• 検索結果がありません。

薬学生に対する実践型倫理教育の有効性の検証 Inspection of the validity of the practice type education of ethics to cy student

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "薬学生に対する実践型倫理教育の有効性の検証 Inspection of the validity of the practice type education of ethics to cy student"

Copied!
16
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

薬学生に対する実践型倫理教育の有効性の検証

Inspection of the validity of the practice type

education of ethics to cy student

○川村 和美1,2, 松鹿 利香3, 岸本 桂子4, 榊原 幹夫1, 荒井 恵二1,3, 福島 紀子 ル,2静大人,3スギ薬局,4慶應大薬)

(2)

1

【目的】

• 平成18年度から薬学教育6 年制がスタートし、薬学教

育モデル・コアカリキュラムにおいて「倫理の重要性を学

ぶ」ことが一般目標に掲げられたことから、多くの薬科

大学で薬剤師のための倫理教育への取り組みが始まっ

ている.

• しかし、この分野の教育効果測定は、必ずしも行なわれ

ているわけではない.

• そこで、今回、 2008年7月、慶応義塾大学薬学部3 年

生に対する「患者から学ぶ」の講座で、薬学生に対して

実践型倫理教育を実施し、講義前後における薬学生の

意識の変化を分析することにより、その有効性を検証す

る.

(3)

2

倫理理論・原則

医療政策

関連法規

ケース・アプローチ

薬剤師の倫理教育

薬剤師の倫理教育

プロフェッショナリズム

の育成

• 薬剤師の倫理教育を進める上で、①倫理理論・倫理原

則、関連法規、医療政策等の理解、②薬剤師としての

役割を模索・認識するためのプロフェッショナリズムの育

成、③ケースを用いた検討法、の3つが必要である.

モラル・トレーニングの必要性

(4)

3

【方法1】

• 今回、最も効果的だと思われるケース・アプローチの

効果を検証することとした.

• まずは、以下に示したようないくつかのケースを個々

の学生に与え、川村の提案する5分割表を用いて、

問題点の把握、分析、判断を行なった.

• 続いて、個々の5分割表を持ち寄ってSGDを行い、

グループ毎に5分割表(ポスターサイズ)を作成した.

• 授業の休み時間を使って、 5分割表(ポスターサイ

ズ)を展示し、他グループの5分割表を閲覧した.

• 同じケースを用いたグループであっても、メンバーに

よって着眼点が異なることがわかり、相互に新しい

気付きが生まれた.

(5)

4

オリジナル・ケース

オリジナル・ケース

(6)

5

(7)

6

薬剤師のモラルディレンマ

薬剤師のモラルディレンマ

• 第1回:過誤を発見したとき(『薬局』1月号) • 第2回:大量の残薬が発覚したとき(同誌2月号) • 第3回:処方されている薬がなかったとき(同誌3月号) • 第4回:患者の意向による服薬拒否(同誌4月号) • 第5回:患者が自己判断で内服量を変更するとき(同誌6月号) • 第6回:重複投与の調剤を強いられたとき(同誌7月号) • 第7回:病院薬事委員から学会発表資料の作成を依頼されたとき(同誌8月号) • 第8回:患者に無断で行なわれている臨床研究に気づいたとき(同誌9月号) • 第9回:在宅医療で未使用の薬が残ったとき(同誌10月号) • 第10回:介護者のための投薬に遭遇したとき(同誌11月号) • 第11回:身長を伸ばすための成長ホルモン治療を知ったとき(同誌12月号) • 第12回:薬剤師の情報提供によって患者が中絶を決めたとき(同誌2月号) • 第13回:遺伝子解析に基づいて薬が処方される時代(同誌3月号) • 第14回:薬剤師の研究発表(同誌4月号)

(8)

7

5分割表(

5分割表(

for

for

薬剤師)

薬剤師)

