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ことなった培基によって飼育したイエバエ(成虫)の数種の殺虫剤に対する感受性について-香川大学学術情報リポジトリ

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卿8巻第2号(19占7)

ことなった培基によって飼育したイエバエ(成虫)の

数種の殺虫剤に対する感受性について一光

松 沢 寛,中 田 尚 武

105 Ⅰ 緒 質的紅ことなった食物で昆虫を飼育する場合,他の条件がまったく同じであっても,殺虫剤に対する感受性に,若 干の相違をもたらす場合のあることは,今日でほ,もはや,常識となりつつある‖本邦の,1,2の農林害虫や,数 種の衛生害虫紅ついても,すでに,これらに・関連した研究がなされており(10−13),(2?一22)(24)・(27),殺虫剤の生物試験 法,あるいは,害虫の殺虫剤抵抗性ないし耐性といった問題に閲し,遥要な知見を提供している ところで,本邦産イエバエMuscadomesiica vicinaMACQUARTについても,以上に関連して,最近,2,5の 報文が現われているが(11)・(20−22)(27),筆者等も,かねて−から,この問題に着目し,昨年(19蛮),表題のような実験 を試みた。もちろん,これまでの研究では,培基の作り方,試験法等は,それぞれで多少ずつことなり,また,ここ に報告しようとする筆者等の方法ともことなっている。それで,問題の性質上,以下に聾者等の行な.った実験につい て大要をのぺ,参考に供したい Ⅱ 実 験 方 法 こ・の実験紅用いたイ・エバエは,香川県木田郡三木町の,本学農学部付属農場付近で、夏季に捕獲した成虫を母蝿と して,それよりえた次代の成虫である 母蝿の産下した卵からかえった幼虫は,魚粉を主体としたもの,米糠を主体としたもの,オカラ,すなわら,豆腐 柏を主体としたものの5種類の培基で飼育したが,魚粉培基は,魚粉100,米糠10,エ・ビオス1の割合に,米糠培基 ほ,米糠100,魚粉10,エビれス1の割合に,また,オカラ培基は,オカラ100,米糠10,エビオス1の割合にん,水 を加えて−よく混合濃押して腰高シャーレ(9cmx7cm)に入れ,その上に,約5mmの厚さで脱脂綿を敷き,兼券をも っで50分間茶気殺菌した巾しかして,幼虫の育つ間は,腰高レヤ−レの上面をガ−ゼに・て掩い,他のノ、ここの侵入を極 力防ぎ,生長したものは,常法にしたがって,乾いた粕砂中によう化せしめるように.した さなぎは,すべて,毎日とり出して,日毎に大型ガラス管(5cmx20cm)に収容し(なるべく羽化日がそろうよ うにした),250Cの定温室内で羽化を待った 羽化した成虫は,20%の砂糖水を給与して,48時間飼育し,後それらを・エー・テルで麻酔して雌雄鑑別し,性別に実 験に供した 供試殺虫剤ほ,γ−BHC(15%),DDT(20%),Sumithion(10%),Malathion(50%),Diazinon(17%)の5種 類であったが,第1表のように,5段階の濃度階級を作って,虫体技触を行なった

Tablelり Concent工ation ofinsecticides used.

B H C D D T 4DOx(500ppm) 80Dx(250〝) 1dODx(125〝) 5200×(る2㊥5〝) る400×(51り5〝) Sumitbion Malathion 800×(占25ppm) 1る00×(5125〝) 5200×(15占.5〝) る400×(78‖1〝) 12800×(59い1〝) Diazinon 400×(575 ppm) 800×(187…5 〝) 1る00×(95.8 〝) 5200×(41.9 〝) る400×(25..4〝) 400×(250ppm) 800×(125 〝) 1占00×(占2.5〝) 52DOx(51一・5〝) d400×(15.占〝) 400×(424ppm) 800×(212 〝) 1る00×(10る 〝) 5200×(55 〝) d400×(2る..5〝) *香川大学農学部応用昆虫学研究室菜続Noい81

