53:660
−
669,
2013d
原著
摂食
障害 をも
つ
女 性
の
結 婚
,妊 娠
,出
産
,育 児
に
つ
い
て
コ
ン
ト
ロ
ール
女
性
と
の
比
較研 究
鈴木健
二 *1*2/
武
田
綾
*2*3 抄 録:子ども を もつ摂 食 障 害の女 性 患 者が増 加 して,
臨 床で どう評 価 すべ き かの課題が出て い る.
そこで摂食 障害の患者の結婚, 妊 娠, 出産, 育 児につ い て, コ ン トm一
ル の 女性 と , 面 接 調 査に よ る比較研究を行っ た.
対 象群は,
筆 者ら が治療を行った 子ども を もつ20
名の摂 食 障 害 患 者の女 性で,
コ ン トロー
ル群は子ど も を もつ 20名の ボランティ ア女性で あった.
摂 食 障 害の 女 性はコ ン トロー
ル群の女 性 と比 較して,
妊 娠 中 も過 食 や 嘔吐 な どの食 行 動 異 常は続 くこ とが多 く,
妊 娠で精 神 状 態 も悪 化 し,
飲 酒 や 喫 煙が多かっ た.
出産時 異常に差は な かっ た が,
産後うつ 病が多 く, 育 児 期の精 神 状 態 も悪 く, 出 産 後に過 食 や 嘔吐は増加 し, 子 育て不 安も強 く,
子ど も へ の虐 待 経 験 も多かった.
ま た , 結 婚 か ら出 産 後 まで の問に摂 食 障 害 が 再 発 した者は30
%存 在 し た,
結 論 とし て, 摂 食 障 害の患 者は, 食 行 動 異 常が回 復 して も,
子どもの育 児 期 間を含め て の 長期間のサポー
トの必 要 性があると考え ら れ る.
Key
words :摂 食 障 害,
女 性,
結 婚,
妊 娠,
育 児は
じ
め
に
近
年 ,
思春
期に発
症 した摂食 障害
が,結婚 ・
出 産 後 も症 状が継続
してい るケー
スが臨 床場 面
で もみ ら れるよ うになっ た.
ま た,
い っ た ん摂
食 障害
が回復
してか ら結婚
して出産後
に再発
し た ケー
スに も出会 う
よう
になっ て い る.結 婚
し て 子どもの い る摂食 障害患者
につ い て の研 究
は ま だ少
な く,わ が国
で は症例報 告
が4 編
1ト 4)と ,結 婚
して い ない群
との比 較研究
が1 編
5),摂食
障 害の経
過 と子 ど もへ の影響
につ い ての調 査研
究 が1
編6 ), 概 説 が2
編
7)8 )ある の み である.
こ の研 究 は
,
治 療 を 継 続 して い た 摂食
障 害 患者
のう
ち,子
ど も を もつ ケー
ス に面 接
を行
い,
2012
年6
月29 口受 稿,
2012 年9月18 凵受理 *1 鈴木メンタル ク リニ ック (連絡 先 :鈴 木 健二,
〒240−
0111
神 奈 川 県三浦 郡 葉 山 町一
色370
) *2 国立病 院 機 構 久 里 浜 医療セ ンター
*3NPO 法 人 のびの会結婚経
過,結婚
と摂食障害
の関係,
妊娠状態
,出産
の リスク,育
児期間
で の 問題
につ い て調査
し,一
般市民
の女性
を募 り同様
の面接調査
を実
施 し て コ ン トロー
ル群
と して比較
を行
い,摂 食
障害
と結婚,
妊 娠, 出
産,育児
の問
題 点 を 明 ら か にす
る目的
で行
っ た.
対 象 と方法
660
研究対象
の摂食 障害
を もつ 女性
患者
は,2001
年〜2006 年
まで の間
に,国
立病 院機構 久
里浜医
療
セ ン ター
(
旧 久 里 浜ア ル コー
ル症セ ン ター
)
で筆 者 らが治療
を 行っ た 摂食
障 害 患 者の 中で,
治 療開
始 時に子 ど もの い た 患 者 と,
治療継続
中 に妊 娠 ・出産
し た 患者
で調
査に同
意 を得
た20
名 (
対象群)
であり
,子
どもは30 名
で あっ た.
コ ン トロー
ル群
の20 名
は,神 奈
川県
のあ
る自
治体
の2
つ の保育所
に子 どもを預
けて い る母親
と, 自治体
の主催
して い る 「了育
て広
場 」 に参
加 してい る母親
か ら,ボラン ティ アを募集
した.
Vel.
53 No.
7.
20131 心 身 医看
護師
,教
師
,医
師
などの職
業
を もつ女
性
は含
ま れて い ない.
コ ン トロー
ル 群の子 どもは36
名
で あっ た.
面
接
調査
の期間
は2004
年
7
月〜2006
年
6
月 の間
で あっ た.
まず
対象
群 とコ ン トロー
ル 群は, 生活
史,
食行
動 異常,
既往症,
飲酒,
タバ コ な どに つ い ての調
査用
紙
に記
入 して も らい, い く つ かの精神
疾 患
のチェ ッ ク リス ト も記
入 して も らっ た.
チ ェ ッ ク リス トは,一
般 的精神 的健康
度
につ い て のGeneral
Health
Questionnaire
−
12
(
GHQ
−12)
9),う
つ病
のス ケー
ルであ
るSelf
−
rat−
ing
Depression
Scale
(
SDS
)
10),食行動異常
につ い て のEating
Attitude
Test
−
26
(
EAT
−
26
)
ID,強
迫 性 障 害
の ス ケー
ル であ
るMaudsley
Obses
−
sional
Compulsive
lnventory
(
MOCI
)
12),社交不
安 障 害
の ス ケー
ル で あ るFear
ofNegative
Evaluation
Scale
(
FNE
)
13)で あ る.
