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Jpn J Lepr 83, 6-13(2014) folp ' Val ly ly lu Ser hr rg Pro ly la Ile rg hr- 157 la 158 Ile 164 Leu rpob '- -3' -Phe Me

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Academic year: 2021

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はじめに

 ハンセン病は現在、日本ではほとんど新しい発症は見 られなくなっている病気であるが、世界では未だ新患数 が 20 万人を越え、重要な感染症の1つと位置づける国々 も少なくない。新患のみならず再発患者対策も重要と考 えられるが、再発への関与が疑われる薬剤耐性菌の問題 も無視できない事象の1つであろう1)。多剤併用療法が 1982 年より始まり、これまで継続して世界中の流行国 で用いられて来た2)。その功が奏し患者数は激減した。 それにもかかわらず最近のサーベイでも未だ耐性菌の存 在が報告されている3)。迅速で適切な治療の開始が早期 回復や障害防止に必要であり、そのための早期診断や耐 性菌の検出は重要である。未だに人工培地で培養できな いらい菌の薬剤感受性試験には通常の感染症で一般的に 使用される培地を用いたプレート法は使用できない。ら い菌用に確立された薬剤感受性試験としてはヌードマウ スを利用する方法が確立されているが4)、現在ではその 試験ができる施設は世界中にも数カ所しかなく日本では ハンセン病研究センターのみとなっている。しかも、試 験にはバオプシーサンプル中に相当数の菌が存在し、そ れがヌードマウスのフットパットで増える必要がある。 初期培養に要する時間は約 10 ヶ月で、それで増えた分 離株だけ感受性試験を行うことが可能となり、本試験の ためには、さらにマウスのフットパットに接種し、薬剤 入りの餌でマウスを 8 ヶ月程度飼育して初めて判定で きることとなる5)。現在このような試験を行っている施 設は研究目的以外に皆無であろう。これに替わって近年 用いられてきた分子生物学的方法は薬剤耐性をもたらす 遺伝子変異を検出する方法であり、結果を得るまでの時 間も大幅に短縮し1週間程度で可能となっている6)。た だし、これも薬剤耐性と相関することがわかっている変 異について検査するもので、変異を発見すれば耐性であ ると判定できるが、調べた箇所に変異がなくとも必ずし も感受性菌であるとは言えないので注意が必要である。 これまで知られていない耐性変異あるいは耐性機構の存 在が考えられるからである7)

Hp-rPCR 法を用いたらい菌薬剤耐性変異の検出

甲斐雅規

* 国立感染症研究所ハンセン病研究センター感染制御部 〔受付:2013 年 12 月 11 日、掲載決定:2014 年 1 月 9 日〕

キーワード:リアルタイム PCR、らい菌、薬剤耐性、変異

 らい菌の薬剤耐性変異を迅速・簡便に検出する方法として特殊なリアルタイム PCR 法、Hp-rPCR(hairpin primer-realtime PCR)法を試みた。標的部位は耐性変異の報告がある、ダプソン耐性を示す folP1 遺伝子のコドン 53 位の 第 1 塩基と第 2 塩基、55 位の第 2 塩基の計 3 カ所、リファンピシン耐性を示す rpoB 遺伝子コドン 441 位の第 1 塩 基、451 位の第 1 塩基、456 位の第 2 塩基、458 位の第 2 塩基の計 4 カ所、そしてキノロン耐性を示す gyrA 遺伝子 のコドン 89 位の第 1 塩基と 91 位の第 2 塩基の計 2 カ所で合計 9 カ所を選択した。3種のらい菌分離株(Thai53, Zensho-2, Zensho-4)について調べたところ、これら9カ所の標的部位の変異の有無がはっきりと確認できた。同様 に、ブラインド 15 サンプルの9カ所(合計 135 カ所)の変異の有無を調べた結果、1 か所が判定困難であったものの、 99% 以上の正解率を示した。 *Corresponding author: 国立感染症研究所ハンセン病研究センター感染制御部 〒 189-0002 東京都東村山市青葉町 4-2-1 Tel: 042-391-8211 Fax:042-394-9092 E-mail : [email protected]

