は12%程度

と考えられているものの、

病態は未だ不明な点が多い。

日本においては、2013年1月以降にレトロスペクティブな診断例を

中心に発症例が確認され、現在では100例以上が報告されている。

本例はウイルス学的に SFTSウイルス感染症と診断された国内初

の患者である。

(3)
(4)

• 2008-2009年ころより中国の湖北省と河南省で患者が発生

が認められ、2011年に中国でウイルスが同定。

• 主症状:発熱、消化器症状、白血球減少、

血小板減少、リンパ節腫脹

• 致死率 10-30%

• ブニヤウイルス科、フレボウイルス属に分類されるSFTSウ

イルス(特定三種病原体)によるマダニ媒介性ウイルス感染

症(四類感染症)

• 現在までヒト症例の病理解析についての報告は海外からもな

く、SFTSの病理像については全く分かっていない。

N Engl J Med 2011;364:1523-32.

重症熱性血小板減少症候群

Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome

感染研感染病理部では、SFTSの病理学的解析手法を確立し、

SFTSの病理診断について全国の医療機関からコンサルテーショ

ンを受け付けている。

(5)

症 例

【症 例】 50歳代、女性 【主 訴】 発熱、嘔吐、全身倦怠感、黒色下痢便 【現病歴】 生来健康。2012 年秋に発熱、嘔吐、下痢(黒色便)と強い倦怠感が 出現した。近医で抗生物質(CFPN-PI)が投与されるも症状が持続するため、 発症4日目に休日当番医を受診した。 血圧が不安定(収縮期血圧100〜50 mmHg を変動)かつ、血液検査で高度の血球減少(WBC 400/μ l、Plt 8.9 x 104/μ l)があったため、精査加療目的に当院紹介となった。 【既往歴】 高血圧、Sjögren症候群(無治療) 【生活歴】 海外渡航なし、郊外に居住、ペット(ネコ)あり、山野に入る行動なし 【現 症】 体温 39.6 ℃、血圧 134/88 mmHg、脈拍 90/分・整、意識清明、顔 色不良、結膜に貧血や黄疸なし、胸腹部に異常所見なし、右腋窩リンパ節を 1〜2 cm大で触知するも圧痛はなし、皮膚に明らかなダニ咬傷はなし。

(6)

【入院時検査所見】 <末梢血検査> WBC 400 /μl Hb 13.3 g/dl PLT 8.9x104 /μl <凝固検査> PT 11.2 sec APTT 43.8 sec D-dimer 11.9 μg/ml <その他の検査> Β-D-glucan 6 pg/ml Procalcitonin 0.11 ng/ml ferritin 40000 < ng/ml sIL2R 1160 U/ml EBV-DNA 2.0x102 copy/ml CMV-IgM (-) CMV-IgG (+) ANA x 80 Anti-dsDNA <1.0 IU/ml Anti-SS-B 38.1 IU/ml U-blood (++) U-protein (+) <生化学検査> CK 1051 IU/l CRP 0.1 mg/dl Na 126 mmol/l K 2.8 mmol/l Cl 85 mmol/l <アイソザイム解析> LDH1 6 % LDH2 14 % LDH3 17 % LDH4 17 % LDH5 46 %  CK-BB 0 % CK-MB 1 % CK-MM 99 %  <生化学検査> TP 6.6 g/dl Alb 3.4 g/dl T.Bil 0.5 mg/dl AST 706 IU/l ALT 340 IU/l ALP 168 IU/l γ-GTP 24 IU/l LDH 1232 IU/l BUN 12 mg/dl Cre 0.6 mg/dl

(7)

【胸腹部CT】 右腋窩リンパ節腫大と両側腎腫大が明らか であるも、他部位のリンパ節腫大や肝脾腫は なく、胸腹水もなかった。 【胸部X線】 縦隔、肺野に異常所見なし

(8)

【骨髄穿刺検査(腸骨)】

活性化した組織球と血球貪食細胞が明らかに増加し、顕著な血球貪食像がみられた。

May-Grünwald-Giemsa染色

骨髄組織検査 HE染色

(9)

臨 床 経 過

発症からの日数 39 37 1 2 3 (℃) 4 5 6 7 四肢脱力 倦怠感 下痢 下血 血尿 100 0 500 1000 5000 10000 WBC (/μl) 10 20 PLT (×104/μl) 40 1000 5000 (IU/l) WBC PLT CK LDH

