著者
滝野 隆永
著者別名
Takino Takanaga
雑誌名
経営論集
巻
6
ページ
1-17
発行年
1977-03-30
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00005879/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja消 費 者 保 護 を 目的 と す る社 会 監査 論
滝
野
隆
永
序 §1. 伝 統 的 な マ ― ケ テ ィ ン グ 概 念 の 批 判 と 新 し い 社 会 的 マ ー ケ テ ィン グ 概 念 の 導 入 §W. 消 費 者 監 査 の 特 徴 と 導 入 十 ∧・1 消 費 者 監 査 の 特 徴 .2 消 費 者 監 査 の 導 入 ( 社 会 的 プ ロ ダ ラ ム の 分 析 ) ‥ ‥ ‥ (1)m 費 者 の 苦 情 や 意 見 等 を 聞し て も ら う 権 利 の 保 護 策 ② 消 費 者 の 安 全 保 護 を 目 的 と す る 諸 方 策 (3) 正 し い 情 報 提 供 を 受 け る 権 利 の 保 丿 護 策 ` (4) 品 物 を 自 由 に 選 択 出 来 る 権 利 の 保 護 策 §3. 社 会 的 業 績 の 測 定1 全 般 的 な 社 会 的 業 績 の 測 定 (1) 顧 客 の 満 足 感 の 測 定 (2) 消 費 者 の 期 待 , 意 識 , 満 足 感 に 関 す る 資 料 を 分 析 す る 場 合 の 注 意 事 項 (3) 以 前 に 報 告 さ れ た 問 題 点 と 不 親 点 の 解 決 に 関 す る 効 果 の 測 定2 社 会 的 業 績 の 測 定 に 関 す る 若 干 の 問 題 点 ゛ 消 費 者 の 満 足 感 に 関 す る 調 査 を 中 心 と し た 社 会 的 効 果 の 測 定 方 法 の 欠 点 と 克 服 策-3 ニ個 々 の 社 会 的 プ ロ グ ラ ム の 評 価 1序 4 圧力 団体の期待を 十分に理解す るこ と5 企業 側の立場 からみた消費 者監査に 関 する今後の研究課題 ニ §4 要 約と問題点
我々 は,経 営論集 第2 号(1975年9 月)に おい て ,社 会監 査論 序説 の テ ーマ
の下に社 会 監査 の概 念, 目的 , なら びに 社会的 業 績 の測定に 関 す る問題 点 と
今 後 の研究 課題を 明ら かによ , そ の研究 課題 の 線に 沿 って √社 会 監査論を め
ぐ る企業 の社会的 業 績測定 の問 題を 考察 す るた めに , 経営 論 集第4 号(1976
年3 月)掲 載 の社会 監査論(その2 )
企業 の社会的責任の具体的内容
に おい て,N
.A.A.
の社 会責 任会 計に 関す る委 員会 とc.E.D.
( 米国経済
開発委員会)の 「企業 の社 会的 責 任」 の内 容に関 す るレ ポ ートを 中 心 とし た
理 論的 アプp ≫―チ と, 米 国 のBatteleSeattleResearchCenter
お よびN.Elias
の 「企業 の社 会的 責 任」 に 関す る 雑誌 論文 の 内容分 析に よる一般
的 な関 心 の推 移と米 国企業 の年 次 報告 書め 内容分 析を 通 じて の企業 側 の対 応
の推 移に 立脚 した実 証的 アプ ローチ とを 併 せ考 察し て, 企業 の社 会的責 任 の
具 体的 な内 容は 次の4 項 目に 集約 さ れ るので, かか る4 項 目毎に , そ れ ぞ
れ ,社 会監 査論 の立場 から ,企業 の社 会的 業 績 の測 定 の問題 につい て具体的
に 考察す る必 要 かお るこ とを 示唆 した。1.
地 域社 会 のみな らず ,一般 社 会を対 象 とす る慈 善事業 等 ,企業 の自発
的 な意 思に 基づ き, 積 極的に 社 会 福祉 の増進を め ざす一 般的 な社 会 活動2.
主 とし て地域 社会を 対 象 とす る公 害 ・汚 染の防 止 と稀少 資源 の活 用や
文 化的 ・美学 的 な配慮 に よる環 境の保 護 と改善を めざ す物 的資 源を 中心
に し た社会 活動3.
雇傭, 昇任 ,教 育, 報酬 ,労 働条 件,人 間関 係等 におけ る改善を 通 じ
て の従業 員 能力 と福 祉 の増 進, 少数民 族の保 護 と機会均 等並 びに 安 全 の
確 保を め ぐる人的 資 源を中 心に した 社 会活動4.
消費者に 対 する サ ービ スの改 善,製 品 の安 全性 と品質 の向 上を は かる
外 ,苦 情処理 ,正 しい 情報 の入手 , 品物 の自 由選択 等 の権利 の 保護 と消
消費者保護を目的とする社会監査論3 費 者 の 満 足 度 の 助 長 に よ り, 消 費 者 福 祉 の 向 上 を め ざ す 社 会 活 動 更に , 以 上4 項 目に 集 約 さ れ る 社 会 的 プ ロ グ ラ ム0 棚 卸 と 分 析 , 並 び に 七 万)業 績 の 測 定 基 準 と 具 体 的 な 方 法 に つ い て 考 察 す る た め に , 主 と し で ,A.A.A. の1973 年 , 社 会 コ ス ト 測 定 委 員 会 の 答 申 , 同 じ く,1974 年 の社 会 コ ス ト委 員 会 , 並 び に1975 年 の 社 会 責 任 会 計 委 員 会 の各 答 申 の 内 容 に つ い て ,次 の 如 く順 を 追 っ て 考 察 し た 。 (1)「 社 会 活 動 プ ロ グ ラ ムに 関 す る 内 部 的 情 報 シ ス テ ムを め ぐ る 社 会 的 業 績 の測 定 」 経 営 研 究 所 研 究 報 告 (1976No.1 ) 企業 目 標 の 変 化 に 伴 な い , 社 会 コ ス ト と 便 益 に 関 す る 貨 幣 価 値 に よ る測 定 を 超越 した 新 しい 複 合 的 な 測 定 概 念 に 立 脚 し た 社 会 的 業 績 の イ ン プ ットた る 直 接的 √ 並 び に 間 接 的 な コ ス ト と ア ウ ト プ ッ トた る直 接 的 , 並 び に 間 接 的 な 便 益 の 予 測 とそ の 効 果 測 定 に 関 す る 方 法 論 的 研 究
(2)「企業 の 社会活動 プログラムを めぐる 社会的業績の測定
(1)- 」
経営論集第5 号(1977年春)
1975年A.A.A.