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 一般的、且つもっとも確かな耐性遺伝子変異の検出方 法は、標的遺伝子の薬剤耐性変異を起こすことが知られ ている領域を PCR 法で増幅し、その部分の塩基配列を 決定するいわゆるダイレクトシーケンス法で変異の有無 を知ることである。最近では、様々な遺伝子変異検出技 術が開発されてきている。例えばリアルタイム PCR 法、 HRM assay、ラインプローブ法、DNA マイクロアレイ 法等が報告されている8, 9, 10, 11)。ここでは、これまでら い菌の薬剤感受性試験に用いられてこなかった特殊なプ ライマーを用いたリアルタイム PCR 法により、薬剤耐 性変異に関与する多数の標的部位について同時に迅速に 検出する方法をらい菌に応用したので報告する。

材料と方法

DNA サンプル  3 種のらい菌、Thai-53、Zensho-2 及び Zensho-4 は ハンセン病研究センターで維持管理されている株で、 Thai-53 はらい菌の薬剤感受性コントロール、Zensho-2 及び Zensho-4 は薬剤耐性コントロールとして使用し た12)。Zensho-2 は folP1 遺 伝 子 の 55 位 の コ ド ン が CCC から CTC に変異したダプソン耐性株で、Zensho-4 は folP1 遺伝子の 53 位のコドンが ACC から ATC に変 異したダプソン耐性、rpoB 遺伝子の 456 位コドンが TCG から TTG に変異したリファンピシン耐性、そして gyrA 遺伝子の 91 位コドンが GCA から GTA に変異し

たキノロン耐性を示す多剤耐性株である13)。それぞれ フットパットで増菌したらい菌を分離し DNA を Qiagen の DNeasy キットを用い抽出した。また、ブラインドサ ンプルとして DNA を 15 種、松岡先生より供与された。 これらは通し番号のみ記載されたマイクロチューブ内に 含まれた状態で松岡先生より供与され、私が得た実験 データを松岡先生に判定していただいた。その後、実際 のブラインドサンプルの株名、決定されている薬剤感受 性及び遺伝子変異の提示を受け、表2に今回の結果とと もに記載した9, 12) 標的薬剤耐性変異  今回検出する遺伝子変異は、ダプソン耐性をもたら す folP1 遺伝子の 53 位コドンの第 1 塩基及び第 2 塩基 と 55 位コドンの第 2 塩基の3カ所、リファンピシン耐 性をもたらす rpoB 遺伝子の 441 位コドンの第 1 塩基、 451 位コドンの第1塩基、456 位の第 2 塩基、458 位 の第 2 塩基の 4 カ所、そしてキノロン耐性をもたらす gyrA 遺伝子の 89 位コドンの第1塩基、91 位コドンの 第 2 塩基で、3剤で合計 9 カ所の変異を標的とした(図 1)。 ヘアピンプライマーを用いたリアルタイム PCR 法 (Hp-rPCR 法)  本邦で用いた方法は結核菌の薬剤耐性変異検出のた めに以前報告された方法で、その原理を図 2 に示す14) 基本的にはリアルタイム PCR 法を用いている。PCR 産 物である 2 本鎖 DNA がサイバーグリーンで蛍光標識 される反応系を用い、測定は ABI の StepOne Plus を 用いて行った。Forward Primer はそれ自身が構造的に ヘアピンを形成するような配列にするのが特徴である。 Reverse Primer は通常の PCR に使用するような配列に

Jpn J Lepr 83, 6-13(2014)

5'-TTC ATG GAT CAG AAC AAC CCT CTG TCG GGC CTG ACC CAC AAG CGC CGG CTG TCG GCG CTG GGC CCG-3' -Phe Met Asp Gln Asn Asn Pro Leu Ser Gly Leu Thr His Lys Arg Arg Leu Ser Ala Leu Gly

