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JUSE-StatWorks/V5 活用ガイドブック

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Academic year: 2021

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4.6 薄膜金属材料の表面加工(直積法)

直積法では,内側に直交配列表または要因配置計画の M 個の実験,外側に直交配列表または要因配置計画の N 個の実験をわりつけ,その組み合わせの M×N のデータを解析します.直積法を用いることにより,内側計画 の各列と全ての外側因子との交互作用を求めることができます.よって,環境条件や使用条件のように制御が難 しい(水準を指定できない)因子(標示因子,誤差因子)が存在する場合でも,それらの因子を外側にわりつけ ることによって,適切に最適条件を求めることができます. 内側計画を L8,外側計画を 3 水準の 1 元配置実験とした時の実験の例 列番 No. 1 A 2 B 3 A×B 4 C 外側計画 D1 D2 D3 内 側 計 画 1 1 1 1 1 44.28 49.10 70.66 2 1 1 1 2 … … … 3 1 2 2 1 … … … 4 1 2 2 2 … … … 5 2 1 2 1 … … … 6 2 1 2 2 … … … 7 2 2 1 1 … … … 8 2 2 1 2 18.90 41.51 43.46

問題の設定

ある精密機器メーカーC 社では,薄膜金属材料 Z の表面加工を行っています.今回は表面加工を開始して から 5 分後の表面の「加工深さ」を特性値として,それをできるだけ小さくしたいと考えています.(で きれば 90[μm]以下にしたい).制御因子は下記の A から H までの 8 因子で,これを L18(2×3^7)にわり つけて実験を行いたいと考えています. しかし場合によっては,劣化したエッチング液(旧)を使用することがあり,エッチング液の新旧は選 べない状況となっています. よって,「エッチング液の新旧」I を誤差因子として,内側計画を A から H までの因子をわりつけた L18 (2×3^7),外側計画をエッチング液の新旧(2 水準)の一元配置実験とした,直積法の解析を行うことに しました. 因子種類 因子記号 因子名 第 1 水準 第 2 水準 第 3 水準 内側因子 (制御因子) A アルミ配線工程有無 有 無 ― B 薬剤 B 割合 10% 15% 20% C 薬剤 C 割合 5% 8% 10% D レジストベーク温度 100 度 120 度 150 度 E エッチング液温度 20 度 25 度 30 度 F 薬剤 F 濃度 20% 30% 40% G 薬剤 G 濃度 10% 20% 30% H シート抵抗値 100Ω 125Ω 140Ω 外側因子 (誤差因子) I エッチング液の新旧 エッチング液(新) エッチング液(旧) ―

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以上の情報をもとに,エッチング液の新旧の影響を受けにくく,加工深さを小さくするような最適 条件を求めます. ※本事例は『パラメータ設計・応答曲面法・ロバスト最適化入門』,日科技連出版社,棟近雅彦監修,山田秀, 立林和夫,吉野睦著,2012,第 4 章をもとに,本マニュアル用に手を加えて作成しています.

関連手法の説明(概要)

実験計画法の概要については,活用ガイドブック PART2 の第 4 章 4.1(直交表)をご覧ください. ここでは,直積法を活用する上で必要となる,因子の種類と意味を紹介します. No. 1 2 3 4 5 6 7 8 A B C D E F G H I エッチング液(新) エッチング液(旧) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 2 2 2 2 2 2 1 1 3 3 3 3 3 3 1 2 1 1 2 2 3 3 1 2 2 2 3 3 1 1 1 2 3 3 1 1 2 2 1 3 1 2 1 3 2 3 1 3 2 3 2 1 3 1 1 3 3 1 3 2 1 2 2 1 1 3 3 2 2 1 2 1 2 1 1 3 3 2 2 1 3 2 2 1 1 3 2 2 1 2 3 1 3 2 2 2 2 3 1 2 1 3 2 2 3 1 2 3 2 1 2 3 1 3 2 3 1 2 2 3 2 1 3 1 2 3 2 3 3 2 1 2 3 1 170.8 130.2 129.5 100.0 99.3 179.5 168.8 123.0 94.2 58.0 166.3 99.3 71.4 165.9 109.7 70.0 60.9 163.6 217.9 196.6 137.3 159.9 118.2 293.4 243.5 181.8 107.0 66.0 237.1 175.0 77.3 270.6 170.6 162.4 66.9 264.9 因子の種類 意味 制御因子 技術者が制御できる設計パラメータや工程条件. 標示因子 設備やロットなど,その最適条件を求めることに意味はないが,制御因子に影 響がある(制御因子との交互作用がある)可能性がある因子. 誤差因子 使用条件や劣化条件など,その水準を選択することができない因子. 実験データ

