Title
教室で樹立したラット自然高肺転移モデル(GKS-HL)を用い
た Lentinus edodes mycelia の抗腫瘍効果に関する検討( 内容
の要旨(Summary) )
Author(s)
伊藤, 元博
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)乙 第1334号
Issue Date
2003-02-19
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/14938
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氏 名(本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 貞 伊 藤 元 博(岐阜県) 博 士(医学) 乙第 1334 号 平成15 年 2 月19 日
学位規則第4条第2項該当
教室で樹立したラット自然高肺転移モデル(GKS一日L)を用いた
⊥e〃血〟ぶe血由ざ、myCeliaの抗腫瘍効果に関する検討
(主査)教授 佐 治 重 豊 (副査)教授 森 秀樹 教授 森脇久隆論文内容の要畠
椎茸類の一種で,健康食品として発売されている椎茸菌糸体抽出物(Lentinusedodesmycelia,LEM)の抗 腫瘍効果の有無を,教室で樹立した肝細胞癌GESを用い評価・検討した。椎茸頬は漢方薬として汎用されている が,本邦でも約300年前から人工栽培が開始され,1969年にChiharaらにより椎茸熱水抽出物により精製された高 分子中性多糖休,Lentinanは非特異的免疫賦活剤(biologicalresponsemodifier;BRM)として保険収載され,その抗腫瘍効果か注目を集めた。その乳椎茸(子実体)のみならず培養菌糸体についての研究が進み,バガス
(sugarCanebagasse)を主成分とした固定培地に椎茸菌を培養し,熱水抽出したエキス,椎茸菌糸体抽出物
(LEM)が健康食品として認可され,癌患者にも大変な期待のもとに飲用されているが,LEMの抗腫瘍効果や作 用機序に関する報告は少ない。現時点では,抗腫瘍機序と._LてLEMのアルコール不溶分画であるLAPlが interferon(IFN)-γの産生およびNO2一括性を上昇させる可能性,肝のNK細胞やマクロファージを活性化させる 可能性などが報告されているのみである。そこで今回,申請者らはラット自然高肺転移モデルと癌性腹膜炎モデ ルを用い,LEMの原発巣および転移巣に対する抗腫瘍効果を詳細に検索し,本剤のBRM効果の可能性を推察し た。 研究対象と研究方法 [対象]動物は4適齢の雄性F344ラット,腫瘍はF344ラットにdiethylnitrosamine腹腔内投与で樹立した肝癌で ある0実験には,肝癌細胞を皮下移植して得られた自然肺転移巣をinvivoselectionして,教室で樹立したGKS_ HL株細胞(申分化型肝癌)を用いた。実験にはGKS-HLを背部皮下あるいは腹腔内投与して作製した自然高肺 転移モデルと癌性腹膜炎モデルを用いた。 [方法]高肺転移モデル群は,ラットを体重別に漸次対照群とLEM群に分け,LEM群には原末を固形飼料で0.3 あるいは0・9%になるよう配合したLEM含有飼料を投与した。対照群はクレア製実験用固形飼料(CE-2)を,それぞ れ7日間経口投与したoLEM経口投与7日目に継代培養中のGKS-HL細胞をRPMI-1640培地にて1×10憫/ml に調節し,その1mlを背部皮下へ移植した0観察は試験群では腫瘍移植後もLEM投与を継続し,移植腫瘍の体積 を経時的に測定し・移植後10週目に犠牲死させた上で肺,肝,腹腔内などの転移程度を肉眼的に観察した。癌性 腹膜炎モデル群は・LEM経口投与7日目に1×10憫のGKS-HL細胞を腹腔内へ注入移植後,同様にLEM投与を継 続し・移植後4過日に犠牲死させて血性腹水と腹腔内転移程度を肉眼的に観察し,転移結節の総重量(IPT)を合算・ 評価した。また,移植後80日目まで継続飼育して生存率を求めた。 