薬学的適応

薬学的適応

患者の意向

患者の意向

周囲の状況

周囲の状況

関係

関係

者の意向

者の意向

QOL QOL 1.調剤と監査 ・配合変化 ・保険適応 ・禁忌 ・剤形 2.服薬コンプライアンス (服薬アドヒアランス 服薬コンコーダンス) 3.薬剤の効果と副作用 4.無益性 ・プラセボ効果 ・投薬自体の意義 5.調剤過誤 1.患者の判断能力 2.インフォームド・コンセント(IC) 3.服薬拒否 ⇔ 過剰服薬 4.事前の意思表示 ・セデーション ・蘇生関連薬剤 5.代理決定 ・代行判断 ・最善利益 ・QOLの定義と評価(身体、精神、 社会、スピリチュアル、Being) ・関係性の中でどう構築できるか ・QOLに影響を及ぼす因子は何 か 1.家族の意向(代理決定・代行判断) 2.医師の意向(治療方針) 3.看護師の意向(ケア方針) 4.他の医療専門職の意向 5.チームの方針 6.施設方針 1.医療資源配分の問題、公共の利益 2.守秘義務 3・経済的側面、家族の状況 4.法律 5.慣習 6.宗教、文化 7.環境(公衆衛生)の問題 8.その他 薬剤師は治療方針の決定者ではないため、 特に医師の意向が、薬学的適応に大きく反映

(9)

8

【方法2】

• 本講義の際に、倫理に関する5つの設問

• a)倫理がどういうものか理解している、

b)私は薬剤師の倫理観をもっている、

c)倫理観は個人の問題であるから個々の判断に任せる

べきで、教育の必要はない、

d)職業倫理を発揮するとは、薬剤師倫理規定を遵守す

ることである、

e)薬剤師として正しい判断をするには、倫理の学問的背

景が必要である

の5項目に対して回答を依頼した.

• 回答は「そう思う」「ややそう思う」「どちらともいえない」

「ややそう思わない」「そう思わない」の5段階評価による

ものとし、講義前後の結果を比較した.

(10)

9 • 回答者は182名であり、授業の中で行なったため回収率は 100%、有効回答率は設問により90.7~99.5%の差があった. • 「倫理がどういうものか理解している 」という問に対して、講義 前には「ややそう思う」と答えていた35.7 %の薬学生が、講義 後には59.4 %に増加していた. 研修前 研修後

13.7%

43.5%

35.7%

4.8%

31.1%

4.4%

59.4%

ややそう思う どちらとも 言えない ややそう 思わない そう思わない (60名) (73名) (23名) (8名) (107名) (56名) (8名) (n=180) 23.7% 増加 (n=168) 2.4% そう思う (4名) どちらとも 言えない ややそう思う ややそう思わない 5.0%そう思う(9名)

【結果1】

(11)

10 研修前 研修後

24.0%

48.5%

16.2%

9.6%

51.1%

8.9%

35.6%

ややそう思う どちらとも 言えない ややそう思わない そう思わない (27名) (81名) (40名) (16名) (64名) (92名) (16名) 19.4%増加 1.8% そう思う (3名) どちらとも 言えない ややそう思う ややそう 思わない 3.3%そう思う(6名) 1.1% そう思わない (2名) (n=180) (n=167) • 「私は薬剤師の倫理観をもっている 」という問に対して、講義前に は「ややそう思う」と答えていた16.2 %の薬学生が、講義後には 35.6 %に増加していた. • 反対に、講義前には24.0 %の薬学生が「ややそう思わない」と答 えていたのに対し、講義後には8.9 %に減少していた.

【結果2】

(12)

11 研修前 研修後

36.9%

15.5%

3.0%

42.7%

8.8%

29.3%

3.9% ややそう思う どちらとも 言えない ややそう 思わない そう思わない (5名) (26名) (63名) (72名) (7名) (16名) (53名) 13.7%増1.8% そう思う (3名) どちらとも 言えない ややそう思う ややそう 思わない 1.7%そう思う(3名) そう思わない

56.4%

(102名)

【結果3】

(n=181) (n=168) • 「倫理観は個人の問題であるから個々の判断に任せるべき で、教育の必要はない 」という問に対して、講義前には「そう 思わない」と答えていた42.7%の薬学生が、講義後には 56.4%に増加していた.