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104 香川大学虚学部学術報告 殺虫剤の虫体接触は,日本衛生動物学会殺虫剤研究班の提案した,「イエバェ級虫剤抵抗性簡易測定法(叫(この方 法は,便宜的に,牛乳瓶を用いるので,少々狭陰にすぎ,取りあつかいに熟練しでいないと,死亡率を過大に評価す る危険性がある,それで,本実験では,収容個体数を制限して,とくに,細心の注意を払った.)を準用して行ない, 砂糖水を給与しながら,爾後の死亡状況を調査した ただし,各殺虫剤の一億度あたりの供試個体数ほ,多 少,少なかったが,50頚宛(5瓶に分けて収容)とした 本実験は,250Cの定温室にて.行ない,BHCほる時 間後,DDTほ24時間後,Sumi地ioロ,Malat王Iio皿は 15時間後Diazinonは5時間後の判定をもって、デー タ」−解析をなすこと把.したが,もちろん,その間にお いて,2,5回の予備観測を行なった,.実験の成絞 は,BLISS(2 ̄4)の方法を,さらに.簡便化したFINNEY(8−9〉 の方法を適用しで解析を行なった Ⅲ 実験成績ならびに考察 以上のぺた実験方法にLもとずいて.−,5種類の殺虫剤 紅,雌雄別に,接触せしめた成績は,第卜5図なら びに.節2一占表のようであった ところで,まず,BHC紅対する反応であるが,第 1図および節2表からも明らかなよう紅,LC・−50で比 較すると,雌雄成虫ともに,魚粉培基,米糠培基,オカ ラ培基の順に・,感受性が低く(抵抗力がつよい),か なり,ほっきりした傾向が見られた.LC一−95では,し かしながら,これらの関係紅若干逆転が見られ,数字 竿

二三王子

二1二

↑︼鍋○出札 Zl ト↑−Jく↑叉01点 28 22 25 13 1(i 19 含

=ノ∴∴一i二1一二三

2 25 28 13 l6 19 CONCEN柑ATlON(p叩)】og〉 Fig,1Concentration・mOrtality(egreSSionlinesfor the houseflies reared on different ctllture

mediain response to BHC emulsion. (AfteI占加S.) ①:Fish meal,⑧:Rice−bran, ⑨:Bean−Curd refuse 8 ニ・‥・・・≦よ

a 〆〆

↑H凸○銘d Z−ン↑︼J声L出01d .AT 3 ↑岩○銘d ≡ ユ1 14 ユ 7 20 23 2ノ6 ト↑lJくト銭○苫

〆6

20 23 CONCENrR^TION(ppmlog) Fig.2”Concentration・mOrtalityregressionlinesfor the hou$eflies reared on different c111ture mediain response to DDT em111$ion

(AfteI■24bIS.)

①:Fish meal,⑧:Rice−bran, (参:Bean・CurdI・ef11Se

CONCENTRA110N(ppmIog)

Fig。5.Concentration・mOrtalityz・egresSionlines for the housefliesIeared on different culture mediain response to Sumithion emulsion (AfteI15brs.)

①:Fi8h皿eal,⑧:Rice・b柑n, ⑨:Bean−Curd refllSe

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105 滞18巻欝2号(19る7) の上でほ,かならずしも,魚粉培基のものが,もっとも感受性が低いとほいえない傾向となっているいすなわち,LC− 50(実数値)は雌では259.9ppm,147.,9ppm,74。1ppmで,魚粉培基で育ったものほ,オカラ培基で育ったものより 約5倍,米糠培基のものは,約2倍の値を示し7:いるが,雄では101.6ppm,64.,6pp皿,55.Oppmで,魚粉増基で育 ったものは,オカラ培基のそれよりも,約2倍大きい値をとったが,米糠培基とカーカラ培基の場合は,ほとんど大差 ない程度となって.いる.また,LC−95(実数値)ほ,雌では,5569”Oppm,1569=一7ppm,1952”4ppmとなっで,順位の 逆転を生じているが,魚粉培基で育ったものは,前同様につよく,オカラ培基のそれより約2倍の値をとっている 米糠培基のものは,オカラ培基のものと,それはど大きい差を生じていないようであるり 雄では,しかし,それらの 値は,780.7ppm,6286ppm,10087ppmとなって,また,順位が逆転して一しまつて,オカラ培基で育ったものが,