Pro-441 AAT Asn 451 TAC Tyr 456 TTG Leu TGG Trp

5'-GGC AAT TAC CAT CCG CAC GGC GAC GCA TCG ATT TAT GAC ACG TTA-3' -Gly Asn Tyr His Pro His Gly Asp Ala Ser Ile Tyr Asp Thr

Leu-TGC Cys

89 91

GTA Val

5'- GGT GGC GAA TCG AC C CGG CC C GGT GCC ATT AGG ACC -3 - Val Gly Gly Glu Ser Thr Arg Pro Gly Ala Ile Arg

Thr-53 55 GTC 164 CTC Leu 158 ATC Ile 157 GCC Ala 458 CCG Pro folP1 rpoB gyrA 9 図 1 各薬剤耐性遺伝子と耐性決定領域(DRDR)及び報告された変異

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する。さらに Forward Primer の 3’ 末端の塩基が変異 の有無を調べる標的部位になるように設計する。その 標的部位の塩基が4種の塩基 G, A, T, C のいずれかを知 るために、その 3’ 末端が異なる4つの塩基となる4種 の Forward Primer を作成する(図 2)。ここでは本法を Hp-rPCR(hairpin primer-realtime PCR)法と呼ぶ。今 回用いたプライマーの配列を表 1 に記載した。4 種の Forward Primer のうち、いずれの PCR がもっとも効率 cggtggcgaatcgACCcggCCCggtgccattaggaccgatcctcgagttgaactctctcgtatcg

ggccgggtcgtggcgaatcgacccggcC cgccgggtcgtggcgaatcgacccggcG tgccgggtcgtggcgaatcgacccggcA agccgggtcgtggcgaatcgacccggcT

53 55

t a t g g c g a c c c g g c c c t g g g c c g g ggagctcaacttgagagagcatagc Thai53 folP1 図 2 folP1 遺伝子の 55 位アミノ酸のコドン 2 番目の変異を検出する Hp-rPCR 法のプライマー配列 表 1 プライマーの配列と変異検出部位

Name Gene Codon Sequence Reverse Primer (Name & Sequence) Hp-F53-1G folP1 53 (ACC) FolP1-R: 5’-TTACGACAGGAACGATACGAGA-3’

Hp-F53-1A folP1 53 FolP1-R

Hp-F53-1T folP1 53 FolP1-R

Hp-F53-1C folP1 53 FolP1-R

Hp-F53-2G folP1 53(ACC) FolP1-R: 5’-TTACGACAGGAACGATACGAGA-3’

Hp-F53-2A folP1 53 FolP1-R

Hp-F53-2T folP1 53 FolP1-R

Hp-F53-2C folP1 53 FolP1-R

Hp-F55-G folP1 55(CCC) FolP1-R: 5’-TTACGACAGGAACGATACGAGA-3’

Hp-F55-A folP1 55 FolP1-R

Hp-F55-T folP1 55 FolP1-R

Hp-F55-C folP1 55 FolP1-R

Hp-R441-G rpoB 441(GAT) RpoB-R1: 5’-AGCCGGCGCTTGTGGGTCAGGCCCGACAG-3’

Hp-R441-A rpoB 441 RpoB-R1

Hp-R441-T rpoB 441 RpoB-R1

Hp-R441-C rpoB 441 RpoB-R1

Hp-R451-G rpoB 451(CAC) RpoB-R2: 5’-TAGCCCGGCACGCTCACGCGACAAACCAC-3’

Hp-R451-A rpoB 451 RpoB-R2

Hp-R451-T rpoB 451 RpoB-R2

Hp-R451-C rpoB 451 RpoB-R2

Hp-R456-G rpoB 456(TCG) RpoB-R2: 5’-TAGCCCGGCACGCTCACGCGACAAACCAC-3’

Hp-R456-A rpoB 456 RpoB-R2

Hp-R456-T rpoB 456 RpoB-R2

Hp-R456-C rpoB 456 RpoB-R2

Hp-R458-G rpoB 458(CTG) RpoB-R2: 5’-TAGCCCGGCACGCTCACGCGACAAACCAC-3’