(13)

12 研修前 研修後

21.8%

41.8%

26.7%

1.8%

41.1%

17.8%

27.8%

ややそう思う どちらとも 言えない ややそう思わない そう思わない (44名) (69名) (36名) (3名) (50名) (74名) (32名) 7.9% そう思う (13名) どちらとも 言えない ややそう思う ややそう思わない 10.0%そう思う(18名) そう思わない (6名) 3.3% (n=180) (n=165) • 「職業倫理を発揮するとは、薬剤師倫理規定を遵守すること である 」という問に対して、講義前後でいずれの回答にも大 きな違いは見られず、半数の薬学生が「どちらとも言えない」 と答えていた.

【結果4】

(14)

13 研修前 研修後

18.0%

51.5%

28.1%

0.6%

46.4%

3.9%

38.0%

ややそう思う どちらとも 言えない ややそう思わない そう思わない (47名) (86名) (30名) (1名) (68名) (17名) (7名) 1.8% そう思う (3名) どちらとも 言えない ややそう思う ややそう思わない

9.5%

そう思う (83名) そう思わない (4名) 2.2% 18.3%増加 (n=174) (n=167)

【結果5】

• 「薬剤師として正しい判断をするには、倫理の学問的背景が 必要である 」という問に対して、講義前には28.1%の薬学生 が「そう思う」と答えていたが、講義後には46.4%に増加して いた.

(15)

14

【考察】

• 設問a)について、倫理の講義を受けることにより、「倫理がど ういうものであるか」の理解が自覚的に深まったといえる. • 設問b)も、倫理の講義によって、「自分は倫理観をもってい る」と自信を深めた学生が増えたのと同時に、回答によって 「どちらともいえない」と自信の判断に不安を感じた学生も増 えたと考えられる. • 設問c)について、倫理の正しい知識を得たことで、「倫理は個 人の問題ではない」と考える学生が圧倒的に増えたといえる. • 設問d)については、特に倫理規定の話を講義の中で取り入 れたわけではなかったことから、講義前後で変化がみられな かったものと思われる • 設問e)については、倫理の講義を受けてみて、さらにきちんと した知識が必要であること感じた結果であったといえる. • このように、実践型倫理教育を受講することで、倫理への理 解が深まり、教育の必要性を強く感じるようになったことが示 唆された.

(16)

15 • 現在、多くの薬剤師が患者を直接支援する立場におかれ、こ れまで関わったことのなかった倫理問題に直面している. • 事実、深刻な決断が迫られたり、難しい説明を求められること があっても、薬剤師はどのように対処すればよいのかわから ないまま、あるいはその問題に気づかないまま、薬剤師の抱 える倫理問題は複雑化している. • いまこそ体系的な倫理教育に取り組まなければ、薬剤師とい う専門職の判断は、一貫性がなく妥当性を欠くものになってし まうだろう. • 本講義で用いたケース・アプローチは、薬学生はもちろん、臨 床で活躍する薬剤師にも取り組みやすい方法である. • 価値観や考え方が対立する臨床の中で、複雑な社会状況・医 療の構造改革の倫理的・法的・社会的な諸問題を理解し、多 角的な視点から分析して、倫理的にも政策的にも最善の選択 を導くことができるようになるために、こうしたケースを用いた 倫理教育(モラルトレーニング)を行なわなければならない.

【結論】

参照

関連したドキュメント

投与から間質性肺炎の発症までの期間は、一般的には、免疫反応の関与が

 スルファミン剤や種々の抗生物質の治療界へ の出現は化学療法の分野に著しい発達を促して

心嚢ドレーン管理関連 皮膚損傷に係る薬剤投与関連 透析管理関連 循環器関連 胸腔ドレーン管理関連 精神及び神経症状に係る薬剤投与関連

医師と薬剤師で進めるプロトコールに基づく薬物治療管理( PBPM

2012年11月、再審査期間(新有効成分では 8 年)を 終了した薬剤については、日本医学会加盟の学会の

地域の感染状況等に応じて、知事の判断により、 「入場をする者の 整理等」 「入場をする者に対するマスクの着用の周知」

  憔業者意識 ・経営の低迷 ・経営改善対策.

認知症の周辺症状の状況に合わせた臨機応変な活動や個々のご利用者の「でき ること」