社会業績会計委員会の答申をめぐって
経営 研究(第二部
経営学会刊1977 年春)
」 事 例研 究空気汚染の低減,貧民労働者の地位の向上を めざす教 育訓練 の各社会活動
プログラ ムに関する社会的 コストと社会的な便益の測定 方法のケース・スタ
ディに よる研究とこれに関連した人的資源会計の社会会 計への利用に関する
問題点の考察
(3)「社会コストと便益 の測定に関する事例研究
(2)
」
経営研究(第一部 経営学会刊1977 年春)
雇傭機会の均等化をめざす積極的な社会活動プログラムと工場閉鎖の及ぼ
す社会的な影響力 の測定をめぐる社会的 コストと便益の測定基準ならびにそ
の方法に関するケース・スタディに よる研究
(4) 慈 善事業を 中心 とす る社 会的 業 績 の測定 とそ の将 来 の 研 究 方 向
慈善事業等の自発的な意思に基づ く一般的な社会活動に関する社会的業績
の測定基準 と方法に関する米国14社の実 態調査資料を中心に した研究
我々は以上の一道 の事例研究に より,先に示した,企業の社会的責任の遂
行に関する1 ∼3 までのテーマに関しては,不完全ではあ るが,一通り,考
察す ることが出来たが,4 の消費者福祉の向上をめざす社会活動に関する考
察は全 く手をつけ ることが出来なかった。
そ こで,本論文に おい では,かかる消費者保 護をめ ぐる社会監査論につい
て,主 としてスタンフ ォード大学教授のG.s.Day
の論説を中心に研究を1
)
進めることに したい。
‥
§1
伝統的なマーケティング概念の批判と新しい社会マーケティング概念の導入
Day は , 消 費 者 に 対 す る企 業 の 社 会 的 責 任 と し て , 消 費 者 の安 全 性 の 確 保,ノi青報 の 提 供 , 選 択 の 自 由 , 苦 情 の 処 理 を 受 げ る 権 利 の保 護 が そ の 中 心 課 題 とな りつ っ あ り ,つこ れ は 今 迄 の企 業 経 営 者 の 消 費 者 に 対 す る 社 会 的 責 任 へ の 自覚 が 専 ら 顧 客 (消費者 と言 わずに顧客とい う用語を用い た のは , 彼等の頭の中 に 画か れていくる社会的責任 の対象 が社会全 体ではな く} むし ろ直接的 又は潜在的な 購 入先だけ に限定 されてい ることを 示唆す るも のであ る)に 対 す る 法 規 を 遵 守 し つ つ , 市 場 の 拡 大 を は か る こ と に 注 が れ て 来 た 点 に 対 し て 反 省 を 促 す べ き時 点 に 到 達 し た こ とを 意 味 し て い る と主 張 し て い る ○ ’ `T す な わ ち , 過 去 に お い て 経 営 者 は , 顧 客 に 対 す る 販 売 成 長 率 と か 収 益 性 と か , 使 用 総 資 本 利 益 率 と か 新 製 品売 上 高 の 伸 び 率 と か , 法 規 に ふ れ る 懸 案 中 の 問 題 と か とい う よ うな 測 定 尺 度に 関 す る フ ィ ー ド バ ッ クに よ り , そ の 社 会 的 責 任 の 遂 行 に 関 し て , 標 準 水 準に 達 し てい る か ど う か と い う点 に つ い て 速 か に 判 断 を 下 す こ とが 出 来 た が , 消 費 者 優 先 主 義 を 重 ん じ よ う と す る 社 会 的 な 要 請 が 高 ま っ て く るに っ れ て , か か る 判 断 基 準 は 最 早 社 会 の期 待 に 十 分 答 え るこ と が 出 来 な くな っ て し まい , 又 , 法 規 の 遵 守 とい う基 準 も単 に 最 小 限 度 の 指 針 を 与 え て くれ た だ け に 過 ぎ な い も の と な っ て し ま っ た と 述 べ てい る ○ ‥ 更 に , 伝 統 的 な マ ー ケ テ ィ ン グ概 念に 関 す る 疑 問 点 と し て , 次 の点 を 指 摘 し て い る。 フ ―■ケ テ ィ ソ ダ概 念 の 本 質 は 長 期 に 亙 り利 益 採 算 性 の 良 い 売 上 高を 確 保 す るた め の 鍵 と し て , 顧 客 の満 足 感 を 創造 す る こ と に あ る と 考 え ら れ , 実 際 上,ニそ れ は , 利 益 採 算 性 り 良い 品物 の 肩 売 を 促 進 す る た め の指 針 は 顧 客 が 即消費者保護を 目的とする社会監査論5 刻 入手 した い と 望 ん でい る も のを 見 抜 くこ と で あ る と 解 さ れ て い る が , た と え , 製 品 の量 並 び に 質 , 情 報 の量 と タ イ プ 等 の 点 か ら み て , 顧 客 が 欲 し てい る とお もわ れ る も のを 提 供 し てい て 乱 長 期 的 に み る と , 一 般 社 会 の利 害 関 係 と矛 盾 を 生 ず る こ と が し ば しば あ る 。 例え ば , 別 の 用 途 に 転 用 出 来 な い 包 装 と か 栄 養 の 欠 乏 した 便 宜 的 な 食 料 な どは そ の 好 例 であ る。 更に 問 題 に す べ き 点 は , 顧 客 が 注 目 し て い な い よ う に 思 わ れ る とい うこ と を 理 由 と して , 品 質 水 準 の切 り 下 げ が 是 認 さ れ る ヶ ― ス が あ る とい う こ と で あ る。 犬 か か る近 視 眼 的 な 考 え 方 に 立 っ た マ ーナ テ ィソ ダり 実 施 は? 短 期 的 に は 企 業 の経 済 性 の 向 上 に 貢 献 す るか も し れ な い が ,累 積 的 な 効 果 と い う点 か ら み る と, 例 え ば , 広 告 の 氾 濫 が 現 代 人 の い ら い ら を つ の ら せ る 結 果 を 招い て い る の と 同 じ く, 破 滅 的 な 状 態 に 導 く お そ れ か お る。 従 っ て , 伝 統 的 な マ ーヶ テ ィソ ダ 概 念 を の り 越 え て , 消 費 者 に 対 す る 企 業 責 任 に 関 し て ,更 に す ぐ れ た 指 針 と な り, 社 会 的 な 期 待 に も 答 え る こ と が 出 来 る よ うな 広 汎 な 視 野 に 立 っ た新 しい マ ー ケ テ ィン グ 概 念が 必 要 で あ る と力 説 し て い る。
§2
消費者監査の特徴と導入
犬
‥
づ1.
