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「V シリーズ」チップ搭載のPIM・6 in 1 IGBT モジュール系列

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Academic year: 2021

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1 まえがき

富 士 電 機 は,1988 年 に IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を製品化して以来,世代交代を重ね,着実に 低損失化,小型化を成し遂げることで市場の要求に応えて きた。 装置の小型化を可能にした手段の一つに,PIM(Power Integrated Module)や 6 in 1 モジュールに代表されるモ ジュール化が挙げられる。PIM は,インバータ,ブレー キ,コンバータ回路を一つのパッケージに集積したパワー モジュールである。6 in 1 は,三相インバータ回路を一つ集約したモジュールである。 今回,PIM タイプの ECONOPIM〈注〉TM系列,6 in 1 タイプPC-PACK 系列を紹介する。これらは,パッケージの 開発による端子配列自由度の向上と高放熱性絶縁基板の適 用による電流容量拡大によって,モジュール駆動回路設計 の自由度を向上させ,さらなる小型化を実現した新しい系 列である。 また近年,エレクトロニクス実装において,環境への配 慮や生産性の向上を狙いとしたソルダフリー実装タイプの パッケージへの要求が強まっている。そこで,富士電機は, これまでのソルダ実装タイプの系列に加えて,ソルダフ リー実装が可能なプレスフィットピンモジュールを開発し た。 前述の各種モジュールに,最新の第 6 世代「V シリー ズ」IGBT チップを搭載した新しい系列化を行った。本稿 では,最新の第 6 世代 V シリーズの各種ソルダマウント タイプのECONOPIMTMPC-PACK シリーズ,ソルダフ リー実装が可能なプレスフィットピンモジュールを開発し, モジュールの幅広い選択が可能になったので紹介する。 2  「V シリーズ」 チップ搭載の ECONOPIMTM PC-PACK 系列の端子配列と電流定格 従来の ECONOPIMTMPC-PACK 系列のケースは,成 形時に端子(ピン)を挿入し固定しているケース構造なの で,端子配列の自由度がなかった。これに対し,図1に示 すように新規開発パッケージは,アセンブリ技術の向上と 新パッケージ構造の適用により,各種端子はモジュール組 立時にケースに端子を固定できるようになったため,端子 配列の自由度が向上した。 表 1に,ECONOPIMTM・PC-PACK の従来シリーズと V シリーズにおける系列を示す。従来シリーズに対して, 豊富な端子配列の中から選択が可能なことに加え,電流容 量が高い系列をそろえている。これは,最新の V シリー ズチップと,従来品よりも熱伝導率の高い高放熱性絶縁基 板を用いることにより達成した。 図₂に,ECONOPIMTM系列における端子配列と,各種 端子配列に対するパワーフローを示す。図₂から分かるよ うに,数種類の端子配列をラインアップしたことにより,

「V シリーズ」 チップ搭載の PIM・6 in 1 IGBT モジュー

ル系列

関野 裕介 Yusuke Sekino 村井 智哉 Tomoya Murai 丸山 力宏 Rikihiro Maruyama

PIM 6-in-1 IGBT Module Series Equipped with “V-Series” Chips

ECONOPIMTMPC-PACK シリーズでは,複数の回路を一つのパッケージに納めることにより,IGBT(Insulated Gate

Bipolar Transistor)モジュール小型化という市場要求に応えてきた。最新の「V シリーズ」は電流容量の拡大と顧客にお

ける設計の柔軟性を高めることを狙って開発し,系列化した。高放熱性絶縁基板の適用や多様なピンレイアウトのパッケー

開発により,同一のパッケージで電流容量の拡大と顧客の PCB(Print Circuit Board)設計の自由度を上げた。また,ソ

ルダフリーによるPCB 実装が可能なプレスフィットピンモジュールの開発により,多様なニーズ対応を可能とした。

ECONOPIMTM/PC-PACK series has been responded to market requests for smaller module size of IGBT (insulated gate bipolar

transis-tor) by integrating multiple circuits into a single package. New “V-series” was developed as a series aiming to achieve power range expansion and flexibility of customer design. By adopting insulated substrate which has high thermal conductivity and several types of pin layouts, larger current ratings than with a conventional package and flexible PCB (printed circuit board) design for our customers were established. Moreover, a new press-fit pin terminal has been developed for the solder-free assembling to the PCB, and enables to support various require-ments.

