制度・報酬改定に対する予測と提案
NPO 法人日本介護福祉教育研修機構 理事長 日本通所ケア研究会 会長妹 尾 弘 幸
あとわずか
!
最終回
制度・報酬改定に対する予測と提案
制度・報酬改定に対する予測と提案
制度・報酬改定に対する予測と提案
制度・報酬改定に対する予測と提案
制度・報酬改定に対する予測と提案
制度・報酬改定に対する予測と提案
!!
緊急連載総論
0
来年度の介護保険制度・報酬改定の方向性も少しずつ定まってきた。これに伴い、介護分野はさまざまなことが変 化することが考えられる。本稿では、その内容の予測・提案などを列挙したいと思う。 ※あくまでも、私見による予測・提案であり、決定事項ではないことにご注意ください。 各論に入る前に、介護全体で考えなければならな いのは「人員不足」である。今後、特に不足するのは、 夜勤介護職と看護職である。看護職については、事 業所間での共用だけでなく、地域内での共用が必要 となる。しかし、夜勤可能な介護職の確保は容易では ない。ファーストフードの時給が1
,500
円以上となっ ている現在、夜勤ケアへの評価を大幅に上げ、グルー プホームと小規模多機能等での協働夜勤も可能にす るなどといった基準緩和が必要である。(これらの対 策も「焼け石に水」だが、しなければさらに問題が悪 化する)。将来的には、ICTを活用した「夜間介護セン ター」で圏域を一括カバーしていくようになるかもし れない(モニターでケアの必要がある人を検知し、そこ へ人を派遣するシステム)。 また、デイについては、「地域包括ケア」の窓口およ び実働部隊の一つとして活用することも必要だろう。 項 目 訪問 通所 短期入所 小規模多機能 入所 基本機能 訪問介護 レスパイトデイ レスパイトショート 基本型 特養 リハ・機能訓練対応 訪問リハ 機能訓練型デイ リハショート リハ特化型 老健 認知症対応 訪問介護 認知症デイ 認知症ショート 認知症対応型 グループホーム 療養対応 訪問看護 療養デイ 療養ショート 療養小規模多機能 療養型 介護・リハビリ相談窓口、技術指導、ボランティア育成 などのほかにも、送迎機能を活かした「買い物難民に 対する買い物支援」、食事機能を活かした「会食・配 食サービス」なども可能である。なお、これらの費用 については、予防事業費等からの支出となる。 また、デイでの「機能分類」が話題となっているが、 デイだけでなく、訪問・通所・短期入所・小規模多機 能・入所の各種サービスについて縦断的な機能分化を 取り入れるべきと考える。 具体的には、「基本機能」「リハ・機能訓練対応」 「認知症対応」「療養(基礎的医療ニーズ)対応」の各 機能である。それぞれの基本単位を設定し、加算は簡 素化してわかりやすい体系にすることが望ましい。ま た、地域ごとに、機能別のサービスを適切に配置し、 それぞれの連携を強化することも必要だ。来年度のデイの報酬単価は、大幅減となるのではないかと予測がなされている。各フランチャイズ関係者も、
10
∼25
%の報酬減を予測しているようだ(「高齢者住宅フェア2014
in 東京<小規模デイサービス事業者パネルディス カッション>」より)。デイ関係では、どのような変化が予測されるだろうか。(1)デイサービスへの在宅アセスメント導入
デイケアでは、すでに平成24
年から在宅アセスメントが加算算定の必須条件となっている。医療分野でも、退院時 の在宅アセスメント(退院前訪問指導料など)が導入されているのが現状である。 通所サービスは、在宅支援が大きな役割となるため、デイサービスでも在宅に関するアセスメント(自宅環境、自宅 でのADLなどの活動状態、役割・地域交流状況などの評価)を必須にしたらよいのではないか。 ⇒ ICTモニター等を活用した夜間センター(?) (3)デイの活用 : 地域包括ケアの窓口として、実働部隊として(財源は事業費用より) (4)全系統に機能別導入: サービス種別単価制 ⇒ 機能別報酬制へデイ関係