妊 娠, 出産,
産 後の経 過にお け る
本
人の健康
状態
につ い て,
母 子 手 帳 を持 参 して も らい,
共 同 研究者
が,各
人1
時 間の面接
調査
を行
っ た.
母 子手帳
の持参
率
は83
% で あっ た.面接 調査
に おける調
査票
は, 摂食 障害
の結婚 ,妊娠 ,出産 ,育児
につ い て の先 行 研究
を参考
に して新
た に作 製
し た.対
象 群に対 して は面接場面
で摂食 障害
の詳
しい経
過 を 聞 き,
また診療録
か ら も情報
を補充
し た.
この研究
におい て は,摂食 障害
の診 断,
その他
の精 神 疾 患の診 断に はDSM
−
IV
を使 用
し た.統
計 的 有 意 差検定
は,
X2 検定
と,Student
t
test
を 使 用 した,
こ の研
究
は,2004 年
の久
里浜 医療
セ ン ター
の 倫 理 委 員会
の承 認を得
て行
っ た.
結 果
Table
1
に,対象群
の摂食 障害
の経
過 と状
態に っ い て まと め た.
調査時
の平均 年齢
は32
±6
.
5
歳
摂食障害発症年齢
の平均
は17.
7
±3
.
9
歳で, 発 症か らの期 間
の平均
は15
年
であ
っ た.調
査時
のbody
massindex
(
BMI
)
は20
.
2
で正常
であっ た が
, 最低
BMI
は14
.
8
で, 過 去にやせ す Table 1 摂 食 障害 群 20 名の摂 食 障害の経 過 調査時年 齢 (歳 ) 摂食 障 害発 症 年 齢 (歳 ) 調査 時BMI
最 低BMI
調 査 時の摂 食 障 害の サブ タ イ プ (%)AN
/R
AN
/BP
BN
/NP
BN 〆PED
/NOS
食 行動 異 常 なし 併 存 症 (%) うつ 病 不安 障害 アル コー
ル依 存症 パー
ソナ リティ障 害 32.
O±6.
517.
7
±3.
9
20.
2
±3.
7
14.
8
±3.
5
結 婚・
妊 娠・
出 産 と摂 食 障 害 との関 係 (%) 結婚 前か ら摂 食 障害の持続 回 復 して結婚 して再 発せず 回 復 していたが, 妊 娠 中に再 発 回復し てい たが,
出産 後再 発 出 産 後に摂食 障害の発 症5255351020
000
「U
1123
451552510
AN /R l anorexia nervoza restricting type AN /BP ;anorex 血 nervosa binge purging type
BN
/NP
:bulimia
nervosa not purging type BN/P :hulimia nervosa purging typeED/NOS :eating disorder not otherwise specified
BMI
:body
mass indexぎ
状
態 を もっ て いた.
調査時
の摂食障害
の サブ
タイ プ と して は, anorexia nervosa
binge
purging
type
(
AN /BP
)
と,
bulimia
nervosapurging
type(
BN /P
)
が多
く,合計 60
%を占
めて い た.調
査 時 点で食 行 動 異 常の ない者
は4 名 (
20
%)
であり,
食
行動
異常
が軽快
し た後
も併 存症
の治療
を続
けていた患者
であっ た.
摂食 障害
の併存症
は,
う
っ病
と不安 障害
は10
% と少
な く, ア ル コー
ル 依 存は20
% で , パー
ソ ナ リテ ィ障害
が最
も多
く35
%存在
し た.結婚 ・妊 娠 ・出産
と摂食
障害
との関係
は,摂食 障害
が回復
しない ま まに結
婚 ・妊娠 ・出産
して症 状
が続
い て い る者
が 最 も多
くて9
名
(
45
%)
を占
め,回復
して か ら結婚
して出
産
後
も再発
せず
に い た者
は わず
か に3 名
(
15
%)
で, 摂食 障害
が い っ た ん回復
して結婚
して,妊 娠 ・出産
の過 程
で再発
し た者
が6 名
(
30
%)
と多
く, その中
で も, 10 代
で神経性食
欲 不 振 症 制 限
型 anorexia nervosa restrictingTable
2 対象 群とコ ン トロー
ル群の結 婚 生 活, その意 識, 健 康 度の比 較 対 象 群(
n= 20 ) コ ン トロー
ル 群 (n=20
) 有 意 差 平 均年 齢 (歳 ) 結 婚 年 齢 (歳) 結 婚 時の相 手の年 齢 (歳 ) 初 回 出産 年 齢 (歳 ) 第1
子の年 齢 (歳) 出 産 した子 ど もの人 数 妊 娠 判 明 後の結婚 (%〉 離 婚経 験 (%) 教 育歴 (%) 12≧13
≦ 同居家 族 (%) 夫と同 居 親 と 同 居 そ の他 現 在の社 会 的 立 場 (% ) 専 業 主 婦 仕 事をして い る な し 役 割遂彳1
状態 (%) 家庭で はや れて い る 社 会 的に はや れてい る 友 人と は や れ てい る 調査時BMI
EAT−
26 ス コ アSDS
スコ アMOCI
スコアFNE
ス コ アGHQ
−12
ス コア32.
0
:ヒ6.
5
23.
9:ヒ3.
626
ユ±4.
6
24.
8
±3.
6
7.
4±5.
11.
5
±0,
660
35
「 V 厂 ひ り 0ρ
0 匚 」匚
」0
匚 」31
000
ρ
01355
35
5020.