消費者監査の特徴
二
社会的な期待と認識とに焦点を合わせた監査を実施するには外部監査より
も内部監査の方が適している。しかしながら内部監査資料を源泉 として展開
される測定尺度と基準は一般的に認められた 方法に よらない限 い
各 業 種
間,並びにある業 界に 属する各会社間の比較可能性の確保を要求する一般大
衆の要請には応ずることが出来ない。従って,我々の研究課題は消費者大衆
との直接的な相関関係につい て,自らの手で監査を実施するごとに関心を有
している企業に与える指針を考えることにあるとDay
は述べ,消費者監査
の具体的な構想につい て次の如 く説明している。
消費者監査の目的 としては,次の3 日的 が考えられる。
① 消費者の権利 の強化に より消費者に対する福祉を 増大させるために,
どのように活動しているか?
ニ
③
消費者の満足感並びにひいきとい う点から みて, 消費者に対 する責任
はど の程 度果 され てい るか ?
③
企業 目 標 自体 が, 消 費者 問題 に関 す る スポー クスマ ンや こ の問 題と接
触し てい る人 々を も含め て 関心を 有 し, かつ 影響を受け る人 々 の期 待 してい
る もの と同じ歩 調を と りつっ あ る か ?
とこ ろで ,以上 の消費者 監査は 全 般的 な社 会監査 よりも狭い 視 野に 立つ も
のであ る。 従っ て, 例え ば テレ ビ の氾 濫や 悪い 趣味や 暴 力に対 して挑 戦 した
り, 包装に よる汚染を へ ら すた めに 食事 の慣習を 改 善す る等 ,不 利 な立場 に
立っ てい る消費 者を対 象 と す る社 会 活動を 行 なった り, 伝統的 な枠を 超え た
各 種 の消 費者問 題 の解決を はか るこ とを 目的 とす る社会 活動 プ ロ グ ラ ムは ,
全般的 な社 会 監査 の対 象 に はな るか もし れない が, 消費 者監 査 の対 象には な
らない と述べ, 消費 者監 査 はあ く まで前 述 の3 つ の目的 に限 定 され た 消費者
活動 の みを 対 象に すべ きで あ る と主 張し てい る。
し かし ながら 特に 企業 の社会的 責 任 の一 つ として ,社 会活 動 プ ■
こグラ ムの
遂行に 関 し,業 界 の中 で もイ ユシ アテ ィ ヴを と り, リ ーダ ーシ ップを 発揮 す
るこ とが望 まれる ことは い うまで もない 。
従 って, 広義 の社 会監 査 とし ては ,今 後,益 々, 企業 に対 し て,そ の社 会
的 責任 の 自覚を 促す方 向に 沿っ て,積 極的 な 推進力 とな る こと が要 請さ れる
ので, 狭義 の 消費者 監査 の枠 を 超え た企業 全 般に亙 る社 会 監査 の一 環 として
消費者 問題を とりあげ るこ とが今 後 益 々必要に な って来 るで あ る うと述べ て
い る点 に注 目 したい。
2
消費者監査の導入(社会的プログラムの分析)
別の領域に関する社会監査の場合と同じく,消費者監査の 場 合 に 乱 先
ず,現行の計画並びに政策の棚卸と分析から始めるべきであ り, か か る 場
合,次の4 点について調べてみる必要があるとDay
は主張している。
①
その計画を 企画した理由は何か?
②
その計画の目標は何か?
③
法規 の要求条件並びに他社の活動と比較してみた場合,どうか?
④
関連して発生するとおもねれるコストはいくらになるか ?
このコストには,最小限度として直接 コストを含めるべきであり,更に出
来れば配賦コスト並びに機会 コストを も含めるべきであ ると主張している。
消費者保護を目的とする社会監査論7 次 に , 棚 卸 の範 囲 に は , 消 費 者 の 福 祉 増 進 を め ざ す , 外 部 志 向 と 内 部 志 向 と の二 つ の努 力 を 含 め る べ き で あ り, こ の う ち , 内 部 志 向 努 力 と は , 例 え ば , 消 費 者 問 題 を 取 扱 う高 度 の 水 準 を もつ 事 務 所 や , 今 ま で 以 上 に 権 威 か お り, か つ 独 立 し た 形 の 品 質 管 理 グル ープ の 新 設 等 , 組 織 の再 編 成 を も 含 め て , 組 織 の 意 識 の 高 揚に 努 め た り , 従業 員 の 教 育 訓 練 並 び に 刺 戟 給 制 度 の 導 入 等 に よ る 組 織 の 革 新 を い い , 外 部 的 志 向 努 力 と は 次 の4 項 目に 関 す る 努 力 が こ れ に 属 す る と説 明 し てい る。 (1) 消 費 者 の 苦 情や 意 見 等 を 聞 い て も ら う権 利 の保 護 策 ‥ か か る 権利 の 保 護 策 の中 に は , 特 別 に , 苦 情 処 理 とそ の フ ォロ ー ア ップ 手 続 とを 新 た に 設 定 した り, 改 善 し た りす る場 合 と , セ ル フ ・ サ ービ ス が コン ピ ュ ー タ ーを 通 じ て の 消 費 者 と の 均 衡 な ど か ら 生 ず る 消 費 者 の 疎 外 感 を へ ら す た め に 一 般 的 に 講 ぜ ら れ て い る 諸 々 の 方 策 と が あ る 。 (2) 消 費 者 の 安 全保 護 を 目的 と す る 諸 方 策 消 費 者 , 小 売業 , 卸 売 業 に 対 す る 安 全 保 護 を 目的 と した 教 育 プ ロ ダ デ ム, 問 題 に な っ て い る 領 域を 確 認 す る た め に 使 用 中 に テ ス トす る プ ロ グ ラ ム, 業 界 の 標 準 又 は 基 準 を超 え た , より 厳 重 な 生 産 標 準 と 安 全 規 格 の導 入 , 潜 在 的 に 安 全 欧に つ い て 懸 念 か お る構 成 要 素 や 添 加 物 の 使 用 の 回 避 等 に 関 す る諸 方 策 があ る。 (3) 正 し い 情 報 の 提 供 を 受 け る 権 利 の 保 護 策 ニ こ れ は ,不 正 , 虚 偽 , 又 は 著 し く 誤 解 を ひ き お こ す お そ れ の あ る 情 報 , 広 告, レ ッテ ル の 貼 付 等 に 対 処 七 て , 消 費 者 が 品 物 の正 しい 選 択 を 可 能 な ら し め るべ く 事 実 を 明 ら か に す るた め に と ら れ る 次 の 諸 方 策を い う 。 ① 広 告 , 品 質 保 証 , そ の 他 の コ ミ ュニ ケ イ シ ョ ン に お け る潜 在 的 な疑 惑 を テ ス ト す る た め に 払 わ れ る 努 力 ② 関 連 性 の あ る 品 物 の 特 徴 , 製 品 の 寿 命 , 危 険 の 発 生 可 能 欧 と そ の限 度 等に 関 す る勧 告 を 法 規 の 規 整 範 囲 の 枠 を 超 え , か つ 他 企 業 に 先 が け て 実 施 す る方 策 ③ そ の他 , 混 乱 と そ れ に 伴 な っ て 生 ず る リ ス クを 減 少 せ し め るた め に と ら れ る 諸 方 策 (4) 自 由 に 品 物 を 選 択 出 来 る 権 利 の 保 護 策 代 替 案 の 比 較 を 容 易 に し て くれ る 情 報 提 供 の た め の 前 述 の 諸方 策 の外 , 大
