• 検索結果がありません。

子どもの思考を深める手立てと発問 -体育における環境設定と発話に着目して-

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "子どもの思考を深める手立てと発問 -体育における環境設定と発話に着目して-"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

子どもの思考を深める手立てと発問

一 体 育 に お け る 環 境 設 定 と 発 話 に 着 目 し て ー 高度学校教育実践専攻 教員養成特別コース 藤 田 真 那 1.研究の動機 筆者は,大学3回生の教育実習以降,児 童が「なるほどJ

r

わかるようになったJ

r

で きるようになった」などの向上的変容が見 られる授業展開を理想としている。なぜな ら,そういう瞬間が学習の醍醐味だと強く 感じたからである。昨日よりも今日,今日 よりも明日というように,児童が日々新し いことを発見したり,習得したりする学習 指導を目指す。その中でも特に大学時代か ら体育を専攻として学んできたことから, 体育指導に関心があり,児童が運動の特性 を捉え,考えながら学習に取り組むことが できれば,より多くの向上的変容を生み出 すのではないかと考えた。そのためにどの ような情報を提示し,どのような環境設定 を行うべきか深く追究したいと考えたこと が,本研究の動機である。 2 実 践 研 究 の 目 的 と 方 法 本研究では,児童の思考を深め,より多 くの向上的変容を生み出すことを目的とす る。そのためには,児童のより身近な教材 を利用し興味・関心を持たせ,

r

なぜ

J

や「ど うしてJなど根拠が考えられる発問をする。 方法としては,毎回の授業実践でめあて を明確にし,児童が自分の生活と照らし合 わせやすい教材を選択・提示する。さらに, 本時の学習で中心となる発聞をあらかじめ 実習責任教員 木 下 光 二 実習指導教員 藤 原 伸 彦 実習指導教員 端 村 達 也 考えておき,その発問に対して児童がどう 答えているのかビデオで振り返る。そして, 自分の事として捉えて考えられているか, きちんとした理由があるかなどに着目しな がら,思考が深まっているかどうかを分析 したいと考えている。児童の授業中の何気 ないつぶやきにも焦点を置き,学習に関連 するつぶやきを拾って,他の児童の思考を 促進できるよう心がけた。 大学院 1年目の実習では, 6年生の体育 で「バスケットボール」の学習を全7時間,

2

年目の実習では

4

年生の体育で「タグラ グビーJの学習を全11時間行った。その際 には,まず児童が「楽しいからやりたしリ と感じてもらえるような授業を最優先して 考えた。」そして,単元の前半と後半の児童 の動きや発言には,どのような変化が見ら れ,どのような場面で思考が活性化されて いるのか,プロトコルやアンケートを通し て検言寸することとした。

3

.

体育における環境設定及び手立て 2 年次の実習では, 11 月上旬 ~12 月上旬 にかけて, 4年生で体育「タグラグビー」 を全 11時間行った。その時に実際に取り入 れた教具や手立ての一部を以下に述べる。 (1)チーム編成 決定方法は,キャプテンの

6

人を筆者が 決定し,その他の児童は前単元の「ポート

(2)

ボール」を参考に能力の似ている者を

6

人 1組にし,じゃんけんで勝った人からチ ーム(キャプテン)を選べる形式にした。試 合をやる前から勝ち負けが決まっていて は,意欲を持てず考えることをあきらめて しまうと思ったので,チームの力をできる だけ均等にすることによって,どうすれば 勝てるのかを積極的に考えるようになる と推測し,この方法を取り入れた。 (2 )チームカード チームカードはチームの粋を深めるこ とを最大の目的とし,チームの目標を持つ ことや振り返る際に自チームや友達の良 さに気付くこと,チームの成長を視覚化す ることなどをねらいとする。チームカード を活用することによって,必然的にその日 の試合を振り返ることとなる。何がどのよ うに良かったから勝てたのか,何がどのよ うに悪かったから負けたのか,前の試合と 比べてどうだったのかなどについてしっ かり見つめ直すことで,タグラグビーに対 する思考が深まると考えた。 (3 )作戦ボード 作戦ボードを利用することによって,タ グラグビーが「できる・できないJだけで はなく,タグラグビーを戦術的に考えたり 捉えたりできると思い,各チーム

