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「高泌乳牛に対する良質自給組飼料の利用による飼料自給率の改善」

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Academic year: 2021

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北草研報

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)

北海道草地研究会シンポジウム「新酪農大綱に向けた飼料自給率の向上について」

高泌乳牛に対する良質自給粗飼料の利用による飼料自給率の改善

大 下 友 子

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High Producing Cow

Tomoko

OSHITA

1.はじめに 乳牛の個体乳量が増加する一方、生涯生産性の短縮や 飼料自給率の低迷あるいは家畜排池物処理など、北海道 酪農を取り巻く環境は一段と厳しさを増しているO 北海 道では、飼料自給率を現行の

55%

から

70%

に向上させる ことを目標としており、そのためには、良質多収な自給 飼料の低コスト生産が必要不可欠とされているO 本稿で は、当研究室がホクレンと共同で行った試験結果を紹介 し、高泌乳牛飼養における良質自給組飼料生産の意義を 泌乳最盛期の乳生産、養分自給率および乳生産コストの 観点から検証する。

2

.

高泌乳牛にとっての良質自給粗飼料とは?? 最近の乳牛の特徴は、分娩直後から大量の乳を生産す ることにあるO このため、分娩直後から泌乳最盛期にか けて、乳量に見合った飼料が摂取できず、エネルギーバ ランスが負となり、様々な障害が発生しやすくなる。特 に、高泌乳牛で、この傾向が強い。つまり、分娩直後か ら泌乳最盛期にかけての飼料摂取量をいかに高めるかが、 乳生産を決定する鍵と言えるO 言い換えれば、高泌乳牛 に対する良質粗飼料とは、栄養価が高く、乾物摂取量が 高いことが、最も重要であると言えるO 3.自給粗飼料の品質と乳生産 北海道における自給粗飼料の栄養価は、ここ

1

0

年ほと んど変わっておらず、牧草サイレージ(イネ科主体草地) の

TDN

(可消化養分総量)含量(飼料中のエネルギー の目安)が

5

5

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-

6

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%

の範囲にあり、

CP

(粗タンパク質) 含量も

10%

前後である。そこで、収量を落とさずに、自 給粗飼料の品質を高める方法として、①マメ科混播牧草 サイレージの利用(試験1)、②トウモロコシサイレー ジの利用(試験n) を取り上げ、一乳期産乳量が約 1万 キロの泌乳牛の泌乳最盛期における乳生産に及ぼす影響 を検討した。表

1

には、泌乳試験に使った自給粗飼料の 収量、栄養価を、表2には泌乳牛の採食量および乳生産 量を示した。なお、いずれの試験区も、粗飼料を飽食さ せ、組飼料の成分によって、給与する濃厚飼料の成分含 量を調節し、乳量に応じて給与した。 チモシー・アカクローパ混播草地の収量は、チモシー 単播草地の約1.

3

倍であったが、これは、マメ科牧草の 混播による雑草の侵入が抑制と、根粒菌による効果のた めと考えられるO 一方、トウモロコシの収量は、混播牧 草の約1.8倍の収量であった。 チモシー・アカクローパ混播(マメ科率

30%)

サイレー ジは、同じ出穂期刈りのチモシー単播サイレージに比べ、 可消化養分総量

(TDN)

と組タンパク質

(

C

P

)

含量が 約

5%

高く、泌乳牛の採食量が

2

.

6

k

g

高かった。また、 乳量が混播区が単播区よりも高かった。一方、黄熟期刈 りのトウモロコシサイレージは、混播牧草サイレージに 比べ、

CP

含量は低いものの、

TDN

含量が約

3%

高く、 混播サイレージと併給、あるいはトウモロコシサイレー ジの多給のいずれの場合でも、粗飼料を約

1

4

k

g

摂取した。 乳生産では、乳量、乳成分とも同様な値だった。以上の 結果は、混播牧草やトウモロコシサイレージを利用する と、日乳量

4

0

k

g

程度の牛を粗濃比が

5:

5

でも十分、飼 養できることと示している。

4

.

養分自給率の比較 図

1

2

に、各試験における組飼料からの養分自給率 を示した。単播サイレージ利用では、

TDN

の約

3

割、

CP

の約

2

割しか自給できないのに対して、混播サイレー ジを利用すると、

TDN

CP

とも約

4

割を自給できた。 北海道農業試験場

(

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6

2

-

8

5

5

5

札幌市豊平区羊ケ丘

1

番地)

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(2)

-12-北海道草地研究会報34.(2000) 表1.供試粗飼料 1)の成分組成および栄養価

試験

l

試験

H

単播別レー

γ

混播別レ

-

γ

. 牧草ザイレー

γ

チモシー乾草

乾物収量(t

/

h

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)

6

.

:

1

7

.

8

1

4

.

2

7

.

8

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3

成分組成

2)

水分

C P

N D F

C

a.

p

発酵品質

7

2

.

.

9

8

.

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.

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.

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消化率・栄養価

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1.

1

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.

2

1)単播=チモシー,混播=チモシ-, 7

-/f(

マメ科率

3

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%

)

,牧草=チモシー .

7

.

(マメ科率

2

0

)

2

)

水分以外は乾物中%

3

)発酵品質の指標(良,;

8

0

点孟)

2

.

泌乳牛への給与飼料の摂取量と乳生産

試験│

試験

H

単 播 区 混 播 区 併 給 区 多 給 区

乾物摂取量

(

k

g

/

日)

単播ザイレーシ・

9

.