乗的な見地に立った利益政策の採用等をいう。Day
は更に, 上記の消費者に対する 社会的プログラムの範躊に入れるべ
きものとして,消費者権利の強化を通じて,競争的な地位め保持ない し改善を
はかろ うとするプprグラ ムに至る迄,拡大して解釈すべきであ ると主張して
いる。しかしながら,かかるプ9 グラムの場合,コストは極めて敏速かつ正確
に把握することが出来るが,その アウトプットた る社会的報酬は長期に亙る
消費者 の満足感として現われるにすぎないことが多 く,容易に 計量化 し難い
ので,かかる二重の目的をもったプロダラムめ実施にふみきるため の意思決
定は実際には仲々行われ難いと述べてお り,この点は十分に注 目に値する。
§3
社会的業績の測定1
全般的な社会的業績の測定
ト
づ
前述の社会的プログラムの棚卸 と分析を終えた後,問題領域を 明 確 に し
て,プログラムの改善をはがるた めに,社会的活動の顧客に与えた効果を測
定することが必要になる。
‥
上かかる
社会的 業績 の測定に関するアプローチはどうしても所属業種め性格
に 依存する処が大きい が,何れにせよ,この問題の研究に関する中心的な課
題は,企業の競争的地位とか市場動向の分析ではな く,顧客の動向 とその問
題点の追求であ るとDay
は指摘して,次の如く説明を加え てい る。(1
卜 顧客の満足感 の測定
ト
ノ /
顧客の満足感の測定については従来経済的な見地に立って,競争的な効果
を評価するために,社 会的な業績測定 尺度の変型を利用してい る企業が多い
が, 消費者に対 する福祉の改善とい うような社会的業績 の測定は,かかる場
合よりもはるかに,概念化す ることもまた,実行に移すことも難 しい。
さて顧客の 満足感を 測定する方法の好例としてDay
はG.E.
社のアプ
ローチをあげている。G.E.
社は,応答者の家庭において利用されている家庭 用の電化器具につ
いて,国民統計資料で用いられてい る確率サンプルに従い1,000人 のサンプル
を抽出して毎月, ウェ イトづけ された満足感に関するアンケート調査を実施
しているが,この場合,最も役に立つ情報は全体の約OTo に当る各電化器具
に不満を抱いてい る人々から入手している。すなわち,救済策の対 象になっ
消費者保護を目的とする社会監査論9 てい る 不 平 を も っ た 階 級 に 対 し て果 し て 効 果 を あ げ て い る か ど うか を 知 る た め に , か か る質 問 は 有 意 義 な 情 報 を 入 手 す る た め の各 製 品 毎 に 独特 の も のを 用 意 し て い る と い う点 に,G.E. アプ =,―チ の 最 大 の 特 徴 が み ら れ るが , こ の ア プ ロ ―チ は 本 来 , 過 去 め購 入 経 験 の 評 価 だ け に 制 約 さ れ て お り, 又 , 重 大 な 不 満 と 余 り重 要 で は な い 不 平 とを 区 別 し て利 用 す る こ と が 出 来 な い と い う欠 陥 を 有 し て い る 。 従 づて , 消 費 者 の 福 祉 増 進 に 関 す る も っ と 完 全 な 効 果 を 測 定 す る た め に は , 若 干 手 直 し を 要 す る 。 す な わ ち, し購 入 前 の 情 報 に 関 す る( 特に 信頼性と有 用性につ いて の)消 費 者 意 識 と か , 製 品 ない し サ ー ビ ス の実 績 と 広 告 的 な 要 求 か らつ く り 出 さ れ た 期 待 値 と の 意 識 的 な アン バ ラ ン ス と か を 明 確 に す るた め に 努力 す る 必 要 か お る 。 (2) 消 費 者 の 期 待 , 意 識 , 満 足 感 に 関 す る資 料 を 分 析 す る場 合 の 注 意 事 項 ① ご質 問 の 言 い 廻 し に 対 す る 応 答 者 の受 け 取 り 方 等 を 合 め て , 論 争 す べ き 調 査資 料 に 関 し て 通 常 生 ず る と お も ね れ る す べ て の 問 題 点 を 考 慮 に 入 れ る 必 要 かお る。 例え ば , も し 応 答 者 に 対 し て , あ る 家 庭 用 器 具 は 何 と し て も 気 に 入 ら な い か ど うか と い う よ う な 質 問 を した 場 合 , 不 満 足 感 の 水 準 は 非 常 に は ね上 る。 ③ こ の 分 析 の 際 に は , オ ピ ニ オ ン ・リ ー ダ ー の 役 割 に つ い て も充 分 に 考 慮 に 入 れ る 必 要 か お る 。 例え ば , 全 体 の 中 の ご く一 部 分 の 者 の み が 不 満 感 を も っ て い る に す ぎ な か う た と い う調 査 結 果 を 入 手 し た 場 合 で 乱 こ の 中 に オ ピ ュ オ ン ・ リ ー ダ ーや 有 力 な 購 入 先 の 強い 不 満 が 含 ま れ て い る場 合 に は , 他 の 人 々 の 行 動 や 姿 勢 に も 影 響を 及 ぼ す 故 , 重 大 な 問 題 に 発 展 す る 可 能 性 が 秘 め ら れ て い る こ とか お り 得 る か ら であ る 。 こ の 問 題 に 対 処 す る た め に は , オ ピ ュ オ ン ・ リ ー ダ ーを 識 別 す る た め に 効 果 のあ る 自 己 確 認 方 式 の 測 定 尺 度を 用 い る 必 要 か お る。2 ) (3) 以 前 に 報 告 さ れ た 問 題 点 と 不 満点 の解 決 に 関 す る 効 果 の 測 定Alberto.Hirshman に よれ ば , 顧 客 の不 平 不 満 を 解 決 す る た め に は 次 の 二 つ の方 法 か お る 。 一 つ は 「 は け 口」 す な わ ち , 顧 客 を 他 の 競 争 企 業 へ 切 り換 え さ せ る こ と で あ り, 他 の 一 つ は 「 訴 え の 声 」 す な わ ち虐 待 さ れ た 顧 客 の 受 け た 損 害 を 償 わ