1

つずつ 用意した。 4年生という発達段階を考慮し, ステップ 2の 3時間でチームカードの定 着と話し合いの習慣をしっかりとつけて から,ステップ3で作戦ボードを導入する こととした。 (4 )特別ルールの設定 実際に導入した特別ルールは以下の通 りである。 ①地面にボールが落ちると 1回の攻撃が 終わる。 ②自分より前にいる人にパスを出しでも よい。 ③1回目のトライ(初得点)は2点, 2回目 以降のトライは 1点とする。 ④黄と赤帽チームの攻撃の時はコートを 短くする。 4つ目のノレールについては

r

(8)道徳の 授業」に詳細を述べる。 (5 )アンケートの実施 タグラグビーに関する「意欲J

r

技能J 「作戦」について振り返るためのアンケー トを実施した。毎回の授業後に記入するの は児童の負担になると思い, 4時間目と 7 時間目と 11時間目の3回に分けて実施し, 「何がどのように成長したのか」見ること とした。アンケートの質問項目は「学習指 導要領体育編」の「態度J

r

技能J

r

思考・ 判断」の3項目に従って作成した。 (6 )集団指導 ①導入 導入は準備運動をした後に行った。そう することによって,早く体育館に来たチー ムからゼッケンの準備や準備運動を行う ことができ,時間を有効に使うことができ るからである。展開の1)頂序を工夫したり児 童をテキパキ動かしたりすることによっ て,作戦タイムや運動量,振り返る時間を 少しでも長くするよう努めた。 ②まとめと評価 まとめの場面では,チームカードの「チ ームの良かった所

J

r

今日のきらりjとい う欄に記入していることを各チームに発 表してもらった。それに付け加えて,筆者 が本時の学習で活躍した児童やチームワ ークが良かったチームを具体的に称賛し,

(3)

自信を持たせたり次時への意欲につなげ たりした。 ③録画VTRの活用 毎時,

2

面あるうちのどちらかのコート のゲーム中の様子を,体育館の 2階からビ デオカメラで録画した。そして,勝率の高 いチームが対戦している試合を,給食の時 間を利用して児童に見せた。そして「マー クJや「スペース」の使い方,

r

ポジショ ニングJに着目できるように話し,

r

ボー ルを持っていない時の動き」の重要性につ いて詳しく解説した。 (7)個人指導 個人指導の対象は運動能力の低い児童 に限らず,運動能力の高い児童にも行った。 そして,児童が自主的に練習できるように, 昼休みに体育館を開放しており,その時に 運動能力の低い児童にマンツーマンで技 能面の指導を行った。 (8 )道徳の授業(11月 24日) 7時間目の授業が終わった段階で道徳 の授業を 1時間行った。この授業をするき っかけとなったのは,黄チームと赤帽チー ムの勝利があまりにも少ないことから,こ の 2 チームのタグラグビーに対する意欲 が低下し始めていることで、あった。実際に その勝率の一覧表を作成してみたが,その 差は一目瞭然であった。筆者は,この事実 を素直に受け止め,児童に投げかけてみた。 このような背景で行うこととなった道 徳の授業であるが,児童はその期待に応え るかのように,黄と赤帽チームの気持ちに なって話し合い,各チーム考えた案を出し 合ったoその結果「黄と赤帽が攻める時は コートを 3歩短くする」という 4つ目の 特別ルールを取り入れることとなった。

4.

分析と考察 (1)プロトコル分析より ゲームの振り返りの場面で,筆者が「ど んなふうにあかんかったん?Jや「前と比 べてどうだった?Jなどと発問したことに よって,児童の思考が働き,チームの良か った点や問題点を考えることができた。 (2 )作戦ボードより 作戦タイムの設定や作戦ボードを取り 入れたことによって,児童が頭の中で考え ているイメージをずームメイトに伝える 手段として使うことができ,さらに,磁石 を動かすことで自分の動きを客観的に捉 えることができるため,思考の活性化を促 進した。 (3 )アンケート結果より アンケートの質問項目 1

r

今日の試合を 振り返ってみましょう。あてはまる所に

O

をつけましょうJでは

r

とても楽しかっ たJ

r

楽しかったJ

r

普通J

r

あまり楽しく なかったJ

r

とても楽しくなかった」とし、 う

5

段階でアンケートをとった。その結果, 11月9日(1回目)では「とても楽しかった」 が

6

票しかなかった。しかし,

1

2

8

日 (3回目)では 26票にまで増えた。したが って,児童のタグラグビーに対する満足感 は非常に大きかったことがわかる。勝率の 低いチームに対する特別ルールを考えた り,総当たり戦で本気の大会をしたり,で きることがたくさん増えたりしたことが 理由に含まれていると考える。 質問項目 4

r

勝つためにどんなことを考 えて,どんなことをしましたか?Jでは, 「誰がここに動いてパスしてトライする などの作戦を立てた」や「タグを取らさな いようにジク。ザグ

