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特殊教育学研究

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Academic year: 2021

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Ⅰ. 問題と目的  発達障害児に対する支援において、その親を支援の 対 象 と し て 含 め る こ と は 重 要 で あ る。わ が 国 で も 2005 年に発達障害者支援法が施行され、親をはじめ とする家族への支援について必要な措置を講ずること が定められている。親に対する支援のひとつにペアレ ントトレーニングがある。ペアレントトレーニングと は、子どものスキル獲得や行動上の問題を解決するた めに、親が身につけたほうがよい知識やスキルを獲得 できるように意図された、行動理論にもとづくアプ ローチである(Schaefer & Briesmeister, 1989)。  近年のわが国における発達障害児の親へのペアレン トトレーニングは、療育機関、特別支援学校、親の 会、病院など、多くの機関や団体で行われている(菅 野・小林, 1997; 高階・井上, 2008)。しかしながら、発 達障害に対応した体系的なペアレントトレーニングを 提供している事例は少ない(島宗・藤本・竹田・森 住・高 浜・長 町・野 呂・井上, 2007)。ペ ア レ ン ト ト レーニングの形態は、集団あるいは個別で行われるも の、講義と演習(リハーサル等)中心のもの、あるい は指導者が直接家庭へ出向いて行うものと幅広いが、 わが国においては指導者が直接家庭へ出向くよりも、 集団の形態で親が指導者からトレーニングを受け、そ れをもとに家庭で親が子どもに対して介入を実施する ことが多い(免田・伊藤・大隈・中野・陣内・温泉・ 福田・山上, 1995)。そのような形態の中で、トレーニ ングの効果の測定は、親の報告に基づいたものが多く (高階・井上, 2008)、特に親や子どもの家庭内での行 動変容を定量的に測定した研究はない。  行動変容を定量的に測定するひとつの方法に行動観 察法があるが、ペアレントトレーニングの対象者全員 に対して家庭訪問を実施し直接観察することは、時間 的労力や倫理面からも限界がある。一方で、家庭が所 有するビデオカメラを用いて特定場面の観察を依頼す ることは、行動変容に関する現実的な測定方法である と考えられる。  家庭場面における指導場面をビデオで撮影し、その 映像を指導者に提出することの効果は、行動変容の測 定にとどまらない。ビデオの提出は、従来のペアレン トトレーニングにおいて報告の機能をもち、宿題や記 録の提出に代替するものとして考えられる。  さらに、ペアレントトレーニングにおいても、親の 行動それ自体が映されたビデオを用いた介入(ビデオ フィードバック:以下 VF)は有効な介入方法とされ

実践研究

発達障害児の親に対する相互ビデオフィードバックを

用いたペアレントトレーニングの検討

上  野   茜・高 浜 浩 二・野 呂 文 行

 発達障害児親の会に所属する家族 4 組に対して、講義と演習からなる集団形式のペアレン トトレーニングの中で、親同士による相互ビデオフィードバックを行った。ビデオは家庭で の課題の様子を親が撮影したものを用いた。相互ビデオフィードバックは、ビデオ視聴、親 によるコメント、メンバーからのコメント、スタッフからのコメントから構成された。親の 知識、不安、親子の行動変容を、KBPAC、新版 STAI、ビデオによる行動観察から評価した。 介入の結果、ほとんどの参加者において、KBPAC の得点の増加、新版 STAI の得点の減少が みられた。また、親の適切行動と子どもの課題達成率においても改善がみられた。親の発言 やアンケート結果より、集団形式のペアレントトレーニングの中でビデオを用いた相互 フィードバックの有効性が示唆された。今後の課題として、ビデオ撮影に関するコスト、実 験デザインの改善があげられる。 キー・ワード:ペアレントトレーニング 相互ビデオフィードバック 発達障害 筑波大学大学院人間総合科学研究科

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ており (Reamer, Brady, & Hawkins, 1998)、親の自己 記録に効果があるといわれている(Embergts, 2000)。 すなわち、親が自身の行動をビデオの映像を通して視 聴することで、自身の行動を客観的に観察、記録する ことができ、次の標的場面で適切な行動が生起しやす くなると考えられる。また、これまでのペアレントト レーニングに関する研究においては、親の適切な養育 行動の維持、般化に効果があるという結果が導きださ れているが、どれも指導者が直接観察していたり、ト レーニング場面から家庭場面への般化を測定していな い。家庭の様子をビデオ撮影することによって、指導 者が親子の行動を観察・評価することができると考え られる。  大久保・井上(2006)は集団形式のトレーナート レーニングの中でビデオを用いた相互フィードバック を行い、その集団が社会的強化の自然な「コミュニ ティ」になる可能性(Kohler & Greenwood, 1986)、仲 間 が 望 ま し い モ デ ル に な る 可 能 性(Nikopouros & Keenan, 2006)、コ ス ト の 低 さ と 受 け 入 れ 度 の 高 さ (Greller, 1980)を指摘している。

 また、Darden-Brunson, Green, and Goldstein(2008) はビデオモデリングの介入の中で、ビデオの映像上の 人物が対象者により「近い」ほうが、モデリングが促 進されることについて言及している(例えば、自閉症 児への介入において、大人よりも同年齢の子どもをモ デルにしたほうが、よりよい結果が望める)。ペアレ ントトレーニングの文脈で考えると、スタッフの映 像よりも、同じ親の映像のほうがより効果が期待で きると考えられる。さらに、般化を促すトレーニン グ方法のひとつに、十分な刺激の範例を使用した訓 練(training to multiple stimulus exemplars)を用いた 介入が挙げられる。Crockett, Fleming, Doepke, and Stevens(2007)は、ペアレントトレーニングの中で十 分な刺激の範例を使用した訓練を行い、親のスキル獲 得と般化に効果があることを示した。したがって、他 の親の映像(課題の様子)をビデオで見ることは、十 分な刺激の範例を使用した訓練の観点からも効果があ ると考えられる。  Neef(1995)は、トレーニングを受けた親が他の親 にトレーニングする pyramidal training の研究を行い、 トレーナーがトレーニングを行う群と比較し、同様の 効果があることを示した。また、Neef(1995)は親同 士でトレーニングを行うことの利点として、コストの 低さ、トレーニングする側の親のスキルの維持、サ ポートネットワークの促進を挙げている。これらは、 親同士による相互フィードバックにおいても期待でき る利点として考えられる。  まとめると、ペアレントトレーニングの中で親同士 による相互 VF を行うことによって、① 親が自身の映 像を視聴することによる自己記録の効果(Embergts, 2000)、② 他の親(仲間)のビデオを視聴することに よるモデリング(Darden-Brunson et al., 2008)や十分 な刺激の範例を使用した訓練(Crockett et al., 2007) の効果、③ 集団がサポートネットワークを促進し (Bruder & Bricker, 1985)、社会的強化の自然なコミュ ニティとなる可能性(Kohler & Greenwood, 1986)、④ コストの低減の効果(Greller, 1980; Neef, 1995)が期 待できると考えられる。しかしこれまでに、集団形式 のペアレントトレーニングにおいてビデオを用いた事 例は報告されているが(山上, 1998)、効果の検討は行 われてこなかった。  本研究では、集団形式のペアレントトレーニングに おいて、ビデオを用いた相互 VF が親子の行動変容に 有効かどうかについて検討することを目的とした。ま た、ビデオを記録媒体のひとつとして用いることで、 家庭場面における親子の行動を評価し、トレーニング 場面で獲得した知識やスキルが家庭場面に般化したか どうかを評価した。 Ⅱ. 方 法 1. 参加者  NPO 法人の発達障害者親の会に所属している発達 障害児(自閉性障害、広汎性発達障害、学習障害)と その親 4 組を対象とした。各家族の詳細を Table 1 に 示す。参加者の中で、A 児の母親のみ前年度のプログ ラムに参加していた。他の家族はペアレントトレーニ ングに参加することは初めてだった。  プログラムの運営は親の会の役員が担当し、プログ ラムの内容・実施は E 大学スタッフが担当した。募集 は、親の会が発行する資料と一緒に、本プログラムの 案内を配布した。プログラムを開始する前に、参加希 望者に対して大学スタッフがインテークを行い、プロ グラムの概要の説明、なるべく欠席せずにプログラム に参加すること、家庭で課題を行う精神的・時間的余 裕があるかどうか、研究への同意等を確認した。イン テークを希望した家族は 5 家族で、そのうち 4 家族が 本プログラムに参加することとなった。残りの 1 家族 については、家庭の事情を考慮し、E 大学の教育相談 を紹介した。  プログラムへの参加は、A 児、B 児は母親のみ、C