0

混揺引い

γ

1

1.

6

γ

5

.

0

1

3

.

1

牧草引い

γ

9

.

3

チモシー乾草

0

.

9

濃厚飼料

1

3

.

8

1

1

.

6

1

1

.

9

1

1

.

6

組濃比

4

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:

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5

0

:

5

0

5

4

:

4

6

5

5

:

4

5

乳生産

乳脂率(児)

3

.

6

9

3

.

9

1

3

.

D

1

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.

0

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乳タンパク率(児) 3

;

0

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1

7

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4%FCM

乳量

(

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日)3

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1

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泌乳最盛期の高泌乳牛(体重;

6

2

6

k

g

,平均乳量;

9

6

0

U

k

g

)

2

4

(

6

X 4区)に 9週間給与

2

)

試験区の粗飼料は以下の通りとし、粗飼料の成分によっ

て、濃厚飼料の成分含量を調節し、乳量に応じて給与。

①単播:チモシー単播ザイレー

γ

飽食

②混播:混播サイレージ飽食

③併給:トウ印コシサイレーシ・ 5

k

g

,+牧草ザイレーシ.飽食

④多給:乾草 1

k

g

+

3

γ

飽食

また、 CaやPの自給率も混播サイレージ利用によって 改善された。一方、トウモロコシサイレージを利用する とCP自給率は低いものの、 TDNの約 5割を自給でき fこo 本試験に用いたイネ科単播サイレージの品質は、現在、 北海道で利用されている最も一般的な組飼料の品質と言 えるO このような粗飼料では、乾物摂取量が最大となる 泌乳最盛期の乳牛の養分要求量が満たすためには、濃厚

(3)

-13-北海道草地研究会報34(2000) 80 r% 72.3 75 60 40 20

80 % 60 40 20 0

TDN*

図1. 54.7 回単播区口混播区

CP * NDF

Ca * p*

*区間に有意差あり(pく0.01) 牧草サイレージを摂取した泌乳牛の 粗飼料からの養分摂取割合 73.9 73 回併給区 ロ多給区

TDN

CP* NDF

Ca*

p*

*区間に有意差あり (pく0.01) 図2. トウモロコシサイレージを粗飼料源とした 泌乳牛の粗飼料からの養分摂取割合 飼料を多給せざるを得ないことを、本試験結果は示して いるO このように、高泌乳牛において、泌乳最盛期の組 飼料の栄養価を、 TDNで約 5 %引き上げることが、牛 体の健康を守る意味から、あるいは、飼料自給率を高め る意味からも不可欠であることが明らかとなった。 5.圃場面積あたりの乳生産 草地面積が比較的豊富な北海道においても、多頭化が 進み、

1

頭あたりの自給粗飼料面積が徐々に減少してい るO このような状況下、たとえ、組飼料の品質が良くなっ たとしても、収量が減少しては、圃場面積あたりの乳生 産にはつながらなし、。そこで、本試験結果を基に、圃場 面積あたりの飼養頭数と乳生産量を試算したものを、図 3に示した。単播サイレージ、混播サイレージおよびト ウモロコシサイレージと混播サイレージとの併給では、 圃場面積当たりに飼養できる頭数が同様な値であったの に対して、トウモロコシサイレージの多給利用が他の区 よりも0.5頭ほど多く飼養でき、面積当たりの生産乳量 が高く試算された。また、自給率と乳生産量のデータを 基に、粗飼料由来の乳生産量を図4に示した。単播サイ レージを粗飼料源とすると、ヘクタールあたりの乳生産 量が6.2tであったのに対して、 トウモロコシサイレー 40 ,-..30 咽 .l:

20 ~ 10

r:::::::::::ヨ産乳量(t/ha) -。一飼蔓可能頭数 . . .. . ...

。同一一+同

4---.-仁49 単播 混播 併給 2.5 "2.13 戸 - 12 多給 咽 1.5

1語 臨 0.5

牧草サイレージ トウモロコシサイレージ 図3.圃場面積当たりの飼養可能頭数と産乳量 20 14.9 (.hz咽 15 咽面 岨1 0 5

単播 混播 併 給 多給 牧草サイレージ トウモロコシサイレージ 図4. 粗飼料からの推定産乳量 ジを多給した場合は、 14.9

t

あり、 2.4倍の乳生産が可 能なことが明らかとなった。トウモロコシは、 CPやミ ネラル含量が低く、栄養的に偏った飼料であり、給与上 若干の注意を要するが、トウモロコシサイレージの高度 利用は、現在のイネ科牧草サイレージ主体の飼養方法よ り、エネルギー自給率の改善に効果があり、限られた圃 場面積でより多くの乳牛飼養を可能とする方策と言えるO 一方、混播サイレージの利用は、濃厚飼料が削減できる ことから、乳生産における飼料コストが抑制できると言 える。このような各飼料体系の栄養的あるいは経済的な メリット、デメリットを理解した上で、組飼料源を決定 することが、今後ますます重要になると思われるO

6

.

おわりに 高泌乳化、多頭化の進む中、現行の粗飼料の栄養価の 改善が、牛体の健康維持、乳生産あるいは養分自給率の 上からも必要不可欠であること、その方策としては混播 サイレージやトウモロコシサイレージの利用が、有効で あることを示した。本稿が、自給粗飼料の高品質化、あ るいは、酪農家の皆さんが組飼料を選択する場合のお役 に立てれば幸いである。

参照

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は,コンフォート・レターや銀行持株会社に対する改善計画の提出の求め等のよう