1
1 デイ関係 (1)デイサービスへの在宅アセスメント導入 (2)機能別報酬体系の導入 ①基本(レスパイト)型 ②機能訓練・リハビリ型 ③認知症対応型 ④療養型 ⑤地域貢献型 (3)規模別報酬体系の廃止 (4)入浴介助加算の適正化と増額 (5)地域密着型デイ・サテライトの基準予想 (6)宿泊デイへの指導強化 (7)その他[報酬体系の簡素化、集中減算廃止 ほか] 2 要支援1・2の予防事業への移行 (1)要支援1・2の予防給付への移行 (2)介護予防事業の通所サービスの類型化 (3)移行後の課題 ①要支援⇔要介護の移行 ②事故発生による影響 3 小規模デイの再編 (1)再編の必要性が発生するか? (2)再編(グループ化)を促進するためには 4 2割負担 (1)小規模多機能、グループホーム、複合型、定期巡 回への影響大 (2)低所得者を対象とするところほど安定化 5 その他 (1)生活圏域内での職員の共用 (2)リハビリ専門職による訪問リハ開設 (3)地域分散型特養の新設 (4)既存施設・設備の活用 (5)救急介護センター (6)中規模市~中核市に介護移民が集中 (7)低所得者対策 (8)特養でのマンパワー不足① 基本(レスパイト)型 ② 機能訓練・リハビリ型 ③ 認知症対応型 ④ 療養型 ⑤ 地域貢献型
(3)規模別報酬体系の廃止
以前、単一報酬制度化で大規模の利用率が高く、小規模の赤字が多かったことで、その利益率差の解消のために 「規模別報酬体系」が導入された。しかし、今回の小規模デイの急増は高利益率が要因であることを見れば分かるよ うに、リハビリや訓練意欲の高い人を対象に少ない職員数で運営すると、利益率が高くなる。結局のところ、利益率は システム・ビジネスモデルの問題なのである。 したがって、地域密着型デイの創設に伴い、規模別報酬体系は解消すべきだと筆者は考える。 廃止理由 ① 利用率は規模ではなく、「どのような利用者を受け入れるのか」という要因が大きい ② 地域密着型デイ創設に伴い、従来の利用人数別報酬体系の継続が困難 ③ 利用者・家族にも理解しやすい報酬体系の簡素化が望まれている ④ サービス提供の安定化の視点から、一定規模以上の安定した運営主体が望まれている ⑤ 大規模単一機能から大規模多機能事業所が増加 ⑥ 大規模はイニシャルコスト・運営リスクがほかの規模に比べて高い 機能別報酬体系の基準予想 ① 基本(レスパイト)型 デイの基本単価といえども、レスパイト機能を担保す ることが必要不可欠である。そのため、(1)で挙げ た在宅アセスメントのほかに、「家族アセスメント」 「家族支援計画」「レスパイト効果の評価」などが 必要となってくる可能性がある。 ② 機能訓練・リハビリ型 現在の個別機能訓練Ⅰ・Ⅱの両方を算定できる人員 体制が基本となる。具体的には、個別機能訓練指導 員が常勤1名、非常勤1名以上(共に専従、うち1名は リハビリ専門職)で、機能訓練の経験・研修などを受 けた常勤の介護福祉士1名以上の配置が望ましい。 ③ 認知症対応型 認知症介護リーダー研修・管理者研修・指導者研修 のいずれかの修了者1名、認知症介護実務者研修修 了者1名、認知症介護の経験または研修を受けた介 護福祉士1名などが予測される。 ④ 療養型 看護師(利用者9名に対し1名)、「痰の吸引等の研 修」を受けた介護福祉士1名以上などが想定される。 ⑤ 地域貢献型 平成25年度、厚労省事業報告書「通所介護のあり方 に関する調査研究事業」で提案された類型である。 地域貢献活動の実績は少なく、効果も未知数のた め、今回の類型には入らない可能性が高い。また、利 用者負担が増す加算などの手法は適さないため、導 入時は別途予防事業者などの財源となるだろう。 それぞれの基準を予想してみた。 あとわずか!(2)機能別報酬体系の導入