Hp-R458-A rpoB 458 RpoB-R2

Hp-R458-T rpoB 458 RpoB-R2

Hp-R458-C rpoB 458 RpoB-R2

Hp-G89-G gyrA 89(GGC) GyrA-R: 5’-GGGATACCGCAGCGACCACGGC-3’

Hp-G89-A gyrA 89 GyrA-R

Hp-G89-T gyrA 89 GyrA-R

Hp-G89-C gyrA 89 GyrA-R

Hp-G91-G gyrA 91(GCA) GyrA-R: 5’-GGGATACCGCAGCGACCACGGC-3’

Hp-G91-A gyrA 91 GyrA-R

Hp-G91-T gyrA 91 GyrA-R Hp-G91-C gyrA 91 GyrA-R 5’-CCGATTCGCGACGTCGGTCGCGAATCGG-3’ 5’-TCGATTCGCGACGTCGGTCGCGAATCGA-3’ 5’-ACGATTCGCGACGTCGGTCGCGAATCGT-3’ 5’-GCGATTCGCGACGTCGGTCGCGAATCGC-3’ 5’-CTCGATTCGACGTCGGTGTCGAATCGAG-3’ 5’-TTCGATTCGACGTCGGTGTCGAATCGAA-3’ 5’-ATCGATTCGACGTCGGTGTCGAATCGAT-3’ 5’-GTCGATTCGACGTCGGTGTCGAATCGAC-3’ 5’-CGCCGGGTCGTGGCGAATCGACCCGGCG-3’ 5’-TGCCGGGTCGTGGCGAATCGACCCGGCA-3’ 5’-AGCCGGGTCGTGGCGAATCGACCCGGCT-3’ 5’-GGCCGGGTCGTGGCGAATCGACCCGGCC-3’ 5’-CCATGAACTCAGCTGTCGAAGTTCATGG-3’ 5’-TCATGAACTCAGCTGTCGAAGTTCATGA-3’ 5’-ACATGAACTCAGCTGTCGAAGTTCATGT-3’ 5’-GCATGAACTCAGCTGTCGAAGTTCATGC-3’ 5’-CGGTCAGGCCCTCTGTCGAGCCTGACCG-3’ 5’-TGGTCAGGCCCTCTGTCGAGCCTGACCA-3’ 5’-AGGTCAGGCCCTCTGTCGAGCCTGACCT-3’ 5’-GGGTCAGGCCCTCTGTCGAGCCTGACCC-3’ 5’-CACAGCCGGACCACAAGCACCGGCTGTG-3’ 5’-TACAGCCGGACCACAAGCACCGGCTGTA-3’ 5’-AACAGCCGGACCACAAGCACCGGCTGTT-3’ 5’-GACAGCCGGACCACAAGCACCGGCTGTC-3’ 5’-CGCGCCGACAGCGCCGGCAGTCGGCGCG-3’ 5’-TGCGCCGACAGCGCCGGCAGTCGGCGCA-3’ 5’-AGCGCCGACAGCGCCGGCAGTCGGCGCT-3’ 5’-GGCGCCGACAGCGCCGGCAGTCGGCGCC-3’ 5’-CGTGCGGATGGCAATTACAATCCGCACG-3’ 5’-TGTGCGGATGGCAATTACAATCCGCACA-3’ 5’-AGTGCGGATGGCAATTACAATCCGCACT-3’ 5’-GGTGCGGATGGCAATTACAATCCGCACC-3’ 5’-CCGTCGCCGTCCATCCGCTCGGCGACGG-3’ 5’-TCGTCGCCGTCCATCCGCTCGGCGACGA-3’ 5’-ACGTCGCCGTCCATCCGCTCGGCGACGT-3’ 5’-GCGTCGCCGTCCATCCGCTCGGCGACGC-3’