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本事例の解析ストーリー

使用する StatWorks の主な機能

① 実験指示書の作成(問題設定に応じた実験計画表の作成) ② 特性値の入力 ③ 直積法による解析([手法選択]-[実験計画法]-[直積法]) ④ 効果の確認(データプロット) ⑤ 特性値に影響を与えている要因の確認(分散分析表-プーリング) ⑥ 実験した条件の中での,外側因子を考慮した最適条件の確認(推定値) ⑦ 実験した条件の中での,内側因子における最適条件の確認(推定値) ⑧ 結果の考察

4.6.1 解析

手順1 本事例のサンプルデータを読み込みます.問題設定に応じた実験条件とデータが表示されます. 1 列目(サンプル名)には内側因子のわりつけ情報,2~9 列目(質的変数)には内側因子の水準,10 列目と 11 列目(量的変数)には,エッチング液(新),エッチング液(旧)それぞれを使った時の加工深さのデータ が入っています. 得 ② 実 験 の 計 画 と デ ー タ 取 デ ー タ の 指 定 ③ 計 画 種 類 の 指 定 と 実 験 ④ デ ー タ プ ロ ッ ト い る 要 因 の 確 認 ⑤ 特 性 値 に 影 響 を 与 え て れ ぞ れ の 最 適 条 件 の 検 討 ⑥ 外 側 因 子 と 内 側 因 子 そ ① 問 題 の 設 定 値 の 推 定 ⑦ 最 適 条 件 に お け る 特 性 ⑧ 結 果 の 考 察 実験の計画 実験の解析 対策の検討

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手順2 メニューから「手法選択」-「実験計画法」-「直積法」を選択 します. 手順3 ここでは予めワークシート上にデータを入力して いるため,「ワークシート上のデータを分析」を クリックします. 一方,もし Excel 上等にデータがある場合は「外部 データを分析」を選択します. 手順4 「変数の指定」ダイアログで,特性値に「エッチング液(新)」 と「エッチング液(旧)」,実験条件に「アルミ配線」から 「シート抵抗値」までの内側因子 7 つ,そして,わりつけとして 既にわりつけ情報が入力されている「内側わりつけ」を 指定して次に進みます.

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手順5 「因子数・水準数の指定」ダイア ログでは,まず内側実験回数が 18 で,外側実験回数が 2 であることを 確認します.また,内側因子の因子 名や水準に間違いがないかどうかを 確認します. さらに外側因子の因子数を「1」, 水準数を「2」にして,因子名を 「エッチング液の新旧」とします. 手順6 「計画種類の指定」ダイアログでは,内側 計画が直交配列表,外側計画が要因配置計画 (繰り返し:なし)になっていることを 確認して次へ進みます. 手順7 内側計画に直交配列表を用いているため,次に 内側因子のわりつけ画面が表示されます. L18(2^1×3^7)の直交配列表が選択されていますが, 正しくわりつけがされていることを確認した上で, 次へ進みます.

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手順8 「実験データ」タブに,各実験の条件と, 特性値が表示されます. 次に,各因子の効果を視覚的に確認します. 画面上部の「データプロット」タブをクリックし ます. 手順9 「データプロット」タブでは,各因子 の主効果や交互作用を確認します. 例えば因子 E と I の要因効果図か らは,E×I の線が平行でなく, E×I の交互作用が大きそうに見え ます. 手順10 「因子名・水準名」タブでは,特性値 の名称や,因子名・水準名を変更すること ができます.「特性名」を「加工深さ」, 外側因子 I(エッチング液の新旧)の第 1 水準 の名称を「新」,第 2 水準の名称を「旧」 に変更しておきます.