表≡≡蓋

さヂ⑳表8

↑l瓜○疋d Z−ト↑lJく↑∝○−‘ ↑1日○銘d Zl ト↑lJ<↑出○皇 ○  ̄す㌃ ̄ ̄ ̄盲せ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄「由 ̄∵ 1.3 L6 19

…プチ二

まご;/ ̄○● ̄ ̄ ̄ し 2.8 CONCENTRATION(ppmlog) Fig5.Concer)tration・mOrtalityregressionlines for

the houseflies reared on diffeIent Culture

mediain response to Diazinon emulsion (AfteI5hIS)

①:Fish meal,@:Rice−bran, (参:Bean−CuId refuse

CONCENTRATION(ppmlog)

Fig.4.Concentration・mOrtalityregressionlinesfor

the houseflies reared on diffe工ent Culture

mediainIeSpOnSe tO Malathion emul$ion小

(A董teI■1511rS.)

①:Fish meal,⑧:Rice・bran, ⑨:Bean−Curd refuse

Table2。RegIeSSion eq11ations and some statisticalvaluesin concentration一皿Ortality test for the houseflies reared on different c111ture mediainresponsetoBHC emulsion.(After6hrs.)

1

Concentr atjon-mor tality

regression equ廻ion Y=a+b(Ⅹ−Ⅹ)

Cult11Ⅰe

medium SuSCeptibjlity

deviation of O■

(4)

香川大学農学部学術報告

Table5“Regressions equations and sone statisticalvaluesinconcentration−mOrtality test for

the houseflies reared on different culture mediain response to DDT emulsion

(AfteI24bIS.)

10占

i

Cultur e

medium regresson equ申ion Y=a十b(Ⅹ−Ⅹ) niPr”】suSCep雲bility

3 51 (525占月ppm) 3 02 (1047“2ppm) 2小る7 (4る7。7ppm) 5∴19 (155090Oppm) 4.55 (55204Oppm) 5,90 (8029フppm) Y=5+0い9る7(Ⅹ−5.50の Y=5+1.0占7(Ⅹ−・5い018) Y=5+1555(Ⅹ−2.る71) Fisb meal Rice−bIan Bean−Cu工d refuse 5.4占 (2904.1ppm) 5.01 (1024フppm) 2■77 (594.Oppm) 2い45 (281.8ppm) 1‖84 (る9..2ppm) 1 39 (977ppm) Y=5十1.占55(Ⅹ−2.449) Y=5+1400(Ⅹ−1.85占) Y=5+2“100(Ⅹ−1り990) Fish meal Rice−bIan BeanACuId Iefuse

Table4.Regression equations and sozne statistical valuesin concentration−mOrtality testfoz the houseflies reared on different cultu工e mediain response to Sumithion emulsion

(AfteI15hfSい)

Table5・RegIeSSion equations and some statisticalvaluesin concentration−mOrtality test foz

the houseflies reared on different culture mediain response to Malathion emulsion

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節18巻節2号(19占7)