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児はおもに母親で、第 2 回と第 10 回は父親も参加し た。D 児はすべて母親と父親の両方が参加した。出席 率は、A 児の母親が出産のため 1 回欠席し、97.5% だった。 2. 場面設定と研究期間  月 1 回で全 10 回、X 年 5 月∼X+1 年 2 月の期間実 施した。セッションは集団形式の講義・演習、課題報 告と個別相談から構成された。講義・演習、課題報告 は約 2 時間行われ、その前後に各参加者約 1 時間ずつ 個別相談の時間を設けた。場所は地域の公共施設の一 室を使用した。部屋の予約は親の会役員が行った。託 児はスタッフの人数の都合上行わなかったが、他の家 族が待つことができる部屋を常時用意した。そこに親 の会役員が同席していた。また、親の会役員は、プロ グラム参加者の相談に応じることもあった。 3. 手続き  1 セッションの流れは、① 導入、② ビデオ視聴と課 題の報告、③ 相互フィードバック、④ 講義・演習、 ⑤ まとめ・次回の予定確認、から構成された。  講 義 内 容 は、Baker, Brightman, Blacher, Heifetz,

Hinshaw, and Murphy(2004)を 参 考 に 作 成 し た (Table 2)。相互ビデオフィードバックの手続きは、① 家庭で撮影されたビデオの映像を参加者全員で視聴、 ② 本人による発言、③ 他のメンバーによる発言、④ スタッフからの発言、から構成された。相互 VF は S (セッション)3∼10 で実施された。スタッフは、相互 VF を行う前、発言の内容に関する教示はほとんどせ ず、ビデオを見た「感想」について自由に述べるよう に伝えた。またスタッフは、課題に対する助言より も、親の発言をまとめたり、話を進めるファシリテー トに重きを置いて発言するように努めた。  子どもの目標行動は、初回の講義で「目標の決め 方」を教授し、基本的には親が考え、それに基づいて 講義あるいは個別面接の中で親と指導者が相談して決 めた。親は、指導者と決めた課題を、次のセッション までの間家庭で実施することとした。  ビデオ撮影の方法については、S2 の中で説明を 行った。説明の中で、事前に許可を得た、本研究に参 加していない別の家族の映像を用い、カメラの位置、 三脚の使い方、親子が課題を行っている様子がわかる Table 1 参加児のプロフィールと家族構成 D 児 C 児  B 児  A 児   学習障害 広汎性発達障害 広汎性発達障害 自閉傾向 診 断 名 通常学級 2 年 特別支援学級 1 年 幼稚園年長クラス 特別支援学級 3 年 所  属 父・母・姉・祖父・祖母 父・母・姉 父・母・妹・祖父・祖母・ 曾祖母 父・母・弟・弟・ 祖父・祖母 家族構成 Table 2 プログラムの内容 評 価 介入内容 月 セッション 行動観察 KBPAC・ 新版 STAI 課題報告・ビデオ 講義と演習 ― pre test ― オリエンテーション 5 月 1 目標行動の選定,記録の取り方 ベースライン期 口頭による課題報告 強化,課題分析 6 月 2 ビデオ撮影の方法に関する説明 プロンプト,環境調整 7 月 3 セッション 1∼3 の復習 8 月 4 セッション 1∼3 の復習 9 月 5 介入期 post test-1 相互ビデオフィードバック セッション 1∼3 の復習 10 月 6 機能分析 11 月 7 機能分析に基づいた指導方法の立案 12 月 8 指導プログラム立案 1 月 9 post test-2 まとめ 2 月 10

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ように撮影すること、必要であれば第三者に撮影して もらうことを教授した。  ビデオは参加者全員がビデオテープ録画だったが、 D 児宅のみ、プログラムの途中で故障してしまったた めハードディスクタイプのビデオ(DVD に保存)を貸 し出した。ビデオ撮影は、時間的余裕のあるときで 1∼2 回程度でもかまわないことを説明し、参加者の負 担にならないように配慮した。撮影したビデオテープ や DVD は、セッションの 1 週間前までに大学まで郵 送で提出するように伝えた。参加者はビデオのほか に、課題の筆記記録、今月の様子や聞いておきたいこ と等を記入する「事前報告書」を毎月提出した。ビデ オの映像については、受け取ったビデオの映像が長い ときはスタッフが恣意的に編集した。編集の際には、 できるだけ親の叱責や子どもの逸脱行動等を取り除く ようにした。 4. 従属変数  従属変数は、親に関する 2 つの尺度、すなわち家庭 用ビデオに基づいた親子の行動観察と、親の筆記記 録をもとに測定された。また、相互 VF が親の行動 変容に与える影響を検討するために、親の発言をまと めた。   ① 尺度: 親の行動分析に関する基礎的な知識を 測る KBPAC(志賀, 1983)と、親の特性不安、状態不 安を測る新版 STAI を用いた。これら 2 つは、プログラ ムの事前と事後に加え、講義内容が行動上の問題への 対応に移る前(S6 終了時)に測定した。   ② ビデオに基づいた親子の行動観察: 家庭場面 における親子の行動を第一著者が評価した。親の適 切行動は、本研究の講義内容と Koegel, Russo, and Rincover(1977)に基づいて定義された(Table 3)。 これらは、「強化」「プロンプト」「環境調整」の 3 つの ユニットと、9 つの項目から構成され、項目ごとに適 切行動が生起しているかどうかが評価された。  「強化」は、子どもの目標行動が複数回生起し、連続 強化を必要とする場合は全体の 8 割において強化子の 提示を行ったかどうかを評価した。また子どもの目標 行動がセッション中に複数回生起し、連続強化を必要 としない場合はセッションの最後で強化子を提示した かどうかを評価した。「プロンプト」は、子どもの状態 に合わせて、反応前にプロンプトを提示するか、反応 後に提示するかを決め、子どもがスキルを未獲得の場 合は、反応前にプロンプトを提示し、子どもがスキル を獲得している(あるいはほぼ獲得している)場合 は、プロンプトを遅延させたりフェイディングしたり するなど、子どもの反応後にプロンプトを提示(ある いは遅延)しているかどうかを評価した。また、行動 連鎖の課題等、子どもの目標行動が複数回生起する場 合、全行動項目の 8 割以上において適切なプロンプト の提示が観察されれば、「適切行動の生起」と評価し た。「環境調整」は、セッション全体を通して物理的あ るいは時間的な整備、子どもの動機づけに配慮した教 材の使用等ができているかどうかを評価した。  A 児の「宿題」における母親の適切行動について具 体例に挙げると、「強化」では、1 ページ終了ごとにお 茶の提示と称賛、すべてのページが終了したらお菓子 を提示し称賛することが求められた。宿題が全部で 5 ページの場合、そのうち 4 ページにおいてお茶と称賛 を提示することができていれば、適切行動が生起した と評価した。「プロンプト」については、A 児がエラー した際に、即時にプロンプトを提示することを適切行 動と定義した。その理由として、A 児がエラーした際 に母親が何度も同じプロンプトを提示し、結果的に A 児が逸脱するといった行動がみられていたためであ Table 3 親の適切行動の定義 定  義 カテゴリー  ① 標的行動後に「ごほうび」を提示している 強化・強化子 ② 「ごほうび」に対する子どもの反応がある ③ 標的行動の生起直後に提示している(もしくは提示することを予告している) ④ その他の工夫をしている(例:トークンシステム) ⑤ 「ヒント」の提示後に子どもの正反応が生起している. プロンプト ⑥ 子どもの反応にあわせて「ヒント」を提示している(反応前,反応後,遅延) ⑦ 物理的構造化を行っている(例:物の撤去) 環境調整 ⑧ 時間的構造化を行っている(例:スケジュール) ⑨ 動機づけの工夫を行っている(例:子どもの好きなキャラクターの教材を使用)

