図1 デジタルビデオカメラだけでなく、デジタルカメラやスマートフォン、パソコンのWebカ メラなど、動画を撮影できる機器は多い。高品質のハイビジョン(HD) 動画への対応も増えた。 撮影した動画は、パソコンに取り込める 図2 容量の大きいHD動画は、ハードディス クやブルーレイディスクなどに保存して管理 したい。他の人に見せたいときは、ディスク に書き込んで渡したり、ネットの動画共有サ イトで公開したりする。家の中なら、パソコ ンをサーバーにして他の機器で視聴もできる デジタルカメラ デジタル ビデオカメラ スマートフォンや携帯電話 パソコン用 Webカメラ ●さまざまな機器でハイビジョン動画の撮影が可能に ●パソコンを使えば多彩な活用ができる 動画の撮影が可能な機器が増えて きている。従来はデジタルビデオカ メラが主役だったが、今ではデジタ ルカメラも動画対応は当たり前。ス マートフォンや携帯電話でも動画の 撮影は可能だ。 パソコンにつなぐ Webカメラなどの機器もある(図1)。 画質の向上も著しい。多くの機器が、 高画質なハイビジョン(HD)動画の 撮影に対応するようになった。 撮影した動画は、パソコンに取り 込むことでいろいろな用途に活用で きる(図2)。本連載では、動画の撮 影に必要な知識と、撮影した動画を パソコンで活用するためのノウハウ を紹介していく。今回は、動画撮影 が可能な主要機器とそれぞれの特徴 について解説する。
デジカメでも動画はOK
パソコンで利用可能な動画を撮影 できる機器のカテゴリーとしては 「デジタルカメラ」「デジタルビデオ カメラ」「スマートフォンや携帯電話」 が挙げられる。 デジタルカメラは本来、写真(静 止画)撮影が主目的だが、ほとんど の機種で動画の撮影も可能だ。画質 は意外に高く、コンパクトデジカメ HD動画をパソコンに取り込んで活用 外付けHDDや USBメモリーに保存 ブルーレイディスクやDVDに保存 無線LAN経由で他の機器で視聴 動画サイトで公開第1回
機器ごとの特徴を理解して使い分ける
デジタルカメラやデジタルビデオカメラ、スマートフォ ンなど、動画を撮影してパソコンに取り込める機器が 増えている。取り込んだ動画は、編集して配布したり ネット公開したりできる。この連載では、デジカメを中 心に動画関連のノウハウを紹介する。今回は、機器ご との特徴を見ていこう。(田中雄二=フリーライター)デジカメ動画
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特別講座
●動画撮影が可能な主要機器とその特徴 でさえ、HD 動画に対応する製品が ある。ちょっとしたスナップ動画を 撮影する用途であれば、十分な機能 を備えている。 特に、背景をぼかすなど高度な絵 作りが可能な一眼レフのデジカメな ら、やり方次第ではビデオカメラよ りも美しい動画を撮影できる。 一方、動画がメインのビデオカメ ラに比べ、使いにくい点もある。例 えば操作性だ。ビデオカメラは片手 で簡単に操作できる作りになってい るが、大型のデジカメは両手での操 作が必要で、扱いがやや面倒。また、 画像がぶれないようにする「手ぶれ 補正」機能も、動画撮影時には弱い 製品がある。多くのデジカメは、連 続撮影が 30 分以内に制限されてお り、ビデオカメラより短い(図3)。
本格撮影ならビデオカメラ
デジタルビデオカメラは、気軽に 購入しやすい価格帯の製品が増えた。 前述のように、片手での操作がしや すく、動画撮影向けの手ぶれ補正機 能を搭載。ほとんどの機種が、高倍 率のズーム機能を備える。運動会な どでは、ビデオカメラのほうが、手 軽に動画を撮影できる。 多くのビデオカメラは、静止画を 撮影する機能も搭載している。ただ し、画質的にはコンパクトデジカメ 並みのものが多い(図4)。 スナップ動画なら、スマートフォ ンや携帯電話もお薦めだ。画質とい う点ではいまひとつの機種が多いが、 撮影した動画をその場でインターネ ットの動画共有サイトにアップロー ドするなど、通信機能を生かした使 い方が簡単にできる(図5)。 動画撮影では、聞きなれない用語 が多く出てくる。適切な設定で撮影 するために、これらの用語について 知っておこう。 最初に覚えたいのは「画質」に関 する用語だ。図6の「画像サイズ」「フ レームレート」「ビットレート」を理 解しておこう。 最近の動画撮影機器では「フル HD」がキーワードになっている。こ れは画像サイズの一つであり(図7)、 「1920×1080」ドットのサイズがフ ルHDだ。一般には、サイズが大き いほど画質が良い。 「フレームレート」は、1秒間に表 示する画像のコマ数。「60p」「60i」 図3 コンパクトデジカメでもフル HD 動画対応機器が増えている。スナップ的な動画撮影なら デジカメでも十分。大口径レンズのデジタル一眼なら、背景をぼかすなどデジタルビデオカメラ 以上の絵作りも可能だ。写真はソニーのミラーレス一眼「NEX-5N」(ボディーのみの実勢価格は 6万2000円前後)。動画の手ぶれ補正機能を備え、フルHD動画に対応するデジタルカメラ