2±3.
716.
3
±18.
7
47.
3
±10.
5
9.
0
±4.
0
20.
0
±8.
119.
5
±7.
7
34
ユ±4.
7
25.
9±3.
9 27.
1±3.
827.
3
±4、
1
6.
6±3.
31.
9±0.
740
15
匚 」 匚 」 36 8020040600
10095
10021
.
1土2.
53.
2
±3.
8
34.
0
±8.
2
5.
0
±3.
49.
8
±8.
19
.
0
±5.
2
t≡2.
0,
pく0.
5
X2 =10.
4,
p〈
O.
Ol
X2 =
11.
6,
p
〈0.
001
×2=15.
8,
p
〈O.
OOI
X2=13.
3,
p<
O.
OOI
t=3.
0,
pく0.
005
t−・
4.
4,
pく0.
001
t− 3.
3,
pく0.
OO5
t=4.
6,
p
<0.
001
t=4.
9,
p
<0.
001
EAT
−
26 :EatingAttitude
T
セst−
26SDS
:Se
ビー
rating Depression Scale MOCI :Maudsley Obsessional Compulsive InventoryFNE
:Fear
ofNegative
Evaluation
Scale
GHQ −
12:General
HealthQuestionnaire
−
12type
(
AN
/
R
)
で発症
して回復
し,再発
した時
に はAN
/
BP
の タ イ プに変 化
し た者
が多
く4 名
(
20
%)
を占
め てい て,2 名 (
10
%)
は,
AN
/
R
で発
症 し て回復
し,出産後
に再 び
AN
/
R
で再発
してい た.出産後
に摂食 障害
が発症
した者
は2
名 (
10
%)
で あっ た.
Table
2
に,対象
群20 名
と,
コ ン トロー
ル群20 名
の,
調査 時点
で の結婚
生活
とその意
識 や 心 理 的健康度
にっ い ての比較
を行
っ た.
調査時
の 平 均 年齢
も 結婚年 齢
も 対象群
の ほう
が コ ン ト ロー
ル群
と比較
し て平均
2
歳若
い が,有意差
は ない.
しか し,初回 出産年齢
は,対象群
は24 .
8
歳
, コ ン トロー
ル群
は27
.
3
歳
で有意差 (
t
=2.
0
,
df
=
38
,
p〈0
.
05
)
が あっ た.
対 象 群は妊 娠 判 明後
の結婚
つ まり
「で きちゃっ た結
婚」 が60
% と多
く,離
婚 も35
% と多
か っ た が,
コ ン トロー
ル群
との間
に有意差
はなか っ た.厚
生労働
省の統
計で は30
代 女 性の離 婚率
は明 ら かで はない が ,30
代 女 性の母 子 家 庭の割 合は3
% 前 後 なの で, 対象
群の 母 子 家 庭の 割 合 は平 均 よ り非 常に高 く, コ ン トロー
ル 群で も平 均 よ り高
い割
合 と推定
され る.
対 象群
のう
ちの2 名
は,短 期
間の交際
で妊 娠 し, 妊娠
判 明 後に結 婚 した が 経 済 的 理 由で夫 方 の両 親
と同 居 を始 め た もの の,出
産のため実家
に戻 り, その ま ま離 婚 となっ ていて,結婚
生活
662 Vol.
53 No.
7.
2013「心 身 医は ほ と ん どなかっ たケ
ー
ス であ
っ た.社 会
的 立場
で は両
群に大
き な 差が存在
し た。
対象
群は専業
主 婦
が60
% と多
く,仕 事
を して い る 者 が10
% と少
な く, 「な し 」の者
が30
%で あるの に, コ ン トロー
ル群
は仕事
を して い る者 が60
%で , 主婦
の40
% より多
く,
「な し 」 の者 が一
人 もい なか っ た.厚
生労働省
の統
計で は,
30
代の女 性 の就業
率
は67
%なの で, コ ン トロー
ル群は,30
代
女性
の平均
に近
い就業 率
で あっ た.
社会
的 立 場に つ い て の両群
の差は,有 意 (
X2 − 10.
4
,df
−
2
,p
<0
.
01
)
であ
っ た.
こ こで 「な し 」 の者 と は,家事育児
をほ と ん ど親がやっ ていて, 仕 事も
し て おらず,病気
の ために社 会 的・
家 庭 的 立場
が取
れ てい ない 状態
を 示 した.
社会
的 役 割 遂行状態
の自
己評 価に おい て も大 き な 差 が 存 在 し て い た.
こ こで,役割遂行
につ い て の自
己 評 価は,
Garfinkel
の作 成
したGlobal
Clinical
Score
(
GCS
)
14)の評価項
目の一一
部
で あ る, 家 族 関 係,社会 的役割 関係
,友
人 関 係の項 目に対 す る 回 答 で あ る良好
で あ る,お お む ね 良 好,
あ ま
り
上手でない,
う ま くや れてない , の4
項 目 をと
を
合
わ せ て 「や れて い る」 とまと め,と
を ま と め て 「や れて ない 」 と して
,
「や れ てい る」 か 「やれて ない 」 かで比 較 した.
対象群対
コ ン トロー
ル群
に おい て,
「家庭
では う ま くや れて い る」 との評 価は55
%対100
%で 有 意差 (
X2 =IL6 ,
df
=1,
p
<0
.
001
)
が あ り,
「社会 的
にう
ま くや れて い る」 との 評 価 は35
%対95
% で有意差 (
X2 =15 .
8
,
df
=1,
p
<0
.
001
)
があ り
, 「友人
とう
まく
やれ て い る」 との評価
も50
%対
100
% で有 意差 (
X2 =13.