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る。また、強化と同様、プリントが全部で 5 ページの 場合、うち 4 ページにおいて適切なプロンプトを提示 することができていれば、適切行動の生起と評価し た。「環境調整」については、はじめはダイニングテー ブルで行っていたが、他の家族がいたり、台所に置い てある物等で注意がそれやすかったため、A 児の学習 机で行うことを「物理的環境調整」に関する適切行動 の生起と評価した。また、一度に複数の課題に取り組 んでいる場合は、行動変容の変化を追うために、2∼3 か月連続で取り組んでいるもののみを評価した。  子どもの行動は、講義や個別面接の中で親とスタッ フが相談して決めた目標行動の定義に基づいて、○ (目標行動の生起あるいは自発的遂行)、△(親の援助 により目標行動が生起)、×(目標行動の非生起あるい は逸脱行動等の生起)の 3 段階で評価した。   ③ 親の筆記記録にもとづいた子どもの目標行動 の達成度: 親の筆記記録にもとづいた子どもの目標 行動の達成度は、すべての親が◎、○、△、×の 3∼4 段階で子どもの目標行動の達成度を評価した。例えば A 児の親は、○:とてもよくできた、△:声かけが必要 だった、×:できなかった、と定義し、C 児の親は、 ◎:援助なし・自分でできた、○:少しの援助ででき た、△:手を添えてできた、×:できなかった、と定 義した。  また、親の記録にもとづく子どもの達成度は、相互 VF の効果を示すために、相互 VF を導入した S3 の前 後(D 児のみ課題を変更したため、相互 VF 導入後の S3、4 の時期)の結果を示した。   ④ 相互ビデオフィードバック時の親の発言: 参 加者が自分自身の映像を視聴した後の発言と、他者の 映像を視聴した後の発言に分けて記述した。さらに、 自身の行動に関する発言を「自己記録」、他者の映像 がモデルとして機能したことを示す発言を「モデリン グ」とし、分類した。また、他者からから受けたフィー ドバックを、「称賛」「助言」に分類した。 5. 観察者間一致率  親の適切行動の割合、子どもの課題達成率につい て、全体の 30%以上をランダムに抽出し、第一著者と 行動観察法を習得している観察者 1 名とが、独立して 観察・記録した。観察者間一致率は 87.5%だった。 6. 社会的妥当性の評価  プログラム終了後に、無記名でプログラム全体に関 するアンケート、およびビデオに関するアンケートを 実施した。アンケートは「まったくそう思わない」∼ 「非常にそう思う」の 5 段階で評価する項目(Table 4) と、自由記述の項目から構成された。 Ⅲ. 結 果 1. KBPAC の結果  KBPAC の 結 果 を Table 5 に 示 し た。志 賀(1983) の、ペアレントトレーニングを受けた参加者の得点が 15∼20 点、受けていない参加者の得点が 5∼10 点の人 が最も多かった、という結果を基準とし、本研究で は、15 点以上であれば一定の効果が示されたとみな した。導入前を測定していない C 児の父を除いたすべ ての参加者において、ポスト 2 の得点が 15 点以上で導 入前と比較して増加した。 2. 新版 STAI の結果  新版 STAI については、状態不安得点と特性不安得 点に加え、それぞれの得点に基づいた不安の段階(5 Table 4 アンケートの結果 平均得点 質問項目 4.7 1.ABA をもとにした指導は,子どもの成長に効果があると思う 4.0 2.ABA は,子どもの行動を理解するのに役に立つと思わない(逆転項目) 2.8 3.毎月出された宿題は,負担が大きかったと思う(逆転項目) 4.3 4.プログラムに参加したことで,精神的に余裕ができたと思う 4.2 5.家庭での指導を実施することで,子ども本人だけでなく,家族全体に対してもよい効果があると思わ   ない(逆転項目) 4.7 6.今後も,ABA をもとにした指導をしていきたいと思う 4.7 7.ビデオを用いることによって,子どもへの接し方を見直すことができたと思う 2.8 8.ビデオを家庭で使うことは大変だった(逆転項目) 2.8 9.ビデオを郵送することは大変だった(逆転項目) 4.3 10.グループのメンバーと一緒に自分のビデオを見ることは役に立ったと思う 4.3 11.グループのメンバーのビデオを見ることは役に立ったと思う

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段階評価)を Table 5 に示した。評価の観点として、 ① 状態不安において、ポストで不安の段階が低減し ているか、② 状態不安と特性不安を比較し、状態不安 のほうが不安の段階が低いか、の 2 つをもとに、本介 入が親の不安に影響を与えているかどうかを評価し た。その結果、① 状態不安において、介入後に不安の 段階が低減した親は、A 児の母親と D 児の母親の 2 名 で、② 状態不安のほうが特性不安より低かった親は、 A 児の母親、C 児の母親、D 児の母親の 3 名だった。 3. 親子の行動変容の結果  ビデオに基づいた親子の行動変容を Fig. 1 に、親 の筆記記録に基づいた子どもの達成度を Fig. 2 に示 した。  A 児の母親は、相互 VF 導入開始時(S3)に欠席し たが、適切行動の項目数が増加した。S4 で課題を変更 した際に適切行動の項目数が減少するものの、S5 以 降においては再び増加した。また、S3 で母親の行動変 容がみられた後で、A 児の行動についても×がなくな り、○や ◎ が増加した。  B 児の母親は、相互 VF を導入した後すぐに、強化 の項目において適切行動の項目数が増加した。介入直 後に親の目標行動の生起がみられた一方で、子どもの 行動変容はベースラインの時期から目標行動が生起し ており、相互 VF の前後で大きな差はみられなかった。 しかし、全体を通して、母親の適切行動の生起の後で 子どもの目標行動が達成した。  C 児の母親は、ベースライン期から適切にプロンプ トを提示していたり、こまめにほめていたりと、多く の項目において適切行動の生起がみられた。子どもの 行動も、課題を継続的に行うことで目標を達成するこ とができた。  D 児については、おもに母親が課題を実施した。D 児の母親は、目標行動が「漢字の練習」等、学習面の 課題においては適切行動が生起した項目数が少なかっ たが、「お手伝い」や「ゲーム」といった生活面や社 会性に関する課題のときは多くの項目において適切行 動がみられた。D 児の行動変容については、学習面の 課題は達成度が安定せず、生活面や社会性に関する 課題においては安定した結果を示した。S8、S9 は課 題実施者が母親の親戚だったため、評価の対象から外 した。 4. 親の発言の結果  相互 VF 時の親の発言をまとめたものを Table 6∼ Table 9 に示した。Table 6 は親の発言を分類した結果 を示し、Table 7∼Table 9 は相互 VF 時の親の発言の全 容を示した。  Table 6 より、全体的に自身の映像を視聴した後の 「自己記録」に関する発言は D 児の母親以外のすべて の参加者にみられ、他者の映像を視聴した後の「モデ リング」に関する発言は少なかった。特に、C 児の母 親と D 児の父親・母親は「モデリング」に関する発言 がなかった。他者から受けたフィードバックにおいて は、「称賛」はすべての参加者にみられ、「助言」は少 なかった。特に C 児の母親に対する他者からの「助 言」は 1 回で、最も少なかった。  A 児の母親は自身の映像を見て、自分の行動ででき ていないところを振り返ったり(「だめばっかりで自 分が全然ほめていない(S6)」)、次にどうすればよい かを言語化したりする様子(「チョコは数を減らして いきたい(S4)」)がみられた。また他者の映像を見て、 同じ手続きを取り入れたいという発言がみられ(「B 児 の課題を見てトークンを取り入れようと思った(S7)」)、 実際に次の回までに導入していた。  B 児の母親は自身の映像を見て、はじめは課題の説 Table 5 KBPAC と新版 STAI の結果