研究結果 ①皮下腫瘍は移植後経時的に漸増し,10過日で腫瘍体積は0・9%LEM群が92・0±14・4(cm3,以下単位省略)と対照 群の139・4±25・7に比べ低値で・34・0%の抑制効果が観察された0一方0.3%LEM群は73.3±8.1と0.9%LEM群に比ベ低値で,抑制率は47.4%と対照群に比べ有意(p=0.0073)の抑制効果を示した。②腫瘍移植後10過日の肺転移 率は,対照群(100%)に比べ0.9%LEM群が83.3%と軽度低下し,0.3%LEM群は42.9%と有意(p=0.0125)の低値を示し た。一方,転移結節数は,対照群(92.38±20.49個)に比べ0.9%LEM群が53.33±26.61個と減少し,0.3%LEM群は 9.57±6.77個と有意(p=0.026)の低値であった。③平均生存期間は対照群の49.7±1.7日に比べ0.3%LEM群が53.7± 1.7日と有意(P=0.01)の延長を認めたが,0.9%LEM群は49.5±1.7日と差はみられなかった。移植後80日目の時点 で0.3%LEM群は6例中4例がtumor freeの状態で生存し,再移植試験(腹腔内および皮下)で全て腫癌の生者が 拒絶された。④腹腔内移植後4過日の剖検時で,血性腹水は対照群と0.9%LEM群で全例に観察されたが,0.3% LEM群は50%と対照群(p=0.Oi31)および0.9%LEM群(p=0.0455)に比べ有意の抑制を示した。剖検時の腹腔内全転 移結節の総腫瘍重量IPT(g)は,対照群の10.91±0.89に比べ0.3%LEM群が4.30±2.54(抑制率60.6%)と有意(p=0.047) に低値で,0.9%LEM群でも7.52±1.55(抑制率31.1%)と低値となる傾向(p=0.063)が観察された。■播種巣の検討で は,対照群および0.9%LEM群は横隔膜下,壁側腹膜,腸間膜に多数の播種がみられたが,程度は対照群に比べ軽 度であった。なお,腸間膜播種は対照群と0.9%LEM群は全例に戟察されたが,0.3%LEM群は2/6(33.3%)と低値 で,対照群との間に有意差(p=0.0029)がみられた。なお,0.3%LEM群での腹膜播種の局在は主に盲腸で,他の 腸間膜への転移ははとんど観察されなかった。 考察と結語 Lentinus edodesmyceliaは0.3%濃度で投与するとラット自然高肺転移モデルにおいて原発巣,肺転移巣とも 有意の増殖抑制を示し,癌性腹膜炎モデルにおいても生存期間の延長と腹水および腹膜播種の軽減効果を示した。 また,抗腫瘍効果は肺転移モデルより癌性腹膜炎モデルで顕著であったが,投与量では0.9%より0.3%の方が顕著 で,至適濃度依存性に作用する可能性が示唆された。また,癌性腹膜炎モデルでLEM経口投与により腹水が消失 し,腹腔内移植後80日目に同系腫瘍を再移植したが,これを拒絶したことから,何らかの機序で特異的抗腫瘍免 疫が誘導された可能性が推察された。今後,抗腫瘍性サイトカイ▲ン の推移やThl/Th2バランスに及ぼす影響の検 索が必要であるが,LEMは経口投与によりBRM類似の作用を誘導できる可能性が示唆された。進行末期癌患者 の多くが,健康食品との名目でimmuno-nutritonを繁用しているが,医療側は羊の事実を十分認識しないまま, 抗癌剤を投与しているので,今後化学療法との併用による功罪や,分子生物学的手法による作用機序の解明が必 要と考えている。 論文審査の結果の妻旨㌔
申請者 伊藤元博は,健康食品として繁用されている椎茸菌糸体抽出物(Lentinus edodes mycelia,LEM) の抗腫瘍効果を,ラット自然高肺転移モデル(GKS-HL)と癌性腹膜炎モデルを用いて検討した。その結果,LEM
は原発巣および転移巣に対しても相当程度の抗腫瘍作用を示したが,その効果は至適濃度依存性で,BR血的作
用機序の誘導による可能性が示唆された。これらの研究結果は,術後補助療法や進行末期癌患者の治療対策に何 らかの示唆を与えるもので,腫瘍外科学の発展に少なからず寄与す_るものと認める。
[主論文公表誌]
1)教室で樹立したラット自然高肺転移モデル(GKS-HL)を用いたLentinus edodes myceliaの抗腫瘍効果に 関する検討