Table6.Regression equations and some statisticalvaluesin concentration−mOItality test for the house董Iies reared on different cult11re mediain response to Diazinon emulsion. (After5hrs.) 107 Standard deviation of Su$Ceptibility lプ■ ConcentIation−mOntality ZegIeSSion equ申ion Y=a+b(Ⅹ−Ⅹ) CultuIe 工nedi11m 1.95 (891ppm) 1.90 (79.4ppm) 1.95 (85‖1ppm) 5.59 (59弘、5ppm) る.01 (102810,.Oppm) 5.20 (1570.5ppm) Y=5+1,000(Ⅹ−1..950) Y=5+0.400(Ⅹ−1980) Y=5+・1500(Ⅹ−1951) Fish neal Rice−bran Bean−CuId Ief11Se 1.65 (427ppm) 1.78 (占05ppm) 1.48 (50…2ppm) 5.dl (4057.8ppm) 2.占る (457L5ppm) 2..5−5 (540…5ppm) Y=5+0.855(Ⅹ一1占21) Y=5+1870(Ⅹ−1フ81) Y=5+1570(Ⅹ−1484) Fish meal Rice−bIan Bean−Cu【d IeflユSe もっとも大きい値をとっているが,概して,これら5者は,比較的接近した値といってよいようである 次紅,DDTの場合は,第2区lおよび罪5表のように,やはり,BHCの場合によく似て,魚粉培基のものが,概し てもっともつよく,ついで,米糠培基,オカラ培基といった順に.なって.−いるサーなわち,LC−50(実数値)の値は, 雌では,5256・Oppm,1047.2ppm,467.7ppmとなって,魚粉培基で育ったものは,オカラ培基で育ったものより約 6倍,米糠培基のそれは,オカラ培基で育ったものより約2倍の値をとっているが,雄では,281.5ppm,69.2ppm, 97・7ppmとなって.,米糠培基の場合とオカラ培基の場合の順位が逆転している..魚粉培基で育ったものは,オカラ で育ったものより約5倍の大きい値をとっているが,米糠培基とオカラ培基の場合の値は,比較的接近した値とみ て:よいであろう”またLC−95(実数値)の値は,雌で15589DJ]ppm,55204.Oppm,8029”7ppm,雄で29O4.1ppm, 10247ppn,594”Oppmとなり,魚粉培基で育ったものほ,オカラ培基のそれよりも4−19倍も,また,米糠培基のそ れは,カ■カラ培基で育ったものよりも2−・4倍も大きい値をとっており,培基,すなわちiL 食物との関連が非常には っきりしているように.思われる 次に,S11mithionとMalathionの場合であるが,これらの場合,節5−4図および第4−5表のように,いずれも, LC−95(実数借)では,若干の差が認められるが,LC−50(実数値)でほ,雌雄とも培基のちがいにもとずく差に., それはど大きいちがいが認められない。したがって,これらの瀞虫剤と,すでにのぺたBHCやDDTとは,イエバ エに対して,かなりことなった作用特性をもっているらしいことが推察される 最後に.,Diazinonの場合であるが,節5囲および第占表に示したように.,これらも,大まかにいうと,上にのぺ たSumithionやMalathionと同じように,LC−95(実数億)では,やはり,相当大きな差が認められるが,LC−50 (実数値)では,雌雄とも,培基のちがいに.よる大差を認め難い.ただ,この場合,前2者にくらべると,多少,実 験上の誤差が大きいように推察されるが,LC−5Dの値を重視して考えると,やはり,幾分それらに腰似した反応と いうことが可能のようであるただし,それらよりもいっそう速効性であることは無視できない ところで,今回の実験に.おける成紡は,おおむね,以上のべたどとくであるが,算2−占表,あるいは,節ト5図 からもわかるように,この実験では,まったく,例外なしに,雄成虫よりも雌成虫のカが,いずれの級虫剤紅対して も,抵抗力が大である成綴となった.このことは,培基のちがいにもとずく抵抗力の差とともに,きわめて注目すべ き点であろうと思われる 従来,農業書虫の場合における,食物の種類と殺虫剤に対する抵抗力に関しては,本邦では,ニカメイガC戯−わ ざ〝j坤7’gS郎沼ざWALKERの幼虫やヨトクガβαγ−α〃汐■α ∂′αS・S∠c〃β LINN宜の幼虫などについての研究が行なわれてお り(10 ̄13)(42),殺虫剤に対する抵抗力は,食物の種類紅よっていろいろと変動がいちじるしいことが知られている.し