新版 STAI KBPAC 特性不安得点(段階) 状態不安得点(段階) post-2 post-1 pre post-2 post-1 pre post-2 post-1 pre 53(4) 54(4) 50(3) 45(2) 47(3) 44(2) 17 16 14 A 児 46(3) 52(4) 59(4) 56(4) 59(4) 61(4) 18 14 10 B 児 54(4) 52(4) 53(4) 55(3) 50(3) 53(3) 21 20 19 C 児(母) 44(2) ― ― 46(3) ― ― 10 ― ― C 児(父) 50(3) 47(3) 45(3) 42(2) 43(2) 50(3) 15 13 ― D 児(母) 43(2) 45(3) ― 42(3) 42(3) ― 18 13 8 D 児(父)

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Fig. 1 ビデオ観察による親子の行動変容の結果 ①∼⑨ は Table 3 に対応.親の適切行動については□:生起,■:非生起で示した. 㻞 㻟 㻠 㻡 㻢 㻣 㻤 㻥 ᐟ㢟 ᐟ㢟 Ⓩᰯ Ⓩᰯ Ⓩᰯ 䝖䜲 䝺䛾Ỉ 䜢 ὶ䛩 䝖䜲 䝺䛾Ỉ 䜢 ὶ䛩 䝖䜲 䝺䛾Ỉ 䜢 ὶ䛩 䐟 䐠 䐡 䐢 䐣 䐤 䐥 䐦 䐧 䕿 䕧 䕧 䕿 㽢 㽢 䕿 㽢 Ꮚ 㻞 㻟㻙㻝 㻟㻙㻞 㻠 㻡㻙㻝 㻡㻙㻞 㻢㻙㻝 㻢㻙㻞 㻣㻙㻝 㻣㻙㻞 㻤 㻥 䛚㢼࿅๓䛾 ⾜ື㐃㙐 య䜢 ᣔ䛟 䛚䜒䛱 䜓䛾 ∦௜䛡 ḟ䛾᪥䛾 ‽ഛ 䐟 䐠 䐡 䐢 䐣 䐤 䐥 䐦 䐧 䕿 䕿 䕿 䕧 䕿 䕿 䕧 䕧 䕿 䕿 䕧 㽢 Ꮚ 㻞 㻟 㻠 㻡 㻢 㻣 㻤 㻥 Ὑ℆䛩䜛 Ὑ℆≀䜢 ᖸ䛩 Ὑ℆≀䜢 ᖸ䛩 Ὑ℆≀䜢 ᖸ䛩 ᡭ䜢 Ὑ䛖 ╔᭰䛘 䝔䞊䝤 䝹䜢 ᣔ䛟 䝔䞊䝤 䝹䜢 ᣔ䛟 䐟 䐠 䐡 䐢 䐣 䐤 䐥 䐦 䐧 䕿 䕧 䕧 䕧 䕿 䕿 䕧 䕧 Ꮚ 㻞 㻟 㻠 㻡 㻢 㻣 㻤 㻥 ₎Ꮠ䛾⦎⩦ 䛚ᡭఏ䛔 䝏䜵 䝑䜽⾲ ₎Ꮠ䛾⦎⩦ 䝀䞊䝮 䝀䞊䝮 ᩱ⌮ ᐟ㢟 ᐟ㢟 䐟 䐠 䐡 䐢 䐣 䐤 䐥 䐦 䐧 䕿 䕿 䕿 䕧 䕿 䕧 Ꮚ ┠ᶆ⾜ື䛾⏕㉳ 䝉䝑䝅䝵䞁 ┠ᶆ⾜ື 䝉䝑䝅䝵䞁 ┠ᶆ⾜ື 䝥䝻䞁䝥䝖 ⎔ቃㄪᩚ ⎔ቃㄪᩚ ┠ᶆ⾜ື䛾⏕㉳ ᙉ໬䞉ᙉ໬Ꮚ ぶ ᙉ໬䞉ᙉ໬Ꮚ 䝥䝻䞁䝥䝖 ⎔ቃㄪᩚ ぶ ⎔ቃㄪᩚ ┠ᶆ⾜ື䛾⏕㉳ 㻰ඣ䞉ẕ 䝥䝻䞁䝥䝖 䝉䝑䝅䝵䞁 ┠ᶆ⾜ື ぶ ᙉ໬䞉ᙉ໬Ꮚ 㻮ඣ䞉ẕ ┠ᶆ⾜ື䛾⏕㉳ 䝉䝑䝅䝵䞁 ┠ᶆ⾜ື 㻭ඣ䞉ẕ 䛚䜒䛱 䜓䛾∦௜䛡 㻯ඣ䞉ẕ 䛚㢼࿅๓䛾⾜ື㐃㙐 ᖐᏯᚋ䛾⾜ື㐃㙐 ᖐᏯᚋ䛾⾜ື㐃㙐 ぶ ᙉ໬䞉ᙉ໬Ꮚ 䝥䝻䞁䝥䝖