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手順11 画面上部の「分散分析表」タブをクリック すると,分散分析表の画面が表示されます. ここでは主効果や交互作用のプーリングを 行うことができます. 内側因子と外側因子の交互作用は,分散比 が 2.0 以下の A×I,B×I,C×I,F×I, G×I,H×I をプーリングします.プーリング の方法は,プーリングしたい行をクリックし 水色に反転した上で,「プーリング」ボタン を押します. 次に内側因子の主効果の B,F,G,H を プーリングします. 手順12 さらに 1 次誤差の分散比も 2.0 以下のため プーリングを行います. 手順13 プーリングされていない主効果や交互作用 の分散比は全て 2.0 以上になっています. これでプーリングは完了です. プーリングの絶対的な基準は存在しませんが,目安として,分散比が 2.0 以下の因子を プーリングすることが多いようです.プーリングの詳細は PART2 の第 4 章 4.1 をご覧く ださい. 手順14 分散分析表より,外側因子 I(エッチング液の 新旧)と内側因子 E(エッチング液温度)との 交互作用が有意であるため,この組み合わせ で推定を行います. 推定に用いる主効果と交互作用「E」, 「I」,「EI」の 3 つの行をクリックし水色に 反転させて状態にして,「推定値」タブへ 移ります.

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手順15 「推定値プロット」画面では,外側因子 I(エッチング液の 新旧)の水準によるばらつきの違いを見るために,横軸 を I に設定します. 「推定値プロット」画面上部の「オプション」ボタンを押し, 横軸因子を「I」のみに設定した上で,「OK」ボタンを押し ます. 手順16 「推定値プロット」画面で,E(エッチング液温度) の各水準によって,特性値である加工深さに どれぐらい違いが出るかどうか(ばらつきが 大きいかどうか)が分かります. E(エッチング液温度)が E3(30 度)の時,加工深さに大きな違いはなく,ばらつきが小さくなります. 手順17 次に,内側因子の最適水準を求めます. 「分散分析表」タブに戻り,有意となった因子 「A」,「C」,「D」を選んだ状態で「推定値」 タブをクリックします. 「推定値プロット」タブの画面上部の「表示 切替」ボタンを押して,各因子の水準を横軸 としたグラフを表示し,加工深さを小さくする ような水準を求めます. A(アルミ配線)は A2(無),C(薬剤 C 割合)は C1(5%),D(レジストベーク温度)は D1(100 度)の時に,加工

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手順18

また,その時の加工深さの推定値を求めます.「分散分析表」タブに戻り,推定に用いる「A」,「C」, 「D」,「E」,「I」,「EI」を選んだ状態で,「推定値」グループの「推定値」タブをクリックします. 母平均の点推定値に加え,母平均の信頼区間や新たに採取されるデータの予測区間も出力されます.

最適水準 A2C1D1E3 において,誤差因子 I(エッチング液新旧)が I1(新)の時に,加工深さが最小となりま す.目標は加工深さを 90[μm]以下とすることでしたが,母平均の点推定値は 48.70,95%予測区間は,21.676 ~75.718 となり,目標値をクリアしました.

まとめ

・外側因子 I(エッチング液の新旧)と内側因子 E(エッチング液温度)には交互作用がありますが,誤差因子であ る I(エッチング液の新旧)の変動を最も小さく抑える水準は E3(30 度)です. ・特性値である加工深さを最小にする水準は A2C1D1(A(無),C(5%),D(100 度)です. ・最適条件 A2C1D1E3 で,特性値が最大,最小になるのは 最小: I1(エッチング液(旧)) 48.70±27.021(21.676,75.718) 最大: I2(エッチング液(新)) 58.60±27.021(31.576,85.618) となります. ・設問より,薄膜金属材料 Z の加工深さは小さいほど良く,かつ 90[μm]以下であることが望ましい状態で した.よって使用するエッチング液の新旧に関わらず,求められた最適水準 A2C1D1E3 では目標を満たすことが 分かりました.

参照

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