せるために,ご訴訟を起したり,世論を湧き立たせることであ る。
かかる「はげ 口」 とか「訴え の声」を与える前に,会社としては,消費者
に不平不満を十分に聞いて貰 う権利の強化を めざして努力す る必要かおる。
何故ならば,かかる「訴える声」 の対象は政府機関や消費者団体 で あ る の
で,世論として問題になる。従って,かかる問題が発生す る前に,会社自体
が 消費者から直接意見を聴取して,問題 の発生を未然に防止する方が望 まし
い からであ る。
この結果,評価人の第1 の関心は消費者の抱いている不平不満の性質と継
続的な基礎の上に立つたかかる不平不満を 処理する方策の成果に注がれる。
この場合,大切な事はレ 事態が起きた後 の処理のためではなくて,むしろ不
平 不満を未然に除去するために出来るだけ多くの資源をつぎこ んでい るかど
うかとい う点について評価することが必要であ る。
次に,かかる不平不満の解決に関す るフォp −アップは,そ の不平不満が
最高頂に達してい るか否かを問わず,すべての不平不満に対し拡張し適用さ
れなければならない。
この目的を達成するために監査人は,全サンプルについて,再度購入する
場 合の行動並びに姿勢に変化があ った かどうかを 調査するために,再度イン
タビ ューを実施する方法を採用することも考えら れる。 このシステムはG.E.
社の社会的業績の測定に関する システムの中に 礼とり入れられていると
の事である。ただし,かかる場合,注意を要す る点は, 消費者は不満足な経
験かした後におい ても必ずしもそ の行動を変更す るとは限らないということ
であ る。従って,次のような質問をすることが必要であるとDay
は指摘し
てい る。「行動を変更した者は, 如何な る種類の,如何なる経験を有する人
物が如何なる条件の下に行な ったか?ト
2
社 会的業 績 の測定 に 関す る若 干 の問 題点
消 費 者の満 足感に 関す る
調査を中心とした社会的 効果り 測定方法の欠点 と克服策
Day は消費者調査を中心とする 社会的 効果の 測定方 法は 確かに明瞭な不
満点を明らかにしてくれるが,会社として解決すべき責任を有する潜在的な
不満については事実をゆがめた,又は ,不 完全な姿しか示してくれない とい
う点に欠陥があると指摘し,この結果,次の如き場合にはそ の限界が存在す
消費者保護を目的とする社会監査論U るこ とを 認 識 して お く必 要 が あ る と 警 告を 発 し て い る 。1 ) 消 費 者 が 悪 用 さ れ て い る こ とに 気 づ い て い な い 場 合 , 例 え ば , 虚 偽 の 修 理 サ ー ビ ス 付 き の 販 売 や , 食 品 添 加 物 の 中 毒 的 効 果 が あ る こ と を 知 ら な い で購 入 し て い る 場 合 ‥2 ) 妥 当 な 購 買 情 報 の 内 容 , す な わ ち 要 求 条 件 が あ て に な ら な い も ので あ り, 立 証 出 来 な い も の で あ る か ど うか とい う点 に つ い て 説 明 す るこ と が 困 難 な 場 合 以 上 の 場 合 , 消 費 者 の 不 満 を は っ き り つ か む こ と が 出 来 な い か ら と い っ て, 会 社 は モ の 責 任 を 回 避 す る こ と が 出 来 な い 。 何 故 な ら ば , 事 実 を 知 ら な い ま まに 顧 客 は 自己 の 推 察 を 信 じ こ み,ト こ の 結 果 誤 っ た 判 断 に 導 くお そ れ か お る か ら で あ る 。 こ の問 題 に 関 連 し て,Day は か か る 消 費 者 か ら の 意 見 聴 取 を 主 体 とす る 測 定 方 法 の 欠 陥 を 補 う手 段 と し て 次 の 諸 方 法 を 提 示 し てい る 。 ① 計 略 的 な 測 定 方 法 こ れは 顧 客 と 小 売 商 や 修 理 店 や 苦 情処 理 機 関 と の 間 で 起 き て い る 問 題 に つ い て, 評 価 の 対 象 とな っ てい る人 物 の 正 しい 立 場 を ゆ が め ず に そ の 真 相を 究 明 す る た め に , 消 費 者 の購 買 団 体 や 監 査 委 員 会 を 利 用 す る方 法 を い う。 ③ 専 門 家 意 見 調 査 法 従業 員 は 消 費 者 問 題 に 精 通 し てい る こ と が 多 い に も 拘 ら ず , 彼 等 が 自ら 進 ん で 自 由 に 発 言 出 来 る チ ャン スを 与 え ら れ る こ と も少 な く, 又 , 彼 等 の情 報 を ト ップ ・ マ ネ ージ メ ン トに 対 し て伝 達 す る際 , 必 ず し も正 し く 伝 達 さ れ て い る とは 限 ら な い よ うに お もわ れ る。 こ の 外 , 有 益 か つ 客 観的 な 洞 察 力 を 有 し てしヽる と お も わ れ る 者 と し て関 連 市 場に 所 属 し て い る ビ ジ ネ ス マ ンを あ げ る こ と が 出 来 る。 例え ば ,銀 行 の 貸 付 課 長 は そ の取 引 先 であ る 各 地 方 の 販 売 信 用 許 与( クレ デ ィット) 会 社 の 実 務 に 精 通 し て お り , 又 , 販 売 信 用 許 与 会 社 は , そ の取 引 先 の販 売 実 務 に 対 し て , 有 益 な 洞 察 力 を 有 し て い る こ と が 多 い 。 ③ 抗 議 そ の 他 の不 満 の表 示 に 関 す る 要 因 の 調 査方 法 組 織 の 責 任 感 の欠 如 に 対 す る 抗 議 の中 に は 見 返 りを 安 易 に 得 るた め に 特 権 を 濫 用 し よ う と し てい る 場 合 や 些 細 な 紛 争 に よ る 苦 悩 を 示 し て い る 場 合 等 様 様 な 原 因 に 基 づ い てい る も の も 含 ま れ てい る の で , 慎 重 に 取 扱 う 必 要 が あ
り, かか る抗議行 動 が突 発的 かつ 一時 的 な ものでは な く一 般的 な 傾向を示 し
てい る のかど うかを 確 かめ るた めに ,一 定期 間毎に ,監 視 して ゆ く必 要があ
る と,Day
は かか る 抗議 運動に 対 しては 保守的 な姿勢 を示 してい る。
更に ,最 後 の問 題 点 とし て,Day
は, 消費者 の満足 ない し 不 満感を如 何
に 解釈す べ きか ?