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Fig. 2 親の記録に基づく子どもの行動変容の結果の一部 すべての親が ◎∼×の 3 もしくは 4 段階で子どもの目標行動の達成度を評価した.A 児は宿題への取り組み,B 児は 入浴前の行動連鎖,C 児は洗濯,D 児はお手伝いチェック表の結果である. 0 1 2 3 0 7/5 7/7 7/9 7/267/287/30 8/30 9/1 9/3 10/410/610/8 㐩 㐩 ᡂ ᗘ ᪥௜ S4 S5 S3 䖂 䕿 䕧 㽢 㻢㻛㻞㻝 㻢㻛㻞㻞 㻢㻛㻞㻟 㻢㻛㻞㻠 㻢㻛㻞㻡 㻢㻛㻞㻢 㻢㻛㻞㻣 㻢㻛㻞㻤 㻢㻛㻞㻥 㻢㻛㻟㻜 㻣㻛㻝 㻣㻛㻞 㻣㻛㻟 㻣㻛㻠 㻣㻛㻡 㻣㻛㻢 㻣㻛㻣 㻣㻛㻤 㻣㻛㻥 㻣㻛㻝㻜 㻣㻛㻞㻞 㻣㻛㻞㻟 㻣㻛㻞㻠 㻣㻛㻞㻡 㻣㻛㻞㻢 㻣㻛㻞㻣 㻣㻛㻞㻤 㻣㻛㻞㻥 㻣㻛㻟㻜 㻣㻛㻟㻝 ⛣ື䛩䜛 䕿 䕿 䕿 䕿 䕿 䕿 䕿 䕧 䕿 䕿 㻙 㻙 㻙 㻙 㻙 㻙 㻙 㻙 䕿 䕿 㻙 䕿 䕿 㻙 䕿 䕿 䕿 䕿 䝖䜲䝺䛻⾜䛟 䕿 䕿 䕿 䕿 䕿 䕿 䕿 䕿 䕿 䕧 㻙 㻙 㻙 㻙 㻙 㻙 㻙 㻙 䕿 䕿 㻙 㽢 䕧 㻙 䕿 䕿 䕿 䕧 ᭹䜢⬺䛠 䕿 䕿 䕿 䕿 䕿 䕿 䕿 䕿 䕿 䕿 㻙 㻙 㻙 㻙 㻙 㻙 㻙 㻙 䕿 䕿 㻙 䕿 䕿 㻙 䕿 䕿 䕿 䕿 ᭹䜢Ὑ℆ᶵ䛻ධ䜜䜛 䕿 䕿 㽢 䕿 䕿 䕿 䕿 䕿 䕿 䕿 䕿 䕿 䕿 䕿 䕿 䕿 䕿 䕿 䕿 䕿 㻙 䕧 䕿 㻙 䕿 䕿 䕿 䕿 Ὑ℆ᶵ䛻Ὑ๣䜢ධ䜜䜛 䕧 䕧 㽢 㽢 㽢 䕿 䕿 䕿 䕿 䕿 䕿 䕿 䕿 䕿 䕿 䕿 䕿 䕿 䕿 䕿 㻙 䕿 䕿 㻙 䕿 䕿 䕿 䕿 㻿㻟 యㄪ୙Ⰻ 㻢㻛㻞㻝 㻢㻛㻞㻞 㻢㻛㻞㻟 㻢㻛㻞㻠 㻢㻛㻞㻡 㻢㻛㻞㻢 㻢㻛㻞㻣 㻢㻛㻞㻤 㻢㻛㻞㻥 㻢㻛㻟㻜 㻣㻛㻣 㻣㻛㻤 㻣㻛㻥 㻣㻛㻝㻜 㻣㻛㻢 㻣㻛㻞㻜 㻣㻛㻞㻝 㻣㻛㻞㻞 㻣㻛㻞㻟 㻣㻛㻞㻠 㻣㻛㻞㻡 㻣㻛㻞㻢 㻣㻛㻞㻣 㻣㻛㻞㻤 㻣㻛㻞㻥 㻣㻛㻟㻜 㻣㻛㻟㻝 Ὑ℆ᶵ䛻ධ䜜䜛 䕧 㻙 䕧 㻙 㻙 㻙 㻙 䕿 䖂 㻙 䖂 㻙 䖂 䖂 㻙 䖂 㻙 䖂 㻙 㻙 䖂 䖂 㻙 䖂 䖂 㻙 䖂 㟁※䜢ධ䜜䜛 䕧 㻙 䕧 㻙 㻙 㻙 㻙 䖂 䖂 㻙 䕧 㻙 䖂 䖂 㻙 䕧 㻙 䕧 㻙 㻙 䕧 䕧 㻙 䕿 䖂 㻙 䕿 ෆ⵹䜢㛢䜑䜛 䕧 㻙 䕧 㻙 㻙 㻙 㻙 䕧 䕧 㻙 䕧 㻙 䕧 䕧 㻙 䖂 㻙 䖂 㻙 㻙 䖂 䖂 㻙 䖂 䖂 㻙 䖂 㐠㌿䛾䝪䝍䞁䜢ᢲ䛩 䕧 㻙 䕧 㻙 㻙 㻙 㻙 䕧 䕧 㻙 䕧 㻙 䕧 䕧 㻙 䕿 㻙 䕧 㻙 㻙 䖂 䖂 㻙 䖂 䖂 㻙 䖂 Ὑ๣䜢ධ䜜䜛 䕧 㻙 䕧 㻙 㻙 㻙 㻙 䕧 䖂 㻙 䖂 㻙 䖂 䖂 㻙 䖂 㻙 䖂 㻙 㻙 䖂 䖂 㻙 䖂 䖂 㻙 䖂 Ὑ๣ධ䜜䛾䜅䛯䜢䛩䜛 䕧 㻙 䕧 㻙 㻙 㻙 㻙 䕿 䕧 㻙 䕧 㻙 䖂 䖂 㻙 䕿 㻙 䕿 㻙 㻙 䕿 䕿 㻙 䕿 䖂 㻙 䖂 እ⵹䜢㛢䜑䜛 䕧 㻙 䕧 㻙 㻙 㻙 㻙 䕿 䕿 㻙 䕧 㻙 䖂 䖂 㻙 䕿 㻙 䖂 㻙 㻙 䖂 䖂 㻙 䖂 䖂 㻙 䖂 䡚 㻿㻟 0 1 2 㐩 ᡂ ᗘ ᪥௜ 䕿 䕧 㽢 S4

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Table 6 親のコメントの分類に関する結果 他者からのフィードバック 自身のコメント 課 題 セッション 参加者 助言 称賛 モデリング 自己記録 ― ― ― ○ パソコン 2 A 児母 ― ― ― ― 宿題 3(欠席) ― ○ ― ○ 宿題 4 ― ○ ― ○ 登校 5 ― ○ ― ○ 登校 6 ○ ― ○ ○ 登校 7 ― ○ ○ ― トイレ 8 ○ ― ― ○ トイレ 9 他者からのフィードバック 自身のコメント 課題 セッション 参加者 助言 称賛 モデリング 自己記録 ○ ○ ― ― 入浴前 2 B 児母 ― ○ ― ― 入浴前 3 ○ ― ― ○ 入浴前 4 ○ ○ ○ ― 体を拭く 5 ― ○ ― ○ 帰宅後 6 ― ― ― ― 帰宅後 7 ― ○ ― ― 切り替え 8 ○ ○ ○ ○ 切り替え 9 他者からのフィードバック 自身のコメント 課題 セッション 参加者 助言 称賛 モデリング 自己記録 ― ○ ― ○ 登校 2 C 児母 ― ○ ― ○ 洗濯 3 ○ ○ ― ― 着替え 4 ― ○ ― ― 洗濯 5 ― ○ ― ○ 洗濯 6 ― ○ ― ○ 帰宅後 7 ― ○ ― ― こまった行動 8 ― ○ ― ― 食事 9 他者からのフィードバック 自身のコメント 課題 セッション 参加者 助言 称賛 モデリング 自己記録 ― ― ― ― 勉強 2 D 児父 ― ― ― ― 勉強 3 ― ○ ― ― お手伝い 4 ― ○ ― ― 勉強 5 ― ○ ― ○ ゲーム 6 ○ ○ ― ○ ゲーム 7 ― ○ ― ― 料理 8 ○ ○ ― ― 勉強 9 他者からのフィードバック 自身のコメント 課題 セッション 参加者 助言 称賛 モデリング 自己記録 ― ― ― ― 勉強 2 D 児母 ― ― ― ― 勉強 3 ― ― ― ― お手伝い 4 ― ― ― ― 勉強 5 ― ― ― ― ゲーム 6 ― ― ― ― ゲーム 7 ― ― ― ― 料理 8 ― ― ― ― 勉強 9