3,
df
=1,
p
〈0。
001 )
があ
っ た.対 象群
は,結 婚
生活
に おい て,非常
に低
い自
己評 価 を して い た.
BMI
は両群
で 差はなか っ た が,
調査 時
に お け る さ まざまな精神疾 患
のチェ ッ クリス トの ス コ ァ に おい て は両群
に は大
きな差
が存在
し た.食
行動 異 常
の スケー
ル で あ るEAT
−26
の ス コ ア で は,
対象群
対コ ン トロー
ル 群は,16.
3
対3
.
2
で有意差 (
t
=
3
.
0
,
df
=
38
,
p〈0
.
005
)
があっ た.
EAT
−
26
のカッ トオ フポイ ン ト は20
点 と さ れ てお り,対象群
の平均点
はそ れに近い値で あ り,食
べ物
へ の と ら われも大
きい状態
に あ る と推 定 さ れ た.う
つ病
の ス ケー
ル のSDS
ス コ ア におい て も, 対象群対
コ ン トロー
ル群は ,47.
3
対34
.
0
で あり
,有
意差 (
t=4.
4,df=
38
, p<0
.
001
)
が あっ た.
SDS
のカ ッ ト オフ ポイ ン ト は40
点 と さ れて い る の で,対象群
の半数
以上 は うつ 病の 状 態で ある と推 定され た.強
迫性症状
の ス ケー
ル で あるMOCI
の ス こコアも対 象 群
とコ ン ト ロー
ル 群で は9
.
0
対 5.
0
と対象群
が高
く有 意差
(
t−
3
.
3
,df
=
38
,p
〈0,
005)
が存在
した.
MOCI
のカッ トオフポイ ン ト は13 点
で あ るが, 対象
群は, 強 迫性
も相対 的
に高
い と推定
された.
社 交 不 安 障 害の スケー
ル であるFNE
の ス コ アも,
対 象 群 対 コ ン ト P一
ル群
は20
.
0 対 9.
8
で 対象
群 は 高 く, 有 意 差(
t=
4
.
6
,df
=
38
,
p
<0.
001 )
が 存 在 した.
FNE
の カ ッ トオ フポイ ン ト は19
点 と さ れてい る の で,対象群
の半数
は社交不安
障害
の状
態にある と推
定 さ れ た。精神的健 康度
のス ケー
ルで あるGHQ
−
12
の ス コ ア は,対象群
対 コ ン トロー
ル 群で19
.
5
対9
.
0
で対象 群
が高
く, 有 意 差 (t−
4
.
9
,df
−
38
,p
<0
.
001
)
が 存 在 した.
GHQ
−
12
のカッ トオフポ イン トは10
点 と さ れてい るの で , 対 象 群 は心 理 的に不 健 康 な 状 態が強い と推 定 さ れた.
Table
3
において, 妊 娠, 出 産, 育 児の状 態に つ い て比 較 するた めに, 対 象 群の子
ど も30
人 と,
コ ン トロー
ル群の36
名の子 ど もの妊 娠, 出産
,育
児の各
時 期 につ い て の問
題 を 比較
した.
子 ど もの男 女 比 や 平 均 年 齢 は 両 群 に差 は ない が, 母の 出 産 時 年 齢は対 象 群 が25
.
5
歳
コ ン ト m一
ル群 は28 ,
1
歳で, 有 意 差(
t;
2
.
5
,df
=
64
,p
<0.
01 )
が あっ た.
母 親の妊 娠 前の平 均 体 重 や臨
月で の平
均 体 重に は両 群に差 は な かっ た が,対象 群
の1 例
は, 妊 娠前
は40kg
で, 臨 月の体 重は39kg
と 妊 娠 中に体 重 が 減 少 し た 例 が あ り, も う1
例は, 妊 娠で体
重が43kg
か ら46
kg
と3kg
しか 増 加 せ ず, や せ た 状 態の ま ま 出 産 しTable
3
対象群 とコ ン トロー
ル群の妊娠, 出 産, 育 児 期の問題の比較 対 象 群 (n=30
) コ ン トロー
ル群 (n=36
) 有 意 差 子 どもの男女 比 子どもの 平均年 齢 (歳 ) 母の 出産 時 年齢 (歳 ) 妊 娠 前 体 重 (kg > 臨 月で の体 重 (kg ) 妊娠 前の精 神状態不 良 (%) 妊 娠 前の過 食 (%) 妊娠 前の自己誘 発 嘔吐(
%)
妊娠中の精 神 状態 不 良 (%) 妊 娠中の飲 酒 (%) 妊 娠 中のタバ コ (%) 妊娠中の過食 (%) 妊娠中の自 己 誘 発 嘔 吐 (% ) 妊 娠 中の下剤 乱用 (%) 異常分娩 (%) 帝 王 切開 (%) 早期 破 水,
ほ か (% ) 産 後うつ 病 (%) 出 産6
カ 月 後の体 重 (%) 妊 娠 前ま では戻 らず 妊娠 前に戻る 妊 娠前より低 体 重 母 乳だけで の 哺 育 (%)3
歳 までの 育 児 期の精 神状 態不 良 (%) 育児 期の飲 酒 (%〉 育児期の タバ コ (%) 育児期の過 食 (%) 育 児 期の 自己 誘 発 嘔 吐 (%) 育 児 時期の下剤乱用 (%) 子育て に不安 あり (%) 子 ど もと一
緒の 食事に困難 あ り (%) 強 迫 的 育 児 あ り (%) 子どもと遊ぶ の が困難 (%) 子ど もへ の虐 待 経験あり (%) 10 対 207.
0
±5.
2
25.
5
±4.
2
53.