▶フルHD動画への対応が増加 ●コンパクトデジカメでもフルHD動画に対応 ●大口径レンズを使う一眼タイプなら、 プロ機材レベルの絵作りも ●動画用の機能や使い勝手は、 デジタルビデオカメラより劣る部分がある 図4 フル HD 動画対応、手ぶれ補正、高倍率ズーム、片手で使える操作性など、動画撮影のた めの便利機能が充実。運動会などでの動画撮影にはビデオカメラが最適。写真はフルHD動画撮 影が可能なパナソニックの「HC-V700M」(実勢価格は9万1000円前後)。オプションで3D動 画の撮影にも対応するデジタルビデオカメラ
▶動画撮影に向く機能と使い勝手 ●手ぶれ補正や高倍率ズームなど、 動画撮影の機能が充実 ●デジカメよりも長時間の録画が可能 ●静止画は、デジカメより画質が劣ることが多い 図 5 スマートフォンや携帯電話のカメラ機能で、フル HD 動画撮影が 可能な機種が増えている。その場でネットに接続して動画共有サイトに アップロードできるのが魅力。写真はアップルの「iPhone 4S」。800 万画素の撮像素子を搭載し、フルHD動画の撮影が可能だスマートフォン/携帯電話
▶その場で動画共有サイトへの投稿も ●画質はそれなりだが、 フルHD動画の撮影が可能な製品も登場 ●その場でネットにつなぎ、 動画共有サイトへの投稿が可能 ●ズームや手ぶれ補正機能などは弱く、 運動会などには不向き 「デジカメ動画
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特別講座8)。コマ数は数字が大きいほど動き がなめらかだ。 「ビットレート」は、1秒間当たり のデータサイズであり、画質の目安 (図9)。 パソコンで使う場合は、動画の記 録方式(フォーマット)も知っておき たい。これには、動画ファイルの内 図 10 「AVCHD」や「H.264」などといっ た用語も動画にはよく出てくる。これらの意 味も知っておこう 高いものほど画質が良い ビットレート 3 プログレッシブとインタレースに注意 フレームレート 2 図 6 動画を撮影する際 の画質は、このような形 で表記されることが多い。 それぞれの意味について 知っておこう 図7 「1920×1080」は動画の画像サイズを示す。DVDビデオやアナログ放送の画質は 「SD」と呼び、「720×480」ドットになる。これより大きいものを「HD」と呼ぶ。HDに はいくつかのサイズがあり、ブルーレイディスクやBSデジタル放送の一部で使われている 「1920×1080」が「フルHD」と呼ばれるサイズだ 図 9 ビットレートは、動画の 1 秒当た りのデータサイズ。動画はそのままだと サイズがとても大きいので、圧縮してデ ータを間引く。画像サイズとフレームレ ートが同じ動画では、ビットレートが大 きいものほどファイルサイズは大きく、 一般に画質は高い。表はデジタルビデオ カメラ「HC-V700M」の例
1920×1080、60p、約28Mbps
●「フルHD」とは何? 動画形式の基本を押さえる 1 画像サイズ 2 フレームレート 3 ビットレート 画像サイズ 1 フルHDとは、1920×1080ドットのサイズのこと 1920 約207万画素 約92万画素 約35万画素 1280 720 1080 720 480 フルHD HD SD 60p:1秒間に60コマを再生する 60i:1秒間に 60 コマを再生するが、各コマは偶数列と奇数列を交互に表示 60コマ 60コマ 図8 フレームレートとは、1秒間に表示するコマ数のこと。「60p」は、1秒に60コマの 画像を表示する。ただし、同じ60コマでも「60p」「60i」の2通りがある。