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良く PCR 産物を産生するかをみることでサンプルの持 つその標的部位の塩基を決定して変異の有無を判定する ものである。その効率の良し悪しを決めるために、実 際には増幅曲線が立ち上がった時にスレッショルドラ イン(閾値線)と交差するサイクル数を示す Threshold Cycle(Ct)値により数値的に判定する。反応は、サ イバーグリーンマスターミックス 5µl、5µM forward

primer 1µl、5µM Reverse primer 1µl、 テ ン ペ レ ー ト DNA (1-3µl)を混合し滅菌蒸留水で液量を 10µl とし、 専用の 96-well プレートを用い、各反応を 3 well ずつ (triplicate)行った。反応条件は、95℃ , 15 秒、64℃ , 1 分で 40 サイクル行った。 Jpn J Lepr 83, 6-13(2014) GgccgggtcgtggcgaatAgacccggcC CgccgggtcgtggcgaatAgacccggcG TgccgggtcgtggcgaatAgacccggcA AgccgggtcgtggcgaatAgacccggcT 53 55 28 A T 11 G 25 C 19 G A A T C G A C C C G G C T C G G T GGAGCT ( :CCC) Ct Stage1 (1 cycle) 95 , 10 min Stage2 (40 cycles) 95 , 15 sec. 64 , 1 min PCR condition T53A-A T53A-T T53A-G T53A-C T53I-C T53I-G T53I-T T53I-A P55L-A P55L-T P55L-G P55L-C

T C G A C C C G G C C C G G T

図 3 folP1 遺伝子 55 コドン2番目の塩基の変異例(ダプソン耐性株 Zensho-2) 図 4 ダプソン感受性らい菌の Thai-53 folP1 遺伝子での Hp-rPCR の結果

(5)

結 果

<反応条件決定のためのコントロール DNA での結果>  らい菌 Thai-53 と Zensho-2 からゲノム DNA を抽出 し、それぞれを薬剤感受性と耐性のコントロールのテ ンペレート DNA とし、3 wells ずつの反応(triplicate) を行った。図 3 は Zensho-2 の folP1 遺伝子 55 位コド ンの 2 番目の塩基を標的とした Hp-rPCR 法について、 Forward プライマー、PCR 条件及び生データを示した。 Forward プライマーの 3’ 末端が T のプライマーの Ct 値 が最も小さいことから Zensho-2 の folP1 遺伝子 55 位 のコドンは CTC であり、ダプソン耐性変異であること が確認できた。同様に Thai-53 を用いて行った folP1 遺 伝子 3 カ所の結果を図 4 に示した。Ct 値を示す矢印の 位置からもわかるように Thai-53 では 53 位の 1 番目の 塩基は A、2 番目は C、そして 55 位の 2 番目が C であり、 確かに感受性菌での配列であることが確認できた。 < Thai-53 を用い迅速・簡便に 9 標的の変異の有無を調 べた結果>  コントロールの感受性菌 Thai-53 と耐性菌 Zensho-2 でそれぞれの変異の有無を Hp-rPCR 法にて判定できた ので、次に感受性菌 Thai-53 と耐性菌 Zensho-4 を用 いて 9 つすべての標的について同時検出を試みた。迅 速診断を目指すために反応はすべて 2 wells を使用して (duplicate)行った。図 5A に反応プレート上での各反 応液の位置を示した。図 5B に Thai-53 と Zensho-4 の 結果を Ct 値で示した。このように、この2株において duplicate でも十分各標的部位の判定が可能であり、1 枚のプレートで 1 度に 9 標的部位を間違いなく判定す ることができた。 <ブラインドサンプルの結果>  15 のブラインドサンプルについて同様に Hp-rPCR 法 を行い、それぞれが各薬剤に対して感受性か耐性かで判 定した結果、1 サンプルで結果に間違いがあったが、他 の 14 サンプルは正解であった。テスト後に松岡先生か らいただいた正しい配列と照合した結果、間違ったサ ンプルは Hoshizuka-4 であり、間違いは folP1 遺伝子の 55 位の判定であることがわかった。ブラインドサンプ ルとして使用したらい菌株の名称と知られている薬剤耐 性変異について表 2 に示した。

