Title
アシナガバチ類におけるワーカー産卵の進化維持機構に関
する研究( はしがき )
Author(s)
土田, 浩治
Report No.
平成11年度-平成13年度年度科学研究費補助金 (基盤研究(B)
課題番号11440228) 研究成果報告書
Issue Date
2001
Type
研究報告書
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/516
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。Contents はじめに 社会性昆虫は、・繁殖力ストである女王蜂と労働力ストであるワーカー を含んでおり、ワーカーの繁殖は女王が生存する限りほとんど見られない。
ワーカーの繁殖が抑制されている要因として、(1)女王が攻撃行動でワーカ
ーの繁殖を抑えているとするqueenpolicing仮説、(2)ワーカーが互いの産卵 を監視し会うworkerpolicing仮説、(3)ワーカー産卵がコロニーの生産性を さげるので、グループの形質として不利であるとするgroupselection仮説の 3つが考えられている。 アシナガバチでは、攻撃行動による順位性が存在し、攻撃された個体の卵巣は萎縮する辛が古くから知られている(Pardi,19チ8)。この場合、コロ
ニーサイズが増大し、女王がワーカーをコントロールできなくなるとワーカー産卵が起きる可能性が指摘されている(Bourke,1988;NakataandT叫i,1996)。
女王が一匹で一回交尾の場合、ワーカーから見た兄弟の血縁度は0.25、 ワ「力,一自身の息子は0・5、他のワーカーの息子(甥)は0・375となる。この場 合、兄弟の血縁度が一番低くなり、ワーカーによる雄の生産がもっともワー カーにとって有利と考えられる。一般に、女王がn回交尾の時たは、ワーカーと産卵ワーカーの息子(甥)との血縁度は0.125+0・25血となる。女王が2回
交尾の場合には、この血縁度は0.25となり、兄弟との血縁度は0.25と不変 である。したがって、女王が2回以上の交尾をすると、甥の血縁度が兄弟の 血縁度を下回るので、ワーカーはお互いに産卵を抑制し会うというのが workerpolicing仮説である(Starr,1984;WbyciechowskiandLomnicki,1987; Ratnid彷,1988;)0 ワーカー産卵は、コロニーの生産性を低下させると考えられている。それは、その個休の労働頻度が低下するごとによる(ble,1986;Ratnieks,
1988)。この場合、ワーカー産卵がコロニーの労働効率を20%程度低下させ ない限り、ワーカー産卵は許容されると考えられている。 本研究では、オーストラリア産のアシナガバチ点呼αJfdね和〝∽乃成、日 本産のアシナガバチであるコアシナガバチとフタモンアシナガバチを材料に、コ●ロニー内の血縁構造の分析を行うた。そして、フタモンアシナガバチでは、
詳細な血縁構造の分析をするためにDNAマイクロサテライトマーカーの開
発を行い、それを利用して、ワーカー産卵の実態を調査した。(1)Kqjima,J・andTbchida,K・:OvipositionandqueenmanipulationbyswarmWOrkers