60pはフルに 60コマを表示するが、60iは画面を横に分割して、偶数列と奇数列を交互に表示する ビ ッ ト レ ー ト の 例 画質モード ビットレート(平均) 16GB の メ モ リーカードに保存で きる時間 1080/60p 約28Mbps 約1時間20分 HA 約17Mbps 約2時間 HG 約13Mbps 約2時間40分 HX 約9Mbps 約4時間10分 HE 約5Mbps 約6時間40分 ●ファイル形式と圧縮形式を理解 図 12 動画や音声データには、いろいろな 圧縮形式がある。動画では「H.264」が最近 の主流だ 種類 名称 概要 主 な 動 画 ・ 音 声 の 圧 縮 形 式 動 画 H.264/ MPEG-4 AVC 品質を落とさずに圧縮率を 高くした動画形式。 最近の 主流といえる MPEG-2 デジタルテレビ放送などで利用される動画の圧縮形式 Motion JPEG 各コマをJPEG形式画像として記録する形式 音 声 LPCM 音声を無圧縮で記録する方式 MP3 携帯型音楽プレーヤーなどで利用される形式 AC-3 米ドルビーラボラトリーズが開発した音声圧縮形式。 ドルビーデジタルともいう AAC 地上デジタル放送などで使われている音声圧縮形式 名称(主な拡張子) 概要 主 な フ ァ イ ル 形 式 AVCHD (m2ts) ソニーとパナソニックが基 本規格を定めた、HD 映像を 記録するための規格 QuickTime (mov) 米アップルが定めたファイル 形式。 さまざまな形式の動 画・音声データを保管できる MP4 (mp4、m4v) 動 画 圧 縮 規 格 の MEPG-4 で 定 め ら れ て い る 形 式。 MPEG-4 以 外 の 形 式 の 動 画・音声データも保管できる AVI (avi) 米マイクロソフトが定めた ファイル形式。さまざまな 形式のデータを保管できる 図 11 デジタルビデオやデジカメ動画で多 いファイル形式が「AVCHD」。HD 動画を記 録するための規格だ ファイル形式 ファイルの構成内 容を定めたもの 圧縮形式 動画や音声データ 自体の形式 動画ファイル 管理情報 動画データ 音声データ ありるが、最近では「AVCHD」形 式の利用が増えている(図11)。ファ イル形式が同じでも圧縮形式が違う と再生できないことがある(図12)。ここからは、機器を分野別に詳し く見ていこう。まずはデジタルカメ ラだ(図13)。前述した通り、デジカ メのHD動画対応はもはや普通にな っている。「60p」での撮影が可能な 製品さえある。 動画の撮影も簡単だ。多くのデジ カメでは、専用の「動画撮影ボタン」 を用意し、ボタン一つで動画を撮影 できる(図14)。
一眼タイプは動画も高画質
特に注目されるのは、レンズを交 換することでさまざまな絵作りが可 能な一眼デジカメだ(図15)。背景を ぼかして撮影するなど、写真の絵作 りそのままで動画の撮影ができる。 一般のビデオカメラではかなわない レベルだ。 また一眼デジカメは、光を取り込 んでデジタルデータに変換するため の「撮像素子」が、一般のビデオカ メラに比べて大きい。このため、よ り高画質が期待できる。 一方で、ビデオカメラに劣る点も ある。例えば操作性だ。ビデオカメ ラは片手で操作できるようにできて いるが、デジカメは両手が基本なの で、片手では操作しづらい。 動画撮影に必要な機能が弱い面も ある。前述の手ぶれ補正機能も、動 画撮影では弱い機種が多く、デジタ ル一眼ではレンズによっては働かな い機種もある。こうなると、カメラ 本体を固定して撮影することになり、 使い勝手が落ちてしまう。 被写体へピントを合わせる「オー トフォーカス」機能も、機種によっ ては動画撮影時には弱く、一瞬画面 がぼやけてしまうことがある。ズー ムの速度が、ビデオカメラより遅い 機種もある。動画撮影を重視するな ら、実際に触ってチェックしたい。 なお、デジカメの中には、ソニー の「NEX-5N」「DSC-HX9V」のよう に、動画向けの手ぶれ補正機能など を搭載した製品も登場している。 撮像素子のサイズが大きい ●動画専用ボタンで簡単操作 ●一眼ならビデオカメラ以上の絵作りも デジタル一眼 デジタルビデオ コンパクトデジカメデジタルカメラ