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香川大学農学部学術報告 108 かし,体の大きさや体重との関係は,一腰に,それほどはっきりした−・定の傾向はないようである イ・エバェについて,平社(11)は,ことなった盈の水分付加食物で飼育した,5令紅達した幼虫に対するDiazinon, Lindaneの羽化阻止効果をしらべ,60ccの水付加区のものが,もっとも弱く,140ccの水付加区のものが,もっとも つよかったといってこいるしかし,別途に殺虫試験を行なっでみたところ,あまり明瞭な−・定の偵向は見られなかっ たといっている.また,成虫に対して:Topicalapplicationに.よって試験してみたところ,60ccの水付加区のもの は,もっとも高い感受性を示したが,他は変動が多くて一足の傾向ほ見られなかったという.長沢等(叫は,また, 寒天を主体とした培基(酵母,粉乳加用)とオカラを主体とした培基(酵母加用)把よって,イエバエ幼虫を飼育し, 羽化した幼虫のMalathiom把.対する感受性をしらべたが,前者の方が感受性が高かったといって:いる.政近,また 高橋および安富(27)は,オカラを主体とした培基,昆虫館料を主体とした培基名5種類をつくって,イ・エバエ幼虫を飼 育し, のちに羽化した成虫の,Diazimonおよぴγ−BHCに対する感受性をしらぺているが,前者の系統の培基で育 ったものの方が,これらの殺虫剤紅対してニ,抵抗力がつよかったといつているけ この場合,−・般に.,後者の培基によ っで育ったものの方が,体がいっそう大形であったが,殺虫剤には却ってよわく,大形のものがかならずしもつよい とほいえない傾向を示したといって言いる これらの研究成績,ならびに.,今回の筆名等の成績を綜合して考.え.るに,イェノミエの食物の質そのものが,成虫の 殺虫剤に.対する感受性を,いろいろに.変動させるものであることほ明らかで,外見的な体の大きさや体重などからの み説明づけを行なおうとすると,却っ七矛盾する場合すら起ることがありそうである..食物の質は,昆虫の栄養に.直 接関係し,さらに.,それらが,殺虫剤に対する感受性のいかんに・関係するものと考えられるが,それぞれの種類の昆 虫の食物として,いかなるものが,栄養的にみてもっともrすぐれて.いるかということば,昆虫の種類に・よって,要求 もことなる筈であるから,そう,に・わかに,断言はできないであろう. イエバエの成虫の,いろいろな殺虫剤に対する抵抗力は,−・般に,雌の方が雄より若干つよいこ.とが知られており (1)(5月・(14−20)・(25),今回の筆者等の実験においても,例外なしに,雌の力がつよかったイエ八エに.限らず,同様な 傾向は,他の昆虫でも認められている(26) ところで,こうした抵抗力の雌雄差の問題であるが,これに関しては,従来から,実にいろいろな説明が試みられ でいる.たとえば,雌雄による体の大小(体重をふくむ)が関係しているという説(20),体脂肪の含有盈やその性質 の雌雄によるちがいに関係するという説(1¢−19),昆虫体表角皮の,理化学的性質の,雌雄による差異にもとずく殺虫 剤の浸透速度ないし浸透盈のちがい,体脂肪の含盟あるいはその組成の差把もとずく薬剤受容還塵よび作用点への到 達畳の差異が関係しているという説く26),昆虫体内での解毒分解作用および排泄作用の雌雄によるちがい(β),あるいは, 蛋要な生理作用に.関与レている徽長物質(酵素,ビタミン,ホルモンその他)の含鼠および活性皮の雌雄による差異 が関係しているという説など,いろいろであるが,いまだにこれといった定説はない,.(雌イ、エ八エの解毒作用が雄 のそれより大であるとの成績は、BARKERandScHM王T(1),BRUCEand DECEER(6),BusvINE(7)等もえている).し かし,おそらく,遠からずして:,かような問題も,解明の端緒が見出だされることであろう= 近年,松原は(14−1∂), これらに関連する生化学的研究を企図し,とくに.,イエバエにおけるLipidsの特性を中心に研究を推進している この種の問題は,おそらく,主として,昆虫体内の代謝機能に関することと思われるので,一一応,ここでは,この ような立場湛.立って,殺虫剤に対する抵抗力の雌雄差を理解して.おきたい。 Ⅳ 摘 要 ことなった培基(魚粉を主としたもの,米糠を主としたもの,オカラを主としたもの)によって飼育したイエバエ (成虫)の,数種の殺虫剤(BHC,DDT,Sumithion,Malathion,Diazinon)に対する感受性をしらぺるために, 19る5年,この実験を行なった♪ その成績は,おおよそ,次のようである 1)BHC,DDTに.対する感受性は,概して,雌雄成虫ともに,魚粉培基で育ったものがもっとも低く,米糠培基 で育ったものがそれに次ぎ,オカラ培基で育ったものがもっとも高かった 2)Sumithion,MalathionおよびDiazinonに・対する感受性ほ,雌雄成虫とも,培基に,よる差異はそれはど明瞭 ではなかった 5)成虫の,5種類の殺虫剤に対する感受性は,いずれの場合紅も,すべて雌の方が低かった