考 察

 コントロールとして用いた Thai-53 及び Zensho-2 で は9つの標的部位が間違いなく、はっきりと変異の有無 のみならず、塩基そのものを決定することができた。当 初1反応に 3 well 使用したが、より多数検体を1枚の プレートで処理するために 2 well を試みた結果、2 つの well に顕著な違いはなく判定可能であった。ブラインド サンプルについては 15 サンプルの 9 カ所の変異の有無 を調べたので合計 135 カ所の試験であったが、1 カ所 のみ判定困難という結果であり、99% 以上の正解率で あった。この判定できなかったものについては表 2 か らもわかるように、標的とした folP1 遺伝子の 2 番目の 塩基はたしかに感受性菌の持つ塩基と同じであり、今回 の実験では感受性と判定されても仕方がなく、その意味 では間違いではなかったことが明らかとなった。実際は 図 5A 9 カ所の変異検出のための Hp-rPCR 法で用いたプレート上の配置 図 5B  Hp-rPCR 法を用いて Thai-53 と Zensho-4 で得られた Ct 値 G A T C 456-2 451-1 441-1 458-2 rpoB G A T C G A T C G A T C G A T C G A T C G A T C G A T C G A T C G, A, T, C Forward folP1 53-1 11 6 20 12 folP1 53-2 18 26 11 7 folP1 55-2 16 25 10 6 rpoB-441 6 15 16 24 Thai53 rpoB-451 24 25 15 9 rpoB-456 18 26 11 7 rpoB-458 25 36 13 21 gyrA-89 7 19 21 27 gyrA-91 33 30 21 12 : mutation folP1 53-1 12 5 21 12 folP1 53-2 18 23 7 10 folP1 55-2 20 25 14 6 rpoB-441 6 15 15 22 Zensho rpoB-451 29 30 19 15 4 rpoB-456 13 22 6 11 rpoB-458 34 39 14 30 gyrA-89 7 18 20 26 gyrA-91 32 31 16 17 G A T C 3’ terminal base in each Hp primer Mutation

sites Strain

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この Hoshizuka-4 の folP1 遺伝子 55 位のコドンは CCC から TCC に変異した耐性菌であった。今回の結果から 今後は同 55 位の標的として 1 番目の塩基も加えること が必要であると判明した。良好なテンペレート DNA の 調整が困難であると予想される臨床検体のテストのため に、マルチプレックス PCR を行い、各標的遺伝子の濃度・ 純度を増やした上で Hp-rPCR 法で判定することで対応 することを検討している。検体採取後に DNA 抽出をス タートとすると、リアルタイム PCR 装置にセットして 結果を得るまでに必要な時間はおよそ 2.5 時間であり、 臨床検体を想定してマルチプレックス PCR 法を予備実 験した結果(データは示してない)約 4 時間であった(図 6)。これは通常のように、サンプル DNA から PCR 法で 各標的遺伝子を増幅し、各標的遺伝子をシーケンスして 判定するまでにかかる時間は数日かかることに比べ格段 に迅速性が増したといえるだろう。あえて本法の弱点を あげると、初めに反応液を調整するための手間が多く間 違い易いということだろうか。しかし、この点も現在検 討を加えているが、予めプレートにプライマーを固定化 しておくことで非常に簡便にできることを予備実験で確 認している。今後は臨床検体について本法を実施してい きたい。 Jpn J Lepr 83, 6-13(2014) Blind No Name Dapsone

