• 検索結果がありません。

組込みシステムへのモデル検査の適用

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "組込みシステムへのモデル検査の適用"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)情報処理学会第 73 回全国大会. 2B-5. 組込みシステムへのモデル検査の適用 中川 雄一郎†. 明神 智之†. 小川 秀人†. 株式会社日立製作所 中央研究所† 1. はじめに 2.1. 検証範囲の選定 近年、多くの分野の組込みシステムが複雑化、 過去不具合を分析しベース設計モデルの作成 大規模化し、その開発コストの増大が深刻な問 範囲を決定する。過去不具合を機能、不具合発 題となっている。そのような中で、機械的・網 生時の深刻度、複雑度(関連する機能の多さ、 羅的に検証が可能なモデル検査技術[1]が注目を 平行性の高さ)で分類し、深刻度と複雑度で優 浴びている。 先順位付けを行い、最も優先度の高い機能を検 モデル検査技術は、検査対象が扱うモデルが 証範囲とする。 大きくなると、検証に必要なメモリが数十ギガ バイト~数百ギガバイトのオーダーになり実用 2.2. モデル検査用記述方式の確立 に耐えられなくなる。モデル検査を実製品に適 上記で決定した機能に対し、PROMELA[2]等モ 用する場合、検証範囲を限定し、検査すべき状 デル検査用の言語で記述したモデル(以降、検 態数を実用に耐えられる数に抑えるように、仕 証モデルと呼ぶ)作成のための中間モデルを作 様・設計情報を抽象化するアプローチが取られ 成する。中間モデルの記述方式、および検証モ ている。しかし、検証範囲を限定することはモ デルへの変換ルールを生成し、検証モデルを作 デルの正確性を下げることとなり、検証内容の 成する。 正確さを妨げる要因となる。この2つのトレー 仕様や設計の情報から直接検証モデルを作成 ドオフを考慮した、検証対象の選定が必要とな するアプローチも考えられるが、不具合から随 る 。 対 象 範 囲 の 選 定 に は 、 FTA ( Fault Tree 時検証範囲を拡張していく本プロセスでは、開 Analysis)を用いる手法などが考えられるが、 発用に作成した仕様や設計の一部を検証モデル 影響波及分析が難しいソフトウェアにおいては、 に変換するため、相互のトレーサビリティが取 FTA を使用しての対象範囲の選択は困難である。 れなくなる恐れがある。そこで、検証モデル作 そこで、本研究では過去の不具合事例から検 成時の情報を中間モデルとして残しておくこと 証範囲の選定と拡張を行うモデル検査の適用ア で、変換のミスを防ぐ。 プローチを考案した。複数の機器が通信を行い 相互に情報の交換を行う組込みシステムを事例 2.3. ベース設計モデル作成 にとり、その有用性の検証を行った。 検証範囲とした機能に対して、仕様や設計の 情報から、過去不具合に関連する部分のみを抽 2. モデル検査適用アプローチ 出し、モデル検査用記述方式を行い、検査用変 本研究でのモデル検査適用プロセスを以下 換ルールに従って検証モデルを作成する。ここ に示す(図 1)。 で作成する検証モデルはベース検証モデルと呼 対象機能 システム モデル検査 ぶ。 3.作成 仕様 仕様 仕様. 2.記述方式 確立. 設計 設計 設計. 検証用記述. 変換方式. 4.拡張. ベース検証 モデル 不良設計 不良設計 不具合再現 モデル モデル モデル 不良設計 不良設計 不具合対策 モデル モデル モデル. 4.拡張 1.検証範囲の選定 不具合DB (過去不具合). 図 1 モデル検査適用プロセス. 2.4. 不具合再現モデル/不具合対策モデル作成 ベース検証モデルに対して、分析した過去不 具合を再現できる不具合再現モデルを生成する。 また、不具合を対策した不具合対策モデルも生 成する。これを、複数の不具合に対して繰り返 し実施することで、状態爆発を発生させずに、 検証範囲の拡張を行うことが可能となる。 以下に、本プロセスの適用事例を示す。. Application of Model checking process to Embedded system † Yuichiro Nakagawa, Tomoyuki Myojin, Hideto Ogawa, † Central Research Laboratory, Hitachi, Ltd.. 3. モデル検査の適用試行 3.1. プロセス適用対象製品概要 今回、モデル検査の適用を行った組込みシス. 1-257. Copyright 2011 Information Processing Society of Japan. All Rights Reserved..