〈注〉ECONOPIMTM: Infineon Technologies AG の商標または登録

商標

(b)従来品 (a)開発品

(2)

インバータの設計に応じてパワーフローを選択することが できるようになった。 3 プレスフィットピンモジュールの特徴 これまで述べてきた ECONOPIMTM・PC-PACK シリー

ズは端子を PCB(Printed Ciruit Board)に実装するには,

はんだ付けする必要があった。組立工程を簡素化するため に,環境に配慮したソルダフリー実装に対応したモジュー ルの需要が,近年高まってきている。このようなソルダフ リー実装需要に対応したモジュールの一つとして,プレ スフィットピンモジュールがある。プレスフィットピン モジュールは図₃示すとおり,PCB へのプレスフィッ トピンの圧入を利用することによって,ソルダフリーで PCB へ実装できるようにしたモジュールである。 今回新たに開発したプレスフィットピンモジュールの外 観を,図₄示す。 表 ₁ 「V シリーズ」ECONOPIMTM・PC-PACK 系列 モジュール PIM 6 in 1 シリーズ 第 4 世代 S シリーズ 第 5 世代 U シリーズ 第 6 世代 V シリーズ 第 4 世代 S シリーズ 第 5 世代 U シリーズ 第 6 世代 V シリーズ ピンタイプ ソルダ ソルダ ソルダ プレスフィット ソルダ ソルダ ソルダ フィットプレス 系 列 A B A B M N P R A *1 B *1 W X Y Z A B A B W X 1,200 V 10 A ◇ ◇ 15 A ◇ ◇ 25 A ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 35 A ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 50 A ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 75 A ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 100 A ○ ○ ○ ○ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 150 A ◎ ◎ ◎ ◎ ◇ ◇ ◇ 150 A + *2 150 A++ *3 600 V 30 A ◇ ◇ 50 A ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 75 A ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 100 A ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 150 A ○ ○ ○ ○ ○ ◇:ラインアップ ○:最新の V シリーズチップによるラインアップ ◎:最新の V シリーズチップと高放熱性絶縁基板技術の適用による新たな電流容量のラインアップ :今回の開発 *1 :開発中

*2 :Ic(continuous)=150 A,Icp(1 ms)=400 A,低熱抵抗タイプ

*3 :Ic(continuous)=150 A,Icp(1 ms)=400 A,高放熱性絶縁基板を適用した高放熱性タイプ

M(W) P(Y) A N(X) R(Z) B P N P N R S T U V W R S U V N P T W P NTC NTC B U V R S T W P P N N P N P N R S T U V W NTC B R S U V N P T W P NTC N B NTC B P N N U V R S T W P 電力変換パワーフロー AC(RST 端子) DC(PN 端子) AC(UVW 端子) B N 図₂ ECONOPIMTMにおける端子配列とパワーフロー (a)挿入前 (b)挿入後 PCB PCB PCB PCB 図₃ プレスフィットピン挿入図

(3)

₃.₁ プレスフィットピンモジュール実装方法 プレスフィットピンモジュールのプレスフィットピンを PCB に圧入で実装し,信頼性を確保するためには,プレ スフィットピンの挿入法や挿入速度,PCB において推奨仕様で実装する必要がある。 推奨仕様以外での実装ではプレスフィットピンと PCB 間の圧力が強すぎると PCB に損傷を与える可能性があり, 圧力が弱すぎるとコンタクトができず信頼性も確保できな くなる。また,端子と PCB が直接接触するため,コンタ クト部の PCB 保護や安定した接触抵抗を確保するための 推奨のめっき素材やめっき厚,ホール径がある。PCB は, IEC 60249 もしくは IEC 60249-2-5(2 層タイプ)に準拠 して検証した。 プレスフィットピンモジュールは専用のプレス装置( )と推奨 PCB を用いて,端子挿抜の圧力と速度を調節 して実装する必要がある。図₆に,プレスフィットピンモ ジュール用推奨 PCB の仕様を示す。 ₃.₂ プレスフィットピンモジュールの接触抵抗 ソルダフリー実装に求められる主要な特性として,次の 2 点が挙げられる。 ⒜ PCB に実装したときに接触抵抗が安定しているこ と ⒝ 環境ストレスを受けた場合に対しても,PCB とモ ジュールの接続が確保されていること 図₇に,プレスフィットピンモジュールの信頼性試験一環である振動試験後の接触抵抗を示す。振動試験前 後での接触抵抗の増加は最大 0.03 mΩであり,ほとんど変 図₅ プレスフィットピンモジュール実装用プレス装置の例 図₄ プレスフィットピンモジュールの外観 スルーホール径 ドリルホール径 最 小 ー 2.14 mm 標 準 2.35 mm 2.20 mm 最 大 ー 2.29 mm Cu めっき厚 ー ー Sn めっき厚 ー ー Cu 箔厚 ー PCB 厚 1.6 mm 2.0 mm ー 35 µm 25 µm 70 µm 105 µm 15 µm SnCu めっき(先端部) C194+Ni めっき(全体) PCB PCB 厚さ =1.6 ∼ 2.0 mm  (材質:FR-4) Cu 箔厚>35 µm Cu めっき厚>25 µm Sn めっき厚<15 µm プレスフィットピン スルーホール径 = 2.2 mm(+0.09/−0.06) ドリルホール径 =2.35 mm 図₆ プレスフィットピンモジュール用推奨 PCB の仕様 n=210 初期 試験後 試験条件 周波数変化:10 ∼ 500 Hz スイープ時間:15 min 加速度:100 m/s2 方向:3 方向(X 軸,Y 軸,Z 軸) 保持時間:6 h(各方向 2 時間ずつ) 180 150 120 90 60 30 0 210 ピン番号 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0 接触抵抗(m Ω ) 図₇ 振動試験後の接触抵抗評価