O
±9.
5
63.
9±11.
3
30.
036.
7
40.
0 50.
016.
7
50.
0
56.
746.
70
26.
6
13.
313.
3
46.
7
370777003030777 360666003030666 21636257616313218
対185
.
6
±3.
4
28ユ±4.
2
49.
9±6.
460.
2
:ヒ6.
3
19.
4016
.
72.
82
.
8025
.
05.
619
.
411
ユ 432 の24468
8
3
443322502219195 幺0208
,
00 t=2.
5,
p<0,
01 」(2=6.
9,
P<.
1 ×2=15.
1,
p<
0.
001
Z2
= 8.
4,
p
<0.
005
×2=
24.
0,
p<0
.
001 ×2=17.
9,
p<0.
001
Xz=8.
7,
p〈
0.
005
Xz=7.
7,
df二
2,
pく0
.
05 冫(2=
=13.
2,
p<0.
001
丿(2= 6.
9,
p<0
.
01 丿(2=
29.
9,
p〈0
.
001 丿(2=28.
4,
p
〈0.
01
×2= 4.
7,
p
く0.
05
丿(2=
28.
4,
pく0
.
001 ×2=12.
5,
p〈
O.
001
X2= 15.
8,
pく
O.
OOI X2=
8.
6,
pく0
.
005 対 象 群における妊娠 前 と育 児期の比 較, 精 神 状 態 不 良 :X2 =
6.
7,df−
1,
p<0.
01 対象群に お け る妊娠 前 と育 児期の比 較,
過 食 :X2=5.
4,
df− 1,
p
〈.
05
たケー
スがあ
っ た.
コ ン トロー
ル群において は妊
娠中
の体 重 減 少 ケー
ス はな く, 妊 娠 中の体 重増
加が4kg
に留
まっ てい た ケー
ス が2
例 あっ た が,
いず
れ も母親
の妊 娠 前の体 重 が65kg
と 肥満
が存在
していた.
対象群
の母親
の妊娠 中
の精神
的・
身 体 的問
題 は コ ン トロー
ル群
と比較
して大
き かっ た.
す な わ ち 「妊 娠中
の精神
状 態 が 不 良 だ っ た」 と答 え た者
は, 対 象 群 とコ ン トロー
ル群に おい て ,50
%対19
.
4
% で対 象 群 に多 く, 有 意 差 (X2 一
6
.
9
,df
− 1,
p
<0
.
01 )
が あり
,妊娠 中
の飲 酒
は16.
7
%対0
%で有 意差 (
X2 =
15
.
1
,
df
=
1
,p
〈0.
001
)
が あり,妊 娠巾
の タバ コ も50
%対16
.
7
% と有 意 差(
X2 =8 .
4,
df
=1,
p
<0
.
005
)
があり
, 妊 娠 中の過食
も56
.
7
%対 2 .
8
% で有意差 (
X2 =
24
.
0
,df
−
1
, p〈0
.
001
)
が あり,妊
娠中
の自
己 誘 発嘔
吐 も46
.
7
% 対2
.
8
% で有意差
(
X2
=17.
9
,df
−
1
,p
<0
.
001
) が あっ た.
こ こで, 過 食 と自
己 誘 発 嘔 吐は週に1
回 以E
あ る者
を 過食
や自
己 誘 発 嘔 吐 あ りとした.
な お,
つ わ りにつ い て は,
664 Vol.
53 No.
7.
20131 心身 医対
象群
で はつ わり
と自
己誘発
嘔
吐の区別
がっ か ない者
が多
か っ た の で, コ ン トロー
ル群
との比較
は行
わ な か っ た.
以 上か ら,対象群
の母親
は妊娠 中
に多 く
の精神
的・身体的
な問題
を抱
えて い た と推
定
さ れ える.
帝
王切 開,
早 期破水
,吸引分娩,早産 ,
な ど の異常
分娩
の割合
は両群
に差
はなか っ た,
帝 王切 開
は対象
群 は13
.
3
%, コ ン トロー
ル 群 は5.
6
% で , 対象群
は コ ン トロー
ル群
の2 倍
以 上の割合
で あっ たが,統計 的有意差
はなか っ た.
出
産後
6
カ月
以内
に発症
した産後
うつ 病の割 合 は, 対象 群
とコ ン トロー
ル 群で, 46.
7
% 対11,
1
%で対象群
は有意
に(
X2 =8,
7
,
df
=1,
p<0
.
005
)多
か っ た.
一
方, 出産後 6
カ月に お け る体
重の状 態 を 両群
で比較
する と,対象
群 は妊
娠前
よ り減 少 し た者
が60
%存 在
した が, コ ン トロー
ル 群 は ,22 .
2
% しか存在
せず,
む し ろ 戻 らな かっ た者
が多
くて44 .
4
%存 在 す る な ど, 両 群の分 娩 後の体 重の変化
につ い て有意差 (
κ2− 7.
7,df− 2,
p
く0
.
05
)
が存在
し た。
さ らに,対 象
群 におい て,
出
産し て6
カ月後
にBMI
が17.
5
以下
で あっ た者
は5 名 (
17
%)存在
した.乳
児 期で の母 乳 だ けの哺育
に は両
群に差
はな かっ た.
また
3
歳 まで を 育 児 期 間 と考 える と, 「育 児期 間
で の精神
状 態は不 良だ っ た」 と回 答 した者 は,
対象
群とコ ン トロー
ル群で66
.
7
%対22
.
2
% と有意
差(
X2 =13.
2,
df
=1,
p
〈0.
001 )
が あり,
育 児 期
の タバ コ は50
%対
19
.
4
% で有 意 差
(
X2 =
6
.