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Table 7 相互ビデオフィードバック時の親のコメント(セッション 2∼4) 他者の映像を見た後のコメント 自身の映像を見た後のコメント セッション (月) 発言者 コメントの内容 発言者 コメントの内容 ・コメントするのが難しい D(F) 〔食事・体を洗う〕 B 2 (6月) ・スモールステップでできていると思う C(M) ・課題の説明 ・自身の家庭でのやり方について説明 ・結果の報告 ・自身の家庭でのやり方について説明 A ・自身の子どもの様子を説明 B 〔時間になったらパソコンをやめる〕 A ・上手くいった理由を知りたい D(M) ・課題の説明 ・親が子どもに無理させないようにしたことが よかった? ・課題設定の経緯 ・時間ではなく,「区切り」が大事であることに 気付いた ・課題を行うタイミングが子ども・親の両方に とってよかった C(M) ・課題を行うタイミングが難しそうだが,うま くいった秘訣は? C(M) 〔漢字のドリル〕 ・課題の説明 ・気分が乗らないとやらない D(M) ・自身の家庭でのやり方について説明 A ・その課題(漢字)を子どもが好んでいるのか? B ・登校班は自分の子どもも難しい A 〔登校〕 C ・交通ルールをどのように理解させればいいの かわからない ・課題の説明 ・自身のフェイドアウトが課題だと思う ・難しかったので他の課題にすればよかった ・今後課題を継続することが難しい ・スモールステップでできるようになるのか? ・少しずつやっていけばできるかもしれない D(M) ・取り組みに対する強化 B ・母が他の子のモデルになっているのがいい ・子どもがとてもよく頑張っている B 〔洗濯機〕 C(M) 3 (7月) ・ビデオがよく撮れている D(M) ・意外に声かけをしすぎている ・自分は上手く撮れなかった ・声かけを少し抑えようと思う ・学校の先生の理解について共感 C(M) 〔宿題〕 D(M) ・課題の説明 ・ビデオ撮影が難しかった ・算数はできるが漢字が苦手 ・このときは友達と一緒だったからよくできている ・学校の先生の理解を得ることが難しい ・すばらしい D(M) 〔お風呂に入る前の行動連鎖(切り替え)〕 B ・子どもが目的的に動けているのがよい C(F) ・課題の説明 ・ごほうびがよかった A 〔お風呂に入る前の行動連鎖(切り替え)〕 B 4 (8月) ・ごほうびはどのようなお菓子? D(F) ・スケジュールは1日でやめてしまった ・トイレの電気は消す?自分の子どもは消さない ・ことばで遊んでしまう ・ごほうびの効果が大きかった ・すごい D(M) 〔勉強〕 A ・きょうだいに気を配りながら行っているのもいい ・ビデオ撮影が難しかった ・スムーズ ・父が飲み物をごほうびで用意した ・すばらしい C(M) ・チョコは数を減らしていきたい ・ごほうび1個で満足した?管理は? ・がんばったぞー!の声かけが本人うれしそう ・予告,見通しを持つことが大切 ・お金の計算は将来につながるのでいいと思う B 〔チェック表〕 D(F) ・お手伝いは何をしている? ・チェック表にごほうびがふくまれている(説明) ・定着していることがすごい C(M) ・お金の計算がなぜできないのかわからない ・お手伝いとお金のつながりがいい ・子どもがビデオを嫌がる ・継続的に両親が協力して行っていることがいい ・祖父のほうへ行きたがる ・自身の家庭では鏡を使ってやっている B 〔衣服の着脱〕 C(M) ・前後が逆にならないようにという母の配慮がいい A ・表裏,前後に気をつけて行っている ・今の本人の段階と支援の内容が合っていると思う

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Table 8 相互ビデオフィードバック時の親のコメント(セッション 5∼7) 他者の映像を見た後のコメント 自身の映像を見た後のコメント セッション (月) 発言者 コメントの内容 発言者 コメントの内容 ・ほめ上手 B 〔洗濯機・洗濯物干す〕 C(M) 5 (9月) ・特にない ・あらためてみると恥ずかしい ・いつもあれくらいほめている ・着替えのセッティングがいい D(F) 〔お風呂に入る前の行動連鎖(切り替え)〕 B ・自身の子どもの様子を説明 ・課題の説明 ・箸について質問(使い方) ・子どものスキルで難しいところについて説明 ・車をよく見ている C(M) 〔登校〕 A ・危険なことはこれから教えていけそう ・課題の説明 ・ビデオ撮影に関する助言(前から撮ったほうがいい) ・課題が妥当か迷っている ・親も楽しんで課題に取り組む ・結果の報告 ・どういうやり方がいいのかわからないので意見が ほしい ・ビデオの親子の様子と報告を聞いていいところを コメント A 〔勉強〕 ・課題の説明 D(M) ・走る理由はおもしろいからでは? D(F) 〔登校〕 A 6 (10月) ・ポイントを絞ってはどうか? C(M) ・ビデオで撮られているとちゃんとやる ・指示はわかっていてもできない ・すぐ走るのは早く学校に行きたいから? ・「だめ」ばっかりで自分が全然ほめていない ・前回と比べて上手になっている B 〔洗濯物干す・たたむ〕 C(M) ・本人も達成感がありそう ・プロンプトのフェイドアウトを意識している ・最後から教えるようにしている ・いずれ他のものでもやってみたい ・いい意味で「課題」に見えない A 〔かるた〕 D(F) ・課題の説明・楽しそう ・予告することが効果的 ・父が負け役になる ・ごほうびがいい C(M) 〔帰宅後の行動連鎖〕 B ・本人のおしゃべりに対する母の対応がいい ・声かけだけでは難しい ・スケジュールを使うことにした ・その結果スムーズ ・ごほうびの効果 ・ぼうしやかばんを置く位置を視覚的に示したのが いい ・ごほうびをもとに課題を考えた ・明るく楽しく,がいい A 〔下校・手を洗う・おやつ〕 C(M) 7 (11月) ・手洗いからおやつの流れを参考にしたい ・手洗いのプロンプトフェイディングができていない ・ビデオ撮影で難しかった ・登下校時は周りの子どものモデルになるようにし ている ・教材が本人の好みを反映していてとてもよかった B 〔登校〕 A ・登校もゲームのように楽しめる ・車が通ったときにはねるのは本人にとって遊び ・本人の楽しみは大目に見ようと思う ・B 児の課題をみてトークンを取り入れようと思った ・自身の家庭の様子を報告(トークンについて) D(F) 〔帰宅後の行動連鎖〕 B ・自分の子どもはトークンの理解をしていないかも ・全体的にぐずる ・洗濯機に洗濯物を入れることがごほうび ・ぼうし・かばんのプロンプトはいらないと言われた ・それぞれのカードに具体例があるといいかも C(M) 〔SST ゲーム〕 D(F) ・特別支援学級の先生は取り組んでいるのか? ・本人が集中していない(テレビがついているから) ・本人があまりゲームを楽しんでいないかも ・姉も本人に合わせないといけないのがつらい? ・全体的には楽しそうだが