一眼もコンパクトもHD動画撮影が主流に デジタル一眼 最新機種ならフルHDで60pの撮影も可能に 撮像素子が大きいので高画質が期待できる 大口径レンズならではの絵作りが可能 コンパクトデジカメ フルHDの撮影が可能な機種が増えてきた フレームレートは30pのものも多い 動画の手ぶれ補正やオートフォーカスが弱い機種も 図 13 最近のデジタ ルカメラは、動画撮影 機能も強化されている。 コンパクトカメラでも、 フル HD サイズの動画 が撮影可能な機種が増 えている 図14 最近のデジカメは、動画撮影専用のボタ ンを搭載するものが多い。ボタン一つで、簡単 に動画の撮影が可能だ 図15 大口径レンズを用いる一眼タイプのデジカメなら、デジタルビデオカメラ以上の絵作りも可能だ。背景をぼかすといった一眼デジカメならでは の表現を、そのまま動画にできる。また、光を取り込んでデジタルデータに変換する撮像素子のサイズも大きいので、高画質が期待できる サイズはほぼ実寸 35mmサイズ APS-C フォーサーズ 1/1.7型 1/2.33型 静止画のシャッター 動画撮影ボタン レンズ交換が可能 「デジカメ動画
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特別講座デジタルビデオカメラは動画撮影 に役立つ機能を数多く搭載している (図16)。運動会などの撮影には、デ ジカメより向いている。 例えば、片手で簡単に操作できる 点(図 17)。撮影はボタン一つで可 能で、ズームも、ボタンを指先で軽 く動かすだけで、即座に変更できる。 多くのビデオカメラは、静止画の 撮影にも対応し、これもボタン一つ で行える。動画の撮影中に静止画を 撮れる製品も多い。ただし、静止画 の画質はあまり期待できない。前ペ ージの図15で示したように、撮像素 子のサイズがそれほど大きくないか らだ。
ビデオカメラは高音質
意外と見落としがちだが、音声記 録の面でも、ビデオカメラの方がデ ジカメよりも一日の長がある。 ビデオカメラは基本的にステレオ マイクを内蔵しており、5.1chでの記 録が可能な製品さえある。録音時に は風切り音をカットするなど、ノイ ズを抑えて聞き取りやすい状態で記 録するものもある。 これに比べてデジカメでは、マイ クがモノラルであったり、カメラ自 体の機械音が記録されてしまったり して、録音した音声が聞き取りにく いことがある。 動画撮影に便利な、手ぶれ補正機 ジカメと同様、手ぶれ補正は「光学 式」「電子式」の2通りがあり、光学 式の方が効果は大きい(図 18)。な お、エントリーモデルでは電子式だ けの機種もあるので注意したい。 店頭に並ぶ新製品のラインアップ は、おおむね価格 6 万〜7 万円を境 にして高画質モデルと、使いやすさ 重視のエントリーモデルに分かれる。 高画質モデルは、撮像素子やレン ズの工夫で、高画質を実現。特殊な レンズを装着することで、3D 動画 の撮影が可能な製品もある。 エントリーモデルは、小型かつ軽 量にすることで取り扱いを容易にし ている。本体色の種類が豊富なので、 ファッション感覚で製品選びができ、 いっそう身近になった。 ●ズームも素早く、片手で操作が可能 ●歩きながらの撮影も手ぶれ補正機能でOK 図 18 動きながらの撮影では、画面が揺れてとても見づらい。デジタルビデオカメラでは、動 画の手ぶれを補正する機能を搭載し、これに対処している。機械部分を動かして補正する「光学式」 と、画像処理で補正する「電子式」の2つの方法がある。光学式の方が効果は大きい 撮像素子 撮影可能範囲 有効画像範囲 図 17 デジタルビデオカメ ラは、片手で簡単に操作でき る。ズーム操作も素早くでき る。動画撮影中に静止画を撮 れる機種も多い 静止画撮影ボタン ズームボタン 動画撮影ボタン 光学式 電子式 角速度センサーで 揺れを検知し、打 ち消す方向にレン スや撮像素子を移 動して補正する 揺れが発生したとき、 有効画像範囲を変更 するなどで補正する 高画質モデル こだわりのレンズや撮像素子で高画質に 3D動画の撮影が可能な製品も登場 音声記録にも注目、5.1chに対応した製品も エントリーモデル 画質よりも使い勝手を優先 小型かつ軽量で本体色の種類が豊富 手ぶれ補正機能などがやや劣ることも 図 16 デジタルビデ オカメラの製品ライン アップは、高画質モデ ルとエントリーモデル に大別できる。高画質 モデルは高性能の撮像 素子やレンズを搭載。 エントリ ー モデルは、 小型かつ軽量で使い勝 手を優先最近のスマートフォンや携帯電話 は、高画質の撮像素子の搭載などに よりカメラ機能が格段に向上してい る(図19)。 人気の最新スマートフォン「iPhone 4S」は、約800万画素の撮像素子を 搭載し、レンズが従来モデルより明 るくなったことで、写真はかなりき れいになった。動画も、1920×1080 のフルHD(30p)での撮影が可能だ。 ビデオカメラにはかなわないにせよ、 動画の手ぶれ補正機能もある。