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1D9 第18巻第2号(19占7) 参 考 文 献 仕功石倉秀次・尾崎幸三郎:農研報普,ClO,ト45, (1958) (14)松原弘道:防虫科学,18(2),75−84,(1955) (19−−:防虫科学,25(4),158−・145,(19占0) (16)MuNSON,S。C..and GoTTLIEB,M.Ⅰ。:,.Econ Entい,J払(5),798−802,(1955) はⅥ−∴丁いEcon.Eり,4る(4),る57−る占占(1955) ㈹−:J.Econ..E..,4る(5),754−7dO,(1955) 仕切−:J,.Econ.E.,47(4),578−587,(1954) (20)長沢純夫:防虫科学,17(4),125−155,(1952) 飢トーー・柴三千代・伏見主子:防虫科学,29(2),25−50, (19る4) 田辺−−トートー :防虫科学,50(2),占1一占る,(19占5) 脚日本衛生動物学会殺虫剤研究班:イ・エバ・エの殺虫剤 抵抗性簡易測定法(薬),同班しおり,5−・7,(19る5) 但亜尾崎幸三郎:防虫科学,24(5),118−125,(1959) 但5)自永漢…防虫科学,25(1),5−10,(19占0) ㈹斉藤哲夫:防虫科学,25(2),57一朗,(19占○) 但7)高橋正和・安富和男:衛生動物,17(2),127,(19占の (l)BARXER,G。W.and ScIIMIDT,J”B丹BullN J.Agr,Exp.,Sta“,(742),(1948)。 (2)BLISS,C。Ⅰ:Science,79,58−59&4091−410 (1954) (3)− Ann,Appl‖Biol。,22,154−167(1955) (4)−:Qua工t..JりPbaI・maCい,11,192−21占(1958) (5)BRIDGE,P。.M・:BiocbeⅡL.Il,占る(2),51ムー520, (1957) (6)BRtlCE,W.,N.andDECKER,G”Cl:Soap,26(5), 122一125,145−147,(1950) (7)BusvINE,,.R.:Nature,168(4266),195−795, ぐ1951) (8)FINNEY,D..J.:Probit Analysis,ト518, CambIidge,(1952) (9)−−・:J.Phamacol‖ 4Exp」Therap・,%,99 (1952) (10)橋爪文次・山科裕郎二応動昆,1(1),15−19,(1957) (川平社俊之助:衛生動物,12(2),158,(19占1) ㈹平野千里・石井象二郎:植物防疫,15(5),205−205, (19る1)

Susceptibility to seveIalkinds ofinsecticides of

the adult houseflies reared oI】different culture media.

By HiroshiMATSUZAWA and Hisatake NAKADA

SummaryIn order to know the susceptibilityto severalkinds ofinsecticides such as BHC,DDT,

Sumithion,MalathionandDiazinonoftheadulthouseflies,MulSCadomesticavicinaMACQtJART,reaIedon

three different culture media,i”elr,One mainlyoffishmeal〉the second one mainly of rice−branand

thethirdoneofbean−Curd refuse,thisstudy was carriedoutin1965‖ TlleIeSultsareasfollows:

1)General1yspeaking,theadultflies rearedon themediamainly of fish・mealweremost resistible

toBHCandDDTin both sexes,andnexttothisItheadults rearedon the media nainly of rice・bran

followed.However,theadult fliesrearedonthemediamainlyofbean−Curdrefusewer・emOStSuSCeptible

to eachinsecticide above mentioned

2)Amongtheadultfliesreared on different mediascaI’Celyany apparentdifferenceofsusceptibility

to sumithion,Malathionand Diazinon wasobservedin both sexes

5)Throughallthecasesofthis experiment,the male adults weremoresusceptibletothefivekinds

ofinsecticides than the female adults

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