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化がないことが分かる。本振動試験をはじめとして,IEC 60352 規格に準拠した信頼性試験を実施し,すべて満足す る結果が得られている。 4 「V シリーズ」 IGBT モジュールの全体系列 ₄.₁ 「V シリーズ」 IGBT チップの特徴 V シリーズ IGBT チップの特徴を次に示す。 ⒜ フィールドストップ(FS)構造とトレンチゲート 構造の最適化による総損失の低減⑴,⑵ ⒝ Tj=175 ℃での動作保証 ⑴,⑵ (Tj(max)=175 ℃,Tj(op)= 150 ℃) ⒞ 損失とノイズのトレードオフの改善⑴,⑵,⑶ ⒟ ゲート抵抗によるターンオン di/dt 制御性の向上⑴,⑵ ₄.₂ 「V シリーズ」 の系列 図₈1,200 V クラスの IGBT モジュールの系列表を示 す。現在 V シリーズ IGBT チップを適用したモジュールは, 耐圧 1,200 V に対して,25 〜 1,400 A という広範囲な電流 容量および多彩なパッケージ系列で製品化されている。 これまでに述べてきたように,V シリーズのモジュー ルではPCB への実装をはんだ付けで行うピン端子タイプ, PCB への圧入による実装を可能としたプレスフィットピ ンタイプを系列化した。また,ソルダフリーモジュールの 一つであるスプリングコンタクトモジュール⑷も系列化して いる。このほかに,600 〜 900 A の大容量 2 in 1 なども系 列化を予定している。 このように多彩なピン,端子配列およびパッケージを系 列化することで,さまざまなエレクトロニクス機器への適 用を可能とした。 また,プレスフィットピンモジュールやスプリングコン タクトモジュールなどのソルダフリーモジュールに加えて, 小容量向けにさらにモジュール実装が容易なソルダフリー タイプモジュールの開発を検討中である。 5 あとがき 富士電機の最新の第 6 世代 「V シリーズ」 IGBT チップ を搭載した ECONOPIMTM・PC-PACK モジュールのソル実装タイプとプレスフィットピンモジュールを中心に, V シリーズ IGBT モジュールのピンタイプ,パッケージ タイプの系列について紹介した。本製品は,最新の半導体 技術とパッケージング技術を駆使して開発したものである。 お客さまの PCB 設計の自由度,組立工数の削減および環 境保護などのさまざまな要望に対して幅広い選択肢を提供 するものである。 今後,富士電機では市場の多様なニーズに対応していく ため,モジュール系列をさらに拡大していく所存である。 参考文献 ⑴  仲 野 逸 人 ほ か. 第6世 代IGBTモ ジ ュ ー ル 「Vシ リ ー ズ PIM」. 富士時報. 2007, vol.80, no.6, p.388-392.

ソルダ 15 電流容量 25 35 50 75 100 150 200225 300 400450 550600 900 1,400 ピン ねじ プレス フィット ピン ECONOPIMTM 2 Standard 34 mm(2 in1 ) ECONOPIM 2TM (PIM) ソルダ フリー スプ リング ECONOPIM 3TM (PIM) PC-PACK2(6 in1 ) Standard 45 mm(2 in1) Standard 62 mm(2 in1) Standard 80 mm(2 in1) Standard 62 mm(1 in1) 新型大容量 2 in 1(2 in1) PC-PACK3(6 in1 ) PC-PACK3(6 in1) PC-PACK2 TM PC-PACK3 ECONOPIM 3 Dual XT(2 in1 ) Standard 62 mm(2 in1 ) Spring Dual 開発中

*1:ECONOPIMTM:Infineon Technologies AGの商標または登録商標

*2:ECONOPACKTM+:Infineon Technologies AGの商標または登録商標

ECONOPIM 2TM (PIM) PC-PACK2(6 in1 ) Dual XT(2 in1 ) Dual XT(2 in1) ECONOPACKTM+(6 in1 ) ECONOPIM 3TM (PIM) 量 産 *1 *2 図₈ 「V シリーズ」の系列(1,200 V 系)

(5)

⑵ 高橋孝太ほか. IGBTモジュール 「Vシリーズ」 の系列化.

富士時報. 2009, vol.82, no.6, p.380-383.

⑶ Igarashi,S. et al. Low EMI Techniques for New Generation IGBT Modules. Proc. PCIM. Europe. 2007 Powermodule p.13-17. ⑷ 兼田博利ほか. U4シリーズIGBT 「スプリングコンタクト モジュール」. 富士時報. 2007, vol.80, no.6, p.393-396. 関野 裕介 IGBT モジュールの開発 ・ 設計に従事。現在,富 士電機システムズ株式会社半導体事業本部半導体 統括部モジュール技術部。 村井 智哉 IGBT モジュールの開発 ・ 設計に従事。現在,富 士電機システムズ株式会社半導体事業本部半導体 統括部モジュール技術部。 丸山 力宏 IGBT モジュールの構造開発 ・ 設計に従事。現在, 富士電機システムズ株式会社半導体事業本部半導 体開発センターパッケージ開発部。

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参照

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