JICA「中米・カリブ地域 地域開発にかかるフォローアップ調査」
に協力しました。
JICA(独立行政法人国際協力機構)では 2017 年度から3年間、新規課題別研修として「中 米統合機構加盟国向け 幹線道路沿線地域開発」コースを北海道にて実施する予定です。この 研修では日本の「道の駅」を伝えることを主な目的としており、JICA 北海道国際センター(札 幌)では実施に先立ち中米地域における幹線道路沿線の地域開発の現状や課題等を調査する ことを目的に、今年 3 月上旬に中米統合機構加盟国のうちエルサルバドルとニカラグアに調 査団を派遣しました。 上記研修の協力機関として国立研究開発法人土木研究所 寒地土木研究所、一般社団法人北 海道開発技術センターと共に北海道開発局を想定していることから、当局に対しても上記調 査団への協力要請があり、当局としても「道の駅」等の幹線道路沿線の地域開発の海外展開 に寄与するため職員1名を派遣しましたので、その調査概要を簡単にご報告します。 現地での調査期間 平成 29 年 3 月 6 日(月)~同年 3 月 10 日(金) 調査団の構成 JICA 北海道 国立研究法人土木研究所寒地土木研究所 一般財団法人北海道開発技術センター 北海道開発局 主な移動行程図(エルサルバドル) 主な移動行程図(ニカラグア)1.エルサルバドル (1)アティキサヤ市訪問概要 調査団は同国西部に位置するアティキサヤ市を訪問し、日本の「道の駅」について概要 を説明し、その後同市が想定している「道の駅」サイトを視察しました。 (2)バルサモ広域市連合事務局訪問概要 調査団は同国中部に位置するバルサモ広域市連合を訪れ、日本の「道の駅」の概要を説 明し、その後同連合が想定している「道の駅」サイトを視察しました。また、視察を兼 ね寒地土木研究所から(「道の駅」での)景観の活かし方について技術指導を行いました。 (写真1)アナ市長(左から6番目)は日本の「道の駅」 は大手ファストフードを提供するような民間の商業施 設ではなく、トイレ・駐車場を有し、地場産品を販売す る地域振興機能であることに注目していた。 (写真2)アティキサヤ市が「道の駅」として改装 することを想定している地元の名産品である鉄製工 芸品店(写真右側)。幹線道路に面しているが、アナ 市長によると駐車場は店舗裏側に設けるという。 (写真3)バルサモ広域市連合によって建設中の「道の 駅」。峠に位置し、トイレと 12 台の駐車スペースの他 に民芸品や食事を販売するキオスク、当地の治安情勢か ら観光警察駐在所も設置される。2017 年 4 月オープ ン予定。 (写真4)看板には「道の駅ショップ」と記載 されている。鉄道のない同国では駅に“ショッ プ”と付加しないと地元産民芸品を扱う販売店 でもあることは伝わらないという。 (写真5)建物の裏手は見晴らしの良い展望台 になっており、完成後はパラソルを置いて軽食 を取りながら景観を楽しめるという。
(3) エルサルバドル国内カウンターパート機関との面談 調査団は同国首都サンサルバドルにて日本の「道の駅」の概要を説明し、本邦研修 に備えて、新規研修に備えて以下のカウンターパート機関と面談しました。 ① 国家小零細企業委員会(CONAMYPE) ② 米州開発銀行(IDB) ③ 中米農牧大臣審議会(SECAC) ( 写 真 6 ) 国 家 小 零 細 企 業 委 員 会 (CONAMYPE)のロヘル長官との面談 の様子。ご自身に来日経験があり、道の 駅を視察したことがあるため、本邦研修 では「道の駅」づくりのステップを教え てもらいたい、エルサルバドルの経済振 興には、「道の駅」のように、生産者が販 売できる場所が必要との感想が述べられ た。 (写真7)米州開発銀行(IDB)エルサ ルバドル事務所のモレノ所長との面談 の様子。IDB で支援している観光関連の プロジェクトに「道の駅」のコンセプト を活用できると思う、本邦研修には観光 関連機関からも派遣されると良いとの 感想が述べられた。 ( 写 真 8 ) 中 米 農 牧 大 臣 審 議 会 (SECAC)の地域統合政策専門家であ るリカルド氏との面談の様子。本邦研修 に参加する研修員に関する協議の他、地 域総合開発計画に関する講義も含めて欲 しいとの要望を受けた。
2.ニカラグア (1)オコタル市訪問概要 オコタル市では市長と面談し、日本の「道の駅」について紹介した他、同国では「道の 駅」に最も近いと思われる当市の市営フェア広場(国策)を視察しました。 (2)ビューポイントでのコンデガ市長との面談 (3) 地方自治振興庁(INIFOM)エステリ出張所訪問 当地の中央政府機関である地方自治振興庁(INIFOM)と日本の「道の駅」導入の可 能性について意見交換しました。 (写真9)シオマラ市長(写真左)は JICA の地 場産業振興プロジェクト(体験型観光開発)を同 市の市営フェア広場に取り入れる方向で検討して みようと調査団の説明に熱心にメモを取ってい た。 (写真 10)オコタル市営フェア会場は幹線道路沿 いに設置され、毎週末に開催される産直フェアは誰 でも無料で出展でき、新鮮な農産物を求めて近郊の 住民も訪れるそうだが、同市場内にはトイレはな く、隣のバスターミナルに行かなければならない。 (写真 11)コンデガ市の展望台視察の様子。コ ンデガ市長(右端)から市で整備した展望台のお 陰で国内外から観光客が訪れていることが語られ た。展望台はガラスで覆われているため景観がや や損なわれている。 (写真 12)展望台脇の公園からもコンデガ市街 は眺望可能なはずだが、自生林により視界が遮ら れている。寒地土木研究所から展望施設での景観 の活かし方について技術指導を行った。 (写真 13)地方自治振興庁(INIFOM)エステ リ出張所との面談の様子。先方6名の参加者の うち4名は一村一品運動を学ぶため大分県等に 来日経験がある。そのため、「道の駅」に対する 理解は早く、一村一品運動地場産品を売る場と して当地にも道の駅が必要との見解を示した。
(4)家族・コミュニティー・協同組合経済省(MEFCCA)管轄の国営フェア会場視察 当地の中央政府機関である家族・コミュニティー・協同組合経済省(MEFCCA)と「道 の駅」導入の可能性について意見交換しました。 (5)JICA 帰国研修員との面談(地方自治振興庁(INIFOM)所属) 2016 年度に JICA 北海道で実施した研修に参加した研修員からフォローアップを兼ね、 新規で始める本邦研修に関するアドバイスを頂きました。同帰国研修員によると同国では体 験型観光に力を入れているので、そのような研修内容も加えると有益とのコメントを頂いた他、 調査団が視察した公営フェア会場が「道の駅」のコンセプトに近いことをご教示頂きました。 3.所感 今回の調査では JICA による 2017 年度新規課題別研修「中米統合機構加盟国向け 幹線 道路沿線地域開発」(北海道開発局、寒地土木研究所、一般財団法人北海道開発技術センター 協力予定)を実施するにあたり、中米諸国のうちエルサルバドル、ニカラグアの二カ国を訪 問しましたが、両国とも幹線道路の整備状況は良好でした。しかし、都市間の移動では休憩 を目的とした公的な施設はなく、当地ではガソリンスタンドや地域のレストランがその役割 (写真 14)面談した家族・コミニュ二ティー 協同組合経済省(MEFCCA)の3名のうち2 名は、一村一品運動を学ぶため大分県等を訪れ た際に「道の駅」も訪れており、道の駅に対す る理解も早い。 (写真 15)MEFCCA 所管の国営フェア会場。 首都近郊の農家の産直場となっている。出店料 は無料とし、多くの生産者が参加できるように 配慮されている。会場整備費は全額台湾による 出資で整備。 (写真 16)調査団はニカラグア北部のレンガ 生産工房で実施されている体験型観光(レンガ 作り)を視察した。製作したレンガには参加者 の名前を刻印できる。既に大学生のグループを 受け入れた実績があり、今後はこのような体験 型観光と公営フェア会場を通じて結びつけるこ とを模索しているという。
を果たしていましたが、トイレ等の休憩機能を含め、概して情報発信機能や地域振興機能は 弱い印象を受けました。しかし、幹線道路沿いには多くのドライバーで賑わう地域の名物レ ストランの存在も見受けられ、「道の駅」に対する潜在的ニーズはあると考えられます。ま た、中米地域は自然景観が豊かな地域ですが、まだ十分に活用されていないようにも見受け られました。 中米では既に日本の一村一品運動アドバイザー、地場産業振興アドバイザーが現地で活動 しており、一村一品運動の成果である地域の生産物を販売する場を求めています。また、一 村一品運動に関連した JICA 研修を通じて訪日経験のあるカウンターパート機関の職員が少 なからずおり、「道の駅」に対する理解は早い印象を受けました。 そのため、本邦研修ではまず地域振興機能としての「道の駅」の果たす役割を伝えつつ、 休憩機能と情報発信機能の重要性についても理解を深めてもらう内容とすることを検討した いと思います。さらに「道の駅」間の道路景観の向上を通じて、地域全体の付加価値を高め るものとして、シーニックバイウェイを研修に組み込むことは有益であると考えられます。 北海道の幹線道路沿線の地域開発事例を通じて、日本側及び中米地域双方にとって有益と なるような研修プログラムを策定していきたいと思います。 (写真 17)ニカラグア北部の幹線道路沿いの地域名物を提供する民間レ ストラン。米国飲料メーカーの看板をそのまま店の看板としている。 (写真 18)同レストランのトイレ (写真 19)「ニカラグア共和国国家運輸計画プロジェクト 最 終 報 告 書 」 に よ る と 、 ニ カ ラ グ ア の 道 路 総 延 長 は 23,647km に及び舗装率は約 13.2%とのことだが、幹線 道路はきれいにアスファルトで舗装されていた。 (写真 20)中米では幹線道路脇で近郊の農産物 を販売している光景をよくみかける。違法ではな いが、危険なため推奨されてもいないという。