AST ALT 入院 体 温 発症

血圧不安定, DIC

(10)

本症例に対する臨床推論

1. 多彩な症状を伴い死亡に至った経過であったが、血球貪食症候群(HPS) の合併は特記すべきことであった。血清フェリチン値の著増も HPS に 合致する所見であった。 2. 経過中の CRP 値は一貫して陰性であり、急性発症の発熱・血球減少・ 肝トランスアミナーゼの上昇からは何らかのウイルス感染がもっとも 疑われた。 3. 以上より、臨床的には ウイルス関連 HPS の病態が推定された。 4. 日常診療で経験するウイルス感染症には臨床症状が合致しないため、 典型でない臨床像を呈した既知ウイルスの感染例か、あるいは未知の ウイルス感染症の可能性を考慮した。 5. 血液検体を用いてウイルス学的検査を進めるとともに、死後には病理 解剖を行った。

(11)

ウイルス学的検討

【ウイルス分離】 (方法)Vero細胞・fcwf-4細胞を用いて、患者血清からのウイルス分離を試みた。 (結果)4〜5日後に細胞変性効果が観察され、何らかのウイルス増幅が見られた。 【ウイルスRNAの解析】 (方法)上記培養液からウイルスRNAを抽出し、全ゲノム領域を包含するように RT-PCRを行い、得られた産物を次世代シークエンシンサーにて解析した。 (結果)SFTSウイルス中国分離株と相同性の高いRNA配列が判明した。 【ウイルス遺伝子の検出】 (方法)患者血清検体にてRT-PCRを施行し、ウイルスゲノムを検索した。 (結果)患者血清中にSFTSウイルスゲノムを検出した。 【ウイルス電顕写真】 【ウイルス系統樹解析】 0.004 032A HN13_gi325209562 20_gi346987847 JS2010-018_gi393888867 Henan_01_gi326416222 2010-T112_gi342365786 2010-WWX_gi342365774 JN1/China/2010_gi373940487 SD24_gi325209529 2010-WJ_gi342365768 M-WSQ_gi383867810 2010-ZGQ_gi342365776 HB29_gi325209522 005A JS4_gi325209576 035A 2010-WSQ_gi342365780 003A HN6_gi325209555 2010-LZR_gi342365784 JS6_gi331031495 LN2_gi325209583 JS2010-014_gi393888840 2010-WWG_gi342365772 030A AH15_gi325209548 AH12_gi325209541 JS2010-015_gi393888853 JS2010-019_gi393888880 SD4_gi325209533 004A JS3_gi325209569 AHZ/China/2011_gi386648024 M-HZM_gi383867808 2010-CBX_gi342365778 JSD1_gi343055384 69_gi346987854 JS24_gi331031491 010A HB154/China/2011_gi385200067 LN3_gi325209590 HB156/China/2011_gi385200081 JS26_gi331031493 2010-WJQ_gi342365770 SDLZtick12/2010_gi387861576 2010-FQM_gi342365782 AHL/China/2011_gi386648022 YG WCH/97/HN/China/2011_gi384383353 JS2007-01_gi332167863 HB155/China/2011_gi385200074 1 1 0.41 0.64 1 1 1 1 0.71 1 1 0.98 0.24 0.68 0.99 0.58 0.68 1 1 0.61 0.69 0.99 0.98 0.72 0.48 0.7 0.22 1 1 0.93 0.62 1 0.56 0.44 0.79 0.99 1 0.31 0.49 0.99 0.4 0.74 0.41 1 0.84 0.99 1 1 1 系統樹解析からは、 患者より検出された SFTSウイルスは中国 株とは異なるもので あることが判明した。

(12)
(13)
(14)

右肺:

230g

幽門前庭部から幽門輪にかけて 打ち抜き様の潰瘍形成が目立ち、 出血をも伴っている。

(15)
(16)

右腋窩リンパ節 芽球様、大型リンパ球様細胞浸潤 壊死 核崩壊産物やcell debris 好酸性ghosts of cells 好中球の浸潤(ー) EBER (-) リンパ節の基本構造が崩れている。

