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表面温度測定による土壌面蒸発量と作物蒸散量の個別推定に関する実験的研究

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Academic year: 2021

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氏 名

学 位 の 種 類

学 位 記 番 号

学 位 授 与 年 月 日 学 位 授 与 の 要 件 学 位 論 文 題 目 学位論文審査委員 ゃ ま だ と し お 山 田 俊 雄 博士(農学) 乙第

49

平成

1 7

9

22

学位規則第

4

条第

2

項該当 表面温度測定による土壌面蒸発量と作物蒸散量の個別 推定に関する実験的研究

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(主査)

北 村 義 信

山 本 太 平

西 山 社 一

(副査)

喜多威知郎

猪 迫 耕 二

学 位 論 文 の 内 容 の 要 旨 畑地では,栽培作物の生長に伴い 蒸発散量に占める土壌面蒸発と作物蒸散の割合が大きく変 化する.ゆえに,これらを個別に定量化できる手法が開発されたならば,圃場での水管理の一助 となるだろう. 本論文では,圏場での測定が比較的容易な要素に着目し,裸地面における純放射量および蒸発 量,作物蒸散量,作物栽培下の土壌面蒸発量それぞれの推定手法を提案しその妥当性を闘場環 ( 境との関連において実験的に検討した.論文は4章から成り,各章の要旨は次のようである. \ 第I章 地温測定による裸地面の純放射量の推定 従来の純放射量推定法では 全天日射量並びに大気や雲からの長波放射量が必要となる.本章 では,これら要素のいずれかの代わりに乾燥土壌と飽和土壌の表面温度を用いて裸地面の純放射 量を推定し,圃場実験によりその妥当性を検討した. 圃場ではi 純放射量の推定対象となる裸地(すなわち圏場)および直径5 cm1 の塩化ピニル製カラ ムに充填した乾燥土壌および飽和土壌の表面近くの地温,カラム内土壌の地中熱伝導量,大気の 温湿度および全天日射量を測定した測定は裸地状態に維持した砂丘砂圃場で行い,三つの土壌 表面の放射収支並びに熱収支より導出した純放射量計算式にこれら測定値を適用し,日中8時間(8 ~16 時)における純放射量を推定した. 純放射計による実測値(9.5 ~6.21 MJ・m ・2)と推定純放射量を比較した結果,乾燥表層が形成され た裸地面に対しては,概ね妥当な推定値を示した本法では,アルベドが純放射量の推定値に大

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きな影響を及ぼす.このため 潅水や降雨により乾燥表層の発達が不十分な地面に対しては,純 放射量を過小に推定した.また 日射が不規則に変化した日についても,純放射量を過小に推定 した. 第E章 CWSI モデルによる裸地面蒸発量の推定 測定が比較的容易な要素から成るCWSI( porc reatw s廿sse xedni )を基にした土壌面蒸発量の推定 手法を提案し,その妥当性を実視JI値との比較実験により検討した.なお,本章では栽培初期を想 定し,裸地状態の砂丘砂圃場で実験を行った. 園場では,直径51 cm の塩化ビニル製カラムに充填した乾燥土壌と飽和土壌を用意し,これら 土壌と闘場それぞれの地表面近くの地温,圃場の純放射量および地中熱伝導量,大気の温湿度を 測 定 し た 結 露 に 起 因 す る 誤 差 を 避 け る た め , 測 定 は8~61 時に行い,日中8時間における蒸発量 を推定した. マイクロライシメータ法による実測蒸発量(1.0 ~4.2 m m )と比較した結果,推定蒸発量は概ね妥 当な値が得られ 蒸発量が著しく低下する砂質土壌に対しても本推定法は適用可能であることが 示された. 第

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章 葉 温 測 定 に よ る 作 物 蒸 散 量 の 推 定 熱電対を用いた葉温測定による作物蒸散量の推定手法を提案し, トウモロコシ圃場での実証実 験により,その妥当性を検討した 園場では,蒸散が生じないように被覆処理をした葉を用意し,この被覆葉と通常状態の棄の葉 温,大気の温湿度,純放射量,葉面積指数を測定したこれら測定値は蒸散が生じていない葉と 通常状態の葉それぞれの熱収支式に用いられ 個葉に関する空気力学的抵抗と内部抵抗が算定さ れる.次いで,これら値を作物体群の熱収支より導出した蒸散量推定式に適用し, 8~61 時の日中 8時間における蒸散量を求めた. 茎熱収支法による茎内流量(8.0 ~1.4 m m )あるいはウェイイングライシメータとマイクロライ シメータそれぞれにより測定した蒸発散量と蒸発量の差(0.0 ~1.5 m m )と比較した結果,推定蒸散 量は概ね妥当な値が得られた. 供試作物に用いたトウモロコシの葉は方位角と傾斜角がランダムであり 本章で提案した蒸散 量推定手法は,球状葉面分布の作物から成る群落に対して適用可能であることが示された.ただ し,被覆葉温と気温が等しいときは,本推定法は適用できない.また,早朝や夕方は推定精度が 低下するので, これら時間帯での本法の適用は注意を要する. 第

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章 CWSI モデルによる作物栽培下の土壌面蒸発量の推定 第E章で提案した蒸発量推定手法をトウモロコシ圃場に適用し 作物栽培下の土壌面蒸発量を 推 定 し た マイクロライシメータ法による実測値(

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~8.1 mm )と比較した結果, 8時~61 時の日中8時間に

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おける推定蒸発量は概ね妥当な値を示した.ただし 裸地面蒸発量の推定と比べ,作物栽培下で は推定精度の低下が認められた.また 作物が生長して土壌の被覆が進むに従い 地中熱伝導量 の測定精度が蒸発量推定で重要となることが示された.