1

こ走ったり,回転したり

(4)

するとゴールできたJ,

r

パスカットするた めに

00

ちゃんをマークすると決めてマ ークした」などと書いてあり,勝つための 手段や方法について具体的に考えられて いることがわかる。 (4)道徳の感想シートより 「赤帽と黄色はすごく悲しい思いをして いたと思いました」という赤チームの児童 の言葉は自分がもし赤帽と黄色のチー ムだったら,悲しいだろうなjと言い換え ることができ,相手の気持ちになって考え ることができている。この道徳の授業を実 践したことで,クラスの友達の気持ちゃ考 えを共有でき,その後のタグラグビーがよ り一層良いものになっていったのだと実 感している。 5. これまでの成果と課題 (1)成果 ①作戦タイムの設定や作戦ボードを導入 したことによって,各チームでの話し合 いが密になってイメージの共有ができ た。作戦ボードは,コートを真上から覗 くような感じに見え,磁石を動かすこと で自分の動きを客観的に捉えることが でき,思考の活性化を促進した。 ②特別ルーノレの設定をしたことによって, 学習への意欲を向上させることとなり, 児童がその特別ノレールを活かした戦略 を主体的に考えるようになった。 ③チームカードを導入し,記入欄に「今日 の振り返りJを設けたことで,チームの 長所や短所について気付いたり,考えた りする習慣が身についた。 ~録画 VTR を活用したことで,客観的に 自分の動きを省察し,考えながら振り返 ることができるようになった。 ⑤クラス全員で新たな特別ルーノレを考え たことによって,運動能力が高い児童が 低い児童の気持ちを考えるきっかけと なった。そしてそのルールの導入後,運 動能力が低い児童にもたくさんボール が回るようになり,ボールを持ったとき 「このボールをどうするか

J

必然的に考 えられる機会を増やすことができた。 などが成果として挙げられる。

(2

)課題 ①すべてのゲームを筆者と T2の先生で審 判したこと。より思考の活性化を促進す るためには,児童にゲームの審判をさせ て,試合を客観的に観る機会を与え,自 分の動きについて考えたり省察したり するきっかけをつくるべきであったベ ②運動能力が低い児童や特別支援の児童 に対するアプローチが十分ではなかっ た。このような児童が主体的に考えて行 動できるようになるための手立てが必 要であった。 ③評価の基準が明瞭でないこと。何をもっ て「ボールを持っていない時の動きがで きた」と評価するのか。 などが課題として挙げられる。 引用・参考文献 1文部科学省 (2008)

r

小学校学習指導要 領 解 説 体 育 編

J

東洋館出版社 2文部科学省 (2008)

r

小学校学習指導要 領解説道徳編」 東洋館出版社 3 田中 早苗 (2011)

r

わたしたちの体育 教師用指導書」 文放社

参照

関連したドキュメント

そのような発話を整合的に理解し、受け入れようとするなら、そこに何ら

従って、こ こでは「嬉 しい」と「 楽しい」の 間にも差が あると考え られる。こ のような差 は語を区別 するために 決しておざ

を塗っている。大粒の顔料の成分を SEM-EDS で調 査した結果、水銀 (Hg) と硫黄 (S) を検出したこと からみて水銀朱 (HgS)

SVF Migration Tool の動作を制御するための設定を設定ファイルに記述します。Windows 環境 の場合は「SVF Migration Tool の動作設定 (p. 20)」を、UNIX/Linux

断面が変化する個所には伸縮継目を設けるとともに、斜面部においては、継目部受け台とすべり止め

このように、このWの姿を捉えることを通して、「子どもが生き、自ら願いを形成し実現しよう

「就労に向けたステップアップ」と設定し、それぞれ目標値を設定した。ここで

Q7 建設工事の場合は、都内の各工事現場の実績をまとめて 1