(2) 情報処理学会第 73 回全国大会. テムは、以下の特徴を有している(図 2)。 機器1. 3.2.3. ベース設計モデル作成、および不具合再 現モデル/不具合対策モデル作成 上記の記述方式から変換ルールに従い、ベー ス検証モデルを生成し、識別子の読込みタイミ ングのズレ等の約 10 件の不具合が検出可能なモ デルと、その対策モデルを作成し、関連する設 計情報をモデルに追加した。. 機器2. 製 品. 製 品. 製 品. 製 品. 製 品. 処理部1. 製 品. 処理部2. 製 品. 処理部3. 4. :行先切替えスイッチ. :ベルトコンベア. :製品情報リーダー. 図 2 適用試行システム概要 ・ ベルトコンベアを用いて特定の製品を複数の 機器に搬送する ・ 複数の機器は通信を行い情報の交換を行う ・ 搬送される製品は識別子を有しており、その 識別子を参照してデータベース上にある製品 情報の取得が可能となる ・ ソフトウェアでは、製品情報リーダーを用い て製品情報を取得し、搬送経路を決定する 3.2. プロセスの適用試行 3.2.1. モデル検査用記述方式の確立 始めに過去不具合を分析し、深刻度と複雑度 の観点から、搬送制御機能をモデル検査の適用 対象と決定した。搬送制御機能は機器間の製品 情報の受け渡しや、機器内の複数タスクが同時 並行的に動作する。これにより、製品の識別子 の読込みタイミングのずれが発生し、製品と識 別子の情報不整合が発生していた。 3.2.2. ベース設計モデル作成 適用対象に対する記述方式、および変換ルー ルを生成した。記述例を図 3に示す。対象とす る搬送制御機能では、検査対象は通信プロトコ ルを中心に設計されている。そこで、通信プロ トコルを表現するのに適している UML2.0 のシー ケンス図を作成のベースとし、シーケンス図を モデル検査用に拡張した搬送制御機能の記述方 式とした。 A. B active proctype A(){ do od }. C 要求(e1) 処理1 報告(e2). 報告(e3) 処理2 報告(e4). active proctype C(){ B!e2(BTOC, ID); }. active proctype C(){ 処理1; }. 図 3 検証モデル用記述方式. 評価 本研究でのモデル検査適用アプローチは、次 のような効果が期待できる。 当初作成したベース設計モデルは、検証モデ ルで約 300step 相当であった。これを約 10 件の 不 具 合 を 用 い て モ デ ル を 拡 張したところ、約 1500step まで拡張することが可能であった。 また、識別子の読込みタイミングのズレの検 証では、5 つの不具合対策方針に対して、不具合 再現モデルと、不具合対策モデルを用いること で最も有効な対策手段を選択することが可能で あった。対策のうち 1 ケースでは不具合修正が 不十分であることも検出できた。 これら対策案に関して、全てをテストで実施 しようとすると、約 75000 件に相当する。これ らを実機にてテスト行った場合、1ケースにお よそ 10 分の時間がかかるため、全ケーステスト するには約 74 人月の工数が必要となる。今回は、 モデル検査の適用に約 6 人月程度の作業工数に て検証範囲の選定からモデル検査の実施、結果 の検討までを行ったため、約 68 人月分の工数削 減も効果が期待できる。 5.. 結論 従来、モデル検査では検証対象が大きくなり、 計算に必要なメモリ容量が数十ギガバイト~数 百ギガバイトオーダーとなり、検査が最後まで 終わらないケースがあった。しかし、不具合事 例を元にすることで、状態爆発を発生させない 範囲での検証範囲の拡張が可能となった。 また、不具合対策に対する妥当性の確認も同 時に行うことができた。 参考文献 [1] Ranjit Jhala, "Software model checking", ACM Computing Surveys, 2009. Volume 41 Issue 4. [2] Gerard J.Holzmann, “The SPIN Model Checker”, Addison-Wesley Professional , 2003. 1-258. Copyright 2011 Information Processing Society of Japan. All Rights Reserved..

(3)

参照

関連したドキュメント

内 容 受講対象者 受講者数 研修月日

3.5 今回工認モデルの妥当性検証 今回工認モデルの妥当性検証として,過去の地震観測記録でベンチマーキングした別の

注意: 条件付き MRI 対応と記載されたすべての製品が、すべての国及び地域で条件付き MRI 対応 機器として承認されているわけではありません。 Confirm Rx ICM

FSIS が実施する HACCP の検証には、基本的検証と HACCP 運用に関する検証から構 成されている。基本的検証では、危害分析などの

採取容器(添加物),採取量 検査(受入)不可基準 検査の性能仕様や結果の解釈に 重大な影響を与える要因. 紫色ゴムキャップ (EDTA-2K)

・ 教育、文化、コミュニケーション、など、具体的に形のない、容易に形骸化する対 策ではなく、⑤のように、システム的に機械的に防止できる設備が必要。.. 質問 質問内容

第1段階料金適用電力量=90キロワット時 × 日割計算対象日数 検針期間の日数

検証を進めていくうえで、登録検証機関が本ガイドラインによる規準では判断ができ