デイサービスは多様化し、同一報酬体系がなまじなくなってきているため、機能別報酬体系が導入される予定であ る。その際、分類される機能には以下のものが予想される。入浴に関して ① 加算基準の適正化とともに単価増額 50単位→100単位 ② 自立・見守り入浴は本体に包括 ③ 入浴費は、ホテルコストとして実費徴収の旨を明記・通知し、入浴費用の徴収を一般化
(5)地域密着型デイ・サテライトの基準予想
7月28
日に行われた全国介護保険担当課長会議にて、「地域密着型デイの定員は18
名以下」との通知があった。ま た、これに併せて通常規模・大規模デイや小規模多機能型居宅介護のサテライト事業所への移行も提案されている。 こういった点から、小規模事業所・サテライトの基準について、以下のように予測してみた。 地域密着型デイ・サテライト基準予測 ① 定員や運営推進会議の頻度について ・定員基準→定員18名以下 ・運営推進会議開催義務〔頻度※→半年に1回(地域住民・利用者家族・包括センター・民生委員ほか)〕 ※開催しない場合は減算 ・代表者研修・管理者研修の受講義務 ・看護師共用可 ② 現利用者の継続利用について 利用対象者は原則「所属自治体住民」のみ。現利用者は、圏外でも利用可(届け出不要) ③ サテライトデイについて ・原則同一生活圏域内(特別な理由があれば市町村内でも可)で、本体から車で約20分内程度の距離 ・1ヶ所の本体につき、2ヶ所までサテライト設置可能 ・管理者兼務可、看護師共用可、生活相談員不要、相談室不要 ると保険給付額が高くなるため、デイでの対応が財源 的には効果的だ。 現在、デイには「入浴介助加算」があるが、これは わずか50
単位である。入浴介助は、浴室への移動、更 衣、入浴後の整髪なども含めると、40
分以上のケアが 必要である。50
単位では人件費の3分の1程度にしか ならない。入浴は、イニシャルコスト、ランニングコスト がかかり、マンパワーも必要なため、加算の上乗せが 必要だろう。 また、入浴介助加算は、効率化・重点化すべき加算 でもあると考える。現在、約7割のデイが入浴を実施 しているため、自立と見守りによる入浴は本体部分に 適正な基準・チェックが必要である。同時に、入浴費 はホテルコストとして実費請求する旨の通達も必要だ ろう。入浴を実質的個別機能訓練として行った場合 は、個別機能訓練加算と入浴介助加算の2重算定にな るケースも予測されるため、一定の基準が必要である。 またプールでの活動に対して、収入補てんのために 入浴介助加算を取っている事業所が増えているので、 誤請求・不正請求の通知を出す必要がある。 ケアマネは、安易にデイでの入浴をケアプランに入 れる傾向が強い。適正なケアプラン作成についての指 導も必要となる。劣悪な宿泊デイに対する方策 ① 適切なケア提供の確認 …「ケアマネおよび第三者機関が、事前通知なしで現場調査をすること」と、 「ケアプランに導入理由を明記すること」を義務付ける ② 自主事業における問題の場合も、介護事業の取り消しを可能とする ③ 各実施事業所に宿泊サービス中のケアについての実態報告書の提出を義務化 ④ 個別機能訓練加算算定の不可(居宅での自立した生活支援が目的のため) ⑤ 消防計画・防火管理者・夜間を想定した消防避難訓練などの有無の調査 ⑥ 家族の経済的虐待の場合は、事業所は罰則、ケアマネは減算・事業所取り消し・資格剥奪を可能とする ⑦ 旅館業の許可取得(実例:鳥取県など) 必置義務がなくなる理由 ⅰ 昨年度の介護保険部会の報告書で、通所介護の人員基準の緩和が提言された ⅱ 平成24年度に、生活相談員はデイ提供時間数分の勤務に変更されたため、複数単位実施しているデイ (例:午前中1単位、午後1単位)では、生活相談員と面識のない利用者もいるが、特に問題が発生していないこと ⅲ 多くの自治体で、相談員の資格として介護福祉士等が挙げられ、介護職でも業務可能なこと ⅳ 相談員の業務が特に定められていない(通所介護計画の作成・説明・交付は管理者の業務) ⅴ 小規模多機能型居宅介護には相談員は不要(サテライトデイとの兼ね合い) ⅵ 将来のサービス再編に向けた準備