す なわ ち, 消 費者 の満足 度を 測定 し て,そ の社会的 成 果
を あげ 七い るか 否 か とい う点 につ い て如 何に し 七判断を 下すべ きか ?
とい
う荒木的 な 開頴 点を あげ てい る。
`
’
すなわ ち,社 会的 な 期待に 対 して ど の程 度答え てい る か とい う問 題を 避け
て ,例え ば新 車 の購 買 者中 , 会社 の保証 サ ービ 不に対 して全 く不 満 の意を 表
明してい る者 は 僅か10 %に す ぎない とい うよ うに 説 明 した方 が 経営 者 として
は 気楽 であ るが, こ の問題 の大 き さを もっ と明確にす るため に は, 約80 万人
の購買 者 が不 満感を 抱 い てい るとい うよ うな表 現を 用い た方 が 望 まよ い。 し
か しな がら ,か か る表 現 は問 題に 対 し て より好 ましい 見 通 しを 与え て くれ る
も のの, 消費者 の満足 度を 測 定 す るた めに 活 用すべ き 基 準は これを 何に 求め
るか とい う問題に 対 しては 答え て くれ ない 。
た とえ 明らかに 消費者 の 満足 感を 得 るために 限 界に な るとお もわ れる コス
トそ の他 の制約条 件 が 存在七 てい な い場 合で 乱
絶 対的 な基 準を 設定 し よう
とす る とおそ らく非 現実 的 な ものに な って し ま うのが 現実 の姿 で あ る。 従 っ
て, 基本的 な 線に 沿 づて √常に業 績 の改善を は かる以 外に 途 はな い と,Day
ぱ 述べ, こ の問 題に 関七 ては 消極的 な 姿勢を 示 してい る。
一
3
個々の社会的プログラ ムの評価
消費者に対する責任の達成に関する会社全体の業績を測定する総合的な評
価基準はたとえ どのような尺度を 用い るに しても改善に対するあらゆる努力
の総合的な戌果を表示 してくれさえすれば事が足りるが,個々の社会的プロ
グラムの個別的な貢献度については,これを別々に切 り離して評価すること
は極めて難しい。しかしながら,意思決定者が資源を各 プロ グラ ム別に 割当
てることで,一定の予算の枠の中におけ る最大の効果をあげ るためには,是
非共,かかる情報を必要 とする。
かかる個別監査 の場合 乱 全体監査の場合と同様に,例えば,苦情処理の
ための施設とホットラインに関する存在 の認識とこれに 関す る知識並びに利
消費者保護を目的とする社会監査論13 用 度 , 消 費 者 教 育 等 の プ=i グ ラ ムや 広 告 の 面 に お け る 消 費 者 に 対 す る 姿 勢 , 苦 情処 理 の た め の所 要 時 間 , 苦 情 の 要 因 等 の 専 ら 仲 介 的 な 測 定 尺 度 に 重点 を お く 「 プ ロ セ スに 関 す る 監 査」 か , 又 は , 例 え ば , 満 足 度 , 販 売 高 ,利 益 等 の 水準 の 改 善 とい う よ うな 「 効 果 性 に 関 す る 監 査 」 の うち, ヶ何 れ を 行 な うべ き か とい う点 が 問 題 に な る が , 後 者 の 「 効 果 性 に 関 す る 監 査を 実 施 す るに は よ く管 理 さ れ た マ ー ケ ッ ト ・ テ ス トに よ っ て , そ の原 因 と 結 果 と を 明 確に 関 連 づけ る こ とが 必 要 に な る の で そ の実 行 は 困 難 で あ る 。 こ の 場 合 , あ る プ ロ グ ラ ムを 全 般 市 場 に まで 拡 張 す べ き か 否 か を 決 定 す る 必 要 に 迫 ら れ る の で , 結 局 ,「 プ ロ セ スに 関 す る 監 査」 を 以 て 代 用 す る 以 外 に 途 は な い の で は な い か と ,Day は 述 べ , 前 述 の 全 体 監 査 の場 合 と 同 じ く , 個 々 の 社 会 的 プ ロ グ ラ ムの 効 果 測 定 の問 題 に 関 し て 乱 あ ま り積 極 的 に 取 り組 む 姿 勢 を 示 し て い な い とい う点 に 注 目 す る 必 要 が あ ろ う。 づ
犬4
圧 力 団体 の期 待を十 分に理 解 す るこ と
。
犬
\1.
消費 者 の顕 在的 並 びに 潜在的 な不 満を 発 見し て, こ れを解 決 す る仕 事は,
単に企業 経 営者 のみならず ,各 種 の消 費者機 関 ,立法 者なら びに 消費 者運動
家 の機 能 の一 部 であ ると も考 えら れ る。 彼等 は一般 に , 悪弊を 明 確に し, ニ
れを証 明した後 ,製 造業 者に よる自発的 な 変 更を 迫 る た めに , そ の結果を公
表 するか ,又 は, 政府に 対 して新 しい 法 律 の制定 と一 層 強力 な規整を 要請 す
るのが通 常 であ る。
‥Day
は, かか る 消費者 運動は 特に 次 の場 合に 大 き廠 効 果を 発揮 す ると指
摘 してい る。
‥
‥
①
経 営 者 の社 会的 な 期待に 答え ようとす る善 意並 び に 能力 の点 におい て
漸 次信 精 陸を 失 いつっ あ る環 境にあ る時
②
経営 者 の問題 意識並 びに そ の真 剣さ という 点に おい て,一 般大 衆の期
待に 答え てい ない時
ノ
‥
③
問題 が ,安 全性 の欠如 ,広 告 の氾濫 , 回収 出来 ない ビ ン の公 害効果 の
如 く個 々 の会社 として対 応 出来 る能力 の 範 囲を 超えて い る場 合
④
一 般大 衆 の関心が , セソ セイ シa ナルに 暴 露 さ れ,全産 業 界に 対 して
無差別 に 影響を 及 ぼす とお もわ れ る問 題に 集 中 してい る場 合
以上 の よ\
うな圧力 団体 の源泉並 びに 効果 につ い て診 断を 下 すこ とは,直 ち
に 消費者 福祉に 関 す る比 較的直 接的 な 測定 尺度を 補強す るた めに 役立 ち, 企
業 の社 会監 査ヘ イ ン プ ットすべ き要 素に 関す る次に示 す 若 干 の特 徴に つい て
も示 唆を 与 え て ぐれ るとDay
は指 摘 す るよ
すな わち, 第1 に ,潜 在的 な圧 力 機関 が公 表 した こ とに 関連 し た声 明に対
し熱心に , かつ頻 繁に 耳を 傾げ る よ うに しなけ ればな ら ない 。
第2 に, 企業 の社 会 的業 績に 関す る期待 ご理解に 関す る 全般的 な傾 向をつ
かむ ために , 関連 性 のあ る全 団体に 対 して サン プル調 査を 適用 しなけ れば な
らない 。
特に ,か かる サ ンプ ル調査 の好例 と して,企業 の能率 向上 と 消 費 者保護 と
の衝突 の問 題を 含む 事業 と二 般 大衆 と の軋棒に 関す る主 な 問題 に 関 して各 グ
ル ープ毎の 関心 度を 継続的 に 調 査してい るDanielYankelovichInc.