9
,df
;
1
,p
<O.
01)
があ り,育
児期
の過食
は70
%対 5.
6
% で有 意差 (
X2 =29 .
9
,df
=
1
,p
<0.
001 )
があ り, 育
児期
の自
己誘
発嘔
吐 は63 .
3
%対 2.
8
% で有意差 (
X2 =28.
4 ,
df
−
1
,
p<0
.
001 )
があ り, 育児 期
の下剤 乱
用にっ い て も10
%対
0
% で,有
意 差(
X2 −
4
.
7,
df
− 1,
p
〈0.
05 )
が あっ た.
こ こで,
対象群
に限定
し ての精神
状態,
過食,
自
己誘発嘔
吐につ い て,妊娠前
と妊娠 中
と育
児期
で比較す
る と,対象群
で は 「精神
状 態が不
良 だっ た」 と回 答 した 者は,妊
娠前
は30
%で,妊
娠 中は50
%,育 児
期で は66
,
7
% と増 加
してお り, 妊 娠 前 と育 児 期の間
で は有意差 (
κ 2=6.
7
,df
=1
,p
く0
.
01
)
が あり,
過食 も 36.
7
%,
56
.
7
%,70
% と増 加 して おり
,妊娠前
と育児期
の間
では 有 意 差(
X2 =
5
.
4
,df
=
1
,p
<O.
05 )
が存在
して いた.
自 己 誘 発嘔
吐 も40
%,46 .
7
%,63.
3
% と 有 意 差 はない が増
加 し て い た.
す なわち, 対象
群に おい て は, 妊 娠 前 より,
妊 娠中,育
児期
の 精 神 状 態 不 良 や, 過食,
嘔
吐 な どの食行動
異常
が 悪 化 してい る者
が多
かっ た.
子 育て の意
識
につ い て も両群
の間
に は大 き な 差 がみ られてい る.
す な わ ち 「子育
て に不安
が ある」 と答
え た もの は対象群
とコ ン トロー
ル群 で63
.
3
%対2
.
8
% と有
意 差(
X2=28 .
4,
df
=1
,p
<0
.
001
)
が あり
, 「子
ども
と一
緒
の食事
に困 難 あり
」との回答
にも,30
%対 0
%で有意差 (
κ2−
12
.
5,
df
=1,
p
<0.
001 )
が あり
, 「子 ど も と遊ぶ の が困難
」 と回答
し たの は36.
7
%対 0
%で有意
差(
X2
=15
.
8
,df
=
1
,p
<O
.
OOI
)
があ
っ た.対
象 群の母 親 は 育 児に困難
を 感じ てい る と推 定
さ れ る.
本 人の子 ど もへ の虐待経験
は ,対象群
と コ ン トロー
ル 群で,26
。
7
%対
0
% で有意差 (
κ 2・
・
8
.
6
,df
=
1
,p
〈0
.
005
)
が存在
し た.対象群
の子 ど も30
名のう
ち,8
名
が虐待
を受
けて い た が,
虐 待 内 容は,2
名
が身体 的虐待,
2
名
がネグ
レ ク ト,
4
名 は 心 理 的 虐 待で あっ た.
考 察
摂食 障害 患
者の結 婚, 妊 娠,出産
,育児
に関
す る 従 来 か らの報
告は多 くない が, それ らの テー
マ は い くっ かに分
け られ る. 結婚
し てい る 摂 食 障 害 群 と未 婚 群 を 比較
し, 摂食 障害
の臨
床
症 状 に は差は ない と する報告
5>が ある. 摂
食障
害 と妊 娠・
出 産 との関 連につ いて の報
告 と して,摂食障害
の女 性は, 妊 娠で症 状は悪化
も せず
改 善 も し な かっ た と する報 告2)が あり,
妊娠 中
は症
状は改 善 するが 出 産後
に増
悪 した との報
告15)も あ り, 妊 娠 か ら出 産の過程
で症状
は悪化
し た との報 告
16)も あり
, 寛 解 してい た ケー
ス が妊 娠
で22
% は症状
が再 発
し た との報
告17)も ある. 摂食 障害
の女
1
生の出
産で は帝 王 切 開 が多
い との報 告
や, 産後 う
つ病
が多い との報 告 18) が ある. 摂食障害
を もつ 女 性の育 児 や 母 子 関係
につ いて,食事場面
や 遊 び場面
を観
察 した り, ビ デオ撮影
で解析
し た報告
で, 摂食
障 害 を もつ 母親
は コ ン トロー
ル群
の母親
より子
ど もに対 し て干渉
的・侵
入的で ある との報
告3)19>が あ り,摂食 障害
の母親
は, コ ン トロー
ル群の母 親 と比較
し て,食
べ物
を子
ど も を操作
するた めに使 用 する との報 告
20)もあ り
, あるい は摂食 障害
が遷延化
する と子
ども
の問題
が増大 す
る との報 告
6> など が あ る.
これ らの
先行研究
との比較
で,
こ の研
究の特
質
は 以下
の よう
で あっ た.
1
)
この研 究は, 女 性に とっ て最 も重 要 な ラ イフイベ ン トである, 結 婚, 妊 娠, 出 産, 育 児 の プ m セス の中で, 摂 食 障 害 を 抱 え た 女 性の問題
点 をコ ン トロー
ル女性
との比較 研
究に おい て,
全体
的に明 らか に したこ とである.
先 行 研 究で は,摂食 障害
の結婚
,妊
娠,出
産,育
児に つ いて それ ぞ れの局 面で の報 告であっ た.
2 )
対 象 群とコ ン トロー
ル 群との面
接 調 査に よ る 比 較 研 究 を 行っ たこ とで あ る.