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

本論文では,闘場での測定が比較的容易な要素に着目し,裸地面における純放射量,畑地にお ける土壌面蒸発量および作物蒸散量それぞれの推定手法を提案した.提案した推定手法およびそ の妥当性は,圃場環境との関連において逐一実験的に検証し,その有用性,適用可能性を明らか にした.本論文で得られた結果を要約すると以下のようになる. 1 . 地温測定による裸地面の純放射量の推定 従来の純放射量推定法では 全天日射量ならびに大気や雲からの長波放射量が必要となる.こ のため,これらの要素のいずれかの代わりに地表面混度を用いて,裸地面の純放射量を推定し, その妥当性を厨場実験により検討した.直径 15cm の塩化ビニル製カラムを

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基用意し,それぞ れに乾燥土壌,飽和土壌,推定対象となる裸地土壌を充填し,カラム土壌の地温.地中熱伝導量, 大気の温湿度および全天日射量を

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~16 時に測定した.純放射量推定式はこれら

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つの土壌表面 の放射収支および熱収支より導出し,この式に測定値を適用して日中

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時間の純放射量を推定し た純放射計による実測値と推定値を比較した結果 乾燥表層が形成された裸地面に対しては概 ね妥当な推定結果が得られた.本法では アルベドが純放射量の推定値に大きな影響を及ぼす. このため,潅水や降雨により乾燥表層の発達が不十分な地面に対しては,純放射量を過小に推定 した.同様に,日射が不規則に変化する日についても 純放射量を過小に推定した.一連の実験 結果より,地表の乾燥が顕著な乾燥・半乾燥地において,本推定法は有用と考えられる. 2 . CWSI モデルによる裸地面蒸発量の推定 測定が比較的容易な要素からなる CWSI porc( water sserts xinde )モデルを基にした土壌面蒸 発量の推定手法を提案し その妥当性を実測値との比較実験により検討した.圃場では乾燥土壌 および飽和土壌を充填した直径 15cm の塩化ビニル製カラムを用意し これらの土壌と裸地園場 それぞれの地表面近くの地温 園場の純放射量および地中熱伝導量大気の温湿度を測定した 結露に起因する誤差を避けるため,測定は

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~16 時に行い,日中

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時間における蒸発量を推定し た.その結果,マイクロライシメータ法による実測蒸発量に対して概ね妥当な推定値が得られ, 地表の乾燥により蒸発量が著しく低下する砂質土壌に対しても,本推定法は適用可能であること が示された. 「 3 . 葉温測定による作物蒸散量の推定 熱電対を用いた葉温測定による作物蒸散量の推定手法を提案し トウモロコシ栽培闘場での実

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証試験により,その妥当性を検討した.圃場では蒸散が生じないように被覆処理をした葉を用意 し,この被覆葉と通常状態の葉の葉温 大気の温湿度,純放射量,葉面積指数を測定したこれ らの測定値は被覆葉と通常葉それぞれについての熱収支式に用い,個葉に関する空気力学的抵抗 と気孔抵抗を算定した.次にこれらの抵抗を蒸発量推定式に適用し, 日中

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時間における蒸発量 を求めた.これらを茎熱収支法による茎内流量およびウェイイングライシメータとマイクロライ シメータそれぞれにより測定した蒸発散量と蒸発量の差と比較した結果,推定蒸発量は概ね妥当 な値を示した.ただし,被覆葉温と気温が等しいときは,本推定法は適用できない.また,早朝 や夕方は蒸発量の推定精度が低下するので,これらの時間帯での本法の適用は注意を要する.実 証実験で用いたトウモロコシの葉は方位角と傾斜角がランダムであり,ここで提案した蒸発散量 推定法は球状葉面分布の作物群落に対して適用可能であることが示された.今後,垂直あるいは 円錐状に葉面が分布する作物の蒸散量を推定し,本法の妥当性を検討する必要がある. 4 . CWSI モデルによる作物栽培下の土壌面蒸発量の推定 2 . で提案した蒸発量推定手法をトウモロコeシ栽培圃場に適用し,作物栽培下の土壌面蒸発量 を推定した.マイクロライシメータ法による実測値と比較した結果, 日中8時間についての推定 蒸発量は,裸地面蒸発量の推定の場合と比べ推定精度の低下が認められたものの,概ね妥当な値 を示じた.また,作物が生長して土壌の被覆が進むにしたがい,地中熱伝導量の測定精度が蒸発 量推定において重要となることが示された. 以上のように本論文は,裸地面の純放射量および蒸発量作物蒸散量,作物栽培下の土壌面蒸 発量それぞれの推定手法を提案し,その妥当性を実験的に検証し,その有用性,適用可能性を明 らかにした.蒸散量の推定過程で気孔抵抗および群落抵抗を計算することができるが,水蒸気拡 散に対するこれらの抵抗を利用することにより 光合成速度あるいは光合成産物の評価が可能と なる.今後これらの推定法をさらに発展させることにより,光合成を考慮した圃場レベルでの水 管理あるいは作物の生育評価などにも適用が期待される.これらの研究成果は,今後の水管理技 術の発展に大きく寄与する新知見であり,博士(農学)の学位を与えるに十分な価値を持つもの

と判定した

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