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若者の自立と学問のすゝめ

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Academic year: 2021

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しがだい 3 大学生・高校生を含め、今日の若い世代にとって「キーワード」になっていると思われるのは「自立」。若 い世代を見るとプロ野球のイチロー、女子マラソンの高橋尚子さん、野口みずきさん、そしてフィギュアの 荒川静香さんなど20、30年前の日本人にはとても想像できなかった若者が出てくる一方、職業や生活面での 自立が期待されながら、「ポスト青年期」の姿がはっきり見えないフリーター、ニート、あるいはパラサイ ト・シングルといわれる若者の存在が目立つようになっています。最近の「勝ち組負け組」といった「格差 社会」の風潮は、若者に性急に成果を出すことを迫り、若者に自立の困難さをいっそう感じさせるものになっ ているのではないかと思われます。 自立の困難は、若者だけの責任とはいえません。日本社会全体が本格的な少子化対策と包括的な青年政策 を確立しなければなりません。しかし、自立ということを若者1人1人が自分の問題としてとらえなおすと 何が問題で何が課題なのか。これについて私は、迷わずに福沢諭吉の『学問のすゝめ』を読み、実践するこ とを皆さんに薦めます。 福沢諭吉の『学問のすゝめ』は、まさに人間社会は個人の貧富の差をはじめとしてさまざまな格差に満ち た社会であるが、格差の存在する理由は学問をするかしないかによって生じる賢人と愚人の違いが根本にあ ること、したがって賢人になるために学問をすること、学問といっても日常の生活に役立つ実学(福沢は 「サイエンス」とも言っている)を学ぶことが重要だ、と説いています。福沢諭吉が区別している賢人と愚人 の違いは、今風に「自立できる人」と「自立できない人」の違いとして言い換えてもよいでしょう。 滋賀大学で学ぶ、学びたいと考えている諸君。大学で学ぶことは自分を賢人にし自立した人間となるため に絶好の機会です。私はまた、滋賀大学の教育・経済の両学部は、生きた学問や社会生活で役に立つサイエ ンスが豊かに学べるピッタリの大学であることを確信して皆さんに薦めます。 なお、福沢諭吉は滋賀大学と直接的関係はありませんが、まったく何もないわけではありません。経済学 部の前身は大正11年創立の旧制彦根高商ですが、その建学の精神と、昭和24年新制大学発足時の経済学部の 教育理念は「士魂商才」。実は「士魂商才」は福沢諭吉が提唱した言葉です。また、福沢は日本で最初に経済 学の英書を邦訳出版しています。 琵琶湖をキャンパスとし、士魂商才の精神で充実した学生生活を築きましょう。

若者の自立と

学問のすゝめ

滋賀大学長

成 瀬 龍 夫

参照

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