の例
を あげ てい る。 す な わち , この調 査で は, 一 般大 衆(1,000サンプル)主要 な
上 院 お よび 下 院議員(50サンプル), 州政 府 の役人(50サンプル), 消 費者 運動
組 織 の指導 者(50 サンプル), 国民 運動 組織 の指 導 者(50 サンプル)等 の
こ9種 の3
)
グル ープ毎に イ ンタビ ューが行 な われてい るとの事 であ る。
か か る資料 は究 極的 に は現 時 点 におげ る社会的 な努 力 とそ の要 求 とを比 較
し た 場合 の答を与 え て く れるに ち がい ない が ,こ れが 達 成 出来 る までは √評
価人 は各 グル ープ毎 の意見 か らそ れぞ れ期待 出来そ う
・に お も われ る 効果につ
い て判 断を 下 さなけ れば ならない と注意 してい る。
5
企業・
側の立 場 から みた 消 費者 監査に 関 する今 後 の研 究 課題
消費 者監査 は, 克 服 しなけ れば なら ない 問 題 の性 格を 明 らかに し, 効果的
な社 会的 プ ロ グラ ムであ るか ど うかを 確認 し,全 般的 な 社会 的業 績を 測 定す
るた めには 必要 不 可欠 な 役割を 果 して くれ るとお もわ れ るが , かか る 監査の
際に重 視す べき 測定 基準 の選択 は, 第一次的 に 各業 種 の性質( 例えば,消費財
/一カーと生産財ク ―ガー)に より異な って来 る とDay
は主 張 す る。
例えば , 高速 度で 量産 さ れる非耐 久 消費 財 め製 造業 者 は社 会 的 な満足 度と
広 告の信 頼性 とに大 き な 関心を も ってい るが ,耐久 財 の 製造業 者は 製品 の満
足 度や 品質 保証 な らびに サ ービ スの質的 水準 の問 題に より大 き な注 意を払 う
傾向 があ る。
しか しな がら, 両 者共 ,将 来 の問題を 予 測す るた めに は,社 会 的な 満足 度
消費者保護を目的とする社会監査論15 を みた す こ と が 出 来 る 社 会 的 な業 績 の水 準 に 関 す る 社 会 の 期 待 な ら び に 認 識 の 変 化 に つ い て 研 究 を 要 す る 外 , 現 在 実 施 し て い る 社 会 的プ ロ グ ラ ム と政 策 に つ い て 棚 卸 を 行 な い , そ の 実 態 を 分 析 し て み る 必 要 が あ る 。 こ の 外 ,不 満 足 度 の大 き さ と そ の 要 因を 調 べ るた め に , 競 争 企 業 よ り も 優 れ た 市 場 調 査 能 力 を 亀つ よ うに 努 力 しな け れば な ら な い 。 最 後 に , 消 費 者 福 祉 の 増 進 を 目的 と す る 社 会 的 プ ロ グ ラ ム の 効 果 性 を 評 価 す るた め の何 ら か の方 法 を 社 会 監 査 の 中 に 含 め る こ と が 望 ま し い と ,Day は 消費 者 監 査 の実 施 に 際 し て 注 意 す べ き 点 に つ い て 以 上 の如 く 述 べ てい る 。
ト
Day
は 顧客 の満足 度に 対 応 した り, これを 創造す る ことに より 市場 の拡
大をは か ることを 目的 とす る伝統 的 な マ ーケテ ィン グ概 念は 短 期的 に は経済
性 の向上 に貢 献す るか もし れない が ,長 期 的には ,一 般 社会 の利 益を 害す る
おそ れがあ る ので, こ れに代 るも のと して,か か る社会 的な 要 請に 応ず るこ
とが出来 る広 汎な 視野 に 立 った新 しい 社会 的 マ ーケテ ィング概 念 の確立を そ
の理論的 な支 柱 と し, そ の企業 の直接的 な 消費 者 の保 護 のみを 目的 とす る狭
義 の消費者監 査 の枠を 超 え て, 全般的 な社 会監 査 の一 環 として ,す べ ての消
費者に 関す る問題 をそ の対 象 とす る広義 の消費 者監 査 が必要 で あ る と主張 し
てい る点に特 色 があ る。Day
の消費者 監 査論 は, 消費 者 の保護を 目的 とす る 社会 活 動 プ ログラ ム
の棚卸に よる内 容 の分 析 と, か か るプ ログ ラ ムを 実施 に 移 した 後 の効果(社
会的業績)の測定 とに 分 れ る。
前者 の社会的 プ ログ ラ ムの棚卸 に関 しては 消費 者 の 福祉 増進を め ざす 内部
的志向努力(主として組織の改善と革新)と外部的 志 向努 力( 消費者の苦情を訴え
る権利,安全保護を求める権利, 情報提供を受ける権利および品物を自由に選択でき
右権利の保護)とに 分け て,そ の内容を 分 析すべ き であ る と主 張 してい る。
後者 の社会的 業 績 の測定 に関 しては ,第D こ消費者 の保護 に 関連す る全般
的な業 績 として, 顧 客 の期待 √意 識 ,お よび満足 感 の測 定 と問 題点 の改 善効
果 に関す る測定方 法 につ い て考 察を 加え た後 ,か か る測定 方 法 の欠点を 克 服
し,一般的 な測定 基準を 補強す る方策 と して, ①計略 的 な測定 法 , ③専 門家
意見調 査法, ③抗 議運 動 の真 の要 因に 関す る調 査法に よるチ ェ ックを 提案 し
