学校体育におけるスポーツチャンパラの
要素を取り入れた剣道的なゲームの検討
教科・領域教育専攻
生活・健康系(保健体育)コース
江 口 大 祐
1 . はじめに
昭和50年、全日本剣道連盟は、「剣道は剣
の理法の修練による人間形成の道で、ある」と
いう思念を掲げた。ところが皮肉にも、この
機を境にして剣道人口の減少化とし、う事態
が加速度的に進行している。その大きな原因
として、教育の場における貧I随が十分に評価
されるものになりえていないことが推察さ
れる。
その具体的内容として、子どもの遊びの形
態が変化したこと、 2つ目に小学才交の学習指
導要領において武道とし、う運動領域だけが
小学校で取り扱われていないこと、 3つ目に
礼法などの所作指導の困難性、教具の装着に
伴う暑苦しさや悪臭、 4つ自に学習者が剣道
の様式や礼儀に対してマイナスイメージを
持っていること等、が考えられる。
そこで本研究では、小学校
l
こ如、て剣道的
な要素を取り入れた新たな体育科教材とし
て対人的ゲームを創造すること、また、中・
高等学校におし、ては、貧l随授業の効果的な導
入になりうる体育科教材としての可能性を
検言村ることを目的とする。
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.
研究方法
本研究では、初めに本実践に取り入れる剣
道の要素を検討した。まず、活動開始と終了
時に正規の剣道で行われている帯刀、立礼、
構えをベースにし、打撃の範囲を両腕(肩から
指導教官
木 原 資 裕
坂 本 和 丈
下)、胴部、大腿部とし、突き技は禁止とした。
また、作撃には発声を伴わせ、打撃
5
割支、打
撃部位、発声の 3つの条件から有効打撃の用
件を設定した。また、審判は2名で正規の剣
道の審判法をベースとして、族操作や所作等
を簡略化して行った。使用する教具は竹刀の
代わりに塩化ビニール製の遊具用剣に梱包
用ヒ守ニールシートを巻き、テーピングで固定
した。防具は主に耳を含めた頭部、手、自の
保護のため、剣道の手ぬぐいをかぶる要領で
タオルを折りたたんだものと水泳用あるい
はスキー用のゴーグル、手袋を用いた。
これらをもとに授業案を作成し、 N小学校
4年生(38名)、 S中勃交2年生(35名)を対象
に4回の授業を実施した。また、授業の記録
は3台のビデオカメラを用いて撮影した。ビ
デオ、児童に配布した学習カード、授業実施
学級の担任との授業検討会で分析を行い、ゲ
ームの構成や方法を検討したq また、大学剣
道部などにスポーツチャンパラの用具を用
いた剣道を行ってもらい、用具の変化に伴う
動き及び意識を検討した。
国. 結果と考察
1.
/
J
明交での実践
恐怖心を無くすことができなかった児童
もいたが、男女ともに多くのものは活動に対
して意欲的に取り組めていたと考えられる。
また、礼法や審判法など理解、記憶すること
-484-が多かったにもかかわらず、「またやりたし'J
と荊面する生徒の割合が高かった
2
.
中学校での実践
活動に対する意欲・関心の面で男女聞に差
がみられた。男子は相手を打つことや格闘形
式の活動に積極的であるのに対して、女子は
消極的で活動量も少ないことが明らかにな
った。
3.スポーツチャンバラの用具を用いての貧I随
授業の実践
スポーツチャンバラの用具は剣道具と比
較したとき、貧IJの軽さや打撃に痛みが伴わな
いことや容易に装着できるなどの評価すべ
き点があるが、打撃の際の手応えや無駄打ち
が増加することや剣が柔らかすぎることで
応じ技が困難であることなどの問題点もあ
る。
IV. 結語
検討を行った結果、実践の内容及。守旨導方
略において以下の4点にまとめられるD
1.内容及ひ守旨導方自各
l
こついて制面できる点
1)安価で大量生産可能な樹オを使用したと
いう点である。それに加え、樹オに対して興
味を持たせることができたと考えられる。
2
)
に剣道授業に比べ自由度の高い活動内容で
あったという点である。剣道の堅苦しさを軽
減させ、学習者が自ら楽しんで行える活動で
あったと考えられるo 3)剣道に対して興味・
関心を持たせることができたという点であ
る。小・中学校共に剣道のように用具を用い
て行う格闘形式の活動に興味を持つ学習者
が増えた。
2.内容及。精導方自各におして改善を要する点
1)性差の問題として、活動に対する目的意
識や意欲面があると考えられる司男女別の効
果的な指導法を検討する必要性がある。 2)
示範の問題である。本実践では税市の示範が
あまり効果的とはし、えない場面が多く。示範
によって学習者に憧れを抱かせることがで
きる指導方法を検討する必要性が考えられ
る。 3)運動量、欲求が充足しきれていなか
った点で、あるD 本鶏美のように全員が同時に
活動できないうえに、学習者に対し長時間の
説明を要する活動では、学習者全員の運動欲
求を満たすことが困難であると考えられる0
4)学習者の中には恐怖心が減少しない学習者
や伺換な場面に遭遇し、活動が消極封切こなっ
た学習者もみられたD
3.再検討を要する点
剣道では、時間内に一定本数の有効打を獲
得することで勝敗が決する。しかし、運動量
の確保の面で問題があり、勝敗の決し方につ
いて再検討すべきである。他にも試合場や審
判に関して検討の余地があると考えられる。
また、本実践で、は大腿部を狙った技の発動の
際に危険な場面と剣道的な動きとは大きく
かけ高針Lた動きがみられたことから、打撃部
位について具体的に十訴すべきである。
4.今後の可能性について
小判交で、は、どの運動領域に位置づけ、ど
のような指導内容にするのか詳細な検討が
必要である。また、剣道新頚党首が授業の指
導を行うとき、剣道の醍醐味である攻防のか
けひきを伝えることができるかとし、う問題
がある。最後に、貧IJから竹刀に移行した際の
効果的な指導や授業実施の時期や場所など
に関しても検言寸ずる必要がある。
今後はより体育教授学的な立場から実践
を見直し、学習者と授業者だけでなく勃交全
体を含めて検討することが重要である。
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