ノミ}トタイム労働からみた日本女性の働き方と暮らし方
教科・領域教育専攻
生活・健康系(家庭)コース
増 田 涼 子
1 .問題の所在
ノミートタイム労働者は 1100万人を超え、全
雇用者の 2割を上回るまでに増加した。その多
くは主婦層と中心とした女性であり、また、近
年正社員と同じ働き方をするものも現れてきて
いる。
ところでパートタイム労働という就業形態
は、現状においては差別的な処遇を受けている
が、しかいその本来の姿である「短時間労働」
という側面に注目すると、そこには仕事と家庭
の両立を可能にし、男女の性別役割分業を解消
するという可能性を秘めている。従って本研究
の目的は、こういったパートタイム労働という
就業形態の問題点および可能性を明らかにして
いくことである。
2.パートタイム労働の現状
近年、主婦層を中心としてパートタイム労働
者が著しく増加しているo 1999年現在、パー
トタイム労働者数は1.138万人となった。これ
は全雇用者の 21.8%に相当し、また女性労働
者の 36.0%はパートタイム労働者である。
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パートタイム労働の変遷
性別役割分業が現在も根強く残っている日本
では、女性労働者を取り巻く環境は依然として
厳しい。女性は働きに出る上で、常に「仕事か
家庭か」という選択を迫られ、家庭生活のため
に仕事を断念したり、制限せざるを得ない状況
指 導 教 官 渡 遁 庚 二
におかれている。
第 1節では、女性の 6割が農業従業者であっ
た戦前戦後から、産業構造が高度化し、サラリ
ーマンが増加するとともに専業主婦も増加した
1950代後半年から 1970年初頭の高度成長期、
既婚女性を中心とするパートタイム労働者が増
加した 1970年代後半以降の低成長期、さらに
ノミートタイム労働者が増加したバブル崩壊後の
3つの時期に分けてパートタイム労働者の実態
をみた。第 2節では、パートタイム労働者の採
用時期、定義についてまとめた。
第 3節では、パートタイム労働者の就労意識
等、パートの変遷について高度成長期、低成長
期、バブ‘ル崩壊後に分けてまとめたロ
女性が男性の補助的な役割を担うという状況
は男女共同参画社会を目指す現在においてもあ
まり変化がない。また、女性パートタイム労働
者の処遇の悪さも変化がみられない。つまり、
女性パートタイム労働者は女性であること、そ
してパートタイム労働者であることで、 2重の
差別を受けているのである。しかし、パートタ
イム労働者の採用が目立ち始めた 1960年代後
半以降現在までパートタイム労働者数は増加し
続けている。これは、長引く不況の影響も多々
あるだろうが、やはり根強く残っている性別役
割分業の考え方が女性就労の根底に深く影を落
としているのではないだろうか。
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オランダにおけるパートタイム労働
「男は仕事、女は家庭J これは日本に古くか
らある考え方である。この考え方は現在もなお
根強く残っている。オランダにおいても女性は
家庭で家事をすることをよしとする考え方が根
強く残っており、日本同様女性労働者の多くが
ノミートタイム労働者として働いている。
しかし、日本とオランダを比較すると、パー
トタイム労働者の地位という点で大きな違いが
ある。オランダにおいては、パートタイム労働
者は日本とは異なり、正社員と同等の処遇を受
けている白すなわち、オランダのパートタイム
労働者は、文字通り労働時間の短い労働者なの
である。第1節ではオランダ経済の流れと共に、
政労使三者がお互いに少しずつ譲り合った合意
である、 1982年のヴァッセナーの合意につい
てまとめた。第2節ではヴァッセナーの合意以
降のパートタイム労働についてまとめた。
第 3節では、オランダモデルによって片働き
家族から共働き家族へと変化したオランダの家
族や、オランダ独自の1.5型の働き方について
まとめた。第 4節では、1.5型の共働きが普及
してきたものの、依然として、家事・育児は主
婦が担っているという実態を考慮し、オランダ
政府が男女平等社会実現のために提案した「コ
ンビネーション・シナリオJについてまとめた。
5. パートタイム労働に関する法律
これまでみてきたように、パートタイム労働
者は非正規社員として正社員よりも下位の労働
者として位置づけられ、不合理な差別的処遇を
受けてきた。第4章ではこのように差別される
就業形態であるパートタイム労働に関する法律
はあるのか、パートに対する差別をなくすため
の改善点についてまとめた。
第 1、2節では、パートタイム労働者に関す
る法律および労働契約についてまとめ、短時間
労働者の定義等、問題点が多く残されているパ
ートタイム労働法の性格等についてもふれた。
第3節では、現在盛んに議論されている「均
衡J・「均等J問題について、国連、ヨーロッパ
諸国、そして日本の状況についてまとめた。
第 4節では、均等問題の具体例として、 2000
年に和解した「丸子警報器事件」を取り上げた。
6.パートタイム労働の問題点とこれからのパ
ートタイム労働
第 1章から第 4章でみてきたように、パート
タイム労働者は非正規社員という差別的な処遇
を受けている。このような状況を改善し、正社
員との均衡・均等待遇を実現させるためには、
ノミートタイム労働者の定義を「パートタイム労
働者=短時間労働者jと法律上で明確に規定し、
ノミートタイム労働法を権利義務化することがも
っとも重要ではなし、かと考える。それにより、
企業側にその定義に従ってパートタイム労働者
を雇用するよう義務づけることができ、パート
タイム労働者=短時間労働者という考え方が、
企業・社会だけでなく、パートタイム労働者自
身にも浸透し、パートタイム労働者の地位向上
につながるものと期待される。
第 2節では、雇用環境の悪化から最近活発に
議論されているワークシェアリングについてま
とめた。その中で、フランスなどが行っており、
日本でも導入が議論されている賃金、労働時間
を調節するワークシェアリングは本当の意味で
の雇用環境の改善には結びつかないと考える。
こうした方法ではなく第3章で紹介したように
オランダの経験に習い、本来のパートタイム労
働を活用することによりワークシェアリングを
実現するとともに、佐事と家庭生活を両立させ
る人間らしい暮らしを展望できる。