て い る も の の , か か る 期 待 と 満 足 感 に 関 す る 目 標 と そ の 達 成 水 準 の 是 非 に つ い て 判 定 を 下 す べ き 具 体 的 な 測 定 基 準 を 見 出 す こ と は 困 難 で あ り , 結 局 , 基 本 線 に 沿 っ て , た ゆ ま ず 努 力 を 重 ね て ゆ く 外 に 途 は な い と い う よ う な あ い ま い な 表 現 を 用 い て い る 点 が 注 目 さ れ る 。 ……… … 第2 に , 企 業 が 自 発 的 に 遂 行 し て い る 個 々 や 社 会 的 プ ロ グ ラ ム に 関 す る 業 績 の 評 価 に つ い て 乱 前 述 の 全 般 的 な 業 績 を 測 定 す る 場 合 と 同 様 に , 要 因 と 結 果 と を 明 確 に 結 び っ げ る こ と が 難 し い の で 「 効 果 の 測 定 を め ざ す 監 査 丁 を 否 定 し ,「 プ ロ グ ラ ム の 実 施 プ ロ セ ス に お け る 改 善 効 果 に 関 す る 暫 定 的 な 監 査 」 に 限 定 せ ざ る を 得 な い と 消 極 的 な 態 度 に 終 始 し て い る 点 が 注 目 さ れ る 。 第3 に , 前 述 の 如 く , 企 業 側 の 立 場 に 立 っ て , 消 費 者 の 保 護 な い 七 そ の 福 祉 の 増 進 に 関 す る 社 会 的 効 果 の 測 定 は 困 難 で あ る の で , こ れ を 補 充 す る た め に , 公 的 並 び に 私 的 な 消 費 者 運 動 を 推 進 し て い る 圧 力 団 体 の 期 待 と そ の 意 見 を 聴 取 し て , こ れ を 補 強 す べ き で あ る と 具 体 的 な 調 査 方 法 を 提 示 し て い る 点 が 注 目 さ れ る 。 ‥ ‥= ・。 第4 に , 企 業 の 立 場 か ら み た 消 費 者 監 査 に 関 す る 今 後 の 研 究 課 題 と し て , 非 耐 久 消 費 財 産 業 に は 社 会 的 な 欲 求 の 充 足 と 広 告 の 信 頼 性 , 耐 久 財 産 業 に は 品 質 と ア フ タ ー ・ サ ー ビ ス の 向 上 に 重 点 を お い た 改 善 努 力 を 要 請 しし て い る 外 , 社 会 の 期 待 や 認 識 の 変 化 に 関 す る 予 測 と 現 状 の 実 態 分 析 , 不 満 足 の 要 因 の 分 析 を 可 能 な ら し め る 優 れ た 市 場 調 査 能 力 の 充 実 と 個 々 の 社 会 的 プ ロ グ ラ ム の 効 果 を 半U定 す る た め の 測 定 基 準 の 研 究 は 産 業 り 種 類 を 問 わ ず , 共 通 の 研 究 課 題 で あ る と 主 張 し て い る 点 が 注 目 さ れ る 。 上 づ ‥ こ の 外,Day は , 消 費 者 資 産 勘 定 , 例 え ば , 現 在 の 顧 客 に 関 す る 将 来 の 売 上 高 か ら 期 待 さ れ る 総 利 益 の 現 在 価 値 へ の 割 引 額 す な わ ち , 消 費 者 か ら 期 待 さ れ る 潜 在 的 な 収 益 力 (ServicePotential ) に つ い て も 論 じ て い る が , こ の 点 に 関 し て は , 略 々 同 様 の 趣 旨 に お い て 論 ぜ ら れ て い る 「 人 的 資 源 会 計 上 の 社 会 監 査 論 的 価 値 に つ い て 別 の 機 会 ( 経 営 論 集 第5 号 ) に お い て 既 に 論 及 し , 経 営 管 理 目 的 と し て の 有 用 性 に つ い て は , こ れ を 認 め`る こ と が 出 来 る と し て も 社 会 監 査 目 的 か ら み た 場 合 に は 問 題 が 多 い こ と を 指 摘 し て い る の で , こ の 論 文 で は 割 愛 さ せ て 頂 い た 。.I ・・I・ ・: 以 上 のDay の 消 費 者 の 保 護 を 目 的 と す る 社 会 監 査 論 は , 伝 統 的 な 概 念 を 打 破 し た 社 会 マ ― ケ テ ィ ン グ の 理 念 に 立 脚 し た 社 会 活 動 プ ロ グ ラ ム の 棚 卸 に
消費者保護を目的とする社会監査論 」7 よる内 容 の分 析 に つ い て は 優 れ た 議 論 を 展 開 し て い る が , そ の 結 果 と し て の 社 会的 効 果 の 測 定 に 関 し て は , 企 業 外 部 に 属 す る 公 私 の 消費 者 保 護 を 目的 と す る圧 力 団 体 の 期 待 に 対 し , 果 し て 答 え てい る か とい う観 点 か ら 客 観 的 な 効 果 測定 基 準 の 必要 性 に つ い て 示 唆 し て お り, こ の点 に 関 し て は 高 く 評 価 す べ き であ る と 考 え る 。 しか し な が ら , 消 費 者 自 体 に 関 す る社 会 的 業 績 の測 定 , 就 中 , 消 費 者 の 不 満 や 問 題 点 の 改 善効 果 の 測 定 に つ い て は 的 確 な 解 答 を 示 し て い な い と い う点 に 不 満 か お る。 こ の点 に 関 す る 問 題 の 解 明 は 特 に , 広 告 の氾 濫 に よ る 公 害 の 防 止 と 信 頼 感 の 確 立 の 問 題 を も 含 め て , 次 の機 会 に お い て と りあ げ た い と 考 え る。 1)Georges.Day ;“Theroleoftheconsumerinthecorporaitesocialaudit" (CorporateSocialAccounting ・,editedbyMeinolfDierkes&RaymondA.Bauer,pp.117 ―129PraegerPublishers1973 )2
)Alberto.Hirschman: “Exit,VoiceandLoyalty しinFirms,OrganizationsandStates
”(Cambridge,Mass.:HarvardUniversityPress,1970 )3
)SummaryofDanielYankelovich,Inc.,CorporatePriorities:AContinuingStudyoftheNewDemandsonBusiness,inS.PrakashSeth,