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明で終わることが多かったが、S4 以降、自身の対応の 効果(「ごほうびの効果が大きかった(S4)」)に関す る発言がみられるようになった。また、他者の映像を 見て、「自分もやってみたい(S9)」といった発言もみ られた。  C 児の母親は、自身の映像を見て、「声かけをしす ぎている(S3)」「援助のフェイドアウトを意識してい る(S6)」等、特にプロンプトの出し方について発言 することが多かった。  D 児の父親は他者の映像を見て、助言する様子が多 Table 9 相互ビデオフィードバック時の親のコメントの結果(セッション 8・9)) 他者の映像を見た後のコメント 自身の映像を見た後のコメント セッション (月) 発言者 コメントの内容 発言者 コメントの内容 ・お片付けはいつからスムーズにできるように なった? D(M) 〔友達とさよならする・お片付け〕 ・課題の説明 ・難しいと思ったが意外にできた B 8 (12月) ・本人にできたと思わせるような母の声かけがいい C(M) ・最後の「ポーズ」がよかった ・ことばで整理しながら説明できている C(M) 〔ホットケーキ作り〕 D(M) ・ビデオがいい影響 ・楽しみながらできた ・卵を割るのが上手 ・細かい作業が課題 ・「楽しんで」やることが今の自分の目標 ・手際がいい B ・楽しんでやることが一番 ・お母さんの声かけによく反応している B 〔ソファーの上にのる(こまった行動)〕 C(M) ・食事に関して,自身の子どもの話 ・自分はあまり問題行動とはとらえていない ・食事に関して,自身の子どのの話 C(M) ・注意すればそれなりに改善する ・しかし,子どもの状態像が異なることで難しさが ・先生にそれではだめだと言われたので記録をとる ・食事の時間が決まっていないので離席する? ・他の場面で使っている「トークン」を使って みてはどうか D(F) 〔トイレ〕 ・課題の説明 ・撮りたい場面を撮影できなかった ・ビデオ撮影のため母が付き添う ・そのため安心できる,上手くいくと思う ・どうすればいいか考えることが課題 A ・声かけを減らしていくといいと思う C(M) ・ゲーム的要素がないことのメリットとデメリット A 〔勉強〕 D(M) 9 (1月) ・メリットは淡々と進められる ・課題の説明 ・姿勢が悪い ・すぐ泣く ・休憩はとるようにしている,お茶しながらお しゃべりで楽しいと思う ・デメリットは本人がつらい ・大人,本人にとって無理なくできる課題がい いのでは? ・自分は本人が甘えてしまうからそばにいない ほうがいいと言われた ・テーブルにテープを貼るという工夫がよかった B 〔食事〕 C(M) ・終わりの理解も促せたと思う ・課題の説明 ・声かけもよかった ・親にとってもわかりやすいのでよかった ・自分もやってみたい ・定着してきた ・母にとってのスケジュール C(M) 〔帰宅後の片付け〕 B ・イレギュラーなことでも対応できる ・自分でできるようになってきた,定着してきた ・カウントダウンの歌がよかった ・チャイムを怖がる,就学後が心配 ・チャイムは支障がなければ気にしなくてもいい A ・流さないといけない理由を教えてはどうか? D(F) 〔トイレ〕 A ・こわいのはまた別かもしれないが ・母が付いていれば大丈夫になった ・以前トイレを詰まらせた経験が原因かも ・ビデオを見返すと本人が母を見ていることに 気づいた ・本人が無理しないように対応することにした

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くみられた(「他の場面で使っているトークンを使っ てみてはどうか(S8)」)。D 児の母親は自身の映像を 見て、プログラムの前半では課題ができないことを子 どもの要因としていたが(「気分が乗らないとやらな い(S2)」)、後半になると自身の対応と子どもの行動に ついて述べるようになった(「休憩をとるようにしてい る、お茶しながらおしゃべりで楽しいと思う(S9)」)。 5. 社会的妥当性の評価に関する結果  社会的妥当性アンケートの結果を Table 4 に示した。 プログラム全体に関するアンケートの結果は、平均 4 点以上でおおむね高い得点だったが、ビデオや筆記記 録、課題に関する項目では得点が平均 2 点台と低かっ た。しかし、実際は「どちらともいえない(3 点)」を 選択した人が多く、中には「まったく負担でなかった (5 点)」という人もいた。ビデオに関するアンケート では、ほとんどの参加者が「ビデオを通して自身を振 り返ることができる」と答えていた。また、「他の家族 の様子を知ることができて参考になる」と答えた人が 3 名いた。一方で、「毎回はビデオを見なくてもいいと 思った」、「見られたくない人がいた」等、全体でビデ オを視聴することに対するネガティブな意見もみら れた。 Ⅳ. 考 察  本研究で行われた親同士の相互 VF を用いたプログ ラムにおいて、すべての参加者において親の知識の増 加、親子の行動変容がみられ、また、一部の参加者に おいて不安の低減がみられたことから、一定の効果が 示されたと考えられた。しかし、講義や個別面接を並 行して行っていたことから、相互 VF の効果を示すに は、本研究の研究デザインやデータでは不十分であっ たといえる。したがって、親子の行動変容と課題報告 時の親の発言やアンケートの結果をもとに、相互 VF が親の行動変容に与えた影響、さらに親の行動変容が 子どもの行動変容に与えた影響について考察する。  A 児の母親は、相互 VF 導入開始時に欠席したため、 S3 でみられた母親の行動の改善は、純粋に相互 VF の 効果とはいえない。A 児の母親のみ前年度に介入を受 けていたことから、介入履歴による効果も考えられ る。Sanders and Glynn(1981)は、自己記録や自己管 理スキルをトレーニングする際には親の基礎的な養育 スキルが必要であると述べている。しかし、S5 におい て、進行中の課題の映像を視聴した後、母親の適切行 動の生起がみられるようになったことから、相互 VF の効果があったと考えられる。  また、A 児の母親は、自己記録に関する発言(本人 にとってのごほうびに気づいた、「だめ」ばっかりに なっている)や、他の参加者の映像を視聴後に同じ手 続きを取り入れてみたいといった発言から、相互 VF がモデリングとしても機能していたと考えられた。 「自己記録」や「モデリング」の観点から、相互 VF が 親の行動変容に影響を与えたと考えられる。さらに、 母親の行動変容がみられた後に、A 児の行動も改善さ れたことから、親の行動変容が子どもの行動変容に影 響を与えたことが示唆される。  B 児の母親は、相互 VF で、自身の行動が子どもの 行動に影響を与えていることを実感するような自己記 録的な発言がみられるようになった。また、他者の映 像を見て、自分もやってみたいといったモデリング や、複数の範例による訓練の影響を示す発言がみられ た。しかし、親の行動変容については、相互 VF の直 後に強化に関する項目において適切行動の生起がみら れた一方で、B 児の行動変容はベースラインの時期か ら目標行動が生起していることが多く、相互 VF 導入 時の前後で大きな差はみられなかった。親が子どもに 対する支援行動を生起・維持させていくためには、親 子が取り組みやすい課題から始めることが重要である (三田地・岡村, 2009)。B 児の目標行動がベースライ ン期から生起していたことは、目標設定の妥当性を示 しているといえる。  C 児の母親は、はじめから KBPAC の得点が高く、 適切行動もみられていた。しかし新版 STAI の結果は ポスト 2 で、状態不安が高くなっていた。相互 VF 時 の親の発言は自己記録に関する発言が多かったが、他 者の映像を見てモデリングするような発言はみられな かったことより、他者がモデルとして機能しなかった と考えられる。子どもの行動変容については、相互 VF 後、少しずつ改善がみられた。しかし、母親の一 番のニーズは、カードを用いたコミュニケーションの 課題や排泄の自立に関する課題等、講義内容をそのま ま適用できるようなものではなく、より専門的で具体 的な助言を必要とするものだった。そのため、課題報 告の中で、「目標を決めるのが難しい」「ビデオに何を 撮ればいいかがわからない」といった発言がみられ た。本研究では、個別相談の時間の中で課題設定につ いてフォローを行うようにしていた。  D 児の親も課題設定において難しさがあり、相互 VF が直接親の行動変容に影響を与えたというよりも、 他者の課題の映像を視聴することで子どもに合った課 題を設定することができるようになったという点にお