コ ン トロー
ル 群 との 比 較 研究
は4
編5)17>19)20)が報 告 さ れて い るが, 面 接 調 査は2
編 19)20)の み で あ る.
わ が国
で は面接
に よる比較研
究は初
め て である.
3
)
摂食
障 害 を もつ 女 性の, 困難
に満 ち た 結 婚 生 活 を 浮 き彫 りに したこ とである.
妊 娠 判 明 後の結 婚 が 多 く60
%に も及ぶ こ と, 初 産 年 齢 が コ ン トロー
ル 群と比 較 して有 意に若い こ と,離
婚 率 も高い こ と, な どは対象
群の結 婚 生 活の 困難
さ を 表 して い る.
さ らに,自
己 評 価 と して 「家 庭で も社 会 人 と して も ,友 人 関 係で も う ま く や れて ない」 と感 じて い る者 が多
く, 過 食, 嘔 吐 な どの食
行動
異常
を 抱 えてい るだ けで な く, うつ 病スケー
ル, 強 迫 性 障 害のス ケー
ル , 社 交 不 安 障 害の ス ケー
ル,一
般 的 精 神 的 健 康のス666
ケー
ル,
などのいず
れ のス ケー
ルで も高
得 点で あっ たの で,抑 う
つ的
で, こ だ わり
も強
く,対
人 関 係 不 安 も強 く,精神 的不
調 感 も 強 く, さまざ
ま な 心 理的
困難
を抱
え てい た と考
え られる.
これ らの チェ ッ ク リス ト は調査 時
にお いて行
っ た もの で あ るが,
調査時
の子
どもの平均
年齢
は 対 象 群で7
歳
コ ン トロー
ル群
で5.
6
歳
であ
っ たの で, 調 査時
点の育
児が一
段落
し た時期
に お け るス コ ア で あ り,結
婚,妊娠, 出産,育児期
の 精 神 状 態 を 十 分 に反 映
し てい る と考
え ら れ る.
摂 食 障 害 を 抱 えて結
婚 した女性
の妊娠期
,育
児 期の精 神 状 態につ い ての比較研究
は国際的
に もこ の研 究 が 初 めて であ る.
4
)摂食 障害
が, 結婚,
妊 娠, 出 産, 育 児 を 通 して高い頻 度の再 発 が あ るこ と を 明 ら かに し た.
対 象の20
名の う ち30
% は結 婚 と出産
の過 程で再
発 してい た.
先 行研 究
で は妊娠 中
に症状
の再発
は22
%あっ た と一
つ の報 告
17)があ
る の みで あ る.
5
)
対 象 群は, 妊 娠 中に おい て は下剤乱
用は な かっ た が, 過 食, 嘔 吐 な どが 妊 娠 中に減 少せ ず, 胎 児の環境
を 悪 化 させ てい た.
先 行 研 究で は, 妊 娠 中は過 食, 嘔 吐 な どが減 少 した との報 告3>も あ り,
妊 娠で症
状は軽 快
す るが, 出産後
は増悪
す るとの報 告
15)も あ る.
こ の研 究
に お い ては,
対象
群が異常食行動
だ けでな く,妊 娠 中
の飲 酒,
喫 煙 な どで胎 児にリス ク を与
えて い た こ と を 国 際 的に も初
めて報 告
した.
また妊娠前
よ り臨 月のほ う が 体 重 が 減 少 した者
が1 例 ,
43kg
か ら46
kg
と3kg
しか増加
し な か っ た者
が1
例存
在 して い て,妊娠
に お い て もやせ願
望 が強
か っ た ケー
ス も存在
し た.
6
)育
児期
の精神状態
で は,摂食 障害
の母親
は大 き な 問題
を抱
えて い た.産 後
のう
つ病
は46.
7
% と対象
群の11.
1
% と比較
して有 意
に多
く, 過 去の報
告 18)と一
致
して い た. 対象群
は,
育 児 期において過 食, 嘔 吐 な どの摂 食 障 害の症 状は, 妊 娠 前 や 妊 娠 中 よ り増悪
してお り, タバ コ も 多 かっ た.
さ らに対 象 群は産 後6
カ 月で の VQL 53 NQ.
7.
2Q131 心 身 医体
重は60
% が妊娠前
より低下
し て おり,産後
は体
重が元
の水準
ま で戻
らない者
が多
かっ た コ ン トロー
ル群
とは大
き な 差が あっ た.
さ ら に対象
群
に おいて,産後
6
カ月
の体 重
が,
ICD
−
10
のAN
の診 断
基準
を満
た すBMI
17
.
5
以下
の者
は5
名 (
17
%)
も存在
し た.
こ れら
の結 果
か ら,
摂食 障害
をも
っ女性
は,出産 後
にやせ願望
が増
大
してい た と推定
された.
7 )
さらに対象群
は,育
児に おい て 「子育
て に不安
が あ る」 と回 答 した者
は63 .
3
%, 「子 ども
と一
緒
の食事
に困難 あ り
」 は30 .
0
%,
「子 ど もと遊
ぶ のが困 難」 が36
.
7
%存在
した こ と は重
大で あ る.
これ らの回答
は, 摂食 障害
を もっ 女性
の不 安の高
さ,他
人 と食事
を す る と きの緊 張感
, 対 人 関 係障害,
な ど と推定
で き る.
しか し, 母 性は女 性に最 初 か ら備 わっ てい るわ けで はな く, 子 育てを 通 して, 子 ど もに教 え られて母 親 になっ て い く とい わ れる。
上 記の回 答の頻度
の 高 さは, 摂 食 障 害 を 抱 え た 女 性 はなか なか母 親 にな れ な くて, 母 親に なる回路
に障害
が あ るこ とが 推 測 さ れ る.