Severe Necrotizing Lymphadenitis & Prominent Hemophagocytosis

本症例: 50歳代女性

(17)

CD68(KP1)

(18)

脾臓では、赤脾髄の拡大と脾索では、 赤血球の貪食所見を認める

CD68(KP1)

著明な血球貪食像

(19)

剖検の病理組織学的検討(腋窩リンパ節)

A C B A:HE染色、弱拡 B:HE染色、強拡 C:抗SFTSV-NP染 色 リンパ節は広範囲に壊死をみとめ、壊死像の中 には、組織球、免疫芽球、核崩壊物を多くみとめ たが、好中球浸潤はみられなかった(図A,B)。 抗SFTSVポリクローナル抗体(SFTSV NPタンパク に対するウサギ血清、国立感染研にて作成)によ る免疫染色では、腫大リンパ節にウイルス抗原陽 性細胞が存在することが判明した(図C)。 ウイルス抗原陽性細胞は、骨髄・脾・肝にもごく 少数がみられた。

(20)

右腋窩リンパ節 肝門部リンパ節 No immunostaining 右頚部リンパ節

SFTSV-NP抗原の検出 (免疫組織化学)

sample SFTSV NP 右腋窩リンパ節 +++ 右頚部リンパ節 +++ 肝門部リンパ節 - 縦隔リンパ節 - 肺門リンパ節 - 大型リンパ球様細胞の浸潤と血球貪食像は抗原(ー)のリンパ節でも見られた。 壊死が見られるリンパ節は抗原陽性

(21)

骨髄 脾臓 肝臓

リンパ節以外の組織におけるSFTSV-NP抗原の検出

sample SFTSV NP 骨髄 + 肝臓 + 脾臓 + - - 心臓 - 消化管 - - 副腎 - 多くの血球貪食細胞が見られるが、抗原 陽性細胞は少ない 本症例: 50歳代女性

(22)

病理解剖学的診断

主診断:

急性熱性血小板減少症(SFTS)

病変主体:腋窩リンパ節

(壊死性リンパ節炎= SFTS Vによる)

血球貪食症候群(赤血球、血小板)

リンパ節、骨髄、脾臓など

副病変:

① 線維素性心外膜炎(心嚢液 210ml)

① 肝脂肪変性、肝細胞壊死

② 両肺下葉うっ血、脾臓うっ血など

③ 骨格筋・筋融解

(23)

Severe Necrotizing Lymphadenitis & Sever Splenitis with Necrosis

傍腸管リンパ節

anti-SFTSV-NP

脾臓

anti-SFTSV-NP 全身のリンパ節に壊死性リンパ節炎と抗原陽性細胞が見られた。血球貪食も見られた。 大型リンパ球様細胞に抗原陽性 NIID13-139 81歳女性

(24)

肝臓

anti-SFTSV-NP

腎臓

anti-SFTSV-NP 門脈域の中等度炎症細胞浸潤と小葉内の限局した肝細胞の脱落壊死 腎臓の間質にも肝門脈域と同様の抗原陽性の大型リンパ球様細胞浸潤が見られる。 門脈域にリンパ節と同様の大型リン パ球様細胞に抗原陽性。壊死部には 感染細胞(−)。 NIID13-139 81歳女性

(25)

副腎、甲状腺へのウイルス抗原陽性の炎症細胞浸潤

副腎

anti-SFTSV-NP

甲状腺

anti-SFTSV-NP

甲状腺濾胞間にリンパ濾胞が形成され、同部位に抗原陽性細胞が見られる。その他にも骨髄や肺、 消化管など全身諸臓器に同様の抗原陽性細胞の浸潤。しかし、臓器実質細胞への感染は見られない。 NIID13-139 81歳女性

(26)

SFTSVの感染経路

成ダニ

経卵性伝搬

哺乳動物

【ダニ-ダニ間サイクル】

【ダニ-ほ乳類間サイクル】

幼ダニ

ヒト

ヒト

院内感染,家族内感染

若ダニ

(27)
(28)

調査対象症例の定義

1.38℃以上の発熱

2.消化器症状(嘔気、嘔吐、腹痛、下痢、下血)

3.血小板減少( 1X10

5

/ µL未満)

4.白血球減少 (4X10

3

/ µL未満)

5.血清酵素の上昇(AST, ALT, LDHのいずれも)