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いて、十分な刺激の範例を使用した訓練のような意味 合いが大きかったと考えられる。もともと学習面に対 するニーズが高く、目標行動も「宿題」など子どもに とってハードルが高いものだったが、他者の課題の様 子をビデオを通してみる中で、生活面や社会性の課題 を設定するようになり、学習面以外にも目を向けやす くなったと考えられる。また、生活面や社会性の課題 を実施した際に、他の参加者から称賛や助言を受ける ことで、親の行動が強化され、妥当な目標設定の生起 に効果があったと考えられる(社会的強化集団、ソー シャルサポート)。最後の 2 回は再び課題を「宿題」に 戻したが、これは母親が D 児の学校での様子(勉強に ついていけない)に対して不安があったためであり、 新版 STAI の得点にも表れていた。  一方、新版 STAI や社会的妥当性アンケートの結果 より、集団の中で相互 VF を行う上でのデメリットも 明らかになった。本研究では、プログラム開始前にプ ログラムの内容や倫理面への配慮等について説明し、 同意を得た上で行った。それにもかかわらずネガティ ブな意見が寄せられた要因と、考えられる対応につい て、以下に考察する。  第一に、モデリングに関する発言が一回も生起しな かった参加者がいたことである。モデリングや十分な 刺激の範例を使用した訓練の観点は、集団で行うこと のメリットと考えられる。A 児と B 児は親に求められ る行動が類似しており(例えばトークンの使用)、互い の映像を見合うことで、モデリングや十分な刺激の範 例を使用した訓練の効果があったと考えられる。一方 で、C 児や D 児のように親に求められる行動がグルー プ内の参加者同士で共有できないことは、精神的な負 担になっていた可能性が考えられる。したがって、子 どもの状態や親の心理状態に加え、親の目標行動を考 慮 し た グ ル ー プ 編 成 を す る こ と で、親 同 士 の 相 互 フィードバックの効果がより高まると考えられる。  第二には、さらに十分なインフォームドコンセント を行う必要があると考えられる。今回のインフォーム ドコンセントでは、プログラムの内容に関する説明、 個人情報の保護、いつでもプログラムをやめることが できること等を含んでいたが、途中で集団の介入を受 けたくなくなっても、個別の介入を希望する場合が考 えられる。したがって、集団のプログラムをやめて も、個別的対応を受けることができることをあらかじ め伝えておくなど、柔軟な支援体制を整備しておく必 要があったと考えられる。  そのほかに、介入後に行ったアンケートの中で、ビ デオのコストに関する項目の得点が低く、自由記述の 中でも「ビデオ撮影の頻度」や「セッション中にビデ オを見る頻度」「郵送のコスト」に関する指摘がみら れた。これらをふまえ、「ビデオ撮影のコストの低減」 については、場面を限定する、「ビデオ撮影・ビデオ 視聴の頻度」については、プレとポストで評価する等 回数を減らす、「郵送のコスト」については、当日持参 してきてもらい、その場でデータを受け取る(その際、 映像の編集作業ができないため、あらかじめ親にどの 場面を視聴するか決めてきてもらう)等といった対応 が考えられる。  また、A 児の母親のトレーニング履歴が関係してい た可能性や相互ビデオフィードバックのデメリットを 踏まえると、今回のようにトレーニングを中心とした プログラムの中で用いるよりも、トレーニング後の フォローアップの文脈で用いたほうが、親同士の面識 があり、より自発的、積極的な相互フィードバックが 期待できるかもしれない。また、一度トレーニングを 受けた後に、その後の介入を希望するかどうかを親に 決めてもらい、同意を得た上でプログラムを行うこと で、今回みられたような倫理的な問題が起こる可能性 は低くなると考えられる。したがって、今後はトレー ニングを行った後のフォローアップ文脈に相互 VF を 適用し、その効果を検討することが課題として挙げら れる。 文 献

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Practical Research

Reciprocal Video Feedback and Parent Training for Parents of

Children With Developmental Disabilities

Akane U

ENO

, Koji T

AKAHAMA

and Fumiyuki N

ORO

Graduate School of Comprehensive Human Sciences, University of Tsukuba

(Tsukuba-Shi, 305―8572)

  The purpose of the present study was to evaluate e ects of reciprocal video feedback during group-based parent training with 4 families that each included a child with developmental disabilities. The intervention program was comprised of lectures, exercises, and reports on the children’s behavior at home. At home, the parents did homework in which they chose a target skill of their child and recorded the situation. The parents’ knowledge and anxiety, and changes in the behavior of the parents and the children, were evaluated using Knowledge of Behavioral Principles as Applied to Children (KBPAC) and the State-Trait Anxiety Inventory-JYZ (STAI-JYZ), which is the Japanese adaptation of the STAI (Form Y), as well as observations of the parents’ and children’s behavior. After the intervention, most of the parents’ scores on the KBPAC increased, and their STAI scores decreased. Also, the behavior of most of the parents and children improved. This suggests that the present intervention is valid. In the future, the cost of video recording should be decreased, and the experimental design improved.

Key Words: reciprocal video feedback, parent training, parents of children with developmental disabilities f f

Fig. 1 ビデオ観察による親子の行動変容の結果 ①〜⑨ は Table 3 に対応.親の適切行動については□:生起,■:非生起で示した.㻞㻟㻠㻡㻢㻣㻤㻥ᐟ㢟ᐟ㢟ⓏᰯⓏᰯⓏᰯ䝖䜲 䝺䛾Ỉ䜢 ὶ䛩䝖䜲 䝺䛾Ỉ䜢 ὶ䛩䝖䜲 䝺䛾Ỉ䜢 ὶ䛩䐟䐠䐡䐢䐣䐤䐥䐦䐧䕿䕧䕧䕿㽢㽢䕿㽢Ꮚ㻞㻟㻙㻝㻟㻙㻞㻠㻡㻙㻝㻡㻙㻞㻢㻙㻝㻢㻙㻞㻣㻙㻝㻣㻙㻞 㻤 㻥䛚㢼࿅๓䛾⾜ື㐃㙐య䜢 ᣔ䛟䛚䜒䛱 䜓䛾∦௜䛡 ḟ䛾᪥䛾‽ഛ䐟䐠䐡䐢䐣䐤䐥䐦䐧䕿䕿䕿䕧䕿䕿䕧䕧䕿䕿䕧㽢Ꮚ㻞㻟㻠㻡㻢㻣㻤㻥Ὑ℆䛩䜛Ὑ℆≀䜢ᖸ䛩Ὑ℆≀䜢ᖸ䛩Ὑ℆≀䜢ᖸ䛩ᡭ䜢 Ὑ䛖╔᭰䛘
Fig. 2 親の記録に基づく子どもの行動変容の結果の一部 すべての親が ◎〜×の 3 もしくは 4 段階で子どもの目標行動の達成度を評価した.A 児は宿題への取り組み,B 児は 入浴前の行動連鎖,C 児は洗濯,D 児はお手伝いチェック表の結果である.01230 7/5 7/7 7/97/267/287/308/30 9/1 9/3 10/410/610/8㐩㐩ᡂᗘ ᪥௜S4S5S3䖂䕿䕧㽢㻢㻛㻞㻝 㻢㻛㻞㻞 㻢㻛㻞㻟 㻢㻛㻞㻠 㻢㻛㻞㻡 㻢㻛㻞㻢 㻢㻛㻞㻣 㻢㻛㻞㻤 㻢㻛㻞㻥 㻢㻛㻟㻜 㻣㻛㻝 㻣㻛㻞 㻣
Table 6  親のコメントの分類に関する結果 他者からのフィードバック自身のコメント 課 題セッション参加者 自己記録 モデリング 称賛 助言 ―――○パソコン2 A 児母 ――――3(欠席)宿題―○―○宿題4―○―○登校5 ―○―○登校6 ○―○○登校7 ―○○―トイレ8 ○――○トイレ9 他者からのフィードバック自身のコメント 課題セッション参加者 自己記録 モデリング 称賛 助言 ○○――入浴前2 B 児母 ―○――3入浴前○――○入浴前4○○○―体を拭く5 ―○―○帰宅後6 ――――帰宅後7 ―
Table 7   相互ビデオフィードバック時の親のコメント(セッション 2〜4) 他者の映像を見た後のコメント自身の映像を見た後のコメント セッション (月) 発言者 コメントの内容 発言者 コメントの内容 ・コメントするのが難しいD(F)〔食事・体を洗う〕B 2 (6月) ・スモールステップでできていると思うC(M)・課題の説明・自身の家庭でのやり方について説明・結果の報告・自身の家庭でのやり方について説明A・自身の子どもの様子を説明〔時間になったらパソコンをやめる〕BA・上手くいった理由を知りたいD(
+2

参照

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