先 行 研究
にお け る母 子関係
の 観 察 か ら, 摂 食 障 害の女 性が子どもとの食 事
や 遊 びにおい て, 指 示的
で,侵
入的過 ぎ
て愛 着関
係 が 生 ま れに くい という報 告
3)19)や,食
べ物
を 子 ど も を 操作
す る道
具に使
用 して い る とも指摘
した報
告2Q)も, 摂食
障 害の女 性 が 母親
にな りに くい こ と を 示 して い る と考 え られ る.
8
)
対 象 群 に 子 ど もへ の 虐 待 経 験が多
く26
.
7
%に も 及ぶ ことも重
大で あ る.先
に触
れ た 子 ど もとの 関係
の困 難さ が虐待
にっ なが る と推
測される.先行研 究
で も虐待
につ い て触 れ た報
告
は2 編
4)6)存在
し た.
こ の
研 究
の限界
はいく
つ か存在す
る.対象群,
コ ン トu一
ル 群 ともに20 名
と小 さい集 団
で あ り有 意 差が とらえに くか っ た こと,専門家
に よ る母 子 関 係の観察
がで きてお らず,食事場面
や遊 び
場面
を観 察
で き て い ない ため に母子関係
を客
観 的に とらえてい ない こ と,子
どもの医学
的 チェ ッ クと して の診察
が で き てい ない こと,対
象群
が, 久
里 浜医療
セ ン ター
であっ た ためアル コー
ル依存症
が併存
した摂食 障害
が多
くて バ イ アスが入っ た こ と,
などで あ る.
こ の研 究
は過去
お よび
現在
につ い て の調査
研究
であっ たが,今後
は子
ども
が大 人になるまで の長 期の コ ホー
ト研究
の必要
1
生
も存在
して い る.
最後
に, こ の研究
の問題
点 を 挙げ
てお く.
一
般
的に精
神 疾 患 を 抱 え た 女 性の結 婚, 妊 娠, 出産
,育
児 を健常
者 と比 較 す るの は, 精 神 疾 患 を 抱 えた女 性の 困 難 と苦 悩 を さ ら け 出 し, 精 神 疾患
へ の差別 ・偏
見 を助長
す るこ と にっ なが る危
険
が あ る.
しか し, その危
険に か かわ らず
あ え て こ の論文
を発表
したの は, 摂食 障害
という病
気 が,ダ
イエ ッ ト礼 讃の 風 潮か ら生 じ る思 春 期 の一
時
的 な迷
い で はな く, 長 期にわた っ て持続
する病 気であるこ と を 示 し, 臨 床 医はその視 点 で治療
に当た らな け れ ば な ら ない ことを 明 らか に す るた めで あ る.
結 論 と して, 摂 食 障
害
の治療
におい て,食
行 動 異常
が続
い て い るか正 常化
して い るか に か か わ らず,摂食 障害
を経験
し た女性
は,結 婚, 出
産, 育
児 に お ける強
い ス トレ ス に よっ て,再 発
の リス クだ けで な く,
さ まざまな 心 理的問題
を抱
えて しまう
の で,健康 的
生活
が回復 す
るまで の長
い サ ポー
トの必要性
がある,
とい える で あ ろう.
そのサ ポー
トは, 心
理的,身体 的
な医療
的
サ ポー
ト だ けでなく,子 育
ての実
地教 育
や,
子ども を連
れ て遊
べ るた まり場 も必要
と考
えら れ る.
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Abstract
Comparative
Study
ofMarriage,
PregnancM
Delivery
andChildcare
between
Japanese
Women
with andThose
withoutEating
Disorders
Ke
rp'iSuzuki
" i'2Ayalhkeda'2'3'iSuzuki
Mental
Clinic
(MailingAdaress
:Kenji
Suzuki,
370
Isshiki,
Hayama-machi,
Kanagawa
240-Olll,Japan)*2National
Hospitar
Organization,
Kurihama
Medical
Center
'3NPO CorporationNobinokai
Objective:
RecentlM
the number of women with clinical eatingclisorders
who also have children has beenincreasing
in
Japan.
The
purpose
ofthisstudyis
toindicate
problems
ofmarriage,pregnancM
delivery
and childcare ofwomen with eating
disorders,
Methods
:This
study compared concerns regarding marriage, pregnancMdelivery
and childcarebetween
womenwith eating disordersancl control women. The subjects were 20women with eating disorderswho also hadchilclren
and were
being
treatedby
theauthors at theKurihama
Medical
Centez
'IWenty
volunteer women whohad
children were used as controls.The
mean age ofthesubjects was32
yearsoldand thatofthecontrols was34
yearsold.Beth
thesubject women and thecontrol women were
interviewed
by
theauthors.Results:
During
pregnancM thesubjects continued theirabnormal eatingbehaviors,
such asbulimia
andpurging,
and they
had
higher
rates ofdepression,
alcoholdrinking,
and smoking thanthecontrols,The
percentage
ofabnormaldeliveries
was similarbetween
the
two
groups,but
the
subjectshad
a significantlyhigher
incidence
ofpostnata1depression
thanthecontro]s. The symptoms of theeatingdisorders
and thefeelings
of thesubjects tendedtoworsenduringthechildcare period.
Anxiety
andclificulties
with
childcare were significantly more commonin
thesubjectsthanthecontrols.
The
subjectshacl
ahigher
incidence
ofchild abuse thanthecontrols.Thirty
percentofthesubiects experienced arelapse oftheireatingdisorclers
during
pregnancy or the childcare period.Conclusion :Wbmen with eating