folP1 Rifampicin rpoB Quinolone gyrA

53 55 * 516 526 531 533 89 91 1 Thai-53 ACC CCC GAT CAC TCG CTG GGC GCA 2 Airaku-2 ACC CTC GAT CAC TTG CTG GGC GCA 3 Airaku-3 ATC CCC GAT CAC TCG CTG GGC GCA 4 Zensho-9 ACC CTC GAT TAC TCG CTG GGC GCA 5 Hoshizuka-4 ACC TCC GAT CAC TTG CTG GGC GTA 6 Zensho-5 ACC CTC GAT CAC TTG CTG GGC GCA 7 Kusatsu-6 ACC CTC TAT CAC TCG CTG GGC GCA 8 Zensho-2 ACC CTC GAT CAC TCG CTG GGC GCA 9 Zensho-4 ATC CCC GAT CAC TTG CTG GGC GTA 10 Thai-237 ACC CCC GAT CAC TCG CTG GGC GCA 11 Kyoto-2 ACC CCC GAT CAC TCG CTG GGC GCA 12 Zensho-15 ACC CTC GAT CAC TTG CTG GGC GTA 13 Gushiken ACC CCC GAT CAC TCG CTG GGC GCA 14 Hoshizuka-5 ACC CCC GAT CAC TCG CTG GGC GCA 15 Airaku04-03 ACC CTC GAT GAC TCG CTG GGC GCA * 表 2 保存らい菌株の薬剤感受性と薬剤耐性変異標的コドンのシーケンス Multiplex PCR folP1 rpoB gyrA Hp-rPCR (1hr) (1hr) (1.5hr) (0.5hr) 4 図 6 臨床材料への応用

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謝 辞

 本研究のためにブラインドサンプルの提供及び結果の 照合の協力をして頂いたハンセン病研究センター松岡正 典先生に心から深謝致します。また、シーケンス等の実 験補助をして頂いた松原久美子様に心より感謝致しま す。本研究は厚生労働科学研究費補助金新型インフルエ ンザ等新興・再興感染症研究事業及び日本学術振興会学 術研究助成基金助成金を受け行われた。 利益相反:本研究はいかなる経済的利益相反もありませ ん。

文 献

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6)Kai M, Matsuoka M, Nakata N, Maeda S, Gidoh M, Maeda Y, Hashimoto K, Kobayashi K, Kashiwabara Y: Diaminodiphenylsulfone resistance of Mycobacterium leprae due to mutations in the dihydropteroate synthase gene. FEMS Microbiol Lett 177: 231-235,1999.

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11)Matsuoka M, Aye KS, Kyaw K, Tan EV, Balagon MV, Saunderson P, Gelber R, Makino M, Nakajima C, Suzuki Y: A novel method for simple detection of mutations conferring drug resistance in Mycobac-terium leprae, based on a DNA microarray, and its applicability in developing countries. J Med Micro-biol 57: 1213-1219, 2008.

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15)Herrera-Leon L, Molina T, Saız P, Saez-Nieto JA, Jimenez MS: New multiplex PCR for rapid detection of isoniazid-resistant Mycobacterium tuberculosis clinical isolates Antimicrob Agents Chemother 49: 144-147, 2005.

(8)

Rapid detection of mutations related to Mycobacterium leprae drug

resistance by using Hp-rPCR (hairpin primer- real time PCR) method

Masanori Kai*

Department of Mycobacteriology, Leprosy Research Center, National Institute of Infectious Diseases

[Received: 11 December, 2013/ Accepted: 9 January, 2014]

Key words: realtime-PCR, Mycobacterium leprae, drug resistance, mutation

Rapid and simple detection method of drug resistance bacteria is required. In the present study, Hp-rPCR (hairpin

primer-real time PCR) was applied to Mycobacterium leprae genes to detect mutations. Target sites of the method were

as follows: first base and second base on 53

rd

codon and second base on 55

th

codon in folP1 gene for dapsone

resis-tance, first base on 441

st

codon and 451

st

codon and second base on 456

th

and 458

th

codon in rpoB gene for rifampicin

resistance, and first base on 89

th

codon and second base on 91

st

codon in gyrA gene for quinolone resistance which were

common mutation sites in clinical reports. The total number of the target sites was 9. Mycobacterium leprae, Thai-53,

Zensho-2 and Zensho-4 were used as reference bacteria in the present study and clear, reliable results were obtained.

Double-blind study was conducted using 15 samples. The number of target sites was calculated as 135 in total by 9

sites in 15 samples. There was only one misreading in the blind samples and the sensitivity was more than 99%.

Jpn J Lepr 83, 6-13(2014)

*Corresponding author:

Department of Mycobacteriology, Leprosy Research Center, National Institute of Infectious Diseases,

4-2-1 Aoba-cho, Higashimurayama, Tokyo 189-0002, Japan Tel : +81-42-391-8211, Fax : +81-42-391-8807

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