6.他の感染症、病因が明らかな場合は除く。

7.集中治療を要する、又は死亡した者。

SFTS日本国内発生状況調査

2013年1月30日〜

(29)

日本国内でのSFTS患者発生状況

(30)

日本国内で確認されたSFTS患者の年齢分布

山口県環境保健センター

日本国内で確認されたSFTS患者:57名(死亡23名)

(31)

臨床症状 頻度 発熱 100% 全身症状 倦怠感 100% 頭痛 55% 消化器症状 100% 呼吸器症状 27% 中枢神経症状 90% 意識障害 73% 痙攣 55% 出血症状 80% 喀血 9% 紫斑 27% 下血 36% 歯肉出血 45% リンパ節腫脹 45%

日本国内のSFTS患者の臨床症状

(32)

sample SFTSV copies/cell SFTSV 右頚部リンパ節 9.98x105 8411 右腋窩リンパ節 2.22x106 16562 腹腔内リンパ節 5.25x101 2.9 骨髄 2.23x102 330 脾臓 4.66x102 20 肝臓 3.31x102 12.7 副腎 5.30x102 1.3 腎臓 5.62x101 1.4 IHC陽性組織では、102コピー以上のウイルスが検出。リンパ節以外の組織で は、細胞当たり103コピー以下であったが、右腋窩リンパ節では細胞当たり10コピー程度のウイルスが検出された。しかしながら、全身のリンパ節からウ イルスが検出されるわけではない。

リアルタイムRT-PCRによるSFTSV RNAの定量

リンパ節 肝臓 副腎 骨髄 脾臓

(33)

1. 腫脹した末梢リンパ節にCell debrisや核崩壊産物が目立つ壊死と大型リン パ球様細胞の浸潤を伴う壊死性リンパ節炎が見られた。好中球などの顆粒 球浸潤はほとんど見られなかった。 2. SFTSV NP 抗原は、上記の所見を伴うリンパ組織に存在する大型リンパ球 様細胞の細胞質と壊死部のCell debrisに検出された。血球貪食細胞はウイ ルス感染(ー)。 3. 骨髄やリンパ節では、著明な血球貪食像が見られた。骨髄では、巨核球の 減少はみられなかった。 4. 骨髄、肝臓、脾臓、副腎などで大型リンパ球様細胞浸潤、抗原陽性細胞が 見られたが、明らかな節外臓器実質細胞への感染は見られなかった。

SFTS剖検例の病理学的特徴のまとめと考察

 ①

大型リンパ球様細胞の浸潤が目立つ壊死性リンパ節炎

、②

血球貪食像

がSFTSの病理学的特徴であると考えられた。

 SFTSの病態解明には、

感染細胞の詳細な解析

とさらなる

症例

の蓄積

が重要な課題である。

(34)

考 察

1. 発熱、全身倦怠感、消化器症状で発症し、血小板減少と白血球減少お よび筋酵素の上昇を伴う筋症状を呈して、全身状態の悪化から急速に 死亡に至った SFTS 患者を経験した。 2. 急性期の患者血清からウイルスが分離され、かつ 免疫組織化学染色で 剖検組織において SFTS ウイルス抗原が証明されたことから、本患者 は日本で初めてウイルス学的に SFTS が確定診断された。このことが、 その後の SFTS の後方視的調査の契機となった(現在は104例が報告)。 3. SFTS における血球減少の病態には、骨髄で血球貪食像がみられたこと から、血球貪食症候群が関与していることが考えられた。 4. ウイルスの系統樹解析からは、今回発見されたウイルスの遺伝子型は 既報の中国分離株とは独立したものであり、SFTS ウイルスは以前から 日本国内に存在したものと考えられた(最古症例、2005年)。

(35)

結 語

国内初の SFTS 症例を報告した。これにより、中国だけでなく日本にも

SFTS が存在することが明らかとなった。

さらに、ウイルス学的解析により、SFTS ウイルスは日本に土着している

ウイルスであることも判明した。

SFTS症例の病理学的変化の本態は、(1)壊死性リンパ節炎、(2)ウイル

ス関連血球貪食症候群、(3)胃潰瘍、(4)出血傾向などであり、

血球貪食症候群による血球減少が本質病変と考えられる。

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